(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の取付構造は、ケースが浴室内方側から立上り壁の開口部に挿入され、フランジ片が係止されて、テレビ受像器が取り付けられていたから、テレビ受像器が取り付けられた状態で、フランジ片が、空間内方側に露出しているため、浴室ユニットの美観を損なっていた。また、例えば、フランジ片の開口部周辺への係止が外れた際には、テレビ受像器を収容したケースが、浴室内方側に脱落する可能性があった。
【0005】
本発明の目的は、壁材の美観の維持を図りつつ、機能部品の浴室内方側への脱落を防止することができる機能部品の取付構造、
及び、浴室ユニッ
トを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機能部品の取付構造は、空間を構成する壁材に機能部品を取り付けるための機能部品の取付構造であって、
前記壁材が、基材と、該基材を被覆する金属板と、から成る壁パネルであり、前記機能部品を支持する筐体を備え、前記筐体は、前記壁材に形成された壁開口部に前記空間の外方側から嵌め込まれるとともに、前記壁材の裏面に重なって固定される被固定部が設けられ、
前記筐体は、前記壁開口部に嵌め込まれる筐体本体と、該筐体本体から前記壁開口部の端縁よりも外方側に延出して前記被固定部を構成する延出片と、を有して形成され、前記壁パネルの裏面には、前記被固定部を固定する固定部が設けられ、前記固定部は、前記壁パネルの前記基材に設けられていることを特徴とする。
【0007】
この構成によれば、筐体が、空間の外方側から壁材に形成された壁開口部に固定され、筐体には、壁材の裏面に重なって固定される被固定部が設けられていることで、例えば、地震等の振動により壁材と筐体の被固定部との固定が外れた場合に、筐体が空間の外方側へ脱落することがあっても、空間の内方側への脱落を防止することができる。さらに、筐体の被固定部が、壁材の裏面側で固定されていることで、当該被固定部が空間の内方側に露出することなく、壁材の美観を維持することができる。
【0008】
さらに、
前記延出片が、前記壁開口部の周辺に係止可能に構成され
ることが好ましい。
【0009】
この構成によれば、延出片が、壁開口部の周辺に係止可能に構成されるとともに、該延出片によって被固定部が構成されている。この延出片が、壁開口部の端縁よりも外方側に延出形成されているから、延出片が、壁開口部に係止される又は壁材の裏面に重ねて固定されることにより、筐体の空間の内方側への脱落を十分に防止することができる。さらに、延出片が、筐体本体から壁開口部の端縁よりも外方側に延出形成されているから、係止部又は被固定部が空間の内方側に露出することなく、壁材の美観を十分に維持することができる。
【0010】
また、本発明の機能部品の取付構造では、延出片は、筐体本体の周縁において同一辺上ではない少なくとも2箇所に設けられていることが好ましい。
【0011】
この構成によれば、延出片が、筐体本体の周縁において同一辺上ではない少なくとも2箇所に設けられていることで、空間の内方側への脱落を十分に防止することができる。
【0012】
また、本発明の機能部品の取付構造では、
前記壁パネルの裏面には、前記金属板の一部により構成され
た前記固定部が設けられていることが好ましい。
【0013】
この構成によれば、壁材は、基材と、該基材を被覆する金属板と、を有して構成され、壁材の裏面には、金属板の一部により構成されて被固定部を固定する固定部が設けられている。ここで、機能部品やこれを支持する筐体等の重量物を支持するためには、壁材に相応な強度が求められることとなるが、金属板の一部により固定部が構成されていることで、固定部の強度を確保することができ、壁材に力が作用した際の壁開口部の周囲の変形を抑制することができる。さらに、このような固定部が設けられていることで、壁開口部を形成した壁材の剛性低下を防ぐことができる。ここで、機能部品やこれを支持する筐体等の重量物を支持するためには、壁材に相応な強度が求められることとなるが、固定部として金属板が設けられていることにより、壁厚を大きくする等の壁材の改造を不要としてコストの抑制を図ることができる。
【0014】
また、本発明の機能部品の取付構造では、
前記壁パネルの裏面には、補強部材によって構成され
た前記固定部が設けられていることが好ましい。
【0015】
この構成によれば、壁材の裏面には、補強部材によって構成されて、被固定部を固定する固定部が設けられていることで、固定部の強度を確保することができる。
【0016】
また、本発明の浴室ユニットは、
前記壁パネルが、浴室壁面を構成するものであり、請求項1乃至請求項5のうちいずれか一項記載の機能部品の取付構造によって前記機能部品が前記壁パネルに取り付けられたことを特徴とする。
【0017】
このような本発明の浴室ユニットによれば、例えば、地震等の振動により壁パネルの固定部と筐体との固定が外れた場合に、筐体が空間外方側へ脱落することはあっても、浴室内方側への脱落を防止することができる。さらに、筐体の被固定部が、壁材の裏面に固定されていることで、当該被固定部が空間の内方側に露出することなく、壁材の美観を維持することができる。
【発明の効果】
【0020】
以上のような本発明の機能部品の取付構造、
及び、浴室ユニッ
トによれば、筐体又は機能部品ユニットが、空間の外方側から壁材に形成された壁開口部に固定され、筐体又は機能部品ユニットには、壁材の裏面に重なって固定される被固定部が設けられていることで、筐体又は機能部品ユニットの空間の内方側への脱落を防止することができるとともに、筐体又は機能部品ユニットの被固定部が空間の内方側に露出することなく、壁材の美観を維持することができる。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の浴室ユニット(浴室)1は、
図1、2に示すように、床躯体上に束等を介して支持された浴槽2及び洗い場床(防水パン)3と、浴槽2の端縁及び洗い場床3の端縁から立ち上がって設けられた立上部4(
図2参照)と、立上部4から立設された複数の柱材としてのポスト5(
図2参照)と、隣り合うポスト5間に亘って支持されて浴室内壁面を構成する複数の壁パネル6と、複数のポスト5の頂部を連結して設けられたつなぎ梁7(
図2参照)と、つなぎ梁7に支持される図示しない天井パネルと、図示しない浴室出入口や窓等と、を備えて構成されている。また、洗い場の壁面には、鏡8が取り付けられ、その他に、図示しないカウンターや棚、照明器具、水栓金具、カラン、シャワー等が設けられる。
【0023】
なお、以下では、壁パネル6の面直交方向を見込方向と記し、この見込方向と直交する面内方向を見付方向と記す場合があり、特に、ポスト5等の長尺部材においては、その材軸方向(長手方向)及び見込方向に直交する方向を見付方向として記すことがある。
【0024】
ポスト5は、溶融亜鉛めっき鋼板などから曲げ加工及び切断加工によって製作され、断面コ字形や断面C字形に形成されている。このポスト5は、その下端部が浴槽2や洗い場床3の立上部4にブラケット等で固定され、上端部がつなぎ梁7によって隣り合うポスト5の上端部と連結されている。ポスト5は、浴室ユニット1の角部に設けられるコーナーポスト5Aと、隣り合う壁パネル6が平面的に連続した位置に設けられる平ポスト5Bと、を有して構成されている。
【0025】
壁パネル6は、例えば、鋼板パネルで構成されている。鋼板パネルは、浴室内部側に適宜な化粧面を有する金属板としての鋼板6A(
図4参照)と、この鋼板6Aの裏面に貼付される石膏ボードや発泡ウレタン等の基材としての断熱材6Bと、を有し、取付部位に応じた適宜な幅寸法及び高さ寸法に形成されている。鋼板パネルの鋼板6Aには、その左右両側の端縁から見込方向裏面側に突出し、その先端から見付方向内側かつ浴室内部側に折り返された図示しない被係止部が形成されている。この鋼板パネルは、被係止部がポスト5の図示しない係止片に係止されることで、左右のポスト5間に亘って取り付けられている。
【0026】
複数の壁パネル6のうち、浴槽2の一方側の短辺2Aに対応する位置の壁パネル61には、その外周縁から離隔した位置に壁開口部63が形成されている。壁開口部63は、壁パネル61において、浴槽2の短辺2A方向の中間部において、上下方向(鉛直方向)の中間部よりも下方側に設けられている。この壁開口部63は、矩形状に連続する内周辺(上辺63A、下辺63B、左右の縦辺63C、63D)を有して構成されている。また、浴室外方側(壁パネル61の裏面側)の壁開口部63の周辺部には、後述する筐体30の延出片34が固定されている。以下では、壁パネル61において延出片34が固定される位置を「固定部」と記し、符号60(
図4参照)を付す。本実施形態において、固定部60は、壁パネル6を構成する断熱材6Bに設けられている。即ち、固定部60は断熱材6Bの一部から構成されている。なお、以下では、壁パネル61の浴室内部側の表面を単に「表面」と記し、壁パネル61の表面と反対側の面であるとともに浴室の外方側の面を単に「裏面」と記す場合がある。
【0027】
以上の浴室ユニット1には、
図3にも示すように、機能部品としての映像表示部Tを浴室壁に取り付けるための機能部品の取付構造10が設けられている。この取付構造10は、前記壁開口部63と、映像表示部Tを収容しつつ壁開口部63の浴室の外方側から嵌め込まれて固定される筐体30と、を備えて構成されている。映像表示部Tは、映像表示を行う電子機器であり、液晶表示部、有機EL表示部、LED表示部等の映像表示部を持つ機器であり、テレビ機器として、図示しない電源装置やテレビアンテナ、チューナー、録画装置、スピーカー等に有線あるいは無線によって接続されてもよい。
【0028】
筐体30は、全体箱状に形成されるとともに映像表示部Tの前面側に開口30Aを有した筐体本体31と、この筐体本体31の内部側から開口30Aを覆う透光性を有したカバー部材としての透明板32と、を有して構成されている。筐体本体31は、壁開口部63の内側に挿通可能となるように壁開口部63と略同じ大きさ、又は、壁開口部63よりも一回り小さい大きさとなるように形成されて、壁開口部63に嵌め込まれるように形成されている。さらに、壁開口部63の内周辺63A、63B、63C、63Dと筐体本体31の外周辺33(上辺33A、下辺33B、左右の縦辺33C、33D)との間にはシール部材40が四周連続して介装されている。
【0029】
また、筐体本体31は、矩形状に連続する外周辺33(上辺33A、下辺33B、左右の縦辺33C、33D)を有するとともに、この四方の外周辺33には、それぞれ見付方向外方に延出する延出片34(上延出片34A、下延出片34B、左右の延出片34C、34D)が形成されている。延出片34は、壁パネル61の浴室外方側の裏面に沿って延び、ビス孔161、341にビス39が螺合されることで固定部60に固定されるようになっている。延出片34が、ビス39によって固定部60に固定されることにより、筐体30が壁パネル61に固定されるようになっている。このように、筐体30において、固定部60に重ねて固定される部位、即ち延出片34は「被固定部」として機能する。
【0030】
次に、
図4、5も参照して、筐体30の詳細構造及び取付構造について説明する。筐体本体31は、
図4に示すように、開口30Aが形成されて映像表示部Tの前面側に設けられる前枠体36と、映像表示部Tの裏面側に設けられて映像表示部Tが固定される後枠体37と、を互いに連結して構成されている。前枠体36及び後枠体37は、それぞれステンレス鋼板等の金属板材にプレス加工等を施して形成されている。透明板32は、板ガラスから形成され、その前面あるいは後面には反射防止コーティング等の適宜な表面処理が施されている。
【0031】
前枠体36は、全体矩形枠状に形成されるとともに、筐体30の外周辺33の前側部分を構成する前見込面部361と、この前見込面部361の前端縁から見付方向内側に延びて開口30Aの周辺部を構成する開口周辺部362と、前見込面部361の後端縁から見付方向外側に延びる前延出片363と、を有して形成されている。後枠体37は、前方側が開口した全体箱状に形成されるとともに、筐体30の外周辺33の後側部分を構成する後見込面部371と、この後見込面部371の後端縁に連続した板状の背面部372と、後見込面部371の前端縁から見付方向外側に延びる後延出片373と、を有して形成されている。後枠体37の背面部372には、映像表示部Tを固定するための複数の背面固定部374が設けられている。
【0032】
筐体30の延出片34は、前延出片363と、後延出片373と、が前後方向に重ねられるとともに、周方向に複数設けられるビス39によって固着されて構成されている。前延出片363及び後延出片373は、固定部60に重ねて固定される上延出片34A、下延出片34B、左右の延出片34C、34Dを有して構成されている。このように構成される延出片34は、筐体30の最前部である開口周辺部362から前見込面部361の前後寸法分(壁パネル61の厚み寸法分)だけ後退するとともに、筐体30の最後部である背面部372から後見込面部371の前後寸法分だけ前進した位置に設けられている。即ち、延出片34は、筐体30の外周辺33において後方側に偏った位置から見付方向外方に突出して形成されている。こうして、筐体30は、壁パネル61の壁開口部63に取り付けられた際に、その開口周辺部362と壁パネル61の浴室内部側の表面とが略面一になるように形成されている。また、延出片34(前延出片363及び後延出片373)には、ビス39が貫通するとともに螺合するビス孔341(
図5参照)が形成されている。また、透明板32の前面と開口周辺部362との間には止水部材43が四周連続して介装されている。
【0033】
筐体30の組立手順としては、先ず、背面固定部374によって後枠体37に映像表示部Tを固定する。一方、前枠体36において、前面外周に沿って止水部材43を貼り付けた透明板32を開口周辺部362にセットしておく。このような前延出片363と後延出片373とをビス39によって固着することで、映像表示部T及び透明板32を筐体本体31に内蔵した筐体30が組み立てられるとともに、映像表示部T及び透明板32を内蔵した機能部品ユニット11(
図2参照)が組み立てられる。以上のように組み立てられた機能部品ユニット11は、組み立て工場にて、壁パネル61の壁開口部63に取り付けられ、一つのユニットとして予め組み立てられた状態で浴室ユニット1の施工現場まで搬送されて、左右のポスト5A、5Bに固定される。
【0034】
次に、機能部品ユニット11の壁開口部63への取り付け手順について説明する。
【0035】
まず、壁開口部63に対して浴室の外方側から筐体30をセットし、その延出片34のビス孔341に浴室の外方側からビス39を挿通し、この延出片34を固定部60に重ねて螺合することによって、固定部60に筐体30を固定する。こうして、機能部品ユニット11の壁開口部63への取り付けが完了するとともに、機能部品ユニット11が、壁パネル61の裏面に重なって浴室の外方側から取り付けられた機能部品付き壁パネル12(
図1参照)が完成する。
【0036】
この後、機能部品付き壁パネル12を浴室ユニット1の施工現場に搬送し、施工現場にて、機能部品付き壁パネル12を左右のポスト5A,5B間に近付け、各ポスト5A,5Bの係止片により壁パネル61の被係止部を係止させて、壁パネル61を左右のポスト5間に取り付ける。こうして、機能部品付き壁パネル12の浴室ユニット1への取り付けが完了する。
【0037】
このような機能部品付き壁パネル12は、壁パネル61と機能部品ユニット11とが一つのユニットとして予め組み立てられて構成されたものであるから、施工現場にて、機能部品付き壁パネル12を柱、梁、ポスト5等の支持材に固定する作業のみで、壁面に、映像表示部T(機能部品)を支持させることができる。ここで、例えば、浴室ユニット1において、建築壁と壁パネル61との隙間が狭く、作業スペースを確保できないことから機能部品ユニット11を空間の外方側から取り付けることが困難であったとしても、機能部品付き壁パネル12が一つのユニットとして予め組み立てられて構成されたものであるから、壁面に映像表示部Tを支持させることができる。従って、施工現場にて、機能部品付き壁パネル12を支持材に固定することで、機能部品ユニット11が壁パネル61に浴室ユニット1(空間)の外方向側から取り付けられることとなる。これにより、前述のように、例えば、地震等の振動により壁パネル61と機能部品ユニット11との固定が外れた場合に、機能部品ユニット11が、浴室ユニット1の外方側へ脱落することになったとしても、浴室ユニット1の内方側への脱落を防止することができる。さらに、筐体30の延出片34(被固定部)が、壁パネル61の裏面に固定されていることで、当該延出片34が浴室ユニット1の内方側に露出することなく、壁パネル61の美観を維持することができる。
【0038】
さらに、機能部品付き壁パネル12は、壁パネル61と機能部品ユニット11とが一つのユニットとして予め組み立てられて構成されたものであるから、当該機能部品付き壁パネル12を壁パネル61の任意の位置に取り付けることができる。即ち、壁パネル61における壁開口部63の形成位置を適宜な位置にすることができる。
【0039】
上述した実施形態によれば、筐体30が、浴室ユニット1(空間)の外方側から壁パネル61(壁材)に形成された壁開口部63に固定され、筐体30には、壁パネル61の裏面に重なって固定される延出片34(被固定部)が設けられていることで、例えば、地震等の振動により壁パネル61と筐体30の延出片34との固定が外れた場合に、筐体30が浴室ユニット1の外方側へ脱落することがあっても、浴室ユニット1の内方側への脱落を防止することができる。さらに、筐体30の延出片34が、壁パネル61の裏面側で固定されていることで、当該延出片34が空間の内方側に露出することなく、壁パネル61の美観を維持することができる。
【0040】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0041】
続いて、上述した実施形態の変形例について、
図6(A)(B)(C)を参照して説明する。
図6は、機能部品の取付構造の変形例を示す縦断面図である。
図6において、上述した実施形態と同一構成乃至同一機能を有する部分には、同一符号を付して説明を省略する。また、
図6において、上述した実施形態とは固定部の構成のみが異なる。
【0042】
固定部としての固定部60Aは、
図6(A)に示すように、壁パネル61Aを構成する鋼板6Aに設けられている。壁パネル61Aは、鋼板6Aと、この鋼板6Aの裏面に貼付される石膏ボードや発泡ウレタン等の断熱材6Bと、この断熱材6Bの裏面を被覆するとともに鋼板6Aに連続形成された鋼板6Cと、を有して構成されている。本実施形態において、壁パネル61Aは、鋼板6A、6Cが断熱材6B全体を被覆するように構成され、固定部60Aは鋼板6C(金属板)によって構成されている。この構成によれば、鋼板6Cに固定部60Aが設けられていることで、壁パネル61の強度を確保することができ、壁パネル61Aに力が作用した際の壁開口部63の周囲の変形を抑制することができる。ここで、機能部品やこれを支持する筐体30等の重量物を支持するためには、壁パネル(壁材)に相応な強度が求められることとなるが、鋼板6C(金属板)が設けられていることにより、壁厚を大きくする等の壁材の改造を不要としてコストの抑制を図ることができる。
【0043】
固定部としての固定部60Bは、
図6(B)に示すように、L字状の取付金具(補強部材)によって構成されている。この固定部60Bは、壁開口部63の適宜の位置に設けられているとともに当該壁開口部63の内周辺及びその周辺部に重ねられて、ビス39により延出片34Bとともに壁パネル61Bに取り付けられるように構成されている。この構成によれば、取付金具(補強部材)が設けられていることで、固定部の固定強度を確保することができる。
【0044】
固定部としての固定部60Cは、
図6(C)に示すように、金属製の埋め込みナット(補強部材)によって構成されている。固定部60Cは、ビス39が螺合される位置に、断熱材6B、即ち壁パネル61Cと一体に埋め込まれている。この構成によれば、埋め込みナット(補強部材)が設けられていることで、固定部の固定強度を確保することができる。
【0045】
また、前記実施形態では、機能部品が映像表示部Tである場合を例示したが、機能部品としては、映像表示部Tに限らず、映像表示機能を備えない表示装置であってもよいし、パーソナルコンピュータやゲーム機器、音響機器、冷暖房装置、照明装置、冷蔵庫、時計などの電気機器であってもよい。さらに、機能部品としては、電気機器に限らず、収納装置や鏡(通常の鏡やハーフミラー等)などの浴室付属部品であってもよいし、水槽、絵画、彫刻などの装飾品であってもよく、その品種や品目は特に限定されない。
【0046】
また、前記実施形態では、映像表示部T(機能部品)が筐体30の筐体本体31に収容された状態で浴室ユニット1に取り付けられる構成であったが、これに限らず、映像表示部Tが筐体30により支持されて固定されていてもよい。即ち、筐体30が筐体本体31を有さずともよい。機能部品として、防水性能を必要としないもの、あるいは機能部品そのものが防水性能を有したものである場合には、筐体本体31に収容されずに浴室内部に露出して設けられていてもよい。また、機能部品を筐体本体31に収容する場合であっても、この筐体30において防水性能は必須ではなく、排水性や清掃性を有した筐体など、使用上の問題が生じない範囲で適宜な筐体を採用することは任意である。
【0047】
また、前記実施形態では、筐体30の延出片34が、壁パネル61の固定部60に重ねて固定される構成であったが、これに限らず、筐体本体31が壁パネル61の固定部60に直接固定される構成であってもよい。筐体本体31が壁開口部63よりも一回り大きくなるように構成されて、その周辺部が固定部60に重ねて固定される構成であってもよい。その場合には、延出片は省略してもよい。
【0048】
また、前記実施形態では、延出片34が、筐体本体31の四方の外周辺33(上辺33A、下辺33B、左右の縦辺33C、33D)それぞれに対応する上延出片34A、下延出片34B、左右の延出片34C、34Dを有する構成であったが、これに限らず、延出片は、例えば、筐体本体31の上辺33A、下辺33B、左右の縦辺33C、33Dそれぞれに各2個ずつ間隔をあけて設けられていてもよく、各3個以上設けられていてもよい。
【0049】
また、前記実施形態では、延出片34が、上延出片34A、下延出片34B、左右の延出片34C、34Dを有する構成であったが、これに限らず、壁パネル61の固定部60に固定可能なように、これらの上下左右の延出片34A、34B、34C、34Dのうち何れか2以上の延出片から構成されていればよい。また、延出片が、2以上の延出片を有する場合には、2以上の延出片が、筐体本体31の外周辺33(周縁)において、同一辺上ではない箇所に設けられていればよい。具体的には、延出片は、筐体本体31の外周辺33のうち、隣接する各辺や対向する各辺に設けられていればよい。この構成によれば、延出片が、筐体本体31の周縁において同一辺上ではない少なくとも2箇所に設けられていることで、浴室ユニット1の内方側への脱落を十分に防止することができる。
【0050】
また、前記実施形態では、延出片34を構成する上延出片34A、下延出片34B、左右の延出片34C、34Dが、固定部60に重ねて固定される構成であった。即ち、全ての延出片が被固定部として機能するように構成されていたが、本発明はこれに限らず、延出片のうち何れかが、壁パネル61の固定部60に係止可能に構成されていてもよい。例えば、対向する一対の延出片のうち、一方が固定部60に係止可能に構成され、他方が被固定部として機能してもよい。このように、全ての延出片が被固定部として機能するのではなく、一部が固定部60に係止可能に構成されていることで、筐体30を固定部60に係止して、筐体30を固定部60に対して位置決めしておくことができる。従って、被固定部としての延出片34を固定部60に固定する際の作業性を良好にすることができる。
【0051】
また、前記実施形態としては、浴室ユニット1の壁パネル6として、鋼板パネルを例示したが、壁パネルとしては、鋼板パネルに限らず、樹脂パネルやタイルパネル、木質パネル、ガラスパネル、異種材料が積層された複合パネル等であってもよい。このように壁パネルの種別よって厚さ寸法や取付構造も異なることになるが、そのような各種条件に応じて筐体30の形状が変更されてもよく、このような形状や寸法を変更した構造も本発明に含まれる。
【0052】
また、壁開口部としては、前記実施形態のように矩形状の開口に限らず、任意形状の開口であってもよい。この際、例えば、壁開口部が円形又は楕円形状の開口である場合、その内周辺のうち上部及び下部を形成する円弧状の辺(上辺及び下辺)の少なくとも一方に沿って延出片の上下の延出片が設けられていればよい。さらに、壁開口部が多角形の開口である場合、上下の延出片は、略水平に設けられるだけでなく、傾斜して設けられてもよいし、途中が屈曲して設けられてもよい。
【0053】
また、前記実施形態としては、空間を構成する壁材として、浴室ユニット1を構成する壁パネル6、61の一例を説明したが、これに限定されるものではない。壁パネルを構成する壁材としては、トイレ空間を構成するトイレユニットや、台所を構成するキッチンユニットの壁面を構成するものであってもよく、書斎、子供部屋、リビングルームの壁面を構成するものであってもよい。また、集合住宅の玄関ホールやエレベータホール等のホールの壁面を構成するものであってもよい。
【0054】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。