(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記発泡コアを、複数の相互に連なった個々の部材の形で、連続式に引き抜き装置内へ案内し、かつ前記個々の部材を、接着、差し込み、又は連結部材の付加により互いに結合することを特徴とする、請求項1に記載の方法。
前記方法を、プルシェープ法として実施し、ここで、第1の型及び第2の型は同じ型であり、かつ前記型中で方法工程c)、d)及びe)を同時に実施することを特徴とする、請求項1から13までのいずれか1項に記載の方法。
【技術分野】
【0001】
本発明は、硬質発泡コア、特にPMI発泡コアで充填されている新規の繊維強化された異形素材の新規の製造方法に関する。特に、本発明は、2つのバリエーションの、プルプレス(Pul-Press)法及びプルシェープ(Pul-Shape)法で実施可能な新規の方法に関する。この場合、一つの製造工程で複雑な繊維強化され異形素材を連続式に製造し、かつ同時に硬質発泡コアで充填される。更に、同じ製造工程で硬質発泡コアと繊維強化された異形材料との極めて良好な結合が保証される。
【0002】
背景技術
先行技術によると、PMI発泡体で充填された中空体を、いわゆるインモールド(In-Mold)法を用いて製造することができる。この場合、仕上がった中空体を顆粒体で充填し、この顆粒体を引き続き熱によって発泡させ、かつその際に架橋させる。この方法の欠点は、複数の方法工程、つまり中空体の製造、顆粒体による充填及び発泡を必要とすることである。他の欠点は、PMIの比較的高い発泡温度に基づいて、炭素繊維とエポキシ樹脂との複合材料のような熱的に不安定な材料を使用できないことである。更に、発泡の際に生じる、発泡体と被覆層との結合は弱く形成されるだけである。このようなインモールド法は、例えばWO 2012/013393に記載されている。PUR発泡充填は、これとは別に、先行技術により液体として中空体に注入し、引き続き発泡させかつ硬化させる。しかしながら、この方法は、一方で、PMI発泡充填する記載された方法自体と同様の欠点を生じ、かつ更にPMIに転用できない。
【0003】
これとは別に、開放したシェル部材を裁断され発泡コアで充填し、引き続き、第2のシェル部材を、中空異形材の形成下で第1のシェル部材と接着又は溶接することができる。この発泡コアのより良好な結合のために、この界面に更に接着層を施すこともできる。この方法の欠点は、極めて長い時間がかかるプロセス工程を必要とし、最終生成物は接合箇所を有し、かつ発泡コアの製造の際にこの発泡コアの形に応じて大量の裁断廃材が生じかねないことである。
【0004】
WO 2012/052219に記載されているようなバリエーションの場合に、この発泡コアを織物材料、例えば炭素繊維と一緒に型中に導入し、かつ樹脂、例えばエポキシ樹脂をこの型中に注入し、かつ硬化させる。確かに、この場合に接合箇所は回避できるが、このために、この方法は、裁断、プロセス速度及び費用に関して、上述の方法と同様の欠点を示す。
【0005】
ドイツ語の「Strangziehverfahren」の名称でも知られている引き抜き(Pultrusion)法は、1950年代初頭に最初に開発された確立された方法である。この引き抜き法は、連続式に繊維強化されたプラスチック異形材、例えば中空異形材、特に管を製造するために使用される。本来は、この場合に複数のガラス繊維(ガラスロービング)を、ポリエステル樹脂又はエポキシ樹脂で含浸し、引き続き1つ以上の付形型によって最終形状にまとめる。引き続き、この樹脂を硬化させ、連続式に製造された異形材を個別のワークピースに鋸断する。
【0006】
この引き抜き法は、特に、最初の方法工程で複数の繊維又はロービングを樹脂で含浸する方法である。この場合、樹脂含浸を1つの含浸槽中で行い、この含浸槽を通過するように繊維を案内するいわゆる開放型引き抜き法と、樹脂による含浸を、本来の付形する器具内で初めて加圧下で行う閉鎖型引き抜き法とが区別される。一般に、この装置は、含浸の前に、例えばカーディンググリッド(Kadiergitter)のような装置を有し、このカーディンググリッドによって繊維は、後の付形のために必要な分配が行われ、場合により前方に配置されたロービングを個々の繊維に分割することができる。これとは別に又はロービング又は繊維に対して補足的に、不織布、織物及び/又は繊維配向体を繊維材料として使用することもできる。
【0007】
国際特許出願WO 2013/174665には、発泡コアと複合材外装とを備えた異形材を製造するいわゆるプルコア(Pul-Core)法が記載されている。しかしながら、この方法は、不変の、例えば管状の横断面の製造に制限される。複雑な形状、例えば最も簡単な場合には異形材素材における横断面の変化は、先行技術によると、時間のかかるハンドレイアップ(Hand-Layup)法又は不連続式RTM(Resin Transfer Molding)法によって実現できるだけである。
【0008】
課題
本発明の基礎となる課題は、特に、複雑な形状に対して又はワークピース中の横断面の変化に対しても適している、繊維強化された、例えばPMI発泡体のような硬質発泡材料で充填された異形材の新規の製造方法を提供することであった。
【0009】
特に、本発明の課題は、FKV(繊維−プラスチック−複合材)外皮と、硬質発泡コア、例えばP(M)I(ポリ(メタ)アクリルイミド)発泡コアとを備えたサンドイッチ構造の、複雑な異形材を、大量の生産個数で実現することができる方法を提供することであった。
【0010】
特に、この課題は、この方法が連続式に実施可能であるべきであることである。
【0011】
更に、本発明の課題は、発泡コアと外側の被覆層との間の極めて良好な結合を可能にする方法を提供することであった。更に、本発明による方法によって、PMIの発泡温度の場合であっても、熱的負荷に耐えることができない材料を被覆層として使用可能であるべきである。
【0012】
更に、課題は、この方法を、迅速に、少ない工程でかつ低コストで実施することであった。
【0013】
更に、本発明の課題は、a)中空異形材の被覆材料と硬質発泡コアとの間に接着層を有しない、b)接合箇所を有しない、及びc)被覆材料と硬質発泡コアとの間の良好な結合を示す、硬質発泡体で充填された新規の中空異形材を提供することであった。特に、この場合に課題は、被覆材料がポリマー樹脂で結合した繊維材料からなり、かつコアが硬質発泡コアからなり、ここでこの発泡コアの細孔サイズ、及びそれによる密度を柔軟に調節可能である中空異形材を提供することであった。
【0014】
他の課題は、この課題がこの箇所で明確に挙げられることがなくても、明細書、図面又は実施例から明らかとなることができる。
【0015】
解決手段
この課題は、硬質発泡コア、特にP(M)I発泡コア、好ましくはPMI発泡コアで充填された複雑な繊維強化された異形材を連続式に製造する新規の方法により解決される。この方法は、最初の方法工程では、PMIからなる発泡コアを中心に供給する引き抜き法であり、最後の方法工程では、むしろRTM法に類似するプロセスである。この場合、発泡コアの周囲に引き抜き法と同様の方法を用いて繊維材料を巻き付けるが、この繊維材料はここではまだ樹脂で含浸されていない。繊維材料と、熱可塑性樹脂又は熱硬化樹脂を形成する反応性樹脂であってもよい樹脂とからなる被覆層の形成のための樹脂による含浸は、好ましくは、この場合に、公知の引き抜き法とは反対に、発泡コアへの巻き付けの後に初めて行う。確かに、本発明の場合には、樹脂による繊維材料の含浸は、巻き付けの前に、例えば樹脂槽を通るように繊維を案内することによって行うこともできるが、この手法は、好ましい実施態様と比べて、付加的なプロセス工程を有するという欠点を示す。
【0016】
発泡コアで充填された、繊維強化された異形材を連続式に製造する本発明による方法は、次の方法工程を有する:
a) 発泡コアを導入し、かつ新たに導入する発泡コアを最後に導入した発泡コアの端部と結合する工程、
b) この発泡コアの周囲に繊維材料を巻き付ける工程、
c) 巻かれた繊維材料を樹脂で含浸する工程、
d) 場合により、この巻き付けられた発泡コアを第1の型中で成形する工程、
e) 加熱し、かつここで、場合によりこの樹脂を第2の型中で硬化させる工程、
f) この巻き付けられた発泡コアを第3の型中で冷却する工程、及び
g) 刃又は鋸で個々の異形材を分離し、仕上がったワークピースを取り出す工程。
【0017】
この場合、方法工程b)及びc)は、記載された順序で実施する必要はない。本発明の別の実施態様の場合には、繊維を、始めに含浸装置、例えば含浸浴に案内し、引き続き発泡コアの周りに巻き付けてもよい。
【0018】
この方法を連続式に運転するために、第2の型及び第3の型は、好ましくは可動台上で、それぞれ反対方向に往復運動しなければならない。この場合、2つの型は、できる限り同時にそれぞれの転換点に到達し、この到達の後に型はそれぞれ反対方向に動く。
【0019】
この2つの型の第1の転換点では、この2つの型は、この場合に互いに最も遠く離れている。この位置の場合に、好ましくは同時に、仕上がった異形材、若しくは、以後同じ意味で、ワークピースの第3の型からの取り出しが行われ、かつ繊維材料が巻き付けられた発泡コアの第2の型への収納が行われる。このために、2つの型は、この位置に到達する前の最後の行程で既に開放することができるか、又はこの期間では空になっている第2の型は、他方の転換点から開放したままでこの位置に走行することもできる。
【0020】
第2の転換点では、この2つの型は、互いに最も近い位置に達する。この位置で、加熱され、方法工程d)で成形された異形材の区分は、第2の型から第3の型内へ移送される。このために、2つの型は、この位置に達する前の最後の行程で既に開放することができるか、又はこの期間で空になっている第3の型は、他方の転換点から開放したままでこの位置に走行することもできる。
【0021】
この方法の間のエンドレス異形材の輸送のためには、複数の可能性が存在する。よって、エンドレス異形材は、ローラ又はフックによって、方法工程b)の前又は直後にスライドさせることができる。このエンドレス異形材を方法工程g)の前で相応する装置によって引き取ることも可能である。好ましくは、この輸送は、第2の型及び第3の型を介して、より詳細には、エンドレス異形材のちょうど1区分を含むそれぞれの型を介して行われる。しかしながら、このバリエーションの場合には、第2の型から第3の型へのエンドレス異形材の区分の移送を支援するための付加的な輸送メカニズムが必要となる。更に、多様なバリエーションの組み合わせも可能である。
【0022】
方法工程a)について:発泡コアは、繊維材料とは反対に、数百メートルの材料のロールで準備することができないため、この発泡コアは、好ましくは複数の相互に連なった個々の部材の形で連続式に装置内へ案内される。これは、手動で行われるか、又は特に長さが規格化された発泡部材で、自動的に行うことができる。この個々の部材を、次いで、好ましくは、接着、差し込み、又は連結部材の付け加えによって互いに結合する。差し込みの場合、この発泡コアに、このために相応する溝又は切欠が予め設けられていてもよい。接着の場合、相応する接着剤が急速に硬化することが重要である。面の一方への接着剤の被着は、連続式運転の際にもこのために手動で行うことができる。連結部材もまた、準備された発泡コア部材の両端の一方にそれぞれ予め設けられていてもよい。第2の発泡コア部材は、次いで簡単にこの連結部材内に運ばれる。これとは別に、2つのパーツからなる連結部材であってもよく、この連結部材は、発泡ワークピースの両端に相補的に存在し、例えば簡単な嵌め込み機構によって互いに結合することができる。
【0023】
方法工程b):方法工程b)で発泡コアの周りに巻き付ける適切な繊維材料の選択は、当業者にとって問題はない、というのも加工可能な繊維材料は確立された引き抜き技術から公知であるためである。好ましくはこの繊維材料は、炭素繊維、ガラス繊維、ポリマー繊維、特にアラミド繊維、紡織繊維であり、特に好ましくはアラミド繊維又は炭素繊維である。この繊維材料は、個別の繊維、ロービング又は不織布、織物及び/又は繊維配向体の形で使用することができる。好ましくは、繊維材料は、エンドレス繊維又はエンドレスロービングの形で使用される。
【0024】
繊維の輸送は、一般に、この装置の端部での、例えば無限軌道排出又は往復運動する液圧式のつかみ具によるエンドレス異形材の引き出しによって行われる。
【0025】
付形の際に、繊維を、発泡コアの周囲で加工方向に向かって相互に平行に整列させて配置することも可能である。しかしながら、好ましくは、繊維は、発泡コアの周囲で織物構造を形成する。この実施によって、後のワークピースの特別な機械強度が達成される。
【0026】
引き抜き法のいくつかのバリエーションが存在し、この引き抜き法のいくつかのバリエーションの観点から、いくつかは、付加的な発泡コア供給によって本発明による方法の方法工程b)に転用可能である。
【0027】
プルワインディング(Pul-winding)法は、基本的な引き抜き法に似ている。しかしながら、このプロセスの場合に、強化繊維は回転する巻き付け装置によって多様な角度で、マトリックスで覆われ、引き続き付形する型内で硬化される。この技術によって、管、ロッド又は他の異形材に関して特に高い負荷の要求を満たすことができる。この方法は、多様な回転角で設計することができる。この角度は、一般に0°〜85°に調節可能である。発泡コアは、この場合、樹脂で含浸された繊維材料によって取り囲まれ、かつこの材料が巻き付けられる。
【0028】
プルブレーディング(Pul-Braiding)法は、プルワインディング法のバリエーションであり、この場合、複数の多様な層の繊維材料を編み構造に加工することが可能である。
【0029】
プルプリフォーミング(Pul-preforming)法は、異形材に必要な特性を付与するために、繊維材料から予め作製したプリフォームを使用する。これにより、特に多方向性の高い強度値が生じる。プリフォームとは、この場合、定義された織物、繊維配向体、チューブ又は他の予め製造された乾燥プリフォームであると解釈され、これらは、連続式プロセスで、浸漬含浸又は注入によってマトリックス材料で結合される。この方法のバリエーションの場合に、発泡コアは、プロフォームの製造の際に導入されていてもよい。樹脂による含浸は、発泡コアを含むプリフォームに相応して行われる。PMI発泡材料の閉鎖した細孔構造により、外側の面にだけ存在する開放した細孔が樹脂で満たされる。
【0030】
方法工程c)では、樹脂による含浸が行われる。後に、異形材の繊維−プラスチック複合材シェルのマトリックス材料を形成する樹脂として、その都度、引き抜き法に適した熱可塑性材料、又は架橋後には熱硬化性樹脂に反応可能な樹脂を使用することができる。上述の、熱硬化性樹脂に反応可能な樹脂が好ましい。特に、これは、ポリエステル樹脂、ビニルエステル樹脂、フェノール樹脂、PU樹脂又はエポキシ樹脂であり、特に好ましくはPU樹脂又はエポキシ樹脂である。
【0031】
方法工程d):樹脂による含浸の後又は含浸と同時に、方法工程d)では、異形材の付形を、例えば連続式の熱成形(Thermoshaping)により行うことができる。この付形は、例えば1つ以上の型スリーブを用いて行うことができる。特に、この付形は、RTM法と同様にプレス型中で行われる。このため、このプレス工程のために、その他の点で連続式に実施される、エンドレスの発泡コアの輸送、並びに繊維材料による被覆は、プレス型が閉鎖されている間は、短時間停止することができる。本発明の場合に、この発泡コア材料は、この場合に、繊維材料により完全に取り囲まれる。更に、プレス型を用いて、樹脂含浸された繊維材料による発泡コアの完全な又はほぼ完全な取り囲みが形成されるように、エンドレス発泡コア部材のプレスされた区分の端部が樹脂含浸された繊維巻き付け部と一緒に圧縮されることが好ましい。付形のための温度は、特に使用された樹脂系に依存する。エポキシ樹脂のためには、この温度は、例えば好ましくは20〜100℃、特に好ましくは50〜80℃である。
【0032】
この付形の大きな利点は、連続式に行うことができ、かつ何よりも区分に分けられたエンドレス異形材が得られることである。このエンドレス異形材は、装置の終端で、方法工程g)において、所望の長さを有する個別のワークピースに全自動的に分離される。
【0033】
方法工程e):方法工程d)と並行して又は方法工程d)に引き続いて、型中で(方法工程d)に引き続く場合には第2の型中で)、方法工程a)〜b)又はc)で形成された粗製異形材の加熱が行われる。熱硬化性に硬化する樹脂の場合には、それにより、被覆材料の硬化が行われ、それによりワークピースに付与された形状の固定が行われる。補強材料とも言うことができる樹脂の硬化は、この場合一般に熱により行われる。付形型中でこのために使用される温度は、その都度使用される樹脂に依存し、かつ当業者にとって容易に探し出すことができる。一般に、このような温度は100〜300℃にある。均質に硬化したワークピースを保証するために、ここでは、型内の均一な温度分布に留意しなければならない。
【0034】
第2の型は、ここでは、強化する付形に対して又は付加的な付形に対して更に、相応する付形により、内面成形を利用することができる。
【0035】
この樹脂が、後の熱硬化性樹脂ではなく、熱可塑性材料である場合には、これとは別に、この樹脂を、方法工程c)において、溶融温度又はガラス転移温度を越えて繊維に施し、この「硬化」は方法工程f)で初めて冷却しながら行うことも可能である。
【0036】
方法工程f):付形のための第1の型及び加熱のための第2の型の後に、仕上がった中空異形材の冷却のための第3の型が続く。理想的な場合に、この第3の型の内側も、この第3の型に入れられる異形材の付形された区分の形状に象られていてもよい。熱可塑性樹脂の場合には、ここで、被覆層の硬化も行われる。冷却のために、空気、水又は他の冷媒を含む型ジャケットが存在してもよい。この冷却は、一般に、0〜120℃、好ましくは10〜50℃、特に好ましくは20〜30℃の温度で行われる。
【0037】
方法工程g):個々の異形材の分離は、刃又は鋸によって行われる。好ましい実施態様の場合に、この分離は、付形のためにエンドレス異形材の輸送を短時間停止する場合に、方法工程d)での他の異形材区分の付形と同時に行う。この分離の後に、仕上がったワークピースの取り出し、及び場合により貯蔵系への収納を、例えばロボットアームによって行う。
【0038】
本発明による方法を用いて製造された異形材部材は、発泡コアを備えたサンドイッチ構造に設計されている。本発明による、新規の方法の多大な利点は、この方法を、互いに調整された2つのプレス(第1の型及び第2の型)による連続式のプロセスで実施できることである。これにより、次の利点を利用することができる:
− アンダーカットを備えかつ横断面が変化する複雑な形状の連続式の製造、
− 一つの工程での付形及び誘導、
− プロフォーム繊維を用いた取り扱いの問題がない、
− 第1の型中で、マトリックス材料を溶融又はゲル化することができる。それにより更に短いプロセス時間を実現することができる、
− 型は温度調節可能であり、それにより、熱硬化性マトリックスでも、熱可塑性マトリックスでも加工することができる、
− 1つ又は2つの型が加熱可能であり、1つの型は冷却可能である。それにより、狭い製造許容差、早い硬化時間及び短いサイクル時間を達成することができる、
− 異形材は、両方のプレスにより引き抜かれ、かつ張力下で保持することができる。それにより、最適な繊維配向が達成可能である、
− 短いサイクル時間、それにより高い生産個数及び量産適性を達成、
− 場合による、個々の変形されたコア素材の連結結合による接続。
【0039】
特に、本発明にとって、2つの特に好ましい実施態様が存在する:
この方法の第1の好ましい実施態様は、プルプレス(Pul-Press)法と言われるバリエーションである。
図1に図式的に表されているこの実施態様の場合に、方法工程a)〜g)が、互いに別個の型又は装置中で行われる。この実施態様は、存在する引き抜き装置内のむしろ僅かな改造によって実現可能であり、かつ特に、成形されているが、輸送方向でむしろまっすぐなワークピースのために適している。
【0040】
この方法の第2の好ましい実施態様は、プルシェープ(Pul-Shape)法と言われるバリエーションである。プルプレス法では、任意の又は複雑さの度合いが極めて高い異形材を加工することはできない。従って、プルシェープ法は拡張を示す。このプルシェープ法の場合、第1の型と第2の型とは、同じ型である。更に、方法工程c)、d)及びe)は、このユニバーサル型中で同時に実施される。これは、この型が、可動台で動く装置であり、この装置は加熱可能でかつこの装置内に樹脂が導入されることを意味する。この付形型中では、従って互いに同時に、最終的な付形、樹脂の硬化、キャリブレーション及び輸送が行われる。このキャリブレーションとは、これにより、樹脂組成物のむしろ短い温度調節を意味する。
【0041】
次の利点は、プルシェープ法によって更に達成することができる:
− 僅かな工程を有するスリムなプロセス及び相応するコストの利点、
− 第1の加熱可能な型内への樹脂の注入と同時の最終的な付形、
− 閉鎖された系への注入及びそれによる良好に達成されるべき繊維−マトリックス−比率、
− 相応して予備成形された乾燥した半製品によるより高い変形率の実現、
− 僅かな裁断廃材。
【0042】
プルシェープ法も、プルプレス法も、この場合、上述のプルプリフォーミング法、プルワインディング法又はプルブレーディング法の方法概要と組み合わせることができる。
【0043】
この新規の方法によって、実施態様とは無関係に、多種多様な異形材を製造することができる。この異形材は、1つ以上の空洞を有していてもよい。この空洞を備えた異形材は、例えば、円形管として又は長方形又は正方形の空洞異形材として存在することができる。複雑な形状の異形材、つまり2以上の異なる形状に成形された又は異なるサイズの空洞を有する異形材を製造することもできる。円形管は、例えば円形の発泡コアと円形の外被とを有する単純な円形の他に、例えば円形の発泡コアと角形の外被とを有するか、又は角形の発泡コアと円形の外被とを有することができる。この形状及び空洞の数とは無関係に、多様な壁厚及び発泡コアサイズを有するエンドレス異形材を製造することができる。
【0044】
本発明の場合に、特に、記載されたプルシェープ法を用いて、湾曲した又は輸送方向で不均一に成形されたワークピース又は異形材を実現することも可能である。
【0045】
発泡コアのために使用される材料は、好ましくは、ポリ(メタ)アクリルイミドであり、この文面では省略してP(M)Iとして表される。(メタ)アクリルの表現は、ここではメタクリル、アクリル、又はその両方の混合系も意味する。PMI発泡体が特に好ましい。このようなPMI発泡体は、通常では2段階法で製造される:a)注型重合体の製造及びb)この注型重合体の発泡。これとは別に、発泡コアは、他の硬質発泡材料、例えば特にPET発泡体、PVC発泡体、PU発泡体又はPP発泡体から製造することもできる。しかしながら、PMI発泡体は、この場合、第1の型及び/又は第2の型中で後発泡し、それにより発泡コアと被覆層との間の特に良好な界面付着が生じるという大きな利点がある。
【0046】
この方法のためにコア材料として必要な発泡部材は、インモールド発泡を用いる方法により製造できるか、又は好ましくは、注型重合体として製造することができる発泡させた発泡プレートから切り出し、鋸引き又は切削により製造することができる。この場合、好ましくは複数の発泡部材を1枚のプレートから切り出すこともできる。特別な選択肢の場合に、例えば航空機製造又は風力発電機製造で使用される比較的大きなPMI発泡部材の製造からの裁断廃材を、任意に後裁断し、使用することもできる。
【0047】
注型重合体の製造のために、まず、主成分として(メタ)アクリル酸及び(メタ)アクリルニトリルを、好ましくは2:3〜3:2のモル比で含むモノマー混合物を製造する。更に、他のコモノマー、例えばアクリル酸又はメタクリル酸のエステル、スチレン、マレイン酸又はイタコン酸又はこれらの無水物又はビニルピロリドンを使用することもできる。しかしながら、この場合、コモノマーの割合は、30質量%を越えないことが好ましい。少量の架橋性モノマー、例えばアリルアクリラートを使用することもできる。しかしながら、この量は、好ましくは最大で0.05質量%〜2.0質量%であるのが好ましい。
【0048】
共重合のための混合物は、更に、約150〜250℃の温度で分解するか又は蒸発しかつここで気相を形成する発泡剤を含む。この重合は、この温度より下で行われるため、注型重合体は、潜在的発泡剤を含む。この重合は、好ましくは、2枚のガラスプレートの間でブロックの形で行われる。
【0049】
第2の工程で、次いで、相応する温度で、注型重合体の発泡を行う。このようなPMI発泡体の製造は、当業者に基本的に公知であり、例えばEP 1 444 293、EP 1 678 244又はWO 2011/138060を参照することができる。
【0050】
発泡コア用の材料として、特に好ましくは、30〜200kg/m
3の密度範囲のPMI発泡体が使用される。PMI発泡体として、特にEvonik Industries AG社のROHACELL(登録商標)タイプが挙げられる。
【0051】
鋸引き、切断又は切削された発泡コア部材は、ここで、インモールド発泡を用いて製造された発泡コア部材と比べて、表面に開放した細孔を有するという利点を有する。繊維と接触しかつ引き続き樹脂で含浸する際に、この樹脂の一部は発泡コア表面のこの開放した細孔内へ入り込む。これは、硬化後に、発泡コアと外被材料との間の界面での特に強い付着が得られるという利点を有する。
【0052】
上述されたように、本発明による方法を用いて、他の硬質発泡材を加工することもできる。これは、特に硬質のPET発泡体、PVC発泡体、PP発泡体又はPU発泡体であってもよい。
【0053】
PVC硬質発泡体は、たいていはサンドイッチ材としてボート製造、回転羽又は自動車において、被覆層と結合した形で使用される。PVC発泡体は、25〜300kg/m
3の密度範囲で市場で入手でき、大量に使用される。PVC発泡体は、特に高い高温安定性を示すが、限定的な機械的荷重容量を示すだけである。
【0054】
PP発泡体は、特に、絶縁材料として、輸送容器中で及びサンドイッチ材料として公知である。PP発泡体は充填剤を含むことがあり、たいていは、20〜200kg/m
3の密度範囲で市場で入手できる。より良好な付着のために、特にPP発泡体の表面に、方法工程a)の前に、接着層又は定着剤を施すことができる。
【0055】
PU硬質発泡体は、また、PU軟質発泡体と比べて、独立気泡型の細孔構造及び比較的高い架橋度を特徴とする。PU硬質発泡体は、更に大量の無機充填材料を含むことがある。
【0056】
上述の方法の他に、硬質発泡コア、特にPMI発泡コアと、繊維材料とマトリックス材料とから形成された被覆材料とからなる新規種類の異形材も、本発明の一部でもある。この場合に使用される材料に関して、方法に関して既に上述したことと同じことが当てはまる。好ましくは、このマトリックス材料は熱硬化性樹脂、特に硬化したエポキシ樹脂又はPU樹脂である。繊維材料は、特に炭素繊維、アラミド繊維又はガラス繊維である。
【0057】
このような、硬質発泡体、例えばPMI発泡体で充填された本発明による異形材は、特に、被覆材料が繊維材料で強化された熱硬化性樹脂であり、かつ発泡コアがPMIコアであり、かつこのPMI発泡体を充填した異形材は、接着層も接合箇所も有しないことを特徴とする。更に、この発泡コアは、被覆材料により完全に取り囲まれているか又は極めて小さな隙間を有して被覆材料により取り囲まれている。極めて小さな隙間とは、この場合、上述したように、この区分の端部を一緒にプレスするプレス型内での付形の際に、発泡コアの小さな領域が相変わらず見えることを意味する。しかしながら、特に好ましくは、このプレスは、仕上がった異形材上で発泡コアは全く外側からはもはや認識されないように行われる。
【0058】
好ましくは、硬質発泡コアは、硬質発泡コアと被覆材料との間の境界面に、マトリックス材料で充填された開放した細孔を有する。
【0059】
硬質発泡コアを備えたこのような新規種類の異形材は、先行技術と比べて大きな利点を有する。接合箇所の不在は、異形材の均一な機械的荷重容量及び全体の安定性の向上に寄与する。接着層の不在は、少なくとも同等の機械的荷重容量で、重量の削減及び製造性の明らかな簡素化に寄与する。
【0060】
本発明によるワークピースは、更に、特に極めて良好な耐デント性、耐座屈性及び圧縮強さの観点で、極めて良好な機械特性を示す。このワークピースは、特に高い圧縮強さ及び衝撃荷重の際の高められたエネルギー吸収性を示すので、このワークピースは自動車製造において使用する場合に、例えば衝突時のボディ安定性の改善に寄与する。更に、このワークピースは、金属部材と比べて、特に充填されていない中空体と比べて、ボディにおいてより良好な音響効果、つまりシャーシによる僅かな騒音発生に寄与する。
【0061】
特別な実施態様の場合に、この硬質発泡体は、この発泡材料中に埋め込まれた金属又は他のプラスチックからなる他の材料を含むことができる。これは、例えば管の形で存在していてもよい。このような管は、例えばボディ製造での使用時にケーブル管として機能することができる。
【0062】
これに補足的に又はこれとは無関係に、硬質発泡体は、インサート、特に金属製インサートを有していてもよい。このようなインサートは、後になって、例えば自動車製造又は航空機製造に使用する場合に、部材用の結合箇所として利用される。この場合、インサートとして、例えば金属ブロックを導入することができ、この金属ブロック内に、引き続き、後にねじ止めすることができるようにねじ山が切られていてもよい。
【0063】
発泡コア、特にPMI発泡コアを備えた本発明による異形材、又は本発明による方法により製造された、発泡コアを備えた成形体は、多方面で適用することができる。この場合に、主眼は、この記載を何らかの形に制限するとは解釈せずに、軽量化構造に向けられる。これは、特に、自動車製造、商用車製造、船舶製造、航空機製造、ヘリコプター製造、風力発電装置の構築、ロボット技術及び宇宙飛行に関する。自動車製造の場合に、特にルーフレール及びフロア補強の構造が例示的に挙げられる。航空機の場合に、例えば客室フロアサポートとしての使用が挙げられる。このような使用の場合に、本発明による異形材は、アルミニウム又は鋼に対して、機械的にはほぼ等価であるが、この場合に明らかに軽量化の選択肢を意味する。
【0064】
実施例
PMI硬質発泡コアを備えた複雑な繊維複合異形材の連続式の製造:
発泡コアROHACELL(登録商標)IG-F 51を、縦長の長方形サイズに裁断し、引き続き連続式にガイドを通して装置中に導入する。この発泡コアは、次の工程で、乾燥しかつ予め含浸された繊維で、一方向性にそれぞれ1600texの90本の繊維(Toho Tenax T1600)及びそれぞれ800texの48本の繊維(Toho Thenax T800)で覆う。プリフォーム型中で、全ての材料を統合し、ビニルエステル樹脂で最終的に含浸する。未硬化の繊維複合材料(被引き抜き材料)をその後、連続式に走行可能でかつ加熱可能なプレス(プレス番号1)中で冷却プレス(プレス番号2)を通して引き抜き成形する。ここで、付形及び硬化が行われる。この材料のために適した120℃の温度により、硬化時間を短く保持した。異形材が硬化されると同時に、プレス番号1はその最終位置に達する。ここで、この複雑な異形材は冷却プレスに引き渡され、この場合にこの被引き抜き材料は更に引き抜かれる。その間に、開放されたプレス番号1は、再びその開始位置に走行し、最初からサイクルが始まる。