特許第6482840号(P6482840)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社フジタの特許一覧

<>
  • 特許6482840-拡張型ネットワーク 図000002
  • 特許6482840-拡張型ネットワーク 図000003
  • 特許6482840-拡張型ネットワーク 図000004
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482840
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】拡張型ネットワーク
(51)【国際特許分類】
   H04M 11/00 20060101AFI20190304BHJP
   H04W 16/26 20090101ALI20190304BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20190304BHJP
【FI】
   H04M11/00 302
   H04W16/26
   H04W84/12
【請求項の数】7
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2014-244653(P2014-244653)
(22)【出願日】2014年12月3日
(65)【公開番号】特開2016-111413(P2016-111413A)
(43)【公開日】2016年6月20日
【審査請求日】2017年11月27日
(73)【特許権者】
【識別番号】302060926
【氏名又は名称】株式会社フジタ
(74)【代理人】
【識別番号】100089875
【弁理士】
【氏名又は名称】野田 茂
(72)【発明者】
【氏名】巽 研
【審査官】 加内 慎也
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−288267(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2010/0296439(US,A1)
【文献】 国際公開第2008/127043(WO,A1)
【文献】 特開2008−258923(JP,A)
【文献】 特開2007−135150(JP,A)
【文献】 特開2002−094425(JP,A)
【文献】 特開2002−152107(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04M 11/00
H04W 16/26
H04W 84/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
建造物の高層階に構築される拡張型ネットワークであって、
前記建造物の地上側に設けられ、第1の帯域による無線LAN回線での基幹通信を行う地上側アクセスポイントと、
前記第1の帯域による無線LAN回線で前記地上側アクセスポイントと前記建造物の高層階との間の基幹通信を行い、前記建造物の高層階の端末との間で第2の帯域による無線LAN回線でのフロアー内通信を行う建物側アクセスポイントと、
を備え
前記地上側アクセスポイントおよび前記建物側アクセスポイントは、前記建造物の側面の周方向に間隔をおいた複数の箇所に対してそれぞれ設けられていることを特徴とする拡張型ネットワーク。
【請求項2】
前記第1の帯域の周波数は、前記第2の帯域の周波数よりも高く、前記第1の帯域による前記無線LAN回線の電波の指向性が前記第2の帯域による前記無線LAN回線の電波の指向性よりも狭いことを特徴とする請求項1記載の拡張型ネットワーク。
【請求項3】
前記第1の帯域の周波数は5GHz帯であり、前記第2の帯域の周波数は2.4GHz帯であることを特徴とする請求項2記載の拡張型ネットワーク。
【請求項4】
前記建造物は平面視矩形状を呈し、
前記複数の箇所は前記建造物の4つの面の箇所であることを特徴とする請求項1から3の何れか1項記載の拡張型ネットワーク。
【請求項5】
前記建物側アクセスポイントと前記第2の帯域による無線LAN回線で接続され、前記フロアー内通信を可能にするエリアを拡張する中継アクセスポイントを備えたことを特徴とする請求項1からの何れか1項記載の拡張型ネットワーク。
【請求項6】
前記地上側アクセスポイントは前記建造物の周囲に複数設けられ、前記地上側アクセスポイントと基幹通信を行う前記建物側アクセスポイントは前記建造物の高層階の外壁側に設けられていることを特徴とする請求項1からの何れか1項記載の拡張型ネットワーク。
【請求項7】
前記地上側アクセスポイントはインターネット回線と通信可能に構成されていることを特徴とする請求項1からの何れか1項記載の拡張型ネットワーク。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建造物の高層階のエリアの通信ネットワークの構築とその拡張を実現する拡張型ネットワークに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、建造物の例えば15階を超える高層階では、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末を使用して他の端末との間で通信することができない状態になる。このため15階を超える建造物を建設する場合、高層階の建設現場では通信手段として無線通信用のトランシーバが用いられている。
このような建造物で地上と同様な通信を実現しようとするにはその建造物内でネットワークを構築する必要があり、次のようなものが提案されている(特許文献1参照)。
すなわち、このネットワークは無線通信用の通信線に連結される分散アンテナシステムハブと、有線通信および無線通信用の通信線を通すための水平配線と、遠隔ソケットとを含む統合型ネットワークである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2014−519269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、従来のネットワークでは、地上階から各上層階へ幹線ケーブルを敷設し、敷設した前記幹線ケーブルを各フロアーごとに分岐させネットワークを構築する必要があり、建設途中の建造物の工事現場に適用するのは敷設箇所が仮設となることから工事の進捗状況に応じて敷設箇所を変更するなど容易でなく、無線通信用のトランシーバを用いた場合には送受信される情報量も限られ、情報の内容も音声などの情報に限られてしまうという課題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、建造物の高層階でのネットワークの構築と拡張を容易にし、送受信される情報量の増大に容易に対応でき、音声を含む映像やデータなどの通信も可能にする拡張型ネットワークを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の拡張型ネットワークは、建造物の高層階に構築される拡張型ネットワークであって、
前記建造物の地上側に設けられ、第1の帯域による無線LAN回線での基幹通信を行う地上側アクセスポイントと、
前記第1の帯域による無線LAN回線で前記地上側アクセスポイントと前記建造物の高層階との間の基幹通信を行い、前記建造物の高層階の端末との間で第2の帯域による無線LAN回線でのフロアー内通信を行う建物側アクセスポイントと、
を備え
前記地上側アクセスポイントおよび前記建物側アクセスポイントは、前記建造物の側面の周方向に間隔をおいた複数の箇所に対してそれぞれ設けられていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、建造物の高層階でのネットワークの構築と拡張を容易にし、送受信される情報量の増大に容易に対応できる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施の形態1の拡張型ネットワークの構成を示す概略図である。
図2】本発明の実施の形態2の拡張型ネットワークの構成を示す概略図である。
図3】本発明の実施の形態3の拡張型ネットワークが適用される状況を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明の実施の形態である拡張型ネットワークの構成を示す概略図である。この実施の形態の拡張型ネットワークは建造物の高層階、特に携帯電話などの端末で通信可能範囲外となる高所においてネットワークを容易に構築し拡張するものである。
【0010】
図1に示すように、この拡張型ネットワークは、建設される高層建造物1の工事途中の段階、高層建造物1のフレーム組み立ての段階からWiFi無線電波によるネットワークを構築する。このため、建設される高層建造物1を取り囲むように地上側に地上側アクセスポイント101,102,103,104を設置する。地上側アクセスポイント101,102,103,104は第1の帯域である5GHz帯のWiFi無線電波を送受信する。
【0011】
この実施の形態では高層建造物1の形状は直方体とする。また、地上側アクセスポイント101,102,103,104は、高層建造物1の各壁面に対面する地上部分で高層建造物1の高層階に設けられた建物側アクセスポイントと通信できる位置に設置される。
【0012】
すなわち、本実施の形態では、高層建造物1は平面視矩形状を呈し、高層建造物の4つの面の箇所に対応して地上側アクセスポイント101,102,103,104および後述する各建物側アクセスポイントが設けられている。
このように高層建造物1の4つの面の箇所に対応して地上側アクセスポイントおよび建物側アクセスポイントを設置することで地上側アクセスポイントと建物側アクセスポイントとの間でのWiFi無線電波による通信を安定して確実に行なう上で有利となる。
【0013】
なお、高層建造物1の形状は平面視矩形状に限定されるものではなく、平面視円形状、平面視三角形状、平面視多角形状、平面視不定形状、あるいはそれらの形状を適宜組み合わせた形状など任意の形状であってもよい。その場合には、地上側アクセスポイントおよび建物側アクセスポイントを、高層建造物1の側面の周方向に間隔をおいた複数の箇所に対してそれぞれ設ければよい。
【0014】
従って、地上側アクセスポイント101は、高層建造物1の壁面21に対面する地上側から壁面21に沿って高層建造物1の高層階へ向かってWiFi無線電波を発信することが可能である。また、地上側アクセスポイント102は、高層建造物1の壁面22に対面する地上側から壁面22に沿って高層建造物1の高層階へ向かってWiFi無線電波を発信することが可能である。また、地上側アクセスポイント103は、高層建造物1の壁面23に対面する地上側から壁面23に沿って、地上側アクセスポイント104は、高層建造物1の壁面24に対面する地上側から壁面24に沿って、高層建造物1の高層階へ向かってWiFi無線電波を発信することが可能である。
【0015】
この実施の形態では、高層建造物1の15階(15F)の壁面21側に建物側アクセスポイント31が設けられ、壁面22側に建物側アクセスポイント32が設けられ、壁面23側に建物側アクセスポイント33が設けられ、壁面24側に建物側アクセスポイント34が設けられる。また、高層建造物1の18階(18F)の壁面21側に建物側アクセスポイント41が設けられ、壁面22側に建物側アクセスポイント42が設けられ、壁面23側に建物側アクセスポイント43が設けられ、壁面24側に建物側アクセスポイント44が設けられる。
【0016】
地上側アクセスポイントは、高層建造物1の高層階に設けられた建物側アクセスポイントとの間でWiFi無線電波を送受信し基幹通信を行う。このため前記建物側アクセスポイントは高層階の外壁面、ベランダ外壁などの地上側アクセスポイントと通信し易い位置に設置される。この実施の形態では、地上側アクセスポイント101は、高層建造物1の14階に設けられた建物側アクセスポイント135と15階に設けられた建物側アクセスポイント31と18階に設けられた建物側アクセスポイント41との間でWiFi無線電波を送受信する。また、地上側アクセスポイント102は、高層建造物1の14階に設けられた建物側アクセスポイント136と15階に設けられた建物側アクセスポイント32と18階に設けられた建物側アクセスポイント42との間でWiFi無線電波を送受信する。
【0017】
また、地上側アクセスポイント103は、高層建造物1の14階に設けられた建物側アクセスポイント137と15階に設けられた建物側アクセスポイント33と18階に設けられた建物側アクセスポイント43との間でWiFi無線電波を送受信する。また、地上側アクセスポイント104は、高層建造物1の14階に設けられた建物側アクセスポイント138と15階に設けられた建物側アクセスポイント34と18階に設けられた建物側アクセスポイント44との間でWiFi無線電波を送受信する。そして、地上側アクセスポイントは高層建造物1の14階、15階、18階に設けられた建物側アクセスポイントとの間で比較的指向性の強い5GHz帯のWiFi無線電波を使用し基幹通信を行う。
そして、地上側アクセスポイントと高層建造物1の建物側アクセスポイントとの間はメッシュ接続される。
【0018】
建物側アクセスポイントは、上の階あるいは下の階の建物側アクセスポイントいづれかの建物側アクセスポイントとの間、上の階および下の階の建物側アクセスポイントとの間で第2の帯域である2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。
【0019】
この実施の形態では、15階に設けられた建物側アクセスポイント31は、上の階すなわち16階の建物側アクセスポイント131と、下の階すなわち14階の建物側アクセスポイント135との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。また、15階に設けられた建物側アクセスポイント32は、16階の建物側アクセスポイント132と、14階の建物側アクセスポイント136との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。また、15階に設けられた建物側アクセスポイント33は、16階の建物側アクセスポイント133と、14階の建物側アクセスポイント137との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。また、15階に設けられた建物側アクセスポイント34は、16階の建物側アクセスポイント134と、14階の建物側アクセスポイント138との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。
【0020】
また、16階の建物側アクセスポイント131は17階の建物側アクセスポイント145との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。また、16階の建物側アクセスポイント132は17階の建物側アクセスポイント146との間で、16階の建物側アクセスポイント133は17階の建物側アクセスポイント147との間で、16階の建物側アクセスポイント134は17階の建物側アクセスポイント148との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。
【0021】
同様に18階に設けられた建物側アクセスポイント41は、上の階すなわち19階の建物側アクセスポイント141と下の階すなわち17階の建物側アクセスポイント145との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。また、18階に設けられた建物側アクセスポイント42は、19階の建物側アクセスポイント142と、17階の建物側アクセスポイント146との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。また、18階に設けられた建物側アクセスポイント43は、19階の建物側アクセスポイント143と、17階の建物側アクセスポイント147との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。また、18階に設けられた建物側アクセスポイント44は、19階の建物側アクセスポイント144と、17階の建物側アクセスポイント148との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用し上下階通信を行う。
【0022】
そして、各階の建物側アクセスポイントは上の階あるいは下の階の建物側アクセスポイントとの間、上の階および下の階の建物側アクセスポイントとの間で上下階通信を行い、リピータとしても機能しながら、高層建造物1の高さ方向に対しWiFiエリアの構築と拡張を行う。
【0023】
また、各フロアー内にはリピータが設けられており、各階の建物側アクセスポイントは同一階のフロアーの前記リピータとの間で第2の帯域である2.4GHz帯のWiFi無線電波を使用しフロアー内通信を行う。また、各リピータは他のリピータとの間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を送受信し中継を行い、同一フロアー内のWiFi通信エリアを拡張する。このWiFi通信エリアでは、携帯電話、スマートフォン、タブレット端末を使用して他の端末との間で通信することができ、音声を含む映像やデータなどの送受信が可能になる。
【0024】
例えば14階の建物側アクセスポイント135,136,137,138は同一階のフロアーのリピータ201,202,203のいづれかとフロアー内通信を行う。また、14階の各リピータは他のリピータとの間で2.4GHz帯のWiFi無線電波の送受信と中継を行い、14階のフロアー内のWiFi通信エリアを拡張する。
【0025】
15階の建物側アクセスポイント31,32,33,34は同一階のフロアーのリピータ211,212,213のいづれかとフロアー内通信を行う。また、15階の各リピータは他のリピータとの間で2.4GHz帯のWiFi無線電波の送受信と中継を行い、15階のフロアー内のWiFi通信エリアを拡張する。
【0026】
16階の建物側アクセスポイント131,132,133,134は同一階のフロアーのリピータ221,222,223のいづれかとフロアー内通信を行う。また、16階の各リピータは他のリピータとの間で2.4GHz帯のWiFi無線電波の送受信と中継を行い、16階のフロアー内のWiFi通信エリアを拡張する。
【0027】
17階の建物側アクセスポイント145,146,147,148は同一階のフロアーのリピータ231,232,233のいづれかとフロアー内通信を行う。また、17階の各リピータは他のリピータとの間で2.4GHz帯のWiFi無線電波の送受信と中継を行い、17階のフロアー内のWiFi通信エリアを拡張する。
【0028】
18階の建物側アクセスポイント41,42,43,44は同一階のフロアーのリピータ241,242,243のいずれかとフロアー内通信を行う。また、18階の各リピータは他のリピータとの間で2.4GHz帯のWiFi無線電波の送受信と中継を行い、18階のフロアー内のWiFi通信エリアを拡張する。
19階の建物側アクセスポイント141,142,143,144は同一階のフロアーのリピータ251,252,253のいづれかとフロアー内通信を行う。また、19階の各リピータは他のリピータとの間で2.4GHz帯のWiFi無線電波の送受信と中継を行い、19階のフロアー内のWiFi通信エリアを拡張する。
【0029】
地上側アクセスポイント101,102,103,104は、切替スイッチ301を介して切り替えられてサーバ302へ有線LAN401,402,403,404により接続される。サーバ302は、高層建造物1を建設する建設工事の管理事務所に設置される。
【0030】
地上側アクセスポイント101,102,103,104は切替スイッチ301により切り替えられ、高層建造物の高層階でWiFi通信エリアを拡張する場合に通信品質を維持できない状況に柔軟に対応し、通信品質を維持できないWiFi通信エリアを無くし良好な通信品質を確保できるように、高層建造物1の一方向からのみでなく高層建造物1を包むように高層建造物の複数の方向から地上と高層階との間の基幹通信を行う。
【0031】
次に動作について説明する。
高層建造物1は、基礎工事が完成した後に建物のフレームから建設が開始される。組み立てられる建物のフレームが15階程度に達するようになるまでは携帯電話が使用可能である。これに対し組み立てられる建物のフレームが15階以上の階になると携帯電話が使用不能になる。このため15階以上の高層建造物1を建設する現場では建物のフレームが立ち上がる前に有線LAN401,402,403,404のケーブルを敷設し、建設される高層建造物1を包むように複数の方向からの地上と高層階との間の基幹通信を想定し、地上側アクセスポイント101,102,103,104を設置する。建物のフレームが立ち上がり、例えば15階近くになると、フレームが組まれた段階で建物側アクセスポイントを設置する。
【0032】
図1に示す例では、14階のフレームが組まれた段階で建物側アクセスポイントが14階の各壁面側あるいはベランダ壁面側に設置される。すなわち建物側アクセスポイント135が14階の壁面21側に設置され、建物側アクセスポイント136が壁面22側に設置され、建物側アクセスポイント137が壁面23側に設置され、建物側アクセスポイント138が壁面24側に設置される。さらに14階のフロアー内にWiFi通信エリアを拡張するためにリピータ201、202,203を設置する。
【0033】
14階に続いて15階のフレームを組む場合には、組み上げられている14階のフレームの各壁面側あるいはベランダ壁面側に設置された建物側アクセスポイント135,136,137,138と地上側アクセスポイント101,102,103,104とを使用して14階のフロアーと地上との間で基幹通信を実現する。また、14階のフロアーに設置したリピータ201、202,203により拡張したフロアー内のWiFi通信エリアから15階のフレームの組み立て作業の支援を行う。
【0034】
14階に続いて15階のフレームが組まれると、建物側アクセスポイント31,32,33,34が15階の各壁面側あるいはベランダ壁面側に設置される。すなわち建物側アクセスポイント31が15階の壁面21側に設置され、建物側アクセスポイント32が壁面22側に設置され、建物側アクセスポイント33が壁面23側に設置され、建物側アクセスポイント34が壁面24側に設置される。さらに15階のフロアー内にWiFi通信エリアを拡張するためにリピータ211、212,213を設置する。
【0035】
15階のフロアーの建物側アクセスポイント31,32,33,34が設置されると、地上側アクセスポイント101,102,103,104と建物側アクセスポイント31,32,33,34とにより5GHzの無線電波により15階のフロアーと地上との間で基幹通信を行う。さらに建物側アクセスポイント31,32,33,34のいづれかとリピータ211、212,213とにより2.4GHz帯のWiFi無線電波を中継して15階フロアーのWiFi通信エリアの拡張を実現し、15階フロアーのWiFi通信が可能になる。
【0036】
このとき、15階の建物側アクセスポイント31と14階の建物側アクセスポイント135との間、15階の建物側アクセスポイント32と14階の建物側アクセスポイント136との間、15階の建物側アクセスポイント33と14階の建物側アクセスポイント137との間、15階の建物側アクセスポイント34と14階の建物側アクセスポイント138との間により2.4GHzのWiFi無線電波による上下階通信を行い、さらに14階の建物側アクセスポイント135,136,137,138のいづれかとリピータ201、202,203とにより2.4GHz帯のWiFi無線電波を中継して14階フロアーのWiFi通信エリアを拡張し、14階フロアーのWiFi通信を行うようにすることもできる。
【0037】
15階に続いて16階のフレームを組む場合には、組み上げられている15階のフレームの各壁面側あるいはベランダの壁面側に設置された建物側アクセスポイント31,32,33,34と地上側アクセスポイント101,102,103,104とを使用し、また、15階のフロアーに設置したリピータ211、212,213により拡張したフロアー内通信エリアから16階のフレームの組み立て作業の支援を行う。
【0038】
16階のフレームが組まれると建物側アクセスポイント131,132,133,134が16階の各壁面側に設置される。すなわち建物側アクセスポイント131が16階の壁面21側に設置され、建物側アクセスポイント132が壁面22側に設置され、建物側アクセスポイント133が壁面23側に設置され、建物側アクセスポイント134が壁面24側に設置される。さらに16階のフロアー内にWiFi通信エリアを拡張するためにリピータ221、222,223を設置する。
【0039】
16階の建物側アクセスポイント131,132,133,134が設置されると、15階の建物側アクセスポイント31と16階の建物側アクセスポイント131との間、15階の建物側アクセスポイント32と16階の建物側アクセスポイント132との間、15階の建物側アクセスポイント33と16階の建物側アクセスポイント133との間、15階の建物側アクセスポイント34と16階の建物側アクセスポイント134との間により2.4GHzのWiFi無線電波による上下階通信が実現する。さらに16階の建物側アクセスポイント131,132,133,134のいづれかとリピータ221、222,223とにより2.4GHz帯のWiFi無線電波を中継して16階フロアーのWiFi通信エリアの拡張が実現し、16階フロアーのWiFi通信が可能になる。
【0040】
17階のフレームを組む場合には、組み上げられている16階のフレームの各壁面側あるいはベランダの壁面側に設置された建物側アクセスポイント131,132,133,134と15階の建物側アクセスポイント31,32,33,34との間の上下階通信、
15階の建物側アクセスポイント31,32,33,34と地上側アクセスポイント101,102,103,104との間の基幹通信を使用し、また、16階のフロアーに設置したリピータ221、222,223により拡張したフロアー内通信エリアから17階のフレームの組み立て作業の支援を行う。
【0041】
17階のフレームが組まれると建物側アクセスポイント145,146,147,148が17階の各壁面側に設置される。すなわち建物側アクセスポイント145が17階の壁面21側に設置され、建物側アクセスポイント146が壁面22側に設置され、建物側アクセスポイント147が壁面23側に設置され、建物側アクセスポイント148が壁面24側に設置される。さらに17階のフロアー内にWiFi通信エリアを拡張するためにリピータ231、232,233を設置する。
【0042】
17階の建物側アクセスポイント145,146,147,148が設置されると、17階の建物側アクセスポイント145と16階の建物側アクセスポイント131との間、17階の建物側アクセスポイント146と16階の建物側アクセスポイント132との間、17階の建物側アクセスポイント147と16階の建物側アクセスポイント133との間、17階の建物側アクセスポイント148と16階の建物側アクセスポイント134との間に2.4GHzのWiFi無線電波による上下階通信が実現する。さらに17階の建物側アクセスポイント145,146,147,148のいづれかとリピータ231、232,233とにより2.4GHz帯のWiFi無線電波を中継して17階フロアーのWiFi通信エリアを拡張し、17階フロアーのWiFi通信が可能になる。
【0043】
18階のフレームを組む場合には、組み上げられている17階のフレームの各壁面側あるいはベランダ壁面側に設置された建物側アクセスポイント145,146,147,148と16階の建物側アクセスポイント131,132,133,134と15階の建物側アクセスポイント31,32,33,34との間の上下階通信、15階の建物側アクセスポイント31,32,33,34と地上側アクセスポイント101,102,103,104との間の基幹通信を使用し、また、17階のフロアーに設置したリピータ231、232,233により拡張したフロアー内通信エリアから18階のフレームの組み立て作業の支援を行う。
【0044】
18階のフレームが組まれると建物側アクセスポイント41,42,43,44が18階の各壁面側に設置される。すなわち建物側アクセスポイント41が18階の壁面21側に設置され、建物側アクセスポイント42が壁面22側に設置され、建物側アクセスポイント43が壁面23側に設置され、建物側アクセスポイント44が壁面24側に設置される。さらに18階のフロアー内にWiFi通信エリアを拡張するためにリピータ241、242,243を設置する。
【0045】
18階の建物側アクセスポイント41,42,43,44が設置されると、建物側アクセスポイント41,42,43,44と地上側アクセスポイント101,102,103,104との間の基幹通信が実現する。また、18階の建物側アクセスポイント41,42,43,44と17階の建物側アクセスポイント145,146,147,148との間の上下階通信が実現する。
【0046】
また、18階の建物側アクセスポイント41,42,43,44のいづれかとリピータ241、242,243とにより2.4GHz帯のWiFi無線電波を中継して18階フロアーのWiFi通信エリアを拡張し、18階フロアーのWiFi通信が可能になる。
【0047】
19階のフレームを組む場合には、組み上げられている18階のフレームの各壁面側あるいはベランダ壁面側に設置された建物側アクセスポイント41,42,43,44と
17階の建物側アクセスポイント145,146,147,148と16階の建物側アクセスポイント131,132,133,134と15階の建物側アクセスポイント31,32,33,34との間の上下階通信、15階の建物側アクセスポイント31,32,33,34と地上側アクセスポイント101,102,103,104との間の基幹通信を使用する。あるいは18階の建物側アクセスポイント41,42,43,44と地上側アクセスポイント101,102,103,104との間の基幹通信を使用し、18階のフロアーに設置したリピータ241、242,243により拡張したフロアー内通信エリアから19階のフレームの組み立て作業の支援を行う。
【0048】
19階のフレームが組まれると建物側アクセスポイント141,142,143,144が19階の各壁面側に設置される。すなわち建物側アクセスポイント141が19階の壁面21側に設置され、建物側アクセスポイント142が壁面22側に設置され、建物側アクセスポイント143が壁面23側に設置され、建物側アクセスポイント144が壁面24側に設置される。さらに19階のフロアー内にWiFi通信エリアを拡張するためにリピータ251、252,253を設置する。
【0049】
19階の建物側アクセスポイント141,142,143,144が設置されると、建物側アクセスポイント141,142,143,144と18階の建物側アクセスポイント41,42,43,44との間の上下階通信が実現する。
【0050】
また、19階の建物側アクセスポイント141,142,143,144のいづれかとリピータ251、252,253とにより2.4GHz帯のWiFi無線電波を中継して19階フロアーのWiFi通信エリアを拡張し、19階フロアーのWiFi通信が可能になる。
【0051】
以上説明したように、この実施の形態によれば、高層建造物1の建設現場、特に携帯電話が使用できない15階以上の高層階において、工事途中の段階、フレーム組み立ての段階からWiFi無線電波によるネットワークを容易に構築し拡張できる。
【0052】
また、WiFi通信エリアからスマートフォン、パーソナルコンピュータ,タブレット端末などを利用して、音声だけでなく映像、データなどを高速で送受信でき、工事現場に対し建設支援などを効果的に実施できる。
【0053】
また、携帯電話などを利用する場合に比べWiFiにより通信費用をかけることなく現場が外部と通信できる。
【0054】
また、本実施の形態では、地上側アクセスポイントによる基幹通信を第1の帯域の周波数5GHzで行なうと共に、建物側アクセスポイントによる無線LAN回線でのフロアー内通信を第2の帯域の周波数2.4GHzで行うようにし、第1の帯域による無線LAN回線の電波の指向性を第2の帯域による無線LAN回線の電波の指向性よりも狭いものとした。
したがって、地上側アクセスポイントと建物側アクセスポイントとの間での基幹通信を電波の指向性が狭い電波で行なうことから、地上側アクセスポイントと建物側アクセスポイントとの距離が大きな場合であっても、基幹通信を安定して確実に行なう上で有利となる。
また、建物側アクセスポイントによるフロアー内通信を電波の指向性が広い電波で行なうことから広がりをもったフロアー内での通信を安定して確実に行なう上で有利となる。
なお、第1の帯域が5GHzであり第2の帯域が2.4GHzであるという組み合わせに限定されるものではないが、第1の帯域の周波数として5GHz帯を用い、第2の帯域の周波数として2.4GHz帯を用いた場合は、地上側アクセスポイントおよび建物側アクセスポイントが既に普及していることから入手性が容易であり、また、建物側アクセスポイントとフロアー内通信を行なう各種通信端末の入手性が容易となり、拡張型ネットワークを短期間にかつ安価に構成する上で有利となる。
なお、将来、無線LANの帯域が拡張され、2.4GHz、5GHz以外の帯域が使用可能になった場合は、2.4GHz、5GHzの帯域に加えて、それら拡張された帯域の無線LANを使用してもよいことは無論である。
また、実施の形態では、第1の帯域の周波数が、第2の帯域の周波数よりも高い場合について説明したが、第1の帯域の周波数が、第2の帯域の周波数よりも低い場合であっても本発明は無論適用される。
ただし、本実施の形態のように、第1の帯域の周波数が、第2の帯域の周波数よりも高いと、第1の帯域による無線LAN回線の電波の指向性が第2の帯域による無線LAN回線の電波の指向性よりも狭くなるため、基幹通信を安定して確実に行なう上で有利となる。
【0055】
なお、地上側アクセスポイントはインターネット回線とサーバ302を介して通信可能に構成されていてもよく、この場合は、建物側アクセスポイントとフロアー内通信を行なう各種通信端末を用いて容易にインターネット回線にアクセスすることができ、ユーザーの利便性の向上を図る上で有利となる。
【0056】
実施の形態2
図2は、本発明の実施の形態2である拡張型ネットワークの構成を示す概略図である。この実施の形態2の拡張型ネットワークは高層建造物を含むエリアにネットワークを容易に構築し拡張する。図2において図1と同一または相当の部分については同一の符号を付し説明を省略する。
【0057】
この実施の形態では、高層建造物1の屋上付近に地上側アクセスポイント101,102,103,104との間で基幹通信を行う通信エリア拡張用のアクセスポイント501を設けている。さらに屋外使用可能なリピータとして機能する拡張用アクセスポイント601をエリア502に設置する。アクセスポイント501は地上側アクセスポイント101,102,103,104との間で5GHz帯のWiFi無線電波による基幹通信を行い、さらにエリア502に設置した拡張用アクセスポイント601との間で5GHzのWiFi無線電波を中継しWiFi通信エリアを拡張する際の基幹通信を行う。
【0058】
拡張用アクセスポイント601はリピータとしても機能し、2.4GHz帯のWiFi無線電波を中継してWiFi通信エリアの構築と拡張を可能にする。拡張用アクセスポイント601の設置は地上付近に限ることなく建物の屋上などに設置し、複数の拡張用アクセスポイントを経由してWiFi通信エリアを拡張することが可能である。
【0059】
図3は、この実施の形態の拡張型ネットワークが適用される状況を示す説明図である。
建設された高層建造物1には隣接するエリア2,3,4,5が設けられている。エリア2には拡張用アクセスポイント11,12,13が設けられている。また、エリア3には拡張アクセスポイント14が設けられている。エリア4には拡張用アクセスポイント15,16が設けられている。エリア5には拡張アクセスポイント17,18が設けられている。エリア6には拡張用アクセスポイント19,20が設けられている。
【0060】
エリア2では、拡張用アクセスポイント11はアクセスポイント501と5GHz帯のWiFi無線電波による基幹通信を行い、さらに他の拡張用アクセスポイント12,13との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を送受信してWiFiによるネットワークを構築しWiFi通信エリアを拡張する。
【0061】
エリア4では、拡張用アクセスポイント15がアクセスポイント501と5GHz帯のWiFi無線電波による基幹通信を行い、さらに他の拡張用アクセスポイント16との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を送受信してWiFiによるネットワークを構築しWiFi通信エリアを拡張する。エリア5では、拡張用アクセスポイント17がアクセスポイント501と5GHz帯のWiFi無線電波による基幹通信を行い、さらに他の拡張用アクセスポイント18との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を送受信してWiFiによるネットワークを構築しWiFi通信エリアを拡張する。エリア6では、拡張用アクセスポイント19がアクセスポイント501と5GHz帯のWiFi無線電波による基幹通信を行い、さらに他の拡張用アクセスポイント20との間で2.4GHz帯のWiFi無線電波を送受信してWiFiによるネットワークを構築しWiFi通信エリアを拡張する。
【0062】
以上、説明したように、この実施の形態によれば、高層建造物近隣のエリアに対しWiFi無線電波によるネットワークを容易に構築し拡張できる効果がある。
【符号の説明】
【0063】
1……高層建造物、101,102,103,104……地上側アクセスポイント、31,32,33,34,41,42,43,44,131,132,133,134,135,136,137,138,141,142,143,144,145,146,147,148……建物側アクセスポイント、201,202,203,211,212,213,221,222,223,231,232,233,251,252,253……リピータ(中継アクセスポイント)、501……アクセスポイント、601……拡張用アクセスポイント。
図1
図2
図3