(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
図1A〜3は、本発明の例示的な実施形態による注入ポンプの駆動機構100を示している。形状において概ね円筒状であるため、駆動機構100は、近位端部102と、遠位端部104と、組合わせられたモータ及びギヤボックス(以下、「モータ106」と呼ぶ)と、を含み、この組合わせられたモータ及びギヤボックスは、ピストン110と係合するように構成された主ねじ108に動作可能に結合されている。駆動機構100の近位端部102は、例えばインスリンポンプなどの薬物送達装置のハウジングの内部表面(図示せず)に適合装着されている(すなわち、「遊動式」マウントを有する)。適合装着により、モータハウジングは、モータ起動中、高いモータトルクに反応してわずかに回ることができる。駆動機構100の遠位端部104は、薬物送達装置の薬物リザーバ112(又はカートリッジ)に摺動可能に挿入されるプランジャ111と係合するように構成されている。駆動機構100は、プランジャ111の移動軸と同軸に整合されており、つまり「直列」をなしている。本発明の例示的な実施形態と共に使用され得る薬物送達装置の実施形態が、
図4A及び4Bに示されている。
【0012】
ピストン110は、モータ106及び主ねじ108を受容する空洞113を含み、そのため、ピストン110が後退位置にあるとき、主ねじ108及びモータ106の少なくとも一部分は、ピストンの空洞113内に実質的に収容される。モータ106の少なくとも一部分はまた、ピストン110が後退位置にあるか延長位置にあるかにかかわらず、主ねじ108の空洞114内に実質的に収容されている。この実施形態において、モータ106の長さは、モータ106の直径よりも長い。モータ106の長さは約20ミリメートル〜約30ミリメートルであり、モータの直径は約5ミリメートル〜約10ミリメートルである。ピストン110、主ねじ108、及びモータ106のこの構成により、結果として、プランジャの移動軸に対して平行な従来のモータ構成よりも更に小型の薬物送達装置が得られる。
【0013】
ピストン110の外部表面116は更に、薬物送達装置のハウジングの内部表面にあるスロット(図示せず)と嵌合するキーイング機構118を含む。キーイング機構118は、駆動機構100の使用中にピストン110の回転を防止して、ピストン110が軸方向Aにのみ移動するようにする。
【0014】
モータ106は、駆動シャフト120に結合され、駆動シャフト120を駆動するが、この駆動シャフト120は、主ねじ108の第1の端部126の内部表面124にハブを介して結合されている。モータ106は、モータ装着スリーブ128内に収容され、少なくとも1本のドエルピン130によってモータ装着スリーブ128に取り付けられている。モータ装着スリーブ128は、薬物送達装置の内部表面に取り付けられたベースマウント132にキーイング(図示せず)されることによって、モータ106が回転するのを防止する。ベースマウント132は、モータ装着スリーブ128の近位端部134の近くでモータ装着スリーブ128を径方向に囲繞する。モータ装着スリーブ128とベースマウント132との間にある複数のリニア軸受136により、モータ装着スリーブ128は軸方向に「遊動」することができ、そのため、力覚センサ138は、例えば薬物を薬物リザーバから送達する注入ラインが塞がれたとき、モータ106にかかる負荷を感知することができる。力覚センサ138は、モータ装着スリーブ128の近位端部134で力覚センサ接点140に結合されている。
【0015】
主ねじ108は、ピストン110の雌ねじ144と嵌合する雄ねじ142を含む。主ねじ108の回転運動を可能にするラジアル軸受146が、主ねじ108の第2の端部150とモータ装着スリーブ128の外部表面152との間の空間148に含められてもよい。
【0016】
使用の際、モータ106によって発生したトルクが駆動シャフト120に伝達され、次いで駆動シャフト120が主ねじ108を回転させる。主ねじ108が回転すると、主ねじ108の雄ねじ142はピストン110の雌ねじ144と係合して、ピストン110を後退位置(
図1Bを参照)から延長位置(
図3を参照)へと軸方向Aに移動させる。ピストン110が後退位置から延長位置へと移動するとき、ピストン110の遠位端部はプランジャ111(
図2に示す)と係合し、その結果、薬物が薬物リザーバ又はカートリッジから送達されるようになる。
【0017】
図4A及び4Bを参照すると、本発明の実施形態で使用され得る薬物送達装置300及び400はそれぞれ、ハウジング302及び402と、操作情報をユーザーに提供するためのディスプレイ404(装置300には示されない)と、ユーザーが情報を入力するための複数のナビゲーションボタン306及び406と、電力を薬物送達装置300及び400に供給するためのバッテリコンパートメント内のバッテリ(図示せず)と、処理用電子機器(図示せず)と、薬物リザーバから、注入セット(図示せず)に接続されたサイドポート308及び408を通じて、ユーザーの身体へと薬物を押しやるための駆動機構100と、を含む。
【0018】
ここで
図5A〜5Cを参照すると、本発明の別の実施形態が示されている。駆動機構500は円筒状の形状であり、近位端部502と、遠位端部504と、主ねじ508に動作可能に結合されたモータ506と、を有し、主ねじ508はピストン510と係合するように構成されている。駆動機構500の近位端部502は、薬物送達装置のハウジングの内部表面(図示せず)に適合装着されている。駆動機構500の遠位端部504は、薬物送達装置の薬物リザーバに滑動可能に挿入されるプランジャ511と係合するように構成されている。駆動機構500は、プランジャの移動軸と同軸に整合されており、つまり「直列」をなしている。
【0019】
ピストン510は、モータ506及び主ねじ508を受容する空洞512を含み、そのため、ピストン510が後退位置にあるとき、主ねじ508及びモータ506は、ピストンの空洞512内に実質的に収容される。この実施形態において、ピストン510及び主ねじ508は、以下で更に詳細に説明するように、「伸縮式」構成を有している。ピストン510は、キャップ513と、第1の部材514と、第2の部材516と、を有する。キャップ513は、第1の部材514に固定されている。第1の部材514の内部表面519上にある少なくとも1本のスプライン517が、第2の部材516の外部表面上にある少なくとも1本の溝(図示せず)と嵌合する。少なくとも1本のスプライン517は第1の部材514の回転運動を防止し、それにより、第1の部材514は軸方向A’にのみ移動する。第2の部材516は、第1の部材514内に少なくとも部分的に滑動可能に挿入され、主ねじ508上の雄ねじ542と嵌合する雌ねじ544を含む。第2の部材516は、薬物送達装置ハウジングの内部表面上のスロット(図示せず)と嵌合するキーイング機構518(例えばフランジ)を近位端部上に含む。キーイング機構518は第2の部材の回転を防止し、その結果、第2の部材は軸方向A’にのみ移動する。
【0020】
駆動機構500のこの実施形態において、モータ506は、直径が長さよりも大きい「平坦な」モータである。モータの長さは約2ミリメートル〜約12ミリメートルであり、モータの直径は約10ミリメートル〜約15ミリメートルである。ピストン510、主ねじ508、及びモータ506のこの構成により、結果として、プランジャの移動軸に対して平行をなす通常のモータ構成と比べて、より小型の薬物送達装置が得られる。
【0021】
モータ506は、駆動ナット522に結合された駆動シャフト520を駆動させる。モータ506は、モータ装着スリーブ528内に収容され、モータ装着スリーブ528に取り付けられる。モータ装着スリーブ528は、薬物送達装置の内部表面に取り付けられたベースマウント532にキーイング(図示せず)されることによって、モータ506が回転するのを防止する。ベースマウント532は、モータ装着スリーブ528の近位端部534の近くでモータ装着スリーブ528の内側に入れ子にされる。モータ装着スリーブ528とベースマウント532との間にある複数のリニア軸受536により、モータ装着スリーブ528は軸方向に「遊動」することができ、そのため、力覚センサ538は、例えば薬物を薬物リザーバから送達する注入ラインが塞がれたとき、モータ506にかかる負荷を感知することができる。力覚センサ538は、モータ506の近位端部で力覚センサ接点540に結合されている。
【0022】
モータ装着スリーブ528の遠位端部535は、ピストン510が後退位置にあるとき、主ねじ508の第2の端部550に隣接して位置する。駆動シャフト520が駆動ナット522に連結するために、駆動シャフト520は、モータ装着スリーブ528の遠位端部535にある開口部552を通じて突出する。流体がモータ506と接触するのを防止するために、第1の運動用ラジアルシール554が駆動シャフト520とモータ装着スリーブ528との間に配置される。第1の運動用ラジアルシール554により、力覚のためにモータ装着スリーブ528が軸方向に移動することが可能となる。静止用ラジアルシール554は、例えばテフロンなどの低摩擦材料から形成され得る。
図5A及び5Bに示す実施形態において、駆動ナット522は、その長手方向の距離を、主ねじの空洞556内で第1の端部526から第2の端部550へと広げている。代替的な実施形態において、駆動ナット522は、距離の一部を、主ねじの空洞556内で第1の端部526から第2の端部550へと広げ、駆動シャフト520の長さはそれに応じて増大されている。
【0023】
また、流体がモータ506に到達するのを防止するために、運動用ラジアルシール558は、ベースマウント532とモータ装着スリーブ528との間に位置してもよい。運動用ラジアルシール558により、力覚のためにモータ装着スリーブ528が軸方向に移動することが可能となる。運動用ラジアルシール558は、例えばテフロンなどの低摩擦材料から形成され得る。
【0024】
駆動ナット522は、主ねじ508の雌ねじ562と嵌合する雄ねじ560を含む。主ねじ508はまた、ピストン510の第2の部材516の雌ねじ544と嵌合する雄ねじ542を含む。主ねじ508の回転を可能にするために、ラジアル軸受546が、主ねじ508の第1の端部526とピストン510の第1の部材514の内部表面との間の空間548に含められてもよい。
【0025】
使用の際、モータ506によって発生したトルクが駆動シャフト520に伝達され、次いで駆動シャフト520が主ねじ508を回転させる。主ねじ508が回転すると、駆動ナット522の雄ねじ560は主ねじ508の雌ねじ562と係合し、それにより、
図5Bに示すように、駆動ナット522上の第1のストッパ564が主ねじ508の第2の端部550の内部表面と係合されるまで、主ねじ508が第1の距離B1だけ軸方向に移動する。主ねじ508の第2の端部550付近の雄ねじ542はピストン510の第2の部材516の雌ねじ544と係合され、ピストン510は軸方向にしか移動し得ないため、ピストン510もまた第1の距離B1だけ移動する。次に、
図5Cに示すように、主ねじ508の雄ねじ542は、主ねじ508の外部表面上の第2のストッパ566が係合されるまで、ピストン510の第2の部材516の雌ねじ544と係合してピストン510を第2の距離B2だけ軸方向に移動させる。こうして、ピストン510は、後退位置(
図5Aを参照)から完全に延長(伸縮)した位置(
図5Cを参照)へと移動する。ピストン510が後退位置から延長位置へと移動するとき、ピストン510の遠位端部はプランジャ511と係合し、その結果、薬物が薬物リザーバ又はカートリッジから送達されるようになる。駆動機構500内の構成要素の雌ねじ及び雄ねじは同じピッチを有しているため、構成要素が軸方向に移動する順序は、駆動機構500の機能にとって重要ではない。
【0026】
図6A〜6Cは、本発明の更に別の実施形態を示している。駆動機構600は円筒状の形状であり、近位端部602と、遠位端部604と、主ねじ608に動作可能に結合されたモータ606と、を有し、主ねじ608はピストン610と係合するように構成されている。駆動機構600の近位端部602は、薬物送達装置のハウジングの内部表面(図示せず)に適合装着される。駆動機構600の遠位端部604は、薬物送達装置の薬物リザーバに滑動可能に挿入されるプランジャ(図示せず)と係合するように構成されている。駆動機構600は、プランジャの移動軸と同軸に整合されており、つまり「直列」をなしている。
【0027】
ピストン610は、モータ606及び主ねじ608を受容する空洞612を含み、そのため、ピストン610が後退位置にあるとき、主ねじ608及びモータ606は、ピストンの空洞612内に実質的に収容される。この実施形態において、ピストン610及び主ねじ608は、以下で更に詳細に説明するように、「伸縮式」構成を有している。ピストン610は、近位端部の近くに雌ねじ644を含み、雌ねじ644は、主ねじ608上の雄ねじ642と嵌合する。ピストン610は、近位端部の外部表面上にキーイング機構(図示せず)を更に含み、そのキーイング機構は、薬物送達装置ハウジングの内部表面上のスロット(図示せず)と嵌合する。キーイング機構はピストン610の回転を防止して、ピストン610が軸方向A’’にのみ移動するようにする。
【0028】
この実施形態において、モータ606は、直径が長さよりも大きい「平坦な」モータである。モータ606の長さは約2ミリメートル〜約12ミリメートルであり、モータ606の直径は約10ミリメートル〜約15ミリメートルである。ピストン610、主ねじ608、及びモータ606のこの構成により、結果として、プランジャの移動軸に対して平行な通常のモータ構成よりも更に小型の薬物送達装置が得られる。
【0029】
モータ606は駆動シャフト620に結合され、駆動シャフト620を駆動させる。駆動シャフト620は、駆動ナット622に、主ねじ608の第1の端部626の内部表面624に結合されている。モータ606は、モータ装着スリーブ628内に収容されており、これは、薬物送達装置の内部表面に固定されること(図示せず)によってモータ606が回転するのを防止する。モータ606とモータ装着スリーブ628との間に位置する複数のリニア軸受636により、モータ606は軸方向に「遊動」することができ、そのため、力覚センサ638は、例えば薬物を薬物リザーバから送達する注入ラインが塞がれたとき、モータ606にかかる負荷を感知することができる。力覚センサ638はモータ606の近位端部で力覚センサ接点640に結合されている。モータ606が付勢されて力覚センサ638から離れるように、ばね641がモータ606と薬物送達装置ハウジングとの間に任意に配置されてもよい。
【0030】
モータ装着スリーブ628の遠位端部635は、ピストン610が後退位置にあるとき、駆動ナット622の第2の端部646に隣接して位置する。駆動シャフト620が駆動ナット622に連結するために、駆動シャフト620は、モータ装着スリーブ628の遠位端部にある開口部652を通じて突出する。流体がモータ606と接触するのを防止するために、運動用ラジアルシール658が駆動シャフト620とモータ装着スリーブ628との間に配置される。運動用ラジアルシール658により、力覚のためにモータ装着スリーブ628が軸方向に移動することが可能となる。運動用ラジアルシール658は、例えばテフロンなどの低摩擦材料から形成される。
【0031】
駆動ナット622は、主ねじ608の雌ねじ662と嵌合する雄ねじ660を含む。使用の際、モータ606によって発生されたトルクが駆動シャフト620に伝達され、次いで駆動シャフト620が主ねじ608を回転させる。主ねじ608が回転すると、駆動ナット622の雄ねじ660は、主ねじ608の第1の端部626付近の雌ねじ662と係合し、それにより、
図6Bに示すように、主ねじ608の近位端部上の表面645が駆動ナット622の第2の端部646と係合するまで、主ねじ608は第1の距離C1を軸方向に移動する。主ねじ608の第2の端部650付近の雄ねじ642はピストン610の雌ねじ644と係合され、ピストン610は軸方向にしか移動し得ないため、ピストン610もまた第1の距離C1だけ軸方向に移動する。次に、主ねじ608の第2の端部650付近の雄ねじ642は、ピストン610の近位端部付近の雌ねじ644と係合して、
図6Cに示すように、主ねじ608の外部表面上のストッパ666が係合されるまで、ピストン610を第2の距離C2だけ軸方向に移動させる。こうして、ピストン610は、後退位置(
図6Aを参照)から完全に延長(伸縮)した位置(
図6Cを参照)へと移動する。ピストン610が後退位置から延長位置へと移動するとき、ピストン610の遠位端部はプランジャと係合し、その結果、薬物が薬物リザーバ又はカートリッジから送達されるようになる。駆動機構600内の構成要素の雌ねじ及び雄ねじは同じピッチを有しているため、構成要素が軸方向に移動する順序は、駆動機構600の機能にとって重要ではない。
【0032】
図6A〜6Cに示す伸縮式構成の利点は、ピストン610の長さが非伸縮式構成に対して約40%(又は
図6Aにおける距離C1)低減され得、結果として、より小型の薬物送達装置が得られることである。
【0033】
図1〜6Bに示すモータは、薬物送達装置の電子機器と協働してモータの回転数を監視することができるエンコーダ(図示せず)を任意に含んでもよい。このモータの回転数は、次いで、ピストンの位置を正確に判定し、したがって薬物リザーバから分配された流体の量に関する情報を提供するために用いられ得る。
【0034】
図7は、直列駆動機構を用いた本発明による注入装置を示す。この実施形態は、係留又は非係留のいずれかのハイブリッド装置として用いることができるようにアダプタを備えた直列注入ポンプに関する。多くのインスリンポンプが、皮下に薬物を送達するためにポンプ内のリザーバ又はカートリッジに取り付ける注入セットの使用を必要とする。かかる注入セットの例は、その全体が参照によって本明細書に組み込まれる、米国特許第6,572,586号に記載されているものである。
【0035】
一部の患者は、患者の注入ポンプを、注入セットのカニューレが皮下に挿入される注入部位から離れて配置することを好む場合がある。それらの患者は、注入セットを備える本願で開示される注入システムの使用を好むであろう。しかしながら、その他の患者は、注入セットの使用を避け、パッチ式(例えば非係留)注入ポンプを選択するであろう。この様式の注入ポンプの使用では注入セットは使用されず、使用者の皮下に挿入されたカニューレは、注入ポンプのカートリッジ又はリザーバから直接延伸する。非係留ポンプに典型的な装着型のパッチ式注入装置は、その全体が参照により本願に組み込まれる米国特許第8,109,912号で説明されている。
【0036】
注入装置700は、その内部に直列駆動機構、及びカートリッジ、リザーバ、ブラダ、又は薬物を貯蔵するためのその他の構造体を収容するハウジング715を含む。ハウジング715は、ハウジングに取り付けられた可撓性ウイング720、720’を含むが、これらは、装置700が装着される患者の身体上の場所に装置を適合させるシリコーンゴムなどの柔らかくしなやかな材料から作られる。装置700は、超音波溶接、レーザー溶接、又は化学結合剤などによってハウジング715に取り付けられ得る粘着パッチ705を用いて患者の身体に接着される。
【0037】
本発明のこの実施形態による装置は、一般的には1型糖尿病患者によって用いられるため、装置が基礎インスリンを送達するように構成されるとき、装置が様々なサイズの患者の身体(子供から成人まで)にしっかりと快適に接着するような構造を有することは有益である。可撓性ウイング720、720を装置700のいずれかの側面に使用することにより、装置700を身体の輪郭に対してよりしっかりと当てながら、一方で粘着パッチ705上の位置における応力を低減させることができる。これによって、運動、通常の活動(歩行、家事の実施など)、睡眠時の動作などのいずれを通じてに関わらず、患者が誤ってパッチポンプを取り外す可能性が減少する。更に患者は、半柔軟設計のハウジング715が、装置から鋭利な縁部又は角部が突出して刺激又は不快感を起こす可能性が最小化されるため、より快適であること見出すであろう。
【0038】
示される注入装置700は、係留式ポンプとして作動する能力を更に有し、これは、これは、注入装置700が注入セットを用いてポンプ700の流体放出口725を離れた位置の患者の皮下に挿入されるカニューレに接続することを意味する。あるいは、装置700は、装置の流体放出口725に直接取り付けられ、かつ装置700が粘着パッチ705を介して接着する患者の身体上の位置に近接した位置で患者の皮下に挿入されるカニューレを有する非係留式ポンプとして作動することもできる。
【0039】
装置700は、
図10A、10Bに示すように、注入セット又はカニューレに解放可能に取り付けられるキャッチタブ730、730’を撓ませるために用いられる指圧タブ750、750’を含む注入セット又はカニューレを受容するための受容機構710を含む。ガイドタブ735、735’は、カニューレアダプタ920(
図10B)を設置してカニューレを流体放出口725に確実に接続するのを助ける。
図10Aに示す通り、可撓性ウイング900を備えたハイブリッドポンプハウジングは注入セット910に取り付けられる。
図10Bでは、可撓性ウイング900を備えたハイブリッドポンプハウジングはカニューレアダプタ920に取り付けられる。
【0040】
図8に更に示される通り、受容機構710は、受容機構710をハウジング715に解放可能に固定するラッチタブ760を更に含み得る。
図8に解説的に示す実施形態では、受容機構710はハウジングインサート740に取り付けられる。
図9に解説的に示す通り、ハウジングインサート740は直列駆動機構760、又は蠕動ポンプ、マイクロエレクトリカルメカニカルポンプ(MEMS)、若しくは当該技術分野で既知のその他の駆動システムなどのその他の種類の流体ポンピング機構を含み得る。更に、ハウジングインサートは、流体放出口725と連通するための流体通路770、770’を有する薬物用リザーバ765を含み得る。一実施形態では、ハウジングのリザーバ765部分は、可撓性ウイング720、720’内に適合する可撓性ブラダを含む。あるいは、ハウジングインサート740は流体駆動機構760を含んでもよく、リザーバは可撓性ウイング720、720’内の空洞内に形成されてもよい。
【0041】
図11〜14は、患者によって制御される機械式駆動部を介してインスリンの送達を可能にするボーラス専用ポンプ(bolus only pump)を示す。他の純粋な機械式ポンプとは異なり、このシステムは少量の電子機器を組み込んで、RFリンク及び送達機構をロックアウトする手段を提供する。この実施形態では、ポンプはディスプレイ又は制御ボタンを有さない。このポンプは概して
図15に示す遠隔制御装置によって操作されるように構成されており、遠隔制御装置は、糖尿病患者が例えばインスリンの必要用量を決定するのを助けるSMBG(血糖自己測定器)を含み得る。本発明のこの実施形態による使用に適した遠隔制御装置は、いずれもその全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,449,523号及び同第8,444,595号でより詳細に説明される。
【0042】
本発明のこの実施形態によれば、患者がインスリンのボーラスを必要とする時、患者は入力キー1540を用いて遠隔制御装置1505(
図15)に量を入力する。量は、遠隔制御装置1505のハウジング1515上のディスプレイ1520上で確認できる。RFリンク1530を介してポンプ1510に接続された遠隔制御装置1505は、遠隔操作注入システム1500を形成する。遠隔制御装置1505は、ポンプに機械式駆動機構をアンロックするように命令するRF(無線周波)リンク1530を介してポンプ1510にメッセージを送る。本業界ではRFリンクが一般に用いられているが、Bluetooth(登録商標)、赤外線(IR)並びにその他の無線テレメトリの方法及びプロトコルなどを用いてもよい。
【0043】
続いて、患者は、所望の量の薬物を送達させるための所望のクリック音の数だけダイヤルを回す。ダイヤルの回転動作は直線運動に変換され、標準的な筒型カートリッジ内のプランジャを駆動させる(例えばダイヤルの1クリック音がインスリン1単位に等しい)。ポンプはクリック音の数を数えて適切な量の薬物が送達されることを確実にする。所望の量が達成されると、ロック機構が係合して薬物の更なる送達を不可能にする。患者が更なる薬物を必要とする場合は、患者は遠隔装置を介してそれを入力する必要がある。患者が所定の時間内に送達を完了しない場合は、患者の遠隔装置に警告が表示される。
【0044】
ボーラス専用の医療用注入装置1100がハウジング1120を有する、本発明の一実施形態を
図11に示す。ハウジング1120の遠位端部に位置するエンドキャップ1130が、薬物を収容するカートリッジをハウジング1120内に固定する。ハウジング1120の近位端部に位置するダイヤル1110によって、患者、使用者、又は医療提供者は、送達されるボーラスのサイズを手動で設定することが可能となる。
【0045】
図12は、ハウジング1120内に配置された従来型の筒型薬剤カートリッジ1140を備えるハウジング1120を示す。薬剤カートリッジは、水、水分、流体又は汚染物質がハウジング1120に侵入するのを最小化又はなくすために、ゴム製Oリング、ハウジングの遠位端部などの封止部材1220を含む場合がある。カートリッジ1140をハウジング1120内に保持するために、カートリッジキャップ1130をハウジング1120に取り外し可能に取り付けてもよい。代替的なカートリッジキャップが、その全体が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第8,361,050号でより詳細に説明される。
【0046】
カートリッジ1140はカートリッジ1140の筒穴に適合するプランジャ1170を含んで、プランジャ1170が前進するとカートリッジ1140から流体を放出させる。プランジャ1170を前進させるために、プッシャーロッド1160がプランジャ1170に対して付勢する。プッシャーロッド1160は、ねじ付きブッシング1190及び回転防止ガイド1180を含む。モータ1200は、ねじ付き軸(図示せず)をねじ付きブッシング1190内に押し込む。したがって、モータ1200がねじ付き軸を回転させると、ねじ付きブッシング1190がねじ付きブッシング1190を介してねじ付き軸のねじ山に従い、それによってプッシャーロッド1160を直線的に移動させ、プランジャ1170に対して付勢してカートリッジ1140から流体を放出させる。
【0047】
送達する薬物のボーラスのサイズを決定するために、注入装置1100はダイヤル1110を含む。ダイヤル1110を回すと、ダイヤル1110に依存しかつ制御ギヤ1210に接続している制御軸1230が制御ギヤ1210を回す。
図13に示されるように、ラチェット爪1240は制御ギヤ1210に係合して、ラチェット爪1240が制御ギヤ1210の傾斜歯部を通過する度に聞き取り可能な「クリック音」を生成する。各「クリック音」は、ボーラスに追加される1単位、1mLなどの、測定の一単位を示す。患者がダイヤル1110を「クリック音」が3回聞かれるまで回すと、ボーラスのサイズは、装置が作動した時に送達される3単位の流体など、装置の測定基本単位の3倍に設定される。
【0048】
ハウジング1120内で、ラチェット爪1240を保持するためにモータ1250及びばね1260が設けられる。
図14に示す通り、1つ又は複数のセンサ1270を制御ギヤ1210の周囲に配置して、制御ユニットに制御ギヤの正確な位置に関する情報を常に伝達することができる。
【0049】
注目すべきは、本発明のこの実施形態の装置が、装置1100のハウジング1120上に、又はこれらと一体化したいかなる制御ボタン、表示画面なども含まないことである。その代わりに、電源、マイクロプロセッサ又はマイクロコントローラ、及びテレメトリシステムが、モータ1250及び1200に必要な電子制御システム及び電力のために確保された空洞1150内のハウジング1120に含まれ得る。
【0050】
本発明のこの実施形態に適合する携帯型遠隔制御装置については前述した。この実施形態では、遠隔制御ユニットを用いて薬物の送達を作動させる。前述した通り、患者がインスリンのボーラスを必要とするときは、患者は遠隔装置にその量を入力する。この装置は、制御ギヤ1210からラチェット爪1240を係合解除することによって機械式駆動機構を解放するようにポンプに命令するRF(無線周波)リンクを介して、ポンプにメッセージを送る。これによって制御ギヤ1210が回る。
【0051】
モータ1200を必要としない一実施形態では、ラチェット爪1240が係合解除されて制御ギヤ1210を回転させた後、患者はダイヤル1110を所望の「クリック音」の数だけ回す。この実施形態では、制御ギヤ1210はねじ付きロッド(図示せず)に直接連結している。使用者がダイヤル1110を回すと、ねじ付きブッシング1190内のねじ付きロッドの回転によってプッシャーロッド1160が直線的に移動し、プランジャ1170をカートリッジ1140内に付勢して流体を放出させる。患者がダイヤル1110を対応する「クリック音」の数だけ回すことによって遠隔装置にプログラミングされた薬物の量が手動で送達されると、制御装置がモータ1250にラチェット爪1240を制御ギヤ1210と再係合させるよう指示することによってロック機構が係合して、更なる薬物の送達を不可能にする。患者が薬物の送達を所望する場合、患者は遠隔装置を介してそれを入力する必要がある。患者が所定の時間内に送達を完了しない場合は、患者の遠隔装置に警告が表示され、ロック機構が再係合する場合がある。
【0052】
多数の送達の後、カートリッジ1140内の薬物の供給量は枯渇する。カートリッジ1140が空になると、プランジャ1170がカートリッジ1140内に完全に延伸するため、ダイヤル1110をそれ以上回すことができなくなる。続いて、患者はダイヤル1110を反時計方向にストロークの開始位置まで回すことによって駆動機構を巻き戻す。図示していないが、クイックナット又はエデュケイテッドナット(educated nut)を加えてねじ付きロッドからねじ付きブッシング1190を迅速に解放させることにより、このプロセスを単純化かつ迅速化することができる。例えば、クイックナット上のボタンを押すとねじ山が解放され、ダイヤル1110を複数回回して開始地点へと戻すよりも迅速に駆動機構を後方に滑動させる。
【0053】
「急速解放」ボタンの少なくとも2つの実現が達成可能である。第1は、注入装置1100の一面に沿って露出したクイックナットのボタンを有する。ボタンはプランジャ1170のストロークと同じ長さのスロット内に置くことができる。巻き戻しが必要な時は、患者はボタンを押し込みながら同時にダイヤル1110に向かって滑動させる。一旦ボタンが解放されると、ねじ山は再係合する。第2の構成は、解放ボタンを送達ダイヤル1110の中央及び上面に有する。これはクイックナット上の解放ボタンを押すためにより複雑な機械的構造を必要とするが、装置への水又は水分の侵入をより容易に回避することができる。
【0054】
巻き戻しが完了すると、
図15に示すように、遠隔制御装置1505は、センサ1270によってシステムが定位置にあることを通知され得る。続いてシステム1500は、充填された薬物カートリッジが注入装置1000及び/又は1510に挿入された時に、駆動装置の開始位置に基づいて薬物の残量を算出することができる。更なる位置センサをハウジング1120内に追加してプランジャ1170位置のより優れた解像度を提供し、ひいてはカートリッジ1140内の薬物量に関してより優れた正確さを提供することができる。患者がどれだけのインスリンが残っているかを確認できるように、ハウジング1120に覗き窓を追加してもよい。
【0055】
同等の構造が本明細書に図示かつ記載される構造と置き換えられ得ること、また、記載された本発明の実施形態が特許出願される発明を実現させるために採用され得る唯一の構造ではないということが認識されるであろう。更に、上記全ての構造は機能を有し、このような構造はその機能を実行するための手段として見なされ得ることを理解されたい。以上、本発明の実施形態を図示し本明細書に説明したが、こうした実施形態はあくまで例として提供されるものであることは当業者には明らかであろう。当業者であれば、本発明から逸脱することなく多くの変形、変更、及び代用が想到されるであろう。
【0056】
本発明の実施に際して、本明細書に記載される実施形態の様々な代替例が用いられ得る点を理解されたい。以下の特許請求の範囲は本発明の範囲を規定することを目的としたものであり、特許請求の範囲に含まれる方法及び構造並びにそれらの均等物をこれによって網羅することを目的としたものである。
【0057】
〔実施の態様〕
(1) 医療用注入装置であって、
近位端部、遠位端部、及び内部の空洞を有するハウジングと、
前記空洞内に薬剤カートリッジを受容するための前記ハウジングの前記遠位端部の開口部であって、前記薬剤カートリッジが、開放された近位端部及びルアーに取り外し可能に接続するように構成された遠位端部を有する円筒状のハウジング、並びに前記円筒状のハウジングの前記近位端部に挿入するように構成されたプランジャを備える、開口部と、
前記プランジャを前記薬剤カートリッジの前記円筒状のハウジング内に付勢するように構成されたプッシャーロッドであって、前記プッシャーロッドが少なくとも1つの回転防止ガイド及びねじ付きブッシングを備える、プッシャーロッドと、
ねじ付き軸であって、前記ねじ付き軸が前記ねじ付きブッシングに螺着可能に係合することにより、前記ねじ付き軸が回転する時に前記プッシャーロッドの直線運動を引き起こすように構成された、ねじ付き軸と、
前記ねじ付き軸に機械的に連結した制御ギヤと、
前記制御ギヤに機械的に連結したダイヤルと、
ラチェット爪であって、前記ラチェット爪が係合した時に前記制御ギヤの回転を抑止するよう前記制御ギヤを解放可能に係合するように構成された、ラチェット爪と、を備え、
前記医療用注入装置と無線通信を行う遠隔制御装置によって前記ラチェット爪が解放可能に係合される、医療用注入装置。
(2) 前記ダイヤルを回転させるように、前記ラチェット爪が前記制御ギヤから取り外される、実施態様1に記載の医療用注入装置。
(3) 前記制御ギヤが、前記ダイヤルを個別の増分で回すことを可能にする傾斜歯部を備える、実施態様2に記載の医療用注入装置。
(4) 各個別の増分が、前記プッシャーロッドの個別の直線運動量に対応する、実施態様3に記載の医療用注入装置。
(5) 前記ラチェット爪と機械的に連結したモータ及びトーションばねを備える、実施態様4に記載の医療用注入装置。
【0058】
(6) 前記モータと電気通信するRF受信機を備えた、実施態様5に記載の医療用注入装置。
(7) 前記RF受信機とRF通信するように構成された遠隔制御装置を備える、実施態様6に記載の医療用注入装置。
(8) 前記遠隔制御装置が表示画面及び少なくとも1つのデータ入力キーを備える、実施態様7に記載の医療用注入装置。
(9) 前記制御ギヤ、前記プッシャー、及び前記プランジャのうちの少なくとも1つの位置を感知するための1つ又は複数のセンサを備える、実施態様1に記載の医療用注入装置。
(10) 使用者が、前記遠隔制御装置の前記少なくとも1つのデータ入力キーを用いて所望の用量を入力する、実施態様8に記載の医療用注入装置。
【0059】
(11) 前記遠隔制御装置上で入力される前記所望の用量に反応して前記制御装置が前記ラチェット爪を解放する、実施態様10に記載の医療用注入装置。
(12) 前記ダイヤルが、前記所望の用量と等しい個別の増分の数を回され得る、実施態様11に記載の医療用注入装置。
(13) 前記ダイヤルが、前記所望の用量と等しい前記個別の増分の数を回された後に、前記遠隔制御装置が前記ラチェット爪に係合する、実施態様12に記載の医療用注入装置。
(14) 前記プランジャが前記プッシャーによって前記薬剤カートリッジ内の所定の位置へと付勢された時に、前記少なくとも1つのセンサが前記遠隔制御装置にRF信号を送信するように構成される、実施態様13に記載の医療用注入装置。
(15) 前記ねじ付き軸が回転している時に前記回転防止ガイドが前記プッシャーロッドの回転を抑止する、実施態様1に記載の医療用注入装置。