(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
壁面に固定される長尺状の基台本体部を有する基台と、当該基台との組付けにより配線・配管材の収容空間を形成する長尺状の蓋体と、から成る長尺状の保護カバーであって、
前記基台は、前記基台本体部に設けられて、特定サイズの1本の第1配線・配管材を保持する第1保持部と、当該第1保持部で保持された第1配線・配管材に対して前記壁面と反対側に、特定サイズの1本の第2配線・配管材を保持する第2保持部とを備え、
前記基台は、前記第1及び第2の各配線・配管材を前記壁面に沿った方向に並列配管する場合よりも狭い幅を有し、
前記第1及び第2の各保持部は、その各収容空間が当該各保持部を形成する部材により分離された状態で、互いに一体となって設けられることで、二段配管が可能であることを特徴とする保護カバー。
前記第1及び第2の各保持部は、それぞれ別の開口を備えることで、前記第1及び第2の各配線・配管材の収容空間は、互いに連通せずに、独立して設けられていることを特徴とする請求項1に記載の保護カバー。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、複数の参考例と、同じく複数の実施例を挙げて、本発明を更に詳細に説明する。
【0023】
(参考例1)
最初に、
図1ないし
図5を参照して、本発明の参考例1の保護カバーC
1 について説明し、その後に、当該保護カバーC
1 を使用して4本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管する際の配管方法について説明する。
図1は、4本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管して収容保持可能な本発明の参考例1の保護カバーC
1 の分解斜視図であり、
図2は、同じく4本の配管材P
1 〜P
4 の収容保持状態の部分斜視図であり、
図3(a),(b)は、それぞれ異なる方向から見た保持具S
1 の斜視図であり、
図4は、保護カバーC
1 により4本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管して収容保持する途中の状態の断面図であり、
図5は、同じく収容保持された状態の断面図である。なお、図示の配管例では、壁表において各配管材P
1 〜P
4 が90°だけ屈曲され、しかも壁表から壁裏に向けて配管されている部分を示しており、壁表の屈曲部、及び壁裏への屈曲部において、それぞれ付属保護カバーC
01,C
02が使用されるが、本発明の特徴部は、付属保護カバーC
01,C
02の部分ではなくて、直状の保護カバーC
1 の部分に存在する。よって、直状の保護カバーC
1 について詳述し、付属保護カバーC
01,C
02の記述は、必要最小限に止める。
【0024】
直状の保護カバーC
1 は、本管を構成する給水管及び給湯管である2本の配管材P
1 ,P
2 を並列配管して収容可能な基台V
1 と、追焚用の2本の配管材P
3 ,P
4 を並列配管状態で保持可能であって、当該基台V
1 に並列配管して設けられた各第1保持部1の各内壁外側板部3の間に差し込まれる差込板部13を備えた保持具S
1 と、当該保持具S
1 の使用により二段並列配管された計4本の配管材P
1 〜P
4 を覆った状態で、前記基台V
1 に組み付けられる蓋体L
1 とから成る。
【0025】
保護カバーC
1 の基台V
1 は、2本の配管材P
1 ,P
2 を並列配管して保持可能な左右一対の第1保持部1が基台本体部2に設けられた構成である。第1保持部1は、外壁部W
1aと内壁部W
1bとによって形成される。また、内壁部W
1bは、二重壁構造となっていて、基台本体部2に一体に設けられた内壁外側板部3と、当該内壁外側板部3の先端部に連結板部4を介し接続された内壁本体部5とで構成され、当該内壁本体部5は、収容保持する配管材P
1 ,P
2 の外周面に倣っている。即ち、内壁本体部5の横断面形状は、収容保持する配管材P
1 ,P
2 の外径に対応する円弧状をなしていて、収容保持された配管材P
1 ,P
2 を連続して密着させる部分を有する。これに対して、外壁部W
1aは、高さ方向の中央部よりも僅かに基台本体部2の側にずれた部分に、内壁部W
1bと協働して保持される配管材P
1 ,P
2 を斜下方から保持する弾性変形可能な保持片6が設けられ、配管材P
1 ,P
2 は、外壁部W
1aの先端部と、当該外壁部W
1aに一体に設けられた前記保持片6と、前記内壁本体部5とで保持される。基台V
1 の各第1保持部1の開口7は、当該基台V
1 に保持具S
1 を取着した状態において、当該保持具S
1 の第2保持部11の側を向いている。また、基台V
1 の左右一対の第1保持部1を構成する各外壁部W
1aの基端部と基台本体部2との間には、当該基台V
1 に対して蓋体L
1 の組み付けを可能にするための嵌合溝8が設けられている。
【0026】
また、基台V
1 の各第1保持部1を形成する各内壁外側板部3は、前記保持具S
1 の差込板部13が挿入可能な間隔をおいて対向配置されていて、当該内壁外側板部3を形成する起立部3aには、差し込まれた前記保持具S
1 の差込板部13が抜け出るのを防止する複数本の抜出防止突条17が配管方向(直状の保護カバーC
1 の長手方向)に沿って設けられている。
【0027】
保持具S
1 は、追焚用の2本の配管材P
3 ,P
4 を並列配管させて保持可能な左右一対の第2保持部11を備えている。第2保持部11は、配管材P
3 ,P
4 の外径に対応する内径の円筒体の周方向の一部を欠落させて、弾性変形可能な構造になっていて、連結体部12を介して一体に連結され、当該連結体部12の幅方向の中央部における一対の第2保持部11が設けられた側と反対の側には、差込板部13が一体に設けられている。保持具S
1 は、当該差込板部13の延長線に対して対称な形状になっていて、一対の第2保持部11の各開口14は、当該保持具S
1 が前記差込板部13を介して基台V
1 に取着された状態で、第1保持部1の側(基台本体部2の側)を向いている。差込板部13の先端部は、他の一般部、及び基台V
1 の各内壁外側板部3の間隔よりも幅広に形成されていると共に、幅方向の中央部に弾性変形を助けるための溝15が形成された抜出防止部16が形成されており、差込板部13の両側面には、複数の抜出防止突条17が形成されている。また、左右一対の第2保持部11は、空間部を介して左右に並列配管され、長手方向の中央部において部分的に互いに直交する連結板部18,19により連結されていて、当該連結板部18は、保持具S
1 の差込板部13を基台V
1 の各内壁外側板部3の間に押し込んで差し込む際に押込み力を作用させられる部分として有効に機能する。
【0028】
蓋体L
1 は、
図4及び
図5に示されるように、左右一対の第1保持部1に2本の配管材P
1 ,P
2 が収容保持された基台V
1 に対して左右一対の第2保持部11に2本の配管材P
1 ,P
2 が収容保持された保持具S
1 を差込板部13を介して前記基台V
1 に取着させて、当該基台V
1 に二段並列状態で保持された計4本の配管材P
1 〜P
4 を覆って、当該基台V
1 に組み付けられる部材である。蓋体L
1 は、相対向する各側板部21が天板部22で連結されて、各側板部21の内側面における開口に臨む部分には、基台V
1 の嵌合溝8に対して嵌合可能な嵌合突部23が形成された構成である。また、蓋体L
1 の各側板部21及び天板部22の内側面には、連続して断熱材24が配置されていて、断面視において当該断熱材24の両端部は、前記嵌合突部23を内方に突設させることにより形成される収容凹部23a内に挿入されている。
【0029】
次に、
図1〜
図5を参照して、上記した直状の保護カバーC
1 を使用して、計4本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管する場合について説明する。壁面Kには、保護カバーC
1 の各基台V
1 が直交配置されて、各基台V
1 は、直交接続部において付属保護カバーC
01の基台V
01を介して接続されると共に、壁貫通部に近い側の基台V
1 には、壁貫通用の付属保護カバーC
02の基台V
02が接続されて、各基台V
1 ,V
01,V
02は、いずれも壁面Kに固定される。
図1に示されるように、本管である各配管材P
1 ,P
2 の屈曲部及び壁貫通部は、それぞれエルボ101,102で接続されている。全く同様に、追焚用の配管材P
3 ,P
4 の屈曲部及び壁貫通部は、それぞれエルボ103,104で接続されている。そして、追焚用の配管材P
3 ,P
4 に関しては、保持具S
1 を基台V
1 に取着させる前に、当該保持具S
1 に設けられた左右一対の第2保持部11を弾性変形させることにより、当該一対の第2保持部11に配管材P
3 ,P
4 が部分的に収容保持されて、互いに連結されている。
【0030】
最初に、エルボ101,102を介して連結された配管材P
1 ,P
2 を、それぞれ壁面Kに固定された基台V
1 の各第1保持部1の開口7から内部に押し込むと、当該第1保持部1を構成する外壁部W
1a及び内壁部W
1bがそれぞれ弾性変形することにより、前記開口7が拡開されて、当該外壁部W
1a及び内壁部W
1bで囲まれる空間部に配管材P
1 ,P
2 が収容されて、当該外壁部W
1a及び内壁部W
1bの各先端部、並びに保持片6が当該配管材P
1 ,P
2 の外周面に対して斜上方及び斜下方から弾接して、左右一対の第1保持部1に配管材P
1 ,P
2 が並列配管状態で保持される。
【0031】
次に、配管材P
3 ,P
4 の長手方向の一部が左右一対の第2保持部11に部分保持されることにより、当該配管材P
3 ,P
4 を互いに連結している保持具S
1 の差込板部13を、基台V
1 の左右一対の第1保持部1を形成する各内壁外側板部3の間の隙間に挿入させると、当該隙間を通過する際には、左右一対の外壁部W
1aの各内壁外側板部3が弾性変形して、当該各内壁外側板部3の間隔が拡げられることにより、前記差込板部13の先端の抜出防止部16の通過を許容し、当該抜出防止部16の通過後に、元の幅に復元することにより、基台V
1 に対して保持具S
1 は容易には抜け出なくなる。なお、外壁部W
1aの内壁外側板部3の弾性変形の程度によっては、前記差込板部13の先端の抜出防止部16の変形溝15の幅が狭められることと協働して、当該抜出防止部16の通過を許容する。基台V
1 の各内壁外側板部3の間の隙間に対する保持具S
1 の差込板部13の挿入は、当該保持具S
1 の連結板部18の部分に力を加えて押し込むことにより、容易に行える。これにより、
図2及び
図5に示されるように、基台V
1 に対して計4本の配管材P
1 〜P
4 が二段並列状態となって配管され、しかも当該配管状態において、基台V
1 の第1保持部1の開口7と、保持具S
1 の第2保持部11の開口14とは、互いに対向する関係になるために、配管後には、各配管材P
1 〜P
4 は、いずれも抜け出しが不能となる。よって、配管作業を安定して行える。また、基台V
1 の各内壁外側板部3の間の隙間に保持具S
1 の差込板部13を差し込むことにより、各第1保持部1の内壁部W
1bは、配管材P
1 ,P
2 の側に弾性変形させられるので、各第1保持部1による配管材P
1 ,P
2 の保持が一層確実となる。また、保持具S
1 の連結体部12は、左右の各第1保持部1の内壁部W
1bを構成する内壁外側板部3と内壁本体部5とを連結する各連結板部4の上面に載せられた状態で、各内壁本体部5の先端部の間に配置されるので、内壁部W
1bによる配管材P
1 ,P
2 の保持には影響を与えない。最後に、保護カバーC
1 の基台V
1 に対して蓋体L
1 を組み付けた後に、各蓋体L
1 の直交接続部に付属保護カバーC
01の蓋体L
01を覆蓋させると共に、付属保護カバーC
02の基台V
02に対して蓋体L
02を組み付ける。
【0032】
そして、
図5に示されるように、保護カバーC
1 の幅Uは、計4本の配線・配管材P
1 〜P
4 を並列配管する幅よりも遥かに狭くなっている。よって、「並列型保護カバー」により、2本の配線・配管材P
1 ,P
2 を並列配管させるスペースさえあれば、計4本の配線・配管材P
1 〜P
4 を並列配管させるスペースがない場合においても、二段配管により、計4本の配線・配管材P
1 〜P
4 を配管させられる。
【実施例1】
【0033】
次に、
図6及び
図7を参照して、本発明の実施例1の保護カバーC
2 について説明する。
図6は、2本の配管材P
1 ,P
3'を二段配管して収容保持可能な本発明の実施例1の保護カバーC
2 の分解斜視図であり、
図7(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P
1 ,P
3'を保護カバーC
2 に収容保持した状態において、長手方向に沿って異なる部分の断面図である。保護カバーC
2 は、長手方向の一部において保持壁部33の対向部が欠落された基台V
2 と、別の配管材P
3'が保持可能であって、前記基台V
2 に保持された配管材P
1 に取着される保持具S
2 と、前記基台V
2 に対して組み付けられる蓋体L
2 とから成る。
【0034】
基台V
2 は、基台本体部31に対して第1保持部32を構成する左右一対の保持壁部33が一体に設けられて、各保持壁部33には、長手方向に沿って所定間隔をおいて欠落部34が形成され、各保持壁部33の先端部の間に配管材P
1 を挿入する開口35が形成され、当該一対の保持壁部33の基端部と基台本体部31との間に嵌合溝36が形成された構成である。保持具S
2 は、2つのリング体が周方向の一部で一体に連結されて、各リング体における当該連結部37と対向する部分が、配管材P
1 ,P
3'を収容可能な大きさに欠落されて開口38a,38bがそれぞれ形成されていて、周方向の一部が欠落された前記リング体は、それぞれ配管材嵌着部39及び第2保持部41となっている。蓋体L
2 は、基台V
2 に組み付けられて、二段配管された2本の配管材P
1 ,P
3'を収容可能な空間部を形成すべく、所定間隔をおいて対向配置された各側板部42が天板部43で連結された構成であり、各側板部42の内側面における開口に臨む部分に嵌合突部44が形成されている。
【0035】
そして、基台V
2 の第1保持部32に配管材P
1 を収容保持した状態で、当該配管材P
1 における各保持壁部33の欠落部34の部分に保持具S
2 の配管材嵌着部39を嵌着させる。その後に、保持具S
2 の第2保持部41に別の配管材P
3'を嵌着させて保持させる。なお、保持具S
2 の第2保持部41に別の配管材P
3'を嵌着保持させた状態で、当該保持具S
2 の配管材嵌着部39を、基台V
2 に保持された配管材P
1 に嵌着させてもよい。最後に、基台V
2 に対して蓋体L
2 を組み付けると、当該組付けにより形成された空間部に、保持具S
2 を介して二段配管された2本の配管材P
1 ,P
3'が収容される。
【実施例2】
【0036】
次に、
図8及び
図9を参照にして、本発明の実施例2の保護カバーC
3 について説明する。
図8は、2本の配管材P
1 ,P
3 を二段配管して収容保持可能な本発明の実施例2の保護カバーC
3 の分解斜視図であり、
図9(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P
1 ,P
3 を二段配管した状態、及び蓋体L
3 を組み付けた状態の断面図である。なお、保護カバーC
3 を構成する基台V
3 は、前記保護カバーC
2 の基台V
2 に対して一部が異なるのみであり、蓋体L
3 は、前記保護カバーC
2 の蓋体L
2 と同一であるため、同一部分には同一又は同等の符号を使用する。保護カバーC
3 は、第1保持部32’を形成していて、先端部に外方にわん曲された基台側引掛け部33a’が設けられた保持壁部33’を備えた基台V
3 と、断面形状が逆U字状をなしている第2保持部45の各先端部に保持具側引掛け部46が形成された保持具S
3 と、蓋体L
3 とから成る。保持具S
3 は、断面逆U字状をなしていて、その内部空間に上段の配管材P
3 が収容保持される構成であって、全体が当該配管材P
3 を保持する第2保持部45となっていると共に、上段の配管材P
3 を挿入する開口47を備えている。
【0037】
基台V
3 の第1保持部32’に配管材P
1 を保持させた後に、当該配管材P
1 に対して上段の配管材P
3 を二段配管させておいて、配管材P
3 を保持具S
3 で覆った状態で、当該保持具S
3 の開口を拡開させた後に開放することにより、基台V
3 の基台側引掛け部33a’と保持具S
3 の保持具側引掛け部46とを互いに引っ掛けると、基台V
3 に対して上段の配管材P
3 が保持される。その後に、基台V
3 に対して蓋体L
3 を組み付けると、2本の配管材P
1 ,P
3 が二段配管状態で、基台V
3 と蓋体L
3 との組み付けにより形成される空間部に収容保持される。
【実施例3】
【0038】
次に、
図10を参照して、本発明の実施例3の保護カバーC
4 ,C
4'について説明する。
図10(a),(b)は、それぞれ2本の配管材P
1 ,P
3'を二段配管できる本発明の実施例3の保護カバーC
4 ,C
4'の断面図である。上記した保護カバーC
1 〜C
3 は、いずれも保持具S
1 〜S
3 を使用して、配管材を二段配管可能にしたものであって、当該保持具S
1 〜S
3 に第2保持部11,41,45が設けられていて、基台V
1 〜V
3 の第1保持部1,32,32’に保持される配管材の上方に配管される別の配管材を保持可能にしたものである。これに対して、保護カバーC
4 ,C
4'の第2保持部55,55’は、基台V
4 ,V
4'に一体に設けられている点が上記保護カバーC
1 〜C
3 と異なる。なお、保護カバーC
4 ,C
4'を構成する蓋体L
4 は、保護カバーC
3 の蓋体L
3 と同一である。
【0039】
図10(a)に示される保護カバーC
4 は、基台本体部51に、側方を向いた開口52を有する第1保持部53が一体に形成され、当該第1保持部53の上方に、反対の側方を向いた開口54を有する第2保持部55が一体に設けられている。第1保持部53は、基台本体部51とで周方向の一部が欠落されて開口52となった構成であって、基台本体部51を除く部分が弾性変形することにより、側方を向いた開口52から配管材P
1 を収容可能となっている。第2保持部55は、円筒体の周方向の一部が欠落されることにより、前記開口52と反対の側方を向いた開口54が形成されて、当該開口54が拡開されるように、円筒体の全体が弾性変形して、内部に配管材P
2 を収容可能にしている。保護カバーC
4 の基台V
4 に設けられた第1及び第2の各保持部53,55の各開口52,54が互いに反対の側方を向いているが、保護カバーC
4'の基台V
4'に設けられた第1及び第2の各保持部53,55’の各開口52,54’は、同一の側方を向いており、この点が保護カバーC
4 ,C
4'の唯一の相違点である。
【0040】
上記した各保護カバーC
4 ,C
4'は、いずれも第1及び第2の各保持部53,55(55’)がいずれも基台V
4 に一体に設けられていて、しかも第1及び第2の各保持部53,55(55’)の各開口52,54(54’)は、いずれも側方を向いているために、配管材P
1 ,P
3'を二段配管する場合に、上下のいずれの段を先に配管するための制約のない利点がある。
【0041】
また、参考例1の保護カバーC
1 は、4本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管する場合において、下段の第1保持部1の開口7と、保持具S
1 に形成された上段の第2保持部11の開口14とが対向配置された構成であって、配管後において、4本の配管材P
1 〜P
4 のいずれもが抜け出ない利点がある。しかし、参考例2〜4の保護カバーC
5 〜C
7 によっても、4本又は3本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管でき、更に、実施例4の保護カバーC
8 ,C
8'によれば、保持具を使用せずに、4本の配管材P
1,P
2,P
3', P
4'を二段並列配管できる。以下、参考例2〜4及び実施例6の保護カバーC
5 〜C
8 ,C
8'について順次説明する。
【0042】
(参考例2)
次に、
図11を参照して、本発明の参考例2の保護カバーC
5 について説明する。
図11(a)は、本発明の参考例2の保護カバーC
5 の保持具S
5 の斜視図であり、同(b)は、二段並列配管された4本の配管材P
1 〜P
4 が保護カバーC
5 に収容保持された状態の断面図である。なお、保護カバーC
5 を構成する基台V
5 及び蓋体L
5 は、いずれも前記保護カバーC
1 を構成する基台V
1 及び蓋体L
1 と同一であるので、当該基台V
1 及び蓋体L
1 の各部分に使用した符号と同一符号を使用し、重複説明を回避して図示のみ行う。保護カバーC
5 は、基台V
5 と、当該基台V
5 に組み付けられる蓋体L
5 と、当該基台V
5 に取着される保持具S
5 とから成る。保持具S
5 は、上段に配管される2本の配管材P
3 ,P
4 を保持する左右一対の第2保持部61が一体に連結されて、当該連結部に差込板部62が前記第2保持部61と反対側に設けられて、当該差込板部62の延長線に対して前記一対の第2保持部61が対称配置された構成である。一対の第2保持部61は、円筒体の周方向の一部を欠落させて、配管材P
3 ,P
4 を嵌入させる開口63が形成された構成であって、当該開口63は、基台V
5 に設けられた一対の第1保持部1の開口7と同一の方向である壁面Kと反対側を向いている。
【0043】
このため、基台V
5 の一対の第1保持部1に配管材P
1 ,P
2 を収容保持した後に、一対の第2保持部61にそれぞれ配管材P
3 ,P
4 を収容保持させた状態の保持具S
5 の差込板部62を、基台V
5 の各内壁外側板部3の間に差し込むことにより、当該保持具S
5 を基台V
5 に取着させると、基台V
5 に対して4本の配管材P
1 〜P
4 が二段並列配管される。また、保持具S
5 の一対の第2保持部61に形成された開口63は、壁面K又は基台本体部1と反対側を向いているので、上段の2本の配管材P
3 ,P
4 は、基台V
5 に保持具S
5 を取着させた後に、当該保持具S
5 の各第2保持部61に収容保持させることもできる。基台V
5 に対して計4本の配管材P
1 〜P
4 を上記のようにして二段並列配管した後に、当該基台V
5 に対して蓋体L
5 を組み付ける。
【0044】
(参考例3)
次に、
図12を参照して、本発明の参考例3の保護カバーC
6 について説明する。
図12(a)は、本発明の参考例3の保護カバーC
6 の保持具S
6 の斜視図であり、同(b)は、二段並列配管された4本の配管材P
1 〜P
4 が保護カバーC
6 に収容保持された状態の断面図である。保護カバーC
6 は、左右一対の第1保持部72を備えた基台V
6 と、当該基台V
6 に組み付けられる蓋体L
6 と、前記基台V
6 に取着される保持具S
6 とから成る。保護カバーC
6 の保持具S
6 は、保護カバーC
5 の保持具S
5 と同一である。基台V
6 の基台本体部71には、断面円弧状をした左右一対の第1保持部72が一体に形成され、各第1保持部72の基端部を構成する起立板部72aが基台本体部71に対して垂直に起立して形成され、当該起立板部72aに断面円弧状をしていて、弾性変形可能な保持板部72bが連結されることにより、各第1保持部72の各開口73は、いずれも側方を向いている。蓋体L
6 は、所定間隔をおいて対向配置された各側板部74が天板部75で連結されて、各側板部74の内側面における開口に臨む部分に、基台V
6 の幅方向の両端部に形成された嵌合溝76に嵌合される嵌合突部77が形成された構成である。
【0045】
このため、基台V
6 の第1保持部72の保持板部72bを弾性変形させることにより、第1保持部72の開口73を拡開させ、拡開状態の当該開口73から第1保持部72の内部に配管材P
1 (P
2 )を嵌め込んで保持させる。これにより、基台V
6 の一対の第1保持部72に2本の配管材P
1 ,P
2 が並列配管される。その後に、基台V
6 の各第1保持部72の各起立板部72aの間に、保持具S
6 の差込板部62を差し込んで、当該保持具S
6 を基台V
6 に取着させる。この状態で、保持具S
6 の各第2保持部61に上段の2本の配管材P
3 ,P
4 を保持させると、基台V
6 に計4本の配管材P
1 〜P
4 が二段並列配管される。最後に、基台V
6 に対して蓋体L
6 を組み付ける。なお、配管材P
3 ,P
4 の配管に際しては、基台V
6 に保持具S
6 を取着させた後に、当該保持具S
6 の各第2保持部61に配管材P
3 ,P
4 を保持させることが可能であるのは、前記保護カバーC
5 と同様である。
【0046】
(参考例4)
次に、
図13を参照して、本発明の参考例4の保護カバーC
7 について説明する。
図13(a)は、本発明の参考例4の保護カバーC
7 の保持具S
7 の斜視図であり、(b)は、二段並列配管された3本の配管材P
1 〜P
3 が保護カバーC
7 に収容保持された状態の断面図である。なお、保護カバーC
7 を構成する基台V
7 及び蓋体L
7 は、前記保護カバーC
6 の基台C
6 及び蓋体L
6 と同一である。保護カバーC
7 は、基台V
7 と、蓋体L
7 と、前記基台V
7 に取着される保持具S
7 とから成る。保持具S
7 は、単一の第2保持部61に差込板部62が一体に設けられた構成である。保持具S
7 は、差込板部62の延長線に対して対称であって、基台V
7 に取着した状態で、第2保持部61の開口63は、壁面K或いは基台本体部71と反対側を向いている。
【0047】
このため、基台V
7 の各第1保持部72に2本の配管材P
1 ,P
2 を並列配管させた後に、当該基台V
7 の各第1保持部72の各起立板部72aの間に、保持具S
7 の差込板部62を差し込んで、当該保持具S
7 を基台V
7 に取着させ、この状態で、当該保持具S
7 の第2保持部61に配管材P
3 を保持させると、下段の2本の配管材P
1 ,P
2 が並列配管された状態で、計3本の配管材P
1 〜P
3 が保持具S
7 を介して二段配管される。
【実施例4】
【0048】
次に、
図14を参照して、本発明の実施例4の保護カバーC
8 について説明する。
図14(a),(b)は、それぞれ4本の配管材P
1,P
2,P
3', P
4'を二段並列配管できる本発明の実施例4の保護カバーC
8 ,C
8'の断面図である。保護カバーC
8 は、4本の配管材P
1,P
2,P
3', P
4'を二段並列配管できる一対の第1保持部72及び一対の第2保持部78を備えた基台V
8 と、当該基台V
8 に組み付けられる蓋体L
8 とから成る。なお、蓋体L
8 は、保護カバーC
6 の蓋体L
6 と同一である。基台本体部71に左右一対の第1保持部72が一体に設けられた構成は、前記保護カバーC
6 の基台V
6 と同一であって、当該一対の第1保持部72の直上に左右一対の第2保持部78がそれぞれ一体に連結されている。一対の第2保持部78は、互いに分離されていて、その開口79は、下段の一対の第1保持部72の開口73と同様に横方向を向いている。
【0049】
このため、基台V
8 の一対の第1保持部72及び一対の第2保持部78に対して計4本の配管材P
1,P
2,P
3', P
4'を二段並列配管するには、各保持部72,78に対する配管材P
1,P
2,P
3', P
4'の保持(配管順序)は、全く制限なく行えるが、一般的には、下段の一対の第1保持部72に2本の配管材P
1 ,P
2 を保持させた後に、上段の一対の第2保持部78に残りの2本の配管材P
3', P
4'を保持させる。
【0050】
また、保護カバーC
8'は、前記保護カバーC
8 と全く同様に、4本の配管材P
1,P
2,P
3', P
4'を二段並列配管できるにもかかわらず、一対の第1保持部72’の基端部の起立板部が一体化されていると共に、一対の第2保持部78’が互いに連結されているために、上記した保護カバーC
8 に対して基台V
8'の幅を狭くできる利点がある。
【0051】
ここで、上記した「並列型保護カバー」を使用して、給水及び給湯用の2本の配管材が配管されている状態において、リフォームにより追焚用の2本の配管材を追加配管したい場合が発生する。この場合には、「並列型保護カバー」の基台を共用して、保持具、及び二段配管用の蓋体を別途使用することにより、上記した需要に対応可能となり、以下、単段配管から二段配管に変更する観点のみから、保護カバー装置C
9 ,C
9', C
9'',C
10について説明する。
【0052】
(参考例5)
最初に、
図15を参照して、単段配管から二段配管への変更を可能とする本発明の参考例5の保護カバー装置C
9 について説明する。
図15(a)は、それぞれ単段配管、及び二段配管における保護カバー装置C
9 を左右に配置した断面図である。なお、保護カバー装置C
9 を構成する基台V
9 及び蓋体L
9bは、保護カバーC
1 を構成する基台V
1 及び蓋体L
1 と同一であり、使用される保持具S
9 は、保護カバーC
5 を構成する保持具S
5 と同一である。保護カバー装置C
9 は、基台V
9 と、二段配管状態で当該基台V
9 に組み付けられる二段配管用の蓋体L
9bと、単段配管状態で当該基台V
9 に組み付けられる単段配管用の蓋体L
9aと、二段配管時に使用される保持具S
9 とから成る。なお、単段配管用の蓋体L
9aは、二段配管用の蓋体L
9bに対して高さのみが低くなった構成である。
【0053】
従って、
図15(a)の左図に示されるように、2本の配管材P
1 ,P
2 が単段並列配管されている状態において、保持具S
9 を使用すると、上段に別の2本の配管材P
3 ,P
4 を並列配管させて、全体として計4本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管できる。この状態で、単段配管用の蓋体L
9aに替えて、二段配管用の蓋体L
9bを基台V
9 に組み付けると、
図15(a)の右図に示されるように、追焚用の2本の配管材P
3 ,P
4 が追加配管されて、二段並列配管された計4本の配管材P
1 〜P
4 が、基台V
9 と蓋体L
9bとで形成される収容空間内に収容保持される。
【0054】
また、保護カバー装置C
9 は、壁面Kに設置した状態で、基台V
9 の嵌合溝8及び蓋体L
9a,L
9bの嵌合突部23が当該壁面Kに近接した部分に配置されて、蓋体L
9a,L
9bの開口端面が当該壁面Kに近接する構成であるので、当該壁面Kとの間に殆ど隙間が発生しないために、見栄えがよいと共に、設置状態において、蓋体L
9a,L
9bの開口端面と壁面Kとの間にシーラントを施すことにより、保護カバー装置C
9 の密閉が図られる利点がある。
【0055】
また、
図15(b),(c)に示される各保護カバー装置C
9' (C
9'')は、前記保護カバー装置C
9 に対して、基台V
9' (V
9'')と蓋体L
9a',L
9b'(L
9a'', L
9b'') との嵌合部の高さ位置が異なるのみである。
図15(b),(c)において、8’(8'')は、基台V
9' (V
9'')に設けられた嵌合溝を示し、23’(23'')は、蓋体L
9a',L
9b'(L
9a'', L
9b'') に設けられた嵌合突部を示す。なお、
図15は、断面図であるが、図面の煩雑化を回避するために断面表示していない。
【0056】
(参考例6)
また、
図16に示される本発明の参考例6の保護カバー装置C
10は、前記保護カバーC
6 を構成する基台V
6 及び蓋体L
6 と同一構成の基台V
10及び蓋体L
10b と、当該基台V
10に組み付けられる単段配管用の蓋体L
10a と、保持具S
10とから成る。
【0057】
保持具S
10は、
図16(a)に示されるように、両側方に開口81を有する一対の第2保持部82の反開口側の部分が一体に連結されて、一体連結された一対の第2保持部82の連結部に差込板部83が一体に連結されて、当該差込板部83に延長線に対して対称な形状となっている。また、単段配管用の蓋体L
10a は、二段配管用の蓋体L
10b に対して高さのみが低くなった構成である。このため、
図16(b)に示されるように、基台V
10に保持具S
10を取着して、計4本の配管材P
1 〜P
4 を二段並列配管して、当該基台V
10に対して二段配管用の蓋体L
10b を組み付けることにより、基台V
10を共用して、追焚用の2本の配管P
3 ,P
4 を追加配管できる。なお、保護カバー装置C
10と前記保護カバー装置C
9 とは、下段となる第1保持部72(1)の開口73(7)及び上段となる第2保持部82(61)の開口81(63)の各向きがそれぞれ異なる。なお、
図16(b)は、断面図であるが、図面の煩雑化の回避のために断面表示していない。
【0058】
また、上記参考例1〜6及び実施例1〜4では、いずれも下段の第1配線・配管材を収容保持するために第1保持部に設けられた開口と、上段の第2配線・配管材を収容保持するために第2保持部に設けられた開口とは、別に形成されていて、参考例1のように、配線・配管状態において、第1及び第2の各配線・配管材の各開口が対向配置される場合には、第1及び第2の配線・配管材がいずれも抜け出ない利点を有している。しかし、第1及び第2の各配線・配管材の開口が共通した一つである場合も本発明の参考例となる。具体的には、配線・配管材を保持するために基台に設けられる一対の壁部(保持片)を上段にまで達する高さとして、当該一対の壁部の各端部の間に単に一つの開口を形成することにより、二段配管される第1及び第2の各配線・配管材の収容空間を連通させて、共通の一つの開口から二段配管される第1及び第2の各配線・配管材を順次挿入する構成とすることも可能である。