(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482859
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】茶飲料およびその製造方法
(51)【国際特許分類】
A23F 3/16 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
A23F3/16
【請求項の数】4
【全頁数】18
(21)【出願番号】特願2014-261202(P2014-261202)
(22)【出願日】2014年12月24日
(65)【公開番号】特開2016-119861(P2016-119861A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年8月18日
(73)【特許権者】
【識別番号】311002447
【氏名又は名称】キリン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100091982
【弁理士】
【氏名又は名称】永井 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100091487
【弁理士】
【氏名又は名称】中村 行孝
(74)【代理人】
【識別番号】100082991
【弁理士】
【氏名又は名称】佐藤 泰和
(74)【代理人】
【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟
(74)【代理人】
【識別番号】100117787
【弁理士】
【氏名又は名称】勝沼 宏仁
(74)【代理人】
【識別番号】100126099
【弁理士】
【氏名又は名称】反町 洋
(74)【代理人】
【識別番号】100143971
【弁理士】
【氏名又は名称】藤井 宏行
(72)【発明者】
【氏名】塩 野 貴 史
(72)【発明者】
【氏名】熊 田 紀 子
(72)【発明者】
【氏名】長 沼 広 幸
【審査官】
松原 寛子
(56)【参考文献】
【文献】
特開2014−212760(JP,A)
【文献】
特開2010−045994(JP,A)
【文献】
酒石酸鉄による茶タンニンの比色定量法,茶業研究報告,1962年,第19号,p.104-108
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23F
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/FSTA/AGRICOLA(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料であって、100mLの該茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgであり、100mLの該茶飲料に含まれるカフェインの含有量が8.0mg以下であり、かつ該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が50以上である、容器詰め茶飲料。
【請求項2】
茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下である、請求項1に記載の容器詰め茶飲料。
【請求項3】
茶抽出液からポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の製造方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整する工程、100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整する工程、および該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が50以上となるように茶抽出液を調整する工程を含む、容器詰め茶飲料の製造方法。
【請求項4】
ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整し、かつ100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整することを特徴とする、容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、難消化性デキストリン含有容器詰め茶飲料およびその製造方法に関する。本発明はまた、容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、飲料、特に茶葉から抽出される茶飲料は、家庭やカフェ等においてそのまま供される他、一方では工業的に生産された、缶やペットボトルなどの密封容器入り飲料製品として多数販売されており、その需要は急速に拡大してきた。このようないわゆる密封容器入り飲料製品は、家庭やカフェ等におけるように茶葉から抽出してすぐに飲用に供されるものとは異なり、製造から消費者の飲用に至るまでの流通及び保存のために一定の期間を要することは避けられないため、加熱殺菌が施される。その結果、密封容器入り飲料はこの加熱殺菌により品質の劣化が生じ、常温での流通及び保存のための期間や、ホット販売、缶ウォーマー、自動販売機においては、高温にしかも長期間貯蔵される場合があり、なお更風味や液色などの外観品質の劣化が促進される。そのうち代表的な劣化としては、酸化などによる液色の劣化がある。
【0003】
このため、容器詰め飲料、特に緑茶、ウーロン茶、及び紅茶などのいわゆる中性飲料では、加熱殺菌や保存中の液色の劣化を緩和するために、一般的には酸化防止剤としてアスコルビン酸、エリソルビン酸、これらの水溶性塩などが添加されることがある。しかし、アスコルビン酸などを一定以上含有させるとpHが酸性となるため、これを防ぐために重層などが添加されることがあるが、ナトリウム塩由来のぬめりを伴う「塩味(えんみ)」を生じ、これは「容器詰め飲料らしい味」の要因のひとつとして、香味上の別の課題を生じてしまうことがあった。
【0004】
このため、茶飲料の液色の劣化を抑制することを目的とした様々な方法が検討されてきている。例えば、特許文献1には、荒茶の製造工程において、重曹、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化ナトリウム、および水酸化カリウムから選ばれる一種または二種以上のアルカリ性溶液を添加し、得られる緑茶を粉砕して水を加えて懸濁液とした際に一定のpH範囲となるよう調整する緑茶の製造方法が開示されている。また、特許文献2には、緑茶製造における荒茶の製法に関し、従来の精揉工程を終了させない段階で茶葉を取り出し乾燥することで、あるいは精揉工程を従来よりも短縮し乾燥することで、茶葉の発色が優れた緑茶の製造方法が開示されている。しかし、これらの方法は製茶工程に関する発明であり、大規模な製茶設備を要し、煩雑な工程を管理する必要があることから、実用性に欠けるという課題があった。
【0005】
一方で、特許文献3には、茶葉の過熱蒸気抽出物よりなる褐変抑制剤やこれを茶類飲料の褐変抑制剤として用いる方法が開示されている。また、特許文献4には、エチレンジアミン四酢酸又はその塩を併用することにより、経時的に褐色に変化するのが抑制された容器詰飲料が開示されている。しかし、これらの方法では茶飲料の液色劣化を抑制するために添加する物質による香味の悪化や、添加した物質自体の変化による外観の悪化が懸念されていた。
【0006】
ところで、近年の健康志向の高まりから、健康志向の消費者の需要を喚起するため、健康機能性を有する食品素材を加える清涼飲料が年々増加している。難消化性デキストリンは食物繊維を有するとともに、整腸作用、血糖値上昇抑制作用、中性脂肪上昇抑制作用などを有することが知られており、清涼飲料をはじめ様々な食品への添加が検討されている。また、特許文献5のように茶飲料にデキストリンを添加することの試みも行われてきた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2014−198039号公報
【特許文献2】特開2002−34457号公報
【特許文献3】特開2007−75061号公報
【特許文献4】特開2006−166771公報
【特許文献5】特開2003−145号公報
【発明の概要】
【0008】
本発明者らは、健康機能性を有する食品素材である難消化性デキストリンを茶飲料に含有させて殺菌して、容器詰め茶飲料を製造すると、茶飲料の液色の劣化が増大することを見出した(下記参考例1参照)。
従って、本発明は、大規模な設備を必要としない簡便な方法で、難消化性デキストリン含有容器詰め茶飲料において、茶飲料の本来の風味を損なわずに、液色の劣化を抑制できる、新規な難消化性デキストリン含有容器詰め茶飲料およびその製造方法等を提供することを目的とする。
【0009】
本発明者らは、100mLの容器詰め茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量をタンニン量として一定の範囲とし、かつ該茶飲料に含まれるカフェインの含有量を一定量以下とすることにより、難消化性デキストリン含有容器詰め茶飲料の液色劣化を抑制できることを見出した。本発明はこれらの知見に基づくものである。
【0010】
すなわち、本発明によれば以下の発明が提供される。
(1)ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料であって、100mLの該茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgであり、かつ100mLの該茶飲料に含まれるカフェインの含有量が8.0mg以下である、容器詰め茶飲料。
(2)茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上である、(1)に記載の容器詰め茶飲料。
(3)茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下である、(1)または(2)に記載の容器詰め茶飲料。
(4)茶抽出液からポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の製造方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整する工程、および100mLの該飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整する工程を含む、容器詰め茶飲料の製造方法。
(5)ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整し、かつ100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整することを特徴とする、容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法。
【0011】
本発明によれば、健康機能性を有する食品素材である難消化性デキストリンを容器詰め茶飲料に添加した場合でも、該茶飲料の液色の劣化を抑制できることから、茶飲料の本来の風味や外観を維持しつつ、難消化性デキストリンの整腸作用、血糖値上昇抑制作用、中性脂肪上昇抑制作用などの生理機能が付与された飲料を提供できる点で有利である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【
図1】
図1は、茶飲料における難消化性デキストリン添加量(%)と、a
*値との関係を示すグラフである。
【
図2】
図2は、難消化性デキストリンを2%添加した茶飲料におけるカフェイン濃度(mg/100mL)と、a
*値との関係を示すグラフである。
【0013】
容器詰め茶飲料
本発明の容器詰め茶飲料は、ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料であって、100mLの該茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgであり、かつ100mLの該茶飲料に含まれるカフェインの含有量が8.0mg以下である容器詰め茶飲料である。本発明の容器詰め茶飲料は、茶飲料の本来の風味を維持しつつ、液色の劣化を抑制することができる。
【0014】
本発明の容器詰め茶飲料に含まれる難消化性デキストリンには、とうもろこし、小麦、米、豆類、イモ類、タピオカなどの植物由来の澱粉を加酸および/または加熱して得た焙焼デキストリンを、必要に応じてαアミラーゼおよび/またはグルコアミラーゼで処理した後、必要に応じて脱塩、脱色した水溶性食物繊維であり、難消化性の特徴を持つものをいう。この難消化性デキストリンは、例えば、澱粉に微量の塩酸を加えて加熱し、酵素処理して得ることができ、衛新第13号(「栄養表示基準における栄養成分等の分析方法等について」)に記載の食物繊維の分析方法である高速液体クロマトグラフ法(酵素−HPLC法)で測定される難消化性成分を含むデキストリン、好ましくは85〜95質量%の難消化性成分を含むデキストリンなどをいう。本発明では、水素添加により製造されるその還元物も難消化性デキストリンに含まれるものとする。なお、難消化性デキストリンとその還元物(還元難消化性デキストリン)は市販のものを使用することができる。
【0015】
本発明の茶飲料における難消化性デキストリンの含有量は血糖値上昇抑制作用、血清コレステロール低下作用または中性脂肪上昇抑制作用や、整腸作用などを考慮して決定することができるが、本発明の茶飲料における難消化性デキストリンの含有量の下限値はその生理機能を考慮して0.3質量%以上、好ましくは0.5質量%以上、より好ましくは0.8質量%以上とすることができる。また、下記参考例1に示されるように難消化性デキストリンを容器詰め茶飲料に添加することにより、茶飲料の液色の劣化が促進されてしまうことから、茶飲料中の難消化性デキストリンの含有量は、例えば、5質量%以下、好ましくは3質量%以下、より好ましくは2.5質量%以下とすることができる。また、飲料容器が250mL以上のときは、難消化性デキストリンの含有量は飲料容器当たり1g以上、好ましくは5g以上とすることができ、難消化性デキストリンの含有量の上限値は飲料容器当たり50g以下とすることができる。
【0016】
本発明の容器詰め茶飲料では、DE(Dextrose Equivalentの略であり、グルコースを100とした場合の糖液の持つ還元力を固形分当りにした値を意味する。)が8以上20以下の難消化性デキストリンを用いることができる。本発明の容器詰め茶飲料では、また、グルコシド結合の50%以上がグルコシド結合1→4である難消化性デキストリンを用いることができる。本発明の容器詰め茶飲料では、さらに、コーンスターチ由来の難消化性デキストリンを用いることができる。
【0017】
本発明の容器詰め茶飲料に用いられる茶抽出物は、特に限定されないが、通常の茶抽出液の調製に用いられている方法を用いて製造される茶抽出液やその濃縮液を用いることができる。例えば、茶葉と水(0〜100℃)を混合接触させるか、あるいは、茶エキスや茶パウダーなどの茶抽出液の濃縮物や精製物を水(0〜100℃)に混合または溶解させることにより、本発明の茶飲料を製造するために用いられる茶抽出物を得ることができる。また、上記の茶抽出液と、上記の茶エキスや茶パウダーを混合したものを茶抽出物として本発明の茶飲料を製造するために用いてもよい。茶葉と水を混合接触させた場合には、遠心分離や濾過などの分離手段を用いて茶葉と茶抽出液を分離することができる。
【0018】
茶抽出液の調製に用いられる茶葉は、特に限定されないが、Camellia sinensisに属する茶葉を用いることができ、煎茶、玉露、抹茶、釜炒り茶、番茶、ほうじ茶等の緑茶葉のような不発酵茶に限らず、烏龍茶のような半発酵茶や、紅茶のような発酵茶、プーアル茶のような後発酵茶等も用いることができる。本発明の茶飲料を製造するために用いられる茶葉は、本発明の効果を奏する限り特に限定されるものではないが、緑茶葉、烏龍茶葉、紅茶葉が好ましい。また、抽出液の調製に際し、茶葉以外の任意の原料を配合してもよい。
【0019】
茶エキスや茶パウダーなどの茶抽出液の濃縮物や精製物としては、ポリフェノン(三井農林社製)やサンフェノン(太陽化学社製)、テアフラン(伊藤園社製)などの市販品を用いることができる。また、これらの茶濃縮物や茶精製物は、そのまま又は水で溶解もしくは希釈したものを単独で使用しても、複数の種類を混合して用いても、茶抽出液と混合して用いてもよい。
【0020】
本発明の100mLの茶飲料に含まれるカフェイン含有量は、8.0mg以下であり、好ましくは5.0mg以下であり、より好ましくは2.0mg以下、さらに好ましくは1.0mg未満である。本発明の100mLの茶飲料に含まれるカフェイン含有量を8.0mg以下とすることにより容器詰め茶飲料の液色劣化を抑制することができる。
【0021】
茶飲料中のカフェイン含有量は、例えば、製茶時に湯または水を散水することや、湯または水に浸漬すること、超臨界炭酸ガス抽出した茶葉を使用することにより低減させることができる。また、茶飲料中のカフェイン含有量は、茶葉から茶抽出液を抽出する際に低温で抽出することや、二煎目以降の抽出液を使用することにより低減させることもできる。さらに、茶飲料中のカフェイン含有量は、茶抽出液を活性炭や白土、樹脂等の吸着剤や鉱物で処理することにより低減させることもできる。これらの低減法は単独で使用してもよいし、組み合わせて使用してもよい。茶飲料中のカフェイン含有量を低減させるために白土を用いる場合、白土と茶抽出物を接触させる方法は、茶抽出物が白土と接触する限り、特に限定されるものではないが、例えば、接触タンクにより一定量を逐次処理するバッチ処理や、配管内でのドージング及びホールディングによる処理や白土充填カラムを通液させるカラム処理などの連続処理が挙げられる。
【0022】
本発明の容器詰め茶飲料を製造するために用いられる白土は、酸性白土、活性白土、ベントナイト、活性ベントナイト、サポナイトおよびこれらの一部または全部の組合せが挙げられる。本発明の容器詰め茶飲料を製造するために用いられる白土は、好ましくは酸性白土および活性白土並びにこれらの組合せを用いることができ、より好ましくは酸性白土を用いることができる。
【0023】
本発明の容器詰め茶飲料の好ましい態様において用いられる酸性白土および活性白土は、共に一般的な化学成分として、SiO
2,Al
2O
3,Fe
2O
3,CaO,MgOなどを有するが、本発明の容器詰め茶飲料の製造に用いる場合、SiO
2/Al
2O
3比は、3〜12、好ましくは3〜8が好ましい。また、酸性白土および活性白土中に、Fe
2O
3が2〜5質量%、CaOが0〜1.5質量%、MgOが1〜7質量%などを含有する組成のものを用いることが好ましい。
【0024】
本発明に使用する酸性白土および活性白土の比表面積(m
2/g)は、酸性白土の場合には50m
2/g以上150m
2/g未満、活性白土の場合には70m
2/g以上300m
2/g未満であるものが好ましい。
【0025】
本発明に使用する白土のうち好ましいものとしては、比表面積(m
2/g)が50以上150未満で、かつ、SiO
2/Al
2O
3比が3以上8未満である酸性白土や、比表面積(m
2/g)が200以上300未満で、かつ、SiO
2/Al
2O
3比が3以上11未満である活性白土が挙げられる。
【0026】
上記のような好ましい酸性白土としては、例えば、ミズカエース#20やミズカエース#200、ミズカエース#400、ミズカエース#600、ミズライト(水澤化学社製)などの市販品を用いることができる。また、上記のような好ましい活性白土としては、例えば、ガレオンアースNVZやガレオンアースV2、ガレオンアースNF2(水澤化学社製)などの市販品を用いることができる。また、Clarit100GやClarit125G、Tonsil531N(ズードケミー触媒社製)などの市販ベントナイトも白土として用いることができる。
【0027】
本発明の茶飲料は、カフェイン低減処理前の茶抽出物と比較してカフェイン含有量が60%以上(好ましくは70%以上、より好ましくは90%以上)低減されたものとすることができる。茶抽出物や茶飲料のカフェイン含有量は、高速液体クロマトグラフィー法(HPLC法)により測定することができる。HPLC分析条件としては、例えば実施例に記載されたような条件が挙げられる。
【0028】
本発明の100mLの茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量は、タンニン量として10〜100mgであり、好ましくは20〜100mgであり、より好ましくは20〜80mgであり、さらに好ましくは30〜80mgである。本発明の茶飲料に含まれるポリフェノールは特に限定されるものではないが、分子内に複数のフェノール性ヒドロキシル基をもつ成分のことを意味し、好ましくは茶由来のポリフェノールである。該茶由来のポリフェノールとは、茶葉中に含まれる各種ポリフェノール類を指し、具体的には、カテキン類やプロアントシアニジン類などの一次ポリフェノールのみならず、それらの酸化重合等による生成物であるテアシネンシン類、ウーロンテアニン、テアフラビン類、テアルビジン類等の二次ポリフェノールも包含する意味で使用される。本発明の100mLの茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量をタンニン量として10〜100mg(より好ましくは、20〜100mg)とすることにより、茶飲料の本来の風味を損なわない茶飲料とすることができる。
【0029】
本発明の茶飲料に含まれる総ポリフェノールの含有量は、タンニン量として規定することができる。「タンニン量」は、例えば、茶葉抽出液および/または茶類エキスのタンニン量を測定し、タンニン量を所望の濃度範囲となるように含有させることにより、茶飲料に含まれる総ポリフェノールの含有量を所定の範囲に調整することができる。あるいは、予めタンニン量が調整された茶葉抽出液および/または茶類エキスを所定量添加することによっても、製品茶飲料のタンニン量の調整を行うことができ、それに伴い本発明の茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量を調整することができる。
【0030】
本発明において、「タンニン量」は、茶類のポリフェノール量を評価する際の基準である日本食品分析センター編「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」(日本食品分析センター編、中央法規、2001年7月、p.252)に記載の公定法(酒石酸鉄吸光度法)を用いて測定することができる。この測定方法においては、液中のポリフェノールと、酒石酸鉄試薬とを反応させて生じた紫色成分について、吸光度(540nm)を測定することにより、没食子酸エチルを標準物質として作成した検量線を用いて定量することができる。このようにして得られた定量した値に1.5倍したものをタンニン量とすることができる。
【0031】
本発明の茶飲料中に含まれる総ポリフェノール量の調整は、例えば、市販のポリフェノール製剤を加えることによっても行うことができる。市販のポリフェノール製剤としては、例えば、ポリフェノン70A(三井農林社製)、サンフェノン90S(太陽化学社製)、テアフラン(伊藤園社製)などを挙げることができる。
【0032】
本発明の容器詰め茶飲料の好ましい態様によれば、該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上であり、好ましくは10以上、より好ましくは20以上であり、さらに好ましくは50以上である茶飲料が提供される。茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)を6以上とすることにより、容器詰め茶飲料の液色の劣化を更に抑制することができる。
【0033】
本発明の容器詰め茶飲料の好ましい態様によれば、該茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下であり、好ましくは0.17以下であり、より好ましくは0.15以下である茶飲料が提供される。茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)を0.18以下とすることにより、容器詰め茶飲料の液色の劣化を更に抑制することができる。茶飲料に含まれるカリウム含有量は、例えば、下記実施例に記載の測定することができる。
【0034】
本発明の容器詰め茶飲料の調合工程では、容器詰め茶飲料に配合されうる各種任意成分(例えば、酸化防止剤、pH調整剤、保存料、香料)を添加してもよい。また、茶濃縮物や茶精製物を白土処理した場合には、容器詰め飲料に適した水を添加して茶飲料に適した濃度まで該茶抽出物を希釈してもよい。
【0035】
また、上記調合工程で得られた調合液を常法に従って殺菌し、容器に充填することができる。殺菌は容器への充填前であっても充填後であってもよい。
【0036】
容器詰め飲料の容器とは、内容物と外気との接触を断つことができる密閉容器を意味し、例えば、PETボトルや瓶等の透明容器や、缶や製紙容器等の不透明容器が挙げられる。本発明の容器詰め茶飲料は、茶飲料の色合いを、容器を通して需要者に演出するため、透明あるいは半透明のPETボトル容器詰め飲料とすることがより好ましい。容器の容量は特に限定されず、例えば500mLや、2000mLなどが挙げられる。
【0037】
本発明の容器詰め茶飲料の好ましい態様によれば、ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料であって、100mLの該茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgであり、100mLの該茶飲料に含まれるカフェインの含有量が8.0mg以下であり、かつ該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上である容器詰め茶飲料が提供される。
【0038】
本発明の容器詰め茶飲料の別の好ましい態様によれば、ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料であって、100mLの該茶飲料に含まれるポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgであり、100mLの該茶飲料に含まれるカフェインの含有量が8.0mg以下であり、該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上であり、かつ該茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下である容器詰め茶飲料が提供される。
【0039】
容器詰め茶飲料の製造方法
本発明の容器詰め茶飲料の製造方法は、茶抽出液からポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の製造方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整する工程および100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整する(好ましくは白土により、より好ましくは酸性白土により調整する)工程を含む容器詰め茶飲料の製造方法である。これらの工程はいずれを先に行ってもよい。本発明の製造方法により製造された容器詰め茶飲料は、茶飲料の本来の風味を維持しつつ、液色の劣化を抑制することができる。
【0040】
本発明の容器詰め茶飲料の製造方法の好ましい態様によれば、更に該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、さらに好ましくは50以上となるように茶抽出液を調整する工程を含んでなるものであり、より好ましい態様によれば更に茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下、好ましくは0.17以下、より好ましくは0.15以下となるように茶抽出液を調整する工程を含んでなるものである。
【0041】
本発明の容器詰め茶飲料の製造方法に用いられるポリフェノール、難消化性デキストリン、カフェイン等は、本発明の容器詰め茶飲料の製造の際に用いられるものと同じであってもよい。
【0042】
本発明の容器詰め茶飲料の製造方法の好ましい態様によれば、茶抽出液からポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の製造方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整する工程、100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整する(好ましくは白土により、より好ましくは酸性白土により調整する)工程、および該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)を6以上となるように茶抽出液を調整する工程を含む容器詰め茶飲料の製造方法である。
【0043】
本発明の容器詰め茶飲料の製造方法の別の好ましい態様によれば、茶抽出液からポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の製造方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整する工程、100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整する(好ましくは白土により、より好ましくは酸性白土により調整する)工程、該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上となるように茶抽出液を調整する工程、および該茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下となるように茶抽出液を調整する工程を含む容器詰め茶飲料の製造方法である。
【0044】
容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法
本発明の容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法は、ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整し、かつ100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整する(好ましくは白土により、より好ましくは酸性白土により調整する)ことを特徴とする容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法である。これらの調整はいずれを先に行ってもよいが、好ましくはカフェイン含有量の調整を先に行うことが好ましい。
【0045】
本発明の容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法の好ましい態様によれば、更に茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上、好ましくは10以上、より好ましくは20以上、更に好ましくは50以上となるように茶抽出液を調整し、より好ましい態様によれば更に茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下、好ましくは0.17以下、より好ましくは0.15以下となるように茶抽出液を調整することを特徴とする容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法である。
【0046】
本発明の容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法に用いられるポリフェノール、難消化性デキストリン、カフェイン等は、本発明の容器詰め茶飲料の製造の際に用いられるものと同じであってもよい。
【0047】
液色の劣化の程度は、液色の赤みを指標として判断することができ、好ましくは分光測色計(例えば、分光測色計CM−3500d(ミノルタ株式会社製))を用いて、色度であるa
*値を(+(プラス)方向:赤、−(マイナス)方向:緑)を指標として判断することができる。例えば、容器詰め茶飲料の保存前後でa
*値を測定して、保存前後のa
*値の差(Δa
*値)が小さい場合には液色の劣化の程度が低いと判断し、逆に大きい場合には液色の劣化の程度が高いと判断することができる。本発明において、例えば、本発明の茶飲料の範囲に含まれない難消化性デキストリン含有容器詰め茶飲料のΔa
*値と比較して、僅かであってもΔa
*値が小さい場合には容器詰め茶飲料の液色の劣化が抑制されたと判断することができる。
【0048】
本発明の抑制方法の好ましい態様によれば、ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整し、100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整し(好ましくは白土により、より好ましくは酸性白土により調整し)、かつ該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上となるように茶抽出液を調整することを特徴とする容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法である。
【0049】
本発明の抑制方法の別の好ましい態様によれば、ポリフェノールおよび難消化性デキストリンを含んでなる容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法であって、100mLの該茶飲料中のポリフェノールの含有量がタンニン量として10〜100mgとなるように茶抽出液を調整し、100mLの該茶飲料中のカフェインの含有量が8.0mg以下となるように茶抽出液を調整し(好ましくは白土により、より好ましくは酸性白土により調整し)、該茶飲料に含まれるタンニン量とカフェインの含有量との比(タンニン/カフェイン)が6以上となるように茶抽出液を調整し、かつ該茶飲料に含まれるカリウムの含有量とタンニン量との比(カリウム/タンニン)が0.18以下となるように茶抽出液を調整することを特徴とする容器詰め茶飲料の液色劣化の抑制方法である。
【実施例】
【0050】
以下、実施例により本発明をより具体的に説明するが、本発明の技術的範囲はこれらに
限定されるものではない。実施例において、「%」とは、特に記載のない限り「質量%」を意味する。
【0051】
参考例1:難消化性デキストリン添加が容器詰め茶飲料の液色に与える影響
(1)緑茶抽出液の調製
蒸し製緑茶葉100gに対して70℃の熱水4000gを添加し、6分間抽出した。抽出後、固液分離し、得られた濾液を20℃まで冷却した後に同温度のイオン交換水で4000gとし、遠心分離処理を行い、緑茶抽出液を得た(緑茶抽出液A)。
【0052】
(2)容器詰め緑茶飲料の調製
得られた緑茶抽出液Aの400gに、難消化性デキストリン(松谷化学工業社製、ファイバーソル2)を0〜30g、L−アスコルビン酸を400mg添加し、炭酸水素ナトリウムでpHを6.5に調整後、イオン交換水で1000gに調合した。調合液はレトルト缶に熱時充填後、121℃、5分間の加熱処理を施して、試験区1〜6の緑茶飲料を得た。
【0053】
(3)評価方法
得られた緑茶飲料について、色度に関して以下のように測定した。測色計での分析は、分光測色計CM−3500d(ミノルタ株式会社製)を用いて、a
*値の測定を行った。分光測色計とは、特定の分光組成を持った光を物体に照射したとき、選択的に物体から透過する光を受光器で受け、物体の分光透過特性を分光測光器により求め、これらの数値から三刺激値を求めるものである。a
*値(+方向:赤、−方向:緑)は色度を表し、Δa
*値は、難消化性デキストリン無添加の試験区1とのa
*値の差を表す。測色計でのa
*値およびΔa
*値の測定結果を、表1および
図1に示す。
【0054】
(4)結果
測色計での測定結果を表1および
図1に示した。
【0055】
【表1】
【0056】
難消化性デキストリンの添加量が多くなるにつれて、難消化性デキストリン無添加の試験区1と比較して殺菌後の液色の赤みが強くなることが目視で確認された。またこれは、難消化性デキストリンの添加量を多くするにつれて、表1および
図1に示すa
*値が+(プラス)方向の値となっていること、難消化性デキストリン無添加の試験区1と比較したΔa
*値が大きくなっていることからも、容器詰め茶飲料に難消化性デキストリンを用いると、茶飲料の液色の劣化が増大することがわかった。
【0057】
カフェインの測定方法
下記実施例1および2におけるカフェイン含有量は以下の通りに測定した。すなわち、試料溶液をメンブレンフィルター(アドバンテック(株)製DISMIC 親水性PTFE、0.45μm)でろ過して、下記表2に示す高速液体クロマトグラフィー(HPLC)法にて、カフェイン量を定量した。HPLC分析条件を下記表2に示す。
【表2】
【0058】
ミネラルの測定方法
下記実施例1および2における容器詰め茶飲料中のカリウム(K)の含有量について、以下手順に従い分析した。
(装置)
ICP発光分光装置:iCAP 6500 Duo(サーモフィッシャーサイエンティフィック株式会社製)
ICP発光分析法の測定条件
RFパワー:1150W
ネブライザーガス流量:0.65L/min
補助ガス流量:0.5L/min
プラズマガス流量:12L/min
チャンバー:ガラスサイクロン
ネブライザー:水溶液用ガラス同軸型
【0059】
マイクロウェーブ分解装置:ETHOS PLUS(マイルストーンゼネラル株式会社製)
(試薬)
硝酸:PlasmaPURE(高純度硝酸)67-70%(SCP SCIENCE)
過酸化水素:超高純度、30%(関東化学社製)
標準試薬:ICP汎用混合液XSTC-22 100ppm (SPEX Certiprep)
内部標準試薬:原子吸光用ロジウム標準液1000ppm(和光純薬株式会社製)
【0060】
実施例1:カフェイン含有量と液色の関係
(1)緑茶抽出液の調製
蒸し製緑茶葉100gに対して70℃の熱水4000gを添加し、6分間抽出した。抽出後、固液分離し、得られた濾液を室温(25℃)まで冷却した後に同温度のイオン交換水で4000gとし、緑茶抽出液を得た(緑茶抽出液B)。
【0061】
(2)緑茶抽出液のカフェイン低減処理
得られた緑茶抽出液Bの400gに対し、酸性白土(ミズカエース#400、水澤化学社製)を0〜8g添加し、所定時間(10秒〜10分間)接触させた。所定時間経過と同時に遠心分離処理を行い、0.2μmメンブランフィルター濾過を行った。
【0062】
(3)緑茶飲料の調製
得られた濾液に、難消化性デキストリン(松谷化学工業社製、ファイバーソル2)を20g、L−アスコルビン酸を400mg添加し、炭酸水素ナトリウムでpHを6.5に調整後、イオン交換水で1000gに調合した。調合液はレトルト缶に熱時充填後、121℃、5分間の加熱処理を施して、試験区7〜11の緑茶飲料を得た。試験区7は酸性白土の添加工程以外は試験区8〜11と同様の処理を行った。
【0063】
(4)評価方法
得られた緑茶飲料について、上記の通り、高速液体クロマトグラフ(HPLC:日本分光社製)を用いてカフェイン濃度を測定し、分光測色計(ミノルタ株式会社製CM−3500d)を用いてa
*値を測定した。
【0064】
(5)結果
各測定結果を表3および
図2に示した。
【0065】
【表3】
【0066】
カフェイン低減処理(酸性白土処理)を行っていない試験区7と比較して、カフェイン低減処理を行った試験区8〜11においては、殺菌による液色の赤色化の劣化が抑制されていることが目視で確認できた。またこれは、カフェイン濃度が低くなるにつれて、表3および
図2に示すa
*値が−(マイナス)方向の値となっていることからも、難消化性デキストリン含有容器詰め茶飲料において、カフェイン含有量を低減することにより、液色の劣化を抑制することができることが確認できた。
【0067】
実施例2:タンニン量と茶飲料の液色との関係
(1)緑茶抽出液の調製
参考例1(1)と同じ方法により緑茶抽出液Aを得た。また、実施例1(1)と同じ方法により緑茶抽出液Bを得た。
【0068】
(2)緑茶抽出液のカフェイン低減処理
得られた緑茶抽出液Bの400gに対し、酸性白土(ミズカエース#400、水澤化学社製)を8g添加し、所定時間(10秒〜10分間)接触させた。所定時間経過と同時に遠心分離処理を行い、0.2μmメンブランフィルター濾過を行って、緑茶抽出液Cを得た。
【0069】
(3)緑茶飲料の調製
緑茶抽出液Aの200gおよび400gに、それぞれ難消化性デキストリン(松谷化学工業社製、ファイバーソル2)を20g、L−アスコルビン酸を400mg添加し、炭酸水素ナトリウムでpHを6.5に調整後、イオン交換水で1000gに調合した。調合液はレトルト缶に熱時充填後、121℃、5分間の加熱処理を施して、試験区12および14の緑茶飲料を得た。
また、緑茶抽出液Cの200gおよび400gに、それぞれ難消化性デキストリン(松谷化学工業社製、ファイバーソル2)を20g、L−アスコルビン酸を400mg添加し、炭酸水素ナトリウムでpHを6.5に調整後、イオン交換水で1000gに調合した。調合液はレトルト缶に熱時充填後、121℃、5分間の加熱処理を施して、試験区13および15の緑茶飲料を得た。
【0070】
(4)評価方法
得られた緑茶飲料について、高速液体クロマトグラフ(HPLC:日本分光社製)を用
いてカフェイン濃度を測定した。また、殺菌直後の容器詰め緑茶飲料と45℃、4週間保存した該緑茶飲料を分光測色計 (ミノルタ株式会社製CM−3500d)を用いてa
*値をそれぞれ測定した。
【0071】
(5)結果
殺菌直後の容器詰め緑茶飲料の各測定値を表4に、45℃で、4週間保存した容器詰め緑茶飲料を表5に示した。
【0072】
【表4】
【0073】
【表5】
【0074】
100mLの緑茶飲料に含まれるカフェインの含有量が8.0mgより大きい試験区14に比べて、100mLの緑茶飲料に含まれるカフェインの含有量が8.0mg以下である試験区12は殺菌による液色の赤色化の劣化が抑制されていることが目視で確認された。また、カフェイン含有量を低減することにより、液色の劣化を抑制することができることが確認できた。
また、カフェイン低減処理(酸性白土処理)を行っていない試験区12および14と比較して、カフェイン低減処理を行った試験区13および15においては、殺菌による液色の赤色化の劣化が更に抑制されていることが目視で確認された。また、カフェイン濃度が低く、タンニン/カフェイン比が6以上である試験区13および15において、表4に示すように、試験区12および14と比較してa
*値が−(マイナス)方向の値となっていることからも、難消化性デキストリン含有容器詰め茶飲料において、カフェイン含有量を一定以下とし、かつタンニン/カフェイン比を一定以上とすることにより、液色の劣化を更に抑制することができることが確認できた。
さらに、容器詰め茶飲料の賞味期限を想定して加速保存を行った結果、試験区12は、試験区14と比較して保存前後のΔa
*値が小さく、液色劣化を抑制できていることが確認できた。また、試験区13および15は、試験区12および14と比較して保存前後のΔa
*値がより小さく、更に液色劣化を抑制できていることが確認できた。