(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記動作制御部は、給泡開始指令を取得した場合、便座が閉状態にあること、又は、便座に着座したことを示す信号を取得しているときは、前記給泡動作を実行させない、又は、該信号を取得していないときよりも給泡動作での泡供給量を少なくすることを特徴とする請求項1に記載の便器洗浄装置の制御装置。
前記動作制御部は、便座が閉状態にあること、又は、便座に着座したことを示す信号を取得した場合、前記判定部が泡が溜まっていると判定しているときには、前記洗浄動作を実行させることを特徴とする請求項1又は2に記載の便器洗浄装置の制御装置。
前記動作制御部は、給泡開始指令を取得した場合、前記判定部が泡が溜まっていると判定しているときには、前記洗浄動作を実行させることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の便器洗浄装置の制御装置。
前記動作制御部は、前回の洗浄動作後からの前記便器洗浄装置の泡供給量に応じて、次回の洗浄動作での洗浄水供給量を変えることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の便器洗浄装置の制御装置。
前記動作制御部は、前回の洗浄動作後からの前記便器洗浄装置の泡供給回数又は泡供給時間が大きくなるほど、次回の洗浄動作での洗浄水供給量を多くすることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載の便器洗浄装置の制御装置。
前記判定部は、前記便器洗浄装置の動作履歴に基づいて、前記便器内に泡が溜まっているか否かを判定することを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の便器洗浄装置の制御装置。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、各実施形態、変形例では、同一の構成要素に同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、各図面では、説明の便宜のため、構成要素の一部を適宜省略する。
【0011】
図1は実施形態に係る制御装置10(
図1では不図示)が用いられるトイレシステム100を示す外観斜視図である。
トイレシステム100は、トイレルーム内に設置される便器装置110と、トイレルームの壁面に設置されるリモコン102を備える。便器装置110は、水洗式便器112と、便器112の後部に搭載されるハウジング114と、ハウジング114に開閉可能に支持される便座116及び便蓋118とを備える。便器112は、洋風大便器である。便座116は、閉位置にあるとき、便器112のリム部112aに載るまで下げられた状態(以下、閉状態という)となり、開位置にあるとき、便器112のリム部112aから離れて起立した状態(以下、開状態という)になる。ハウジング114には温水洗浄装置等の種々の機械装置(不図示)が収められる。
【0012】
図2は便器112の側面断面図である。
便器112は、便器112の前部に設けられる便鉢部120と、便鉢部120の底部に接続される排水通路部122と、便鉢部120に形成される吐水口124と、便鉢部120の外周側に形成される通水路126とを備える。排水通路部122は、便鉢部120内から下水側水路(不図示)に排出される汚物の通り道となる。排水通路部122の通水方向の途中位置には、トラップ部130や、トラップ部130と下水側水路を接続する接続管(不図示)が設けられる。トラップ部130は便鉢部120の底部から下方に延びる下降通路130aと、下降通路130aに連なるとともに上方に延びる上昇通路130bとを有する。下降通路130a及び上昇通路130bには空気の流れを遮断する封水132が溜められ、便鉢部120の底部には封水132の一部が溜水134として溜められる。
【0013】
図3は便器装置110に用いられる便器洗浄装置140の構成図である。
便器洗浄装置140は、便鉢部120内に洗浄水及び泡を供給するためのものである。便器洗浄装置140は、洗浄水を供給する洗浄水供給機構142と、泡を供給する泡供給機構144と、洗浄水供給機構142や泡供給機構144から供給される洗浄水や泡を便器112の通水路126内に吐き出す吐水管146(
図2も参照)とを備える。
【0014】
また、便器洗浄装置140は、洗浄水供給機構142に洗浄水を給水する補給管148と、泡供給機構144に洗浄水を供給する第1給水管150を備える。補給管148及び第1給水管150は上水道につながる第2給水管152から分岐して形成される。便器洗浄装置140の各構成要素はハウジング114内や便鉢部120の後方及び下方に配置されるが、その配置位置は特に限られない。
【0015】
洗浄水供給機構142は、洗浄水を貯溜する洗浄水タンク154と、洗浄水タンク154内の洗浄水を送り出す洗浄水ポンプ156と、補給管148を開閉する第1開閉弁となる洗浄水バルブ158と、を備える。洗浄水タンク154には補給管148から洗浄水が給水される。洗浄水バルブ158は電磁弁である。補給管148から洗浄水タンク154への洗浄水の給水の有無は洗浄水バルブ158の開閉により切り替えられる。洗浄水ポンプ156から送り出された洗浄水は、吐水管146、通水路126及び吐水口124を経由して便鉢部120内に供給される。
【0016】
泡供給機構144は、洗剤を貯留する洗剤タンク162と、洗剤タンク162内の洗剤を送り出す洗剤ポンプ164とを備える。洗剤は、たとえば、泡立ちのよい成分を含む液状洗剤が用いられる。また、泡供給機構144は、第1給水管150を開閉する第2開閉弁となる泡バルブ166と、洗剤ポンプ164から送り出された洗剤と第1給水管150を通る水とを混合させるエゼクタ168とを備える。泡バルブ166は電磁弁である。洗剤ポンプ164を駆動し、泡バルブ166を開状態にすると、エゼクタ168に洗剤と水が送り込まれる。エゼクタ168は、洗剤と水が送り込まれると、エジェクタ効果を利用して外気を取り込みつつ洗剤、水、外気を混合させることで泡を生成する。この泡は、洗浄水、洗剤、空気が混じった気液混合体として構成される。エゼクタ168で生成された泡は、吐水管146、通水路126及び吐水口124を経由して便鉢部120内に供給される。吐水口124から吐き出される泡Fは、
図2に示すように、溜水面134a上に浮いた状態で溜められる。
【0017】
図4は便器洗浄装置140に用いられる制御装置10の機能ブロック図である。
制御装置10は、便座116の開閉状態を検知するための便座開閉センサ12Aと、便座116に使用者が着座したことを検知するための着座センサ12Bとを備える。便座開閉センサ12Aは、ホール素子と磁石の組み合わせやマイクロスイッチ等で構成される。便座開閉センサ12Aは、便座116の開閉状態に応じて、便座116が閉状態にあることを示す信号(以下、閉便座検知信号という)か、開状態にあることを示す信号(以下、開便座検知信号という)を生成する。着座センサ12Bは、光電センサ、タッチセンサ、圧力センサ等で構成される(
図1も参照)。着座センサ12Bは、便座116への使用者の着座の有無に応じて、使用者が着座した状態にあることを示す信号(以下、着座検知信号という)を生成する。各センサ12A、12Bは生成した信号を制御部16(後述する)に出力する。
【0018】
制御装置10は、さらに、大便用の洗浄開始指令を入力するための大便用洗浄スイッチ14A(第1指示入力部)と、小便用の洗浄開始指令を入力するための小便用洗浄スイッチ14B(第2指示入力部)と、給泡開始指令を入力するための泡スイッチ14C(第3指示入力部)を備える。洗浄開始指令は洗浄動作(後述する)を開始するための指令であり、給泡開始指令は給泡動作(後述する)を開始するための指令である。各スイッチ14A〜14Cは、本実施形態において、リモコン102に備え付けられる(
図1参照)。各スイッチ14A〜14Cは入力操作されると各指令を制御部16に出力する。
【0019】
制御装置10は、洗浄水供給機構142及び泡供給機構144を制御するための制御部16を備える。制御部16はハウジング114(
図1参照)内に収められるマイクロコンピュータ等により構成される。制御部16は、洗浄水供給機構142の洗浄動作及び泡供給機構144の給泡動作を制御する動作制御部22と、便器112の便鉢部120内に泡が溜まっているか否かを判定する判定部24とを備える。
【0020】
動作制御部22は、所定の洗浄開始条件を満たすと、予め定められた洗浄水供給時間の間、洗浄水ポンプ156を駆動させる。洗浄開始条件とは、たとえば、洗浄開始指令を取得した場合である。洗浄水供給時間は、洗浄動作で要求される量を満足する洗浄水が便鉢部120内に供給されるように設定され、その要求量の洗浄水により便鉢部120内の汚物が封水132とともに排水通路部122を通して排出される。このように便器112内に洗浄水を供給することにより汚物を排出する洗浄水供給機構142の動作を洗浄動作という。
【0021】
動作制御部22は、大便用の洗浄動作と、小便用の洗浄動作とのいずれかを実行する。大便用の洗浄動作は大便用の洗浄開始指令を取得したとき、小便用の洗浄動作は小便用の洗浄開始指令を取得したときに実行する。
【0022】
また、動作制御部22は、洗浄動作を実行する度、洗浄水タンク154に洗浄水を補給するため、予め定められた給水時間の間、洗浄水バルブ158を開弁状態にする。
【0023】
動作制御部22は、所定の給泡開始条件を満たすと、予め定められた泡供給時間の間、洗剤ポンプ164を駆動させるとともに泡バルブ166を開状態にすることで、便鉢部120に泡Fを供給する。このように便器112内に泡を供給する泡供給機構144の動作を給泡動作という。
【0024】
給泡開始条件とは、たとえば、以下の(A)、(B)のいずれかの場合である。(A)の場合は男性が立ち小便することを想定している。この場合、便器112の溜水面134a上に泡Fを溜めることで、小便の水はねを防止できる。(B)の場合は便器112の便鉢部120内を掃除することを想定している。この場合、洗剤成分を含む泡Fを用いて便鉢部120内を清掃し易くなる。
(A)便座開閉センサ12Aから取得している信号が閉便座検知信号から開便座検知信号に切り替わったとき。
(B)泡スイッチ14Cから給泡開始指令を取得したとき。
【0025】
判定部24は、便器洗浄装置140の動作履歴に基づいて、便器112内に泡が溜まっているか否かを判定する判定処理を行う。詳しくは、判定部24は、便器洗浄装置140の動作履歴を示す情報として、前回の洗浄動作後に給泡動作が実行されたか否かを示す動作履歴情報をメモリ等の記憶部に保持している。この動作履歴情報は、たとえば、フラグ値として設定される。フラグ値は、初期値は「0」に設定される。「0」は、前回の洗浄動作後に給泡動作が実行されていないことを示し、「1」は、前回の洗浄動作後に給泡動作が実行されていることを示す。給泡動作が実行された場合、フラグ値が「0」のときは「1」に変更し、「1」のときは変更しない。洗浄動作が実行された場合、フラグ値が「0」のときは変更せず、「1」のときは「0」に変更する。判定部24は、判定処理を実行するとき、フラグ値を記憶部から読み取り、フラグ値が「1」のときは便器112内に泡が溜まっていると判定し、フラグ値が「0」のときは便器112内に泡が溜まっていないと判定する。
【0026】
[第1の制御内容]
動作制御部22が行う第1の制御内容の基本的な考え方を説明する。
図2に示すように、泡Fは、便器112の便鉢部120の溜水面134a上に浮いた状態にある。このため、洗浄動作を実行したとき、排水通路部122の奥側(詳しくは、トラップ部130の上昇通路130b)まで押し込まない限り、泡Fは溜水面134a上まで浮き上がってしまう。
【0027】
ここで、便鉢部120内に泡Fが溜まっており、かつ、大便がある状態のときに、洗浄動作の実行により大便を排出するケースを考える。このケースでは、泡Fにより大便に浮力が付与されてしまうため、泡Fがない状態のときよりも大便が溜水134内で浮き上がり易くなり、排水通路部122の奥側まで大便を押し込み難くなる。
【0028】
また、便鉢部120内に泡Fが溜まっており、かつ、小便がある状態のときに、洗浄動作の実行により小便を排出するケースを考える。このケースでは、小便は泡Fの液体成分に混ざり込んでしまう。よって、小便が混ざり込んだ泡Fを便鉢部120内から排出しなければ、小便を排出したことにならない。この泡Fは小便と比べて溜水134内で浮き上がり易く、泡Fがない状態のときより、排水通路部122の奥側まで小便を押し込み難くなる。
【0029】
つまり、泡Fが溜まっている状態のときは、泡Fがない状態のときよりも、小便や大便のような汚物を便器112内から排出し難くなる。そこで、動作制御部22は、洗浄開始指令を取得したとき、判定部24に泡が溜まっているか否かを判定させる。動作制御部22は、判定部24が泡が溜まっていると判定したときは、判定部24が泡が溜まっていないと判定したときより、洗浄動作での洗浄水供給量を多くするように、洗浄水供給機構142を制御する。
【0030】
たとえば、泡が溜まっていないときに、小便用の洗浄動作で要求される洗浄水供給量を泡無し時小便用供給量As0とする。また、泡が溜まっているときに、小便用の洗浄動作で要求される洗浄水供給量を泡有り時小便用供給量As1とする。このとき、泡無し時小便用供給量As0は、たとえば、3.3Lに定められ、泡有り時小便用供給量As1は、たとえば、As0より多い3.8Lに定められる。動作制御部22は、小便用の洗浄開始指令を受けた場合、判定部24が泡が溜まっていないと判定したときは、泡無し時小便用供給量As0が供給されるように、洗浄水供給機構142の洗浄水供給時間を制御する。これに対して、動作制御部22は、判定部24が泡が溜まっていると判定したときは、泡有り時小便用供給量As1が供給されるように、洗浄水供給機構142の洗浄水供給時間を制御する。
【0031】
大便用の洗浄動作を実行するときも同様である。つまり、泡が溜まっていないときに、大便用の洗浄動作で要求される洗浄水供給量を泡無し時大便用供給量Ab0とする。また、泡が溜まっているときに、大便用の洗浄動作で要求される洗浄水供給量を泡有り時大便用供給量Ab1とする。このとき、泡無し時大便用供給量Ab0は、たとえば、4.0Lに定められ、泡有り時大便用供給量Ab1は、たとえば、4.3Lに定められる。動作制御部22は、大便用の洗浄開始指令を受けた場合、判定部24が泡が溜まっていないと判定したときは、泡無し時大便用供給量Ab0が供給されるように、洗浄水供給機構142の洗浄水供給時間を制御する。これに対して、動作制御部22は、判定部24が泡が溜まっていると判定したときは、泡有り時大便用供給量Ab1が供給されるように、洗浄水供給機構142の洗浄水供給時間を制御する。
【0032】
図5は動作制御部22が行う第1の制御内容を示すフローチャートである。ここでは大便用の洗浄開始指令を取得した場合を例に説明する。
動作制御部22は、大便用の洗浄開始指令を取得すると(S10)、判定部24に判定処理を実行させる(S12)。判定処理は、前述のように、便器洗浄装置140の動作履歴に基づいて行う。判定処理では、前回の洗浄動作後に給泡動作が実行されていないときは、泡が溜まっていないと判定し、前回の洗浄動作後に給泡動作が実行されているときは、泡が溜まっていると判定する。判定部24が泡が溜まっていないと判定した場合(S12のN)、動作制御部22は、泡無し時大便用供給量Ab0が便器112内に供給されるように、洗浄水供給機構142の洗浄水供給時間を制御する(S14)。判定部24が泡が溜まっていると判定した場合(S12のY)、動作制御部22は、泡が溜まっていないと判定したときより多い泡有り時大便用供給量Ab1が便器112内に供給されるように、洗浄水供給機構142の洗浄水供給時間を制御する(S16)。
【0033】
以上の制御装置10によれば、便器112内に泡が溜められている状態のときは、洗浄水供給量を多くすることで、汚物排出性能を確保でき、便器112の便鉢部120内に汚物が残るのを防止できる。また、便器112内に泡が溜められていない状態のときは、洗浄水供給量を少なくすることで節水効果を得ることができる。
【0034】
[第2の制御内容]
次に、動作制御部22が行う第2の制御内容を説明する。
前述の(B)のように、泡スイッチ14Cを入力操作した場合、動作制御部22は泡供給機構144に給泡動作を実行させる。ここで、便座116に座った状態で用便するとき、立ち小便のときのように小便の水はねが生じ難くなるため、便器112内に泡Fがなくとも支障はなく、むしろ泡Fがあることで汚物排出性能が低下してしまう。
【0035】
そこで、動作制御部22は、泡スイッチ14Cに対する入力操作により給泡開始指令を取得した場合でも、各センサ12A、12Bから閉便座検知信号又は着座検知信号を取得しているときは、泡供給機構144に給泡動作を実行させないようにする。つまり、使用者が便座116に座って用便しようとしているときは給泡動作を禁止する必要があるとみなし、給泡開始指令を受けた場合でも便器112内に泡を供給しないようにする。
【0036】
図6は動作制御部22が行う第2の制御内容を示すフローチャートである。
動作制御部22は、給泡開始指令を取得した場合(S20)、閉便座検知信号又は着座検知信号を取得しているか否かを判定する(S22)。動作制御部22は、これらの信号の両方を取得していない場合(S22のN)、給泡動作を禁止する必要がないとみなし、給泡動作を実行させるように、泡供給機構144を制御する(S24)。一方、これらの信号の少なくとも一方を取得している場合(S22のY)、給泡動作を禁止する必要があるとみなし、泡供給機構144による給泡動作を実行させずに、本フローを終了する。
【0037】
なお、制御装置10は便座開閉センサ12A、着座センサ12Bの両方を備えている場合を想定しているが、いずれか一方しか備えていない場合もある。たとえば、便座開閉センサ12Aしか備えていない場合、S22では閉便座検知信号を取得していない場合に「N」と判断し、閉弁検知信号を取得している場合に「Y」と判断する。
【0038】
以上の制御装置10によれば、便座116に座って用便するときには泡が溜まっていない状態にでき、汚物排出性能を確保し易くなる。
【0039】
なお、S22のYでは、泡供給機構144による給泡動作を実行させない代わりに、次の処理を実行してもよい。つまり、閉便座検知信号又は着座検知信号を取得していないときの給泡動作での泡供給量よりも、これらのうちの少なくとも一方の信号を取得しているときの給泡動作での泡供給量を少なくするように、泡供給機構144を制御してもよい。この場合でも、便座116に座って用便するときには、泡が供給されたとしても泡量を少ない状態にでき、汚物排出性能を確保し易くなる。
【0040】
[第3の制御内容]
次に、動作制御部22が行う第3の制御内容を説明する。
前述の(A)のように、便座116が開状態になった場合、動作制御部22は泡供給機構144に給泡動作を実行させる。これは、男性が立ち小便することを想定しているが、便座116を開状態にした後、心変わりして大便をしたくなる場合もある。この場合、便座116を開状態から閉状態に変えて、泡が便器112内に溜められた状態で便座116に座って用便することになる。このとき、立ち小便のように小便の水はねが生じ難くなるため、便器112内に泡Fを残しておく必要がなく、むしろ泡Fがあることで汚物排出性能が低下してしまう。
【0041】
そこで、動作制御部22は、各センサ12A、12Bから閉便座検知信号又は着座検知信号を取得した場合、判定部24に判定処理を実行させる。判定部24が泡が溜まっていると判定しているときには、自動的に洗浄動作を実行させるように洗浄水供給機構142を制御する。つまり、使用者が便座116に座って用便しようとすることが把握できた場合、便器112内に泡が溜められた状態にあると判定されたときには、便器112内の泡を排出する必要があるとみなし、洗浄動作を実行することで便器112内の泡Fを排出する。
【0042】
図7は動作制御部22が行う第3の制御内容を示すフローチャートである。
動作制御部22は、閉便座検知信号又は着座検知信号を取得すると(S30)、判定部24に判定処理を実行させる(S32)。判定処理は、前述のS12と同様、便器洗浄装置140の動作履歴に基づいて行う。泡が溜まっていないと判定された場合(S32のN)、動作制御部22は、本フローを終了する。一方、泡が溜まっていると判定された場合(S32のY)、便器112内の泡を排出するための洗浄動作が必要とみなし、自動的に洗浄動作を実行させるように、洗浄水供給機構142を制御する(S34)。
【0043】
以上によれば、いったん便器112内に泡が溜められてしまった場合でも、便座116に座って用便するときには泡が溜まっていない状態にでき、汚物排出性能を確保することができる。
【0044】
[第4の制御内容]
次に、動作制御部22が行う第4の制御内容を説明する。
子供のいたずら等によって、便座116の開閉が繰り返されたり、泡スイッチ14Cに対する入力操作が繰り返されるケースが想定される。このような動作が繰り返されると、動作制御部22は、前述の(A)、(B)のように、その度に泡供給機構144の給泡動作を実行させることになり、便器112内に大量の泡が溜められてしまう可能性がある。便器112内に大量の泡が溜められてしまうと、洗浄動作を実行したとしても、汚物と泡を安定して排出することが困難になる。
【0045】
そこで、動作制御部22は、泡スイッチ14Cに対する入力操作により給泡開始指令を取得した場合、判定部24に判定処理を実行させる。判定部24が便器112内に泡が残っていると判定しているときには、動作制御部22は、洗浄水供給機構142に洗浄動作を実行させた後に、泡供給機構144に給泡動作を実行させるように制御する。つまり、便器112内に泡が溜められた状態にあるときに給泡開始指令を受けると、いったん洗浄動作を実行して便器112内の泡を排出してから、改めて便器112内に泡を供給する。
【0046】
図8は動作制御部22が行う第4の制御内容を示すフローチャートである。
動作制御部22は、給泡開始指令を取得した場合(S40)、判定部24に判定処理を実行させる(S42)。判定処理は、前述のS12と同様、便器洗浄装置140の動作履歴に基づいて行う。判定部24が泡が溜まっていないと判定した場合(S42のN)、動作制御部22は、給泡開始指令に従って、泡供給機構144に給泡動作を実行させる(S44)。一方、判定部24が泡が溜まっていると判定した場合(S42のY)、便器112内の泡排出のための洗浄動作が必要とみなし、自動的に洗浄動作を実行させるように、洗浄水供給機構142を制御する(S46)。この後、給泡開始指令に従って、泡供給機構144に給泡動作を実行させる(S48)。
【0047】
以上によれば、便器112内に大量の泡が溜められてしまう事態を防止でき、汚物と泡を安定して排出できる状態を維持することができる。
【0048】
[第1の変形例]
図3の例では洗浄水供給機構142はポンプ給水方式を用いており、洗浄水供給量を調整する水量調整機構160が洗浄水ポンプ156である例を説明した。この他にも、洗浄水供給機構142は重力給水方式を用いてもよい。この場合、水量調整機構160は開閉弁(電磁弁)となる。開閉弁を開閉させることにより、洗浄水タンク154から自重により洗浄水が送り出される。動作制御部22は、所定の洗浄開始条件を満たすと、予め定められた洗浄水供給時間の間、開閉弁を開弁状態に維持する。なお、この他にも、水道直圧給水方式等を用いてもよい。この場合も水量調整機構160は開閉弁となる。
【0049】
[第2の変形例]
第1の制御内容では、動作制御部22は、泡有り時小便用供給量As1が一定である例を説明した。動作制御部22は、前回の洗浄動作後からの泡供給機構144の泡供給量に応じて、次回の洗浄動作での洗浄水供給量である泡有り時小便用供給量As1を変えてもよい。
【0050】
詳しくは、前回の洗浄動作後からの泡供給回数が大きくなるほど、次回の洗浄動作での泡有り時小便用供給量を多くしてもよい。この泡供給回数は、
図3の例でいうと、前回の洗浄動作後からの洗剤ポンプ164を駆動した回数、又は、泡バルブ166を開弁状態にした回数をカウントすることで求められる。また、第1の変形例でいうと、前回の洗浄動作後からの開閉弁を開弁状態にした回数をカウントすることで求められる。
【0051】
この他にも、前回の洗浄動作後からの泡供給時間が大きくなるほど、次回の洗浄動作での泡有り時小便用供給量を多くしてもよい。この泡供給時間は、
図3の例でいうと、前回の洗浄動作後からの洗剤ポンプ164の駆動時間、又は、泡バルブ166を開弁時間を積算することで求められる。また、第1の変形例でいうと、前回の洗浄動作後からの開閉弁の開弁時間を積算することで求められる。
【0052】
動作制御部22は、泡供給回数又は泡供給時間が大きくなるほど、泡有り時小便用供給量が連続的に多くなるようにしてもよいし、段階的に多くなるようにしてもよい。いずれにしても、動作制御部22は、泡供給機構144の泡供給量が大きくなるほど、泡有り時小便用供給量が多くなるようにすればよい。大便時の洗浄動作の実行時も同様である。
【0053】
以上によれば、便器112内に溜まっている泡量に応じた洗浄水量で洗浄動作を実行する。よって、便器112内に多くの泡が溜まっている場合には汚物や泡を効果的に排出できる。一方、便器112内に少しの泡しか溜まっていない場合には、洗浄水供給量を抑えて節水効果を効果的に得られる。
【0054】
以上、実施の形態に基づき本発明を説明したが、実施の形態は、本発明の原理、応用を示すにすぎない。また、実施の形態には、請求の範囲に規定された本発明の思想を逸脱しない範囲において、多くの変形例や配置の変更が可能である。
【0055】
便器112は洋風大便器である例を説明したが、和風大便器でもよいし、小便器でもよい。また、各センサ12A、12Bは便器装置110(
図1参照)に搭載される例を説明したが、その搭載対象は特に限られない。また、各種の開始指令はスイッチ14A〜14Cの操作を通して入力される例を説明したが、スマートフォン等の情報処理端末のアプリケーションに対する操作を通して入力されてもよい。また、スイッチ14A〜14Cはリモコン102に備え付けられる例を説明したが、便器装置110等に備え付けられてもよい。
【0056】
判定部24は、便器洗浄装置40の動作履歴に基づいて判定処理を実行するうえで、前回の洗浄動作後に給泡動作が実行されたか否かを示す動作履歴情報を判定基準に用いる例を説明した。この判定基準はこれに限られず、たとえば、便器洗浄装置40が給泡動作を実行してからの経過時間を用いてもよい。ここでの経過時間は、たとえば、便器洗浄装置40が給泡動作を実行してから洗浄開始指令を取得するまでの経過時間である。この経過時間が長くなるほど便器112内の泡Fは破裂して消失し易くなる。そこで、判定部24は、この経過時間が所定値(たとえば、1時間)を超えているときは泡Fが溜まっていないと判定し、所定値以下のときは泡Fが溜まっていると判定してもよい。
【0057】
また、この判定処理は、便器洗浄装置40の動作履歴に基づいて実行する場合の他に、便器112内に泡が溜まっているか否かを検知するためのセンサから出力される情報に基づいて実行してもよい。このセンサは、たとえば、便器112内を撮像する画像センサを用いてもよい。この場合、判定部24は、画像センサから出力される出力情報となる画像情報に基づいて、便器112内に泡Fが溜まっているか否かを判定してもよい。
【0058】
また、この他に、センサは便器112内の溜水134の液面高さを検知するレベルセンサを用いてもよい。レベルセンサは、たとえば、静電容量センサ、測距センサ、超音波センサ、電波センサ等により構成される。溜水134上の泡Fの有無はレベルセンサから出力される液面高さの変化として表われる。たとえば、便器洗浄を実行する前の待機状態にあるときの溜水134の最高液面高さをLa(
図2参照)とする。このとき、最高液面高さLaの溜水134上に泡Fが溜まっていると、センサからは最高液面高さLaを超えた液面高さを示す情報が出力される。そこで、判定部24は、レベルセンサが所定高さLthを超える液面高さを示す情報を出力したときは泡Fが溜まっていると判定し、所定高さLth以下の液面高さを示す情報を出力したときは泡Fが溜まっていないと判定してもよい。この所定高さLthは、たとえば、最高液面高さLaより高位置に設定される。
【0059】
以上の実施形態、変形例により具体化される発明を一般化すると、以下の技術的思想が導かれる。
【0060】
前述の課題を解決するための手段に記載の態様の制御装置は、前記動作制御部は、給泡開始指令を取得した場合、便座が閉状態にあること、又は、便座に着座したことを示す信号を取得しているときは、前記給泡動作を実行させない、又は、該信号を取得していないときよりも給泡動作での泡供給量を少なくしてもよい。
この態様によれば、便座に座って用便するときには、泡が溜まっていない状態、又は、泡が供給されたとしても泡量を少ない状態にでき、汚物排出性能を確保し易くなる。
【0061】
前述の態様の制御装置は、前記動作制御部は、便座が閉状態にあること、又は、便座に着座したことを示す信号を取得した場合、前記判定部が泡が溜まっていると判定しているときには、前記洗浄動作を実行させてもよい。
この態様によれば、いったん便器内に泡が溜められてしまった場合でも、便座に座って用便するときには泡が溜まっていない状態にでき、汚物排出性能を確保することができる。
【0062】
前述の態様の制御装置は、前記動作制御部は、給泡開始指令を取得した場合、前記判定部が泡が溜まっていると判定しているときには、前記洗浄動作を実行させてもよい。
この態様によれば、便器内に大量の泡が溜められてしまう事態を防止でき、汚物と泡を安定して排出できる状態を維持することができる。
【0063】
前述の態様の制御装置は、前記動作制御部は、前回の洗浄動作後からの前記便器洗浄装置の泡供給量に応じて、次回の洗浄動作での洗浄水供給量を変えてもよい。
この態様によれば、便器内に多くの泡が溜まっている場合には汚物や泡を効果的に排出できる。一方、便器内に少しの泡しか溜まっていない場合には、洗浄水供給量を抑えて節水効果を効果的に得られる。
【0064】
前述の態様の制御装置は、前記動作制御部は、前回の洗浄動作後からの前記便器洗浄装置の泡供給回数又は泡供給時間が大きくなるほど、次回の洗浄動作での洗浄水供給量を多くしてもよい。
この態様によれば、便器内に多くの泡が溜まっている場合には汚物や泡を効果的に排出できる。一方、便器内に少しの泡しか溜まっていない場合には、洗浄水供給量を抑えて節水効果を効果的に得られる。
【0065】
前述の態様の制御装置は、前記判定部は、前記便器洗浄装置の動作履歴に基づいて、前記便器内に泡が溜まっているか否かを判定してもよい。