特許第6483034号(P6483034)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483034オータキシン阻害剤としての新規オクタヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール誘導体及びそのアナログ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483034
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】オータキシン阻害剤としての新規オクタヒドロ−ピロロ[3,4−c]−ピロール誘導体及びそのアナログ
(51)【国際特許分類】
   C07D 471/04 20060101AFI20190304BHJP
   C07D 487/04 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/407 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/437 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/55 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/4709 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 13/12 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 1/16 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 25/00 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 29/00 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 37/06 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   C07D471/04 104Z
   C07D471/04CSP
   C07D487/04 137
   C07D487/04 150
   A61K31/407
   A61K31/4439
   A61K31/437
   A61K31/55
   A61K31/4709
   A61P13/12
   A61P1/16
   A61P25/00
   A61P29/00
   A61P37/06
【請求項の数】31
【全頁数】67
(21)【出願番号】特願2015-562081(P2015-562081)
(86)(22)【出願日】2014年3月11日
(65)【公表番号】特表2016-510780(P2016-510780A)
(43)【公表日】2016年4月11日
(86)【国際出願番号】EP2014054631
(87)【国際公開番号】WO2014139978
(87)【国際公開日】20140918
【審査請求日】2017年3月6日
(31)【優先権主張番号】13158724.8
(32)【優先日】2013年3月12日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ.ホフマン−ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN−LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】ヘルト,イェロム
(72)【発明者】
【氏名】フンツィカー,ダニエル
(72)【発明者】
【氏名】マタイ,パトリツィオ
(72)【発明者】
【氏名】マウザー,ハーラルト
(72)【発明者】
【氏名】タン,グォジ
(72)【発明者】
【氏名】ワン,リーシャ
【審査官】 早川 裕之
(56)【参考文献】
【文献】 特表2004−529113(JP,A)
【文献】 特開2008−031064(JP,A)
【文献】 特表平07−505142(JP,A)
【文献】 特表2012−526783(JP,A)
【文献】 特表2012−522734(JP,A)
【文献】 特表2012−532901(JP,A)
【文献】 特表2012−522732(JP,A)
【文献】 特表2012−522733(JP,A)
【文献】 特表2012−510481(JP,A)
【文献】 特表2013−501064(JP,A)
【文献】 国際公開第2012/166415(WO,A1)
【文献】 特表2013−536200(JP,A)
【文献】 特表2012−509916(JP,A)
【文献】 特表2015−531360(JP,A)
【文献】 特表2015−519380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D 471/04
C07D 487/04
A61K 31/407〜55
A61P 1/16
A61P 13/12
A61P 25/00
A61P 29/00
A61P 37/06
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

は、置換シクロアルキル、置換シクロアルキルアルキル、置換フェニル、置換フェニルアルキル、置換フェノキシアルキル、置換フェニルシクロアルキル、置換フェニルアルケニル、置換フェニルアルキニル、置換ナフチル、置換ナフチルアルキル、置換ナフチルオキシアルキル、置換ナフチルアルケニル、置換ピリジニル、置換ピリジニルアルキル、置換ピリジニルアルケニル、置換ピリジニルアルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニルアルキル、置換チオフェニルアルケニル、置換チオフェニルアルキニル、置換インドリル、置換キノリル、置換イソキノリル、置換2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル、置換1H−インドール−2−イル、又は置換ベンゾフラン−2−イルであり、該置換シクロアルキル、該置換シクロアルキルアルキル、該置換フェニル、該置換フェニルアルキル、該置換フェノキシアルキル、該置換フェニルシクロアルキル、該置換フェニルアルケニル、該置換フェニルアルキニル、該置換ナフチル、該置換ナフチルアルキル、該置換ナフチルオキシアルキル、該置換ナフチルアルケニル、該置換ピリジニル、該置換ピリジニルアルキル、該置換ピリジニルアルケニル、該置換ピリジニルアルキニル、該置換チオフェニル、該置換チオフェニルアルキル、該置換チオフェニルアルケニル、該置換チオフェニルアルキニル、該置換インドリル、該置換キノリル、該置換イソキノリル、該置換2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル、該置換1H−インドール−2−イル、及び該置換ベンゾフラン−2−イルは、R、R、及びRで置換されており
は、置換フェニル、置換ピリジニル、置換ピロリル、オキソジヒドロピリジニル、又は置換チオフェニルであり、該置換フェニル、該置換ピリジニル、該置換ピロリル、及び該置換チオフェニルは、R10、R11、及びR12で置換されており
Yは、−OC(O)−、−NRC(O)−、−C(O)−、−S(O)−、
【化2】

であり;
Aは、又はCHであり;
Wは、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−S(O)−、又は−CR−であり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、及びシクロアルキルから選択され;
及びRは、独立して、H、アルキル、及びシクロアルキルから選択され;
、R、及びRは、独立して、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルコキシアルキル、シクロアルキルアルコキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシハロアルキル、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルコキシアルキル、フェニル、置換フェニル、ピリジニル、置換ピリジニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アルキルスルファニル、ハロアルキルスルファニル、シクロアルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、置換アミノスルホニル、置換アミノ、及び置換アミノアルキルから選択され、該置換アミノスルホニル、該置換アミノ、及び該置換アミノアルキルは、窒素原子において、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、及びシクロアルキルカルボニルから選択される1〜2個の置換基で置換されており、そして、該置換フェニル及び該置換ピリジニルは、独立して、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ及びハロアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により置換されており、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、Hではなく;
10は、置換アミノスルホニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、置換アミノ、カルボキシ、シアノ、ヒドロキシ、又はテトラゾリルであり、該置換アミノは、窒素原子において、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、及びアルコキシアルキルから選択される1〜2個の置換基で置換されており
11及びR12は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロゲン、及びハロアルキルから選択され;
m、n、p、及びqは、独立して、1又は2から選択される)
で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項2】
が、置換フェニル、置換フェニルアルキル、置換フェニルアルケニル、置換ナフチル、置換インドリル、置換キノリル、又は置換イソキノリルであり、該置換フェニル、該置換フェニルアルキル、該置換フェニルアルケニル、該置換ナフチル、該置換インドリル、該置換キノリル、及び該置換イソキノリルが、R、R、及びRで置換されている、請求項1記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項3】
が、R、R、及びRで置換されている置換フェニルアルキルである、請求項1又は2記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項4】
が、3,5−ジクロロベンジル、4−トリフルオロメトキシベンジル、又は4−トリフルオロメトキシフェニルエチルである、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項5】
が、置換フェニル又は置換ピリジニルであり、該置換フェニル及び該置換ピリジニルが、R10、R11、及びR12で置換されている、請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項6】
が、R10、R11、及びR12で置換されている置換フェニルである、請求項1〜5のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項7】
が、4−アミノスルホニルフェニル、3−フルオロ−4−アミノスルホニルフェニル、3−アミノスルホニルピリジン−6−イル、又は2−アミノスルホニルピリジン−5−イルである、請求項1〜のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項8】
Yが、−OC(O)−又は−C(O)−である、請求項1〜7のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項9】
Aが、である、請求項1〜8のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項10】
Wが、−C(O)−又は−S(O)−である、請求項1〜9のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項11】
Wが、−C(O)−である、請求項1〜10のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項12】
、R、及びRが、独立して、H、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アルキルスルホニル、及び1個のハロゲンで置換されているフェニルから選択され、そして、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、Hではない、請求項1〜11のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項13】
が、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、又は1個のハロゲンで置換されているフェニルである、請求項1〜12のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項14】
が、ハロアルコキシ又はハロゲンである、請求項1〜13のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項15】
が、H、ハロゲン、又はアルキルスルホニルである、請求項1〜14のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項16】
が、H又はハロゲンである、請求項1〜15のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項17】
が、Hである、請求項1〜16のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項18】
10が、アミノスルホニルである、請求項1〜17のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項19】
11及びR12が、独立して、H、アルキル、及びハロゲンから選択される、請求項1〜18のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項20】
11及びR12が、独立して、H及びハロゲンから選択される、請求項1〜19のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項21】
m及びnが、1である、請求項1〜20のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項22】
m、n、p、及びqが、1である、請求項1〜21のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項23】
式(Ia)
【化3】

で表される、請求項1〜22のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項24】
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(N−メチルスルファモイル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−ヒドロキシピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−ヒドロキシベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−スルファモイルチオフェン−2−カルボニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アミノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アミノピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−シアノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(メトキシカルボニル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
4−{(3aS,8aR)−6−[(E)−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アクリロイル]−オクタヒドロ−ピロロ[3,4−d]アゼピン−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(1−メチル−4−スルファモイル−1H−ピロール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(1−メチル−5−スルファモイル−1H−ピロール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アセトアミドベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アセトアミドピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルフェニルスルホニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
4−((3aR,6aS)−5−((3,5−ジクロロベンジルオキシ)カルボニル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)安息香酸;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−(メチルスルホンアミド)ピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸3−クロロ−5−メタンスルホニル−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸2−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
4−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aR,6aR)−5−[(E)−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アクリロイル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(4−イソプロポキシ−ナフタレン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aR,6aS)−5−[1−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−イソキノリン−3−カルボニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(1−メチル−5−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(4−イソプロポキシ−キノリン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aS,6aR)−5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aS,6aR)−5−[3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aS,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−((3aR,6aR)−5−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロパノイル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド;
(+)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(−)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(2−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
5−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ピリジン−2−スルホン酸アミド;
5−((3aS,6aS)−5−(4−エトキシキノリン−2−カルボニル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ピリジン−2−スルホンアミド;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(2−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;及び
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
からなる群より選択される請求項1〜23のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項25】
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
4−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;及び
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
からなる群より選択される請求項1〜24のいずれか一項記載の化合物、又はその薬学的に許容し得る塩。
【請求項26】
式(III)で表される化合物の存在下で、式(II)で表される化合物を反応させること
【化4】

(式中、R、R、A、W、m、n、p、及びqは、請求項1に定義したとおりであり、そして、Yは、−OC(O)−である)
を含む、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を調製するための方法。
【請求項27】
治療活性物質として用いるための、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項28】
請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩と、治療的に不活性である担体とを含む医薬組成物。
【請求項29】
腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、線維症、又は急性若しくは慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩を含む医薬組成物
【請求項30】
腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、線維症、又は急性若しくは慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩
【請求項31】
腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、線維症、又は急性若しくは慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための医薬を調製するための、請求項1〜25のいずれか一項記載の化合物又はその薬学的に許容し得る塩の使用
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳類における治療又は予防に有用な有機化合物、具体的には、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、呼吸器系の疾患、血管及び心血管の疾患、線維症、癌、眼疾患、代謝性疾患、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための、リゾホスファチジン酸(LPA)生成の阻害剤、ひいてはLPAレベル及び関連するシグナル伝達の調節剤であるオータキシン(ATX)阻害剤に関する。
【0002】
本発明は、式(I)
【化1】

(式中、
は、置換シクロアルキル、置換シクロアルキルアルキル、置換フェニル、置換フェニルアルキル、置換フェノキシアルキル、置換フェニルシクロアルキル、置換フェニルアルケニル、置換フェニルアルキニル、置換ナフチル、置換ナフチルアルキル、置換ナフチルオキシアルキル、置換ナフチルアルケニル、置換ピリジニル、置換ピリジニルアルキル、置換ピリジニルアルケニル、置換ピリジニルアルキニル、置換チオフェニル、置換チオフェニルアルキル、置換チオフェニルアルケニル、置換チオフェニルアルキニル、置換インドリル、置換キノリル、置換イソキノリル、置換2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル、置換1H−インドール−2−イル、又は置換ベンゾフラン−2−イルであり、該置換シクロアルキル、該置換シクロアルキルアルキル、該置換フェニル、該置換フェニルアルキル、該置換フェノキシアルキル、該置換フェニルシクロアルキル、該置換フェニルアルケニル、該置換フェニルアルキニル、該置換ナフチル、該置換ナフチルアルキル、該置換ナフチルオキシアルキル、該置換ナフチルアルケニル、該置換ピリジニル、該置換ピリジニルアルキル、該置換ピリジニルアルケニル、該置換ピリジニルアルキニル、該置換チオフェニル、該置換チオフェニルアルキル、該置換チオフェニルアルケニル、該置換チオフェニルアルキニル、該置換インドリル、該置換キノリル、該置換イソキノリル、該置換2,3−ジヒドロ−1H−イソインドール−2−イル、該置換1H−インドール−2−イル、及び該置換ベンゾフラン−2−イルは、R、R、及びRで置換され;
は、置換フェニル、置換ピリジニル、置換ピロリル、オキソジヒドロピリジニル、又は置換チオフェニルであり、該置換フェニル、該置換ピリジニル、該置換ピロリル、及び該置換チオフェニルは、R10、R11、及びR12で置換され;
Yは、−OC(O)−、−NRC(O)−、−C(O)−、−S(O)−、
【化2】

であり;
Aは、−N−又はCH−であり;
Wは、−O−、−S−、−NR−、−C(O)−、−S(O)−、又は−CR−であり;
及びRは、独立して、H、ハロゲン、アルキル、及びシクロアルキルから選択され;
及びRは、独立して、H、アルキル、及びシクロアルキルから選択され;
、R、及びRは、独立して、H、アルキル、ヒドロキシアルキル、ハロアルキル、ヒドロキシハロアルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、シクロアルキルアルコキシ、シクロアルコキシ、シクロアルコキシアルキル、シクロアルキルアルコキシアルキル、アルコキシ、アルコキシアルキル、ハロアルコキシ、アルコキシハロアルキル、アルコキシアルコキシ、アルコキシアルコキシアルキル、フェニル、置換フェニル、ピリジニル、置換ピリジニル、ハロゲン、ヒドロキシ、シアノ、アルキルスルファニル、ハロアルキルスルファニル、シクロアルキルスルファニル、アルキルスルフィニル、ハロアルキルスルフィニル、シクロアルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、ハロアルキルスルホニル、シクロアルキルスルホニル、置換アミノスルホニル、置換アミノ、及び置換アミノアルキルから選択され、該置換アミノスルホニル、該置換アミノ、及び該置換アミノアルキルは、窒素原子において、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、アルコキシアルキル、アルキルカルボニル、及びシクロアルキルカルボニルから選択される1〜2個の置換基で置換され、そして、該置換フェニル及び該置換ピリジニルは、独立して、アルキル、ハロゲン、ハロアルキル、アルコキシ及びハロアルコキシから選択される1〜3個の置換基で場合により置換され、R、R、及びRのうちの少なくとも1つは、Hではなく;
10は、置換アミノスルホニル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルアミノ、アルキルスルホニルアミノ、置換アミノ、カルボキシ、シアノ、ヒドロキシ、又はテトラゾリルであり、該置換アミノは、窒素原子において、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、シクロアルキルアルキル、ヒドロキシアルキル、及びアルコキシアルキルから選択される1〜2個の置換基で置換され;
11及びR12は、独立して、H、アルキル、シクロアルキル、アルコキシ、ハロゲン、及びハロアルキルから選択され;
m、n、p、及びqは、独立して、1又は2から選択される)
で表される新規化合物又は薬学的に許容し得る塩類を提供する。
【0003】
オータキシン(ATX)は、リゾホスファチジルコリン(LPC)を生物活性シグナル伝達分子リゾホスファチジン酸(LPA)に変換するために重要な、エクトヌクレオチドピロホスファターゼ/ホスホジエステラーゼ2又はリゾホスホリパーゼDとも呼ばれる分泌酵素である。血漿LPA濃度は、ATX活性とよく相関することが示されているので、ATXは、細胞外LPAの重要な源であると考えられる。プロトタイプATX阻害剤を用いた初期実験では、このような化合物がマウス血漿においてLPA合成活性を阻害できることが示された。1970年代及び1980年前半に行われた研究では、LPAが、平滑筋細胞の収縮、血小板の活性化、細胞の増殖、走化性、及びその他を含む広範な細胞応答を誘発し得ることが示された。LPAは、幾つかのGタンパク質共役型受容体(GPCR)に対するシグナル伝達を介してその効果を媒介し;最初のメンバーは、以前はEdg(内皮細胞分化遺伝子)受容体又は脳室帯遺伝子−1(vzg−1)という名称であったが、現在は、LPA受容体と呼ばれている。プロトタイプ群は、現在、LPA1/Edg−2/VZG−1、LPA2/Edg−4、及びLPA3/Edg−7からなっている。近年、3つの更なるLPA受容体LPA4/p2y9/GPR23、LPA5/GPR92、及びLPA6/p2Y5はプロトタイプのLPA1〜3受容体よりもヌクレオチド選択性プリン受容体により近縁であると報告された。ATX−LPAシグナル伝達軸は、例えば、神経系の機能、血管発生、心血管生理、生殖、免疫系の機能、慢性炎症、腫瘍の転移及び進行、臓器の線維症に加えて、肥満及び/又は他の代謝性疾患(例えば、真性糖尿病)を含む広範囲にわたる生理学的及び病態生理学的な機能に関与している。したがって、ATXの活性増大及び/又はLPAの濃度増大、LPA受容体の発現の変化及びLPAに対する応答の変化は、ATX/LPA軸に関する多くの異なる病態生理学的疾患の発症、進行、及び/又は転帰に寄与し得る。
【0004】
本発明によれば、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩類及びエステル類は、オータキシンの活性及び/又はリゾホスファチジン酸(LPA)の生物活性に関係する病気、疾病、又は疾患の治療又は予防のために用いることができる。
【0005】
本明細書における式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩類及びエステル類は、オータキシン活性を阻害するので、LPA産生を阻害し、そして、LPA濃度及び関係するシグナル伝達を調節する。本明細書に記載するオータキシン阻害剤は、ATX活性及び/又はLPAシグナル伝達が関与する病気又は疾患を治療又は予防するための剤として有用であり、病気の原因又は病理に関与しているか、あるいは他の点で病気の少なくとも1つの症状に関係する。ATX−LPA軸は、例えば、血管形成、慢性炎症、自己免疫疾患、線維症、癌及び腫瘍の転移及び進行、眼疾患、代謝性疾患(例えば、肥満及び/又は真性糖尿病)、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症等の疾患、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶に関わっている。
【0006】
本発明の目的は、式(I)で表される化合物並びにその前述の塩類及びエステル類、並びにその治療活性物質としての使用、該化合物の製造方法、中間体、医薬組成物、該化合物、その薬学的に許容し得る塩類又はエステル類を含有する医薬、ATXの活性及び/又はリゾホスファチジン酸(LPA)の生物活性に関係する疾病又は疾患の治療又は予防のため、具体的には、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、呼吸器系の疾患、血管及び心血管の疾患、線維症、癌、眼疾患、代謝性疾患、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための該化合物、塩類又はエステル類の使用、並びに腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、呼吸器系の疾患、血管及び心血管の疾患、線維症、癌、眼疾患、代謝性疾患、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための医薬を製造するための該化合物、塩類又はエステル類の使用である。
【0007】
用語「アルケニル」は、少なくとも1つの二重結合を含む、2〜7個の炭素原子を有する一価の直鎖又は分枝状の炭化水素基を意味する。具体的な実施形態では、アルケニルは、少なくとも1つの二重結合を含み、2〜4個の炭素原子を有する。アルケニルの例としては、エテニル、プロペニル、プロパ−2−エニル、イソプロペニル、n−ブテニル、及びイソブテニルが挙げられる。具体的なアルケニル基は、エテニルである。
【0008】
用語「アルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、及びtert−ブトキシが挙げられる。具体的なアルコキシ基としては、イソプロポキシが挙げられる。
【0009】
用語「アルコキシアルコキシ」は、アルコキシ基の水素原子のうちの少なくとも1つが別のアルコキシ基によって置換されているアルコキシ基を意味する。アルコキシアルコキシ基の例としては、メトキシメトキシ、エトキシメトキシ、メトキシエトキシ、エトキシエトキシ、メトキシプロポキシ、及びエトキシプロポキシが挙げられる。具体的なアルコキシアルコキシ基としては、メトキシメトキシ及びメトキシエトキシが挙げられる。
【0010】
用語「アルコキシアルコキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがアルコキシアルコキシ基によって置換されているアルキル基を意味する。アルコキシアルコキシアルキル基の例としては、メトキシメトキシメチル、エトキシメトキシメチル、メトキシエトキシメチル、エトキシエトキシメチル、メトキシプロポキシメチル、エトキシプロポキシメチル、メトキシメトキシエチル、エトキシメトキシエチル、メトキシエトキシエチル、エトキシエトキシエチル、メトキシプロポキシエチル、及びエトキシプロポキシエチルが挙げられる。
【0011】
用語「アルコキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがアルコキシ基によって置換されているアルキル基を意味する。例示的なアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、エトキシメチル、メトキシエチル、エトキシエチル、メトキシプロピル、エトキシプロピル、及びイソプロポキシメチルが挙げられる。具体的なアルコキシアルキル基としては、メトキシメチル、メトキシエチル、及びイソプロポキシメチルが挙げられる。
【0012】
用語「アルコキシカルボニル」は、式−C(O)−R’(式中、R’は、アルコキシ基である)で表される基を意味する。アルコキシカルボニル基の例としては、式−C(O)−R’(式中、R’は、メトキシ又はエトキシである)で表される基が挙げられる。具体的なアルコキシカルボニル基としては、式−C(O)−R’(式中、R’は、メトキシである)で表される基が挙げられる。
【0013】
用語「アルコキシハロアルキル」は、ハロアルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがアルコキシ基によって置換されているハロアルキル基を意味する。例示的なアルコキシアルキル基としては、メトキシトリフルオロエチル、エトキシトリフルオロエチル、メトキシトリフルオロプロピル、及びエトキシトリフルオロプロピルが挙げられる。
【0014】
用語「アルキル」は、1〜12個の炭素原子を有する一価の直鎖又は分枝状の飽和炭化水素基を意味する。具体的な実施形態では、アルキルは、1〜7個の炭素原子、より具体的な実施形態では、1〜4個の炭素原子を有する。アルキルの例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、及びsec−ブチル、ペンチルが挙げられる。具体的なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル、及びイソプロピルが挙げられる。より具体的なアルキル基は、メチルである。
【0015】
用語「アルキルカルボニル」は、式−C(O)−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルキルカルボニル基の例としては、式−C(O)−R’(式中、R’は、メチル又はエチルである)で表される基が挙げられる。具体的なアルキルカルボニル基としては、式−C(O)−R’(式中、R’は、メチルである)で表される基が挙げられる。
【0016】
用語「アルキルカルボニルアミノ」は、式−NH−C(O)−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルキルカルボニルアミノ基の例としては、式−NH−C(O)−R’(式中、R’は、メチル又はエチルである)で表される基が挙げられる。具体的なアルキルカルボニルアミノ基としては、式−NH−C(O)−R’(式中、R’は、メチルである)で表される基が挙げられる。
【0017】
用語「アルキルスルファニル」は、式−S−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルキルスルファニル基の例としては、式−S−R’(式中、R’は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルである)で表される基が挙げられる。具体的なアルキルスルファニル基としては、式−S−R’(式中、R’は、メチルである)で表される基が挙げられる。
【0018】
用語「アルキルスルフィニル」は、式−S(O)−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルキルスルフィニル基の例としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルである)で表される基が挙げられる。具体的なアルキルスルフィニル基としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、メチルである)で表される基が挙げられる。
【0019】
用語「アルキルスルホニル」は、式−S(O)−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルキルスルホニル基の例としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、又はtert−ブチルである)で表される基が挙げられる。具体的なアルキルスルホニル基としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、メチルである)で表される基が挙げられる。
【0020】
用語「アルキルスルホニルアミノ」は、式−NH−S(O)−R’(式中、R’は、アルキル基である)で表される基を意味する。アルキルスルホニルアミノ基の例としては、式−NH−S(O)−R’(式中、R’は、メチル又はエチルである)で表される基が挙げられる。具体的なアルキルスルホニルアミノ基としては、式−NH−S(O)−R’(式中、R’は、メチルである)で表される基が挙げられる。
【0021】
用語「アミノ」は、−NH基を意味する。
【0022】
用語「アミノアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがアミノ基によって置換されているアルキル基を意味する。アミノアルキルの例としては、アミノメチル、アミノエチル、アミノ−1−メチルーエチル、アミノプロピル、アミノメチルプロピル、及びアミノプロピルが挙げられる。具体例は、アミノメチル及びアミノエチル(haminoethyl)である。
【0023】
用語「アミノスルホニル」は、−S(O)−NH基を意味する。
【0024】
用語「カルボニル」は、−C(O)−基を意味する。
【0025】
用語「カルボキシ」は、−COOH基を意味する。
【0026】
用語「シアノ」は、−C≡N基を意味する。
【0027】
用語「シクロアルコキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、シクロアルキル基である)で表される基を意味する。シクロアルコキシ基の例としては、シクロプロポキシ、シクロブトキシ、シクロペンチルオキシ、シクロへキシルオキシ、シクロヘプチルオキシ、及びシクロオクチルオキシが挙げられる。具体的なシクロアルコキシ基は、シクロプロポキシである。
【0028】
用語「シクロアルコキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがシクロアルコキシ基によって置換されているアルキル基を意味する。シクロアルコキシアルキル基の例としては、シクロプロポキシメチル、シクロプロポキシエチル、シクロブトキシメチル、シクロブトキシエチル、シクロペンチルオキシメチル、シクロペンチルオキシエチル、シクロヘキシルオキシメチル、シクロヘキシルオキシエチル、シクロヘプチルオキシメチル、シクロヘプチルオキシエチル、シクロオクチルオキシメチル、及びシクロオクチルオキシエチルが挙げられる。
【0029】
用語「シクロアルキル」は、3〜10個の環炭素原子を有する一価飽和の単環式又は二環式の炭化水素基を意味する。具体的な実施形態では、シクロアルキルは、3〜8個の環炭素原子を有する一価飽和単環式炭化水素基を意味する。二環式とは、共通の2個の炭素原子を有する2個の飽和炭素環からなる環系を意味する。単環式シクロアルキルの例は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、シクロヘキシル、又はシクロヘプチルである。二環式シクロアルキルの例は、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル又はビシクロ[2.2.2]オクタニルである。具体的な単環式シクロアルキル基は、シクロプロピル、シクロブタニル、シクロペンチル、及びシクロヘキシルである。より具体的な単環式シクロアルキル基は、シクロプロピルである。
【0030】
用語「シクロアルキルアルコキシ」は、アルコキシ基の水素原子のうちの少なくとも1つがシクロアルキル基によって置換されているアルコキシ基を意味する。シクロアルキルアルコキシの例としては、シクロプロピルメトキシ、シクロブチルメトキシ、シクロペンチルメトキシ、シクロヘキシルメトキシ、シクロヘプチルメトキシ、及びシクロオクチルメトキシが挙げられる。
【0031】
用語「シクロアルキルアルコキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがシクロアルキルアルコキシ基によって置換されているアルキル基を意味する。シクロアルキルアルコキシアルキルの例としては、シクロプロピルメトキシメチル、シクロプロピルメトキシエチル、シクロブチルメトキシメチル、シクロブチルメトキシエチル、シクロペンチルメトキシエチル、シクロペンチルメトキシエチル、シクロヘキシルメトキシメチル、シクロヘキシルメトキシエチル、シクロヘプチルメトキシメチル、シクロヘプチルメトキシエチル、シクロオクチルメトキシメチル、及びシクロオクチルメトキシエチルが挙げられる。
【0032】
用語「シクロアルキルアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがシクロアルキル基によって置換されているアルキル基を意味する。シクロアルキルアルキルの例としては、シクロプロピルメチル、シクロプロピルエチル、シクロプロピルブチル、シクロブチルプロピル、2−シクロプロピルブチル、シクロペンチルブチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプタニルメチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプタニルエチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルメチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルエチル、アダメンタニルメチル、及びアダマンタニルエチルが挙げられる。シクロアルキルアルキルの具体例は、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプタニルメチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプタニルエチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルメチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルエチル、アダメンタニルメチル、及びアダマンタニルエチルである。シクロアルキルアルキルの更なる具体例は、シクロヘキシルメチル、シクロヘキシルエチル、ビシクロ[4.1.0]ヘプタニルメチル、ビシクロ[2.2.2]オクタニルメチル、アダメンタニルメチル、及びアダマンタニルエチルである。
【0033】
用語「シクロアルキルカルボニル」は、式−C(O)−R’(式中、R’は、シクロアルキル基である)で表される基を意味する。シクロアルキルカルボニル基の例としては、式−C(O)−R’(式中、R’は、シクロプロピルである)で表される基が挙げられる。
【0034】
用語「シクロアルキルスルファニル」は、式−S−R’(式中、R’は、シクロアルキル基である)で表される基を意味する。シクロアルキルスルファニル基の例としては、式−S−R’(式中、R’は、シクロプロピルである)で表される基が挙げられる。
【0035】
用語「シクロアルキルスルフィニル」は、式−S(O)−R’(式中、R’は、シクロアルキル基である)で表される基を意味する。シクロアルキルスルフィニル基の例としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、シクロプロピルである)で表される基が挙げられる。
【0036】
用語「シクロアルキルスルホニル」は、式−S(O)−R’(式中、R’は、シクロアルキル基である)で表される基を意味する。シクロアルキルスルホニル基の例としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、シクロプロピルである)で表される基が挙げられる。
【0037】
用語「ハロアルコキシ」は、アルコキシ基の水素原子のうちの少なくとも1つが同じ又は異なるハロゲン原子によって置換されているアルコキシ基を意味する。用語「ペルハロアルコキシ」は、アルコキシ基の全ての水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子によって置換されているアルコキシ基を意味する。ハロアルコキシの例としては、フルオロメトキシ、ジフルオロメトキシ、トリフルオロメトキシ、トリフルオロエトキシ、トリフルオロメチルエトキシ、トリフルオロジメチルエトキシ、及びペンタフルオロエトキシが挙げられる。具体的なハロアルコキシ基は、トリフルオロメトキシである。
【0038】
用語「ハロアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つが同じ又は異なるハロゲン原子によって置換されているアルキル基を意味する。用語「ペルハロアルキル」は、アルキル基の全ての水素原子が同じ又は異なるハロゲン原子によって置換されているアルキル基を意味する。ハロアルキルの例としては、フルオロメチル、ジフルオロメチル、トリフルオロメチル、トリフルオロエチル、トリフルオロメチルエチル、及びペンタフルオロエチルが挙げられる。具体的なハロアルキル基は、トリフルオロメチルである。
【0039】
用語「ハロアルキルスルファニル」は、式−S−R’(式中、R’は、ハロアルキル基である)で表される基を意味する。ハロアルキルスルファニル基の例としては、式−S−R’(式中、R’は、トリフルオロメチルである)で表される基が挙げられる。
【0040】
用語「ハロアルキルスルフィニル」は、式−S(O)−R’(式中、R’は、ハロアルキル基である)で表される基を意味する。ハロアルキルスルフィニル基の例としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、トリフルオロメチルである)で表される基が挙げられる。
【0041】
用語「ハロアルキルスルホニル」は、式−S(O)−R’(式中、R’は、ハロアルキル基である)で表される基を意味する。ハロアルキルスルホニル基の例としては、式−S(O)−R’(式中、R’は、トリフルオロメチルである)で表される基が挙げられる。
【0042】
用語「ハロゲン」及び「ハロ」は、本明細書において互換的に用いられ、そして、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。具体的なハロゲンは、クロロ及びフルオロである。
【0043】
用語「ヒドロキシ」は、−OH基を意味する。
【0044】
用語「ヒドロキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがヒドロキシ基によって置換されているアルキル基を意味する。ヒドロキシアルキルの例としては、ヒドロキシメチル、ヒドロキシエチル、ヒドロキシ−1−メチル−エチル、ヒドロキシプロピル、ヒドロキシメチルプロピル、及びジヒドロキシプロピルが挙げられる。具体例は、ヒドロキシメチル及びヒドロキシエチルである。
【0045】
用語「ヒドロキシハロアルキル」は、ハロアルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがヒドロキシ基によって置換されているハロアルキル基を意味する。例示的なヒドロキシハロアルキル基としては、ヒドロキシトリフルオロエチル及びヒドロキシトリフルオロプロピルが挙げられる。具体的なヒドロキシハロアルキル基としては、ヒドロキシトリフルオロエチルが挙げられる。
【0046】
用語「ナフチルアルケニル」は、アルケニル基の水素原子のうちの少なくとも1つがナフチナフチル(naphthynaphthyl)によって置換されているアルケニル基を意味する。具体的なナフチルアルケニル基は、ナフチルエテニルである。
【0047】
用語「ナフチルアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがナフチルによって置換されているアルキル基を意味する。具体的なナフチルアルキル基は、ナフチルメチル、ナフチルエチル、及びナフチルプロピルである。
【0048】
用語「ナフチルオキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがナフチルオキシ基によって置換されているアルキル基を意味する。例示的なナフチルオキシアルキル基としては、ナフチルオキシメチル、ナフチルオキシエチル、及びナフチルオキシプロピルが挙げられる。
【0049】
用語「フェノキシ」は、式−O−R’(式中、R’は、フェニルである)で表される基を意味する。
【0050】
用語「フェノキシアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがフェノキシ基によって置換されているアルキル基を意味する。例示的なフェノキシアルキル基としては、フェノキシメチル、フェノキシエチル、及びフェノキシプロピルが挙げられる。具体的なアルコキシアルキル基は、フェノキシメチルである。
【0051】
用語「フェニルアルケニル」は、アルケニル基の水素原子のうちの少なくとも1つがフェニルによって置換されているアルケニル基を意味する。具体的なフェニルアルケニル基は、フェニルエテニルである。
【0052】
用語「フェニルアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがフェニルによって置換されているアルキル基を意味する。具体的なフェニルアルキル基は、ベンジル、フェネチル、及びフェニルプロピルである。より具体的なフェニルアルキル基は、ベンジル及びフェネチルである。更に具体的なフェニルアルキル基は、ベンジルである。
【0053】
用語「フェニルアルキニル」は、アルキニル基の水素原子のうちの少なくとも1つがフェニルによって置換されているアルキニル基を意味する。具体的なフェニルアルキニル基は、フェニルエチニルである。
【0054】
用語「フェニルシクロアルキル」は、シクロアルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがフェニルによって置換されているシクロアルキル基を意味する。具体的なフェニルシクロアルキル基は、フェニルシクロプロピルである。
【0055】
用語「ピリジニルアルケニル」は、アルケニル基の水素原子のうちの少なくとも1つがピリジニルによって置換されているアルケニル基を意味する。具体的なピリジニルアルケニル基は、ピリジニルエテニルである。
【0056】
用語「ピリジニルアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがピリジニルによって置換されているアルキル基を意味する。具体的なピリジニルアルキル基は、ピリジニルメチル、ピリジニルエチル、及びピリジニルプロピルである。より具体的なピリジニルアルキル基は、ピリジニルエチルである。
【0057】
用語「ピリジニルアルキニル」は、アルキニル基の水素原子のうちの少なくとも1つがピリジニルによって置換されているアルキニル基を意味する。具体的なピリジニルアルキニル基は、ピリジニルエチニルである。
【0058】
用語「チオフェニルアルケニル」は、アルケニル基の水素原子のうちの少なくとも1つがチオフェニルによって置換されているアルケニル基を意味する。具体的なチオフェニルアルケニル基は、チオフェニルエテニルである。
【0059】
用語「チオフェニルアルキル」は、アルキル基の水素原子のうちの少なくとも1つがチオフェニルによって置換されているアルキル基を意味する。具体的なチオフェニルアルキル基は、チオフェニルメチル、チオフェニルエチル、及びチオフェニルプロピルである。より具体的なチオフェニルアルキル基は、チオフェニルメチルである。
【0060】
用語「チオフェニルアルキニル」は、アルキニル基の水素原子のうちの少なくとも1つがチオフェニルによって置換されているアルキニル基を意味する。具体的なチオフェニルアルキニル基は、チオフェニルエチニルである。
【0061】
用語「薬学的に許容し得る塩類」は、生物学的効果を保持し、そして、生物学的に若しくは他の理由で望ましくないものではない遊離塩基又は遊離酸の特性を保持している塩類を指す。該塩類は、無機酸(例えば、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等、特に、塩酸)及び有機酸(例えば、酢酸、プロピオン酸、グリコール酸、ピルビン酸、シュウ酸、マレイン酸、マロン酸、コハク酸、フマル酸、酒石酸、クエン酸、安息香酸、ケイ皮酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、N−アセチルシステイン等)で形成される。更に、これら塩類は、遊離酸に無機塩基又は有機塩基を付加することによって調製してもよい。無機塩基から誘導される塩類としては、ナトリウム、カリウム、リチウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウムの塩等が挙げられるが、これらに限定されない。有機塩基から誘導される塩類としては、第一級、第二級及び第三級のアミン、自然界に存在する置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、並びに塩基性イオン交換樹脂(例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、エタノールアミン、リシン、アルギニン、N−エチルピペリジン、ピペリジン、ポリイミンの樹脂)等の塩が挙げられるが、これらに限定されない。式(I)で表される化合物の具体的な薬学的に許容し得る塩類は、ナトリウム及びカリウムの塩である。
【0062】
「薬学的に許容し得るエステル類」とは、一般式(I)で表される化合物が、官能基で誘導体化されて、インビボで親化合物に変換し直すことができる誘導体を与えることができることを意味する。このような化合物の例としては、生理学的に許容し得かつ代謝的に不安定なエステル誘導体、例えば、メトキシメチルエステル、メチルチオメチルエステル、及びピバロイルオキシメチルエステルが挙げられる。更に、代謝的に不安定なエステルと同様に、インビボで一般式(I)で表される親化合物を生成することができる一般式(I)で表される化合物の任意の生理学的に許容し得る等価物も、本発明の範囲内である。
【0063】
用語「保護基」(PG)とは、合成化学において従来それに関係する意味において、ある保護されていない反応性部位で化学反応を選択的に実行することができるように、多官能性化合物の別の反応性部位を選択的にブロックする基を意味する。保護基は、適切な点で除去することができる。例示的な保護基は、アミノ保護基、カルボキシ保護基、又はヒドロキシ保護基である。具体的な保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)、ベンジルオキシカルボニル(Cbz)、フルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)、及びベンジル(Bn)基である。更に具体的な保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)及びフルオレニルメトキシカルボニル(Fmoc)基である。より具体的な保護基は、tert−ブトキシカルボニル(Boc)基である。
【0064】
略記uMは、マイクロモル濃度を意味し、そして、記号μMと等しい。
【0065】
略記uLは、マイクロリットルを意味し、そして、記号μLと等しい。
【0066】
略記ugは、マイクログラムを意味し、そして、記号μgと等しい。
【0067】
式(I)で表される化合物は、幾つかの不斉中心を含有することができ、そして、光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物(例えば、ラセミ体等)、光学的に純粋なジアステレオ異性体、ジアステレオ異性体の混合物、ジアステレオ異性体のラセミ体、又はジアステレオ異性体のラセミ体の混合物の形態で存在することができる。
【0068】
Cahn−Ingold−Prelog規則に従って、不斉炭素原子は、「R」又は「S」立体配置をとることができる。
【0069】
また、本発明の実施形態は、本明細書に記載する式(I)で表される化合物、及びその薬学的に許容し得る塩類又はエステル類、具体的には、本明細書に記載する式(I)で表される化合物及びその薬学的に許容し得る塩類、より具体的には、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0070】
本発明の更なる実施形態は、Rが、置換フェニル、置換フェニルアルキル、置換フェニルアルケニル、置換ナフチル、置換インドリル、置換キノリル、又は置換イソキノリルであり、該置換フェニル、該置換フェニルアルキル、該置換フェニルアルケニル、該置換ナフチル、該置換インドリル、該置換キノリル、及び該置換イソキノリルが、R、R、及びRで置換されている、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0071】
本発明の具体的な実施形態は、Rが、R、R、及びRで置換されているフェニルアルキルである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0072】
本発明の更なる実施形態は、Rが、3,5−ジクロロベンジル、4−トリフルオロメトキシベンジル、又は4−トリフルオロメトキシフェニルエチルである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0073】
また、本発明は、Rが、置換フェニル又は置換ピリジニルであり、該置換フェニル及び該置換ピリジニルが、R10、R11、及びR12で置換されている、本明細書に記載する式(I)で表される化合物に関する。
【0074】
本発明の更に具体的な実施形態は、Rが、R10、R11、及びR12で置換されている置換フェニルである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0075】
本発明の別の更なる実施形態は、Rが、4−アミノスルホニルフェニル、3−フルオロ−4−アミノスルホニルフェニル、3−アミノスルホニルピリジン−6−イル、又は2−アミノスルホニルピリジン−5−イルである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0076】
本発明の別の実施形態は、Yが、−OC(O)−又は−C(O)−である、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0077】
本発明のより具体的な実施形態は、Aが、−N−である、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0078】
また、本発明の実施形態は、Wが、−C(O)−又は−S(O)−である、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0079】
本発明の別の実施形態は、Wが、−C(O)−である、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0080】
本発明の別の実施形態は、R、R、及びRが、独立して、H、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、アルキルスルホニル、及び1個のハロゲンで置換されているフェニルから選択され、そして、R、R、及びRのうちの少なくとも1つが、Hではない、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0081】
本発明の更に具体的な実施形態は、Rが、アルコキシ、ハロアルコキシ、ハロゲン、又は1個のハロゲンで置換されているフェニルである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0082】
本発明の更に具体的な実施形態は、Rが、ハロアルコキシ又はハロゲンである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0083】
本発明の更に具体的な実施形態は、Rが、H、ハロゲン、又はアルキルスルホニルである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0084】
本発明の更に具体的な実施形態は、Rが、H又はハロゲンである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0085】
本発明の更に具体的な実施形態は、Rが、Hである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0086】
本発明の更に具体的な実施形態は、R10が、アミノスルホニルである、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0087】
本発明の更に具体的な実施形態は、R11及びR12が、独立して、H、アルキル、及びハロゲンから選択される、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0088】
本発明の更に具体的な実施形態は、R11及びR12が、独立して、H及びハロゲンから選択される、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0089】
本発明の更に具体的な実施形態は、m及びnが、1である、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0090】
本発明の更に具体的な実施形態は、m、n、p、及びqが、1である、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0091】
本発明の更に具体的な実施形態は、Rが、4−アミノスルホニルフェニルであり、そして、式(Ia)
【化3】

で表される、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0092】
本明細書に記載する式(I)で表される化合物の具体例は、
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(N−メチルスルファモイル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−ヒドロキシピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−ヒドロキシベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−スルファモイルチオフェン−2−カルボニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アミノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アミノピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−シアノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(メトキシカルボニル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
4−{(3aS,8aR)−6−[(E)−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アクリロイル]−オクタヒドロ−ピロロ[3,4−d]アゼピン−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(1−メチル−4−スルファモイル−1H−ピロール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(1−メチル−5−スルファモイル−1H−ピロール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アセトアミドベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アセトアミドピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルフェニルスルホニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
4−((3aR,6aS)−5−((3,5−ジクロロベンジルオキシ)カルボニル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)安息香酸;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−(メチルスルホンアミド)ピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸3−クロロ−5−メタンスルホニル−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸2−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
4−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aR,6aR)−5−[(E)−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アクリロイル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(4−イソプロポキシ−ナフタレン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aR,6aS)−5−[1−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−イソキノリン−3−カルボニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(1−メチル−5−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(4−イソプロポキシ−キノリン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aS,6aR)−5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aS,6aR)−5−[3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aS,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−((3aR,6aR)−5−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロパノイル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド;
(+)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(−)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
及びこれらの薬学的に許容し得る塩類から選択される。
【0093】
また、本明細書に記載する式(I)で表される化合物の具体例は、
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(N−メチルスルファモイル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−ヒドロキシピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−ヒドロキシベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−スルファモイルチオフェン−2−カルボニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アミノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アミノピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−シアノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(メトキシカルボニル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
4−{(3aS,8aR)−6−[(E)−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アクリロイル]−オクタヒドロ−ピロロ[3,4−d]アゼピン−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−オキソ−1,6−ジヒドロ−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(1−メチル−4−スルファモイル−1H−ピロール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(1−メチル−5−スルファモイル−1H−ピロール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−ヒドロキシ−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−ヒドロキシ−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アセトアミドベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アセトアミドピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルフェニルスルホニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
4−((3aR,6aS)−5−((3,5−ジクロロベンジルオキシ)カルボニル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)安息香酸;
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−(メチルスルホンアミド)ピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸3−クロロ−5−メタンスルホニル−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸2−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aR,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
4−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aR,6aR)−5−[(E)−3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−アクリロイル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(4−イソプロポキシ−ナフタレン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aR,6aS)−5−[1−(2,2,2−トリフルオロ−エトキシ)−イソキノリン−3−カルボニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(1−メチル−5−トリフルオロメトキシ−1H−インドール−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aR,6aS)−5−(4−イソプロポキシ−キノリン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−[(3aS,6aR)−5−(4’−クロロ−ビフェニル−4−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル]−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aS,6aR)−5−[3−(2−フルオロ−4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−{(3aS,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
4−((3aR,6aR)−5−(3−(2−フルオロ−4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロパノイル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミド;
(+)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(−)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(2−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
5−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ピリジン−2−スルホン酸アミド;
5−((3aS,6aS)−5−(4−エトキシキノリン−2−カルボニル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ピリジン−2−スルホンアミド;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(2−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;及びこれらの薬学的に許容し得る塩類から選択される。
【0094】
本明細書に記載する式(I)で表される化合物の更なる具体例は、
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
4−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
及びこれらの薬学的に許容し得る塩類から選択される。
【0095】
また、本明細書に記載する式(I)で表される化合物の更なる具体例は、
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート;
(3aS,6aS)−5−(3−フルオロ−4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(6−スルファモイル−ピリジン−3−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−トリフルオロメトキシ−ベンジルエステル;
4−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド;
(3aS,6aS)−5−(5−スルファモイル−ピリジン−2−カルボニル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸4−シアノ−2−(2,2−ジメチル−プロピオニルアミノ)−ベンジルエステル;
及びこれらの薬学的に許容し得る塩類から選択される。本明細書に記載する式(I)で表される化合物の製造方法は、本発明の目的である。
【0096】
本発明の式(I)で表される化合物の調製は、逐次又は収束合成経路で実施することができる。本発明の合成を、以下の一般スキームに示す。反応及び生じる生成物の精製を実施するのに必要な技能は、当業者に公知である。反応中にエナンチオマー又はジアステレオ異性体の混合物が生成される場合、これらエナンチオマー又はジアステレオ異性体は、本明細書に記載されているか又は当業者に公知の方法(例えば、(キラル)クロマトグラフィ又は結晶化等)によって分離することができる。以下の方法の記載において使用される置換基及び指数は、本明細書において与えられた意味を有する。
【0097】
一般式(I)で表される化合物は、当技術分野において周知の方法を用いて、アミン前駆体1及び適切な試薬から合成することができる。
【0098】
【化4】
【0099】
例えば、アミン1を、式R−O−C(O)−Cl(2)で表される好適なクロロホルマートエステル、又は式(3)で表されるイミダゾール−1−カルボキシレートエステルと反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Yは、−OC(O)−である)を導く。
【0100】
【化5】
【0101】
該反応は、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はこれらの混合物)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下にて、0℃から溶媒又は溶媒混合物の沸点までの温度で実施する。
【0102】
クロロホルマートエステル2は、市販されているか、又は文献に記載されている通り、ホスゲン若しくはホスゲン等価物(例えば、ジホスゲン、トリホスゲン)と反応させることによって、式R−OHで表される対応するアルコールから合成することができる。
【0103】
イミダゾール−1−カルボキシレートエステル3は、1,1’−カルボニルジイミダゾールと反応させることによって、式R−OHで表される対応するアルコールから合成される。該反応は、溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、又はアセトニトリル)中で室温にて実施される。イミダゾール−1−カルボキシレートエステル3は、典型的に、単離せず、上記の通りアミン1と直接反応させる。
【0104】
式R−OHで表されるアルコールは、市販されているか、又は本明細書に記載するか若しくは当技術分野において公知の方法によって生成することができる。
【0105】
あるいは、アミン1を、式R−N(R)−C(O)−Cl(4)で表される好適なN−(クロロカルボニル)アミンと、又はRがHである場合、式R−NCO(5)で表されるイソシアナートと反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Yは、−NRC(O)−である)を導く。
【0106】
N−(クロロカルボニル)アミン(4)は、文献に記載されている通り、ホスゲン若しくはホスゲン等価物と反応させることによって、式R−N(R)Hで表される対応するアミンから合成される。
【0107】
イソシアナート5は、市販されているか、又は文献に記載されている条件を用いて、ホスゲン又はホスゲン等価物(例えば、ジホスゲン、トリホスゲン、1,1’−カルボニルジイミダゾール)と反応させることによって、式R−NHで表される対応するアミンから調製することができる。
【0108】
あるいは、アミン1を、式R−COOH(6)で表される好適なカルボン酸と反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Yは、−C(O)−である)を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)の存在下で、非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、及びこれらの混合物)中にて、−40℃〜80℃の温度で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下にて実施される。
【0109】
また、アミン1を、式R−COCl(7)で表される塩化アシル等の好適なアシル化試薬と反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Yは、−C(O)−である)を導くこともできる。該反応は、溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、又はN,N−ジメチルホルムアミド)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン又は4−メチルモルホリン)の存在下にて、0℃〜80℃の温度で実施される。
【0110】
カルボン酸(6)及びハロゲン化アシル(7)は、市販されているか、又は本明細書若しくは文献に記載されている通り調製することができる。
【0111】
あるいは、アミン1を、式R−SOCl(8)で表される好適な塩化スルホニルと反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Yは、−S(O)−である)を導く。該反応は、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はこれらの混合物)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下にて、0℃から溶媒又は溶媒混合物の沸点までの温度で実施する。
【0112】
塩化スルホニル(8)は、市販されているか、又は本明細書若しくは文献に記載されている通り合成することができる。
【0113】
あるいは、アミン1を、一般式9で表される好適なクロロ−オキサジアゾール試薬、又はオキサジアゾロン試薬10と反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Yは、
【化6】

である)を導く。
【0114】
【化7】
【0115】
式(I)で表される化合物がアミン1及びクロロ−オキサジアゾール9から生成される場合、該反応は、塩基(例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)の存在下で、溶媒(例えば、トルエン、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、又は1,4−ジオキサン)中にて、20℃〜150℃の温度で実施される。
【0116】
式(I)で表される化合物がアミン1及びオキサジアゾロン10から生成される場合、該反応は、文献に記載されている通り、カップリング剤(例えば、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)及び塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン又は4−メチルモルホリン)の存在下で、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中にて、20℃〜100℃の温度で実施される。
【0117】
オキサジアゾロン10は、市販されているか、又は文献に記載されている通り生成することができる。
【0118】
クロロ−オキサジアゾール9は、市販されているか、又は60℃〜120℃の温度で、好適なハロゲン化試薬(例えば、オキシ塩化リン及び/又は五塩化リン)と反応させることによって、対応するオキサジアゾロンから生成することができる。
【0119】
あるいは、アミン1を、一般式11(X=Cl又はBr)で表される好適なハロ−チアジアゾール試薬、又はチアジアゾールチオン試薬12と反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Yは、
【化8】

である)を導く。
【0120】
【化9】
【0121】
式(I)で表される化合物がアミン1及びハロ−チアジアゾール11から生成される場合、該反応は、塩基(例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)の存在下で、溶媒(例えば、トルエン、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、又は1,4−ジオキサン)中にて、20℃〜150℃の温度で実施される。
【0122】
式(I)で表される化合物がアミン1及びチアジアゾールチオン12から生成される場合、該反応は、文献に記載されている通り、溶媒(例えば、エタノール又はN,N−ジメチルホルムアミド)中で、20℃〜100℃の温度にて実施される。
【0123】
チアジアゾールチオン12は、市販されているか、又は文献に記載されている通り生成することができる。
【0124】
ハロ−チアジアゾール11は、市販されているか、又は文献に記載されている通り生成することができる。
【0125】
一般式1で表されるアミンは、好適に保護された前駆体13から合成される。
【0126】
【化10】
【0127】
好適な保護基(PG)は、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、及び置換ベンジルオキシカルボニル(例えば、3,5−ジクロロベンジルオキシカルボニル)である。中間体13の脱保護は、当技術分野において公知の方法及び試薬を用いて実施することができる。
【0128】
例えば、PGが、場合により置換されているベンジルオキシカルボニルである場合、脱保護は、1バール〜100バールの圧力で、好適な触媒(例えば、パラジウム活性炭)の存在下にて、20℃〜150℃の温度で、溶媒(例えば、メタノール又はエタノール)中にて水素化することによって実施してよい。
【0129】
あるいは、PGがtert−ブトキシカルボニルである場合、脱保護は、好適な酸(例えば、塩酸又はトリフルオロ酢酸)の存在下で、溶媒(例えば、水、2−プロパノール、ジクロロメタン、又は1,4−ジオキサン)中にて、0℃〜30℃の温度で実施してよい。
【0130】
中間体13(式中、Aは、Nである)は、一般構造13Aによって表される。
【0131】
【化11】
【0132】
PGは、好適な保護基、例えば、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、及び置換ベンジルオキシカルボニル(例えば、3,5−ジクロロベンジルオキシカルボニル)である。
【0133】
中間体13Aは、当技術分野において公知の方法を用いて、適切な試薬と反応させることによって、一般式14で表されるアミン前駆体から生成することができる。
【0134】
【化12】
【0135】
例えば、14を一般式X−CR−R(15)(式中、Xは、Cl、Br、I、又はOSOCH等の脱離基である)で表されるアルキル化剤と反応させて、13A(式中、Wは、−CR−である)を導く。該反応は、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はN,N−ジメチルホルムアミド)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン又は炭酸カリウム)の存在下にて、0℃〜100℃の温度で実施される。
【0136】
あるいは、式13A(式中、Wは、−CR−であり、Rは、水素、アルキル、又はシクロアルキルであり、そして、Rは、Hである)で表される化合物については、アミン14を還元的アミノ化反応において一般式R−C(O)−R(16)で表されるアルデヒド又はケトンと反応させて、13Aを導く。この反応は、好適な還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム又はナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)の存在下で、溶媒(例えば、メタノール、酢酸、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、又はこれらの混合物)中にて、0℃〜50℃の温度で実施される。
【0137】
あるいは、アミン14を、式R−COOH(17)で表される好適なカルボン酸と反応させて、式13Aで表される化合物(式中、Wは、−C(O)−である)を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)の存在下で、非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、及びこれらの混合物)中にて、−40℃〜80℃の温度にで、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下にて実施される。
【0138】
あるいは、アミン14を、式R−SOCl(18)で表される好適な塩化スルホニルと反応させて、式13Aで表される化合物(式中、Wは、−S(O)−である)を導く。該反応は、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はこれらの混合物)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下にて、0℃から溶媒又は溶媒混合物の沸点までの温度で実施する。
【0139】
アミン14、アルキル化剤15、アルデヒド/ケトン16、カルボン酸17、塩化スルホニル18、及びアミン22は、市販されているか、又は文献若しくは実験の項に記載されている通り合成することができる。
【0140】
中間体13(式中、Aは、C−Hである)は、一般式13B(式中、PGは、好適な保護基、例えば、tert−ブトキシカルボニル、ベンジルオキシカルボニル、及び置換ベンジルオキシカルボニル(例えば、3,5−ジクロロベンジルオキシカルボニル)である)によって表される。
【0141】
【化13】
【0142】
化合物13B(式中、Wは、−NR−である)は、好適な還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム又はナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)の存在下で、溶媒(例えば、メタノール、酢酸、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、又はこれらの混合物)中にて、0℃〜50℃の温度で、式HN(R)R(20)で表されるアミンと反応させることによって、ケトン19から生成される。
【0143】
【化14】
【0144】
ケトン19及びアミン20は、市販されているか、又は文献に記載されている通り調製することができる。
【0145】
化合物13B(式中、Wは、−O−又は−S−である)は、当技術分野において公知の方法及び試薬を用いてアルコール21から生成される。
【0146】
【化15】
【0147】
例えば、アルコール24を、トリフェニルホスフィン及びジアルキルアゾジカルボキシレート(例えば、ジイソプロピルアゾジカルボキシレート又はジエチルアゾジカルボキシレート)の存在下で、溶媒(例えば、トルエン、ジクロロメタン、又はテトラヒドロフラン)中にて、フェノールHO−R又はチオフェノールHS−Rと室温で反応させて、13B(式中、Wは、−O−又は−S−である)を導く。
【0148】
あるいは、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、溶媒(例えば、ジクロロメタン又はテトラヒドロフラン)中にて、−20℃〜+30℃の温度で、塩化メタンスルホニルを用いてアルコール21を対応するメタンスルホナートに変換し、そして、塩基(例えば、炭酸カリウム)の存在下で、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド又はアセトニトリル)中にて、20℃〜100℃の温度で、フェノールHO−R又はチオフェノールHS−Rでメタンスルホナート中間体を処理して、13B(式中、Wは、−O−又は−S−である)を導く。
【0149】
化合物13B(式中、Wは、−SO−である)は、溶媒(例えば、ギ酸、酢酸、又はジクロロメタン)中で、0℃〜50℃の温度にて、好適な試薬(例えば、過酸化水素又は3−クロロ過安息香酸)で酸化することによって、化合物13B(式中、Wは、−S−である)から生成される。
【0150】
アルコール21は、溶媒(例えば、メタノール)中で、0℃〜50℃の温度にて、好適な還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム)を用いてケトン19から生成される。
【0151】
式(I)で表される化合物(式中、Aは、Nである)は、当技術分野において公知の方法を用いて、適切な試薬と反応させることによって、一般式22で表されるアミン前駆体から生成することができる。
【0152】
【化16】
【0153】
例えば、式22で表されるアミンを一般式X−CR−R(15)(式中、Xは、Cl、Br、I、又はOSOCH等の脱離基である)で表されるアルキル化剤と反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Aは、Nであり、そして、Wは、−CR−である)を導く。この反応は、溶媒(例えば、テトラヒドロフラン又はN,N−ジメチルホルムアミド)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン又は炭酸カリウム)の存在下にて、0℃〜100℃の温度で実施される。
【0154】
あるいは、式22で表されるアミンを、還元剤アミノ化反応において一般式R−C(O)−R(16)で表されるアルデヒド又はケトンと反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Aは、Nであり、Wは、−CR−であり、Rは、水素、アルキル、又はシクロアルキルであり、そして、Rは、Hである)を導く。この反応は、好適な還元剤(例えば、水素化ホウ素ナトリウム又はナトリウムトリアセトキシボロヒドリド)の存在下で、溶媒(例えば、メタノール、酢酸、テトラヒドロフラン、1,2−ジクロロエタン、又はこれらの混合物)中にて、0℃〜50℃の温度で実施される。
【0155】
あるいは、アミン22を、式R−COOH(17)で表される好適なカルボン酸と反応させて、式(I)で表される化合物(式中、Aは、Nであり、そして、Wは、−C(O)−である)を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)の存在下で、非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、及びこれらの混合物)中にて、−40℃〜80℃の温度で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下にて実施される。
【0156】
あるいは、アミン22を、式R−SOCl(18)で表される好適な塩化スルホニルと反応させて、(I)(式中、Aは、Nであり、そして、Wは、−S(O)−である)を導く。該反応は、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はこれらの混合物)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下にて、0℃から溶媒又は溶媒混合物の沸点までの温度で実施する。
【0157】
アミン22は、カルバマート脱保護によって、式23で表されるそのtert−ブチルカルバマート誘導体から合成することができる。脱保護は、好適な酸(例えば、塩酸又はトリフルオロ酢酸)の存在下で、溶媒(例えば、水、2−プロパノール、ジクロロメタン、又は1,4−ジオキサン)中にて、0℃〜30℃の温度で実施してよい。
【0158】
【化17】
【0159】
tert−ブチルカルバマート23は、当技術分野において周知の方法を用いて、式24で表されるアミノ前駆体及び適切な試薬から合成することができる。
【0160】
【化18】
【0161】
例えば、アミン24で表されるアミンを、式R−O−C(O)−Cl(2)で表される好適なクロロホルマートエステル、又は式(3)で表されるイミダゾール−1−カルボキシレートエステルと反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、−OC(O)−である)を導く。該反応は、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はこれらの混合物)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下で、0℃から溶媒又は溶媒混合物の沸点までの温度で実施する。
【0162】
あるいは、式24で表されるアミンを、式R−N(R)−C(O)−Cl(4)で表される好適なN−(クロロカルボニル)アミンと反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、−NRC(O)−である)を導くか、又は式R−NCO(5)で表されるイソシアナートと反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、−NRC(O)−であり、そして、Rは、Hである)を導く。
【0163】
あるいは、アミン24を、式R−COOH(6)で表される好適なカルボン酸と反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、−C(O)−である)を導く。該反応は、カップリング剤(例えば、1,1’−カルボニルジイミダゾール、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド、1−(3−ジメチルアミノプロピル)−3−エチル−カルボジイミドヒドロクロリド、O−(ベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート、又はブロモ−トリス−ピロリジノ−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)の存在下で、非プロトン性溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、及びこれらの混合物)中にて、−40℃〜80℃の温度で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、4−メチルモルホリン、及び/又は4−(ジメチルアミノ)ピリジン)の存在下又は非存在下にて実施される。
【0164】
また、アミン24を、式R−COCl(7)で表される塩化アシル等の好適なアシル化試薬と反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、−C(O)−である)を与えることもできる。該反応は、溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、又はN,N−ジメチルホルムアミド)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン又は4−メチルモルホリン)の存在下にて、0℃〜80℃の温度で実施される。
【0165】
あるいは、アミン24を、式R−SOCl(8)で表される好適な塩化スルホニルと反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、−S(O)−である)を導く。該反応は、好適な溶媒(例えば、ジクロロメタン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトニトリル、アセトン、水、又はこれらの混合物)中で、塩基(例えば、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ピリジン、炭酸水素カリウム、炭酸カリウム)の存在下にて、0℃から溶媒又は溶媒混合物の沸点までの温度で実施する。
【0166】
あるいは、アミン24を、一般式9で表される好適なクロロ−オキサジアゾール試薬、又はオキサジアゾロン試薬10と反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、
【化19】

である)を導く。
【0167】
23がアミン24及びクロロ−オキサジアゾール9から生成される場合、該反応は、塩基(例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)の存在下で、溶媒(例えば、トルエン、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、又は1,4−ジオキサン)中にて、20℃〜150℃の温度で実施される。
【0168】
23がアミン24及びオキサジアゾロン10から生成される場合、該反応は、文献に記載されている通り、カップリング剤(例えば、ベンゾトリアゾール−1−イル−オキシ−トリス−(ジメチルアミノ)−ホスホニウムヘキサフルオロホスファート)及び塩基(例えば、ジイソプロピルエチルアミン又は4−メチルモルホリン)の存在下で、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中にて、20℃〜100℃の温度で実施される。
【0169】
あるいは、アミン24を、一般式11(Xは、Cl又はBrである)で表される好適なハロ−チアジアゾール試薬、又はチアジアゾールチオン試薬12と反応させて、式23で表される化合物(式中、Yは、
【化20】

である)を導く。
【0170】
23がアミン24及びハロ−チアジアゾール11から生成される場合、該反応は、塩基(例えば、炭酸カリウム、トリエチルアミン、又は1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン)の存在下で、溶媒(例えば、トルエン、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、又は1,4−ジオキサン)中にて、20℃〜150℃の温度で実施される。
【0171】
23がアミン24及びチアジアゾールチオン12から生成される場合、該反応は、文献に記載されている通り、溶媒(例えば、エタノール又はN,N−ジメチルホルムアミド)中にて、20℃〜100℃の温度で実施される。
【0172】
あるいは、アミン24を、塩基(例えば、トリエチルアミン)の存在下で、溶媒(例えば、ジクロロメタン又はテトラヒドロフラン)中にて、−78℃〜+20℃の温度で、ハロゲン化ハロアルカノイル(例えば、塩化ブロモアセチル)でアシル化して、対応するハロアルカンアミド中間体を導き、これを、塩基(例えば、炭酸カリウム又は炭酸セシウム)の存在下で、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中にて、置換フェノールと求核置換反応させて、式28で表される化合物(式中、Yは、−C(O)−であり、Rは、置換フェノキシアルキルである)を導く。
【0173】
式24で表されるアミンは、市販されているか、又は文献若しくは実験の項に記載されている通り生成することができる。
【0174】
また、本発明の実施形態は、式(III)で表される化合物の存在下で式(II)で表される化合物を反応させること:
【化21】

(式中、R、R、A、W、m、n、p、及びqは、上に定義した通りであり、Yは、−OC(O)−である)を含む、上に定義した式(I)で表される化合物を調製する方法である。
【0175】
具体的には、カップリング剤(例えば、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスファート)の存在下で、溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド)中にて、塩基(例えば、4−メチルモルホリン)の存在下で、そして、−78℃から還流温度、特に−10℃から室温の温度である。
【0176】
また、本発明の目的は、治療活性物質として使用するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0177】
同様に、本発明の目的は、本明細書に記載する式(I)で表される化合物と治療的に不活性である担体とを含む医薬組成物である。
【0178】
本発明の目的は、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、呼吸器系の疾患、血管及び心血管の疾患、線維症、癌、眼疾患、代謝性疾患、胆汁うっ滞性及び他の形態の慢性掻痒症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物の使用である。
【0179】
腎疾患としては、急性腎傷害、並びに末期腎臓病(ESRD)を含むタンパク尿を伴う及び伴わない慢性腎臓病が挙げられるが、これらに限定されない。より詳細には、これは、クレアチニンクリアランスの低下及び糸球体濾過率の低下、微量アルブミン尿、アルブミン尿及びタンパク尿、著しい細胞過形成を伴う又は伴わない網状メサンギウム基質の拡大を伴う糸球体硬化症(特に、糖尿病性腎症及びアミロイドーシス)、糸球体毛細血管の巣状血栓症(特に、血栓性微小血管症)、全身性線維素様壊死、虚血性病変、悪性腎硬化症(例えば、虚血性収縮、腎血流の減少、及び腎動脈症)、糸球体腎炎実体におけるような毛細血管内(内皮及びメサンギウム)及び/又は毛細血管外細胞(半月形)の膨潤及び増殖、巣状分節性糸球体硬化症、IgA腎症、血管炎/全身病、並びに急性及び慢性の腎移植拒絶を含む。
【0180】
肝疾患としては、肝硬変、肝うっ血、掻痒症を含む胆汁うっ滞性肝疾患、非アルコール性脂肪性肝炎、並びに急性及び慢性の肝移植拒絶が挙げられるが、これらに限定されない。
【0181】
炎症性疾患としては、関節炎、変形性関節炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、炎症性腸疾患、異常排泄疾病等に加えて、炎症性気道疾患(例えば、特発性肺線維症(IPF)、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、又は慢性気管支喘息等)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0182】
更なる呼吸器系の疾患としては、医原性薬物誘発性線維症、職業及び/又は環境誘発性線維症、全身病及び血管炎、肉芽腫症(サルコイドーシス、過敏性肺炎)、膠原血管病、肺胞タンパク症、ランゲルハンス細胞肉芽腫症、リンパ管平滑筋腫症、遺伝病(ヘルマンスキー−パドラック症候群、結節性硬化症、神経線維腫症、代謝性蓄積症、家族性間質性肺疾患)、放射線誘発性線維症、珪肺症、アスベスト誘発性肺線維症、又は急性呼吸促迫症候群(ARDS)を含む様々な病因の他のびまん性実質性肺疾患が挙げられるが、これらに限定されない。
【0183】
神経系の疾患としては、神経因性疼痛、統合失調症、神経炎症(例えば、アストログリオーシス)、末梢及び/又は自律性(糖尿病性)ニューロパシー等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0184】
血管疾患としては、アテローム性動脈硬化症、血栓性血管病に加えて、血栓性微小血管症、増殖性動脈症(例えば、粘液性細胞外マトリクスによって取り囲まれている膨潤した筋内膜細胞及び結節性肥厚)、アテローム性動脈硬化症、血管コンプライアンスの低下(例えば、硬直、心室コンプライアンスの低下、及び血管コンプライアンスの低下)、内皮機能不全等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0185】
心血管疾患としては、急性冠症候群、冠状動脈性心疾患、心筋梗塞、動脈性及び肺高血圧症、心不整脈(例えば、心房細動、発作、及び他の血管損傷)が挙げられるが、これらに限定されない。
【0186】
線維症としては、心筋及び血管線維症、腎線維症、肝線維症、肺線維症、皮膚線維症、強皮症、及び被包性腹膜炎が挙げられるが、これらに限定されない。
【0187】
具体的な実施形態では、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩類及びエステル類は、臓器又は皮膚の線維症の治療又は予防のために用いることができる。
【0188】
別の実施形態では、線維症は、腎尿細管間質性線維症又は糸球体硬化症である。
【0189】
別の実施形態では、線維症は、非アルコール性脂肪肝、肝線維症、又は肝硬変である。
【0190】
別の実施形態では、線維症は、特発性肺線維症である。
【0191】
癌及び癌転移としては、乳癌、卵巣癌、肺癌、前立腺癌、中皮腫、神経膠腫、肝細胞癌、消化器癌、並びにこれらの進行及び転移攻撃が挙げられるが、これらに限定されない。
【0192】
眼疾患としては、増殖性及び非増殖性(糖尿病性)の網膜症、萎縮型及び滲出型加齢性黄斑変性症(AMD)、黄斑浮腫、中枢動脈/静脈閉塞、外傷、緑内障が挙げられるが、これらに限定されない。
【0193】
代謝性疾患としては、肥満及び糖尿病が挙げられるが、これらに限定されない。
【0194】
別の実施形態では、式(I)で表される化合物又はその薬学的に許容し得る塩類及びエステル類は、胆汁うっ滞性又は非胆汁うっ滞性の慢性掻痒症の治療又は予防のために用いることができる。
【0195】
また、本発明は、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、線維症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物の使用に関する。
【0196】
また、本発明は、腎疾患、肝疾患、及び線維症を治療又は予防するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物の使用に関する。
【0197】
本発明の具体的な実施形態は、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、線維症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0198】
本発明の具体的な実施形態は、腎疾患、肝疾患、及び線維症を治療又は予防するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0199】
また、本発明は、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、線維症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防するための医薬を調製するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物の使用に関する。
【0200】
また、本発明は、腎疾患、肝疾患、及び線維症を治療又は予防するための医薬を調製するための、本明細書に記載する式(I)で表される化合物の使用に関する。
【0201】
また、本発明の目的は、腎疾患、肝疾患、炎症性疾患、神経系の疾患、線維症、並びに急性及び慢性の移植臓器拒絶を治療又は予防する方法であって、有効量の本明細書に記載する式(I)で表される化合物を投与することを含む方法である。
【0202】
また、本発明の目的は、腎疾患、肝疾患、及び線維症を治療又は予防する方法であって、有効量の本明細書に記載する式(I)で表される化合物を投与することを含む方法である。
【0203】
具体的な実施形態では、腎疾患は、急性腎傷害、慢性腎臓病、糖尿病性腎症、急性腎移植拒絶、及び慢性移植腎症からなる群より選択される。
【0204】
別の具体的な実施形態では、腎疾患は、急性腎傷害である。
【0205】
別の具体的な実施形態では、腎疾患は、慢性腎臓病である。
【0206】
更なる具体的な実施形態では、腎疾患は、糖尿病性腎症である。
【0207】
別の具体的な実施形態では、腎疾患は、急性腎移植拒絶である。
【0208】
別の具体的な実施形態では、腎疾患は、慢性移植腎症である。
【0209】
具体的な実施形態では、肝疾患は、急性及び慢性の肝移植拒絶である。
【0210】
具体的な実施形態では、炎症性疾患は、関節炎である。
【0211】
具体的な実施形態では、神経系の疾患は、神経因性疼痛である。
【0212】
別の実施形態では、線維症は、被包性腹膜炎である。
【0213】
別の実施形態では、線維症は、特発性肺線維症である。
【0214】
別の実施形態では、線維症は、非アルコール性脂肪肝、肝線維症、又は肝硬変である。
【0215】
また、本発明の実施形態は、記載する方法のうちの任意の1つに従って製造したときの、本明細書に記載する式(I)で表される化合物である。
【0216】
アッセイ手順
HISタグを有する及び有しないヒト完全長ATXの作製
オータキシン(ATX−ENPP2)のクローニング:市販のヒト造血細胞全RNAからcDNAを調製し、そして、オーバーラップPCRにおいてテンプレートとして用いて、3’−6×Hisタグを有するか又は有しない完全長ヒトENPP2 ORFを生成した。これら完全長インサートをpcDNA3.1V5-His TOPO (Invitrogen)ベクターにクローニングした。幾つかのシングルクローンのDNA配列を確認した。正確な完全長クローンのDNAを、タンパク質の発現を確認するためにHek293細胞にトランスフェクトした。コードされているENPP2の配列は、更にC末端に6×Hisタグを有するか又は有しないSwissprot entry Q13822に一致する。
【0217】
ATXの発酵:20Lの制御撹拌槽型生物反応器(Sartorius)における大規模一過性トランスフェクションによって、組み換えタンパク質を生成した。細胞の成長及びトランスフェクション中、温度、撹拌器速度、pH、及び溶解酸素濃度は、それぞれ、37℃、120rpm、7.1、及び30%DOで維持した。FreeStyle 293-F細胞(Invitrogen)を、FreeStyle 293培地(Invitrogen)の懸濁液中で培養し、そして、錯化剤としてX-tremeGENE Ro-1539(市販品、Roche Diagnostics)を用いて、上記プラスミドDNAで約1〜1.5×10E6細胞/mLにてトランスフェクトした。細胞に濃縮栄養素溶液(J Immunol Methods 194 (1996), 19, 1-199 (page 193))を供給し、そして、トランスフェクションの72時間後に酪酸ナトリウム(2mM)によって誘導し、そして、トランスフェクションの96時間後に回収した。ウエスタンブロット、酵素アッセイ、及び/又は分析IMACクロマトグラフィによって、発現を分析した。フロースルー熱交換器において細胞懸濁液を4℃に冷却した後、Zeta Plus 60M02 E16 (Cuno)及びSartopore 2 XLG (Sartorius)フィルタユニットで濾過することによって、細胞分離及び上清の除菌濾過を実施した。精製前には、上清を4℃で保管した。
【0218】
ATXの精製:最終濃度0.02%になるようにBrij 35を添加し、そして、1M HClを用いてpHを7.0に調整することによって、20リットルの培養上清を限外濾過用にコンディショニングした。次いで、まず上清を0.2μmのUltran-Pilot Open Channel PESフィルタ(Whatman)で精密濾過し、その後、30kDa MWCO(Whatman)のUltran-Pilot Screen Channel PESフィルタを通して1リットルに濃縮した。IMACクロマトグラフィ前、最終濃度が1mMになるようにNiSOを添加した。次いで、透明になった上清を、50mM NaHPO(pH7.0)、0.5M NaCl、10%グリセロール、0.3% CHAPS、0.02% NaNで予め平衡化しておいたHisTrapカラム(GE Healthcare)に適用した。該カラムを、それぞれ、20mM、40mM、及び50mM イミダゾールを含有する同じバッファで段階的に洗浄した。次いで、0.5M イミダゾール以下の15種のカラム体積の直線勾配を用いてタンパク質を溶出した。ATXを含有する画分をプールし、そして、30kDaのPESフィルタ膜を備えるAmiconセルを用いて濃縮した。20mM BICINE(pH8.5)、0.15M NaCl、10%グリセロール、0.3% CHAPS、0.02% NaN中でSuperdex S-200 prep grade (XK 26/100) (GE Healthcare)にてサイズ排除クロマトグラフィによって該タンパク質を更に精製した。精製後のタンパク質の最終収量は、培養上清1リットルあたりATX 5〜10mgであった。タンパク質を−80℃で保管した。
【0219】
ヒトATX酵素阻害アッセイ
特異的に標識した基質アナログ(MR121基質)を用いて蛍光消光アッセイによりATX阻害を測定した。このMR121基質を得るために、BOC及びTBSで保護された6−アミノヘキサン酸(R)−3−({2−[3−(2−{2−[2−(2−アミノ−エトキシ)−エトキシ]−エトキシ}−エトキシ)−プロピオニルアミノ]−エトキシ}−ヒドロキシ−ホスホリルオキシ)−2−ヒドロキシ−プロピルエステル(Ferguson et al., Org Lett 2006, 8 (10), 2023)のエタノールアミン側の遊離アミンをMR121フルオロフォア(CAS 185308-24-1、1−(3−カルボキシプロピル)−11−エチル−1,2,3,4,8,9,10,11−オクタヒドロ−ジピリド[3,2−b:2’,3’−i]フェノキサジン−13−イウム)で標識し、次いで、脱保護後、続いて、アミノヘキサン酸側をトリプトファンで標識した。
【0220】
アッセイ使用液を以下の通り作製した:
アッセイバッファ(50mM Tris−HCl、140mM NaCl、5mM KCl、1mM CaCl、1mM MgCl、0.01% Triton-X-100、pH8.0;
ATX溶液;ATX(ヒトHisタグ付)原液(20mM ビシン(pH8.5)、0.15M NaCl、10%グリセロール、0.3% CHAPS、0.02% NaN中1.08mg/mL)、アッセイバッファで1.4〜2.5×最終濃度に希釈;
MR121基質溶液:MR121基質原液(DMSO中800μM MR121基質)、アッセイバッファで2〜5×最終濃度に希釈。
【0221】
試験化合物(DMSO中10mM 原液、8μL)を384ウェルサンプルプレート(Corning Costar #3655)中に得、そして、8μL DMSOで希釈した。8μL cpd溶液をO列まで次の列に移すことによって列方向段落希釈を行った。化合物及び対照溶液を5回混合し、そして、2μLを384ウェルアッセイプレート(Corning Costar # 3702)に移した。次いで、41.7nM ATX溶液 15μLを添加し(最終濃度30nM)、5回混合し、次いで、30℃で15分間インキュベートした。MR121基質溶液 10μLを添加し(最終濃度1μM)、30回混合し、次いで、30℃で15分間インキュベートした。次いで、1時間にわたって2分毎に蛍光を測定し(Perkin Elmerプレート:ビジョンマルチモードリーダー);光強度:2.5%;実験時間:1.4秒、フィルタ:Fluo_630/690nm)、そして、これら読み出し値からIC50値を計算した。
【0222】
本発明の実施例についてのIC50値を以下の表に与える:
【0223】
【表1】
【0224】
本明細書に記載する式(I)で表される化合物及びその薬学的に許容し得る塩類又はエステル類は、0.00001μM〜1000μMのIC50値、特定の化合物は、0.0005μM〜500μMのIC50値、更なる特定の化合物は、0.0005μM〜50μMのIC50値、より特定の化合物は、0.0005μM〜5μMのIC50値を有する。これら結果は、上記酵素アッセイを用いることによって得られた。
【0225】
式(I)で表される化合物及びその薬学的に許容し得る塩類は、(例えば、医薬製剤の形態で)医薬として用いることができる。医薬製剤は、例えば、経口(例えば、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、硬質及び軟質ゼラチンカプセル、液剤、乳剤、又は懸濁剤の形態)、経鼻(例えば、点鼻薬の形態)、又は経直腸(例えば、坐剤の形態)等、内用することができる。しかし、投与は、例えば、筋肉内又は静脈内(例えば、注射液の形態)等、非経口で行ってもよい。
【0226】
式(I)で表される化合物及びその薬学的に許容し得る塩類は、錠剤、コーティング錠、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセルを生産するために、薬学的に不活性である無機又は有機補助剤を用いて加工してよい。ラクトース、コーンスターチ又はその誘導体、タルク、ステアリン酸又はその塩類等を、例えば、錠剤、糖衣錠、及び硬質ゼラチンカプセル用の補助剤として用いることができる。
【0227】
軟質ゼラチンカプセル用の好適な補助剤は、例えば、植物油、ワックス、脂肪、半固体物質、及び液体ポリオール等である。
【0228】
液剤及びシロップ剤を作製するための好適な補助剤は、例えば、水、ポリオール、ショ糖、転化糖、グルコース等である。
【0229】
注射液用の好適な補助剤は、例えば、水、アルコール、ポリオール、グリセロール、植物油等である。
【0230】
坐剤用の好適な補助剤は、例えば、天然油又は硬化油、ワックス、脂肪、半固体又は液体のポリオールである。
【0231】
更に、医薬製剤は、保存剤、可溶化剤、増粘物質、安定剤、湿潤剤、乳化剤、甘味剤、着色剤、風味剤、浸透圧を変化させるための塩類、バッファ、マスキング剤、又は酸化防止剤を含有してよい。また、該医薬製剤は、治療的に有用な更に他の物質を含有してもよい。
【0232】
用量は、広い限度範囲で変動してよく、そして、無論、各具体的な症例における個々の要件に適合する。一般に、経口投与の場合、適切である限り、好ましくは1〜3回の個別用量(例えば、同量からなってよい)に分割された、体重1kg当たり約0.1mg〜20mg、好ましくは体重1kg当たり約0.5mg〜4mg(例えば、約300mg/人)の日用量である。しかし、これが適応であることが示されているとき、本明細書で与えられる上限を超えてもよいことは明らかである。
【0233】
本発明を実施例により以下に例証するが、これらは限定性を持たない。
【0234】
調製例がエナンチオマーの混合物として得られる場合、本明細書に記載されているか又は当業者に公知の方法(例えば、キラルクロマトグラフィー又は結晶化等)によって純粋なエナンチオマーを得ることができる。
【0235】
実施例
全ての実施例及び中間体は、特に指定しない限り、窒素雰囲気下で調製した。
【0236】
略称:aq.=水性;CAS−RN=Chemical Abstracts Service登録番号;HPLC=高性能液体クロマトグラフィ;MS=質量スペクトル;sat.=飽和。
【0237】
実施例1
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(N−メチルスルファモイル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
【0238】
【化22】
【0239】
N,N−ジメチルホルムアミド(2mL)中(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートヒドロクロリド(中間体1;40mg、114μmol)、4−メチルモルホリン(57.5mg、569μmol)、及び4−(N−メチルスルファモイル)安息香酸(24.5mg、114μmol)の溶液に、0℃でO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(43.3mg、114μmol)を添加し、次いで、反応混合物を16時間かけて室温に到達させた。酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配した後、有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。クロマトグラフィ(シリカゲル;酢酸エチル−メタノール勾配)により、標題化合物を与えた(58mg、99%)。白色の発泡体、MS:512.3(M+H)
【0240】
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートヒドロクロリドを適切なアミンに置き換え、そして、4ー(N−メチルスルファモイル)安息香酸を適切なカルボン酸に置き換えて、実施例1に従って以下の実施例を調製した。
【0241】
【表2】








【0242】
実施例2
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アセトアミドベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
【0243】
【化23】
【0244】
ジクロロメタン(1mL)中(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アミノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(実施例1.06;40mg、92.1μmol)及びトリエチルアミン(28.0mg、276μmol)の懸濁液に、塩化アセチル(8.7mg、110μmol)を0℃で添加した。氷浴を除去し、次いで、90分間後、塩化アセチルの別の部分(5.8mg、73μmol)を添加し、次いで、更に2時間後、反応混合物をジクロロメタンとブラインとの間で分配した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。クロマトグラフィ(シリカゲル;酢酸エチル−メタノール勾配)により、標題化合物を生成した(27mg、61%)。白色の発泡体、MS:476.4(M+H)
【0245】
実施例2.1
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アセトアミドピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
【0246】
【化24】
【0247】
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−アミノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートを(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アミノピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(実施例1.07)に置き換えて、実施例2と同様に標題化合物を生成した。白色の固体、MS:477.4(M+H)
【0248】
実施例3
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−スルファモイルフェニルスルホニル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
【0249】
【化25】
【0250】
テトラヒドロフラン(1mL)中(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートヒドロクロリド(中間体1;50mg、142μmol)及びピリジン(112mg、1.42μmol)の懸濁液に、0℃でテトラヒドロフラン(1mL)中4−スルファモイルベンゼン−1−スルホニルクロリド(32.7mg、128μmol)の溶液を添加し、次いで、反応混合物を室温で16時間撹拌した。酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配した後、有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。残渣を酢酸エチル中で粉砕して、標題化合物を生成した(45mg、59%)。薄黄色の固体、MS:532.1(M−H)
【0251】
実施例4
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−(1H−テトラゾール−5−イル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
【0252】
【化26】
【0253】
2−プロパノール(4mL)及び水(5mL)中(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−シアノベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(実施例1.08;83mg、187μmol)の溶液に、アジ化ナトリウム(24.3mg、374μmol)及び臭化亜鉛(21.0mg、93.4μmol)を添加した。反応混合物を80℃で16時間加熱し、次いで、アジ化ナトリウムの別の部分(24.3mg、374μmol)及び臭化亜鉛(21.0mg、93.4μmol)を添加し、次いで、更に14時間後、反応混合物を酢酸エチルと水との間で分配した。有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。クロマトグラフィ(シリカゲル;ジクロロメタンからジクロロメタン/メタノール4:1への勾配)により、標題化合物を与えた(46mg、51%)。白色の発泡体、MS:487.4(M+H)
【0254】
実施例5
4−((3aR,6aS)−5−((3,5−ジクロロベンジルオキシ)カルボニル)オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)安息香酸
【0255】
【化27】
【0256】
テトラヒドロフラン(1.5mL)中(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(4−メトキシカルボニル)ベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(実施例1.09;82mg、172μmol)の溶液に、2M 水酸化ナトリウム水溶液(515μL、1.03mmol)を添加した。反応混合物を室温で2時間撹拌し、次いで、50℃で3時間加熱し、次いで、酢酸エチルと1M 塩酸水溶液との間で分配した。有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させて、標題化合物を与えた(74mg、93%)。白色の固体、MS:463.6(M−H)
【0257】
実施例6
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−(メチルスルホンアミド)ピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
【0258】
【化28】
【0259】
工程1:(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−(N−(メチルスルホニル)メチルスルホンアミド)−ピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
ジクロロメタン(1mL)中(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−アミノピコリノイル)−ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(実施例1.07;40mg、91.9μmol)及びトリエチルアミン(27.9mg、276μmol)の溶液に、ジクロロメタン(0.5mL)中塩化メタンスルホニル(21mg、184μmol)の溶液を0℃で滴下した。氷浴を除去し、次いで、18時間後、反応混合物をジクロロメタンと水との間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。クロマトグラフィ(シリカゲル;ジクロロメタンからジクロロメタン/メタノール/25%アンモニア水溶液95:5:0.25への勾配)により、標題化合物を生成した(42mg、77%)。白色の発泡体、MS:591.4(M+H)
【0260】
工程2:(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−(メチルスルホンアミド)ピコリノイル)ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
テトラヒドロフラン(0.5mL)中(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジル5−(5−(N−メチルスルホニル)メチルスルホンアミド)−ピコリノイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(36mg、60.9μmol)の溶液に、1M 水酸化ナトリウム水溶液(122μL、122μmol)、次いで、1時間後、反応混合物を酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液との間で分配した。有機層を水及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させて、標題化合物を与えた(29mg、93%)。白色の発泡体、MS:513.4(M+H)
【0261】
実施例7
(3aS,6aS)−5−(4−スルファモイル−ベンゾイル)−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボン酸3−クロロ−5−メタンスルホニル−ベンジルエステル
【0262】
【化29】
【0263】
アセトニトリル(4mL)中(3−クロロ−5−(メチルスルホニル)フェニル)メタノール(中間体5;23.3mg、105μmol)の溶液に、室温でN,N’−カルボニルジイミダゾール(18.0mg、111μmol)を添加し、次いで、2時間後、トリエチルアミン(53.4mg、527μmol)及び4−((3aR,6aR)−オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド(中間体4;35mg、105μmol)を添加し、そして、反応混合物を15時間加熱還流した。冷却後、該反応混合物を酢酸エチルと飽和塩化アンモニウム水溶液との間で分配した。水層を酢酸エチルで逆抽出し、次いで、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。残渣をtert−ブチルメチルエーテル中で粉砕して、標題化合物を与えた(26mg、46%)。白色の固体、MS:542.5(M+H)
【0264】
4−((3aR,6aR)−オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリドを適切なアミンに置き換え、そして、(3−クロロ−5−(メチルスルホニル)フェニル)メタノールを適切なアルコールに置き換えて、実施例7に従って以下の実施例を調製した。
【0265】
【表3】
【0266】
実施例8
4−{(3aR,6aR)−5−[3−(4−トリフルオロメトキシ−フェニル)−プロピオニル]−ヘキサヒドロ−ピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル}−ベンゼンスルホンアミド
【0267】
【化30】
【0268】
N,N−ジメチルホルムアミド(5mL)中4−((3aR,6aR)−オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド(中間体4;40mg、121μmol)、N−メチルモルホリン(61.0mg、603μmol)、及び3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロパン酸(28.2mg、121μmol)の白色の懸濁液に、0℃でO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(45.8mg、121μmol)を添加し、そして、氷浴を15分間後に除去した。16時間後、反応混合物をジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。tert−ブチルメチルエーテル中で粉砕した後、濾過によって沈殿物を回収して、標題化合物を与えた(44mg、71%)。白色の固体、MS:512.5(M+H)
【0269】
4−((3aR,6aR)−オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリドを適切なアミンに置き換え、そして、3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)プロパン酸を適切なカルボン酸に置き換えて、実施例8と同様に以下の実施例を生成した。
【0270】
【表4】


【0271】
実施例9A及び9B
(−)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート及び(+)−trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート
【0272】
【化31】
【0273】
固定相としてReprosil Chiral-NRカラム、そして、移動相としてヘプタン/エタノール3:2を用いる分取HPLCによって、ラセミ体、trans−3,5−ジクロロベンジル2−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロ−1H−ピロロ[3,4−c]ピリジン−5(6H)−カルボキシレート(実施例1.03;60mg、117μmol)を分離した。これによって、より速く溶出する(−)−エナンチオマー(実施例9A;23mg、38%;白色の固体、MS:512.4(M+H))及びより遅く溶出する(+)−エナンチオマー(実施例9B;22mg、36%;橙色の発泡体、MS:512.4(M+H))が生成された。
【0274】
中間体
中間体1
(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートヒドロクロリド
工程1:(3aR,6aS)−2−tert−ブチル5−(3,5−ジクロロベンジル)テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2,5(1H,3H)−ジカルボキシレート
ジクロロメタン(7mL)中(3,5−ジクロロフェニル)メタノール(425mg、2.35mmol)の薄茶色の溶液に、N,N’−カルボニルジイミダゾール(401mg、2.47mmol)を添加した。該溶液を室温で3時間撹拌し、次いで、(3aR,6aS)−tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(CAS-RN 250275-15-1;526mg、2.35mmol) を添加し、次いで、15時間後、反応混合物を1M 塩酸水溶液とジクロロメタンとの間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させて、標題化合物を与えた(972mg、99%)。薄茶色の粘性油状物、MS:359.2(M−C(CH+H)
【0275】
工程2:(3aR,6aS)−3,5−ジクロロベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートヒドロクロリド
2−プロパノール(4mL)中(3aR,6aS)−2−tert−ブチル5−(3,5−ジクロロベンジル)テトラヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2,5(1H,3H)−ジカルボキシレート(962mg、2.32mmol)の溶液に、塩酸(2−プロパノール中5〜6M)(11.6mL、57.9mmol)を添加し、次いで、3時間後、反応混合物を蒸発させた。残渣を酢酸エチル及び数滴のエタノールにとり、次いで、濾過によって沈殿物を回収して、標題化合物を生成した(738mg、91%)。白色の固体、MS:315.3(M+H)
【0276】
(3aR,6aS)−tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートを適切なアミンに置き換え、そして、(3,5−ジクロロフェニル)メタノールを適切なアルコールに置き換えて、実施例1に従って以下の中間体を調製した。
【0277】
【表5】
【0278】
中間体2
(E)−1−((3aR,8aS)−オクタヒドロピロロ[3,4−d]アゼピン−6(7H)−イル)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)−フェニル)プロパ−2−エン−1−オンヒドロクロリド
工程1:(3aR,8aS)−tert−ブチル6−((E)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリロイル)オクタヒドロ−ピロロ[3,4−d]アゼピン−2(1H)−カルボキシレート
N,N−ジメチルホルムアミド(30mL)中(3aR,8aS)−tert−ブチルオクタヒドロピロロ[3,4−d]アゼピン−2(1H)−カルボキシレートヒドロクロリド(CAS-RN 1251013-07-6;1.5g、5.42mmol)、4−メチルモルホリン(2.19g、21.7mmol)、及び(E)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリル酸(1.26g、5.42mmol)の溶液に、0℃でO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(2.06g、5.42mmol)を添加した。60分間後、氷浴を除去し、次いで、16時間後、反応混合物を酢酸エチルと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、水、及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。残渣をヘプタン/酢酸エチル9:1中で粉砕して、標題化合物を生成した(2.20g、89%)。白色の固体、MS:399.5(M−イソブテン+H)
【0279】
工程2:(E)−1−((3aR,8aS)−オクタヒドロピロロ[3,4−d]アゼピン−6(7H)−イル)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)−フェニル)プロパ−2−エン−1−オンヒドロクロリド
(3aR,8aS)−tert−ブチル6−((E)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリロイル)オクタヒドロピロロ[3,4−d]アゼピン−2(1H)−カルボキシレートから、中間体1の工程2と同様に標題化合物を生成した。白色の固体、MS:355.5(M+H)
【0280】
(3aR,8aS)−tert−ブチルオクタヒドロピロロ[3,4−d]アゼピン−2(1H)−カルボキシレートヒドロクロリドを適切なアミンに置き換え、そして、(E)−3−(4−(トリフルオロメトキシ)フェニル)アクリル酸を適切なカルボン酸に置き換えて、中間体2に従って以下の中間体を調製した。
【0281】
【表6】
【0282】
中間体3
(3aS,6aS)−tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
工程1:(3R,4R)−tert−ブチル3,4−ビス((メチルスルホニルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート
ジクロロメタン(70mL)中(3R,4R)−tert−ブチル3,4−ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(CAS-RN 895245-32-6;2.97g、12.8mmol)及びN,N−ジイソプロピルエチルアミン(9.96g、77.0mmol)の溶液に、0℃でジクロロメタン(5mL)中塩化メタンスルホニル(4.41g、38.5mmol)の溶液を滴下し、次いで、1時間後、反応混合物を飽和水性塩化アンモニウムで処理し、そして、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。クロマトグラフィ(シリカゲル;ヘプタン−酢酸エチル勾配)により、標題化合物を生成した(4.22g、85%)。薄黄色の固体、MS:332.4(M−イソブテン+H)
【0283】
工程2:(3aS,6aS)−tert−ブチル5−ベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
アセトニトリル(100mL)中(3R,4R)−tert−ブチル3,4−ビス((メチルスルホニルオキシ)メチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(4.22g、10.9mmol)の溶液に、炭酸カリウム(15.1g、109mmol)及びフェニルメタンアミン(3.5g、32.7mmol)を添加した。反応混合物を95℃で45時間加熱し、次いで、室温に冷却し、そして、酢酸エチルと水との間で分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。クロマトグラフィ(シリカゲル;酢酸エチル−メタノール勾配)により、標題化合物を生成した(2.23g、68%)。薄黄色の固体、MS:303.5(M+H)
【0284】
工程3:(3aS,6aS)−tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
メタノール(20mL)中(3aS,6aS)-tert-ブチル5−ベンジルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(2.22g、7.34mmol、Eq:1.00)の溶液に、パラジウム(10%炭素上、220mg、7.34mmol)を添加し、そして、反応混合物を水素雰囲気(1バール)下で室温にて24時間撹拌し、次いで、珪藻土で濾過することによって不溶性物質を除去した。濾液を濃縮して、標題化合物を生成した(1.60g、100%)。白色のろう状固体、MS:213.5(M+H)
【0285】
中間体3.1
(3aR,6aR)−tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
(3R,4R)−tert−ブチル3,4−ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレートを(3S,4S)−tert−ブチル3,4−ビス(ヒドロキシメチル)ピロリジン−1−カルボキシレート(CAS-RN 895245-30-4)に置き換えて、中間体3と同様に標題化合物を生成した。白色のろう状固体、MS:213.3(M+H)
【0286】
中間体4
4−((3aR,6aR)−オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド
工程1:(3aS,6aS)−tert−ブチル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート
N,N−ジメチルホルムアミド(10mL)中(3aS,6aS)−tert−ブチルヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレート(中間体3;206mg、970μmol)、N−メチルモルホリン(294mg、2.91μmol)、及び4−スルファモイル安息香酸(203mg、970μmol)の溶液に、0℃でO−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロ−ホスファート(369mg、970μmol)を添加し、次いで、10分間後、氷浴を除去した。16時間後、反応混合物をジクロロメタンと飽和炭酸水素ナトリウム水溶液との間で分配した。有機層を飽和塩化アンモニウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。tert−ブチルメチルエーテル中で粉砕した後、濾過によって沈殿物を回収して、標題化合物を与えた(348mg、91%)。薄黄色の固体、MS:396.6(M+H)
【0287】
工程2:4−((3aR,6aR)−オクタヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2−カルボニル)ベンゼンスルホンアミドヒドロクロリド(中間体4)
(3aR,6aS)−tert−ブチル5−(4−スルファモイルベンゾイル)ヘキサヒドロピロロ[3,4−c]ピロール−2(1H)−カルボキシレートから、中間体1の工程2と同様に標題化合物を生成した。薄黄色の固体、MS:296.5(M+H)
【0288】
中間体5
(3−クロロ−5−(メチルスルホニル)フェニル)メタノール
テトラヒドロフラン(5mL)中3−クロロ−5−(メチルスルホニル)安息香酸(CAS-RN 151104-63-1;500mg、2.13mmol)の溶液に、0℃でボラン−テトラヒドロフラン錯体溶液(テトラヒドロフラン中1M溶液、5.33mL、5.33mmol)をゆっくり添加し、次いで、3時間後、氷浴を除去し、そして、反応混合物を室温で一晩撹拌した。次いで、反応混合物をメタノール(3mL)で慎重に処理し、そして、蒸発させた。残渣を酢酸エチルと水との間で分配した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。クロマトグラフィ(シリカゲル;ヘプタン−酢酸エチル勾配)により、標題化合物を与えた(428mg、91%)。白色の固体、MS:221.3(M+H)
【0289】
中間体6
N−(5−シアノ−2−(ヒドロキシメチル)フェニル)ピバラミド
工程1:メチル4−シアノ−2−ピバラミドベンゾエート
ピリジン(6mL)中メチル2−アミノ−4−シアノベンゾエート(CAS-RN 159847-83-3;776mg、4.4mmol)の溶液に、0℃で塩化ピバロイル(637mg、5.29mmol)を滴下し、次いで、2時間後、反応混合物を1M 塩酸水溶液と酢酸エチル/2−メチルテトラヒドロフランとの間で分配した。有機層を水、2M 炭酸ナトリウム水溶液及びブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。残渣を酢酸エチル中で粉砕して、標題化合物を与えた(819mg)。母液を蒸発させ、そして、tert−ブチルメチルエーテル中で粉砕して、2回目の生成物を生成した(148mg)。合計収量:967mg(84%)。白色の固体、MS:261.1(M−H)
【0290】
N−(5−シアノ−2−(ヒドロキシメチル)フェニル)ピバラミド
エタノール(15mL)中塩化カルシウム(592mg、5.33mmol)の懸濁液を、室温で、テトラヒドロフラン(15mL)中メチル4−シアノ−2−ピバラミドベンゾエート(694mg、2.67mmol)の溶液に添加し、次いで、水素化ホウ素ナトリウム(403mg、10.7mmol)を添加した。2時間後、反応混合物を氷水及び飽和塩化アンモニウム溶液上に注ぎ、そして、酢酸エチルで抽出した。有機層をブラインで洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥させ、濾過し、そして、蒸発させた。残渣をtert−ブチルメチルエーテル中で粉砕して、標題化合物を生成した(293mg)。母液を蒸発させ、そして、クロマトグラフィ(ジクロロメタン−メタノール勾配)によって精製して、別の生成物を生成した(240mg)。合計収量:533mg(86%)。白色の固体、MS:231.1(M−H)