特許第6482862号(P6482862)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482862
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】コンテンツ転送方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/00 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   G06F13/00 510G
   G06F13/00 650A
【請求項の数】11
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2014-263382(P2014-263382)
(22)【出願日】2014年12月25日
(65)【公開番号】特開2016-122418(P2016-122418A)
(43)【公開日】2016年7月7日
【審査請求日】2017年12月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】514039978
【氏名又は名称】株式会社トルク
(74)【代理人】
【識別番号】100104411
【弁理士】
【氏名又は名称】矢口 太郎
(72)【発明者】
【氏名】川田 十夢
【審査官】 佐々木 洋
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−090600(JP,A)
【文献】 国際公開第2013/111239(WO,A1)
【文献】 特開2009−239431(JP,A)
【文献】 特開2014−127772(JP,A)
【文献】 特開2014−086843(JP,A)
【文献】 国際公開第2008/029724(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/161536(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/161705(WO,A1)
【文献】 特開2006−220447(JP,A)
【文献】 特開2012−212402(JP,A)
【文献】 特開2006−320404(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 13/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末が、少なくとも、その空間位置で音、色、光、超音波のうち2以上の組み合わせからなる空間媒介伝達情報を受信する工程と、
前記携帯端末若しくはこの携帯端末が接続するサーバが、当該携帯端末の存在する空間属性を識別する工程であって、
前記サーバは、空間属性と当該空間の空間媒介伝達情報とを関連付けて格納した空間情報データベースを有するものであり、
前記携帯端末若しくはこの携帯端末が接続するサーバは、前記携帯端末が受信した空間媒介伝達情報について前記空間情報データベースに問い合わせ解析することで当該携帯端末の存在する空間属性を識別する工程と、
前記携帯端末との間でコンテンツを送信若しくは受信しようとしている相手方の表示装置を特定する工程であって、
前記サーバは、1若しくはそれ以上の表示装置のそれぞれについて当該表示装置が設置されている空間属性とその表示装置に一意に対応するインターネット上のURLとを関連づけて格納したURLデータベースを有するものであり、
このサーバは、前記URLデータベースに格納された前記1若しくはそれ以上の表示装置のうち前記識別された携帯端末の空間属性に適合する空間属性を有する表示装置を相手方の表示装置として特定する工程と、
前記サーバが、前記特定された表示装置についてそのURLを前記URLデータベースを参照して特定する工程と、
記携帯端末上で記表示装置に対するコンテンツの送信の指示を入力した場合、前記携帯端末が、前記表示装置に送信したいコンテンツを前記表示装置の前記URLにアップロードする工程と、
記携帯端末上で記表示装置からコンテンツの受信の指示を入力した場合、前記携帯端末が記表示装置のURLにアップロードされているコンテンツをダウンロードする工程と、
を有するコンテンツ転送方法。
【請求項2】
請求項記載の方法において、
前記表示装置は、カーナビゲーション装置である
ことを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項3】
請求項記載の転送方法において、
記表示装置は、ネットワークに接続できない装置である
ことを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項4】
請求項記載の方法において、
記携帯端末上で行う記表示装置に対するコンテンツの送信の指示入力は、記携帯端末上に表意されたコンテンツを記表示装置に向けてフリックする動作により行うものである
ことを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項5】
請求項記載の方法において、
記携帯端末上で行う記表示装置からのコンテンツの受信の指示入力は、前記携帯端末上で前記表示装置から手前にむけてフリックする動作により行うものである
ことを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項6】
請求項記載の方法において、
記表示装置から携帯端末にファイルを受信した場合、当該受信したコンテンツを記表示装置から消去する
ことを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項7】
請求項記載の方法において、
記コンテンツは、記表示装置に表示されているコンテンツの一部分であり、記コンテンツの一部分を受信した場合、当該一部分のみが破られたように消去される
ことを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項8】
請求項記載の方法において、 この方法は、さらに、
前記携帯端末が、少なくとも、記空間媒介伝達情報を受信した時刻、傾き/方向、加速度のうちの1つ若しくは2以上の組み合わせからなる端末属性情報を検出する工程と、
前記携帯端末若しくはこの携帯端末が接続するサーバが、前記携帯端末の空間位置を特定する工程と、
前記携帯端末若しくはこの携帯端末が接続されたサーバが、前記特定された携帯端末の空間位置に前記端末の属性情報を関連付けて記憶する工程と
を有することを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項9】
請求項8記載の方法において、この方法は、
前記空間媒介伝達情報を受信する工程と、前記携帯端末の存在する空間属性を識別する工程と、前記端末属性情報を検出する工程と、前記携帯端末の存在する空間位置を特定する工程と、前記特定された携帯端末の空間位置に前記端末の属性情報を関連付けて記憶する工程との全ての工程を所定のタイミングで繰り返すことで、断続的な空間位置に前記端末の属性情報を関連付けて記憶する工程を有するものであることを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項10】
請求項1記載の方法において、
前記URLデータベースには、前記表示装置が設置されている空間位置の情報が格納されていることを特徴とするコンテンツ転送方法。
【請求項11】
請求項記載の方法において
記空間媒介伝達情報としての超音波には、前記携帯端末自身が発振した超音波の反射波も含まれるものである
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、現実「モノ」にデジタルの住所を与え、この「モノ」に無形のコンテンツ、例えば自分の記憶などの感覚を紐付け(転送する)ことができるコンテンツ転送方法に関する。
【背景技術】
【0002】
AR三兄弟のリーダー(長男役)、川田十夢の家には膨大な本がある。それをしまう本棚ももちろんあるが、冊数があまりに膨大なため、欲しい本が見つけられないことも少なくない。
【0003】
今のIT化された社会の中で「探す」といった時には、「検索」という手段がある。Googleなどがその代表だが、パソコンを使ってネットにアクセスし、ほしい情報の文字列や画像データなどを、検索システムに受け渡すことによって情報を得る手段だ。ただ、これは利用者個人にとっての現実……物理的な生活(質量)と紐付いていない。
【0004】
すなわち、デジタル上にあるものは、色あせたり、劣化したりすることがない。しかし、我々が日常生活の中で使っている「もの」や「記憶」は、長く使い、それに生活の過程などが少しずつ刻み込まれていくことで、劣化したり、色褪せたり、また、一方で愛情が増し、記憶をより強固にしていくということが起こる。
【0005】
このようなことは、現実の社会では特段説明せずとも我々は経験から共有できるが、デジタルにはこの我々の記憶に刻み込まれるような、「劣化」が存在しない。
【0006】
このようなより現実の社会に即した探索、情報ではなく、唯一無二のものや記憶を特定する方法が無いかと、川田は考えたのだった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
では、どうしたら良いか?
川田は、自分の今の感じている感情や記憶は、生活の中にある現実と紐付いてくれていたほうがより強固になるのにと考えた。すなわち、デジタルという劣化しない情報だけではなく、それに加えて、現実の形や質量があるものを上手く結びつけることができないか。それにより、デジタルが苦手…とする「劣化」という価値を付加できるのだと考えたのだった。
【0008】
このような課題の下、川田は、1つの基本発明を完成させた。
【0009】
その発明は、ユーザが第1のモノ(装置)上にある所定のコンテンツを第2のモノ(装置)に転送する指示を入力した場合、上記第1のモノと第2のモノの空間位置に基づいて、第2のモノのネットワーク上のデジタル住所を特定する工程と、第1のモノと第2のモノとの間でデジタル情報の交換を行う工程とを特徴とする情報交換方法というものである。
【0010】
この発明によれば、「モノ」にデジタルの住所が与えられる。さらに、この現実のモノに、無形のコンテンツ、例えば自分の記憶などの感覚をその紐付け(転送する)ことができる。このことで、モノとデジタル情報を関連付けることができるから、デジタル情報をさらに多面的にすることができる。
【0011】
また、この発明の第2の主要な側面によれば、ユーザが第1のモノ(装置)上にある所定のコンテンツを第2のモノ(装置)に転送する指示を入力した場合、上記第2のモノのネットワーク上のデジタル住所を特定する工程と、上記コンテンツを上記デジタル住所に送信する工程と、上記デジタル住所に転送された上記コンテンツを前記第2のモノにダウンロードさせて表示する工程とを有することを特徴とするコンテンツ転送方法が提供される。
【0012】
さらにこの発明の第3の主要な側面によれば、携帯端末が接続するサーバが、前記携帯端末から受け取った空間位置特定情報に基づいて当該携帯端末の空間位置を特定する工程と、前記サーバが、上記携帯端末との間でコンテンツを送信若しくは受信しようとしている相手方の表示装置を、上記携帯端末の空間位置と前記表示装置の空間位置の関係に基づいて特定し、当該表示装置のデジタル住所を特定する工程と、上記携帯端末上で上記表示装置に対するコンテンツの送信の指示を入力した場合、前記携帯端末が、上記表示装置に送信したいコンテンツを上記他の表示装置のデジタル住所に上記ファイルをアップロードする工程と、上記携帯端末上で上記表示装置からコンテンツの受信の指示を入力した場合、前記携帯端末が上記表示装置のデジタル住所にアップロードされているコンテンツをダウンロードする工程と、を有するコンテンツ転送方法が提供される。
【0013】
ここで、この発明の一実施例によれば、前記デジタル住所はURLである。
【0014】
また、他の1の実施例によれば、前記表示装置は、カーナビゲーション装置である。
【0015】
また、他の1の実施例によれば、前記表示装置は、ネットワークに接続できない非コンピュータ装置である。
【0016】
また、他の1の実施例によれば、上記携帯端末上で行う上記表示装置に対するコンテンツの送信の指示を入力は、上記携帯端末上に表意されたコンテンツを上記表示装置に向けてフリックする動作により行うものである。
【0017】
また、他の1の実施例によれば、上記携帯端末上で行う上記表示装置にからのコンテンツ受信の指示を入力は、上記携帯端末上で上記表示装置から手前にむけてフリックする動作により行うものである。
【0018】
また、他の1の実施例によれば、上記表示装置から携帯端末にファイルを受信した場合、当該受信したコンテンツを上記表示装置から消去する。
【0019】
また、他の1の実施例によれば、上記コンテンツは、上記表示装置に表示されているコンテンツの一部分であり、上記コンテンツの一部分を受信した場合、当該一部分のみが破られたように消去される。
【0020】
また、他の1の実施例によれば、上記端末の空間位置の特定は、情報通信機器が、少なくとも、その空間位置で音、色、光、超音波のうち2以上の組み合わせからなる空間媒介伝達情報を受信する工程と、情報通信機器が、少なくとも、上記空間媒介伝達情報を受信した時刻、傾き/方向、加速度のうちの1つ若しくは2以上の組み合わせからなる端末属性情報を検出する工程と、情報通信機器若しくはこの情報通信機器が接続されたサーバが、前記受信した空間媒介伝達情報をデコードすることで、この携帯端末の空間位置を特定する工程と、携帯端末若しくはこの情報通信機器が接続されたサーバが、前記特定された携帯端末の空間位置に上記端末の属性情報を関連付けて記憶する工程と、上記携帯端末が所定のタイミングで上記の全ての工程を繰り返すことで、断続的な空間位置に上記端末の属性情報を関連付けて記憶する工程と、を有する工程を有するものである。
【0021】
他の1の実施形態によれば、前記空間媒介伝達情報としての超音波には、前記情報通信機器自身が発振した超音波の反射波も含まれるものである。
【0022】
他の1の実施形態によれば、前記サーバは、特定の空間位置に関連付けられた音、色、光、超音波の情報を格納した参照用データベースを有し、上記空間位置を特定する工程は、上記サーバが、受信した空間媒介伝達情報を、上記参照用データベースに問い合わせることで、空間位置を特定するものである。
【0023】
以下、この発明の詳細を図面を参照しながら詳細に説明することにする。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、本発明の一実施形態を示す概略構成図である。
図2図2は、同じく、フローチャートである。
図3図3は、同じく、システム構成を示す図である。
図4図4は、同じく、空間位置情報の取得を示す概略図である。
図5図5は、同じく、空間位置情報の取得を示す概略図である。
図6図6は、同じく、処理工程を示すフローチャートである。
図7図7は、別の一実施形態を示す概略図である。
図8図8は、同じく、コンテンツダウンロード後の表示更新を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
発明者・川田が完成した発明を、その一実施形態を例にとって説明する。
【0026】
図1は、タクシー内において、行く先を伝えたい乗客が、自分の携帯端末1上に表示した目的地周辺の地図情報2(この発明の「コンテンツ」)を、タクシー内に設置されたカーナビ装置3(この発明の「表示装置」)のデジタル住所(一意のURL)にビューンと転送して、このカーナビ装置3上に表示する場合の例を示したものである。
【0027】
この場合の動作を請求項に記載された発明の記載に合わせて記載すると、図2のフローチャートに示すように以下のようになる。
(1) 携帯端末1をインターネット上の特定のデジタル住所(一意のURLを有する携帯端末用Webサーバ6)に関連付ける工程(図2中のステップS1)、
(2) 空間位置情報処理サーバ4が、前記携帯端末1から受け取った空間位置特定情報に基づいて当該携帯端末1の空間位置を特定すると共にこの空間位置に上記携帯端末1のデジタル住所(URL)を関連付ける工程(図2中のステップS2)、
(3) 前記空間位置情報処理サーバ4が、受信側のカーナビ装置3を、上記携帯端末1の空間位置と前記カーナビ装置3の空間位置の関係に基づいて特定し、当該カーナビ装置3のデジタル住所(一意の用URLを有するカーナビ用Webサーバ5)を特定する工程(図2中のステップS3)、
(4) 乗客が上記携帯端末1上で上記カーナビ装置3に対する地図情報2の送信の指示を入力した場合(例えばフリック動作A)、前記携帯端末1若しくは前記サーバ4が、上記カーナビ装置3に送信したい地図情報2を、上記携帯端末のデジタル住所(携帯端末用Webサーバ5)を介して上記カーナビ装置3のデジタル住所(カーナビ用Webサーバ5)にアップロードする工程(図2中のステップS4)、
(5) 上記カーナビ装置3のデジタル住所(カーナビ用Webサーバ5)にアップロードされた地図情報2を上記カーナビ装置3にダウンロードしてそのディプレイ上に表示する工程(図2中のステップS5)。
【0028】
上記各工程によれば、図1でαで示すようにユーザがフリック動作を行うことによって、βで示すように携帯端末1に表示された無形のデジタル情報である行き先地図情報2が「モノ」であるカーナビ装置3にビューンと飛んでいって表示されるような動作を実現することができる。
【0029】
図3は、上記各工程を実行するためのシステム構成を示す図である。上記各工程を実行するために、上記空間位置情報処理サーバ4は、空間媒介伝達情報DB8と、空間位置タグDB9と、デジタル住所DB10と、デジタル住所マッチング部11と、コンテンツ転送部12とを有する。以下、これら各構成と動作について、上記各工程と共に詳しく説明する。
【0030】
(1)「携帯端末1をインターネット上の特定のデジタル住所(一意の携帯端末URL)携帯端末用Webサーバ6に関連付ける工程(図2中のステップS1)」について
上述したように、この発明の特徴は全て「モノ」に一意のデジタル住所を与えることである。この実施形態では、その「モノ」は携帯端末1およびカーナビ装置3、デジタル住所はWebサーバ5,6のURL(Uniform Resource Locator:ユニフォームリソースロケータ)である。
【0031】
この実施形態では携帯端末1及びカーナビ装置3に予め一意のURLが割り当てられているが、次の空間位置を検出した際若しくはその後に割り当てるものであっても良い。
【0032】
(2)「携帯端末1が接続する空間位置情報処理サーバ4が、前記携帯端末1から受け取った空間位置特定情報に基づいて当該携帯端末の空間位置を特定すると共にこの空間位置に上記携帯端末のデジタル住所に関連付ける工程(図2中のステップS2)」について
この工程では、上記携帯端末1の「空間位置」が空間位置情報処理サーバ4によって検出され、この携帯端末1の情報がその空間に記憶される。
【0033】
この「空間に情報を記憶する」とは、我々の実際の活動空間に、端末機器1の足跡(空間位置タグ)を仮想的に残していくという意味である。例えば、図4のようにユーザが携帯端末1を保持しある環境の空間に位置しているとした場合には、この携帯端末1が受信したその空間特有の音、光、色、超音波の組み合わせからなる空間媒介伝達情報がデコード(解析)されてそのときの携帯端末1の空間が何・何処であるかが特定される。そして、この情報及びこの携帯端末1自身の属性情報が空間位置タグPとしてその空間に仮想的に残される。
【0034】
この実施形態では、上記デコードは、クラウド上にある上記空間位置情報処理サーバ4が、上記携帯端末1から上記空間媒介伝達情報を受け取って、それを空間媒介伝達情報DB8に問い合わせることで、実行される。例えば、上記空間位置における特有のバックグラウンド音楽及び特有の照明の組み合わせに基づいて、その空間位置Pが「コンビニ店A内」等であるとデコードされる。
【0035】
また、この実施形態では、図4に示すように、この携帯端末1は自ら超音波U1,U2を発振し、その反射超音波を検出することで、隣接する障害物までの水平距離及び垂直距離を測定できるように構成されている。これにより、例えばコンビニ店A内のどの位置に上記携帯端末1が位置するかを知ることができる。この情報も空間媒介伝達情報として上記空間位置Pを特定するのに利用される。これにより、図5に示すように、例えば、携帯端末1が、領域Aや領域B内の具体的にどの位置にいるかがデコード可能である。
【0036】
そして、図5のようにユーザが移動した場合には、この図に示すように断続的な空間位置P1〜P7として、携帯端末が受信した情報及びデコードした情報が空間にタグ付けされていく。この例では、受信した空間媒介伝達情報から領域Aから領域Bに移動したことが分かる例を示している。この領域Bとは、例えは前記タクシー内の空間である。
【0037】
これにより、端末1がある時点において空間のどの位置にいるかが、仮想的にその空間に空間位置タグPとして残されると共に、上記携帯端末1がどの空間に存在するか、その空間内のどの位置、どの方向に向いているかが特定される。
【0038】
したがって、この空間位置の検出は、以下の(1−1)〜(1−4)工程によって行われる。
【0039】
(1−1)携帯端末1が、少なくとも、その空間位置で音、色、光、超音波のうち1つもしくは2以上の組み合わせからなる空間媒介伝達情報を受信する工程。
【0040】
(1−2)携帯端末1が、少なくとも、上記空間媒介伝達情報を受信した時刻、傾き/方向、加速度のうちの1つ若しくは2以上の組み合わせからなる端末属性情報を検出する工程。
【0041】
(1−3)携帯端末1若しくはこの携帯端末1が接続されたサーバ4が、前記受信した空間媒介伝達情報をデコードすることで、この携帯端末1の空間位置を特定する工程、
(1−4)携帯端末1若しくはこの携帯端末1が接続されたサーバ4が、前記特定された携帯端末1の空間位置に上記端末機器1の属性情報を関連付けて記憶する工程。
【0042】
以下、上記(1−1)〜(1−4)の各構成要件を順に説明する。
【0043】
(1−1)「情報通信機器が、少なくとも、その空間位置で音、色、光、超音波のうち2以上の組み合わせからなる空間媒介伝達情報を受信する工程」について
「空間媒介伝達情報」としては、上記で音、色、光、超音波(及びそれらの組み合わせ)を挙げたが、これによりその情報通信機器が存在する空間を特定・規定することが可能になるものである。例えば、駅であれば、周囲のバックグラウンド音や照明そのもの、その色、また、可聴域を超える超音波の発信情報である。これらの個々の情報及びそれらの組み合わせによりその空間を特定・規定することが可能になる。
【0044】
また、複数(2以上)の空間媒介伝達情報を組み合わせて多元化することにより、高速で情報を受け取ることが可能になる。すなわち、上述したように、現在のインターネットの「010101・・・」の2進数で表現される伝達手段では単位時間当たりの通信量(通信速度)に限界があり、2020年には現在の1000倍になると目算されている情報量に対応するには、情報伝達手段を多元化する必要がある。
【0045】
また空間媒介伝達情報を利用することにより、インターネットなどのような物理的な線が不要になるし、OSや端末同士の規格を越えてやりとりができる。この方法によれば、街中にあふれるサイネージなどの情報を、次々に受け取ることができる。
【0046】
また、空間媒介伝達情報の場合、生活環境における太陽の光や種々の雑音や雑音の干渉を考慮する必要がある。この発明では、これの課題に対応するために、「音」「超音波」「色」などの複数の通信手段が相補的に働くようにしたから、それらのノイズをフィルタリングアウトできる。
【0047】
また、この実施形態では、携帯端末1そのものが超音波発信器を備え、その端末の向きに応じて水平方向及び高さ方向に反射してきた超音波を検出して、障害物までの距離を計測することができるようになっている。この時受信する超音波も上記空間媒介伝達情報に含まれるものである。このような機能を備えることにより、その空間における情報通信機器の正確な位置を測定することができるし、場合によっては、その室内の寸法を測定することも可能になる。
【0048】
(1−2)「情報通信機器が、少なくとも、上記空間媒介伝達情報を受信した時刻、傾き/方向、加速度のうちの1つ若しくは2以上の組み合わせからなる端末属性情報を検出する工程」について
この工程は、携帯端末1が上記空間媒介伝達情報を受信した際の、その端末自体の属性情報を記録する工程である。具体的には、上記空間媒介伝達情報を受信した際の、少なくとも時刻、傾き/方向、加速度の少なくとも1つである。また、これに加えて、この携帯端末で撮影した映像情報を記録しても良い。また、その端末そのものを第三者が特定することができる情報、例えば電話番号や個人IDを記録するようにしても良い。
【0049】
また、この発明では、上記携帯端末1が一意のデジタル住所(インターネット上にある特定のWebサーバ6のURL)に関連付けられており、このデジタル住所は、上記サーバ4のデジタル住所データベース10に格納される。なお、この携帯端末1がこの時点でデジタル住所を有しない場合には、このサーバ4は、この携帯端末1のために一意のデジタル住所を決定する。なお、それぞれの空間位置に一意のデジタル住所を割り当てることも可能である。
【0050】
(1−3)「情報通信機器若しくはこの情報通信機器が接続されたサーバが、前記受信した空間媒介伝達情報をデコードすることで、この携帯端末の空間位置を特定する工程」について
この工程では、上記(1)の工程で受信した空間媒介伝達情報をデコード(解読)して、その携帯端末1の空間位置Pを特定する。
【0051】
例えば、その空間が特定のコンビニエンスストア(領域A)だったとする。その場合、当該コンビニエンスストア内に流れる音楽、床や天井陳列棚の色、照明、その他可聴域を超える超音波等がこの通信機器により受信される。また、この携帯端末1から発信される超音波の反射波を検出することにより、床や壁までの距離が測定される。
【0052】
この実施形態では、上記空間位置情報処理サーバ4に、それぞれの空間に特異的な空間媒介伝達情報を識別するための音、光、色、超音波の識別情報を格納したデータベース8(空間識別情報データベース)があらかじめ用意されていて、上記携帯端末1は、サーバ4に上記空間媒介伝達情報を問い合わせてその空間を識別・特定する。また、このとき、空間内の位置の特定に、上記超音波の反射を利用する。例えば、超音波により測定される水比叡方向の障害物までの距離により、店舗内における位置が特定される。また、その端末の高さも検出することができる。また、タクシー内の場合(領域B)の場合も同様に、タクシー内の雰囲気情報に基づいてタクシー内に当該携帯端末1が存在することが特定される。
【0053】
上記空間媒介伝達情報のデコードは、この携帯端末1自体が行っても良いしサーバ4が行っても良い。
【0054】
なお、この発明では、上述したように、複数(2以上)の空間媒介伝達情報を互いに組み合わせることで、その空間に漂うノイズをフィルタリングアウトできるように通信プロトコルが定められており、上記デコードはそのプロトコルに従って実行されるものである。
【0055】
(1−4)「携帯端末若しくはこの情報通信機器が接続されたサーバが、前記特定された携帯端末の空間位置に上記端末の属性情報を関連付けて記憶する工程」について
この携帯端末1の属性情報とは、少なくとも、端末を特定する情報(電話番号、個人ID等)、及びこの端末自身が検出できる位置情報、向き(傾き)の情報、加速度の情報の1以上の組み合わせ、である。これを、上記空間位置Pに関連付けることで、空間上に仮想的にその端末の情報を残すことが可能になる。この情報は、前記サーバ4の空間位置タグデータベース9に蓄積されていく。また、この実施形態では、この携帯端末1が関連付けられたWebサーバのURL(デジタル住所)もデジタル住所データベース10として上記サーバに格納される。
【0056】
(3)「前記空間位置情報処理サーバ4が、受信側のカーナビ装置3を、上記携帯端末1の空間位置と前記カーナビ装置3の空間位置の関係に基づいて特定し、当該カーナビ装置3のデジタル住所(一意の用URLを有するカーナビ用Webサーバ5)を特定する工程(図2中のステップS3)」について
上記(1)では携帯端末1の空間位置情報すなわち空間位置タグが空間位置情報処理サーバ4に格納されていることを説明したが、上記カーナビ装置3の空間位置情報すなわち空間位置タグの同様に保存され、上記カーナビ装置3が上記タクシー内に設置されていることが上記サーバ4に登録されている。そして、上述したように、上記カーナビ装置3も一意のデジタル住所(特定のWebサーバ5のURL)が与えられ、これもサーバ4のデジタル住所データベース10に格納されている。
【0057】
なお、このカーナビ装置3の空間位置情報及びデジタル住所は、例えばタクシー会社やカーナビ製造会社によって手動若しくは自動で登録されているものであっても良い。
【0058】
上記(2)の工程で携帯端末1の空間位置が上記特定のタクシー内にあることが検出されると、デジタル住所マッチング部11が、最も近いところにある表示装置として、このタクシー内に設置されたカーナビ装置3を特定し、その結果、上記携帯端末1のデジタル住所とカーナビ装置のデジタル住所とが結びつける。
【0059】
上記携帯端末1とこの端末1からコンテンツを転送する先の他の表示装置(この例ではカーナビ装置3)とのマッチングは、所定のルール、例えば、周囲に複数の表示装置がある場合には最も近接する装置、近接する装置が無い場合等にはこの装置の高さや向いている方向の延長線にある装置等のルールに基づいてなされるようになっている。
【0060】
例えば、2m以内に複数の表示装置が存在する場合には、この携帯端末1の向いている方向の延長線に存在する表示装置との結びつけがなされる。また、周囲に他の表示装置が無い場合には、この携帯端末に最も近いところにある表示装置、若しくはこの携帯端末の向いている方向の延長線に存在する表示装置との結びつけがなされる。
【0061】
なお、このマッチングの際、上記他の表示装置が特定の携帯端末とのマッチングを許可しているかが判別される。例えば、デジタル住所を有する表示装置であっても、特定のメーカや機種の携帯端末とのマッチングしか許可しないものであっても良い。
【0062】
(4)「 乗客が上記携帯端末1上で上記カーナビ装置3に対する地図情報2の送信の指示を入力した場合(例えばフリック動作A)、前記携帯端末1若しくは前記サーバ4が、上記カーナビ装置3に送信したい地図情報2を、上記携帯端末のデジタル住所(携帯端末用Webサーバ5)を介して上記カーナビ装置3のデジタル住所(カーナビ用Webサーバ5)にアップロードする工程(図2中のステップS4)」について
上記のようにして携帯端末1とカーナビ装置3とのマッチングがされた状態で、上記端末1上で所定の動作、例えば、ユーザが画面上を指先でカーナビ側にフリックする操作(図1にAで示す動作)を行った場合、例えば携帯端末1にインストールされた専用アプリ若しくはブラウザにインストールされたアドオン(携帯端末側転送部13)が、まず、この端末1のデジタル住所である携帯端末用Webサーバ6上に、上記地図情報2をアプロードする。この際、地図情報としては、少なくとも行き先を示す地図データ(座標や住所データ)を含むが、画像や動画を含むものであっても良い。現在携帯端末1で撮像している雰囲気情報(画像や音声、表示画面)を含むものでも良い。
【0063】
(5)「上記カーナビ装置3のデジタル住所(カーナビWebサーバ)にアップロードされた地図情報2を上記カーナビ装置にダウンロードしてディプレイ上に表示する工程(図2中のステップS5)」について
ついで、上記サーバ4に設けられたコンテンツ転送部12が、上記携帯端末のデジタル住所(Webサーバ6)アップロードされた地図情報2を、上記カーナビ装置3のデジタル住所(Webサーバ5)に転送・アップロードする。
【0064】
上記カーナビ装置3にインストールされたアプリ(カーナビ側転送部14)が上記カーナビ用Webサーバ5の更新を監視しており、アップロードされた地図情報2をこのカーナビ装置3にダウンロードしてディスプレイ上に表示する。
【0065】
これにより上述したように、図1にαで示すようにユーザがフリック動作を行うことによって、βで示すように携帯端末1に表示された行き先地図情報2がカーナビ装置3にビューンと飛んでいって表示されるような動作を実現することができる。
【0066】
また、この発明は、上記の動作とは逆に、表示装置側から携帯端末側にコンテンツを受け取る場合にも適用することが可能である。
【0067】
図6は、表示装置19に表示されたチラシ20の情報画像から、特定の部分21を携帯端末1上にダウンロードする場合の例を示す概念図である。この場合の処理の流れを示したのが図7のフローチャートである。
【0068】
この例でも、上記携帯端末1と表示装置19とを空間位置に基づいてマッチングし、両者のデジタル住所を関連付けるまでの工程(S1〜S3)は上記の実施形態と同じである。
【0069】
この例では、図6に示すように、ユーザが携帯端末1のカメラを使って表示装置19上のチラシ20を撮像している状態で、チラシ20の特定21の部分(あらかじめクーポンとして区画された箇所等)が画像認識され、図に網掛け示すようにマスクされる等して「ちぎる」ことができることが表示される。これに対してユーザが指で当該部分を手前に引くような動作(γで示す)をすると、上記カーナビ側転送部14が該当箇所の画像を上記表示装置19のデジタル住所(Webサーバ5)にアップロードする(ステップS4)。ついで、上記空間位置情報処理サーバ4が上記画像を上記携帯端末1のデジタル住所(Webサーバ6)に転送する。上記携帯端末の携帯側転送部13は、上記画像をWebサーバ6からダウンロードして携帯端末1上に表示する(ステップS5)。
【0070】
前記表示装置の表示装置側転送部14は、上記表示から当該部分を削除して、図8に示すように表示を更新する(ステップS6)。これにより、上記表示装置19上に表示されたチラシ20から上記部分21をちぎる効果を得ることができる。
【0071】
なお、この発明は上記一実施例に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々変形可能である。
【0072】
例えば、上記一実施例では、上記モノとして、表示装置と携帯装置をあげたが、これに限定されるものではない。また、モノに結び付けられる情報も、上記の実施例では地図情報であったが、これに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0073】
P…空間位置タグ
1…携帯端末
2…地図情報
3…カーナビ装置
4…空間位置情報処理サーバ
5…カーナビ装置のデジタル住所(サーバ)
6…携帯端末のデジタル住所(サーバ)
8…空間媒介伝達情報DB
9…空間位置タグDB
10…デジタル住所DB
11…デジタル住所マッチング部
12…コンテンツ転送部
13…携帯側転送部
14…カーナビ側転送部
19…表示装置
20…チラシ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8