特許第6483057号(P6483057)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483057
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】パラメータ設定装置
(51)【国際特許分類】
   B64C 13/20 20060101AFI20190304BHJP
   A63H 30/04 20060101ALI20190304BHJP
   G05D 1/00 20060101ALI20190304BHJP
   B64C 39/02 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B64C13/20 Z
   A63H30/04 A
   G05D1/00 B
   B64C39/02
【請求項の数】3
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2016-116420(P2016-116420)
(22)【出願日】2016年6月10日
(65)【公開番号】特開2017-218123(P2017-218123A)
(43)【公開日】2017年12月14日
【審査請求日】2017年11月14日
(73)【特許権者】
【識別番号】000201814
【氏名又は名称】双葉電子工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100067323
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 教光
(74)【代理人】
【識別番号】100124268
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 典行
(72)【発明者】
【氏名】田中 昌廣
【審査官】 長谷井 雅昭
(56)【参考文献】
【文献】 特開2014−230715(JP,A)
【文献】 特開平06−339582(JP,A)
【文献】 特開平10−295950(JP,A)
【文献】 特開2001−175329(JP,A)
【文献】 特開2011−072376(JP,A)
【文献】 特開2013−162878(JP,A)
【文献】 特開2017−200045(JP,A)
【文献】 特開平06−344995(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B64C 13/20
A63H 30/04
B64C 39/02
G05D 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
被操縦体に搭載された複数の操作対象に対応して設けられるとともに対応する前記操作対象の制御データがそれぞれ格納される複数のチャネルを備えた一フレームの操縦信号を繰り返し送信する送信機に接続され、前記操作対象にパラメータデータを設定するパラメータ設定装置であって、
前記パラメータ設定装置は、
パラメータデータとしての識別データと特性データを入力する入力部と、
前記送信機と交信可能となり、前記識別データと前記特性データが前記入力部から入力されると、前記送信機が生成する操縦信号と同一構造の信号を生成し、前記送信機における操縦信号の空きチャネルに相当するチャネルに前記識別データを格納し、前記送信機における操縦信号の空きチャネルに相当する他のチャネルに前記特性データを格納し、その他のチャネルにニュートラルデータを格納し、これを設定信号として前記送信機へ送る設定制御部と、
を具備することを特徴とするパラメータ設定装置。
【請求項2】
被操縦体に搭載された複数の操作対象に対応して設けられるとともに対応する前記操作対象の制御データがそれぞれ格納される複数のチャネルを備えた一フレームの操縦信号を繰り返し送信する送信機に接続され、前記操作対象にパラメータデータを設定するパラメータ設定装置であって、
前記パラメータ設定装置は、
パラメータデータとしての識別データと特性データを入力する入力部と、
前記送信機と前記パラメータ設定装置の相互通信が確立され、前記識別データと前記特性データが前記入力部から入力されると、実質的に操縦データのみを有している一フレームの操縦信号を前記送信機から受け取り、操縦信号の空きチャネルに前記識別データを格納し、操縦信号の他の空きチャネルに前記特性データを格納し、送信機に送信する設定制御部と、
を具備することを特徴とするパラメータ設定装置。
【請求項3】
前記送信機は、前記各チャネルに割り当てられた複数の操作子を備えており、特定操作子の状態データを当該特定操作子に割り当てられた特定チャネルに格納して一フレームの前記操縦信号を前記パラメータ設定装置に送信し、
前記パラメータ設定装置の前記設定制御部は、前記パラメータデータと前記特定操作子の状態との関係を示す対応データを有しており、この対応データと、受信した一フレームの前記操縦信号に含まれる前記特定操作子の状態データとに基づいて、前記特定操作対象の前記パラメータデータを取得することを特徴とする請求項2記載のパラメータ設定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、ヘリコプタ・飛行機・自動車・船舶等の移動体又は無人操作される産業用機械等のような遠隔操作方式の被操縦体を操縦するための送信機に取り付けられ、被操縦体に搭載された操作対象の操縦特性を規定するパラメータを、送信機による操縦を続行しながら確実に変更することができるパラメータ設定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1には、遠隔操縦方式の無人ヘリコプタの発明が開示されている。この発明によれば、機体1を制御するためのコマンド信号を生成する飛行制御装置4を、ハードウエア的な設定が不要でかつソフトウエアで各種の設定が可能な構成にするとともに、データ入出力部とデータ表示部を有するデータ入出力表示装置7を飛行制御装置4に接続したので、機体1が必要とする種々の情報やソフトウエア変更のためのデータ等の各種のデータ信号を、データ入出力表示装置7のデータ入出力部を通じて飛行制御装置4に入力でき、また飛行制御装置4から各種のデータ信号を出力して、データ入出力表示装置7のデータ表示部に表示できることとされている。従って、この発明によれば、機体を分解するような手間のかかる作業を必要とすることなく、外部から機体システムに各種のデータ信号を入力でき、かつ機体システムから各種のデータ信号を出力して表示することができる効果が得られるものとされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平6―344995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示された発明によれば、同文献の図4及び図6に示されるように、模型の機体1を分解することなく、機体1内にある飛行制御装置4に専用の設定機器(パーソナルコンピュータ11、外部入出力装置8等)を直接接続して、これら設定機器を操作することで機体内の飛行制御装置4の設定を変更することができる。しかしながら、図6に示す設定変更の状態から明らかなように、模型の操作中に設定変更することはできないという問題があった。
【0005】
本発明は、以上説明した従来の技術の課題を解決するためになされたものであって、被操縦体に搭載された操作対象の操縦特性を規定するパラメータを、送信機による被操縦体の操縦を続行しながら確実に変更できるようにすることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載されたパラメータ設定装置は、
被操縦体に搭載された複数の操作対象に対応して設けられるとともに対応する前記操作対象の制御データがそれぞれ格納される複数のチャネルを備えた一フレームの操縦信号を繰り返し送信する送信機に接続され、前記操作対象にパラメータデータを設定するパラメータ設定装置であって、
前記パラメータ設定装置は、
パラメータデータとしての識別データと特性データを入力する入力部と、
前記送信機と交信可能となり、前記識別データと前記特性データが前記入力部から入力されると、前記送信機が生成する操縦信号と同一構造の信号を生成し、前記送信機における操縦信号の空きチャネルに相当するチャネルに前記識別データを格納し、前記送信機における操縦信号の空きチャネルに相当する他のチャネルに前記特性データを格納し、その他のチャネルにニュートラルデータを格納し、これを設定信号として前記送信機へ送る設定制御部と、
を具備することを特徴としている。
【0007】
請求項2に記載されたパラメータ設定装置は、
被操縦体に搭載された複数の操作対象に対応して設けられるとともに対応する前記操作対象の制御データがそれぞれ格納される複数のチャネルを備えた一フレームの操縦信号を繰り返し送信する送信機に接続され、前記操作対象にパラメータデータを設定するパラメータ設定装置であって、
前記パラメータ設定装置は、
パラメータデータとしての識別データと特性データを入力する入力部と、
前記送信機と前記パラメータ設定装置の相互通信が確立され、前記識別データと前記特性データが前記入力部から入力されると、実質的に操縦データのみを有している一フレームの操縦信号を前記送信機から受け取り、操縦信号の空きチャネルに前記識別データを格納し、操縦信号の他の空きチャネルに前記特性データを格納し、送信機に送信する設定制御部と、
を具備することを特徴としている。
【0009】
請求項に記載されたパラメータ設定装置は、請求項記載のパラメータ設定装置において、
前記送信機は、前記各チャネルに割り当てられた複数の操作子を備えており、特定操作子の状態データを当該特定操作子に割り当てられた特定チャネルに格納して一フレームの前記操縦信号を前記パラメータ設定装置に送信し、
前記パラメータ設定装置の前記設定制御部は、前記パラメータデータと前記特定操作子の状態との関係を示す対応データを有しており、この対応データと、受信した一フレームの前記操縦信号に含まれる前記特定操作子の状態データとに基づいて、前記特定操作対象の前記パラメータデータを取得することを特徴としている。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載されたパラメータ設定装置を送信機と交信可能な状態とし、パラメータ設定装置の入力部から、被操縦体に搭載された特定操作対象のパラメータデータ(識別データ及び特性データ)を入力する。パラメータ設定装置は、識別データと特性データが入力部から入力されると、送信機が生成する操縦信号と同一構造の信号を生成し、送信機における操縦信号の空きチャネルに相当するチャネルに識別データを格納し、送信機における操縦信号の空きチャネルに相当する他のチャネルに特性データを格納し、その他のチャネルにニュートラルデータを格納し、これを設定信号として送信機へ送る。送信機は、被操縦体に搭載された複数の操作対象の制御データである操縦データを、パラメータ設定装置から送られた設定信号の各チャネルのうち、前記特定のチャネル以外の他の各チャネルに格納し、これをパラメータデータと操縦データを含む操縦信号として被操縦体に送信する。被操縦体に搭載された操作対象の操縦を継続しながら、被操縦体に搭載された特定操作対象のパラメータデータを確実に変更することができる。
【0011】
請求項2に記載されたパラメータ設定装置を送信機と相互に交信可能な状態とし、パラメータ設定装置の入力部から、被操縦体に搭載された特定操作対象のパラメータデータ(識別データ及び特性データ)を入力する。パラメータ設定装置は、識別データと特性データが入力部から入力されると、実質的に操縦データのみを有している一フレームの操縦信号を送信機から受け取り、操縦信号の空きチャネルに識別データを格納し、操縦信号の他の空きチャネルに特性データを格納し、送信機に送信する。送信機は、パラメータデータと操縦データを含む操縦信号を被操縦体に送信する。被操縦体に搭載された操作対象の操縦を継続しながら、被操縦体に搭載された特定操作対象のパラメータデータを確実に変更することができる。
【0012】
一般に、遠隔操縦用の無線通信システムの一部を構成する送信機には、トレーナー機能と呼ばれる機能を備えているものが多い。このトレーナー機能とは、無線通信システムによる遠隔操縦に習熟した者を教授者、すなわち先生とし、これに習熟していない者を生徒とし、先生と生徒が操作する送信機を二台用意してこれらをケーブル等で接続し、被操縦体に送信する電波を先生側の送信機で必要に応じて切り替えられるようにし、生徒に対する操縦技能の補助乃至教授を行えるようにした機能である。
【0013】
本発明のパラメータ設定装置によれば、送信機との接続は、送信機に設けられた接続端子であるトレーナーポートを利用することができる。パラメータを表示するディスプレイがないとか、パラメータ設定変更用のソフトウエアが搭載されていないといった安価な製品も含めて、トレーナーポートを備えたトレーナー機能付きの送信機は、多数の種類が広く市販されている。このため、本発明のパラメータ設定用機器によれば、これを用意することで、単独ではパラメータの設定や変更ができない廉価版の送信機を使用している多くのユーザーが、模型内の機器のパラメータ設定を簡単におこなえるようになるという実用上顕著な効果が得られる。
【0014】
請求項1及び2に記載されたパラメータ設定装置によれば、一フレームの操縦信号において、第1の空きチャネルにパラメータデータである識別データを格納し、第2の空きチャネルにパラメータデータである特性データを格納し、これらパラメータデータを操縦データと同時に操縦信号の一つのフレームで送信機に送ることができ、送信機はこのようなデータ構成の操縦信号を被操縦体に送信する。このため、まず、パラメータの識別データと特性データを、一つのフレームで操縦信号と同時に送信できるため、被操縦体の操縦中にパラメータを設定変更して操縦特性を変更することができる。次に、パラメータの特性データと識別データを対にして一つのフレームで送信できるため、少なくとも1フレームの信号が受信されれば、受信された操縦信号に含まれるパラメータの設定変更は可能であり、複数フレームが連続受信されなければパラメータの設定変更ができないといった不都合はなく、周波数帯域が重なり合う複数の送信電波が存在する環境下でも確実に被操縦体の機器のパラメータを変更することができる。
【0015】
請求項に記載されたパラメータ設定装置によれば、送信機に設けられた操作子のうち、所望の機能が割り当てられた特定操作子を選択して適宜の操作を行えば、その特定操作子の状態データは操縦信号に乗ってパラメータ設定装置に送られる。パラメータ設定装置では、パラメータデータと特定操作子の状態との関係を示す対応データを有しているので、この対応データと、受信した一フレームの操縦信号に含まれる特定操作子の状態データとに基づいて、特定操作対象のパラメータデータを取得することができる。パラメータ設定装置は、送信機から受け取った一フレームの操縦信号の空きチャネルにパラメータデータ(識別データと特性データである場合は2つの空きチャネル)を格納し、送信機へ送り返す。送信機は、パラメータデータと操縦データを含む操縦信号を被操縦体に送信する。被操縦体に搭載された操作対象の操縦を継続しながら、被操縦体に搭載された特定操作対象のパラメータデータを確実に変更することができる。従って、操縦中にパラメータ設定用機器を直接操作することが仮に困難であったとしても、送信機の特定操作子を操作することにより被操縦体の特定操作対象のパラメータデータを任意に変更又は設定できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】第1実施形態における送信機とパラメータ設定装置の正面図である。
図2】第1実施形態における送信機とパラメータ設定装置の機能ブロック図である。
図3】第1実施形態において送信機とパラメータ設定装置の間でやりとりされる操縦信号の基本的データ構造を示す図である。
図4】第1実施形態における受信機の機能ブロック図である。
図5】分図(a)は、第1実施形態における送信機とパラメータ設定装置の動作及び信号の授受を経時的に示す模式図であり、分図(b)はその変形例である。
図6】第2実施形態のパラメータ設定装置に設定されるパラメータデータと特定操作子の状態との関係を表す対応データの説明図である。
図7】第3実施形態において送信機からパラメータ設定装置に送られる特定操作子の状態データの説明図である。
図8】第3実施形態のパラメータ設定装置に設定されるパラメータデータと特定操作子の状態との関係を表す対応データの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第1実施形態の通信システムを図1図5を参照して説明する。この通信システムは、被操縦体である模型飛行機の操縦を制御するものである。
図1は、送信機1とパラメータ設定装置2の外観の概略を示す正面図である。送信機1は、紙面方向の厚さが縦横長さに比べて薄い正面視略正方形の筐体を本体としており、その正面下部に表示部4が設けられ、その正面上部には、操作子として、模型用飛行機の主要な操縦動作を制御する2本の操縦用のスティック5,5が配置されている。さらに、各スティック5の直上には、操作子である2個のスイッチ6,6がそれぞれ設けられ、筐体の上面の左右端部付近にも、操作子である2個のスイッチ7,7がそれぞれ設けられている。これら各スイッチ6,7はON/OFFの2位置に切り替え可能な2ポジションスイッチでもよいし、上中下の3つの位置に切り替え可能な3ポジションスイッチでもよい。詳細は図示しないが、送信機1には、これら以外にも複数のスイッチ類が設けられており、これらスイッチの各々には被操縦体を操縦する際に必要な各種データを入力する機能が割り当てられている。
【0018】
図1に示すように、送信機1の筐体の上面中央には、アンテナ8が設けられており、根元のヒンジ部を介して任意の方向に任意の角度で曲げることができる。図1の例では、右方向に向けて水平な状態に曲げられている。また、送信機1の筐体の上面には、前記アンテナの位置を避けて、矩形の3辺をなす枠状のハンドル9(把持部)が取り付けられている。このハンドル9は、送信機1を持ち運ぶ等の場合にユーザーが掴む取手や、両手でスティック5を操作するために送信機1を体の前面側に保持する補助とするための吊紐を結びつける結節点等として有用な部位であるが、本実施形態では、ここにパラメータ設定装置2が取り付けられている。
【0019】
パラメータ設定装置2は、その詳細は後述するが、被操縦体に搭載されたジャイロやESC(エレクトリックスピードコントローラ)等の操作対象にパラメータデータ(その種類を示す識別データと、その値を示す特性データ)を設定するための装置であって、図1に示すように表示部10と入力部11を有する他、図1には示していないが、送信機1とケーブル12で接続するための接続ポート13及び設定制御部14を有している(何れも図2に示す)。なお、実施形態ではパラメータ設定装置2と送信機1は、各々の接続ポート13,18をケーブル12で接続して交信可能となっているが、この状態は図1には表れておらず、これも後述する図2に示す。
【0020】
図2は、第1実施形態における送信機1とパラメータ設定装置2の機能ブロック図である。図2に示すように、送信機1は、入力部15と、第1制御部16と、RF部17と、前述したアンテナ8と、接続ポート18を有する。
【0021】
入力部15は、前述したスティック5等を示す第1入力部15aと、前述したスイッチ6,7等を示す第2入力部15bを含む。また、その他の入力手段としては、外部機器、例えば後述するパラメータ設定装置2や、第2の送信機1と接続する際に使用する接続切替スイッチ20が設けられている。なお、この接続切替スイッチ20は、前述したトレーナー機能を有する送信機1の場合には、トレーナースイッチ等と呼ばれることがある。図2に示した第1入力部15a及び第2入力部15bの個数には特に意味はなく、これは単なる模式的な例示である。また第1入力部15a及び第2入力部15bの具体例も、スティック5や、2又は3ポジションのスイッチ6,7のみに限らない。連続的な操作入力が得られるボリュームやダイヤル、レバー等も含まれるし、2又は3ポジション以外の切り替えスイッチも含む。
【0022】
このような構成の入力部15において、操縦者が第1入力部15a及び第2入力部15bを操作することにより、後述するように第1制御部16で操縦データが生成され、この操縦データは操縦信号に格納されて、後述する被操縦体25に搭載した操作対象(ジャイロ30、ESC、サーボモータ31,32等)に送信される。また、後述するように接続切替スイッチ20を操作することにより、送信機1は、後述する接続ポート18を介して接続されたパラメータ設定装置2と交信が可能となり、パラメータ設定装置2で入力されたパラメータデータをパラメータ設定装置2から受け取り、操縦信号に乗せて送信することができる。
【0023】
第1制御部16は、第1及び第2入力部15a,15bのスティック5やスイッチ6,7等から入力された位置情報のデータを、A/D変換した後に平滑化処理を行って取り込み、ミキシングや調整機能の演算を行い、サーボ動作信号に合わせた操縦データに変換する。ここで、ミキシングや調整機能とは、送信機1の入力部15においてスイッチ6,7等から入力した設定値等を操縦用のスティック5等の信号に反映させる機能を意味するとともに、後述する接続ポート18を介して外部機器(後述するパラメータ設定装置2等)から入力されたデータを取り込む機能も含む。そして第1制御部16は、この操縦データに、図示しない符号変換回路によりヘッダー、ID、エラーチェック用データを追加して1フレームの操縦信号とし、この操縦信号をフレーム単位で繰り返し生成してRF部17に出力する。RF部17は、このデータ列を変調して高周波信号としてアンテナ8から送信する。
【0024】
前述したように、送信機1が送信する1フレームの操縦信号は、ヘッダー、ID、操縦データ、エラーチェック用データを含むが、前記操縦データは、1フレーム中に設けられた複数のチャネルごとに区分して格納されている。ここでチャネルとは、異なる周波数帯域の区分を意味するものではなく、ラジコン通信の技術分野においては、一般に被操縦体の制御対象である異なる操作対象を意味するとともに、操縦信号中の各操作対象に対応するスロット又は当該スロットに格納された個々のデータを意味するものであって、本明細書においても同様である。例えば、送信機が対応可能なチャネルの最大数がNであるとすると、チャネルデータは、CH1〜CHNごとの個別の制御データ(操縦データを含む)を順次配列して構成される。なお、これらの個別チャネルデータは、それぞれ、同じ固定長のビット数を有し、そのビット値によりコントロール量等を示すようにされている。
【0025】
また、第1制御部16は、入力部15の接続切替スイッチ20がONとされた場合には、後述する接続ポート18を介して接続されたパラメータ設定装置2との間で、操縦信号のやりとりを行うことができるように制御を行う。図3は、送信機1がパラメータ設定装置2との間で授受する操縦信号のPPM(Pulse Position Modulation (パルス位相変調)の略語)波形を例示するものである。先に、送信機1がアンテナ8から送信する信号も操縦信号と称し、ヘッダー、ID、操縦データ、エラーチェック用データを含むものとして説明したが、送信機1とパラメータ設定装置2との間で授受される操縦信号は、これとは異なり、第1制御部16でヘッダー、ID、エラーチェック用データを追加される前の信号、すなわち実質的に操縦データのみからなる信号である。図3の例では、チャネル1から8(CH1〜CH8)から構成された1フレームを単位としており、フレーム間には区切りを付けるためのリセット信号が配置されている。
【0026】
前述した接続ポート18は、外部機器とケーブル12で接続されるデータ入出力端子である。本実施形態では、図2に示すように、ケーブル12を介して接続ポート18にパラメータ設定装置2が接続されているが、この送信機1は所謂トレーナー機能を有する送信機1として他の送信機と接続して使用することもできる。すなわち、この送信機1においてトレーナー機能を利用する場合には、他の操縦者が操作する他の送信機1をもう一台用意し、2台の送信機1,1をケーブル12で通信接続する。そして、先生となる一方の送信機1の側において前記接続切替スイッチ20を操作し、被操縦体25を操縦する電波を、一方の送信機1からの電波と、生徒となる他方の送信機1からの電波との間で必要に応じて切り替えることにより、操縦に熟練した操縦者が先生となって、操縦に慣れていない操縦者を生徒として操縦技能の補助乃至教授を行うことができる。
【0027】
なお、本実施形態は、パラメータ設定装置2を送信機1に取り付けて使用することから、パラメータ設定機能がない送信機1を対象とすることを想定している。すなわち、パラメータ又はパラメータデータを表示するディスプレイがないとか、パラメータ設定変更用のソフトウエアが搭載されていないといった安価な製品も含めて、前記接続ポート18として使用可能なトレーナーポートを備えたトレーナー機能付きの送信機1は、多数の機種が広く市販されているという実情がある。このため、本実施形態のパラメータ設定装置2を用意することで、単独ではパラメータデータの設定や変更ができない廉価版の送信機を使用している多くのユーザーが、模型内の機器についてパラメータデータの設定を簡単におこなえるようになるという実用上顕著な効果が得られる訳である。
なお、この実施形態では、パラメータ設定装置2を送信機1に取り付けて特定操作対象のパラメータデータを設定するために使用する送信機1の接続ポート18としては、上述のようにトレーナー機能付きの送信機1におけるトレーナーポートを想定しているが、これは一例であって、接続ポート18をトレーナーポートに限る趣旨ではない。すなわち、本発明においてパラメータ設定装置を取り付けるための送信機の接続ポートは、パラメータ設定装置で設定した特定操作対象のパラメータデータを送信機に送れるような接続端子であればよく、送信機に設けられたその接続端子の本来の機能、又はその送信機にその接続端子が設けられた本来の目的の如何を問わない。
【0028】
なお、送信機1の接続ポート18に、パラメータ設定装置2を接続する場合も、第2の送信機1を接続してトレーナー機能を利用する場合も、ケーブル12で接続された2つの機器は互いに双方向の通信を行うので、本実施形態において送信機1とパラメータ設定装置2を接続するケーブル12は双方向通信が可能なタイプのものとする。
【0029】
図2に示すように、パラメータ設定装置2は、入力部11と、表示部10と、接続ポート13と、設定制御部14を有する。
入力部11は、被操縦体25に搭載された複数の操作対象にそれぞれ設定されるパラメータデータを入力する手段であり、各種のスイッチやダイヤル等で構成される。表示部10には、入力部11によるパラメータデータの入力に当たり、識別データが示すパラメータの種類や、特性データが示す値等を表示することができる。接続ポート13は、外部機器とケーブル12で接続されるデータ入出力端子であり、図2ではケーブル12を介して接続ポート13に送信機1が接続されている。
【0030】
設定制御部14は、ケーブル12及び接続ポート13を介して、図3に示す1フレームの前記操縦信号を送信機1から受け取った後、入力部11で入力された特定操作対象のパラメータデータを、この1フレームの前記操縦信号の空きチャネルに格納し、前記送信機1へ送り返す。例えば、送信機1からパラメータ設定装置2に送られてきた操縦信号のチャネル7(CH7)及びチャネル8(CH8)が空きチャネルである場合、この操縦信号をパラメータ設定装置2で処理して送信機1に返す際には、送り出す操縦信号のチャネル7(CH7)及びチャネル8(CH8)にはパラメータ設定装置2で入力されたパラメータデータの識別データ及び特性データをそれぞれ格納しておく。
【0031】
なお、ここで操作対象又は機器とは、被操縦体に搭載され、外部から送られた信号を受けて被操縦体を制御することができ、特に、その制御機能を調整・変更・設定等するために設定されているパラメータデータを変更又は設定等できる装置を意味する。また、操縦者がパラメータデータの設定・変更等を行おうとして任意に指定した特定の操作対象を、特定操作対象と称する。操作対象又は特定操作対象である装置の具体例及びそのパラメータについて説明する。
【0032】
操作対象又は特定操作対象がESCである場合、設定変更が可能な制御パラメータとしては、例えば、ニュートラルから前進側の立ち上がり特性を設定するフォワードブースト、出力電流制限値を設定するカレントリミッタ、ニュートラルからブレーキ最大ポイント間のブレーキ強度を設定するブレーキマックスデューティー、ニュートラルブレーキ量を設定するニュートラルブレーキ等が挙げられる。
【0033】
操作対象又は特定操作対象がサーボモータである場合、前述したように必要な本数の制御線Lを接続してサーボモータSMの制御パラメータデータを設定変更することもできる。その場合に設定変更可能な制御パラメータとしては、例えば、サーボを駆動するときに内部のモータにかける最小動作量を設定するブースト量、サーボが停止する際の特性を設定するダンピングゲイン、サーボの保持特性を設定するストレッチャゲイン、サーボの動きを滑らかにする機能であるスムーサ等が挙げられる。
【0034】
また、操作対象又は特定操作対象が、模型飛行機等に使用されるジャイロである場合には、設定変更が可能な制御パラメータとしては、例えば、ラダー操作のディレーを設定するコントロールレスポンス、テール操作の反応速度の調整を行うAVCSレスポンス、ラダー操作時の操作感覚を選択するピルエット感覚、ラダースティックのニュートラル付近の操作フィーリング設定を行うEXP、AVCS感度の設定を行うゲイン、ジャイロの微分動作ゲインを設定するDゲイン、ジャイロ微分動作の継続時間を設定するDダンピング等が挙げられる。
【0035】
なお、送信機1から送られてくる操縦信号には、送信機1で生成された操縦データが含まれているが、パラメータ設定装置2では、この操縦データには何も加工せずに、単にパラメータデータの識別データと特性データを2つの空きチャネルに付加しただけで、送信機1に送り返す。すなわち、送信機1から送られた操縦信号は送信機1にループバックされる。
【0036】
図4は、被操縦体25が備える受信機3のシステム構成例を示している。
この図に示す受信機3は、アンテナ8、RF部17、第2制御部22を有している。また、第2制御部22には、複数(図示例では2個)のサーボモータ31がそれぞれ単一の制御線を介して接続されており、それぞれ第2制御部22から操縦データを受けて駆動されるようになっている。また、第2制御部22には、操作対象としてのジャイロ30が3本の制御線で接続されており、このジャイロ30には1個のサーボモータ32が接続されている。ジャイロ30に接続されているサーボモータ32は、制御装置や記憶手段を持っておらず、それ自身では設定変更を行うことはできない。従って、第2制御部22からの信号で設定変更を受けるのはジャイロ30のパラメータとなる。例えば、実施形態の被操縦体25が飛行機であれば、ジャイロ30のサーボモータ32は操舵機構を動作させるために設けられている。
【0037】
なお、ジャイロ30においてパラメータデータの設定変更が可能なパラメータとしては、例えば、ラダー操作のディレーを設定するコントロールレスポンス、テール操作の反応速度の調整を行うAVCSレスポンス、ラダー操作時の操作感覚を選択するピルエット感覚、ラダースティックのニュートラル付近の操作フィーリング設定を行うEXP、AVCS感度の設定を行うゲイン、ジャイロの微分動作ゲインを設定するDゲイン、ジャイロ微分動作の継続時間を設定するDダンピング等が挙げられる。
【0038】
第2制御部22は、例えばCPU等を備えて形成され、メモリに記憶されるプログラムに従って所要の制御処理を実行する。また、この場合のメモリは、例えば第2制御部22のための補助記憶装置に相当する部位となるもので、上記したプログラムのほか、各種の設定情報などが記憶される。
【0039】
送信機1から送信される操縦信号の電波はアンテナ8にて受信され、受信された操縦信号はRF部17が復調する。第2制御部22は、復調された信号を処理し、チャネルごと、すなわち操作対象ごとにPWM信号である操縦データを生成し、これを各操作対象に出力する。第2制御部22は、このチャネルごとの操縦データに基づいて、ジャイロ30やサーボモータ31等の操作対象ごとに動作を制御する。これにより、被操縦体25は、送信機1に対して行われた操縦操作に応じた動作を行う。
【0040】
また、パラメータ設定装置2において、特定操作対象のパラメータデータの設定変更の操作が行われており、送信機1がパラメータ設定装置2からループバックを受けた操縦信号にパラメータデータが含まれている場合には、この送信機1から操縦信号を受信した受信機3の第2制御部22は、次のような制御を行う。すなわち、受信機3の第2制御部22は、RF部17が受信したデジタル信号を復調した後に適宜の処理を行い、第1及び第2の2つのチャネル(図3の例ではチャネル7(CH7)及びチャネル8(CH8))に含まれているパラメータデータの識別データと特性データを抽出し、PWM信号としてジャイロ30に与える。前述した通り、第2制御部22とジャイロ30を結ぶ制御線は3本であり、その内の2本を介して前記識別データと前記特性データがジャイロ30に与えられ、前記パラメータデータの設定が変更される。また、残りの1本の制御線を介してサーボモータ32の操縦データが与えられる。
【0041】
図5は、本実施形態の通信システムにおける送信機1とパラメータ設定装置2の動作を示す模式図であり、分図(a)は、主たる実施形態を示し、分図(b)はその変形例を示す。図5(a),(b)では、それぞれ左側に送信機1の動作を示し、右側にパラメータ設定装置2の動作を示し、両者間の信号の流れは左右方向の矢印で表す。また、時間の経過は上側から下側に向くように示してある。
主として同図を参照しつつ同通信システムの作用を説明する。
【0042】
図5(a)を参照して主たる実施形態を説明する。
この実施形態は、トレーナー機能をONとして送信機1とパラメータ設定装置2の相互通信がONとなっている状態において、トレーナー機能が有する複数のモードの中の第1のモードを選択した場合である。このモードは、送信機1が、パラメータ設定装置2から送られてくる信号に、送信機1の側で操縦データを加えて操縦信号として送信する機能を有している場合に使用する。
【0043】
送信機1の電源がONの状態であり、操縦者が送信機1を操作して被操縦体25を操作しているものとする。操縦者が入力部15(例えば操縦用のスティック5)を操作すると、第1制御部16は、この操作信号から操縦データを生成し、操縦データを含む操縦信号をアンテナ8より送信する。被操縦体25の受信機3がこれを受信して操作対象が制御され、被操縦体25が操縦される。この動作は所定の周期で繰り返し行われている。
【0044】
操縦者が、操縦中、必要に応じて送信機1の接続切替スイッチ20を閉じると(接続切替スイッチ20がON)、先述したトレーナー機能における送信機1とパラメータ設定装置2との相互通信が確立される。操縦者が、パラメータ設定装置2の表示部10を見ながら入力部11を操作し、所望のパラメータデータ(識別データと特性データ)を入力した場合には、パラメータ設定装置2は、送信機1が生成する操縦信号と同一構造の信号を内部で生成し、送信機1における操縦信号の空きチャネル、例えばチャネル7(CH7)に相当するチャネルに識別データを格納し、同じくチャネル8(CH8)に相当するチャネルに特性データを格納し、その他のチャネルにはニュートラルデータを格納して設定信号として送信機1に送信する。なお、送信機1が生成する操縦信号は、先に説明したように、図3に示したような複数のチャネルを有するPPM波であり、従ってパラメータ設定装置2が生成する設定信号も同様である。
なお、ここでニュートラルデータとは、一般的にはサーボを操作の対象としたとき、全可動範囲の中点を示すデータを意味する。
【0045】
送信機1は、パラメータ設定装置2から受け取った設定信号に、操縦データを加えて操縦信号を生成する。すなわち、受領した設定信号の各チャネルに入っているニュートラルデータを、操縦データの対応するデータによって置き換え、これを送信する操縦データとし、被操縦体25に向けて送信する。これによって、操縦者が指定した被操縦体25の特定操作対象の指定のパラメータのパラメータデータが指定の数値に設定変更される。
【0046】
なお、パラメータ設定装置2は送信機1のハンドル9に取り付けられており、操縦者の指から至近距離にあるため、操縦者が操縦動作中であっても、パラメータ設定装置2の入力操作はさほどの困難なく操縦と略同時に行うことができる。
【0047】
図5(b)を参照して従たる実施形態を説明する。
この実施形態は、トレーナー機能をONとして送信機1とパラメータ設定装置2の相互通信がONとなっている状態において、トレーナー機能が有する複数のモードの中の第2のモードを選択した場合である。このモードは、送信機1がパラメータ設定装置2から送られてくる信号に操縦データを加えて操縦信号として送信する機能を持たない場合に使用する。
【0048】
送信機1の電源がONの状態であり、操縦者が送信機1を操作して被操縦体25を操作しているものとする。操縦者が入力部15(例えば操縦用のスティック5)を操作すると、第1制御部16は、この操作信号から操縦データを生成し、操縦データを含む操縦信号をアンテナ8より送信する。被操縦体25の受信機3がこれを受信して操作対象が制御され、被操縦体25が操縦される。この動作は所定の周期で繰り返し行われている。
【0049】
操縦者が、操縦中、必要に応じて送信機1の接続切替スイッチ20を閉じると(接続切替スイッチ20がON)、先述したトレーナー機能における送信機1とパラメータ設定装置2との相互通信が確立され、送信機1から操縦信号Aがケーブル12を介してパラメータ設定装置2に送られる。この操縦信号は、先に説明したように、図3に示したようなPPM波であり、実質的に操縦データのみを有している。ここで、パラメータ設定装置2においてパラメータデータが入力されていなければ、送信機1からパラメータ設定装置2に送られた操縦信号Aの操縦データは、そのままの形で、操縦信号Bの操縦データとして送信機1にループバックされ、送信機1から被操縦体25に向けて送信される。
【0050】
操縦者が、パラメータ設定装置2の表示部10を見ながら入力部11を操作し、所望のパラメータデータ(識別データと特性データ)を入力した場合には、パラメータ設定装置2は、操縦信号Aを受け取ると、操縦信号Aの空きチャネル、例えばチャネル7(CH7)に識別データを格納し、チャネル8(CH8)に特性データを格納し、操縦信号Bとして送信機1に送信する。この場合も、送信機1から操縦信号Aの一部として送られてきた操縦データは、操縦信号Bの一部として送信機1にそのままの形態でループバックされることとなる。
【0051】
送信機1は、パラメータ設定装置2から受け取った操縦信号Bを、被操縦体25に送信する。これによって、操縦者が指定した被操縦体25の特定操作対象の指定のパラメータのパラメータデータが指定の数値に設定変更される。なお、ここでは、パラメータデータの識別データ及び特性データ並びに操縦信号が1フレーム中に格納された操縦信号Bを、そのまま被操縦体25に送信するものとしたが、送信機1が、パラメータデータをどのような形態で、どのような信号として被操縦体25に送信するかは任意であり、本実施形態に限定するものではない。
【0052】
本実施形態の通信システムによれば、特定の操作対象に割り当てられていない空きチャネルが操縦信号に2つ以上ある場合、操縦者が望むある特定操作対象のパラメータデータの設定を、操縦を続行しながら、送信機1に取り付けられたパラメータ設定装置2で行うことができる。すなわち、操縦者が、パラメータ設定装置2の表示部10の表示を視認しながら入力部11を操作し、特定操作対象のパラメータ(種類)を識別データで指定し、その設定値(値)を特性データとして入力すれば、送信機1の第1制御部16は、操縦信号の1つのフレームで、操縦信号と同時にこれらパラメータデータを被操縦体25に送信することができる。
【0053】
このように、第1実施形態の通信システムによれば、パラメータデータの入力機能がない送信機1であっても、パラメータ設定装置2を送信機1に取り付けて接続しておけば、操縦中にパラメータ設定装置2を操作することにより、被操縦体25に送信する操縦信号の中に、所望の操作対象のパラメータデータを組み込むことができるため、被操縦体25の操縦中に設定変更を行うことができる。
【0054】
しかも、このパラメータ設定装置2によれば、送信機1から送られた操縦信号の各フレームにおいて、2つの空チャネルに、パラメータデータの特性データと識別データを対で格納している。このため、送信機1に送り返され、送信機1から送信される操縦信号には、フレームごとにパラメータデータの特性データと識別データがセットで格納されている。従って、受信機3において少なくとも1フレームの信号が受信されれば、受信された操縦信号に含まれるパラメータデータの設定変更は可能となる。識別データと特性データを別フレームで送信する場合には、各フレームがすべて連続受信されなければパラメータデータの設定変更はできないが、本実施形態ではそのような不都合はなく、周波数帯域が重なり合う複数の送信電波が存在するような環境下でも被操縦体25の機器のパラメータデータの変更を確実に行える。
【0055】
なお、図4の被操縦体25における受信機3とサーボモータ31等の接続構成によれば、受信機3の第2制御部22に直接接続されているサーボモータ31は、この構成ではパラメータデータの設定変更はできない。しかし、サーボモータの中には設定変更できるものもあり、仮に図4に示すサーボモータ31,32がパラメータデータの設定変更ができる種類のサーボモータであったとすれば、図4のジャイロ30のように、第2制御部22とサーボモータを3本の制御線で適宜に接続することにより、パラメータデータの設定変更を行うことができる。
【0056】
本発明の第2実施形態の通信システムを主として図6を参照して説明する。
第1実施形態では、パラメータデータを、送信機1に取り付けたパラメータ設定装置2で入力していた。本実施形態では、パラメータ設定装置2を送信機1に取り付け、パラメータ設定装置2と送信機1をケーブル12で接続した状態は第1実施形態と同一であるが、操縦中に行うパラメータデータの設定変更の操作を送信機1の操作子(スイッチ等)で行えるようにしたことに特徴がある。図1図4を参照して説明した第1実施形態の通信システムのハード構成及び操縦信号の形態等については、本実施形態でこれを援用するが、上述した第1実施形態との相違は、以下に説明するように、パラメータ設定装置2の設定制御部14におけるソフトウエア(情報処理の手法)の相違によるものである。
【0057】
送信機1の第1制御部16では、複数個の操作子(スイッチ等)は、各チャネルに割り当てられている。送信機1からパラメータ設定装置2に送られる前記操縦信号A(図5参照)は、図3に示すようなPPM波形であるが、各操作子に該当する各チャネルには、当該操作子の状態データが格納されるようになっている。
【0058】
例えば、図1に示すスイッチ6の一つを被操縦体25の特定の操作対象のパラメータデータを設定変更するためのON/OFFスイッチであるスイッチSW−Gと考える。この場合、送信機1の第1制御部16の機能により、スイッチSW−GのON/OFF状態を示すデータは、操縦信号A(図5参照)のチャネル5(CH5)に格納され、送信機1の第1制御部16からパラメータ設定装置2に送られるようになっている(第1実施形態でも同様)。従って、パラメータ設定装置2においては、設定制御部14が操縦信号Aのチャネル5(CH5)の内容を参照すれば、送信機1のスイッチSW−Gの状態を把握できる。
【0059】
図6は、パラメータ設定装置2に記憶されているテーブルデータであって、前記スイッチSW−Gのパラメータデータ(100又は80)と、前記スイッチSW−Gの状態(On,Off)との関係を表す対応データの形態となっている。この対応データは、予めパラメータ設定装置2に入力部11から入力しておく必要がある。
【0060】
図5において、送信機1からパラメータ設定装置2に送られる操縦信号Aには、図3に示す波形中、チャネル5(CH5)にスイッチSW−Gの状態データが格納されている。パラメータ設定装置2が操縦信号Aを受けると、パラメータ設定装置2の設定制御部14は、操縦信号Aのチャネル5(CH5)のデータを確認する。チャネル5(CH5)がスイッチSW−Gに対応していることは、設定制御部14に予め設定されている事項であるため、設定制御部14はチャネル5(CH5)のデータからスイッチSW−Gの状態がON又はOFFにあることを読み取ることができる。そして、設定制御部14は、読み取ったSW−Gの状態(ON又はOFF)を用いて図6に示す対応データを参照することにより、パラメータデータの種類と値を取得することができる。例えば、チャネル5(CH5)のデータがONであれば、図6に示す対応データから、パラメータデータの種類(識別データ)はPara1であり、その値(特性データ)は100となる。なお、この数値は、図3に示したようなPPM信号においては、各チャネルにおけるパルスの幅を示す。
【0061】
パラメータ設定装置2の設定制御部14は、図3に示す操縦信号のチャネル7(CH7)に、取得したパラメータデータの識別データを格納し、チャネル8(CH8)に、取得したパラメータデータの特性データを格納し、図5に示すように、これをパラメータ設定装置2から送信機1に操縦信号Bとして送信する。
【0062】
このように、第2実施形態の通信システムによれば、送信機1は、パラメータデータと操縦データを含む操縦信号を被操縦体25に送信し、被操縦体25に搭載された各操作対象の制御を継続して被操縦体25の操縦を続行しつつ、被操縦体25に搭載された特定操作対象のパラメータデータを確実に変更することができる。従って、操縦中にパラメータ設定装置2を直接操作することが仮に困難であったとしても、送信機1の特定操作子を操作することはより容易であるため、被操縦体25の特定操作対象のパラメータデータの変更又は設定を第1実施形態よりもさらに一層容易に行うことができる。
【0063】
すなわち、送信機1に備えられたスイッチ、レバー、ダイアル等の操作子は、操縦者が被操縦体25を操縦中に、スティック5から手を離すことなく操作可能な充分に近い位置に配置されている。このため、操縦者は、送信機1のスイッチ、レバー、ダイアル等の操作子を操縦中に無理なく操作することができ、被操縦体25に搭載されたジャイロ30等の操作対象のパラメータデータをリアルタイムに設定変更できる。
【0064】
本発明の第3実施形態の通信システムを主として図7及び図8を参照して説明する。
前述した第2実施形態のパラメータ設定装置2は、送信機1の1個のスイッチのON/OFF状態を操縦信号から読み取り、当該スイッチのON/OFF状態に応じて、予め備えている対応データ中の2つの特性データの何れかを選択して取得していた。本実施形態は、基本的な考え方は同様であるが、送信機1の複数個のスイッチの各状態データの組合せを読み取り、予め備えている対応データ中から、状態データの組合せに応じて1つの特性データを選択して取得する点が相違する。
【0065】
図7は、送信機1からパラメータ設定装置2に送られる特定操作子の状態データの説明図である。例えば、図1に示す2個のスイッチ7,7を、上中下の3ポジションに切り替えられる3ポジションスイッチであるスイッチSW−A、SW−Bと考える。これらスイッチSW−A、SW−Bにより、被操縦体25の特定の操作対象のパラメータデータを設定変更するものとする。この場合、送信機1の第1制御部16の機能により、スイッチSW−Aの上中下状態を示すデータは、操縦信号A(図5参照)のチャネル5(CH5)に格納され、スイッチSW−Bの上中下状態を示すデータは、操縦信号A(図5参照)のチャネル6(CH6)に格納され、それぞれ、送信機1の第1制御部16からパラメータ設定装置2に送られるようになっている(第1実施形態でも同様)。従って、パラメータ設定装置2においては、設定制御部14が操縦信号Aのチャネル5(CH5)及びチャネル6(CH6)の内容を参照すれば、送信機1のスイッチSW−A及びスイッチSW−Bの状態を把握できる。なお、チャネル5(CH5)及びチャネル6(CH6)のデータを用いて設定変更するパラメータデータの種類(識別データ)は、例えばPara1であるというように予め定めておく。
【0066】
図8は、第3実施形態のパラメータ設定装置2に記憶されているテーブルデータであって、前記スイッチSW−Aの上中下の各状態と、前記スイッチSW−Bの上中下の各状態の組合せでマトリクスを構成し、その各枡目ごとにパラメータデータの特性データ(1100〜1888の9個のデータ)を指定することにより、両スイッチSW−A,Bの各状態の組合せと特性データとの関係を表した対応データである。この対応データは、予めパラメータ設定装置2に入力部11から入力しておく必要がある。
【0067】
図5において、送信機1からパラメータ設定装置2に送られる操縦信号Aには、図3に示す波形中、チャネル5(CH5)にスイッチSW−Aの状態データが格納されており、チャネル6(CH6)にスイッチSW−Bの状態データが格納されている。パラメータ設定装置2が操縦信号Aを受けると、パラメータ設定装置2の設定制御部14は、操縦信号Aのチャネル5(CH5)及びチャネル6(CH6)のデータを確認する。チャネル5(CH5)がスイッチSW−Aに対応し、チャネル6(CH6)がスイッチSW−Bに対応していることは、パラメータ設定装置2の設定制御部14に予め設定されている事項であるため、設定制御部14は、チャネル5(CH5)のデータからスイッチSW−Aの状態が上中下の何れかにあることを読み取ることができ、チャネル6(CH6)のデータからスイッチSW−Bの状態が上中下の何れかにあることを読み取ることができる。そして、設定制御部14は、読み取ったSW−Aの状態(上中下の何れか一つ)と、SW−Bの状態(上中下の何れか一つ)とを用いて、図8に示す対応データを参照することにより、パラメータデータの種類と値を取得することができる。例えば、チャネル5(CH5)及びチャネル6(CH6)のデータが何れも1100であり、両スイッチSW−A,Bともに状態が上である場合には、図8に示す対応データから、パラメータデータの種類(識別データ)はPara1であり、その値(特性データ)は1888となる。
【0068】
パラメータ設定装置2の設定制御部14は、図3に示す操縦信号のチャネル7(CH7)に、取得したパラメータデータの識別データを格納し、チャネル8(CH8)に、取得したパラメータデータの特性データを格納し、図5に示すように、これをパラメータ設定装置2から送信機1に操縦信号Bとして送信する。以後の作用は第2実施形態と略同一である。
【0069】
このように、第3実施形態の通信システムによれば、チャネルデータとして取得した複数のスイッチの状態データの組合せにより、特定のパラメータデータの特性データに関して第2実施形態よりも多い選択肢から特定の値を選んで送信機1に送信することができる。このため、第2実施形態のように1個のスイッチで2つの値を択一的に選択するよりも設定できる数値の種類が広がり、パラメータ設定の自由度が高い。
【0070】
また、パラメータデータの設定変更を行うための送信機1側のスイッチとして、送信機1のフライトコンディション切り替えスイッチを用いることもできる。フライトコンディション切り替えスイッチとは、送信機1側の操作フィーリングを変えるパラメータを調整するピッチカーブ、スロットルカーブ、D/R、EXP調整用等のスイッチである。これらのスイッチを使用することとすれば、送信機1側の操作フィーリングを変えるパラメータと連動して操作対象のパラメータデータを設定変更することが可能となる。
【0071】
以上説明した各実施形態では、パラメータデータの設定を変更する対象としてジャイロを例示したが、前述したように必要な本数の制御線を接続してサーボモータのパラメータデータを設定変更することもできる。その場合に設定変更可能なパラメータとしては、例えば、サーボを駆動するときに内部のモータにかける最小動作量を設定するブースト量、サーボが停止する際の特性を設定するダンピングゲイン、サーボの保持特性を設定するストレッチャゲイン、サーボの動きを滑らかにする機能であるスムーサ等が挙げられる。
【0072】
また、パラメータデータの設定を変更する対象がESCである場合には、ESCにおいて設定変更が可能なパラメータとしては、例えば、ニュートラルから前進側の立ち上がり特性を設定するフォワードブースト、出力電流制限値を設定するカレントリミッタ、ニュートラルからブレーキ最大ポイント間のブレーキ強度を設定するブレーキマックスデューティー、ニュートラルブレーキ量を設定するニュートラルブレーキ等が挙げられる。
【符号の説明】
【0073】
1…送信機
2…パラメータ設定装置
5…操作子としての操作用のスティック
6,7…操作子としてのスイッチ
11…パラメータ設定装置の入力部
14…パラメータ設定装置の設定制御部
15,15a,15b…操作子としての入力部
16…送信機の第1制御部
22…受信機の第2制御部
25…被操縦体
30…操作対象であるジャイロ
31,32…操作対象となりうるサーボモータ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8