特許第6482940号(P6482940)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482940
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】カメラの取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60R 11/02 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   B60R11/02 C
【請求項の数】5
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2015-91727(P2015-91727)
(22)【出願日】2015年4月28日
(65)【公開番号】特開2016-203936(P2016-203936A)
(43)【公開日】2016年12月8日
【審査請求日】2018年3月1日
(73)【特許権者】
【識別番号】000005463
【氏名又は名称】日野自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】野原 豪
(72)【発明者】
【氏名】森 有一
【審査官】 小河 了一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2013−184662(JP,A)
【文献】 特開2006−092126(JP,A)
【文献】 特開2003−226200(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2015/0251605(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60R 11/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
カメラを車両に取り付けるためのブラケットと、
前記ブラケットを覆うカバーとを備え、
前記ブラケットと前記カバーとのいずれか一方が第1部材であり、
前記ブラケットと前記カバーとのなかで前記第1部材以外が第2部材であり、
前記第1部材は、
互いに対向し、互いに変位可能な一対の側壁部と、
案内突部と、
前記側壁部の内面に嵌合部とを備え、
前記第2部材は、
挿入方向に延びる案内溝であって、前記案内突部が挿入可能な開口が形成され、かつ、前記挿入方向に向けて徐々に溝幅が狭くなる形状を有した前記案内溝と、
前記案内突部が前記案内溝内に収容されるときに前記嵌合部と嵌合し、前記第1部材を前記第2部材に固定する固定部と
溝形状を有し、前記嵌合凸部が進入する側縁部から前記固定凹部に至る案内通路と、
前記案内通路において、前記側縁部から前記固定凹部に向かって順次上昇する傾斜案内部であって、前記嵌合凸部を押圧し前記側壁部を変位させながら前記嵌合凸部を前記固定凹部に案内する傾斜案内部とを備える
カメラの取付構造。
【請求項2】
前記案内突部は、第1案内突部であり、
前記案内溝は、第1案内溝であり、
前記第1部材は、
第2案内突部をさらに備え、
前記第2部材は、
前記第2案内突部が挿入されることで、前記第1案内突部を前記第1案内溝へ案内する
第2案内溝をさらに備える
請求項1に記載のカメラの取付構造。
【請求項3】
前記嵌合部は、前記傾斜案内部との摩擦を小さくする低摩擦部をさらに備える
請求項1または2に記載のカメラの取付構造。
【請求項4】
前記カメラは、前記ブラケットに対する取付突起をさらに備え、
前記ブラケットは、前記取付突起が挿入される挿入溝と、
前記取付突起の前記挿入溝への挿入方向と交差する交差方向に変位する弾性片であって、先端部に、前記挿入溝に挿入された取付突起と係合する係合部を備えた弾性片と、
前記弾性片を挟んで前記挿入溝の反対側に位置し、前記弾性片を前記交差方向に変位可能にする間隙部と、
前記取付突起によって前記係合部が押圧され、前記間隙部の方向に変位する前記弾性片の変位量を規制する規制部とをさらに備える
請求項1からのいずれか1項に記載のカメラの取付構造。
【請求項5】
前記第1案内突部が前記第1案内溝に案内され始めると、前記第2案内突部が前記第2案内溝から離れる
請求項2に記載のカメラの取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両搭載用のカメラの取付構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両内に取り付けられ、フロントガラスを通して車両前方を撮像する車両搭載用のカメラが知られている(特許文献1参照)。一般に、車両搭載用のカメラの取付に際しては、まず、カメラのブラケットがフロントガラスや天井パネルに取り付けられ、この後、ブラケットに対してカメラが取り付けられる。次いで、カメラやブラケットを覆うようにカバーがブラケットに対して取り付けられ、それによって、カメラやブラケットが運転席からは視認されないようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−25930号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したように、このようなカメラの取付に際しては、運転席のフロントガラスや天井パネルにブラケットとカメラとが取り付けられてから、カバーがブラケットに対して取り付けられる。ブラケットが配置される場所は、フロントガラスの他にも、近くに室内ミラー等も含まれている。このため、ブラケットに対してカバーを取り付ける際のカバーの取付方向は自ずと制限される。したがって、カメラの取付構造においては、ブラケットに対するカバーの取付作業が容易な構造が求められる。
【0005】
本発明は、カメラのブラケットに対してカバーの取付作業を容易にすることを可能にしたカメラの取付構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以上のような課題を解決するカメラの取付構造は、カメラを車両に取り付けるためのブラケットと、前記ブラケットを覆うカバーとを備える。前記ブラケットと前記カバーとのいずれか一方が第1部材であり、前記ブラケットと前記カバーとのなかで前記第1部材以外が第2部材である。前記第1部材は、互いに対向し、互いに変位可能な一対の側壁部と、案内突部と、前記側壁部の内面に嵌合部とを備える。前記第2部材は、挿入方向に延びる案内溝であって、前記案内突部が挿入可能な開口が形成され、かつ、前記挿入方向に向けて徐々に溝幅が狭くなる形状を有した前記案内溝と、前記案内突部が前記案内溝内に収容されるときに前記嵌合部と嵌合し、前記第1部材を前記第2部材に固定する固定部と、溝形状を有し、前記嵌合凸部が進入する側縁部から前記固定凹部に至る案内通路と、前記案内通路において、前記側縁部から前記固定凹部に向かって順次上昇する傾斜案内
部であって、前記嵌合凸部を押圧し前記側壁部を変位させながら前記嵌合凸部を前記固定凹部に案内する傾斜案内部とを備える。
【0007】
上記構成によれば、第1部材が第2部材に取り付けられる際に、案内突部が案内溝に挿入され、固定部に嵌合部が嵌合するまで、案内溝によって案内突部が案内される。これにより、第1部材の第2部材に対する取付作業が容易となる。傾斜案内部によって嵌合凸部が押圧され、第1部材の側壁部が変位することで、固定凹部に嵌合凸部が確実に嵌合される。
【0008】
上記カメラの取付構造において、更に、前記案内突部は、第1案内突部であり、前記案内溝は、第1案内溝であり、前記第1部材は、第2案内突部をさらに備え、前記第2部材は、前記第2案内突部が挿入されることで、前記第1案内突部を前記第1案内溝へ案内する第2案内溝をさらに備えていてもよい。
上記構成によれば、第2案内溝によって第2案内突部が案内されることで、第1案内突部を容易に第1案内溝へ案内することができる。
【0009】
上記カメラの取付構造において、前記第1案内突部が前記第1案内溝に案内され始めると、前記第2案内突部が前記第2案内溝から離れるようにしてもよい。
【0010】
上記カメラの取付構造において、前記嵌合部は、前記傾斜案内部との摩擦を小さくする低摩擦部をさらに備えるようにしてもよい。
上記構成によれば、嵌合凸部は、円滑に傾斜案内部を移動することができる。
【0011】
上記カメラの取付構造において、前記カメラは、前記ブラケットに対する取付突起をさらに備えていてもよい。この場合、前記ブラケットは、前記取付突起が挿入される挿入溝と、前記取付突起の前記挿入溝への挿入方向と交差する交差方向に変位する弾性片であって、先端部に、前記挿入溝に挿入された取付突起と係合する係合部を備えた弾性片と、前記弾性片を挟んで前記挿入溝の反対側に位置し、前記弾性片を前記交差方向に変位可能にする間隙部と、前記取付突起によって前記係合部が押圧され、前記間隙部の方向に変位する前記弾性片の変位量を規制する規制部とをさらに備えていてもよい。
上記構成によれば、変位した弾性片が規制部に当接することによって弾性片の変位量が規制され、弾性片が変位し過ぎて折れたり白化することを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施形態におけるカメラ装置の設置状態を示す斜視図である。
図2】ブラケットに取り付けられるカメラの全体構成を示す斜視図である。
図3】カメラが取り付けられたブラケットを前面側から見た斜視図である。
図4】カバーの嵌合凸部を案内する案内通路の断面図である。
図5】ブラケットの挿入溝にカメラの取付突起が挿入された状態を示す側面図である。
図6】ブラケットを覆うカバーの内側を見た斜視図である。
図7】ブラケットにカバーを取り付ける状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図1図7を参照して、カメラの取付構造の実施の形態を説明する。
図1が示すように、カメラの取付構造が適用されるカメラ装置1は、車両搭載用のカメラ装置であって、フロントガラス2と運転席の天井パネル3とで構成されるコーナ部であって、室内ミラー5の近傍に設置される。カメラ装置1は、フロントガラス2を通して車両前方を撮像し、例えば車線維持支援装置の一部として用いられる。
【0014】
このカメラ装置1に適用されるカメラの取付構造は、カメラ4が取り付けられるブラケット11と、カメラ4が取り付けられたブラケット11を覆うカバー31とを備える。ここでは、カバー31が第1部材であり、ブラケット11が第2部材である。図2が示すように、ブラケット11に取り付けられるカメラ4は、前面に窪み部4Aを備え、窪み部4Aの最奥の壁部に、カメラレンズ4Bが配置されている。また、カメラ4は、両側の側面部4Cのそれぞれに、側面部4Cに対して突出したブラケット11に取り付けるための取付突起4Dを備えている。
【0015】
図3が示すように、ブラケット11は、カメラ4をフロントガラス2と天井パネル3とで構成されるコーナ部に取り付けるための取付部材である。ブラケット11は、内部に、カメラ4が配置される空間部11Aが構成されており、前面部12には、カメラ4のカメラレンズ4Bを外部に臨ませる開口部13を備えている。また、前面部12と対向する背面部は、カメラ4の挿入口14を備えている。前面部12の開口部13は、カメラ4の画角に対応した大きさを有し、開口部13の周囲の前面フレーム12Aは、フロントガラス2との接着面となる。前面フレーム12Aは、フロントガラスの傾斜や形状に倣う面形状を有し、ガラス用接着剤等の固定材によって、フロントガラス2に対して固定される。
【0016】
また、ブラケット11は、前面フレーム12Aに対して垂直な一対の側壁部15を備えている。側壁部15には、カバー31をブラケット11に取り付けるための複数の案内部を備えている。なお、案内部は、左右の側壁部15にほぼ同じ構造を有して設けられているので、以下、一方の側壁部15に設けられた案内部を例にとり説明する。
【0017】
側壁部15は、カバー31を案内する第1案内部16を備えている。この第1案内部16は、側壁部15のカバー31が進入される側の側縁部15Aに対してほぼ垂直に延びる直線状の第1壁部16Aで構成されている。第1案内部16には、カバー31がブラケット11に取り付けられたとき、カバー31の第1案内突部33が沿うように位置し、カバー31をブラケット11に取り付ける際の案内面となる。
【0018】
側壁部15は、さらに、第1案内部16と協働してカバー31を案内する第2案内部17を備えている。第2案内部17は、側縁部15Aから側壁部15の中央の方向に向かって湾曲形状を有する第2壁部17Aで構成されている。第1壁部16Aと第2壁部17Aとの間には、第1案内溝18が構成される。第2壁部17Aは、側縁部15Aにおいて、第1壁部16Aと最も離間し、側壁部15の中央に向かって、順次、第1壁部16Aに近づく湾曲部17Bと、湾曲部17Bより側壁部15の中央側において、第1壁部16Aと最も近く、かつ、ほぼ平行な直線部17Cとを備えている。第1案内溝18は、カバー31の第1案内突部33に沿って延び、挿入方向に向けて徐々に溝幅が狭くなる形状を有している。具体的に、第1案内溝18は、側縁部15Aにおいて最も幅広で、側壁部15の中央側において、最も幅狭な形状を有する。直線部17Cと第1壁部16Aとの間では、取付位置に位置するカバー31の第1案内突部33が挟み込まれる。また、第1案内溝18の入口の開口は、第1壁部16Aと第2壁部17Aが最も離間し幅広に構成されていることで、カバー31の第1案内突部33を迎え入れやすい形状を有している。
【0019】
側壁部15は、さらに、第3案内部19を備える。第3案内部19は、側縁部15Aに臨む第1壁部16Aの端部と連続して側縁部15Aに対して、第2壁部17Aとは反対側の方向に斜めに延びる第3壁部19Aで構成されている。第3壁部19Aは、隣り合って第2案内溝20が備えられており、カバー31の第2案内突部34の先端がブラケット11に挿入されるときに当接される。第2案内溝20は、第1壁部16Aの端部と連続して側縁部15Aに対して、第2壁部17Aとは反対側の方向に斜めに延びる第3壁部19Aを備えることで、カバー31の第2案内突部34を迎え入れやすい形状を有している。
【0020】
側壁部15は、カバー31の第1嵌合凸部35が嵌合される固定部としての第1固定凹部21を備えている。第1固定凹部21は、側壁部15の第2案内部17と前面部12との間に設けられ、ほぼ円形形状の窪み部で構成されている。第1固定凹部21と側縁部15Aとの間には、カバー31の嵌合凸部を案内する第1案内通路22を備えている。第1案内通路22は、凹溝形状を有している。図4が示すように、第1案内通路22の底面は、側縁部15Aから第1固定凹部21に向かって順次、上昇する傾斜面である第1傾斜案内部22Aを構成している。そして、第1傾斜案内部22Aの最も高い位置に次ぐ位置には、当該高い位置に対して急峻に窪む第1固定凹部21が設けられている。
【0021】
さらに、第2案内溝20と隣接する位置には、第1固定凹部21と協働してカバー31の第2嵌合凸部36が嵌合される固定部としての第2固定凹部23を備えている。第2固定凹部23は、L字形状の切欠部で構成されている。第2固定凹部23と側縁部15Aとの間には、同様に、カバー31の第2嵌合凸部36を案内する第2案内通路24を備えている。第2案内通路24も、凹溝形状を有しており、第2案内通路24の底面は、側縁部15Aから第2固定凹部23に向かって順次上昇する第2傾斜案内部24Aを構成している。そして、第2傾斜案内部24Aの最も高い位置に次ぐ位置には、当該高い位置に対して急峻に窪む第2固定凹部23が設けられている。
【0022】
図3および図5が示すように、側壁部15は、背面の挿入口14と連続して、カメラ4の挿入方向と平行な挿入溝25を備えている。挿入溝25は、側壁部15の厚さ方向に貫通した溝部で構成され、挿入口14と連続した開口端からカメラ4の取付突起4Dが挿入される。挿入溝25と隣接する位置には、挿入溝25と平行に弾性片26が配置される。弾性片26は、挿入溝25の奥から直線状に延び、先端部に、挿入溝25側に突出した係合部26Aを備えている。弾性片26の挿入溝25とは反対側の位置には、間隙部27が配置され、間隙部27は、弾性片26を、取付突起4Dの挿入方向に対して交差する交差方向に変位可能にする。側壁部15の弾性片26と間隙部27を介して対向する位置には、弾性片26の間隙部27側への変位量を規制する規制部28が配置されている。規制部28は、側壁部15の挿入口14の縁部において、間隙部27の方向に屈曲するように形成されて、間隙部27の幅を狭めている。規制部28は、弾性片26の変位量の大きい先端側において、弾性片26の変位を規制する。
【0023】
ブラケット11の内部にカメラ4を挿入すると、取付突起4Dは、挿入溝25に挿入され、取付突起4Dは、係合部26Aを押圧し、弾性片26を間隙部27の方向に弾性変位させる。弾性片26は、取付突起4Dが係合部26Aを通過すると、元の位置に復帰する。この際、規制部28は、取付突起4Dに押圧され間隙部27の方向に変位した弾性片26の先端部に当接し、弾性片26の変位量を規制する。すなわち、弾性片26が係合部26Aに押圧されて変位し過ぎることを抑制する。一度、取付突起4Dは、挿入溝25に挿入されると、挿入溝25からの脱落方向に移動しても、係合部26Aに係合され、挿入溝25からの脱落が抑制される。
【0024】
図6が示すように、カバー31は、フロントガラス2に取り付けられているブラケット11に対して、ブラケット11を覆うように取り付けられる。カバー31は、フロントガラス2に対向する前面と天井パネル3と対向する上面とが連続した開口部32を備えている。開口部32は、フロントガラス2に当接する第1開口端32Aと天井パネル3に当接する第2開口端32Bとが連続して構成されている。カバー31の互いに対向する側壁部30の内面は、第1案内部16と第2案内部17とに案内される第1案内突部33と、第3案内部19に案内される第2案内突部34とを備えている。互いに対向する2つの側壁部30は、互いに離間する方向に撓むように形成されている。
【0025】
第1案内突部33は、側壁部30の内面において、底面から第1開口端32Aに向かって高さ方向に延設され、第2案内突部34は、底面から第2開口端32Bに向かって高さ方向に延設されている。そして、第1案内突部33と第2案内突部34とは、互い平行に設けられ、第2案内突部34は、第2開口端32Bの近くまで形成され、第1案内突部33は、第1開口端32Aとの間に平坦な部分を有している。このように、第2案内突部34は、第2開口端32Bの近くまで延びることで、第1案内突部33より長く形成されている。
【0026】
これにより、第2案内突部34は、第3案内部19に対して、第1案内突部33が第2案内部17に対して当接するより前に当接し、第1案内突部33が第1案内部16と第2案内部17とに案内されるまでを案内する。これに次いで、第1案内突部33は、第1案内部16と第2案内部17とに案内され始める。この際には、第2案内突部34は、第3案内部19から離れ、案内機能が無くなる。
【0027】
図4および図6が示すように、側壁部30には、第1案内突部33と第1開口端32Aとの間に、第1固定凹部21に嵌合する嵌合部としての第1嵌合凸部35が配置されている。また、第1案内突部33と第2案内突部34との間であって第2案内突部34の近傍には、第2固定凹部23に嵌合する嵌合部としての第2嵌合凸部36が配置されている。第1案内突部33が第1案内部16と第2案内部17とに案内される状態において、第1嵌合凸部35は、第1案内通路22を側縁部15Aから第1固定凹部21へと移動し、次いで、第1固定凹部21に嵌合する。また、第2嵌合凸部36は、第2案内通路24を側縁部15Aから第2固定凹部23へと移動し、次いで、最後に第2固定凹部23に嵌合する。
【0028】
第1嵌合凸部35の先端部は、第1傾斜案内部22Aとの接触部分に面取り部を設け、第1傾斜案内部22Aの傾斜面に対して角部が接触するような場合より摩擦抵抗を小さくし円滑に移動するようにした第1低摩擦部35Aを構成している。また、第2嵌合凸部36の先端部も、第2傾斜案内部24Aとの接触部分に面取り部を設け、第2傾斜案内部24Aとの摩擦抵抗を小さくした第2低摩擦部36Aを構成している。
【0029】
次に、以上のように構成されたカメラ4の取付構造の作用について説明する。
ブラケット11は、カバー31が取り付けられる前に、フロントガラス2に前面フレーム12Aが接着されることで、フロントガラス2と運転席の天井パネル3とで構成されるコーナ部に配置される。この後、ブラケット11には、カメラ4がカメラレンズ4B側を挿入端として、挿入口14から内部の空間部11Aに挿入される。この際、カメラ4の取付突起4Dは、弾性片26を変位させて挿入溝25に挿入される。取付突起4Dは、弾性片26の係合部26Aに係合されることによって、挿入溝25からの脱落が抑制される。
【0030】
ブラケット11にカメラ4が取り付けられると、次に、ブラケット11にはカバー31が取り付けられる。図7が示すように、ブラケット11が取り付けられている位置には、室内ミラー5やフロントガラス2が配置され、カバー31のブラケット11への取付方向が制限されている。したがって、作業者は、自ずと、フロントガラス2と室内ミラー5の間であるブラケット11の下方またはフロントガラス2に沿うような方向からカバー31を天井パネル3側に移動させて、ブラケット11に対しての取付作業を行う。カバー31を開口部32からブラケット11を覆う取付方向に移動させると、最初に、第2案内突部34の開口部32側の先端部が第2案内溝20に進入し、第3案内部19の第3壁部19Aに当接する。カバー31が取付方向に移動されることによって、第2案内突部34の先端部は、第3壁部19Aに沿って移動する。
【0031】
この間において、第1案内突部33の開口部32側の先端部は、第1案内溝18の入口の挿入位置へと案内され、入口より第1案内溝18に挿入され、第2案内部17の湾曲部17Bに当接する。さらに、カバー31が取付方向に移動されると、第1案内突部33の先端部は、第2案内部17の直線部17Cに移動する。これにより、第1案内突部33は、第1案内部16の第1壁部16Aに沿い、第1壁部16Aと直線部17Cとの間に挟まれた収容状態となり、カバー31は、ブラケット11の取付位置に位置する。
なお、第1案内突部33は、第1案内部16の第1壁部16Aに沿うように第1案内溝18に進入したときには、第2案内部17の湾曲部17Bに当接することなく、第1壁部16Aと直線部17Cとの間に挟まれた位置まで移動することもある。
【0032】
第1案内突部33が第1案内溝18を移動する間、第1嵌合凸部35は、第1案内通路22を側縁部15Aから第1固定凹部21へと移動し、第2嵌合凸部36は、第2案内通路24を側縁部15Aから第2固定凹部23へと移動する。この際、カバー31の相対する側壁部30は、第1嵌合凸部35と第2嵌合凸部36が第1案内通路22の第1傾斜案内部22Aと第2案内通路24の第2傾斜案内部24Aを押圧することで、互いに離間する方向に撓み、第1嵌合凸部35が第1案内通路22を通過することと、第2嵌合凸部36が第2案内通路24を通過することを許容する。最終的に、第1嵌合凸部35は、第1固定凹部21に嵌合し、第2嵌合凸部36は、第2固定凹部23に嵌合する。これにより、カバー31は、ブラケット11に対する取付位置において、ブラケット11に取り付けられる。この際、相対する側壁部30は、元の位置に復帰し、この際、クリック感を発生させる。これにより、作業者は、ブラケット11にカバー31が取り付けられたことを認識することができる。
【0033】
なお、誤って、第2案内突部34の先端部が第1壁部16Aと第2壁部17Aとの間の第1案内溝18に進入したときには、第1案内突部33が側縁部15Aに突き当たって、カバー31のブラケット11への取付が不能となる。また、誤って、第1案内突部33が第2案内溝20に進入したときにも、カバー31が室内ミラー5に突き当たってしまったり、側縁部15Aに突き当たったりして、カバー31のブラケット11への取付が不能となる。
【0034】
以上のようなカメラ4の取付構造によれば、以下に列挙する効果が得られる。
(1)第1案内部16と第2案内部17で構成される第1案内溝18は、側縁部15Aにおいて最も幅広な形状を有しているので、第1案内突部33の先端部を迎え入れやすくなる。したがって、多少の第1案内突部33の先端部の第1案内溝18への挿入位置がずれても、第1案内突部33を第1案内溝18に進入させることができる。これにより、カバー31のブラケット11に対する取付作業が容易となる。特に、第1案内溝18が側縁部15Aにおいて最も幅広な形状を有しているので、カバー31をブラケット11に挿入する取付方向の範囲を広くすることができる。これにより、作業者は、第1案内突部33の位置を目視確認することなく、カバー31を取付方向に移動させることができる。
(2)更に、第1案内突部33を第1案内溝18に進入させる前には、第2案内突部34が第2案内溝20に進入し、第3案内部19によって案内されることで、第1案内突部33が第1案内溝18に自ずと進入される。したがって、第1案内突部33を第1案内溝18に進入させる作業が一層簡易なものとなる。更に、第2案内溝20は、第2壁部17Aとは反対側の方向に斜めに延びる第3壁部19Aを備えることで、第2案内突部34の先端部を迎え入れやすくなる。例えば、ブラケット11の下方からフロントガラス2に沿う方向に亘る範囲からカバー31をブラケット11に進入させることができる。
(3)カバー31をブラケット11に固定する第1嵌合凸部35は、第1案内通路22によって、確実に、側縁部15Aから第1固定凹部21まで案内される。また、第2嵌合凸部36も、第2案内通路24によって、確実に、側縁部15Aから第2固定凹部23まで案内される。
(4)第1案内通路22の第1傾斜案内部22Aや第2案内通路24の第2傾斜案内部24Aは、側縁部15Aから徐々に上昇する傾斜面であるので、平坦面で形成したときよりも、終点にある第1固定凹部21や第2固定凹部23を深く形成することができる。これにより、第1嵌合凸部35や第2嵌合凸部36を第1固定凹部21や第2固定凹部23に確実に嵌合し固定することができる。したがって、ブラケット11に対するカバー31の取付を振動等によっても外れにくい強固なものとすることができる。さらに、ねじなどの固定具を用いることなく、カバー31をブラケット11に固定することができる。
(5)第1嵌合凸部35は、先端部に第1低摩擦部35Aを有しており、第2嵌合凸部36は、先端部に第2低摩擦部36Aを有している。したがって、第1嵌合凸部35と第2嵌合凸部36は、容易に、側壁部15の側縁部15Aを第1案内通路22や第2案内通路24に乗り上げることができ、さらに、第1案内通路22や第2案内通路24を円滑に移動することができる。
(6)カメラ4をブラケット11に取り付けるにあたって、弾性片26の変位量は、規制部28によって規制されている。したがって、カメラの取付突起4Dを挿入溝25に挿入する際に、弾性片26が変位し過ぎて折れたり白化することを抑制することができる。そして、弾性片26が折れたり白化することによるブラケット11の交換作業を抑制できる。
【0035】
なお、上記カメラ4の取付構造は、以下のように変更してもよい。
・弾性片26の変位量を規制する規制部28は、間隙部27を介した弾性片26と対向する位置に配置するのではなく、弾性片26において間隙部27側に突出するように配置してもよい。さらに、間隙部27を介した弾性片26と対向する位置と弾性片26の両方に配置するようにしてもよい。さらに、規制部28は、弾性片26の基端側に配置するようにしてもよい。
・規制部28は、間隙部27の幅が狭く、間隙部27の幅そのもので変位量が規制され弾性片26が折れたり白化するほどに変位しないのであれば、割愛してもよい。
・第1嵌合凸部35の第1低摩擦部35Aや第2嵌合凸部36の第2低摩擦部36Aは、割愛してもよい。例えば、カバー31の相対する側壁部30が撓みやすいのであれば、第1低摩擦部35Aや第2低摩擦部36Aを割愛してもよい。また、第1案内通路22や第2案内通路24に潤滑剤等を塗布し低摩擦とすれば、割愛することもできる。
・第1案内通路22の第1傾斜案内部22Aや第2案内通路24の第2傾斜案内部24Aは、例えば、第1嵌合凸部35と第1固定凹部21との嵌合や第2嵌合凸部36と第2固定凹部23との嵌合を十分に維持できる場合には、割愛してもよい。
・第3案内部19は、第1嵌合凸部35が第1固定凹部21に嵌合し、第2嵌合凸部36が第2固定凹部23に嵌合するまで、第2案内突部34を案内するようにしてもよい。また、第1案内溝18の側縁部15Aの幅を十分に広くでき、第1案内突部33を容易に第1案内溝18に挿入できるのであれば、第3案内部19を割愛してもよい。
・嵌合部としての第1嵌合凸部35および第2嵌合凸部36を凹部で構成し、固定部としての第1固定凹部21および第2固定凹部23を凸部で構成してもよい。
・第1案内部16の第1壁部16Aは、直線状ではなく、湾曲した形状であってもよい。例えば、第1壁部16Aは、側縁部15Aの端部が第3案内部19側に湾曲し、第1案内溝18の入口を広げる構成となっていてもよい。これにより、カバー31の挿入方向の範囲を広くすることができる。
・第1案内部16と第2案内部17とをカバー31の一対の側壁部30の内面に設けて、カバー31を第2部材とし、第1案内突部33と第2案内突部34とをブラケット11の一対の側壁部15に設けて、ブラケット11を第1部材としても、同様な効果を得ることができる。
・ブラケット11は、前面がフロントガラス2に固定されるのではなく、天井パネル3に固定されてもよいし、フロントガラス2と天井パネル3の両方に固定されてもよい。
・以上の例では、車線維持支援装置に用いるカメラ装置を例に説明したが、特にこの用途の車両搭載用のカメラ装置に限定されるものではない。例えば、運転席に設置される運転席撮影用のカメラであったり、車室に設置され車両の後方を撮影するカメラであってもよい。
【符号の説明】
【0036】
1…カメラ装置、2…フロントガラス、3…天井パネル、4…カメラ、4A…窪み部、4B…カメラレンズ、4C…側面部、4D…取付突起、5…室内ミラー、11…ブラケット、11A…空間部、12…前面部、12A…前面フレーム、13…開口部、14…挿入口、15…側壁部、15A…側縁部、16…第1案内部、16A…第1壁部、17…第2案内部、17A…第2壁部、17B…湾曲部、17C…直線部、18…第1案内溝、19…第3案内部、19A…第3壁部、20…第2案内溝、21…第1固定凹部、22…第1案内通路、22A…第1傾斜案内部、23…第2固定凹部、24…第2案内通路、24A…第2傾斜案内部、25…挿入溝、26…弾性片、26A…係合部、27…間隙部、28…規制部、30…側壁部、31…カバー、32…開口部、32A…第1開口端、32B…第2開口端、33…第1案内突部、34…第2案内突部、35…第1嵌合凸部、35A…第1低摩擦部、36…第2嵌合凸部、36A…第2低摩擦部。
図1
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図7