特許第6483074号(P6483074)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483074遠心圧縮機を有するタービンエンジンの空気流を適合するための方法およびその実施のためのディフューザ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483074
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】遠心圧縮機を有するタービンエンジンの空気流を適合するための方法およびその実施のためのディフューザ
(51)【国際特許分類】
   F04D 29/46 20060101AFI20190304BHJP
   F02C 7/042 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   F04D29/46 G
   F04D29/46 J
   F02C7/042
【請求項の数】7
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2016-215929(P2016-215929)
(22)【出願日】2016年11月4日
(62)【分割の表示】特願2013-504319(P2013-504319)の分割
【原出願日】2011年4月13日
(65)【公開番号】特開2017-61936(P2017-61936A)
(43)【公開日】2017年3月30日
【審査請求日】2016年11月7日
(31)【優先権主張番号】1052827
(32)【優先日】2010年4月14日
(33)【優先権主張国】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516235451
【氏名又は名称】サフラン・ヘリコプター・エンジンズ
(74)【代理人】
【識別番号】110001173
【氏名又は名称】特許業務法人川口國際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ピエール・ビスカイ
(72)【発明者】
【氏名】パトリツク・マルコニ
(72)【発明者】
【氏名】ユベール・イポリツト・ビニオー
【審査官】 新井 浩士
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2010/101426(WO,A2)
【文献】 米国特許第05207559(US,A)
【文献】 特公昭46−43737(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F04D 29/46
F02C 7/042
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変ピッチのタービンエンジンのディフューザにして、可変ピッチブレード(24)を備えた第1の環状ブレードリング(G1)と、第1の環状ブレードリング(G1)と同じ数の、固定式ピッチブレード(28)を備えた第2の環状ブレードリング(G2)とを有し、2つの環状ブレードリング(G1、G2)のブレード(24、28)を半径方向延長部内で結合させることによって連続的な拡散チャネルを形成する、ディフューザであって、第1の環状ブレードリング(G1)の各可変ピッチブレード(24)が、可変ピッチブレード(24)の適正な回転を及ぼすように適合された駆動ロッド(30)によって駆動され、可変ピッチブレード(24)は、回転軸(X’X)に対して外れており、駆動ロッド(30)が、ボール継手受金具を有するレバー(33)と一体化され、ボール継手受金具は、動力軸(Y’Y)を中心に回転駆動するように適合された制御クラウン(34)の円筒状ハウジング(38)に収容されて、円筒状ハウジング(38)内で摺動し、ディフューザは、上流側フランジ(20)と下流側フランジ(22)の間に画定されており、駆動ロッド(30)は、上流側フランジ(20)の円筒状ボーリング(32)内に装着されていることを特徴とする、ディフューザ。
【請求項2】
各可変ピッチブレード(24)が、2つの向かい合うカップ(17、27)の間を、回転軸(X’X)と一致するカップの共通軸に対して平行にかつ中心を外して延びる、請求項1に記載のディフューザ。
【請求項3】
駆動ロッド(30)が、カップ(17、27)の軸方向位置決めのための調整用座金(30u)のための係止ピン(36)が中に挿入される少なくとも1つのオリフィス(30t)を有する、請求項1または2のいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項4】
円筒状ハウジング(38)が、レバー(33)のストロークに応じた深さを有し、円筒状ハウジング(38)の深さは、レバー(33)のストロークによって決まり、レバー(33)のストロークは、可変ピッチブレード(24)の回転角度に応じて変化する、請求項3に記載のディフューザ。
【請求項5】
各可変ピッチブレード(24)の前縁(24c)が、カップ(17、27)の周囲(17c、27c)の近くにあり、可変ピッチブレード(24)から回転軸(X’X)までの最短距離は、カップ(17、27)の半径の80%に等しい、請求項2から4までのいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項6】
第2の環状ブレードリング(G2)の固定式ブレード(28)の最大厚さが、第1の環状ブレードリング(G1)の可変ピッチブレード(24)の前縁(24c)の最大厚さよりも厚い、請求項1から5までのいずれか一項に記載のディフューザ。
【請求項7】
可変ピッチブレード(24)のピッチ角度が、+12°から−5°の間に含まれ、可変ピッチブレード(24)は、ピッチ角度が0°の状態を100%として、+12°のピッチ角度で開度50%のカラーセクション(Sa)を形成する一方、−5°のピッチ角度で開度120%のカラーセクション(Sc)を形成する、請求項1から6までのいずれか一項に記載のディフューザ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特にヘリコプタのタービンエンジンまたは補助パワー装置(略してAPU)の遠心圧縮機を備えるタービンエンジンにおける、流量または機械もしくは電気パワーの可変需要に合わせた空気流量の適合方法に関する。本発明はまた、そのような方法を実施するための可変ピッチブレードを装備したディフューザにも関する。
【0002】
本発明の範囲は、タービンエンジンにおけるガス圧縮であり、具体的には、タービンエンジンまたはAPUであれ、エンジン性能、特に部分的負荷の下でのその燃料消費率(略してCs)を考慮に入れるように圧縮空気流を適合させることである。
【0003】
この目的を考慮して、全般的な課題は、圧送マージンの必要性を満たし、タービンエンジンの中間速度における圧縮率の低下ならびにAPUの場合の圧縮空気流量および電気パワーに関する需要変動を未然に防ぐことである。
【背景技術】
【0004】
十分な圧送マージンは、タービンエンジンの運転ラインを低下させることによって得られ得ることが知られている。しかしながら、動力サイクル速度の低下は発生出力の悪化を招き、そこでそのような解決策は、高速を含む最大発生出力の下で圧縮機を作動させることを必要とする。
【0005】
また、入口誘導翼(略してIGV)を用いて形成された予回転リングを圧縮機の入口に導入することも知られている。しかし、この場合、圧縮率は、所与の回転速度に対して大きく低減される。
【0006】
そのような状態では、どのような負荷変動があっても、ほぼ最大の発生出力に留まりながら準一定の圧縮率で圧縮機を試運転し、作動させることが賢明である。
【0007】
単段圧縮機の分野では、可変ピッチブレード組立体を備えた半径方向ディフューザが存在する。そのようなディフューザは、たとえば、特許文献の米国特許第5207559号明細書または本出願人の名の下で出願された欧州特許第0589745号明細書で説明されている。これらのディフューザは、圧縮率またはその発生出力を大きく悪化させることなく、中間定格において圧縮機の流量/圧力比の特性をより少ない流量へと転じることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第5207559号明細書
【特許文献2】欧州特許第0589745号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
可変ピッチは、対象となる物理的パラメータ(回転速度、圧力、温度)に応じて、制御ユニットと関係付ける適切な制御によって得られる。しかしながら、制御システムが含まなければならないピッチ角度の範囲は、高いパワーの制御ジャックを必要とし、ディフューザの入口および出口の直径の大きな変更を招き、それによって、回転部分(シーブ)と静的部分(半径方向の可変ピッチディフューザ)の間に高い機械的バイアスを発生させる可能性があり、部分的負荷(中間定格)の下での発生出力が低下する。
【0010】
本発明は、特に、部分的負荷の下で動力サイクルのより良好な発生出力を伴って十分な圧送マージンを提供しながら、Csを大きく低減するように圧縮機の発生出力を維持することによってそのような欠点を未然に防ぐことを狙いとする。そのように行うために、本発明は、タービンエンジンの遠心圧縮機内の空気流の可変拡散のための最適化された方法を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
より正確には、本発明は、目的として、タービンエンジンの遠心圧縮機内の空気流の可変拡散のための方法であって、等価延長部を備えた固定式ピッチブレードを有する第2の環状ブレードリングに半径方向に隣接される、固定式と同じ数の可変ピッチブレードを備えた第1の環状ブレードリング内に空気の拡散をもたらし、2つのブレードリングのブレードを結合させることによって拡散を半径方向に誘導することであり、第1のブレードリングの各ブレードがブレードの距離を隔てて回転駆動される、方法を有する。「タービンエンジン」という表現は、特に、遠心単段圧縮機または遠心二段圧縮機を備えたヘリコプタのタービンエンジンおよび遠心単段圧縮機または遠心二段圧縮機を装備したAPUを意味する。
【0012】
これらの状態では、一方では、可変ピッチブレードの半径方向の延長部は、本物のブレードを備える固定式ブレードリングの存在によって大きく低減され、それによって、これらのピッチを変化させる応力、ならびに、固定式ブレードリングと支持フランジの間の隙間したがって上流側/下流側の再循環、を抑制することが可能にされ、それによって圧送ラインの低下および負荷損失を低減する効果を有する。他方では、可変ピッチブレードの回転軸の軸を外した装着は、そのような同じ拡散ブレードに対する半径方向の延長部の変動を大きく低減し、閉じる増加度がより小さくなり、それによって部分的負荷の下での発生出力が好転し、開く減少度もまたより小さくなり、それによってシーブ/ディフューザ相互作用による非定常の空気力学的変動に起因する機械的バイアスが抑制される。
【0013】
このとき十分な圧送マージンにより、タービンエンジンがどんな圧送状況でも、すなわち大きな加速能力をもたらしながら作動し、APUが、タービンエンジンの回転速度およびその圧力変化率をその公称値に近いレベルで維持し、十分な発生出力レベルをもたらしながら、排出弁に頼ることなく大きな負荷変動に立ち向かうことが可能になる。
【0014】
特定の形態によれば、パワータービンが装備されたタービンエンジンに適用する方法、すなわち上記で規定されたものなどの遠心圧縮機上の可変ピッチの半径方向拡散は、可変ピッチのパワータービン分配器に結合される。パワー生成は、いくつかの構成によって実施され得る:下流側熱交換を有するまたは有さない、軸方向または求心性タイプのフリーパワータービンまたは結合パワータービン。
【0015】
ディフューザと可変ピッチ分配器の間の結合により、運転ラインを流量の低下に適合させることが可能になり、それによって(より良好な圧力変化率で)動力サイクルの発生出力、したがってヘリコプタのタービンエンジンおよびAPUのCsが改善される。
【0016】
本発明はまた、上記で述べられた方法を実施することができる可変ピッチのタービンエンジンのディフューザ、ならびにそのようなディフューザを装備したタービンエンジンを提供することも狙いとする。ディフューザは、等価延長部の固定式ピッチブレードを備えた第2の環状ブレードリングによって半径方向に隣接される、可変ピッチブレードを備えた第1の環状ブレードリングを備える。さらに、第1のブレードリングの各ブレードは、回転軸に対して中心を外した各ブレードの適正な回転を及ぼすように適合された制御手段によって駆動される。
【0017】
特定の実施形態によれば、
各可変ピッチブレードは、2つの向かい合うカップの間を、回転軸と一致するカップの共通軸に対して平行に軸を外して延び、
各ブレードは、カップの軸方向位置決めのための調整用座金のための係止ピンが中に挿入される少なくとも1つのオリフィスを有する駆動ロッドに結合され、
ロッドは、円筒状ハウジング内で摺動するように適合されたレバーを動力軸を中心に回転駆動するように適合された制御クラウンの円筒状ハウジング(38)内に収容されたボール継手受金具を有するレバーと一体化され、
円筒状ハウジングは、それ自体がブレードの所定の回転間隔の関数である、レバーのストロークの関数である深さを有し、
各可変ピッチブレードの前縁は、カップの周囲近くにあり、ブレードから回転軸までの距離は半径の中間より大きいまたは等しく、
上流側ディフューザは、平滑な、すなわち翼を有さないディフューザであり、
シーブと可変ピッチブレードリングとの間に位置するディフューザの入口空気ストリームは、収束し、それによって性能が改善され、
第2のブレードリングの固定式ブレードは、入射変動を吸収するために第1のブレードリングのものより厚い前縁プロファイルを有し、
固定式ピッチブレードは、構造応力の通過を可能にするねじを渡すのに十分な厚さを有し、
固定式ブレードは、前縁と後縁の間に骨格角度の展開法則を有し、それによって固定式ブレードリング内の拡散を制御し、空気力学的効率を最適化することが可能になり、
固定式ブレードは、第1の可動式ブレードリングのブレードに対して、ディフューザの負荷損失を抑制するために第1のブレードリング内のブレードの吸引側で再度伴流を得るような方位にキー調整され、
可変ブレードのピッチ角度は、固定式ディフューザのものになり得る公称のキー調整に対して+12°から−5°の間に含まれる。
【0018】
本発明の他の特徴および利点は、添付の図を参照して以下の説明を読み取ることにより、より明確になるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明によるディフューザの半分の軸方向の部分的断面図である。
図2a】制御ロッドに回転式に結合された可変ピッチブレードの斜視図である。
図2b】制御ロッドに回転式に結合された可変ピッチブレードの斜視図である。
図3】本発明によるブレードリングが装備されたディフューザの上流側環状フランジの正面全体図である。
図4a】可動式ブレードの極限ピッチのディフューザにおける部分概略図である。
図4b】可動式ブレードの公称ピッチのディフューザにおける部分概略図である。
図4c】可動式ブレードの極限ピッチのディフューザにおける部分概略図である。
図5】可動式ブレードとディフューザの環状フランジとの間の隙間を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
用語「上流側」および「下流側」は、タービンエンジン内の空気流の方向に関連する。
【0021】
図1の部分的断面の軸方向の図を参照すれば、ターボ機械、タービンリアクタジェット、タービンプロペラまたはAPUなどのタービンエンジンの遠心圧縮機10は、動力シャフト18上に軸Y’Yにしたがって回転式に装着された、シーブ16、すなわち圧縮機の最後の遠心段を半径方向に覆うカバー14が結合されたケーシング12を備える。空気流Fは、シーブ16から環状ディフューザ19に向かって、半径方向の狭窄部によって収束する入口ストリームで循環する。ディフューザ19は、2つの上流側フランジ20と下流側フランジ22の間に画定される。カバー14は、ケーシングおよび上流側フランジ20に締め付けられた取付具23によって維持される。
【0022】
第1の環状ブレードリングを形成するブレード24は、ディフューザ19内に装着される。心出し部25および26は、ブレード24が軸を外して装着されるカップ17および27を収容するフランジ20および22と向かい合う。カップは、心出し部25内に挿入された座金9上に、図示される例では0.03から0.05mmの適合された隙間を有してフランジ20および22内で心出しされる(図5を参照して以下を参照のこと)。
【0023】
フランジ22と一体的であり、第1のブレードリングの外側を取り囲む第2の環状ブレードリングを形成するブレード28は、貫通孔29t内に収容されたねじ29によって環状フランジ20上に装着される。これらのねじはまた、構造応力の通過を可能にする。
【0024】
可変ブレード24の制御は、上流側カップ17を一体的に延ばすロッド30によって行われる。軸X’Xを有するこれらのロッド30は、上流側フランジ20の円筒状ボーリング32内に装着され、溝30g内に装着された継手30jによって外見上は隙間を有さずに心出しされる。端部では、各ロッド30は、駆動レバー33上に接合された平坦部分31を有し、駆動レバー33は、2つのねじ35によってそのような平坦部分31上に挟まれる。ロッド30の端部31の位置は、適合された隙間公差を有して調整される。ロッド30はまた、カップ17および27の軸方向位置を調整するための座金30uを、ケーシング12内に形成された係止リング12a内に係止するためにピン36が中に挿入されるオリフィス30tも有する。この目的のため、ピン36はロッド30および係止リング12aを一体的にする。
【0025】
作動においては、レバー33が制御クラウン34によって駆動され、制御クラウン34は、レバー33のボール継手受金具37を適合された軸方向の位置公差でボール継手の母線上に接して収容するための円筒状穴38を形成する。そのようにするために、制御クラウン34は、針ローラ軸受け39を有するセクタ上で心出しされる。ロッカーバー(図示されず)によって動力軸Y’Yを中心に回転するように置かれた制御クラウン34は、ボール継手37によって円筒状ハウジング38内で摺動するレバー33を回転駆動する。ハウジング38の深さは、それ自体ブレード24の回転間隔の関数である、レバー33のストロークによって決まる。そのような構造は、ブレード回転が、50%のセクションが閉じるセクションの場合の+12°まで、20%開くセクションの場合の−5°まで進むことができるように特に適合される。ロッド、したがってブレード24の位置角度は、これらの定格に対して適切な空気圧縮をもたらすパワー率の関数である。
【0026】
図2aおよび図2bを参照すれば、可動式ブレード24は、平行なカップ17、27の間に表され、溶接21によってこれらのカップと一体化しており、それにより、ブレードは向かい合うカップの軸X’Xに平行に延びる。ブレード24の前縁24cは、カップの外部円周17cおよび27cと同一平面にあり、ブレード24の厚さは極めて薄く、図示される例では約2mmである。さらに、ブレード24とロッド30の軸X’Xの間の距離は、図示される例ではカップの半径の約80%に等しい。これにより、ブレード24は、組立体の回転軸と一致するロッドの軸X’Xに対して中心が大きく外される。ロッド30はまた、円筒状の心出し溝30gおよびカップ17および27の軸方向位置決めの調整座金用の係止オリフィス30tも有する。ロッド30の平坦部分31は、制御レバーを装着するために使用されるねじ35用の受け入れ穴30aが渡されている。
【0027】
図3の全体図は、環状ブレードリングG1およびG2が装備された上流側環状フランジ20を示しており、これらのリングはそれぞれ、可動式および固定式に装着され、ブレード24および28を備えて形成される。
【0028】
ブレード28は、ブレード24のものよりかなり厚い前縁BAにおけるプロファイルを有し、これらはそれぞれ0.5および2.5mmであり、その結果、可動式ブレード24の回転の際の入射変動に対して良好な挙動を保つ。加えて、前縁BAと後縁BFの間のブレード28の骨格角度法則は展開的であり、それによって固定式ブレードリングの空気力学的効率を静圧の最大回収によって最適化することが可能になる。
【0029】
さらに、固定式ブレードリングのブレード28は、図示される例では7mmの最大厚さを有し、構造応力の通過を可能にしながら、ディフューザのフランジ20を穴29t内に収容されたねじで締め付けることを可能にする。
【0030】
空気流Fは、可動式ブレード24の半径方向延長部から固定式ブレード28に沿って、かつ可動式または固定式の、同じ性質の2つの隣り合うブレード間を循環する。可動式ブレード24はそのカップ17の回転軸X’Xに対して中心が外れているため、そのような可動式ブレード24によって形成された半径方向の延長部の変動は、心出しされたブレードが実施するはずである延長部の変動に比べて抑制される。この抑制は遠心圧縮機の性能を改善することができ、これにより、圧送ラインの運転ラインをより低い流量の方向にずらすことによってより遠くにし、運転のこのラインをより高い定格で発生出力の最大近くまで増大させることが可能になる。
【0031】
固定式ブレード28と向かい合う可動式ブレード24の半径方向の延長部が、図4aから図4cの概略図で示されており、これらの図上ではまた、ブレードのカップ17、27が点線で表されている。図4bを参照すると、0°の公称のキー調整は、固定式ブレード28に対する可動式ブレード24の調整が、安定した中間定格に適合されるための参照空気流ストリームFに対応する。
【0032】
小さい負荷需要では、可動式ブレード24のキー調整は、12°まで上昇させることができ、このキー調整は、カラーSbにおけるセクションに対応する公称のキー調整に対して50%閉じられた、ブレード24と28の間のカラーSaの入口における通過セクションに対応する。図4aは、6°のキー調整に関連付けられた25%の閉鎖の場合を示しており、カラーセクションはこのときセクションbの75%である。高い負荷需要では、キー調整はまた、−5°まで下がり得る。図4cは、2.5°の開度の場合を示しており、カラーセクションScはこのとき、110%の相対値を有する。
【0033】
固定式ブレード28は、第1の可動式ブレードリングG1のブレード24に対して、この第1のブレードリングG1のブレードの吸引側Ex上に再度伴流を得るような方位でキー調整される。
【0034】
固定ブレード28の存在によって限定されるブレード24の半径方向の延長部により、図5に示されるように、ブレード24のカップ17および27とフランジ20および22との間の隙間上で制御を保つことが可能になる。したがって、この例では、隙間値は、それぞれ0.02mm(J1またはJ2に関して)、0.10(J3に関して)、および0.25mm(J4に関して)より小さくまたはこれらと等しく維持する。座金9上のブレード24の隙間(J1およびJ2組立体)は、こうして僅かに大きい約0.03mmに維持する。
【0035】
本発明は、説明され表示された例に限定されない。たとえば、機械的な、個々にもしくは中心を揃えた調整のみによって、またはデジタル調整を有しもしくは有さない電気もしくは電子の制御のみによって可動式ブレードのキー調整を実行することが可能である。
図1
図2a
図2b
図3
図4a
図4b
図4c
図5