(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6482953
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】植生面保護用台車車輪受け具
(51)【国際特許分類】
A01G 13/00 20060101AFI20190304BHJP
B60C 27/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A01G13/00 Z
B60C27/00 B
【請求項の数】9
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2015-111196(P2015-111196)
(22)【出願日】2015年6月1日
(65)【公開番号】特開2016-220630(P2016-220630A)
(43)【公開日】2016年12月28日
【審査請求日】2018年4月12日
(73)【特許権者】
【識別番号】000002004
【氏名又は名称】昭和電工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109911
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 義仁
(74)【代理人】
【識別番号】100071168
【弁理士】
【氏名又は名称】清水 久義
(74)【代理人】
【識別番号】100099885
【弁理士】
【氏名又は名称】高田 健市
(74)【代理人】
【識別番号】100079038
【弁理士】
【氏名又は名称】渡邉 彰
(74)【代理人】
【識別番号】100106091
【弁理士】
【氏名又は名称】松村 直都
(74)【代理人】
【識別番号】100060874
【弁理士】
【氏名又は名称】岸本 瑛之助
(72)【発明者】
【氏名】緒方 弘至
(72)【発明者】
【氏名】石高 孝一
【審査官】
竹中 靖典
(56)【参考文献】
【文献】
特開平08−158306(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3186520(JP,U)
【文献】
特開平11−198602(JP,A)
【文献】
登録実用新案第3196578(JP,U)
【文献】
実開昭57−047460(JP,U)
【文献】
実開昭57−047461(JP,U)
【文献】
特開平08−089081(JP,A)
【文献】
特開2001−157614(JP,A)
【文献】
特開平06−227206(JP,A)
【文献】
特開2012−228231(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2001/0035468(US,A1)
【文献】
実開昭53−041801(JP,U)
【文献】
米国特許第06289639(US,B1)
【文献】
特開2014−113078(JP,A)
【文献】
特開2004−137683(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01G 13/00
B60C 27/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
植生面に一時的に留め置かれる台車の車輪を下方から受ける略皿形の受け具本体と、受け具本体の下面に設けられかつ植生面に突き刺さる少なくとも3つの突き刺し部を有する支持体とを備えている、植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項2】
支持体が、受け具本体の下面から下方にのびるように設けられかつ先端部が突き刺し部を構成する少なくとも3本の支持ピンよりなる、請求項1記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項3】
支持体が、受け具本体の下面から下方にのびるように設けられかつ先端縁に少なくとも2つの凸状突き刺し部を有する少なくとも1枚の支持板を含んでいる、請求項1記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項4】
受け具本体が左右方向に長い底壁を有しており、底壁の左右いずれか一端部の下面に支持体が設けられ、同一端部の上面が車輪載置部となされており、また、受け具本体に、底壁の左右いずれか他端から左右方向外方に向かって斜め上方にのびかつ台車車輪受け具を傾けることにより少なくとも一部が植生面に接する車輪案内用端壁が設けられている、請求項1〜3のいずれか1つに記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項5】
支持体が、底壁の左右いずれか一端部の下面から同他端に向かって斜め下方にのびた第1支持体と、底壁の左右いずれか一端部の下面から第1支持体と反対側に向かって斜め下方にのびた第2支持体とよりなり、第1支持体は、車輪乗降案内用端壁の先端縁と平行をなすように前後方向に並んだ複数の突き刺し部を有している、請求項4記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項6】
車輪載置部と直交する方向に対する第1支持体の傾斜角度が、車輪載置部に対する車輪乗降案内用端壁の傾斜角度以下となされている、請求項5記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項7】
底壁の上面に、車輪載置部がそれ以外の部分よりも低くなるような車輪戻り止め用段部が形成されている、請求項4〜6のいずれか1つに記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項8】
受け具本体の少なくとも一部が、透光性を有する材料よりなる、請求項1〜7のいずれか1つに記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【請求項9】
受け具本体に、内部に溜まった水を外部に排出させる少なくとも1つの水抜き孔が形成されている、請求項1〜8のいずれか1つに記載の植生面保護用台車車輪受け具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、天然芝等の植生面に台車を乗り入れて一時的に留め置く際に、台車の車輪によって植生面が損傷するのを抑制するために用いられる植生面保護用台車車輪受け具に関する。
この明細書および特許請求の範囲において、「植生面」とは、例えば天然芝が敷設されたゴルフ場、野球場、サッカー場、陸上競技場、テニスコートのような、天然芝等の地被植物で覆われた地面を指すものとし、また、「台車」とは、例えば散水台車、目砂散布台車、植物育成用LED照明台車等の台車、あるいはこれらに類する車輪付き移動体を指すものとする。
【背景技術】
【0002】
例えばゴルフ場、野球場、サッカー場等の天然芝が敷設されたグランドでは、天然芝への散水や補修等に際して、散水台車、目砂散布台車等の作業用台車を乗り入れ、これらを一定時間留め置いた状態で、作業が行われている。
また、近年、サッカースタジアム等では、グランドに敷設された天然芝の一部に太陽光が十分に当たらず、天然芝の生育にムラが生じるという問題を抱えていた。そして、この問題を解決するために、天然芝生育用LED照明台車を用意し、これを天然芝の生育が不十分な箇所に乗り入れて、LEDによる人口光を天然芝に一定時間照射することが提案されている。
【0003】
しかしながら、特に重量が大きい台車の場合、留め置かれた台車の荷重が車輪を通じて天然芝の植生面に一定時間継続的に負荷され、それによって植生面の損傷が発生し、植生面で行われる競技等に支障を及ぼす場合もあった。
【0004】
天然芝等の植生面を保護するための手段としては、例えば下記の特許文献1〜3に開示されているように、植生面の上に保護マットを敷設するものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特許第5401746号公報
【特許文献2】特許第4886892号公報
【特許文献3】特開2005−117936号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した保護マットの場合、天然芝等の植生面のうち人や車が移動する動線上に恒久的に設置されるものであるため、植生面で競技が行われるゴルフ場、野球場、サッカー場等においては、保護マットが競技の邪魔になるため、使用することができなかった。
【0007】
この発明の目的は、例えば天然芝が敷設されたゴルフ場、野球場、サッカー場等において、天然芝等の植生面に一時的に留め置かれる台車の車輪によって植生面が損傷するのを抑制することができ、しかも、植生面の使用の妨げとならないような手段を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明は、上記目的を達成するために以下の態様からなる。
【0009】
1)植生面に一時的に留め置かれる台車の車輪を下方から受ける略皿形の受け具本体と、受け具本体の下面に設けられかつ植生面に突き刺さる少なくとも3つの突き刺し部を有する支持体とを備えている、植生面保護用台車車輪受け具。
【0010】
2)支持体が、受け具本体の下面から下方にのびるように設けられかつ先端部が突き刺し部を構成する少なくとも3本の支持ピンよりなる、上記1)の植生面保護用台車車輪受け具。
【0011】
3)支持体が、受け具本体の下面から下方にのびるように設けられかつ先端縁に少なくとも2つの凸状突き刺し部を有する少なくとも1枚の支持板を含んでいる、上記1)の植生面保護用台車車輪受け具。
【0012】
4)受け具本体が左右方向に長い底壁を有しており、底壁の左右いずれか一端部の下面に支持体が設けられ、同一端部の上面が車輪載置部となされており、また、受け具本体に、底壁の左右いずれか他端から左右方向外方に向かって斜め上方にのびかつ台車車輪受け具を傾けることにより少なくとも一部が植生面に接する車輪案内用端壁が設けられている、上記1)〜3)のいずれか1つの植生面保護用台車車輪受け具。
【0013】
5)支持体が、底壁の左右いずれか一端部の下面から同他端に向かって斜め下方にのびた第1支持体と、底壁の左右いずれか一端部の下面から第1支持体と反対側に向かって斜め下方にのびた第2支持体とよりなり、第1支持体は、車輪乗降案内用端壁の先端縁と平行をなすように前後方向に並んだ複数の突き刺し部を有している、上記4)の植生面保護用台車車輪受け具。
【0014】
6)車輪載置部と直交する方向に対する第1支持体の傾斜角度が、車輪載置部に対する車輪乗降案内用端壁の傾斜角度以下となされている、上記5)の植生面保護用台車車輪受け具。
【0015】
7)底壁の上面に、車輪載置部がそれ以外の部分よりも低くなるような車輪戻り止め用段部が形成されている、上記4)〜6)のいずれか1つの植生面保護用台車車輪受け具。
【0016】
8)受け具本体の少なくとも一部が、透光性を有する材料よりなる、上記1)〜7)のいずれか1つの植生面保護用台車車輪受け具。
【0017】
9)受け具本体に、内部に溜まった水を外部に排出させる少なくとも1つの水抜き孔が形成されている、上記1)〜8)のいずれか1つの植生面保護用台車車輪受け具。
【発明の効果】
【0018】
上記1)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、これを台車の車輪と植生面との間に介在させることにより、受け具本体によって下方から受けられた台車の荷重が、支持体に設けられた少なくとも3つの突き刺し部に分散して植生面に負荷されるため、それによって植生面の損傷が抑制される。
また、上記1)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、植生面に突き刺さる支持体の突き刺し部の数が3つ以上となされているので、台車を安定した状態で支持することができる。
【0019】
上記2)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、支持体が3本以上の支持ピンによって構成されているので、その製造が容易であって、コストが抑えられる。
また、上記2)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、支持体が細い支持ピンで構成されているため、例えば台車として植物育成用LED照明台車を使用する際、LEDから照射される人工光によって植生面にできる影の面積が小さくなり、植生面への人工光の照射ムラを軽減することができる。
【0020】
上記3)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、支持体の少なくとも一部が支持板によって構成されており、それによって支持体による支持強度や、受け具本体への支持体の取付強度が高められるため、例えば重量の大きい台車の場合でも、支障なく使用することが可能になる。また、支持板は、少なくとも2つの凸状突き刺し部を先端縁に有しているので、それだけ部品点数を減らすことができ、コストが抑えられる。
【0021】
上記4)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、これを所定方向に傾けて受け具本体の車輪案内用端壁の少なくとも一部が植生面に接する状態とすれば、台車の車輪を受け具本体の上に載置する際やここから降ろす際、車輪を車輪案内用端壁の上を転がして移動させればよいので、台車を持ち上げる必要がなく、車輪の乗降作業を楽に行うことができる。
【0022】
上記5)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、支持体が互いに左右反対方向を向いた第1支持体および第2支持体によって構成されているので、台車の車輪を安定して支持することができる。
また、上記5)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、第1支持体の複数の突き刺し部が車輪乗降案内用端壁の先端縁と平行をなすように前後方向に並んでいるので、台車車輪受け具を所定方向に傾けて車輪案内用端壁の少なくとも先端縁を植生面に接触させた状態において、台車車輪受け具の姿勢が安定するため、台車の車輪を受け具本体の上に載置したり降ろしたりする作業を支障なく安全に行うことができる。
【0023】
上記6)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、車輪載置部と直交する方向に対する第1支持体の傾斜角度が、車輪載置部に対する車輪乗降案内用端壁の傾斜角度以下となされているので、台車の車輪が受け具本体の底壁上面の車輪載置部に乗り込むまで、車輪案内用端壁が安定して植生面に接するため、台車の車輪を受け具本体の上に載置する作業を、より安全に行うことができる。
【0024】
上記7)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、底壁の上面に形成された車輪戻り止め用段部によって、車輪載置部に載置された台車の車輪が車輪案内用端壁の方に移動するのが阻止されるので、作業中に台車が不用意に動いたりせず、安心して作業を行うことができる。
【0025】
上記8)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、受け具本体の少なくとも一部が透光性を有する材料よりなるため、例えば台車として植物育成用LED照明台車を使用する際、LEDから照射される人工光が受け具本体によって遮られるのが抑制され、植生面への人工光の照射をムラなく行うことができる。
【0026】
上記9)の植生面保護用台車車輪受け具によれば、受け具本体に水抜き孔が形成されているので、例えば雨天の場合や散水台車に使用された場合でも、受け具本体に水が溜まるのを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】この発明の第1の実施形態に係る植生面保護用台車車輪受け具の斜視図である。
【
図6】植物育成用LED照明台車を示すものであって、可動ビームが退入位置の時の状態の正面図である。
【
図7】可動ビームが進出位置にある上記台車の車輪を、第1の実施形態の受け具によって受けた状態を示す正面図である。
【
図8】上記台車の車輪を上記受け具の受け具本体に載せる工程を順次示す部分拡大垂直断面図である。
【
図9】この発明の第2の実施形態に係る植生面保護用台車車輪受け具の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、この発明の実施形態を、
図1〜10を参照して説明する。
なお、以下の説明において、
図4,6〜10の各上下を「上下」といい、
図2〜4,6〜9の各左右を「左右」といい、
図5,10の各左を「前」、同右を「後」というものとする。
【0029】
図1〜5は、この発明の第1の実施形態に係る植生面保護用台車車輪受け具を示すものである。
これらの図に示すように、植生面保護用台車車輪受け具(1A)は、天然芝等の植生面(L)に一時的に留め置かれる台車(10)の車輪(171)を下方から受ける略皿形の受け具本体(2)と、受け具本体(2)の下面に設けられかつ植生面(L)に突き刺さる少なくとも3つ(ここでは3つ)の突き刺し部(311)を有する支持体(3A)とを備えている(
図8参照)。
【0030】
受け具本体(2)は、左右方向に長い長方形状の底壁(21)と、底壁(21)の前側縁から立ち上がった前側壁(22)と、底壁(21)の後側縁から立ち上がった後側壁(23)と、底壁(21)の左端縁から立ち上がった左端壁(24)と、底壁(21)の右端縁から立ち上がった右端壁(25)とを備えている。
前後側壁(22)(23)は、それぞれほぼ垂直となされている。なお、前後側壁(22)(23)は、必ずしも設けることを要しない。
底壁(21)の左端部の下面に支持体(3A)が設けられており、この底壁(21)の左端部の上面が、車輪載置部(211)となされている。
底壁(21)の上面に、車輪載置部(211)がそれ以外の部分(212)よりも低くなるような左向きの車輪戻り止め用段部(213)が形成されている。この実施形態では、底壁(21)が、左右2枚の板材をこれらの一部どうしが重なるように接合してなるものであって、上側に重ねられた板材の左端面によって段部(213)が構成されている。
左端壁(24)は、底壁(21)の左端縁から左方に向かって斜め上方にのびている。
右端壁(25)は、底壁(21)の右端縁から右外方に向かって斜め上方にのびかつ台車車輪受け具(1A)を右方に傾けることにより少なくとも一部(ここでは外側面のほぼ全体)が植生面(L)に接するようになされている。つまり、この右端壁によって、車輪案内用端壁(25)が構成されている。
また、受け具本体(2)には、内部に溜まった水を外部に排出させる水抜き孔(26)が形成されている。この実施形態では、底壁(21)の車輪載置部(211)の2つのコーナー部分に、水抜き孔(26)が上下貫通状に形成されている。
受け具本体(2)の材料は特に限定されないが、例えばアルミニウム板、ステンレス鋼板、合成樹脂板等から形成される。また、受け具本体(2)は、これらの一部または全体を、グレーチング、エキスパンドメタル、パンチングメタル等の多孔材や、透明アクリル樹脂等の透明材・半透明材といった、透光性を有する材料によって構成してもよい。
【0031】
支持体(3A)は、受け具本体(2)の下面から下方にのびるように設けられかつ先端部が突き刺し部(311)を構成する少なくとも3本(ここでは3本)の支持ピン(31a)(31b)よりなる。
これらの支持ピンのうち2本の支持ピン(31a)は、底壁(21)の左端部の下面から右方に向かって斜め下方にのびた第1支持体を構成している。また、残りの1本の支持ピン(31b)は、底壁(21)の左端部の下面から第1支持体(31a)と反対側、すなわち左方に向かって斜め下方にのびた第2支持体を構成している。第1支持体を構成する2本の支持ピン(31a)は、これらの先端部によって構成される突き刺し部(311)が車輪案内用端壁(25)の先端縁と平行をなすように前後方向に並んで配置されている。
図3に示すように、3本の支持ピン(31a)(31b)は、底面から見て周方向に等間隔をおいて放射状に配列されている。
各支持ピン(31a)(31b)は、例えばアルミニウムやステンレス鋼等の金属製の棒材または筒材よりなり、その基端部が溶接等によって受け具本体(2)の底壁(21)の左端部の下面に接合されている。各支持ピン(31a)(31b)の先端部は、図示のように、植生面(L)へのダメージを最小限にするため、先細状となされている。
また、
図4に示すように、ほぼ水平な車輪載置部(211)と直交する方向に対する第1支持体、すなわち、右側の2本の支持ピン(31a)の傾斜角度(A1)は、車輪載置部(211)に対する車輪案内用端壁(25)の傾斜角度(A2)以下となされている。
【0032】
図6,7は、例えばサッカースタジアム等において天然芝の育成を促進するために使用される植物育成用LED照明台車(10)を示すものである。
このLED照明台車(10)は、平面より見て左右方向に長い方形をした水平状のフレーム(11)と、フレーム(11)を支持しかつ下端にキャスタ(13A)(13B)を有する4つの主支持脚(12)と、左右方向にのびかつフレーム(11)に対して進出・退入自在に設けられた2つの可動ビーム(14)と、左右方向にのびかつフレーム(11)に固定状に設けられた1つの固定ビーム(15)と、可動ビーム(14)の進出方向前端を支持しかつ下端にキャスタ(17)を有する副支持脚(16)と、可動ビーム(14)および固定ビーム(15)にそれぞれ複数個ずつ取り付けられたLED灯具(18)とを備えている。
フレーム(11)の左端に位置する2つの主支持脚(12)の下端のキャスタ(13A)は、車輪(131)の向きが可変である自在キャスタであり、フレーム(11)の右端に位置する2つの主支持脚(12)の下端のキャスタ(13B)、および左右2つの副支持脚(16)の下端のキャスタ(17)は、車輪(171)の向きが不変であって左右方向を向いた固定キャスタである。
図6に示すように、左右2つの副支持脚(16)のキャスタ(17)の下端は、可動ビーム(14)の退入時に、4つの主支持脚(12)のキャスタ(13A)(13B)の下端よりも上方に位置するようになされている。
【0033】
図7に示すように、植物育成用LED照明台車(10)は、天然芝の植生面(L)に対してLED灯具(18)から人工光を照射する際、2つの可動ビーム(14)がフレーム(11)から進出位置(最大伸長位置)まで引き出される。
また、左右の副支持脚(16)の下端のキャスタ(17)の車輪(171)と、天然芝の植生面(L)との間に、上記実施形態の台車車輪受け具(1A)が介在させられている。
【0034】
図8は、左側の副支持脚(16)の下端のキャスタ(17)の車輪(171)を、台車車輪受け具(1A)の受け具本体(2)の上に載置する手順を示したものである。
まず、
図8(a)に示すように、左側の可動ビーム(14)を進出位置まで移動させる前に、台車車輪受け具(1A)を、植生面(L)における車輪(171)の進行方向前側、すなわち、左側の位置に配置する。この際、台車車輪受け具(1A)は、その受け具本体(2)の車輪案内用端壁(25)の外側面のほぼ全体が植生面(L)に接するように、右側に傾いた姿勢とする。
そして、
図8(b)に示すように、可動ビーム(14)が進出位置に達する直前で、キャスタ(17)の車輪(171)が、植生面(L)から受け具本体(2)の端壁(25)の内側面の上に乗り移る。
続いて、車輪(171)は、受け具本体(2)の端壁(25)内側面の上を転動して底壁(21)上面の右側部分(212)に乗り移り、さらに同部分(212)を左方に向かって転動し、可動ビーム(14)が進出位置まで達した時点で、
図8(c)に示すように、底壁(21)上面の左端部、すなわち、車輪載置部(211)の上に乗り、ここで停止させられる。また、それと並行して、台車車輪受け具(1A)が左側に傾いて、車輪載置部(211)がほぼ水平となる起き上がり姿勢となり、各支持ピン(31a)(13b)先端の突き刺し部(311)が植生面(L)に突き刺さる。
以上により、副支持脚(16)下端のキャスタ(17)の車輪(171)が、台車車輪受け具(1A)の受け具本体(2)によって下方から受けられるとともに、先端の突き刺し部(311)が植生面(L)に突き刺さった3本の支持ピン(31a)(31b)よりなる支持体(3A)によって支持されるので、天然芝の植生面(L)が車輪(171)によって損傷するのが効果的に抑制される。
可動ビーム(14)を退入位置まで移動させて、植物育成用LED照明台車(10)を植生面から撤去する際には、上記と逆の手順で行えばよい。
【0035】
図9,10は、この発明の第2の実施形態を示したものである。
この実施形態の植生面保護用台車車輪受け具(1B)は、以下の点を除いて、
図1〜8に示す第1の実施形態の植生面保護用台車車輪受け具(1A)と実質的に同一であり、これと実質的に同一の作用効果を奏するものである。
すなわち、第2の実施形態の台車車輪受け具(1B)では、支持体(3B)の第1の支持体が、1枚の支持板(31c)によって構成されている。
支持板(31c)は、例えばアルミニウム板、ステンレス鋼板等の金属板や合成樹脂板により形成された、側面よりみて略方形状のものであって、受け具本体(2)における底壁(21)の左端部の下面から右方に向かって斜め下方にのびている。
支持板(31c)の先端縁には、その前後両端部に凸状突き刺し部(312)が形成されている。凸状突き刺し部(312)は、例えば略半球状のものとなされているが、その他の形状であってもかまわない。また、突き刺し部(312)は、3つ以上設けることもできる。
支持板(31c)は、その上端縁が例えば溶接等によって底壁(21)の下面に接合されるが、ブラケット(図示略)を介してビスやリベット等により底壁(21)の下面に取り付けるようにしてもよい。特にブラケットを使用する場合、支持板(31c)の取付作業が容易となり、また、取付強度を向上させることができる。
この第2の実施形態のように、第1支持体として支持板(31c)を使用すれば、より重量の大きい台車の場合でも、破損したりすることなく使用可能であり、また、支持体の部品点数を減らすことができ、コストが抑えられる。
なお、支持体の構成は、上記に限らず、例えば、支持体の第2の支持体も支持板によって構成してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
この発明による台車車輪受け具は、例えば天然芝が敷設されたゴルフ場、野球場、サッカー場等において、天然芝等の植生面に一時的に台車を留め置く際に、台車の車輪によって植生面が損傷するのを抑制するために好適に用いられる。
【符号の説明】
【0037】
(1A)(1B):植生面保護用台車車輪受け具
(2):受け具本体
(21):底壁
(211):車輪載置部
(213):車輪戻り止め用段部
(25):車輪案内用端壁
(26):水抜き孔
(3A)(3B):支持体
(31a):支持ピン(第1の支持体)
(31b):支持ピン(第2の支持体)
(311):突き刺し部
(31c):支持板(第1の支持体)
(312):凸状突き刺し部
(10):植物育成用LED照明台車
(171):車輪