(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483058
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】抗菌剤と分散剤または接着阻害剤組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 45/06 20060101AFI20190304BHJP
A61K 31/145 20060101ALI20190304BHJP
A61P 31/04 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A61K45/06
A61K31/145
A61P31/04
【請求項の数】12
【全頁数】24
(21)【出願番号】特願2016-129761(P2016-129761)
(22)【出願日】2016年6月30日
(62)【分割の表示】特願2013-543872(P2013-543872)の分割
【原出願日】2011年12月14日
(65)【公開番号】特開2016-196495(P2016-196495A)
(43)【公開日】2016年11月24日
【審査請求日】2016年7月12日
(31)【優先権主張番号】1021186.0
(32)【優先日】2010年12月14日
(33)【優先権主張国】GB
(31)【優先権主張番号】61/423,000
(32)【優先日】2010年12月14日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】508066991
【氏名又は名称】ノバビオティクス・リミテッド
【氏名又は名称原語表記】NOVABIOTICS LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】100149294
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 直人
(72)【発明者】
【氏名】オニール,デボラ
(72)【発明者】
【氏名】シャリエ,セドリック
【審査官】
渡邉 潤也
(56)【参考文献】
【文献】
特表平10−510837(JP,A)
【文献】
国際公開第2010/112848(WO,A2)
【文献】
国際公開第2010/091124(WO,A2)
【文献】
特表2010−527960(JP,A)
【文献】
特表2010−511623(JP,A)
【文献】
国際公開第2007/050565(WO,A2)
【文献】
米国特許第06475434(US,B1)
【文献】
Shewell,J. et al.,The long-term survival of mice protected from 8MeV electron irradiation by combined treatment with cysteamine, hypoxia, syngeneic bone marrow and antibiotics.,J. Pathol. Bacteriol.,1966年10月,Vol.92, No.2,p.375-84
【文献】
Bruni,A.,[Effect of cysteine and of cysteamine on the therapeutic action of penicillin and of tetracycline].,Arch. Sci. Biol.,1956年 7月,Vol.40, No.4,p.398-405
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61P 31/00
A61K 45/00
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
抗菌作用に関して相乗的に有効な量の抗菌剤とシステアミンとを含有してなり、前記抗菌剤が非ペプチド抗菌剤であり、前記抗菌剤と前記システアミンとが同時に、逐次的に、または個別に投与される、製造品。
【請求項2】
前記抗菌剤が、アミノグリコシド系、アンサマイシン系、リンコサミド系、マクロライド系、ニトロフラン系、キノロン系、スルホンアミド系およびテトラサイクリン系からなる群から選択される、請求項1に記載の製造品。
【請求項3】
前記抗菌剤が、アミノグリコシド系、リンコサミド系、マクロライド系、キノロン系、スルホンアミド系およびテトラサイクリン系からなる群から選択される、請求項2に記載の製造品。
【請求項4】
医薬として使用するための、請求項1から3のいずれか一項に記載の製造品。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか一項に記載の製造品が塗布されているかまたは接着されている基質。
【請求項6】
請求項1から4のいずれか一項に記載の製造品と、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、および/または担体とを含有してなる薬学的組成物。
【請求項7】
皮膚および創傷感染、中耳感染、胃腸管感染、腹膜感染、尿生殖路感染、口腔軟組織感染、歯垢の形成、眼の感染、心内膜炎、嚢胞性線維症における感染、および留置型医療用デバイスの感染からなる群から選択される感染に対して抗菌作用を示す、請求項1に記載の製造品。
【請求項8】
前記感染が粘液環境のものである、請求項7に記載の製造品。
【請求項9】
前記感染が、嚢胞性線維症に関連する細菌感染である、請求項8に記載の製造品。
【請求項10】
シュードモナス属菌種、ブドウ球菌属種、ヘモフィルス属菌種、バークホルデリア属菌種、連鎖球菌属種およびプロピオニバクテリウム属菌種からなる群から選択される細菌に対して抗菌作用を示す、請求項1および7から9のいずれか一に記載の製造品。
【請求項11】
前記細菌がシュードモナス属菌種、バークホルデリア属菌種、またはブドウ球菌属種である、請求項10に記載の製造品。
【請求項12】
前記抗菌剤と前記システアミンが組み合わさった様式で、個別的様式で、または逐次的様式で投与される、請求項1および7から11のいずれか一に記載の製造品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、細菌感染症の予防および治療に関して有用である製造品、組成物、方法に関する。
【背景技術】
【0002】
抗生物質は、ヒト/動物の医療および農業の両方で広く使用され、これは、現在利用可能な抗生物質に対する薬剤耐性の問題を増加させている。これは、単一の抗生物質(さもなくば単剤療法ともいう)にて治療される感染症状または疾患に特に関連する。よって、効果的かつ安全な新規の治療だけでなく、標的病原体集団での最終的な薬剤耐性の発生のリスクを最小限にするまたは無くす作用様式を持つもの、および現在利用されている抗菌剤の実用性の拡大および耐性の機会を最小限にするために他の治療と組み合わせて使用することができる治療法が非常に求められている。
【0003】
肺などの粘膜が豊富な環境の細菌感染症は、嚢胞性線維症(CF)などの疾患においてよく見られる。しかしながら、従来の抗生物質は、このような環境でうまく機能する傾向がなく、そのような環境で使用した時の抗菌効果は大幅に低減する。
【0004】
微生物のバイオフィルムは、ポリマー物質の細胞外マトリクス内に根付いた、生物学的なまたは非生物的な表面に対して付着性の、微生物細胞の群集である。様々な微生物(関連するバクテリオファージおよび他のウイルスを含む、細菌、真菌、および/または原生動物)を、これらのバイオフィルムにおいて見ることができる。バイオフィルムは、自然界で遍在しており、幅広い環境の中でよく見られる。バイオフィルムが多くの感染に関与していること、特にそれらが感染の治療を困難にしていることが、科学界および医学界において次第に認められてきている。
【0005】
バイオフィルムは、哺乳動物における多くの病態の病原因子であり、ヒトにおける感染の80%に関与する。例として、皮膚および創傷感染、中耳感染、胃腸管感染、腹膜感染、尿生殖路感染、口腔軟組織感染、歯垢の形成、眼の感染(コンタクトレンズの汚染を含む)、心内膜炎、嚢胞性線維症における感染、ならびに人工関節、歯科インプラント、カテーテル、および心臓インプラントなどの留置型医療用デバイスの感染が含まれる。
【0006】
浮遊性微生物(すなわち、液体媒質中で懸濁または増殖している微生物)は、典型的に、Clinical and Laboratory Standards Institute(CLSI)およびEuropean Committee on Antimicrobial Susceptibility Testing(EUCAST)によって記載されているように、抗菌薬感受性調査のためのモデルとして用いられる。バイオフィルム中の微生物は、それらの浮遊性同等物よりも抗微生物治療に対して著しく耐性が高い。しかし、バイオフィルム微生物の抗生物質に対する感受性を研究するための、標準化された方法はない。
【0007】
バイオフィルムの形成は、微生物が表面に接着する能力のみによるものではない。バイオフィルム中で増殖している微生物は、バイオフィルムが最初に発生する実際の物理的基底と相互作用するよりも、互いの間で、より相互作用することができる。例えば、この現象は、接合による遺伝子伝播を促すが、この伝播は、浮遊性細胞間よりもバイオフィルム中の細胞間で生じる割合が高い。このことは、細菌間での水平遺伝子伝播の機会が増大することを意味し、かつ、これは、耐性微生物から感受性微生物への、抗生物質に対する耐性または病原性を決定する遺伝子の伝播を容易にし得るため、重要である。細菌は、クオラムセンシングとして知られているシステムによって互いに連絡することができ、このシステムを介してシグナル伝達分子が環境内に放出され、それらの濃度が周辺の微生物によって検出され得る。クオラムセンシングによって、細菌がそれらの挙動を連係させることが可能となり、その結果、細菌の生存能力が増強される。クオラムセンシングに対する応答には、栄養の利用可能性に対する適合、同一の栄養について競合し得る他の微生物に対する防御、および細菌にとって危険である可能性がある毒性化合物の回避が含まれる。宿主(例えば、ヒト、他の動物、または植物)に感染している間の病原性細菌にとって、感染をうまく達成することができるように宿主細胞の免疫応答を免れるために、それらの病原性を連携させることは非常に重要である。
【0008】
バイオフィルムの形成は、嚢胞性線維症および歯周炎などの多くの感染性疾患において、および留置型医療用デバイスの存在の結果としての血流感染および尿路感染において重要な役割を果たす。バイオフィルムに関連する微生物がそれらの宿主に疾患を引き起こす提案されたメカニズムには、(i)バイオフィルムのマトリクスによる抗菌剤の浸透の遅延、(ii)留置型医療用デバイスのバイオフィルムからの細胞または細胞集合体の脱離、(iii)エンドトキシンの生産、(iv)宿主免疫系に対する耐性、(v)抗菌剤に対する耐性および/または病原性を決定する遺伝子の水平遺伝子伝播による耐性生物の発生のためのニッチの提供、ならびに(vi)増殖速度の改変(すなわち、代謝的休眠)が含まれる(DonlanおよびCosterton、Clin Microbiol Rev 15:167〜193頁、2002年;ParsekおよびSingh、Annu Rev Microbiol 57:677〜701頁、2003年;Costerton J W、Resistance of biofilms to stress.「The biofilm primer」(Springer Berlin Heidelberg).56〜64頁.2007年)。
【0009】
最近の実験的証拠によって、バイオフィルム内に、特殊な、代謝していない存続細胞(persister cells、休眠細胞)の小さな亜集団が存在することが示されている。これらの細胞が、抗菌剤に対するバイオフィルムの高い耐性/抵抗性に関与し得ると考えられている。多剤抵抗性の存続細胞は、浮遊性の集団およびバイオフィルムの集団の両方において存在し、酵母および細菌は、この亜集団に生存機能を付与する類似の戦略を発達させたと考えられる。ポリマー性のマトリクスによってもたらされた防御によって、存続細胞が排除を回避すること、および再増殖のための増殖源となることが可能になる。存続細胞が微生物バイオフィルムの多剤抵抗性に多大に関与し得ることが証明されている(LaFleurら、Antimicrob Agents Chemother.50:3839〜46頁,2006年;Lewis、Nature Reviews Microbiology 5、48〜56頁、2007年)。
【0010】
細菌感染症、特に、CF肺などの粘液溶解環境に関連するものを治療および予防するためのより良い治療法の必要性が依然として存在する。加えて、細菌感染症の治療または予防、特にバイオフィルムの設定において現在利用されている治療の有効性を向上させることができる新規な代替療法または補助治療の導入により使用される抗生物質の量または投与量を制限する必要性がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0011】
【非特許文献1】DonlanおよびCosterton、Clin Microbiol Rev 15:167〜193頁、2002年
【非特許文献2】ParsekおよびSingh、Annu Rev Microbiol 57:677〜701頁、2003年
【非特許文献3】Costerton J W、Resistance of biofilms to stress.「The biofilm primer」(Springer Berlin Heidelberg).56〜64頁.2007年
【非特許文献4】LaFleurら、Antimicrob Agents Chemother.50:3839〜46頁,2006年
【非特許文献5】Lewis、Nature Reviews Microbiology 5、48〜56頁、2007年
【発明の概要】
【0012】
発明の提示
本発明の第一の態様によると、抗菌剤と、分散剤または接着阻害剤、特に粘液溶解性分散剤または粘液溶解性接着阻害剤である第二の薬剤とを含有してなる製造品が提供される。
【0013】
ある実施形態では、第二の薬剤は抗菌活性を有しうる。あるいは、第二の薬剤は固有の直接的抗菌活性を持っていなくてもよい。
【0014】
本発明は、少なくとも一の抗菌剤と、少なくとも一の分散剤または少なくとも一の接着阻害剤、特に粘液溶解性分散剤または粘液溶解性接着阻害剤とを含む薬学的製造品を包含する。
【0015】
また、治療用途のための上記の製造品が提供される。
【0016】
本発明の更なる態様によると、細菌感染の治療または予防に使用するための製造品が提供される。
【0017】
細菌感染は、散在性浮遊性微生物(プランクトン)細菌感染や、特に細菌性バイオフィルムでありうる。
【0018】
また、必要とする患者に本発明の製造品の治療上の有効量を投与する工程を含む、細菌感染の予防または治療方法が提供される。抗菌剤と分散剤または接着阻害剤は組み合わさった様式で、または、逐次的様式で投与されてよい。
【発明を実施するための形態】
【0019】
詳細な説明
製造品
本発明の第一の態様によると、抗菌剤と、分散剤または接着阻害剤である第二薬剤とを含有してなる製造品が提供される。
【0020】
ある実施形態によると、抗菌剤は非ペプチド性抗菌剤である。好ましくは、本発明の製造品はペプチドを含有していない。
【0021】
本発明の製造品は、粘液環境の細菌感染を含む、細菌感染の治療および予防に有効である。従来の抗菌剤はこのような環境での有効性が低いので、細菌感染の症状は一般に非常に治療しにくい。加えて、本発明の製造品の薬剤は概して相乗的に結びついて、驚くほど高い抗菌活性を生じる。ゆえに、必要とされる抗菌剤の量は最小限に抑えられる。あるいは、本発明の製造品の薬剤は相加的に結びつきうる。
【0022】
本製造品は、バイオフィルムの撲滅に対して必須の工程となっている、細菌バイオフィルムなどの細菌コロニー中に存在する存続細胞(persister cells)を含む株化細菌コロニーに対して抗菌活性を示すので、利点がある。
【0023】
相乗的効果
驚くべきことに、抗菌剤と分散剤または接着阻害剤の抗菌作用は概して組み合わせることにより相乗的に増加する。
【0024】
部分阻害濃度(FIC)は、抗菌剤の組み合わせが相乗的、付加的、拮抗的、または中立的であるかどうかを示す相互作用係数に相当する。FICは、以下のように、組み合わされた作用物質の活性(作用物質A+作用物質BのMIC)を、単独の作用物質の活性(作用物質Aまたは作用物質BのMIC)と比較することによって決定される(Singhら、2000年)。
FIC=MIC
A[併用]/MIC
A[単独]+MIC
B[併用]/MIC
B[単独]
【0025】
2つの抗菌剤の付加的な組み合わせは、1というFICインデックスによって示され、一方、1未満のFIC指標は、相乗的な組み合わせを示す。中立的な組み合わせでは1から4の間のFICとなり、4を超えるFIC指標は、2つの抗菌剤の間での拮抗的な効果を示す。
【0026】
一般に、本発明の製造品の成分の組み合わせのFIC指標は1未満であり、典型的には0.9未満であり、好適には0.8未満であり、有利にはおよそ0.75以下であり、例えばおよそ0.5以下である。
【0027】
あるいは、本発明の製造品の成分の組み合わせのFIC指標は1を超えて、一般に1から2、典型的には1から1.5、好適には1から1.2であってよい。
【0028】
粘液溶解性環境では、トブラマイシン、コリスチン、ゲンタマイシンまたはシプロフロキサシンなどの従来の抗菌剤は、粘液溶解性でない環境の場合と同じレベルの抗菌活性を示さない。驚くべきことに、このような従来の抗菌剤の抗菌活性は、システアミンのような接着防止剤または分散剤の投与により増加する。抗菌剤と接着防止剤または分散剤は相乗的に作用し、一緒にまたは逐次的に投与される場合には活性剤の抗菌活性は別々に投与したときよりもはるかに高い。
【0029】
一般に、本発明の製造品の抗菌活性は、抗菌剤単独の抗菌活性の少なくとも2倍であり、典型的には本発明の製造品の抗菌活性は抗菌剤単独の少なくとも4倍、好適には少なくとも8倍、概して少なくともおよそ10倍以上である。
【0030】
一般に、本発明の製造品の最小阻害濃度(MIC)は、同じ細菌性病原体に関して抗菌剤単独のMICの少なくとも2分の1未満、好適には少なくとも4分の1、典型的には少なくとも8分の1、有利には少なくともおよそ10分の1以下である。
【0031】
相乗的効果を得るために、本発明の製造品の薬剤は同時にまたは逐次的に、好ましくは10分を超えない間隔で投与されてよい。
【0032】
抗菌剤
「抗菌剤」なる用語は、細菌源に由来しうる抗菌剤を指すために用いられる。抗菌剤は殺菌性および/または静菌性であってよい。
【0033】
一般に、抗菌剤は、アミノグリコシド、アンサマイシン、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン(第一、第二、第三、第四および第五世代セファロスポリンを含む)、リンコサミド、マクロライド、モノバクタム、ニトロフラン、キノロン、ペニシリン、スルホンアミド、ポリペプチドおよびテトラサイクリンからなる群である。あるいはまたはさらに、抗菌剤はマイコバクテリアに対して有効でありうる。
【0034】
ある実施形態によれば、抗菌剤は、アミカシン、ゲンタマイシン、カナマイシン、ネオマイシン、ネチルマイシン、トブラマイシンまたはパロモマイシンなどのアミノグリコシド系であってよい。
【0035】
ある実施形態によれば、抗菌剤はゲルダナマイシンおよびハービマイシンなどであってよい。
【0036】
また、抗菌剤はロラカルベフなどのカルバセフェム系であってよい。
【0037】
さらなる実施形態によれば、抗菌剤は、エルタペネム、ドリペネム、イミペネム/シラスタチンまたはメロペネムなどのカルバペネム系である。
【0038】
また、抗菌剤は、セファドロキシル、セファゾリン、セファレキシン、セファロチンまたはセファロシンなどのセファロスポリン系(第一世代)、あるいは、セファクロル、セファマンドール、セフォキシチン、セフプロジルまたはセフロキシムなどのセファロスポリン系(第二世代)であってよい。また、抗菌剤は、セフィキシム、セフジニル、セフジトレン、セフォペラゾン、セフォタキシム、セフポドキシム、セフチブテン、セフチゾキシムおよびセフトリアキソンなどのセファロスポリン系(第三世代)、またはセフェピムやセフトビプロールなどのセファロスポリン系(第四世代)であってよい。
【0039】
抗菌剤は、クリンダマイシンやアジスロマイシンなどのリンコサミド系、あるいは、アジスロマイシン、クラリスロマイシン、ジリスロマイシン、エリスロマイシン、ロキシスロマイシン、トロレアンドマイシン、テリスロマイシンおよびスペクチノマイシンなどのマクロライド系であってよい。
【0040】
また、抗菌剤は、アズトレオナムなどのモノバクタム系、あるいは、フラゾリドンやニトロフラントインなどのニトロフラン系であってよい。
【0041】
抗菌剤は、アモキシシリン、アンピシリン、アズロシリン、カルベニシリン、クロキサシリン、ジクロキサシリン、フルクロキサシリン、メズロシリン、ナフシリン、オキサシリン、ペニシリンGやV、ピペラシリン、テモシリンおよびチカルシリンなどのペニシリン系であってよい。
【0042】
抗菌剤は、マフェニド、スルホンアミドクリソイジン、スルファセタミド、スルファジアジン、スルファジアジン銀、スルファメチゾール、スルファメトキサゾール、スルファニルアミド、スルファサラジン、スルフィソキサゾール、トリメトプリムおよびトリメトプリム−スルファメトキサゾール(コトリモキサゾール)(TMP−SMX)などのスルホンアミド系であってよい。
【0043】
抗菌剤は、シプロフロキサシン、エノキサシン、ガチフロキサシン、レボフロキサシン、ロメフロキサシン、モキシフロキサシン、ナリジクス酸、ノルフロキサシン、オフロキサシン、トロバフロキサシン、グレパフロキサシン、スパルフロキサシンおよびテマフロキサシンなどのキノロンであってよい。
【0044】
ある実施形態によれば、抗菌剤は、バシトラシン、コリスチンおよびポリミキシンBなどのポリペプチドであってよい。
【0045】
また、抗菌剤は、デメクロサイクリン、ドキシサイクリン、ミノサイクリンおよびオキシテトラサイクリンなどのテトラサイクリン系であってよい。
【0046】
あるいはまたはさらに、抗菌剤は、マイコバクテリアに対して有効であり得る。特に、抗菌剤は、クロファジミン、Lamprene、ダプソン、カプレオマイシン、シクロセリン、エタンブトール、エチオナミド、イソニアジド、ピラジナミド、リファンピシン、リファブチン、リファペンチンまたはストレプトマイシンであってよい。
【0047】
一般に、抗菌剤は、大腸菌およびクレブシエラ、特に緑膿菌のようなグラム陽性細菌またはグラム陰性細菌によって引き起こされる感染症の治療または予防に活性である。
【0048】
第二薬剤
第二薬剤は、分散剤および接着防止剤から選択されうる。特に、第二薬剤は、粘液溶解性分散剤および粘液溶解性接着防止剤から選択される。第二薬剤は、細菌コロニーの形成を阻害する任意の薬剤、特にバイオフィルム形成を阻害する任意の薬剤であってよい。例として、第二薬剤は、細菌の接着、疎水性または粘液産生を阻害しうる。
【0049】
本発明のある実施形態によると、第二薬剤はペプチドでない。
【0050】
「分散剤」なる用語は、細菌粒子を分散させることにより細菌コロニーの形成を阻害することができる任意の作用物質を含むことを意図したものである。特に、分散剤は細菌のバイオフィルムの粒子を分散しうる。分散剤は、細菌微生物によって生産されたスライム、バイオフィルムの一部を形成する粘液、例えばバイオフィルムの微生物が付着する細胞によって生産された粘液、およびバイオフィルムの微生物の分散を促進しうる。
【0051】
分散剤は粘液溶解剤であってよい。粘液溶解剤は、例えばDNase、アルギナーゼ、プロテアーゼ、またはカルボヒドラーゼなどの酵素でありうる。あるいは、粘液溶解剤は、小分子、例えばアミノチオールなどのアミンまたはエチレンジアミン四酢酸(EDTA)などの酸でありうる。アミンは、アセチルシステインおよびシステアミンから選択され得、好ましくはシステアミンでありうる。
【0052】
「接着防止剤」なる用語は、細胞間、タンパク質間、および生物間、例えば微生物間の付着を阻害して、それによって細菌コロニーの形成、特に細菌バイオフィルムの形成を予防するかまたはバイオフィルムの自己破壊を促進することができる、任意の薬剤を含むことを意図したものである。特に、接着防止剤は、微生物バイオフィルムに直面したすべての細胞型、特に遊離している生存微生物、すなわち浮遊性細胞の、表面または基質への付着を阻止しうる。接着防止剤には、限定はしないが、ヒアルロナン、ヘパリン、またはカーボポール934が含まれうる。
【0053】
第二の抗バイオフィルム剤は抗菌剤であってよい。抗菌剤は、粘液溶解剤、例えば、粘液溶解活性および抗菌活性の両方を有する粘液溶解剤であってよい。好ましくは、抗菌剤はシステアミンである。
【0054】
薬学的製造品
上述の活性作用物質は、自由なまたは固定された組み合わせで投与することができる。自由な組み合わせは、全ての活性作用物質を自由な組み合わせで含有する、組み合わせパッケージとして提供され得る。固定された組み合わせは、錠剤またはカプセルであることが多い。
【0055】
本発明の作用物質は、薬学的に許容される塩の形態で投与することができる。本発明の薬学的に許容される塩は、従来の化学的方法によって、塩基性または酸性の部分を含有する親化合物から合成することができる。通常、このような塩は、これらの化合物の遊離酸または遊離塩基の形態を、水もしくは有機溶媒またはこの2つの混合物内で、化学量論量の適切な塩基または酸と反応させることによって調製することができ、通常、エーテル、酢酸エチル、エタノール、イソプロパノール、またはアセトニトリルのような非水媒質が好ましい。適切な塩のリストは、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第17版、Mack Publishing Company、Easton、Pa.、US、1985年、1418頁において見られ、この開示は、参照することによって本明細書に組み込まれる。また、Stahlら編、「Handbook of Pharmaceutical Salts Properties Selection and Use」、Verlag Helvetica Chimica Acta and Wiley−VCH、2002年も参照されたい。「薬学的に許容される」という表現は、本明細書において、妥当な効果/リスク比に見合いながら、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく、ヒトまたは場合によっては動物の組織と接触させる使用に適した、化合物、材料、組成物、および/または投薬形態を指すために用いられる。
【0056】
したがって、本発明は、開示された化合物の薬学的に許容される塩を含み、親化合物は、その酸性または塩基性の塩、例えば、例えば無機または有機の酸または塩基から形成される従来の非毒性の塩または第4級アンモニウム塩を生じさせることにより、修飾される。このような酸付加塩の例には、酢酸塩、アジピン酸塩、アルギン酸塩、アスパラギン酸塩、安息香酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、重硫酸塩、酪酸塩、クエン酸塩、ショウノウ酸塩、カンファースルホン酸塩、シクロペンタンプロピオン酸塩、ジグルコン酸塩、ドデシル硫酸塩、エタンスルホン酸塩、フマル酸塩、グルコヘプタン酸塩、グリセロリン酸塩、ヘミ硫酸塩、ヘプタン酸塩、ヘキサン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、ヨウ化水素酸塩、2−ヒドロキシエタンスルホン酸塩、乳酸塩、マレイン酸塩、メタンスルホン酸塩、2−ナフタレンフルホン酸塩、ニコチン酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩、ペクチン酸塩、過硫酸塩、3−フェニルプロピオン酸塩、ピクリン酸塩、ピバル酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、酒石酸塩、チオシアン酸塩、トシル酸塩、およびウンデカン酸塩が含まれる。塩基性の塩には、アンモニウム塩、ナトリウム塩およびカリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩およびマグネシウム塩などのアルカリ土塁金属塩、ジシクロヘキシルアミン塩、N−メチル−D−グルカミンなどの有機塩基との塩、ならびにアルギニン、リシンなどのアミノ酸との塩が含まれる。また、塩基性の窒素含有基を、塩化メチル、塩化エチル、塩化プロピル、塩化ブチル、臭化メチル、臭化エチル、臭化プロピル、臭化ブチル、ヨウ化メチル、ヨウ化エチル、ヨウ化プロピル、およびヨウ化ブチルなどの低級ハロゲン化アルキル、硫酸ジメチル、硫酸ジエチル、硫酸ジブチルなどの硫酸ジアルキル、ならびに硫酸ジアミル、そして、塩化デシル、塩化ラウリル、塩化ミリスチル、塩化ステアリル、臭化デシル、臭化ラウリル、臭化ミリスチル、臭化ステアリル、ヨウ化デシル、ヨウ化ラウリル、ヨウ化ミリスチル、およびヨウ化ステアリルなどの長鎖ハロゲン化合物、臭化ベンジルおよび臭化フェネチルなどのハロゲン化アラルキルなどの作用物質で、4級化することができる。
【0057】
本発明の製造品
一実施形態によると、本発明の製造品の抗菌剤はペプチドを含まない。好適には、本発明の製造品はペプチドを含まない。
【0058】
好ましい製造品は、非ペプチド抗菌剤と分散剤、特にシステアミンなどの粘液溶解性分散剤を含む。
【0059】
本発明の製造品における抗菌剤と第二の薬剤との比は、1:10から10:1であり得、通常は少なくとも2:1、例えば少なくとも3:1または4:1であり得る。あるいは、本発明の製造品における抗菌剤の第二薬剤に対する比は、1:100〜1:2000、例えば1:500〜1:1000であり得る。一実施形態によると、抗菌剤の第二薬剤に対する比は、およそ1:1である。好ましくは、第一抗菌剤は非ペプチド抗菌剤であり、第二薬剤はシステアミンであり、製造品は、これら成分をおよそ2:1から4:1までの範囲で含む。さらなる実施形態によると、比はおよそ1:1であり得る。
【0060】
活性作用物質は、同時に、逐次的に、または個別に投与することができる。活性作用物質は、組み合わせパッケージとして提供され得る。組み合わせパッケージは、本発明の製造品と、活性作用物質のそれぞれを同時に、個別に、または逐次的に投与するための指示とを含有し得る。逐次的な投与では、活性作用物質は、任意の順序で投与することができる。
【0061】
本発明の製造品の活性作用物質は、1つまたは複数の薬学的に許容される希釈剤、賦形剤、および/または担体をさらに含有する薬学的組成物として提供されてもよい。これは、固定された組み合わせおよび自由な組み合わせの両方に適用される。
【0062】
本発明の活性作用物質は、当業者に知られている任意の適切な経路によって、好ましくはこのような経路に適した薬学的組成物の形態で、かつ意図した治療に有効な用量で投与することができる。活性化合物および活性組成物は、例えば、非経口的に、経口的に、鼻腔内に、気管支内に、経腸的に、経皮的に、舌下に、直腸に、膣に、眼に、または局所的に投与することができる。局部投与および全身投与の両方が考慮される。
【0063】
非経口投与(本明細書において用いられる「非経口」は、静脈内、筋肉内、経腸、腹腔内、胸骨内、皮下、および関節内への注射および点滴を含む投与態様を言い、そのうち静脈内(連続的な静脈内投与を含む)が最も好ましい)を目的として、水性プロピレングリコール内の溶液、および対応する水溶性塩の無菌水性溶液を用いることができる。このような水性溶液は、必要に応じて適切に緩衝化することができ、液体希釈剤はまず、十分な生理食塩水またはグルコースで等張にされる。これらの水性溶液は、静脈内、筋肉内、皮下、および腹腔内への注射という目的に特に適している。これに関して、用いられる無菌水性媒質は、全て、当業者に周知の標準的な技術によって容易に得ることができる。
【0064】
本発明の製造品はまた、鼻腔内に、または吸入によって投与することができ、適切な推進剤を使用してまたは使用せずに、加圧容器、ポンプ、スプレー、アトマイザー、ネブライザーから発せられる、乾燥粉末吸入剤またはエアロゾルスプレーの形態で都合良く送達される。
【0065】
あるいは、本発明の製造品は、坐剤もしくはペッサリーの形態で投与することができるか、または、ゲル、ヒドロゲル、ローション、溶液、クリーム、軟膏、もしくは粉末の形態で局所的に塗布することができる。本発明の製造品は、例えば皮膚パッチ、デポー、または皮下注射を用いて、皮膚に、または経皮的に投与することができる。これらはまた、肺経路または直腸経路によって投与することができる。
【0066】
経口投与では、薬学的組成物は、例えば、錠剤、カプセル、懸濁液、または液体の形態であり得る。薬学的組成物は、好ましくは、特定の量の活性成分を含有する投薬単位の形態で作製される。このような投薬単位の例は、ラクトース、マンニトール、コーンスターチ、またはジャガイモデンプンなどの従来の添加剤、結晶セルロース、セルロール誘導体、アカシア、コーンスターチ、またはゼラチンなどの結合剤、コーンスターチ、ジャガイモデンプン、またはカルボキシメチルセルロースナトリウムなどの崩壊剤、およびタルクまたはステアリン酸マグネシウムなどの潤滑剤を伴う、カプセル、錠剤、粉末、顆粒、または懸濁液である。活性成分はまた、組成物として注射することによって投与することができ、この組成物において、例えば生理食塩水、デキストロース、または水を適切な担体として用いることができる。
【0067】
本発明の製造品にはまた、経口製剤としての/経口製剤における適用があり、製造品は、例えば、フィルム、テープ、ゲル、ミクロスフェア、トローチ、チューインガム、歯磨き剤、およびマウスウォッシュから選択される担体内に製剤される。
【0068】
投与される、治療的に活性な化合物の量、および、本発明の化合物および/または組成物を用いて病状を治療するための投薬計画は、対象の年齢、体重、性別、および医学的状態、疾患の重症度、投与の経路および頻度、ならびに用いられる特定の化合物、ならびに治療される個体の薬物動態特性を含む様々な因子に依存し、したがって、広く変化し得る。投薬は通常、化合物が全身に投与される場合よりも局部に投与される場合に、また治療のためよりも予防のための場合に、より少なくなる。このような治療は、必要な度に、かつ医師によって必要であると判断された時間にわたり、投与することができる。当業者には、投薬計画または投与される阻害剤の治療上有効な量が各個人に最適化される必要があり得ることが理解されよう。薬学的組成物は、約0.1から2000mgの範囲、好ましくは約0.5から500mgの範囲、最も好ましくは約1から200mgの間の活性成分を含有し得る。体重1kg当たり約0.01から100mg、好ましくは体重1kg当たり約0.1から約50mgの間、最も好ましくは体重1kg当たり約1から20mgの1日用量が適切であり得る。1日用量は、1日当たり1から4回に分けて投与することができる。
【0069】
本発明の製造品は、好ましくは、気道に投与される。したがって、本発明はまた、本発明の製造品を含むエアロゾル状の薬学的製剤を提供する。また、本発明の製造品を含有する噴霧器または吸入剤も提供される。
【0070】
さらに、本発明の製造品は、持続放出投薬形態などとしての製剤に適している場合がある。製剤は、場合によって一定期間にわたり例えば腸管または気道の特定の部分で活性作用物質を放出するように構成され得る。コーティング、外皮、および保護マトリクスを、例えば、乳酸・グリコール酸共重合体、リポソーム、マイクロエマルジョン、微粒子、ナノ粒子、またはワックスなどのポリマー物質から作製することができる。これらのコーティング、外皮、および保護マトリクスは、例えばステント、カテーテル、腹膜透析管、排出デバイスなどの留置型デバイスを被覆するために有用である。
【0071】
本発明の製造品には、相乗的に有効な量の、本明細書において定義された各活性作用物質が含まれ得る。したがって、本発明には、相乗的に有効な量の(i)抗菌剤(非ペプチド抗菌剤であり得る)、(ii)典型的にはシステアミンである第二の薬剤を含む製造品が含まれる。製造品は、微生物の感染、例えば細菌感染の治療において前記作用物質を同時に、個別に、または逐次的に投与するための医薬品の製造において用いることができる。本明細書において用いられる「相乗的に」は、共に作用して、個別に用いられた作用物質の予想される組み合わせ効果よりも大きい効果をもたらす、本発明の製造品の2つ以上の作用物質の作用を説明し得る。
【0072】
本発明のさらなる態様において、本発明の製造品を塗布するかまたは接着させるための基質が提供される。好ましくは、基質は、創傷への塗布または創傷部位への送達に適している。好ましくは、基質によって、基質から創傷床への本発明の製造品の活性作用物質の運搬が可能になり、それらの抗菌効果が達成される。基質は、包帯、例えば創傷用の包帯であり得る。包帯は、布材料を含み得るか、または、コラーゲン様の材料であり得る。基質は、創傷への塗布に適した任意の形態であり得、典型的には、基質は、ヒドロゲル、コロイド、軟膏、クリーム、ゲル、フォーム、またはスプレーの形態であり得る。
【0073】
本発明の製造品にはまた、消毒剤または殺生物剤として/において、適用することができる。これに関連して、本発明の薬学的組成物は、単独で、または他の殺菌作用物質と組み合わせて、治療される表面に塗布することができる。本明細書において用いられる場合、「治療される表面」は、本明細書において定義される基質であってよく、医療用デバイスおよび留置型デバイス、例えば、ステント、カテーテル、腹膜透析管、排出デバイス、人工関節、歯科インプラントなどを含み得る。
【0074】
方法と使用
本発明は、細菌感染を治療または予防する方法を提供する。細菌感染は、典型的には、播種性感染、または特に肺などの粘膜豊富な環境におけるもの、例えば、CFに罹患している患者の肺または細菌関連の慢性閉塞性肺疾患(COPD)であってよい。本発明の方法は、本発明に係る製造品をその環境に投与する工程を含む。この方法は生体内または生体外であってよい。
【0075】
粘膜に富む環境において、トブラマイシン、コリスチン、ゲンタマイシンまたはシプロフロキサシンのような従来の抗生物質は、低粘膜環境である場合などには、同レベルの抗菌活性を示さない。驚くべきことに、抗生物質の抗菌活性は、システアミンのような接着阻害剤または分散剤の投与により増加する。
【0076】
有利には、この方法は、
・抗菌剤と、
・分散剤または接着阻害剤、好ましくはシステアミンである第二薬剤と
を投与する工程を含む。
【0077】
本発明の方法がCFに関連する細菌感染を治療するために使用される場合、抗菌剤は好ましくはトブラマイシン、コリスチン、ゲンタマイシンまたはシプロフロキサシンである。
【0078】
環境は、2以上の微生物、例えば、細菌と真菌、酵母、ウイルスおよび原生動物の何れか一による感染症を含む、任意の細菌感染を含み得る。
【0079】
細菌は、グラム陽性細菌またはグラム陰性細菌である。細菌病原体は、ブドウ球菌属、例えば黄色ブドウ球菌、表皮性ブドウ球菌;腸球菌属、例えばエンテロコッカス・フェカリス;化膿連鎖球菌;リステリア属;シュードモナス属;マイコバクテリア属、例えば結核菌;エンテロバクター属;カンピロバクター属;サルモネラ属;連鎖球菌属、例えば連鎖球菌グループAまたはB;肺炎連鎖球菌;ヘリコバクター属、例えばヘリコバクターピロリ;ナイセリア属、例えばナイセリア淋病、髄膜炎菌;ボレリアブルグドルフェリ;赤痢菌属、例えばシゲラ・フレックスネリ;大腸菌;ヘモフィルス属、例えばインフルエンザ桿菌;クラミジア属、例えばクラミジア・トラコマティス、クラミジア肺炎、オウム病クラミジア;フランシセラ・ツラレンシス;バチルス属、例えば炭疽菌;クロストリジウム属、例えばボツリヌス菌;エルシニア属、例えばペスト菌;梅毒トレポネーマ属;バークホルデリア属;例えば鼻疽菌および類鼻疽菌からなる群から選択される細菌種に由来し得る。
【0080】
特に、細菌には、シュードモナス属、例えば緑膿菌;ブドウ球菌属、例えば黄色ブドウ球菌や表皮性ブドウ球菌;ヘモフィルス属、例えばインフルエンザ桿菌;バークホルデリア属、例えばバークホルデリア・セパシア;連鎖球菌属、プロピオニバクテリウム属、例えばアクネ菌が含まれ得る。好ましくは、細菌は、シュードモナス属、例えば緑膿菌およびブドウ球菌属、例えば黄色ブドウ球菌や表皮性ブドウ球菌から選択される。
【0081】
本発明の方法は、限定はしないが家庭、職場、実験室、産業環境、水域環境(例えば、パイプラインシステム)、本明細書において定義されるような留置型デバイスを含む医療用デバイス、歯科機器または歯科インプラント、動物の身体、例えばヒトの身体を含む、様々な環境における細菌コロニー、特に細菌バイオフィルムの形成を最小化するため、好ましくは予防するために用いることができる。
【0082】
ゆえに、本発明の方法は、ヒトの歯または歯科インプラント、例えば義歯における、プラークまたはう蝕の形成を予防するために、口内で用いることができる。
【0083】
本発明の方法は、細菌コロニーの形成を予防または制限するために用いられてよい。本発明の方法は、局所的感染、口腔感染、および全身感染を含む細菌感染を予防または治療するために用いられ得る。局所的感染には、創傷、潰瘍、および病変、例えば切り傷または火傷などの皮膚創傷、ならびにそれに関連する症状が含まれ得る。
【0084】
口腔感染には、歯肉炎、歯周炎、および粘膜炎が含まれ得る。
【0085】
全身感染には、嚢胞性線維症、COPD、および粘膜感染に関連する他の症状、例えば胃腸、尿生殖器、または他の呼吸器感染が含まれ得る。
【0086】
本発明の別の態様は、治療上有効な量の本発明の製造品を哺乳動物に投与することによって、哺乳動物、特にヒトにおける細菌感染の進行を治療するか、予防するか、または遅らせる方法にある。
【0087】
「効果的な」量または「治療上有効な量」は、妥当な効果/リスク比に見合いながら、正しい医学的判断の範囲内で、過剰な毒性、刺激、アレルギー反応、または他の問題もしくは合併症を伴うことなく所望の効果をもたらすために十分な、1つまたは複数の活性物質の量を意味する。
【0088】
ゆえに、本発明の製造品は、皮膚および創傷感染、中耳感染、胃腸管感染、腹膜感染、尿生殖路感染、口腔軟組織感染、歯垢の形成、眼の感染(コンタクトレンズの汚染を含む)、心内膜炎、嚢胞性線維症における感染、ならびに本明細書において記載されるような留置型医療用デバイスの感染からなる群から選択される疾患または状態の予防、進行の予防、または治療において有用であり得る。
【0089】
また、本発明には、本発明の製造品を1つまたは複数の他の抗菌剤、例えば抗生物質と共に哺乳動物に投与する治療方法が含まれる。概して、本発明の製造品および本発明の任意の組成物は、任意のペプチドを含まない。
【0090】
本明細書において言及される活性作用物質は、例えば、遊離酸、遊離塩基、エステル、ならびに他のプロドラッグ、塩、および互変異性体などの異なる形態で存在してもよく、本発明は、作用物質のすべての異型を含む。
【0091】
本明細書の記載および特許請求の範囲の全体にわたり、文脈上別段の必要性がない限り、単数形は複数形を包含する。特に、不定冠詞が用いられる場合、明細書は、文脈上別段の必要性がない限り、複数形および単数形を考慮しているものと理解される。
【0092】
本発明の特定の態様、実施形態、または実施例に関連して記載される特性、整数、特徴、化合物、化学的部分、または基は、本明細書において記載されている任意の他の態様、実施形態、または実施例と矛盾しない限り、それらに適用可能であると理解される。
【0093】
本明細書の記載および特許請求の範囲の全体にわたり、「含む(comprise)」および「含有する」という語、ならびにこれらの語の変型、例えば「含んでいる(comprising)」および「含む(comprises)」は、「限定はしないが包含する」ことを意味し、他の部分、付加物、構成要素、整数、またはステップを排除することを意図したものではない(かつ、排除しない)。
【0094】
通常、「およそ」という用語は、この用語が適用される任意の数値の10%以下の範囲を包含することを意図したものである。
【0095】
本発明のさらなる態様および実施形態は、以下の記載および特許請求の範囲において説明される。
【0096】
以下、本発明を、以下の図面を参照して、例示としてのみ記載する。
【図面の簡単な説明】
【0097】
【
図1】シュードモナス属浮遊細胞に対する、別々にまたは組み合わせた形態で投与した場合のトブラマイシンおよびシステアミン(NM001)の抗菌活性の比較を示す。NM001は、浮遊細胞に対するトブラマイシンのMICを少なくとも4分の1に低減する(
図1b)。
【
図2】CF肺内で見つかった複製粘膜環境で培養された緑膿菌細胞に対する、単独またはシステアミンと組み合わせて投与した場合のトブラマイシンとシプロフロキサシンの抗菌活性の比較を示す。
【
図3】トブラマイシン単独、および非粘膜環境で培養した緑膿菌細胞に対するシステアミン(NM001)と組み合わせた場合、およびCF肺(NaClおよび/またはムチンの存在下)内で見つかった複製粘液環境で培養した場合の、活性の比較を示す。NM001は粘液環境における従来の抗生物質抗菌活性を回復させる。
【
図4】株化緑膿菌PAO1バイオフィルムに対するシステアミン単独およびブラマイシンとの組み合わせの抗菌活性を比較したヒストグラムを示す。用量反応試験により、株化緑膿菌PAO1バイオフィルムに対するシステアミンの最小バイオフィルム根絶濃度(MBEC)の同定とトブラマイシンとの相加的活性の定量が可能であった。システアミン単独のMBECは1000μg/mlであり、トブラマイシンは4μg/mlのMBECを示した。しかしながら、組み合わせた場合、500μg/mlのシステアミンと1μg/mlのトブラマイシンにより全バイオフィルムの根絶が得られた。したがって、このような組み合わせの分画阻害濃度(FIC)は0.75であり、これは2つの抗菌剤の間の相加性を示す。ゆえに、粘液溶解剤/抗菌剤であるシステアミンは従来の抗生物質の抗バイオフィルム活性を亢進する潜在性を有しており、抗菌薬耐性の蔓延と治療費の低下に関連があり得る。
【
図5】緑膿菌PAO1バイオフィルムに対するトブラマイシン(TOB)と組み合わせたシステアミン(NM001)のポスト抗菌効果のグラフを示す。
【
図6】システアミン(NM001)が多剤耐性バークホルデリア・セパシアNCTC10743に対するトブラマイシンの抗菌活性を亢進することを示すグラフを示す。システアミンとトブラマイシンの相加的抗菌活性もまた、多剤耐性株バークホルデリア・セパシアNCTC10743に対して確認された。トブラマイシンのMIC
100は16μg/mlよりも高かったのに対して、システアミンは500μg/mlでMIC
100を示した。共に組み合わせると、システアミンはトブラマイシンの活性を高めることができ、そのMIC
100は250μg/mlのシステアミンと組み合わせて0.25μg/mlであった。これは、0.51未満のFIC指標となり、これら二つの化合物の間に少なくとも相加的抗菌活性、場合により相乗効果を示す。
【
図7】嚢胞性線維症(CF)患者の肺に見られる、生理学的に適切な濃度での緑膿菌PAO1浮遊細胞に対するトブラマイシンとシステアミン単独および組み合わせの抗菌活性を示すヒストグラムを示す。システアミンの抗菌活性(MIC
100)を、通常条件(CLSI M7−A7法に記載されるとおり、付録1を参照のこと)下と、150mM 塩化ナトリウム(NaCl)、1.7mM 塩化カルシウム(CaCl
2)、1mg/ml DNAまたは1%(w/v)ブタ胃ムチンの存在下とで、96ウェルプレートにて3通り比較した。24時間にわたって細菌増殖を追跡し、ビオテックマイクロタイタープレート読み取り機を用いて625nmの吸光度を読み取った。NaCl、CaCl
2またはDNAの存在下では総細菌成長阻害が保持されており、ムチンの存在下では通常のMIC
100の2倍であった。トブラマイシン活性は、二価カチオンCa
2+の存在下および陰イオン性高分子DNAの存在下において阻害された。システアミンと組み合わせた場合、トブラマイシンの活性は、その通常のMICの4倍以下の濃度で試験したすべての条件下で保持された。
【
図8】他のジスルフィド結合撹乱物質と粘液溶解剤に対するシステアミンの粘液溶解活性を示すヒストグラムである。システアミンの粘液溶解活性は、処理後にムチン溶液の粘度を測定することにより、N−アセチルシステイン(Mucomyst(登録商標))、DNアーゼI(ドルナーゼアルファ(登録商標))、アルギン酸リアーゼおよびシステアミン塩酸塩などの他の粘液溶解剤と比較した。ブタ胃のムチン(Sigma−Aldrich, Gillingham, UK)は、滅菌精製水にて20%(w/v)に調製した。粘液溶解剤は、20%(w/v)のムチン溶液中に10mg/mlで調製した。ムチンの速度は粘液溶解剤に約5分曝露させた後に測定した。データは、独立した2通りの実験の平均値と標準偏差値を示す。
【
図9】緑膿菌PAO1バイオフィルムに対するトブラマイシンと組み合わせたシステアミン(NM001)のポスト抗菌作用を示すグラフである。これは、2つの異なる濃度のトブラマイシンと組み合わせたシステアミンの抗バイオフィルム活性を示すが、これらの化合物のポスト抗菌作用(PAE)もバイオフィルムの処理後の細菌増殖を追跡することによって決定した。
【
図10】トブラマイシンと組み合わせたシステアミン(NM001)にて処理した後の緑膿菌PAO1バイオフィルムの微生物代謝活性の阻害を示すグラフを示す。これは、処理後のバイオフィルムの代謝活性を示す。データは、システアミン単独およびトブラマイシンと組み合わせたシステアミンの抗バイオフィルム活性を示し、バイオフィルムの細菌増殖の遅延と代謝活性の低減によって示されるように顕著なPAEである。
【実施例】
【0098】
細菌コロニーに対する抗菌剤の活性
材料と方法
1.1 菌株
緑膿菌ATCC27853およびバークホルデリア・セパシアNCTC10743を本研究に用いた。表1および表2に示す、緑膿菌の他の菌株を使用した。
【0099】
1.2 抗微生物化合物の調製
この研究において試験された抗菌剤はシステアミン(NM001)、トブラマイシン、シプロフロキサシン、コリスチンおよびゲンタマイシンとした。これら作用物質は、Sigma−Aldrich(ギリンガム、英国)から入手し、ストック溶液を、14〜18MΩcmの純水中20mg/mlに調製した(Purite HP40水精製システム、Oxon、UK)。溶解した後、調製物を0.22μmのフィルター(Millipore、ウォトフォード、イングランド)を用いて濾過滅菌し、−20℃で保存した。
【0100】
1.3 細菌接種材料の調製
細菌接種材料は、CLSI M26−A法において記載されている0.5マクファーランド濁度標準にて標準化した、ミューラーヒントン(MH)培養液において活性に増殖している培養物の希釈法によって得た。
【0101】
1.4 最小阻害濃度(MIC)の決定
細菌接種材料と、構造的にシステアミンと関連する化合物を含む抗菌剤の両方をプレートに同時に添加した。プレートを37℃で24時間にわたりインキュベートし、光学密度をマイクロタイタープレート読み取り機(BioTek Powerwave XS、ウィヌースキ、米国)にて、625nmで読み取った。細菌増殖の完全な阻害を示す抗微生物の最低濃度として、MICを得た。
【0102】
緑膿菌に対するシステアミン誘導体の抗菌効果
システアミンに化学構造が関連する多数の化合物:シスタミン(塩酸塩)、タウリンおよび2,3−ジメルカプトコハク酸の抗菌活性を調べた。化学的にシステアミンに関連する他の化合物も知られているが、有毒であるのでこのような性質の薬に実用性はない。
【0103】
システアミン:
シスタミン:
タウリン:
2,3−ジメルカプトコハク酸
【0104】
1.5 生理学的に適切なイオン濃度でのMICの決定
高イオン濃度の存在下でのシステアミン(Lynovex(登録商標))の抗菌活性を測定するために、上記(1.4)と同様の方法を用いた。システアミンの抗菌活性(MIC
100)を、通常条件(CLSI M7−A7法に記載されるとおり)下と、150mM 塩化ナトリウム(NaCl)、1.7mM 塩化カルシウム(CaCl
2)、1mg/ml DNAまたは1%(w/v)ブタ胃ムチンの存在下とで、96ウェルプレートにて3通り比較した。24時間にわたって細菌増殖を追跡し、ビオテックマイクロタイタープレート読み取り機を用いて625nmの吸光度を読み取った。
【0105】
1.6 抗バイオフィルム活性の決定
抗バイオフィルム活性は、マイクロ流体BioFlux800フローセルシステム(Fluxion、サウスサンフランシスコ、米国)を用いて評価した。48ウェルBioFluxプレートのマイクロ流体チャネルに、ミューラーヒントン培養物中の緑膿菌PAO1の0.5マクファーランド同等接種物を接種した。この微生物細胞を37℃で約30分かけて接着させ、微小コロニーを形成させた。粘液溶解薬は、ミューラーヒントン培養液中1mg/mlに調製し、37℃で16時間、0.5Dyn/cm2の流量(53μl/hに相当)でマイクロ流体を流した。顕微鏡観察を行い、倒立AXIOVERT40顕微鏡を用いて100倍の倍率(Carl Zeiss、ウェリンガーデンシティー、英国)の写真を記録した。
【0106】
1.7 部分阻害濃度(FIC)の決定
FICは、抗菌剤の組み合わせが相乗的、相加的、拮抗的、または中立的であるかどうかを示す相互作用係数に対応する。FICは、以下のように、組み合わされた作用物質の活性(作用物質A+作用物質BのMIC)を、単独の作用物質の活性(作用物質Aまたは作用物質BのMIC)と比較することによって決定される(Singhら、2000年)。
FIC=MIC
A[併用]/MIC
A[単独]+MIC
B[併用]/MIC
B[単独]
【0107】
2つの抗菌剤の相加的な組み合わせは、1というFIC指標によって示され、一方、1未満のFIC指標は、相乗的な組み合わせを示す。中立的な組み合わせでは1から4の間のFICとなり、4を超えるFIC指標は、2つの抗菌剤の間での拮抗的な効果を示す。
【0108】
FICはまた、細菌試料に対する、組み合わされた2つの抗菌剤の相互作用を評価するために算出した。
【0109】
1.8 ポスト抗菌効果の決定(PAE)と代謝活性
PAEは、処置後、マイクロタイタープレートにおいて3通り、90μlの滅菌MH培養液に10μlのバイオフィルム培養物を移すことにより決定した。細菌増殖は、37℃で24時間バイオテックプレート読み取り機にて追跡した。バイオフィルムの処理後の微生物の代謝活性は、PAE決定のためと同様の方法を用い、蛍光細胞生存率指標であるレサズリン(アラマーブルー、Serotec)を10%(v/v)添加して決定した。このレサズリンは蛍光の増加により微生物の代謝活性の増大が検出される。蛍光は、バイオテックシナジーHTマイクロプレート読み取り機(BioTek、ウィヌースキ、米国)を用いて530/590nmで37℃、24時間にわたって測定した。
【0110】
1.9 粘液溶解活性の決定
システアミンの粘液溶解活性は、処理後にムチン溶液の粘度を測定することにより、N−アセチルシステイン(Mucomyst(登録商標))、DNアーゼI(ドルナーゼアルファ(登録商標))、アルギン酸リアーゼおよびシステアミン塩酸塩などの他の粘液溶解剤と比較した。ブタ胃のムチン(Sigma−Aldrich、ギリンガム、英国)は、滅菌精製水にて20%(w/v)に調製した。粘液溶解剤は、20%(w/v)のムチン溶液中10mg/mlに調製した。ムチンの速度は粘液溶解剤に約5分曝露させた後に測定した。
【0111】
2 結果
2.1 細菌コロニー形成の予防と治療
抗菌剤の濃度範囲は0〜10μg/mlであった。
【0112】
2.1.1 緑膿菌ATCC 27853に対する活性
トブラマイシンおよびシプロフロキサシンのMICは、単独投与と比較して、システアミンと共に投与すると大幅に低減した。この効果は、CF肺に見られた環境を模倣した環境において、現れた。
【0113】
この組み合わせのFICの決定は、抗菌剤が相乗効果(FIC=0.75)があることを示す。本発明の抗菌剤は相乗的に働き、抗菌効果の増強を提供する。粘液溶解環境にシステアミンと組み合わせて投与した場合に、トブラマイシンおよびシプロフロキサシンなどの従来の抗生物質の抗菌効果が維持された。
【0114】
2.2 表1:緑膿菌の選択分離株に対する、システアミン、システアミン塩酸塩およびN−アセチルシステインと従来の抗生物質であるコリスチン、シプロフロキサシン、トブラマイシンおよびゲンタマイシンとの組み合わせの分画阻止濃度指標
【表1】
【0115】
2.3 表2:選択した臨床上関連する緑膿菌の分離株に対する、システアミンおよび構造的に関連する化合物の抗菌効果。
【表2】
【0116】
すべての場合において、システアミンは関連化合物より高い抗菌効果を示したことから、有意な抗菌活性のためにはスルフヒドリルとアミン基の両方の性質が必要であることが示された。