(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記設置手段が、斜面に打設されるアンカーによって構成され、前記ベース部材に対して、当該ベース部材に固定される前記サポート支柱よりも斜面山側に、前記アンカーが固定されることを特徴とする請求項5に記載の防護柵。
前記下部支柱及び前記上部支柱がH型鋼で形成され、両者の接続端部において、H型鋼のウェブとフランジの間の空間部にボルト挿通穴が配されるプレートがそれぞれ固定され、前記接続部材にもボルト挿通穴が形成されていることにより、前記プレートのボルト挿通穴と前記接続部材のボルト挿通穴とにボルトが挿通・締結されて、前記下部支柱と前記上部支柱が前記接続部材を介して接続されることを特徴とする請求項2乃至請求項7の何れか1つに記載の防護柵。
前記設置手段が、斜面に打設されるアンカーによって構成され、前記ベース部材に対して、当該ベース部材に固定される前記サポート支柱よりも斜面山側に、前記アンカーが固定されることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載の予防杭。
前記下部支柱及び前記上部支柱がH型鋼で形成され、両者の接続端部において、H型鋼のウェブとフランジの間の空間部にボルト挿通穴が配されるプレートがそれぞれ固定され、前記接続部材にもボルト挿通穴が形成されていることにより、前記プレートのボルト挿通穴と前記接続部材のボルト挿通穴とにボルトが挿通・締結されて、前記下部支柱と前記上部支柱が前記接続部材を介して接続されることを特徴とする請求項10乃至請求項16の何れか1つに記載の予防杭。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1で例示されるごとく、従来の雪崩防止用の予防施設は、斜面に対して垂直に設置される支柱(特許文献1における支柱3)に対して横部材(特許文献1における梁材4)を設けるものである。即ち、
図22に示されるように、雪受け部200が鉛直方向に対して傾いて設置されるものであり、鉛直上方から見た際に、
図22(a)中の点線Bで示される範囲が影となるものであった。
雪は基本的には鉛直方向に降り積もるものであり、従って、
図22(a)に示されるように、本来Bで示される範囲に積雪するはずの雪が、矢印Aで示されるごとく雪受け部200近傍の上方に降り積もる(雪受け部200付近において、雪が、積雪量以上の嵩高となってしまう)こととなる。これにより、
図22(b)に示されるように、雪庇Cが形成されやすくなってしまうものであった。雪庇Cが形成されると、雪庇Cの崩落に起因した雪崩が発生する危険性があるため、従来の防護柵においては、柵の高さを積雪量に対してより高く設定することや、雪庇Cを落とす作業等の対策をすることが必要になってしまうものであった。
【0005】
本発明は、上記の点に鑑み、雪庇の形成が抑止される予防施設を提供することを目的とし、また、設置斜面の傾斜角度の相違に対応させることが可能な予防施設を提供することを目的する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(構成1)
雪崩の発生を抑止するために斜面上に設けられる予防施設であって、予防施設を斜面上の所定位置に設置するための設置手段と、前記設置手段と接続される下部材と、前記下部材の上方に、略鉛直に設けられる上部材と、前記下部材と前記上部材の間に設けられ、前記上部材が略鉛直となるように角度調整するための接続部材と、を備えることを特徴とする予防施設。
【0007】
(構成2)
構成1記載の予防施設である防護柵であって、前記下部材である複数の下部支柱と、前記上部材である複数の上部支柱と、前記上部支柱間又は前記下部材間の何れか又は双方において支持される雪受部材と、を備えることを特徴とする防護柵。
【0008】
(構成3)
前記接続部材が、側面視において台形形状をしていることにより、前記上部支柱が略鉛直となるように角度調整されることを特徴とする構成2に記載の防護柵。
【0009】
(構成4)
前記接続部材が、自在継手であることを特徴とする構成2に記載の防護柵。
【0010】
(構成5)
前記下部材が、前記下部支柱に対して斜面山側に設けられ、前記下部支柱又は前記上部支柱と接続されるサポート支柱と、前記設置手段と接続され、前記下部支柱及び前記サポート支柱が固定されるベース部材と、を備えることを特徴とする構成2乃至構成4の何れか1つに記載の防護柵。
【0011】
(構成6)
前記設置手段が、斜面に打設されるアンカーによって構成され、前記ベース部材に対して、当該ベース部材に固定される前記サポート支柱よりも斜面山側に、前記アンカーが固定されることを特徴とする構成5に記載の防護柵。
【0012】
(構成7)
前記下部材が、前記下部支柱に対して斜面山側となる位置に、斜面に対して略垂直に設けられるサポート支柱を備え、前記サポート支柱の長さが、想定積雪深の1/4以上であることを特徴とする構成2乃至構成6の何れか1つに記載の防護柵。
なお、ここでいう「想定積雪深」とは、本防護柵の仕様(設計基準)として想定されている積雪深をいう。
【0013】
(構成8)
前記下部支柱及び前記上部支柱がH型鋼で形成され、両者の接続端部において、H型鋼のウェブとフランジの間の空間部にボルト挿通穴が配されるプレートがそれぞれ固定され、前記接続部材にもボルト挿通穴が形成されていることにより、前記プレートのボルト挿通穴と前記接続部材のボルト挿通穴とにボルトが挿通・締結されて、前記下部支柱と前記上部支柱が前記接続部材を介して接続されることを特徴とする構成2乃至構成7の何れか1つに記載の防護柵。
【0014】
(構成9)
構成2若しくは構成3、又は、構成4に従属しない構成5乃至構成8の何れか1つに記載の防護柵を設置するための形成方法であって、調整角度が異なる前記接続部材を複数種類用意し、防護柵を設置する場所の位置出しを行う工程と、前記設置手段を設置する工程と、前記下部支柱を設置する工程と、前記設置した下部支柱に対し、前記上部支柱が略鉛直となるように角度調整できる前記接続部材を選択する工程と、前記選択した接続部材によって、前記下部支柱の上方に前記上部支柱を設置する工程と、前記上部支柱間に前記雪受部材を設置する工程と、を備えることを特徴とする防護柵形成方法。
【0015】
(構成10)
構成1記載の予防施設である予防杭であって、前記下部材である下部支柱と、前記上部材である上部支柱と、を備えることを特徴とする予防杭。
【0016】
(構成11)
前記接続部材が、側面視において台形形状をしていることにより、前記上部支柱が略鉛直となるように角度調整されることを特徴とする構成10に記載の予防杭。
【0017】
(構成12)
前記接続部材が、自在継手であることを特徴とする構成10に記載の予防杭。
【0018】
(構成13)
前記下部材が、前記下部支柱に対して斜面山側に設けられ、前記下部支柱又は前記上部支柱と接続されるサポート支柱と、前記設置手段と接続され、前記下部支柱及び前記サポート支柱が固定されるベース部材と、を備えることを特徴とする構成10乃至構成12の何れか1つに記載の予防杭。
【0019】
(構成14)
前記下部支柱が複数設けられることを特徴とする構成13に記載の予防杭。
【0020】
(構成15)
前記設置手段が、斜面に打設されるアンカーによって構成され、前記ベース部材に対して、当該ベース部材に固定される前記サポート支柱よりも斜面山側に、前記アンカーが固定されることを特徴とする構成13又は構成14に記載の予防杭。
【0021】
(構成16)
前記下部材が、前記下部支柱に対して斜面山側となる位置に、斜面に対して略垂直に設けられるサポート支柱を備え、当該サポート支柱の長さが、想定積雪深の1/4以上であることを特徴とする構成10乃至構成15の何れか1つに記載の予防杭。
なお、ここでいう「想定積雪深」とは、本予防杭の仕様(設計基準)として想定されている積雪深をいう。
【0022】
(構成17)
前記下部支柱及び前記上部支柱がH型鋼で形成され、両者の接続端部において、H型鋼のウェブとフランジの間の空間部にボルト挿通穴が配されるプレートがそれぞれ固定され、前記接続部材にもボルト挿通穴が形成されていることにより、前記プレートのボルト挿通穴と前記接続部材のボルト挿通穴とにボルトが挿通・締結されて、前記下部支柱と前記上部支柱が前記接続部材を介して接続されることを特徴とする構成10乃至構成16の何れか1つに記載の予防杭。
【0023】
(構成18)
前記上部支柱又は前記下部材の何れか又は双方に、梁部材が備えられることを特徴とする構成10乃至構成17の何れか1つに記載の予防杭。
【0024】
(構成19)
前記梁部材が上下方向に複数本備えられ、下側に備えられる梁部材より上側に備えられる梁部材の方が短く形成されていることを特徴とする構成18に記載の予防杭。
【0025】
(構成20)
前記梁部材が、前記上部支柱又は前記下部材に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする構成18又は構成19に記載の予防杭。
【発明の効果】
【0026】
本発明の防護柵及び防護柵形成方法によれば、上部材が略鉛直となるように設置されるため、雪庇の形成が抑止される。また、支柱を上部材と下部材に分割し、これらを角度調整するための接続部材で接続する構成としているため、設置斜面の傾斜角度の相違に対応させることが可能であり、汎用性が高い。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明の実施態様について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、以下の実施態様は、本発明を具体化する際の一形態であって、本発明をその範囲内に限定するものではない。
【0029】
<実施形態1>
図1(側面図)及び
図2(正面図:斜面山側から見た図)に示されるように、本実施形態の防護柵(予防施設)1は、複数の下部支柱12(下部材)と、当該下部支柱12の上方に略鉛直に設けられる複数の上部支柱11(上部材)と、下部支柱12と上部支柱11の間に設けられ、上部支柱11が略鉛直となるように角度調整するための接続部材15と、下部支柱12に対して斜面山側に設けられ、下部支柱12と接続されるサポート支柱13(下部材)と、防護柵1を斜面上の所定位置に設置するための設置手段であるアンカー17と、当該アンカー17と接続され、下部支柱12及びサポート支柱13が固定されるベース部材14(下部材)と、上部支柱11の間(及びサポート支柱13の間)において支持される梁材(雪受部材)16等によって構成される。
なお、本明細書中における「鉛直」とは、雪庇形成低減効果(後に詳述する)がある範囲における上部材の角度をいうものとする。
【0030】
図3は、上部支柱11を示す図である。本実施形態においては、上部支柱11、下部支柱12、サポート支柱13は、それぞれH型鋼を加工して形成されたものである。
上部支柱11には、梁材16を取り付けるための取付穴11aが形成される。また、
図3(c)に示されるように、底面部(下部支柱12との接続端部)において、ウェブとフランジの間の空間部にボルト挿通穴112aが配されるプレート112が固定(溶接)される。
【0031】
図4は、下部支柱12を示す図である。下部支柱12は下端部を側面視において斜めにカット(本実施形態では45度でカット)され、当該切断面と略同一平面上であり斜面谷側となる側に、ベース部材14に取り付けるための取付穴123aが形成された接続プレート123が配される。接続プレート123は、補強プレート121によって下部支柱12に固定(溶接)される。
また、
図4(c)に示されるように、上面部(上部支柱との接続端部)において、ウェブとフランジの間の空間部にボルト挿通穴122aが配されるプレート122が固定(溶接)される。
【0032】
図5は、サポート支柱13を示す図である。サポート支柱13は上端部を側面視において斜めにカット(本実施形態では45度でカット)され、梁材16を取り付けるための取付穴13aが形成される。
また、下面部(ベース部材14との接続端部)において、ウェブとフランジの間の空間部にボルト挿通穴が配されるL字プレート132が固定(溶接)される。
なお、サポート支柱13は、斜面に対して略垂直に設けられ、その長さが想定積雪深の1/4以上となるように形成されることが望ましい。
【0033】
図6は、ベース部材14を示す図である。
図6に示されるように、ベース部材14は、矩形の外形を有する板状の部材であり、下部支柱12の接続プレート123を取り付けるための取付穴14aと、サポート支柱13のL字プレート132を取り付けるための取付穴14bが形成され、斜面谷側の先端部においてソリ状に屈曲している。
また、サポート支柱13の取り付け位置(取付穴14b付近)よりも斜面山側になる箇所に、アンカー17を挿通するための穴が形成され、当該穴にリング状の部材であるアンカーガイド141が形成(全周溶接により固定)される。アンカーガイド141の側面には、アンカー17を取り付けるための取付穴141aが形成される。
なお、本実施形態においては、ベース部材14に、下部支柱12を取り付けるための接続プレート123(及び補強プレート121)や、サポート支柱13を取り付けるためのL字プレート132等が、それぞれ支柱側に固定されているものを例としているが、これらの接続のための部材が、ベース部材14側に設けられる(固定されている)ものであっても構わない。
【0034】
図7は、下部支柱12とサポート支柱13と接続プレート19とを組み付けた状態を示す側面図である。本実施形態では、下部支柱12とサポート支柱13とを溶接により固定し、下部支柱12とサポート支柱13の間の下端部分に接続プレート19を配して、これらを更に溶接することにより、一体的構造としている。本実施形態では、予め下部支柱12とサポート支柱13と接続プレート19とを組み付けた下部構造体を形成しておくものを例としている(なお、さらにベース部材14を組み付けて下部材を形成しておくものであってもよい)。上記各構成及び図から理解されるように、本実施形態においては、サポート支柱13とベース部材14との間の角度が略90度に形成される(即ち、斜面に対してサポート支柱が略垂直となる)ものである。
なお、下部構造体として、
図13に示したものを用いてもよい。
図13で示した下部構造体では、
図7の接続プレート19に替えて、接続プレート29(
図14)を用いている。
図14に示される接続プレート29は、ベース部材14´(
図15)上に平行に設置されるものであり、上面視略T字状の接続プレート29のT字の交差部分に対してサポート支柱13の下端部が溶接によって接続される。また、下部支柱12´とサポート支柱13も相互に溶接によって接続される。接続プレート29と、下部支柱12´、サポート支柱13の間は、それぞれリブプレート19´によって接続(溶接)される。
これらにより、下部支柱12´とサポート支柱13と接続プレート29が一体化されることで下部構造体が形成される。当該下部構造体の接続プレート29が、ベース部材14´に対してボルトによって締結されることで、下部材が構成される。
図14、
図15に示されるように、接続プレート29とベース部材14´とのボルト締結のため、接続プレート29とベース部材14´には、それぞれ対応する位置に、ボルト挿通孔29aとボルト挿通孔14´aが形成される。
【0035】
図8は、接続部材15及びそのバリエーションを示す図である。接続部材15は、側面視において台形形状をしており、その角度を変えた複数種類が用意される。ここでは一例として、傾斜角度がゼロであるもの(
図8(a))、3度であるもの(
図8(b))、5度であるもの(
図8(c))、10度であるもの(
図8(d))をそれぞれ示している。
接続部材15には、上部支柱11のプレート112に形成されたボルト挿通穴112a及び下部支柱12のプレート122に形成されたボルト挿通穴122aのそれぞれと対向する位置に形成されるボルト挿通穴15aが形成される。
なお、「側面視において台形形状」とは、接続部材15の側面形状が台形形状であることに限定されるというものではなく、
図8(a)〜(d)の下側の図に示されるように、その断面の外形が台形形状であることを示すものである。
【0036】
次に、上記各部材を用いて本実施形態の防護柵1を傾斜面上に形成する形成方法について説明する。
【0037】
先ず、防護柵1を設置しようとする傾斜面において、防護柵1を設置する位置出しを行う。本実施例では、
図2に示されるように2スパンを1ユニットとした防護柵を例としており、通常は、このようなユニットが多数設置(斜面に対して、水平方向及び上下方向に複数設置)されるものであり、先ずは設置現場の状況に応じて、これら各ユニットの設置位置を決定するものである。
【0038】
次に、上記決定した設置位置に応じて、アンカー17を打設(斜面に対して垂直に打設)する。本実施形態のアンカー17は、アンカー上部材17aとアンカー下部材17bとを備えるものを例としている。
アンカー上部材17aはパイプ状の部材であり、主に傾斜面に沿う方向の力(せん断荷重)に対抗する作用を有し、アンカー下部材17bは、引抜き方向(傾斜面に垂直な方向)の力(引抜き荷重)に対抗する作用を有する。これにより、アンカー17は、傾斜面に沿う方向および引抜き方向のいずれの力に対しても優れた耐力を発揮するため、傾斜面が土砂部であるような場合において好適である(傾斜面が岩盤である場合には、アンカー上部材17aは特に必要ない)。
【0039】
アンカー17の打設後に、アンカー17の地表に出ている頭部に対してベース部材14のアンカーガイド141を挿通し、アンカー17の頭部に形成されている取付穴と、アンカーガイド141の側面の取付穴141aとにボルトを挿通して締結することで、強固にベース部材14を固定する。このベース部材14に対して、上記説明した
図7の下部構造体をボルトで締結・固定する(前述のごとく、下部材としてベース部材14も予め組み付けておくものであってもよく、その場合には、ここでの組み付け工程は不要である)。これにより、下部支柱12、サポート支柱13、接続プレート19及びベース部材14で構成される下部材が、斜面上に固定される。
【0040】
次に、設置面若しくはベース部材または下部支柱12等の角度を測定し(測定自体は予め測定しておくものであってよい)、上部支柱11が最も鉛直に近くなるように、接続部材15を選択し(
図8に例示したような、傾斜角度の異なる接続部材の中から最適なものを選択する)、これを用いて、下部支柱12の上方に上部支柱11を設置(ボルトで締結・固定)する。なお、設置面等の角度の測定は必須という訳ではなく、適宜接続部材を選択することで、上部支柱11が略鉛直となるものであればよい。
【0041】
図9に、接続部材15を介して上部支柱11と下部支柱12とを接続した状態を例示した。同図から理解されるように、防護柵1を設置する傾斜面の傾斜角度の相違に対して、角度を変えた接続部材15を用いることで、常に上部支柱11を略鉛直に設置することが可能となるものである。本実施形態においては基準を45度とし、設置面が45度である場合には、角度ゼロの接続部材15(
図8(a))を使用し(
図9上段の右端)、傾斜が基準(45度)より大きい場合にはそれに応じて各角度の接続部材15を使用し(
図9上段の各図)、傾斜が基準(45度)より小さい場合にはそれに応じて各角度の接続部材15を使用する(
図9下段の各図)ものである。なお、角度が同一であれば、接続部材15を反転させて使用することで、傾斜が基準より大きい場合、小さい場合の何れにも共通して接続部材15を使用することができる。
【0042】
上記したアンカー17の打設、下部構造体の固定、上部支柱11の取付を3つ分行うことにより、
図2に示されるように、1ユニット分の支柱(支柱3本)の設置が終了する。
最後に、上部支柱11及びサポート支柱13に対して、Uボルト18を用いて梁材16を固定することにより、防護柵1の1ユニット分の施工が終了する。(なお、図示を省略しているが、筋交いを各支柱間(上部支柱間、又は下部支柱間)に設置して補強を行う。)
【0043】
以上のごとく構成される本実施形態の防護柵1によれば、
図10(a)に示されるように、
図22(b)の従来の防護柵のように、雪受部材付近において雪が積雪量以上の嵩高となって雪庇Cが形成されることが抑止される。即ち、鉛直上方から見た際に影となる部分B(
図22(a))が生じることが、本実施形態の防護柵1では抑止されているため、
図22(a)、(b)で説明したような従来の防護柵で生じる雪庇の形成が抑止されるものである。これにより、雪庇の崩落に起因した雪崩の発生も抑止されるものであり、非常に有用である。(柵の高さを積雪量に対してより高く設定する必要性がなくなり、又、雪庇落とし作業が不要になるなど、従来の防護柵に比してコストダウンすることができる。)
【0044】
また、
図22(c)に示されるように、雪庇Cが形成されると、その谷側にある道路や民家では、不安感や圧迫感を受けるものであるが、
図10(b)に示されるように、本実施形態の防護柵1によれば、そのような不安感や圧迫感が大きく軽減されるため、実体的な雪崩防止効果のみならず、住民等の心理面に対しても有用なものである。
【0045】
さらに、次のような効果も考えられる。
図22(b)の従来の防護柵のように雪庇Cが形成されると、防護柵の上端部に大きな荷重がかかることとなる。これは、防護柵を谷側に倒すように働く大きなモーメントとなる(支柱の根元部分を原点としたモーメントであり、半径(≒柵の高さ)が最大となる付近で荷重がかかるため、モーメントが大きくなる)ものであり、防護柵の破損や転倒のおそれがあるものである(そのため、より強度を持たせた設計が必要であり、コスト高の原因となり得る)。
これに対し、本実施形態の防護柵1によれば、前述のごとく雪庇の形成が抑止されるため、このような転倒方向に働くモーメントの増大も抑止され得るものである。
【0046】
上述のごとく、上部支柱を略垂直に形成することにより、雪庇の形成が抑止されるため非常に有用なものであるが、防護柵が設置される斜面はその傾斜が一定であることはほとんどなく(自然斜面はもとより、成形斜面でも傾斜が均一でないことが多い)、従って、「支柱を略鉛直に形成」しようとすると、現地におけるそれぞれの傾斜に合わせた部材の加工や設置作業などを要することになる(施工期間の長期化やコスト高となる)。
また、防護柵の高さは5〜6mになるものもあり、小さな角度の相違でも、支柱の上端部では大きな位置ずれが生じてしまう。梁材を取り付けるためには、隣り合う支柱同士の相対位置を合わせることが必要であり、その面でも、現地におけるそれぞれの傾斜に合わせた各部材の加工や設置などが必要になってしまうものであった。
これに対し、本実施形態の防護柵1によれば、上記説明のごとく、角度の異なる接続部材15を複数種類用意しておくによって、斜面の傾斜の相違を吸収することが可能である。これにより、接続部材15以外の部材(上部支柱11や下部材など)を共通化することが可能であることによるコストダウン、現地での施工作業の画一化によるコストダウン及び施工時間の短縮などが図られ、非常に有用である。
【0047】
また、本実施形態の防護柵1によれば、雪受部材としての梁材16が取り付けられるサポート支柱13が、斜面に対して略垂直に設けられ、且つ、その長さが想定積雪深の1/4以上となるように形成されることにより、積雪下層部においては従来と同様の作用効果を有することができる。
即ち、積雪の下層における圧密部分(圧力により密度が高く、単位体積当たりの重量も大きい、固まった部分)を、斜面に対して略垂直となる面(斜面に対して略垂直に設けられるサポート支柱13に取り付けられた梁材16によって形成される“雪受面”)により保持し、これにより、防護柵1の安定化が図られるものである。
【0048】
<実施形態2>
図16は、実施形態2の予防杭(予防施設)を示す図であり、(a):背面図、(b)側面図、(c):正面図である。
実施形態1と同様の構成要素については、実施形態1と同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0049】
図16(a)〜(c)に示されるように、本実施形態の予防杭2は、下部支柱12´(下部材)と、当該下部支柱12´の上方に略鉛直に設けられる上部支柱11´(上部材)と、下部支柱12´と上部支柱11´の間に設けられ、上部支柱11´が略鉛直となるように角度調整するための接続部材15と、下部支柱12´に対して斜面山側に設けられ、下部支柱12´と接続されるサポート支柱13´(下部材)と、予防杭2を斜面上の所定位置に設置するための設置手段であるアンカー17と、当該アンカー17と接続され、下部支柱12´及びサポート支柱13´が固定されるベース部材14´(下部材)等によって構成される。
【0050】
上部材である上部支柱11´は基本的に実施形態1の上部支柱11と同様の構成であるが、実施形態1の上部支柱11に設けられていた梁材16を取り付けるための取付穴11aはない(あっても構わない)。
【0051】
下部材である下部支柱12´、サポート支柱13´、ベース部材14´についても基本的に実施形態1と同様であり、下部支柱12´、サポート支柱13´、ベース部材14´を組み合わせる際の構成が、
図13〜15に示したものと同様の構成となっている。
【0052】
接続部材15及びアンカー17については実施形態1と同様のものであるので、ここでの説明を省略する。
【0053】
以上の構成を有する本実施形態の予防杭2は、主に全層雪崩の予防として、斜面に複数設置されるものである。
本実施形態の予防杭2は、杭であるため、実施形態1に比べると雪庇の形成の抑止という効果は小さいといえるが、やはり実施形態1と同様の効果を得ることができる。
即ち、上部材(上部支柱11´)が略鉛直に設置されるため、
図10に示される実施形態1と同様に、予防施設の有無が積雪状態に変化をきたすことが可及的に軽減される。「積雪状態の変化」は、即ちそこに何らかのエネルギーの蓄積や集中が起こり得るものであり(
図22(b)の雪庇や空洞)、これが雪崩の誘発原因となり得るものであるが、本実施形態の予防杭2によれば、これが抑止されるものである。
【0054】
<実施形態3>
図17は、実施形態3の予防杭(予防施設)を示す図であり、(a):背面図、(b)側面図、(c):正面図である。
実施形態1又は2と同様の構成要素については、実施形態1又は2と同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0055】
図17(a)〜(c)に示されるように、実施形態3の予防杭2´は、下部支柱12´(下部材)と、当該下部支柱12´の上方に略鉛直に設けられる上部支柱11(上部材)と、下部支柱12´と上部支柱11の間に設けられ、上部支柱11が略鉛直となるように角度調整するための接続部材15と、下部支柱12´に対して斜面山側に設けられ、下部支柱12´と接続されるサポート支柱13(下部材)と、予防杭2´を斜面上の所定位置に設置するための設置手段であるアンカー17と、当該アンカー17と接続され、下部支柱12´及びサポート支柱13が固定されるベース部材14´(下部材)と、上部支柱11によって支持される梁部材26等によって構成される。
【0056】
上部支柱11、接続部材15及びアンカー17は、実施形態1と同様のものである。
【0057】
下部材(下部支柱12´、サポート支柱13、ベース部材14´、接続プレート29)の構成は、基本的に実施形態2と同様である(ただし、本実施形態においては、サポート支柱13において梁部材26を支持している点で異なる)。
【0058】
実施形態3の予防杭2´は、実施形態2の予防杭2に対して、梁部材26を設けたものである。
梁部材26は、実施形態1の梁材16と同様に、上部支柱11及びサポート支柱13に対して、Uボルト18を用いて固定される。
【0059】
以上の構成を有する本実施形態の予防杭2´は、主に全層雪崩の予防として、斜面に複数設置されるものであるが、設置位置や数によって、実施形態1の防護柵と同様に、表層雪崩にも対応可能とすることができる。
本実施形態の予防杭2´も、実施形態1や2と同様の効果を得ることができる。
【0060】
本実施形態の予防杭2´の構成から明らかなように、梁部材26は任意に着脱可能である。従って、状況に応じて実施形態2の防護柵2とすることもできる。
従来の雪崩防止用の防護柵は、通常、一度設置した後にその仕様を変更することは非常に困難であるが、本実施形態の予防杭2´によれば、梁部材の設定の有無や、設置位置や数の変更によって、事後的にその仕様を変更することができるため、環境変化等に柔軟に対応することができ、非常に有用である(例えば、設置当初は全層雪崩対策として梁部材26を備えない予防杭として設置し、周囲の環境変化や気候変化等に対応させて、表層雪崩対策もできるように、事後的に梁部材26を備えさせる等)。
【0061】
<実施形態4>
図18は、実施形態4の予防杭(予防施設)を示す図であり、(a):背面図、(b)側面図である。
実施形態1〜3と同様の構成要素については、実施形態1〜3と同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0062】
実施形態4の予防杭3は、下部材以外は実施形態2と同様の構成である。
【0063】
実施形態4の予防杭3における下部材は、下部支柱32が2本で形成されている点で、実施形態2と異なる。
図18(a)に示されるように、本実施形態の下部支柱32は、接続部材15から下方に二股に分かれるような構成となっており、この下部支柱32とサポート支柱13´及びベース部材34によってトラス構造を構成する。
図19は、本実施形態のベース部材34を示す上面図である。同図に示されるように、ベース部材34が、下部支柱32に対応する形で、二股状に形成される。なお、本実施形態における2本の下部支柱32の間の角度(二股の角度)は45度である。2本の下部支柱32同士、また、2本の下部支柱32とサポート支柱13´とのそれぞれの接合は、それぞれの部材がつきあたる部分をカットすることによって接合面を形成し、当該接合面を溶接することによって行う。
【0064】
本実施形態の予防杭3も、実施形態1や2と同様の効果を得ることができる。
また、本実施形態の予防杭3によれば、下部材がトラス構造となるため、実施形態2の予防杭2に比して、強度が高く、予防杭3のズレや倒れも抑止される。
なお、ここでは、下部支柱を2本とするものを例としたが、サポート支柱を2本としてトラス構造とするものであっても構わない。また、下部支柱(又はサポート支柱)を2本以上設けるようなものであっても構わない。
【0065】
<実施形態5>
図20は、実施形態5の予防杭(予防施設)を示す図であり、(a):背面図、(b)側面図である。
実施形態1〜4と同様の構成要素については、実施形態1〜4と同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0066】
実施形態5の予防杭3´は、実施形態4の予防杭3に対して、梁部材26を設けたものである。
上部材及び梁部材26の構成は実施形態3と同様であり、下部材の構成は実施形態4と同様である。
【0067】
本実施形態の予防杭3´によれば、実施形態1〜4と同様の効果を得ることができる。即ち、雪崩の誘発原因となり得る雪庇や空洞の形成が抑止され、梁部材26が任意に着脱可能であることにより状況に応じて予防杭から防護柵的な機能を備えさせることが可能であり、下部材がトラス構造となるため強度が高く、予防杭3のズレや倒れも抑止される。
【0068】
<実施形態6>
図21は、実施形態6の予防杭(予防施設)を示す背面図である。
実施形態1〜5と同様の構成要素については、実施形態1〜5と同一の符号を使用し、ここでの説明を簡略化若しくは省略する。
【0069】
実施形態6の予防杭3´´は、実施形態5の予防杭3´に対して、梁部材26の長さを変化させたものである。
図21に示されるように、上下方向に複数本設けられる梁部材について、下側に備えられる梁部材より上側に備えられる梁部材の方が短く形成される。本実施形態では、下端側の梁部材26eが一番長く、梁部材26d、梁部材26c、梁部材26b、梁部材26aと上に行くに従い順番に短くなるものを例としている。
【0070】
本実施形態の予防杭3´´によれば、実施形態5の予防杭3´と同様の効果が得られると共に、立木状の外観を呈するため、景観的に優れる。
なお、本実施形態においては、下端側から上端側まで順番に梁部材が短くなるものを例としているが、全体視において、下側に備えられる梁部材より上側に備えられる梁部材の方が短く形成されるものであればよく、例えば、下端側の梁部材26eが梁部材26dと同等若しくは短いようなものであっても構わない。
【0071】
なお、各実施形態においては、予防施設(防護柵、予防杭)を斜面上の所定位置に設置するための設置手段として、アンカー17(パイプ状のアンカー上部材17aと、アンカー下部材17bを有するアンカー)を例として説明したが、アンカー自体は設置箇所に適する各種のアンカーを用いることができる。
また、予防施設(防護柵、予防杭)を斜面上の所定位置に設置するための設置手段を、ベース部材に固定するアンカーに限るというものではなく、他の手段によって予防施設(防護柵、予防杭)を設置または固定するものであってよい。例えば、
図11に示したように、索体20によって斜面上方から吊り下げる(ベース部材に接続される索体20によって吊り下げる)ことにより予防施設(防護柵、予防杭)を設置するものであってもよいし、斜面上に基礎を行い、当該基礎に対して下部支柱やサポート支柱を固定するようなものであっても構わない(基礎に対して支柱を固定するものの場合には、サポート支柱やベース部材を不要にし得る。また、基礎そのものを下部材とし、その上に接続部材を介して上部材を設置するものであってもよい。)。
【0072】
各実施形態における上記説明では、傾斜面の傾斜角度(側面視における傾斜角度)の変化に対応させるものを例として説明しているが、これまでの説明から理解できるように、本発明は横方向の傾斜角度(背面視(谷側から見た状態)における左右の傾き)に対しても対応できるものである。
例えば
図2(正面視(山側から見たもの))において、左右に傾斜がある場合、そのままでは上部支柱11も左右に傾いてしまうが、この左右の傾きを補正するように接続部材15を選択することで、上部支柱11を略鉛直に設置できるものである。
これまでの説明から明らかなように、横方向の傾斜角度(左右の傾き)を補正するだけであれば、
図8に示したもの(接続部材15の傾斜面の傾斜軸が外周の辺に平行であるもの)を共通に使用することができる。
一方、設置斜面の傾斜角度及び横方向の傾斜角度の双方を同時に補正しようとする場合には、
図12にその一例を示したように、接続部材15の傾斜面の傾斜軸を回転させた接続部材を用意すればよい。
図12に示した接続部材15´は、傾斜軸が対角線に平行なものであり、
図12(a)の左上が一番厚く、右下に向かって薄くなるものを例としている。
図12(b)は
図12(a)のA−A線断面図であり、
図12(c)は側面図である。このように接続部材の傾斜面の傾斜軸の角度を変えたもの及び傾斜角度を変えたものを複数種類用意することにより、多様な設置面に対応させることができる。
【0073】
各実施形態では各支柱をH型鋼によって形成するものを例としているが、本発明をこれに限るものではなく、各種の部材によって支柱を形成することが可能である。同様に、
図1等で図示されるように、雪受部材としての梁材16や、梁部材26にパイプ部材を用いるものを例としているが、その他の各種の部材(例えばプレート部材や、網状の部材など)によって雪受部材を構成するものであってよい。
各部材の接合手段についても、溶接やボルト締結を例として説明しているが、その他の接合手段を用いるものであってもよい(必要な強度が得られるものであればよい)。
【0074】
また、各実施形態ではサポート支柱13が下部支柱12(及びベース部材14)に固定されるものを例として説明したが、サポート支柱13が上部支柱11(及びベース部材14)に固定されるものであっても構わない。ただし、サポート支柱13が上部支柱11に固定されるものである場合、
図7で示したように下部構造体として予め形成しておくことが難しくなるため、作業工程の柔軟性や作業効率の面から、各実施形態のごとく、サポート支柱13を下部支柱12に固定するものの方が優れているといえる。
【0075】
各実施形態では、接続部材として、
図8や
図12に示したような側面視において台形形状のものを例として説明しているが、接続部材に自在継手(ユニバーサルジョイント)を用いるものであってもよい。
即ち、上部支柱と下部支柱の間に自在継手を設け、設置する傾斜面に合わせて、上部支柱が略鉛直となるように、自在継手によって調節するものであっても構わない(なお、自在継手だけで必要な強度を持った固定ができない場合には、別途の固定手段が必要となる)。
自在継手を用いることによって、各実施形態のように接続部材を複数種類用意する必要が無くなる点で有利である(コスト的には、各実施形態のものに対して有利とは言えない)。