(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載されたような従来の取付構造では、フランジ片が立上り壁の浴室内面に当接していたから、浴室内面から出張った状態で支持されていることになる。このため、この浴室内面から出張ったフランジ片に体の一部が当たる等して、空間の使用者に違和感を生じさせることがあった。そこで、浴室内面側への出張りをなくすために、フランジ片を浴室外面、即ち立上り壁の裏面に当接させて、該フランジ片を立上り壁の開口端縁に係止させることも考えられるが、そうすると、フランジ片が浴室外面から出張ることとなり、例えば、浴室ユニットにおいて、建築壁と浴室を構成する浴室壁との隙間が狭い場合には、テレビ受像機を浴室壁に取り付けることが困難だった。
【0005】
本発明の目的は、筐体又は機能部品ユニットの壁材からの出っ張りを抑制することができる機能部品の取付構造、
及び、浴室ユニッ
トを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の機能部品の取付構造は、空間を構成する壁材に機能部品を取り付けるための機能部品の取付構造であって、前記機能部品を支持する筐体と、前記壁材に形成された壁開口部に前記筐体を固定するための固定部と、を備え、
前記壁材が、断熱材と、該断熱材を被覆しつつ該壁パネルの表面を成す鋼板と、から成る壁パネルであり、前記固定部は、前記壁開口部の周辺部が切り欠かれて、前記壁材の表面又は裏面よりも該壁材の厚み方向の内部側に設けられていることを特徴とする。
【0007】
以上のような本発明によれば、機能部品を支持する筐体と、壁材に形成された壁開口部に筐体を固定するための固定部と、を備え、固定部は、壁開口部の周辺部が切り欠かれて、壁材の表面又は裏面よりも該壁材の厚み方向の内部側に設けられていることで、壁材の表面又は裏面から固定部までの壁材の厚み方向の寸法分だけ、筐体の壁材の表面又は裏面からの出張りを小さくすることができる。従って、筐体の壁材からの出っ張りを抑制することができる。
【0008】
ここで、固定部が、壁材の表面よりも壁材の厚み方向の内部側に設けられた場合には、筐体の壁材の表面からの出張りを小さくすることができる。さらに、筐体の空間内部側の表面が、壁材の表面と略面一に設けられていることが好ましい。この場合には、壁開口部の周辺部から筐体の表面までがひと続きに並んでいるように見えて、壁材に統一感を持たせることができ、壁材の美観の維持を図ることができる。
【0009】
また、固定部が、壁材の裏面よりも壁材の厚み方向の内部側に設けられた場合には、筐体の壁材の裏面からの出張りを小さくすることができるので、例えば、浴室ユニットにおいて、建築壁と浴室を構成する浴室壁との隙間が狭い場合においても、浴室壁に機能部品を取り付けることができる。
【0010】
また、本発明の機能部品の取付構造では、前記固定部が、前記壁開口部の端面に連続されるとともに、前記厚み方向に交差する見付け面を有していることが好ましい。
【0011】
このような構成によれば、固定部が、壁開口部の端面に連続されるとともに、厚み方向に交差する見付け面を有しているから、見付け面が、壁材の表面又は裏面よりも該壁材の厚み方向の内部側に設けられていることとなり、壁材の表面又は裏面から見付け面までの壁材の厚み方向の寸法分だけ、筐体の壁材の表面又は裏面からの出張りを小さくすることができる。この見付け面は、壁材の厚み方向に交差する面であるから、例えば、ボルト締結やネジ及びナットを用いて筐体を見付け面に固定する際の作業性を良好にすることができる。
【0012】
また、本発明の機能部品の取付構造では、前記固定部は、前記壁開口部の周辺部に沿って設けられる補強部材を有して構成されていることが好ましい。
【0013】
このような構成によれば、補強部材が設けられていることで、固定部の固定強度を確保することができる。
【0014】
また、本発明の浴室ユニットは、
前記壁パネルが、浴室壁面を構成するものであり、請
求項1乃至請求項4のうち何れか一項記載の機能部品の取付構造によって前記機能部品が
前記壁パネルに取り付けられたことを特徴とする。
【0015】
このような本発明の浴室ユニットによれば、機能部品を支持する筐体と、壁パネルに形成された壁開口部に筐体を固定するための固定部と、を備え、固定部は、壁開口部の周辺部が切り欠かれて、壁材の表面又は裏面よりも該壁材の厚み方向の内部側に設けられていることで、壁材の表面又は裏面から固定部までの壁材の厚み方向の寸法分だけ、筐体の壁材の表面又は裏面からの出張りを小さくすることができる。従って、筐体の壁材からの出っ張りを抑制することができる。
【0018】
ここで、例えば、浴室ユニットにおいて、建築壁と壁パネルとの隙間が狭く、機能部品ユニットを取り付けることが困難であったとしても、固定部が、壁パネルの裏面よりも壁パネルの厚み方向の内部側に設けられた場合には、機能部品ユニットの壁パネルの裏面からの出張りを小さくすることができるので、浴室壁に機能部品ユニットを取り付けることができる。
【発明の効果】
【0019】
以上のような本発明の機能部品の取付構造、
及び、浴室ユニッ
トによれば、筐体又は機能部品ユニットと、壁材に形成された壁開口部に筐体又は機能部品ユニットを固定するための固定部と、を備え、固定部は、壁開口部の周辺部が切り欠かれて、壁材の表面又は裏面よりも該壁材の厚み方向の内部側に設けられていることで、壁材の表面又は裏面から固定部までの壁材の厚み方向の寸法分だけ、筐体又は機能部品ユニットの壁材の表面又は裏面からの出張りを小さくすることができる。従って、筐体又は機能部品ユニットの壁材からの出っ張りを抑制することができる。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本実施形態の浴室ユニット(浴室)1は、
図13に示すように、床躯体上に束等を介して支持された浴槽2及び洗い場床(防水パン)3と、浴槽2の端縁及び洗い場床3の端縁から立ち上がって設けられた立上部4と、立上部4から立設された複数の柱材としてのポスト5と、隣り合うポスト5間に亘って支持されて浴室内壁面を構成する複数の壁パネル6と、複数のポスト5の頂部を連結して設けられたつなぎ梁7と、つなぎ梁7に支持される図示しない天井パネルと、図示しない浴室出入口や窓等と、を備えて構成されている。また、洗い場の壁面には、鏡8が取り付けられ、その他に、図示しないカウンターや棚、照明器具、水栓金具、カラン、シャワー等が設けられる。
【0022】
なお、以下では、壁パネル6の面直交方向を見込方向や厚み方向と記し、この見込方向と直交する面内方向を見付方向と記す場合があり、特に、ポスト5等の長尺部材においては、その材軸方向(長手方向)及び見込方向に直交する方向を見付方向として記すことがある。
【0023】
ポスト5は、溶融亜鉛めっき鋼板などから曲げ加工及び切断加工によって製作され、断面コ字形や断面C字形に形成されている。このポスト5は、その下端部が浴槽2や洗い場床3の立上部4にブラケット等で固定され、上端部がつなぎ梁7によって隣り合うポスト5の上端部と連結されている。ポスト5は、浴室ユニット1の角部に設けられるコーナーポスト5Aと、隣り合う壁パネル6が平面的に連続した位置に設けられる平ポスト5Bと、を有して構成されている。
【0024】
壁パネル6は、例えば、鋼板パネルで構成されている。鋼板パネルは、浴室内部側に適宜な化粧面を有する鋼板6A(
図5参照)と、この鋼板6Aの裏面に貼付される石膏ボードや発泡ウレタン等の断熱材6Bと、を有し、取付部位に応じた適宜な幅寸法及び高さ寸法に形成されている。鋼板パネルの鋼板6Aには、鋼板パネルの鋼板6Aには、その左右両側の端縁から見込方向裏面側に突出し、その先端から見付方向内側かつ浴室内部側に折り返された図示しない被係止部が形成されている。この鋼板パネルは、被係止部がポスト5の図示しない係止片に係止されることで、左右のポスト5間に亘って取り付けられている。
【0025】
複数の壁パネル6のうち、浴槽2の一方側の短辺2Aに対応する位置の壁パネル61には、その外周縁から離隔した位置に壁開口部63が形成されている。壁開口部63は、壁パネル61において、浴槽2の短辺2A方向の中間部において、上下方向(鉛直方向)の中間部よりも下方側に設けられている。壁開口部63は、矩形状に連続する内周辺(上辺63A、下辺63B、左右の縦辺63C、63D)を有して構成されている。壁開口部63の内周辺は、請求項中の「壁開口部の端面」のことである。この壁開口部63の周辺部には、後述する筐体30の延出片34が固定されている。以下では、壁パネル61において延出片34が固定される位置を「固定部」と記し、符号60(
図4参照)を付す。
【0026】
固定部60は、壁開口部63の周辺部が浴室内部側から切り欠かれて形成されるとともに、壁パネル61の厚み方向(見込み方向と同じ方向)の内部に位置するように設けられている。固定部60は、壁パネル61の表裏の面と平行な見付け面161と、この見付け面161の壁開口部63から離れた周縁から略垂直に立ち上がり、壁パネル61の浴室内部側の表面に連続される見込み面162と、を有して構成されている。即ち、見付け面161は、壁パネル61の厚み方向の内部側に設けられている。また、本実施形態の見付け面161は、壁パネル61の表裏の面と平行になるように形成されているが、壁パネル61の厚み方向に交差する面であればよい。なお、以下では、壁パネル61の浴室内部側の表面を単に「表面」と記し、壁パネル61の表面と反対側の面であるとともに浴室の外方側の面を単に「裏面」と記す場合がある。
【0027】
また、見付け面161の形成位置は、壁パネル61の厚み方向のうち、当該壁パネル61の裏面よりも浴室内部側の表面に近い位置に設けられている。即ち、見付け面161から壁パネル61の表面までの厚さ方向の寸法が、壁パネル61の厚さ寸法の1/2以下となるように形成されている。
【0028】
以上の浴室ユニット1には、
図3にも示すように、機能部品としての映像表示部Tを浴室壁に取り付けるための機能部品の取付構造10が設けられている。この取付構造10は、前記壁開口部63と、化粧フレーム20と、映像表示部Tを収容しつつ壁開口部63の浴室内部側から嵌め込まれて固定される筐体30と、を備えて構成されている。映像表示部Tは、映像表示を行う電子機器であり、液晶表示部、有機EL表示部、LED表示部等の映像表示部を持つ機器であり、テレビ機器として、図示しない電源装置やテレビアンテナ、チューナー、録画装置、スピーカー等に有線あるいは無線によって接続されてもよい。
【0029】
化粧フレーム20は、筐体30の浴室側に設けられる矩形枠状の被覆部材であって、上下左右の四周に設けられるアルミ形材製の化粧材21と、これらの化粧材21を四隅で接続する図示しない接続部材と、を有して構成されている。なお、化粧材21は、アルミ形材製に限らず、他の金属製でもよいし、樹脂製やガラス製などでもよく、その材質は特に限定されない。この化粧フレーム20は、係止部材22によって筐体30の前面側に取り付けられるようになっている。
【0030】
筐体30は、全体箱状に形成されるとともに映像表示部Tの前面側に開口30Aを有した筐体本体31と、この筐体本体31の内部側から開口30Aを覆う透光性を有したカバー部材としての透明板32と、を有して構成されている。筐体本体31は、壁開口部63の内側に挿通可能となるように壁開口部63と略同じ大きさ、又は、壁開口部63よりも一回り小さい大きさとなるように形成されて、壁開口部63に嵌め込まれるように形成されている。さらに、壁開口部63の内周辺63A、63B、63C、63Dと筐体本体31の外周辺33(上辺33A、下辺33B、左右の縦辺33C、33D)との間にはシール部材40が四周連続して介装されている。
【0031】
また、筐体本体31は、矩形状に連続する外周辺33(上辺33A、下辺33B、左右の縦辺33C、33D)を有するとともに、この四方の外周辺33には、それぞれ見付方向外方に延出する延出片34(上延出片34A、下延出片34B、左右の延出片34C、34D)が形成されている。延出片34は、壁パネル61の浴室外方側の裏面に沿って延び、壁パネル61のビス孔160及び延出片34のビス孔341にビス39が螺合されることで固定部60の見付け面161に固定されるようになっている。延出片34が、ビス39によって固定部60に固定されることにより、筐体30が壁パネル61に固定されるようになっている。
【0032】
次に、
図4、5も参照して、化粧フレーム20の詳細構造及び取付構造について説明する。化粧フレーム20の四周に設けられる化粧材21は、各々同一断面を有して形成され、浴室内部側の見えがかり面となる見付け面部211と、見付け面部211の裏面から見込方向に突出した被係止面部212と、を有している。また、見付け面部211の見付方向内端縁には、裏面側に突出した第一突条213が設けられ、見付け面部211の見付方向外端縁には、第二突条214が設けられている。被係止面部212は、前述した固定部60の見付け面161に向けて突出して形成されている。
【0033】
係止部材22は、金属製の板バネ材から曲げ加工により成形されるピース部材であって、筐体30(
図4参照)の上辺33A及び下辺33Bにおける延出片34にそれぞれ3箇所ずつ設けられ、筐体30の左右の縦辺33C,33Dにおける延出片34にそれぞれ2箇所ずつ設けられている。係止部材22は、ビス39によって延出片34に固定される固定片部221と、固定片部221から浴室内部側に屈曲状に延びる係止片部222と、を有して形成されている。このような係止部材22は、固定片部221を貫通するビス39によって筐体30の延出片34に固定されるとともに、係止片部222によって化粧材21の被係止面部212を係止することで、筐体30に対して化粧フレーム20を係脱自在に支持するように構成されている。
【0034】
このように筐体30の浴室内部側(前面側)に取り付けられた化粧フレーム20において、第一突条213は、その先端が筐体30の透明板32に近接して設けられ、この第一突条213の先端と透明板32との間は、シリコンシール23(
図4参照)によって止水処理が施されている。また、第二突条214は、その先端が固定部60の見込み面162に当接又は近接して設けられている。このような第二突条214と、壁パネル61との間には、必要に応じてシール材が設けられていてもよい。
【0035】
次に、筐体30の詳細構造及び取付構造について説明する。筐体本体31(
図4参照)は、開口30Aが形成されて映像表示部Tの前面側に設けられる前枠体36と、映像表示部Tの裏面側に設けられて映像表示部Tが固定される後枠体37と、を互いに連結して構成されている。前枠体36及び後枠体37は、それぞれステンレス鋼板等の金属板材にプレス加工等を施して形成されている。透明板32は、板ガラスから形成され、その前面あるいは後面には反射防止コーティング等の適宜な表面処理が施されている。
【0036】
前枠体36は、全体矩形枠状に形成されるとともに、筐体30の外周辺33の前側部分を構成する前見込面部361と、この前見込面部361の前端縁から見付方向内側に延びて開口30Aの周辺部を構成する開口周辺部362と、前見込面部361の後端縁から見付方向外側に延びる前延出片363と、を有して形成されている。後枠体37は、前方側が開口した全体箱状に形成されるとともに、筐体30の外周辺33の後側部分を構成する後見込面部371と、この後見込面部371の後端縁に連続した板状の背面部372と、後見込面部371の前端縁から見付方向外側に延びる後延出片373と、を有して形成されている。後枠体37の背面部372には、映像表示部Tを固定するための複数の背面固定部374が設けられている。
【0037】
筐体30の延出片34は、前延出片363と、後延出片373と、が前後方向に重ねられるとともに、周方向に複数設けられるビス39によって固着されて構成されている。前延出片363及び後延出片373は、固定部60に重ねて固定される上延出片34A、下延出片34B、左右の延出片34C、34Dを有して構成されている。このように構成される延出片34は、筐体30の最前部である開口周辺部362から前見込面部361の前後寸法分(壁パネル61の浴室内部側の表面から固定部60の見付け面161が形成された位置までの寸法分)だけ後退するとともに、筐体30の最後部である背面部372から後見込面部371の前後寸法分だけ前進した位置に設けられている。即ち、延出片34は、筐体30の外周辺33において前方側に偏った位置から見付方向外方に突出して形成されている。こうして、筐体30は、壁パネル61の壁開口部63に取り付けられた際に、その開口周辺部362と壁パネル61の浴室内部側の表面とが略面一になるように形成されている。これにより、壁開口部63の周辺部から筐体30の表面(機能部品ユニット11の表面)までがひと続きに並んでいるように見えて、浴室壁面としての壁パネル6に統一感を持たせることができ、壁パネル6の美観の維持を図ることができる。また、延出片34(前延出片363及び後延出片373)には、ビス39が貫通するとともに螺合するビス孔341(
図5参照)が形成されている。また、透明板32の前面と開口周辺部362との間には止水部材43が四周連続して介装されている。
【0038】
筐体30の組立手順としては、先ず、背面固定部374によって後枠体37に映像表示部Tを固定する。一方、前枠体36において、前面外周に沿って止水部材43を貼り付けた透明板32を開口周辺部362にセットしておく。このような前延出片363と後延出片373とをビス39によって固着することで、映像表示部T及び透明板32を筐体本体31に内蔵した筐体30が組み立てられるとともに、映像表示部T及び透明板32を内蔵した機能部品ユニット11(
図2参照)が組み立てられる。以上のように組み立てられた機能部品ユニット11は、組み立て工場にて、壁パネル61の壁開口部63に取り付けられ、一つのユニットとして予め組み立てられた状態で浴室ユニット1の施工現場まで搬送されて、左右のポスト5A、5Bに固定される。
【0039】
次に、機能部品ユニット11の壁開口部63への取り付け手順について説明する。
【0040】
まず、壁開口部63に対して壁パネル61の表面側から筐体30をセットし、その延出片34のビス孔341に壁パネル61の表面側からビス39を挿通し、この延出片34を固定部60の見付け面161に重ねて螺合することによって、固定部60に筐体30を固定する。この際、見付け面161の形成位置は、壁パネル61の厚み方向のうち、当該壁パネル61の裏面よりも浴室内部側の表面に近い位置に設けられていることで、壁開口部63の内周辺(端面)の厚み方向の寸法が十分に確保されていることとなる。従って、壁開口部63の内周辺に筐体本体31を載置して見付け面161に延出片34を重ねることができる。また、壁開口部63の内周辺の厚み方向の寸法が十分に確保されていることで、筐体本体31が壁開口部63の内周辺に安定して載置されることとなり、壁パネル61に機能部品ユニット11を取り付ける際の作業性を良好にすることができる。
【0041】
なお、壁開口部63に対して筐体30をセットする前に、筐体30の延出片34のビス孔341にビス39を挿通する際には、このビス39の頭部と延出片34との間に係止部材22を挟んでおく。そして、筐体30を壁開口部63に取り付けたら、筐体30に取り付けられた係止部材22の係止片部222に化粧材21の被係止面部212を係止させることで、筐体30に対して化粧フレーム20を取り付け、化粧材21の第一突条213と筐体30の透明板32との間をシリコンシール23で止水する。こうして、機能部品ユニット11の壁開口部63への取り付けが完了するとともに、機能部品ユニット11が、壁パネル61に一体に取り付けられた機能部品付き壁パネル12(
図1参照)が完成する。
【0042】
この後、機能部品付き壁パネル12を浴室ユニット1の施工現場に搬送し、施工現場にて、機能部品付き壁パネル12を左右のポスト5A、5B間に近付け、各ポスト5A,5Bの係止片により壁パネル61の被係止部を係止させて、壁パネル61を左右のポスト5間に取り付ける。こうして、機能部品付き壁パネル12の浴室ユニット1への取り付けが完了する。
【0043】
このような本発明の機能部品付き壁パネル12は、壁パネル61と機能部品ユニット11とが一つのユニットとして予め組み立てられて構成されたものであるから、施工現場にて、機能部品付き壁パネル12を柱、梁、ポスト等の支持材に固定する作業のみで、浴室壁面に映像表示部Tを支持させることができる。
【0044】
さらに、機能部品付き壁パネル12は、壁パネル61と機能部品ユニット11とが一つのユニットとして予め組み立てられて構成されたものであるから、当該機能部品付き壁パネル12を壁パネル61の任意の位置に取り付けることができる。即ち、壁パネル61における壁開口部63の形成位置を適宜な位置にすることができる。
【0045】
上述した実施形態によれば、固定部60は、壁開口部63の周辺部が切り欠かれて、壁パネル61(壁材)の浴室内部側の表面よりも該壁パネル61の厚み方向の内部側に設けられていることで、壁パネル61の表面から固定部60までの壁パネル61の厚み方向の寸法分だけ、機能部品ユニット11の壁パネル61の表面からの出張りを小さくすることができる。従って、機能部品ユニット11の壁パネル61からの出っ張りを抑制することができる。
【0046】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できる他の構成等を含み、以下に示すような変形等も本発明に含まれる。
【0047】
前記実施形態では、固定部60の見付け面161が、壁パネル61において浴室内部側の表面から切り欠かれることで形成されていたが、これに限らず、固定部の見付け面が、壁パネル61において浴室の外方側の裏面から切り欠かれることで形成されていてもよい。この構成によれば、例えば、浴室ユニット1において、建築壁と壁パネル61との隙間が狭く、機能部品ユニット11を取り付けることが困難であったとしても、機能部品ユニット11の壁パネル61の裏面からの出張りを小さくすることができるので、浴室壁に機能部品ユニット11を取り付けることができる。この場合において、見付け面の形成位置は、壁パネル61の厚み方向のうち、浴室内部側の表面よりも壁パネル61の裏面に近い位置に設けられていてもよい。即ち、見付け面から壁パネル61の裏面までの厚さ方向の寸法が、壁パネル61の厚さ寸法の1/2以下となるように形成されていてもよい。この構成によれば、壁開口部63の内周辺の厚み方向の寸法が十分に確保されていることとなり、筐体本体31が壁開口部63の内周辺に安定して載置され、壁パネル61に機能部品ユニット11を取り付ける際の作業性を良好にすることができる。
【0048】
続いて、上述した実施形態の変形例について、
図6〜
図8を参照して説明する。
図6〜
図8は、機能部品の取付構造の変形例を示す縦断面図である。
図6〜
図8において、上述した実施形態と同一構成乃至同一機能を有する部分には、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
前記実施形態では、延出片34が固定部としての見付け面161に固定される構成であったが、これに限らず、
図6(A)に示すように、延出片34が固定部としての見込み面162に固定される構成であってもよい。即ち、延出片34が該延出片34の外周縁から浴室側に突出する第2延出片35を有し、この第2延出片35が見込み面162に固定されていてもよい。
【0050】
さらに、上述した実施形態の変形例について説明する。固定部としての固定部60Aは、
図6(B)に示すように、ビス39の先端部にナット(補強部材)が取り付けられている。ビス39は、
図6(B)に示すように、見付け面161から壁パネル61の裏面まで壁パネル61を貫通して、壁パネル61の裏面にてナットが螺合されている。このような構成によれば、補強部材としてのナットが設けられていることで、固定部60Aの固定強度を確保することができる。
【0051】
固定部としての固定部60Bは、
図6(C)に示すように、に示すように、壁パネル61Bの見付け面161を被覆する金属板としての鋼板(補強部材)を有している。固定部60Bは、鋼板が見付け面161と延出片34との間に挟まれた状態でビス39により螺合されることで構成されている。このような構成によれば、上述した作用と同様の作用の効果が奏される。
【0052】
固定部としての固定部60Cは、
図7(A)に示すように、壁パネル61Cの見付け面161を被覆する金属板としての第1鋼板と、この第1鋼板に連続されて見込み面162を被覆する第2鋼板と、を有している。第1鋼板と第2鋼板とによって補強部材が構成されている。このような構成によれば、上述した作用と同様の作用に加えて、壁パネル61に力が作用した際の壁開口部63の周囲の変形を抑制することができる。さらに、このような固定部60Cが設けられていることで、壁開口部63を形成した壁パネル61の剛性低下を防ぐことができる。ここで、機能部品やこれを支持する筐体等の重量物を支持するためには、壁パネル61に相応な強度が求められることとなるが、補強部材として金属板が設けられていることにより、壁厚を大きくする等の壁材の改造を不要としてコストの抑制を図ることができる。
【0053】
固定部としての固定部60Dは、
図7(B)に示すように、壁パネル61Dの見付け面161を被覆する金属板としての第1鋼板と、この第1鋼板に連続されて見込み面162を被覆する第2鋼板と、壁開口部63の内周辺63A、63B、63C、63D、を被覆する第3鋼板と、を有している。第1鋼板、第2鋼板及び第3鋼板によって補強部材が構成されている。このような構成によれば、上述した作用と同様或いはそれ以上の十分な作用が奏される。さらに、補強部材として、第1、第2、第3鋼板に加えて、第3鋼板に連続されるとともに壁パネル61Dの裏面を被覆する第4鋼板を有していてもよい。このような構成によれば、上述した作用と同様或いはそれ以上の十分な作用が奏される。
【0054】
上述した固定部60A、60B,60C,60Dは、壁パネル61A、61B,61C,61Dと一体の補強部材を有する構成であったが、これに限らず、補強部材は壁パネル61と別体構成であってもよい。
【0055】
固定部としての固定部60Eは、
図7(C)に示すように、L字状の取付金具(補強部材)を有して構成されている。この取付金具は、壁開口部63の適宜の位置に設けられているとともに内周辺63及び壁開口部63の周辺部に重ねられて、ビス39により延出片34とともに壁パネル61Eに取り付けられるように構成されている。この構成によれば、取付金具(補強部材)が設けられていることで、固定部60Eの固定強度を確保することができる。また、壁パネル61Eに力が作用した際の壁開口部63の周囲の変形を抑制することができる。
【0056】
固定部としての固定部60Fは、
図8(A)に示すように、壁パネル61Fの裏面に重ねて設けられる金属製の当て材(補強部材)を有して構成されている。この当て材は、壁開口部63の適宜の位置に設けられているとともに壁パネル61Fの裏面に重ねられて、ビス39により延出片34とともに壁パネル61Fに取り付けられるように構成されている。この構成によれば、当て材(補強部材)が設けられていることで、固定部の固定強度を確保することができる。
【0057】
固定部としての固定部60Gは、
図8(B)に示すように、金属製の埋め込みナット(補強部材)を有して構成されている。このナットは、ビス39が螺合される位置に、断熱材6B、即ち壁パネル61Gに一体に埋め込まれている。この構成によれば、埋め込みナット(補強部材)が設けられていることで、固定部の固定強度を確保することができる。
【0058】
また、前記実施形態では、機能部品が映像表示部Tである場合を例示したが、機能部品としては、映像表示部Tに限らず、映像表示機能を備えない表示装置であってもよいし、パーソナルコンピュータやゲーム機器、音響機器、冷暖房装置、照明装置、冷蔵庫、時計などの電気機器であってもよい。さらに、機能部品としては、電気機器に限らず、収納装置や鏡(通常の鏡やハーフミラー等)などの浴室付属部品であってもよいし、水槽、絵画、彫刻などの装飾品であってもよく、その品種や品目は特に限定されない。
【0059】
また、前記実施形態では、映像表示部Tが筐体30の筐体本体31に収容された状態で浴室ユニット1に取り付けられる構成であったが、これに限らず、映像表示部Tが筐体30により支持されて固定されていてもよい。即ち、筐体30が筐体本体31を有さずともよい。機能部品として、防水性能を必要としないもの、あるいは機能部品そのものが防水性能を有したものである場合には、筐体本体31に収容されずに浴室内部に露出して設けられていてもよい。また、機能部品を筐体本体31に収容する場合であっても、この筐体30において防水性能は必須ではなく、排水性や清掃性を有した筐体など、使用上の問題が生じない範囲で適宜な筐体を採用することは任意である。
【0060】
また、前記実施形態では、筐体30の延出片34が、壁パネル61の固定部60に重ねて固定される構成であったが、これに限らず、筐体本体31が壁パネル61の固定部60に直接固定される構成であってもよい。筐体本体31が壁開口部63よりも一回り大きくなるように構成されて、その周辺部が固定部60の見付け面161に固定される構成であってもよい。又は、筐体本体31の周辺部が固定部60の見込み面162に固定される構成であってもよく、筐体本体31の周辺部が固定部60の見付け面161及び見込み面162の両方の面に固定される構成であってもよい。その場合には、延出片は省略してもよい。
【0061】
また、前記実施形態としては、浴室ユニット1の壁パネル6として、鋼板パネルを例示したが、壁パネルとしては、鋼板パネルに限らず、樹脂パネルやタイルパネル、木質パネル、ガラスパネル、異種材料が積層された複合パネル等であってもよい。このように壁パネルの種別よって厚さ寸法や取付構造も異なることになるが、そのような各種条件に応じて筐体30の形状が変更されてもよく、このような形状や寸法を変更した構造も本発明に含まれる。
【0062】
また、壁開口部としては、前記実施形態のように矩形状の開口に限らず、任意形状の開口であってもよい。この際、例えば、壁開口部が円形又は楕円形状の開口である場合、その内周辺のうち上部及び下部を形成する円弧状の辺(上辺及び下辺)の少なくとも一方に沿って延出片の上下の延出片が設けられていればよい。さらに、壁開口部が多角形の開口である場合、上下の延出片は、略水平に設けられるだけでなく、傾斜して設けられてもよいし、途中が屈曲して設けられてもよい。
【0063】
また、前記実施形態としては、空間を構成する壁材として、浴室ユニット1を構成する壁パネル6、61の一例を説明したが、これに限定されるものではない。壁パネルを構成する壁材としては、トイレ空間を構成するトイレユニットや、台所を構成するキッチンユニットの壁面を構成するものであってもよく、書斎、子供部屋、リビングルームの壁面を構成するものであってもよい。また、壁材として、集合住宅の玄関ホールやエレベータホール等のホールの壁面を構成するものであってもよい。
【0064】
その他、本発明を実施するための最良の構成、方法などは、以上の記載で開示されているが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明は、主に特定の実施形態に関して特に図示され、且つ、説明されているが、本発明の技術的思想および目的の範囲から逸脱することなく、以上述べた実施形態に対し、形状、材質、数量、その他の詳細な構成において、当業者が様々な変形を加えることができるものである。従って、上記に開示した形状、材質などを限定した記載は、本発明の理解を容易にするために例示的に記載したものであり、本発明を限定するものではないから、それらの形状、材質などの限定の一部、もしくは全部の限定を外した部材の名称での記載は、本発明に含まれるものである。