特許第6483124号(P6483124)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483124マイクロ波照射を使用した接着剤の硬化方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483124
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】マイクロ波照射を使用した接着剤の硬化方法
(51)【国際特許分類】
   C09J 5/06 20060101AFI20190304BHJP
   C09J 201/00 20060101ALI20190304BHJP
   C09J 11/06 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   C09J5/06
   C09J201/00
   C09J11/06
【請求項の数】16
【全頁数】30
(21)【出願番号】特願2016-535153(P2016-535153)
(86)(22)【出願日】2014年11月28日
(65)【公表番号】特表2017-504677(P2017-504677A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2014075968
(87)【国際公開番号】WO2015079028
(87)【国際公開日】20150604
【審査請求日】2017年6月20日
(31)【優先権主張番号】13195017.2
(32)【優先日】2013年11月29日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】516155528
【氏名又は名称】プロイオニック ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】230104019
【弁護士】
【氏名又は名称】大野 聖二
(74)【代理人】
【識別番号】100119183
【弁理士】
【氏名又は名称】松任谷 優子
(74)【代理人】
【識別番号】100114465
【弁理士】
【氏名又は名称】北野 健
(74)【代理人】
【識別番号】100149076
【弁理士】
【氏名又は名称】梅田 慎介
(74)【代理人】
【識別番号】100173185
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 裕
(74)【代理人】
【識別番号】100133042
【弁理士】
【氏名又は名称】佃 誠玄
(72)【発明者】
【氏名】ヴッティ,ロベルト
(72)【発明者】
【氏名】カルブ,ローランド
【審査官】 澤村 茂実
(56)【参考文献】
【文献】 特開2009−227949(JP,A)
【文献】 特開平01−165680(JP,A)
【文献】 特開2009−149828(JP,A)
【文献】 特表2003−500460(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09J 1/00−201/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロ波を使用してポリマー接着剤組成物を硬化させる方法であって、前記接着剤組成物が、イオン性液体[A][B]a−(式中、[A]はカチオンを表し、[B]a−はアニオンを表し、aは整数を表す)を含有することを特徴とする、方法。
【請求項2】
[A]が、アンモニウムカチオン[R’RN]、ホスホニウムカチオン[R’RP]、スルホニウムカチオン[R’RS]、ヘテロ芳香族カチオン、または以下の式:
【化1】
のグアニジウムカチオンR’N(C=NR’)NR’を表し、
式中、R、R’、R、R’、およびR、R’は、水素または有機残基を表し、あるいは、
残基R、R’、R、R’、R、R’のうちの2つが、それらが結合しているヘテロ原子と一緒に、非置換であるかまたは置換されている飽和または不飽和環を形成しており、
各炭素鎖は、O、S、NH、またはN(C〜C)アルキルからなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子で中断されていてもよいことを特徴とする、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
、R’、R、R’、およびR、R’が、互いに独立して、水素、またはアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリルを表し、
ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、またはヘテロシクリルは、互いに独立して、非置換であっても、あるいは、1つまたは2以上のハロゲン、および/または
(C〜C)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(C〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを表す)
から選択される1〜3個の残基によって置換されていてもよく、
各炭素鎖は、O、S、NH、またはN(C〜C)アルキルからなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子で中断されていてもよいことを特徴とする、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
[A]の残基が、ヘテロシクリル残基であり、
前記ヘテロシクリル残基が不飽和であり、5または6員環ヘテロ芳香族から選択され、
前記ヘテロ芳香族は、少なくとも1つの窒素原子を有し、非置換であるかまたは置換されているか、および/または環化されている、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
ヘテロシクリル残基が、以下の式の群より選択され:
【化2】

式中、
R、R’は、互いに独立して、水素、(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリルを表し、ここで、(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、またはヘテロシクリルの残基は、それぞれ、互いに独立して、非置換であるか、または
1つまたは複数のハロゲン残基、および/または、(C〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されており;
、R、R、R、Rは、互いに独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリルを意味し、ここで、(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、またはヘテロシクリルの残基は、それぞれ、互いに独立して、非置換であるか、または
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
(C〜C)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されており、
あるいは、
残基R、R、R、R、R、Rのうちの互いに隣接する2つが、それらが結合している原子と一緒に環を形成し、これは、非置換であるかまたは置換されており不飽和もしくは飽和であってよく、それぞれの残基によって形成される炭素鎖は、O、S、N、NH、またはN(C〜C)アルキルからなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって中断されていてもよく;
、R、R、Rは、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリール残基を意味し、ここで、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールの残基は、互いに独立して、1つまたは複数のハロゲン残基、および/または(C〜C)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを意味する)からなる群より選択される1〜3個の残基を支持していてもよいことを特徴とする請求項に記載の方法。
【請求項6】
[B]a−が、
− フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ジシアナミド、チオシアネート;ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ニトリット、ニトレート、サルフェート、ハイドロジェンサルフェート、カーボネート、ハイドロジェンカーボネート、アルキルカーボネート、メチルカーボネート、アリールカーボネート;ホスフェート;ハイドロジェンホスフェート;ジハイドロジェンホスフェート;スルファメートHN−SO、脱プロトン化されたアセスルファム(6−メチル−2,2−ジオキソ−オキサチアジン−4−オレート)、脱プロトン化されたサッカリン(1,1−ジオキソ−3−オン−1,2−ベンゾチアゾレート)、シクラメート(脱プロトン化されたシクロヘキサンスルファミン酸)、
− 一般式(Va)[BRの四置換ボレート(式中、RからRは、互いに独立して、フルオロ、または(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリルを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
(C〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている;
あるいは、
残基RからRのうちの2つは、それらが結合しているホウ素原子と一緒に、5、6、または7員環を形成し、これは、飽和もしくは不飽和、非置換または置換であってもよく、それぞれの炭素原子によって形成される炭素鎖は、O、S、N、NH、またはN−C〜C−アルキルからなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって中断されていてもよい)、
あるいは、
− 一般式(Vb)[R−SOの有機スルホネートまたは一般式(Vc)[R−OSOの有機スルフェート(式中、Rは、(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリルを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
(C〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている);
− 一般式(Vd)[R−COO]のカルボキシレート(式中、Rは、水素、または(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリルを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
基(C〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている);
あるいは、
− カルボキシレートであって、正式には、果実酸、サッカリン酸、アミノ酸、脂肪酸、揮発性酸、および樹脂酸の1つまたは複数のカルボン酸基の脱プロトン化によって誘導されるか、または、それぞれ、これらの酸に共役している、カルボキシレート;
− 一般式(Ve)[PF(C2y+1−z6−xの(フルオロアルキル)フルオロホスフェート(式中、1≦x≦6、1≦y≦8、および0≦z≦2y+1である);
あるいは、
− 一般式(Vf)[R−SO−N−SO−R、(Vg)[R−SO−N−CO−R、または(Vh)[R−CO−N−CO−Rのイミド(式中、RからRは、互いに独立して、水素、あるいは(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリルを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または
(C〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、(C〜C)アルキル、ハロ(C〜C)アルキル、シクロアルキルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている);
− 一般式(Vi)[R−OPO2−または(Vj)[RO−PO−ORの有機ホスフェート、あるいは一般式(Vk)[R−PO2−または(Vl)[R−PO−ORの有機ホスホネート(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、あるいは(C〜C30)アルキル、(C〜C12)シクロアルキル、(C〜C30)アルケニル、(C〜C12)シクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または
(C〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、(〜C)シクロアルキル、ハロゲン、OR、SR、NR、COR、COOR、CO−NR、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RおよびRは、互いに独立して、水素、C〜C−アルキル、C〜C−ハロゲンアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている)
から選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
アニオン[B]a−が、酸化数v=1、2、3、4、5、または6の中心金属原子M+vと配位子Xとの錯体、例えば、一般式[M+vv+1(Vm)または[M+vv+22−(Vn)または[M+vv+33−(Vo)の錯体であり、式中、
+vは、遷移金属の元素から選択され
個々の配位子Xは、互いに独立して、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、チオシアネート、ジシアナミド、ニトリット;ニトレート;アセチルアセトン;アシル;アデニン;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;アラニン;アリル;アリルオキシカルボニル;水;アリール;アルギニン;アスパラギン;アスパルテート;BIABN;ビオチニル;2,2’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−6,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル;2,2’−ビナフチルジフェニルジホスフィン;1,2−ビス[4,5−ジヒドロ−3H−ビナフト[1,2−c:2’,1’−e]ホスフェピノ]ベンゾール;1,1’−ビス{4,5−ジヒドロ−3H−ジナフト[1,2−c:2’,1’−e]ホスフェピノ}フェロセン;4,4’−ジ−tert−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビス−3H−ジ−ナフト[2,1−c:1’,2’−e]ホスフェピン;BINAL;4,5−ジヒドロ−3H−ジナフト[2,1−c;1’,2’−e]ホスフェピン;2,2’−ビナフチルジオール;ビス−tert−ブチル−ビピリジン;ベンジルメチルフェニルホスフィン;ベンジル;tert−ブトキシカルボニル;ビス(2−((S)−4−iso−プロピル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル)アミン;ビス(2−((S)−4−tert−ブチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル)アミン;1,2−ビス(2,5−ジエチル−ホスホラノ)−エタン;ブトキシ−カルボニル−4−ジフェニルホスフィノ−2−ジフェニルホスフィノ−メチル−ピロリジン;2,2’−ビピリジン;ベンゾイル;ベンジルオキシカルボニル;CO;シクロヘプタトリエニル;シトルリン;シトレート;シアニド;シクロオクタジエン;シクロオクタテトラエン;シクロペンタジエニル;ペンタメチルシクロペンタジエニル;シクロヘキシル;シチジン;システイン;シトシン;ジベンジリデンアセトン;O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;(1R,2R)−ビス[(2−メトキシフェニル)フェニル−ホスフィノ]エタン;4−ジメチルアミノピリジン;ジメチルグリオキシム、ジピバロイルメタネート;デス・マーチン・ペルヨージナン;1,4,7,10−テトラアザ−シクロドデカン−1,4,7,10−テトラアセテート;ジフェニルホスフェニルエタン;ジフェニルホスフェニルメタン;ジフェニルホスフェニルプロパン;デオキシリボース;ジエチレントリアミン−ペンタアセテート;ビス(2,5−ジメチルホスホラノ)−ベンゾール;エチレンジアミンテトラアセテート;エチレンジアミン;フルオレニルメトキシカルボニル;7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロオクタン−4,6−ジオナト;ガラクトース;ガラクトサミン;N−アセチルガラクトサミン、グリコリル;グルコース;グルコサミン、N−アセチル−グルコサミン、グルタミン、グルタメート、グリシン、グアニン;グアノシン;ヘモグロビン;ヘキサフルオロアセチルアセトネート;ヒスチジン;ヘキサメチルリン酸トリアミド;ヒドロキシプロリン;イソロイシン;ロイシン;リシン;2,2’−ビス[(N,N−ジメチルアミノ)(フェニル)メチル]−1,1’−ビスジシクロヘキシル−ホスフィノ)フェロセン;ミオグロビン;メチオニン;メトヘモグロビン;メトミオグロビン;3,5−ジオキサ−4−ホスファシクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン−4−イル)ジメチルアミン;メチルフェニル−プロピルホスフィン;メチルスルホン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−;ノイラミン酸;N−アセチル−ノイラミン酸;N−グリコリル−ノイラミン酸;2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン;ニトリロ−三酢酸;オルニチン;スクシネート;オキサレート;フェニルo−アニシルメチルホスフィン;フタロシアニン;フェニルアラニン;フェナントロリン;ピコリルアミン;ピペリジン;パラ−ニトロ−安息香酸;ポルフィリン;プロリン;ピリジル;PYBOX;ピログルタメート;ピラジン;リボース;サルコシン;サレン;セリン;スクシニル;1,4,7−トリアザシクロノナン;tert−ブチル−ジ−メチル−シリル;タルトレート;テルピリジン;チミジン;トレオニン;チミン;テトラメチルエチレンジアミン;トリメシン酸;トリス(ピラゾリル)ボレート;トリフェニルホスファン;トリプトファン;チロシン;テトラゾール;ユビキチン;ウラシル;ウリジン;バリンから選択される、請求項1からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
遷移金属の元素が、元素Ag、Al、Ce、Cs、Cr、Co、Cu、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、Ir、Fe、Mn、Mo、Nd、Ni、Pt、Pr、Re、Rh、Rb、Ru、Sm、Sn、Ta、Tb、Tm、Ti、W、V、およびYから選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
遷移金属の元素が、酸化状態Ag、Al+3、Ce+2、Ce+3、Ce+4、Cs+1、Cr+2、Cr+3、Cr+6、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Dy+3、Er+2、Eu+3、Eu+3、Gd+2、Gd+3、Ho+2、Ho+3Ir+4、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Mo+2、Mo+3、Mo+4、Mo+5、Nd+2、Nd+3、Ni+2、Ni+3、Pt+4、Pr+2、Pr+3、Re+4、Re+5、Re+6、Rh+2、Rh+3Rb+4、Ru+3、Ru+4、Sn+2、Sn+4、Sm+2、Sm+3、Ta+5、Tb+3、Tm+3、Ti+2、Ti+3、W+4、W+5、V+2、V+3、V+4、V+5、Y+2およびY+3から選択される、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
− 定義された、炭素含有、有機、飽和または不飽和、非環状または環状、脂肪族、芳香族、または芳香脂肪族残基は、1個から30個までの炭素原子を含み、または、
− 四置換ボレート(Va)における残基RからR、有機スルホネート(Vb)およびスルフェート(Vc)における残基R、カルボキシレート(Vd)における残基R、(フルオロアルキル)フルオロホスフェート(Ve)、イミド(Vf)、(Vg)、および(Vh)における残基RからR、有機ホスフェート(Vi)、(Vj)および有機ホスホネート(Vk)、(Vl)における残基RおよびRは、互いに独立して
〜C30)アルキル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、−CO−O−、または−CO−N<置換成分;
(C〜C12)シクロアルキル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分;
(C〜C30)アルケニル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分
(C〜C12)シクロアルケニル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分;
アリールまたは2〜30個の炭素原子を有する飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、およびそれらのアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分
意味する、請求項からのいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
5〜95重量%の金属塩[M]b+[B]a−が、前記イオン性液体に加えられており、ここで、[M]b+はカチオンである金属元素を、Bはアニオンを表し、a、b、x、yは、互いに独立して、整数1、2、3、または4を表し、xとbの積は、yとaの積に等しことを特徴とする、請求項1から10のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記金属塩が、Cr+2、Cr+3、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Ni+2、Ni+3、Ti+2、Ti+3、Li、Na、K、Cs、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+、Zr4+、Sn2+、Sn4+、Ag、Zn2+、およびAl3+から選択される金属カチオンを含むことを特徴とする、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記金属塩が、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Ti+2、Ti+3、Li、Na、K、Mg2+、Ca2+、Zn2+、およびAl3+から選択される金属カチオンを含むことを特徴とする、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
熱可塑性材料の結合方法であって、
熱可塑性材料を提供する手順と、
前記熱可塑性材料の表面にイオン性液体[A][B]a−(式中、[A]はカチオンを表し、[B]a−はアニオンを表し、aは整数を表す)を適用する手順と、
前記イオン性液体を適用した前記熱可塑性材料の表面を別の材料と接触させる手順と、
熱可塑性材料と別の材料とをマイクロ波照射に晒す手順と、を含む方法。
【請求項15】
前記別の材料が、熱可塑性材料である、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記イオン性液体[A][B]a−が請求項2から13のいずれか一項に記載のイオン性液体である、請求項14または15に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はマイクロ波を使用した接着剤の硬化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
接着剤、シーリング剤、および表面技術の全世界的市場では、年間約500億USドルの範囲において取引されており、さらに、新興市場国の発展により増加している(情報源:Henkel AG Co.KgaA 2010)。例えば、製本用、包装およびラベル貼り目的、タバコ、生理用品のため、木材、プラスチック、エラストマー、ゴム、金属、ガラス、織物、およびそれらをベースとする複合材などの材料の接合のため、靴の製造用、カーペットおよびタペストリーの接着用、セメントおよびコンクリートの添加剤として、プレハブ住宅において、自動車、航空機、および船舶の製造において、電子部品およびプリント基板、携帯電話、ラップトップ、表示素子、およびコンピュータの製造において、医療分野において、家庭での使用のために、産業、建設、手芸、および最終消費者により、現在、無数の用途において年間何百万トンも使用されている。使用される接着剤のタイプは、例えば、規格DIN EN 923において定義されており、特に、物理的結合性接着剤、例えば、ホットメルト接着剤、溶媒含有湿式接着剤、コンタクト接着剤、分散型接着剤、水およびプラスチゾルベースの接着剤、化学的硬化性の一成分または二成分接着剤(反応性接着剤)、例えば、シアノアクリレートおよびメチルメタクリレート接着剤などの重合性接着剤、嫌気的硬化性接着剤、不飽和ポリエステル樹脂、放射線硬化性接着剤、重縮合接着剤、例えば、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂接着剤、架橋シリコーンポリマー、シラン架橋ポリマー接着剤、ポリイミド接着剤、ポリスルフィド接着剤、重付加接着剤、例えば、エポキシ樹脂接着剤、ポリウレタン接着剤、シリコーン、加硫性接着剤、ならびに凝固メカニズムを有さない接着剤、例えば、感圧式接着剤などを含む。
【0003】
接着剤の「使用」または「適用」なる用語は、本特許の意味において、機械的接続の目的のための材料部品の接合および接着だけでなく、むしろ、任意の種類の表面および界面のシーリングおよびコーティングのためのシーリング剤、結合剤としての適用も包含する。
【0004】
これらのタイプ全ての接着剤の適用において、接着される部品の種類および構成は別として、周囲雰囲気(周囲空気の湿度および流量、光および酸素の影響)、ならびに接触圧力、特にそれらに作用する温度、および温度によって影響を受ける接着プロセスの持続時間および品質は、重要な役割を果たす。例として、
− ホットメルト接着剤(接着剤は、定義された温度においてのみ液化する)
− 溶媒含有湿式もしくは分散型接着剤(温度は、蒸発速度を決定する)
− プラスチゾル(接着剤分散液は、接着促進剤が活性化される定義された温度において適切な接着性ゲルへと変わる)
− 一成分もしくは二成分を有する反応性接着剤(それぞれ、化学的架橋もしくは硬化メカニズムを有する接着剤)、ならびに加硫性接着剤(温度は、重合の開始時間ならびに剛性および品質ならびに達成されるべき接着プロセスの持続時間などに対して決定的な影響を有する)
について言及する。
【0005】
EP1519913(B2)により、ポリマー組成物およびイオン性液体を含有するホットメルト接着剤が公知である。イオン性液体におけるイオン性部分の存在により、イオン性液体によって膨潤もしくは溶解された極性表面に対するポリマー組成物の接着挙動が改善され得る。
【0006】
したがって、従来の接着手順において温度を調節するためには、一緒に接着される両方の部品を所望の期間において加熱しなければならず、すなわち、接着のための接触領域およびそのすぐ周辺だけでなく、本質的部分または被工作物全体も加熱しなければならない。したがって、大きな熱容量を有する大量のより大きな被工作物の場合(例えば、自動車産業における接着プロセスなどにおいて)、これは、結果として、時間およびエネルギーの著しい消費を生じるであろう。より大きな被工作物の場合、被工作物の高い熱容量に起因して、加熱および冷却曲線は比較的平坦であろうために、例えば、非常に高い温度がそれらに短時間だけ作用するように、加熱期間を非常に正確に制御するのは、さらに容易には可能ではない。したがって、この理由のために、短期間で局所的な方法において接着領域を被工作物の熱分解温度を超える温度に加熱することも可能ではない。
【0007】
接着領域を選択的に加熱するためのエネルギーの導入を可能にするため、および上記において言及した欠点を克服するために、マイクロ波照射を使用する実験を行った。マイクロ波照射は、2.45GHzおよび915MHzの共通の標準周波数での300Hz〜300GHzの周波数範囲における電磁放射として定義される(例えば、CD Rompp Chemie Lexikon 1.0を参照されたい)。しかしながら、本出願における意味において、この定義の範囲外の電磁周波数、特に300MHz未満の範囲についても権利主張する。
【0008】
一般的に、接着剤は、とりわけ良好なカップリング挙動は示さないので、マイクロ波吸収顔料および(ナノ)粒子が加えられ、これらは、例えば、グラファイト、カーボンブラック、金属、フェライトなどの強誘電体、鉄カルボニル、水晶結晶、トルマリン、チタン酸バリウム、硫酸リチウム、酒石酸カリウムナトリウム、酒石酸エチレンジアミン、および鉛−ジルコニウム−チタネートで構成され得る。ポリアニリン、ポリピロール、ポリアルキルチオフェン、およびポリ(4,4’−ジフェニルエンジフェニルビニレン)などの電気伝導性ポリマーを使用した試験も実施した(例えば、Bosmanら (2003),Appl.Phys.Lett.,82,9,1353−1355;Peng,C.H.ら (2005),Mater.Sci.Eng.,B,117,1,27−36;Phang,S.W.ら (2005),Thin Solid Films,477,1−2,125−130;Bregar,V.B. (2004),EEE Trans.Magn.,40,3,1679−1684;Chandrasekhar,P.;Naishadham,K.(1999),Synth.Met,105,2,115−120;Petrov,V.M.;Gagulin,V.V.(2001),Inorg.Mater.,37,2,93−98;Saib,A.ら (2006),IEEE Trans.Microwave Theor.Tech,54,6,2745−2754;Truong,V.T.ら (1998),J.Mater.Sci,33,20,4971−4976;Zou,Y.H.ら (2006),J.Magn.Magn.Mater,302,2,343−347;WO99/24520;WO93/02867;DE10040325を参照されたい)。
【0009】
しかしながら、全てのこれらの粒子および電気伝導性ポリマーの使用は、共通して、産業規模での接着剤の実用において以下のようないくつかの重大な欠点を有しており、それらは、これまで、マイクロ波接着の広範囲の使用を妨げてきた:
− マイクロ波カップリングは従来の加熱処理と比較して時間関連およびエネルギー関連の利点を提供するが、それを達成するためには、非常に大量の粒子(数十重量%まで)を添加しなければならない。これは、概して、実質的に接着剤の特性を変えるであろうし、それにより、性能の著しい損失を生じるであろう。そのような大量の粒子を添加した場合でも、かなりの頻度において、十分なカップリングを達成することは可能ではなかった。
− これらの粒子は充填剤に過ぎないので、それらは、ポリマーマトリックス中には組み込まれないであろうし;すなわち、この方法において、それらは、接着剤の剛性および接着力に貢献しない。粒子の化学的官能化は、通常、難しすぎる。
− 粒子は、処理過程においていかなる機械的欠点も生じないように、可能な限り小さくあるべきであり、これは、ナノ粒子がとりわけ好適である理由である。しかしながら、これらは高価であり、困難な方法において凝塊化に対して安定化しなければならず、ならびに制限された程度まで産業レベルでのみ利用可能である。
− 粒子は、接着剤表面の光学的外観を実質的に変え:例えば、グラファイト、カーボンブラック、金属、フェライトなど、は黒く着色する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、それぞれ、欠点を有さないかまたはより少ない程度までしか有さない、接着剤および接着剤組成物を提供することを目的とする。
【0011】
この目的は、本発明により、固体粒子の代わりにイオン性液体を接着剤に加えることによって達成される。
【課題を解決するための手段】
【0012】
一態様において、本発明は、マイクロ波を使用して接着剤組成物を硬化させる方法であって、接着剤組成物がイオン性液体[A]+a[B]a-(式中、[A]+はカチオンを表し、[B]a-はアニオンを表し、aは整数を表す)を含有することを特徴とする方法を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1
図2
図3
図4
図5
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明により提供される方法は、本明細書において、「本発明による方法」としても称される。
【0015】
「硬化」は、本発明による方法において、接着剤の所定の目標の剛性を達成すること、例えば、一般的に、化学的、熱的(ホットメルト接着剤)、物理的(溶媒の蒸発)、または他の任意の形態(例えば、重合または縮合の意味での反応性接着剤の化学的硬化など)に関係なく、接着剤を硬化させることを意味し、この場合、接着剤ポリマーは、硬化の前に既に存在しており、モノマーの重合においてのみ生成されるわけではない。
【0016】
さらなる態様において、本発明による方法において、[A]+は、アンモニウムカチオン[R1’R123N]+、ホスホニウムカチオン[R1’R123P]+、スルホニウムカチオン[R1’R12S]+、ヘテロ芳香族カチオン、または以下の式のグアニジウムカチオンR33’N(C=NR11’)NR22’を表し、
【0017】
【化1】
式中、R1、R1’、R2、R2’、およびR3、R3’は、水素または有機残基、例えば、互いに独立して、水素、または非置換のアルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、例えばヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された7つの残基は、互いに独立して、非置換であっても、あるいは、1つまたは複数のハロゲン、および/または(C1〜C6)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、例えばヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサンから選択される1〜3個の残基によって置換されていてもよく、式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表し;あるいは、残基R1、R1’、R2、R2’、R3、R3’のうちの2つが、それらが結合しているヘテロ原子と一緒に、非置換であるかまたは置換されている飽和または不飽和環を形成しており、各炭素鎖は、O、S、NH、またはN(C1〜C4)アルキルからなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子で中断されていてもよい。
【0018】
本発明による方法において、ヘテロシクリル残基は、特に不飽和の、特に5または6員環ヘテロ芳香族から選択される、[A]+の残基の1つの意味を有し、これは、少なくとも1つの窒素原子と場合により酸素原子または硫黄原子を有し、非置換であるかまたは置換されており、および/または環化されており、
特に、以下の式の群より選択され、
【0019】
【化2】
式中、
R、R1’は、互いに独立して、水素、(C1〜C30)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C3〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、それぞれ、互いに独立して、非置換であるか、または
1つまたは複数のハロゲン残基、および/または、(C1〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されており;
4、R5、R6、R7、R8は、互いに独立して、水素、ハロゲン、ニトロ、シアノ、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、(C1〜C30)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C3〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリールを意味し、ここで、最後に言及された6つの残基は、それぞれ、互いに独立して、非置換であるか、または
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
(C1〜C6)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されており、
あるいは、
残基R、R4、R5、R6、R7、R8のうちの互いに隣接する2つは、それらが結合している原子と一緒に、環を形成し、これは、非置換であるかまたは置換されている不飽和もしくは飽和の特に芳香族であってもよく、それぞれの残基によって形成される炭素鎖は、O、S、N、NH、またはN(C1〜C4)アルキルからなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって中断されていてもよく;
e、Rf、Rg、Rhは、互いに独立して、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリール残基を意味し、ここで、最後に言及された7つの残基は、互いに独立して、1つまたは複数のハロゲン残基、および/または(C1〜C6)アルキル、アリール、ヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを意味する)からなる群より選択される1〜3個の残基を有していてもよい。
【0020】
さらなる態様において、本発明による方法では、[B]a-は、以下:
− フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、ジシアナミド、チオシアネート;ペルクロレート、ヘキサフルオロホスフェート、ニトリット、ニトレート、サルフェート、ハイドロジェンサルフェート、カーボネート、ハイドロジェンカーボネート、アルキルカーボネート、メチルカーボネート、アクリルカーボネート;ホスフェート;ハイドロジェンホスフェート;ジハイドロジェンホスフェート;スルファメートH2N−SO3-、脱プロトン化されたアセスルファム(6−メチル−2,2−ジオキソ−オキサチアジン−4−オレート)、脱プロトン化されたサッカリン(1,1−ジオキソ−3−オン−1,2−ベンゾチアゾレート)、シクラメート(脱プロトン化されたシクロヘキサンスルファミン酸)、
− 一般式(Va)[BRijkl-の四置換ボレート(式中、RiからRlは、互いに独立して、フルオロ、または(C1〜C30)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C3〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
(C1〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されており;
あるいは
残基RiからRlのうちの2つは、それらが結合しているホウ素原子と一緒に、5、6、または7員環を形成し、これは、飽和もしくは不飽和、非置換または置換であってもよく、それぞれの炭素原子によって形成される炭素鎖は、O、S、N、NH、またはN−C1〜C4−アルキルからなる群より選択される1つまたは複数のヘテロ原子によって中断されていてもよい)、あるいは、
− 一般式(Vb)[Rm−SO3-の有機スルホネートまたは一般式(Vc)[Rm−OSO3-の有機スルフェート(式中、Rmは、(C1〜C30)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C3〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
(C1〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている)、
− 一般式(Vd)[Rn−COO]-のカルボキシレート(式中、Rnは、水素、または(C1〜C30)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C3〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または、
基(C1〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている);
あるいは、
− カルボキシレートであって、正式には、果実酸、サッカリン酸、アミノ酸、脂肪酸、揮発性酸、および樹脂酸の1つまたは場合により複数のカルボン酸基の脱プロトン化によって誘導されるか、または、それぞれ、これらの酸に共役している、カルボキシレート、
− 一般式(Ve)[PFx(Cy2y+1-zz6-x-の(フルオロアルキル)フルオロホスフェート(式中、1≦x≦6、1≦y≦8、および0≦z≦2y+1である);あるいは、
− 一般式(Vf)[Ro−SO2−N−SO2−Rp-、(Vg)[Rq−SO2−N−CO−Rr-、または(Vh)[Rs−CO−N−CO−Rt-のイミド(式中、RoからRtは、互いに独立して、水素、あるいは(C1〜C30)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C3〜C12)シクロアルケニル、アリール、または飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または
(C1〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、(C1〜C6)アルキル、ハロ(C1〜C6)アルキル、シクロアルキル、特に、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている);
− 一般式(Vi)[Ru−OPO32-または(Vj)[RuO−PO2−ORv-の有機ホスフェート、あるいは一般式(Vk)[Ru−PO32-または(Vl)[Ru−PO2−ORv-の有機ホスホネート(式中、RuおよびRvは、互いに独立して、水素、あるいは(C1〜C30)アルキル、(C3〜C12)シクロアルキル、(C2〜C30)アルケニル、(C3〜C12)シクロアルケニル、アリール、またはヘテロアリールを表し、ここで、最後に言及された6つの残基は、互いに独立して、非置換であるか、または、
1つまたは複数のハロゲン、および/または
(C1〜C30)アルキル、アリール、飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特にヘテロアリール、(C3〜C7)シクロアルキル、ハロゲン、ORc、SRc、NRcd、CORc、COORc、CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサン(式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−ハロゲンアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す)からなる群より選択される1〜3個の残基によって置換されている)
から選択される。
【0021】
果実酸の例は、特に、シュウ酸、安息香酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、乳酸、およびリンゴ酸であり得る。
【0022】
サッカリン酸の例は、特に、ウロン酸およびオン酸(例えば、直鎖状およびさらに環状のテトロン酸、テトルロン酸、ペントン酸、ペンツロン酸、ヘキソン酸、ヘキスロン酸、特に、グルコン酸、グルクロン酸、あるいは、グルコン酸、グルクロン酸、マンノン酸、マンヌロン酸、ガラクトン酸、ガラクツロン酸、フルクトン酸、フルクツロン酸、キシロン酸などの、それぞれ、プロトン化されたアニオンであり得る。
【0023】
アミノ酸または天然アミノ酸の例は、それぞれ、特に、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、およびバリンであり得る。
【0024】
特に、脂肪酸は、1〜26個の炭素原子を有するモノカルボン酸(C1からC26)であり得、この場合、脂肪酸は、不飽和脂肪酸、飽和脂肪酸、あるいは飽和脂肪酸および/または不飽和脂肪酸の混合物であり得る。脂肪酸の例は、アルキルカルボン酸、アルケンカルボン酸、アルカジエニルカルボン酸、特に、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、アクリル酸、メタクリル酸、酪酸、イソ酪酸、吉草酸、クロトン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エイコセン酸、セトレイン酸、リノレン酸、リノール酸、ソルビン酸などであり得る。
【0025】
特定の態様において、本発明による方法では、アニオン[B]a-は、配位数v=1、2、3、4、5、または6の中心金属原子M+vと配位子X-との錯体、例えば、一般式[M+vv+1-(Vm)または[M+vv+22-(Vn)または[M+vv+33-(Vo)の錯体であり、式中、
+vは、遷移金属の元素から選択され、特に、元素Ag、Al、Ce、Cs、Cr、Co、Cu、Dy、Er、Eu、Gd、Ho、Ir、Fe、Mn、Mo、Nd、Ni、Pt、Pr、Re、Rh、Rb、Ru、Sm、Sn、Ta、Tb、Tm、Ti、W、V、およびY、特に好ましくは、酸化状態Ag+、Al+3、Ce+2、Ce+3、Ce+4、Cs+1、Cr+2、Cr+3、Cr+6、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Dy+3、Er+2、Eu+3、Eu+3、Gd+2、Gd+3、Ho+2、Ho+3、Ir+4、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Mo+2、Mo+3、Mo+4、Mo+5、Nd+2、Nd+3、Ni+2、Ni+3、Pt+4、Pr+2、Pr+3、Re+4、Re+5、Re+6、Rh+2、Rh+3、Rb+4、Ru+3、Ru+4、Sn+2、Sn+4、Sm+2、Sm+3、Ta+5、Tb+3、Tm+3、Ti+2、Ti+3、W+4、W+5、V+2、V+3、V+4、V+5、Y+2およびY+3から選択され、
各個々の配位子Xは、互いに独立して、特に、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、チオシアネート、ジシアナミド、ニトリット;ニトレート;アセチルアセトン;アシル;アデニン;2,2’−アゾビスイソブチロニトリル;アラニン;アリル;アリルオキシカルボニル;水;アリール;アルギニン;アスパラギン;アスパルテート;BIABN;ビオチニル;2,2’−ビス(ジフェニル−ホスフィノ)−6,6’−ジメトキシ−1,1’−ビフェニル;2,2’−ビナフチルジフェニルジホスフィン;1,2−ビス[4,5−ジヒドロ−3H−ビナフト[1,2−c:2’,1’−e]ホスフェピノ]ベンゾール;1,1’−ビス{4,5−ジヒドロ−3H−ジナフト[1,2−c:2’,1’−e]ホスフェピノ}フェロセン;4,4’−ジ−tert−ブチル−4,4’,5,5’−テトラヒドロ−3,3’−ビス−3H−ジ−ナフト[2,1−c:1’,2’−e]ホスフェピン;BINAL;4,5−ジヒドロ−3H−ジナフト[2,1−c;1’,2’−e]ホスフェピン;2,2’−ビナフチルジオール;ビス−tert−ブチル−ビピリジン;ベンジルメチルフェニルホスフィン;ベンジル;tert−ブトキシカルボニル;ビス(2−((S)−4−iso−プロピル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル)アミン;ビス(2−((S)−4−tert−ブチル−4,5−ジヒドロオキサゾール−2−イル)フェニル)アミン;1,2−ビス(2,5−ジエチル−ホスホラノ)−エタン;ブトキシ−カルボニル−4−ジフェニルホスフィノ−2−ジフェニルホスフィノ−メチル−ピロリジン;2,2’−ビピリジン;ベンゾイル;ベンジルオキシカルボニル;CO;シクロヘプタトリエニル;シトルリン;シトレート;シアニド;シクロオクタジエン;シクロオクタテトラエン;シクロペンタジエニル;ペンタメチルシクロペンタジエニル;シクロヘキシル;シチジン;システイン;シトシン;ジベンジリデンアセトン;O−イソプロピリデン−2,3−ジヒドロキシ−1,4−ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン;(1R,2R)−ビス[(2−メトキシフェニル)フェニル−ホスフィノ]エタン;4−ジメチルアミノピリジン;ジメチルグリオキシムジピバロイルメタネート;デス・マーチン・ペルヨージナン;1,4,7,10−テトラアザ−シクロドデカン−1,4,7,10−テトラアセテート;ジフェニルホスフェニルエタン;ジフェニルホスフェニルメタン;ジフェニルホスフェニルプロパン;デオキシリボース;ジエチレントリアミン−ペンタアセテート;ビス(2,5−ジメチルホスホラノ)−ベンゼン;エチレンジアミンテトラアセテート;エチレンジアミン;フルオレニルメトキシカルボニル;7,7−ジメチル−1,1,1,2,2,3,3−ヘプタフルオロオクタン−4,6−ジオナト;ガラクトース;ガラクトサミン;N−アセチルガラクトサミン、グリコリル;グルコース;グルコサミン、N−アセチル−グルコサミン、グルタミン、グルタメート、グリシン、グアニン;グアノシン;ヘモグロビン;ヘキサフルオロアセチルアセトネート;ヒスチジン;ヘキサメチルリン酸トリアミド;ヒドロキシプロリン;イソロイシン;ロイシン;リシン;2,2’−ビス[(N,N−ジメチルアミノ)(フェニル)メチル]−1,1’−ビスジシクロヘキシル−ホスフィノ)フェロセン;ミオグロビン;メチオニン;メトヘモグロビン;メトミオグロビン;3,5−ジオキサ−4−ホスファシクロヘプタ[2,1−a;3,4−a’]ジナフタレン−4−イル)ジメチルアミン;メチルフェニル−プロピルホスフィン;メチルスルホン;ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−2,5−;ノイラミン酸;N−アセチル−ノイラミン酸;N−グリコリル−ノイラミン酸;2,3−ビス(ジフェニルホスフィノ)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタ−5−エン;ニトリロ−三酢酸;オルニチン;スクシネート;オキサレート;フェニルo−アニシルメチルホスフィン;フタロシアニン;フェニルアラニン;フェナントロリン;ピコリルアミン;ピペリジン;パラ−ニトロ−安息香酸;ポルフィリン;プロリン;ピリジル;PYBOX;ピログルタメート;ピラジン;リボース;サルコシン;サレン;セリン;スクシニル;1,4,7−トリアザシクロノナン;tert−ブチル−ジ−メチル−シリル;タルトレート;テルピリジン;チミジン;トレオニン;チミン;テトラメチルエチレンジアミン;トリメシン酸;トリス(ピラゾリル)ボレート;トリフェニルホスファン;トリプトファン;チロシン;テトラゾール;ユビキチン;ウラシル;ウリジン;バリンから選択される。
【0026】
特定の態様において、本発明による方法では、
− 定義された、炭素含有、有機、飽和または不飽和、非環状または環状、脂肪族、芳香族、または芳香脂肪族残基は、1個から30個までの炭素原子を含み、
− 四置換ボレート(Va)における残基RiからRl、有機スルホネート(Vb)およびスルフェート(Vc)における残基Rm、カルボキシレート(Vd)における残基Rn、(フルオロアルキル)フルオロホスフェート(Ve)、イミド(Vf)、(Vg)、および(Vh)における残基RoからRt、有機ホスフェート(Vi)、(Vj)および有機ホスホネート(Vk)、(Vl)における残基RuおよびRvは、互いに独立して、好ましくは、
(C1〜C30)アルキル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、−CO−O−、または−CO−N<置換成分、特に、
メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert.−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシル、オクタデシル、ノナデシル、イコシル、ヘンイコシル、ドコシル、トリコシル、テトラコシル、ペンタコシル、ヘキサコシル、ヘプタコシル、オクタコシル、ノナコシル、トリアコンチル、フェニルメチル(ベンジル)、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、2−フェニルエチル、3−フェニルプロピル、シクロペンチルメチル、2−シクロペンチルエチル、3−シクロペンチルプロピル、シクロヘキシルメチル、2−シクロヘキシルエチル、3−シクロヘキシルプロピル、メトキシ、エトキシ、ホルミル、アセチル、またはCn2(n-a)+(1-b)2a+b(式中、n≦30、0≦a≦n、およびb=0または1である)(例えば、CF3、C25、CH2CH2−C(n-2)2(n-2)+1、C613、C817、C1021、C1225);
(C3〜C12)シクロアルキル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分、例えば、シクロペンチル、2−メチル−1−シクロペンチル、3−メチル−1−シクロペンチル、シクロヘキシル、2−メチル−1−シクロヘキシル、3−メチル−1−シクロヘキシル、4−メチル−1−シクロヘキシルなど、またはCn2(n-a)-(1-b)2a-b(式中、n≦30、0≦a≦n、およびb=0または1である);
(C2〜C30)アルケニル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分、特に、2−プロペニル、3−ブテニル、cis−2−ブテニル、trans−2−ブテニル、またはCn2(n-a)-(1-b)2a-b(式中、n≦30、0≦a≦n、およびb=0または1である);
(C3〜C12)シクロアルケニル、およびそのアリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分、特に、3−シクロペンテニル、2−シクロヘキセニル、3−シクロヘキセニル、2,5−シクロヘキサジエニル、またはCn2(n-a)-3(1-b)2a-3b(式中、n≦30、0≦a≦n、およびb=0または1である);
アリールまたは飽和もしくは不飽和ヘテロシクリル、特に2〜30個の炭素原子を有するヘテロアリール、およびそれらのアルキル−、アリール−、ヘテロアリール−、シクロアルキル−、ハロゲン−、ヒドロキシ−、アミノ−、カルボキシ−、ホルミル−、−O−、−CO−、または−CO−O−置換成分、特に、
フェニル、2−メチル−フェニル(2−トリル)、3−メチル−フェニル(3−トリル)、4−メチル−フェニル、2−エチル−フェニル、3−エチル−フェニル、4−エチル−フェニル、2,3−ジメチル−フェニル、2,4−ジメチル−フェニル、2,5−ジメチル−フェニル、2,6−ジメチル−フェニル、3,4−ジメチル−フェニル、3,5−ジメチル−フェニル、4−フェニル−フェニル、1−ナフチル、2−ナフチル、1−ピロリル、2−ピロリル、3−ピロリル、2−ピリジニル、3−ピリジニル、4−ピリジニル、またはC6(5-a)a(式中、0≦a≦5である)
を意味する。
【0027】
本発明による方法において、[B]a-は、好ましくは、フルオリド、クロリド、ジシアナミド、チオシアネート;ニトレート、サルフェート、ハイドロジェンサルフェート、メチルカーボネート、ホスフェート;ハイドロジェンホスフェート;ジハイドロジェンホスフェート;スルファメート、H2N−SO3-である。
【0028】
アニオン[B]a-が、四置換ボレート(Va)である場合、好ましくは、その4つの残基RiからRlは全て同一であり、この場合、これらは、好ましくは、フッ素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニルを表す。とりわけ好ましい、4つの同一の残基を有する四置換ボレート(Va)は、テトラフルオロボレート、テトラフェニルボレート、およびテトラ[3,5−ビス(トリフルオロメチル)フェニル]ボレートであり;あるいは、それは、好ましくは、ホウ素原子に直接結合した4つの酸素原子を有する四置換ボレート(Va)であり、この場合、酸素原子は、それぞれ、対になって、飽和または不飽和のC2からC4アルキル鎖またはアルケニル鎖と結合しており、アルキル鎖またはアルケニル鎖は、それぞれ置換されていてもまたは非置換であってもよく、あるいはアルケニル鎖の場合、それらに対して芳香族環が環化されていてもよく、したがって、2つの同一または異なる5、6、または7員環を形成していてもよく、好ましくは、ビス(マンデラト)ボレート、ビス(サリチラト)ボレート、ビス(オキサラト)ボレート、ビス(グリコラト)ボレート、ビス(マロナト)ボレート、ビス(スクシナト)ボレート、ビス(マレイナト)ボレート、ビス(カテコラト)ボレート(ホウ酸とマンデル酸、サリチル酸、シュウ酸、グリコール酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸、ベンゼン−1,2−ジオールとによる脱プロトン化された反応生成物)である。
【0029】
アニオン[B]a-が、有機スルホネート(Vb)または有機スルフェート(Vc)である場合、残基Rmは、好ましくは、メチル、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、p−トリル、またはC919を表す。とりわけ好ましい有機スルホネート(Vb)は、トリフルオロメタンスルホネート(トリフレート)、メタンスルホネート、ノナデカフルオロノナスルホネート(ノナフレート)、およびp−トルエンスルホネートであり;とりわけ好ましい有機スルフェート(Vc)は、メチルスルフェート、エチルスルフェート、n−プロピルスルフェート、i−プロピルスルフェート、ブチルスルフェート、ペンチルスルフェート、ヘキシルスルフェート、ヘプチルスルフェート、オクチルスルフェート、ノニルスルフェート、およびデシルスルフェート、ならびにより長い鎖を有するn−アルキルスルフェート;ベンジルスルフェート、アルキルアリールスルフェートである。
【0030】
アニオン[B]a-がカルボキシレート(Vd)である場合、残基Rnは、好ましくは、水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、ヒドロキシフェニルメチル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、または非分岐鎖状もしくは分岐鎖状のC1−からC12−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert.−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルなどを表す。
【0031】
とりわけ好ましい、カルボキシレート(Vc)は、ホルミエート、アセテート、プロピオネート、ブチレート、バレリエート、ベンゾエート、マンデレート、トリクロロアセテート、ジクロロアセテート、クロロアセテート、トリフルオロアセテート、ジフルオロアセテート、フルオロアセテートである。さらなるとりわけ好ましいカルボキシレート(Vc)は、正式には、以下の酸の脱プロトン化によって形成されたもの、したがってこれら:シュウ酸、安息香酸、サリチル酸、クエン酸、酒石酸、アスコルビン酸、乳酸、コハク酸、スルホコハク酸、スルホコハク酸モノ−もしくはジアルキルエステル、例えば、スルホコハク酸−ビス−2−エチルヘキシルエステル、グルコン酸、グルクロン酸、マンノン酸、マンヌロン酸、ガラクトン酸、ガラクツロン酸、フルクトン酸、フルクツロン酸、キシロン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、システイン、グルタミン、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、ロイシン、リシン、メチオニン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、トレオニン、トリプトファン、チロシン、バリン、飽和および/または不飽和脂肪酸、および1〜26個の炭素原子を有するそれらの混合物(C1からC26)、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、イソ酪酸、吉草酸、クロトン酸、カプロン酸、カプリル酸、カプリン酸、ペラルゴン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、マルガリン酸、アラキン酸、ベヘン酸、パルミトオレイン酸、オレイン酸、エライジン酸、バクセン酸、エイコセン酸、セトレイン酸、リノレン酸、リノール酸、ソルビン酸に共役したものである。
【0032】
アニオン[B]a-が(フルオロアルキル)フルオロホスフェート(Ve)[PFx(Cy2y+1-zz6-x-である場合、zは、好ましくは0である。とりわけ好ましいのは、(フルオロアルキル)フルオロホスフェート(Ve)であり、この場合、z=0、x=3、および1≦y≦4であり、詳細には、[PF3(CF33-、[PF3(C253-、[PF3(C373-、および[PF3(C473-である。
【0033】
アニオン[B]a-がイミド(Vf)、(Vg)、または(Vh)である場合、残基RoからRtは、互いに独立して、好ましくは、水素、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、フェニル、トリクロロメチル、ジクロロメチル、クロロメチル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、フルオロメチル、あるいは非分岐鎖状または分岐鎖状のC1−からC12−アルキル、例えば、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル、1−ブチル、2−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−メチル−2−プロピル(tert.−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−1−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、2,2−ジメチル−1−プロピル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−1−ペンチル、3−メチル−1−ペンチル、4−メチル−1−ペンチル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2,2−ジメチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−1−ブチル、3,3−ジメチル−1−ブチル、2−エチル−1−ブチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシルまたはドデシルを表す。とりわけ好ましいイミド(Vf)、(Vg)、および(Vh)は、[F3C−SO2−N−SO2−CF3-、[F3C−SO2−N−CO−CF3-、[F3C−CO−N−CO−CF3-などであり、この場合、残基RoからRtは、互いに独立して、水素、メチル、エチル、プロピル、ブチル、フェニル、トリフルオロメチル、ジフルオロメチル、またはフルオロメチルを表す。
【0034】
アニオン[B]a-が有機ホスフェート(Vi)、(Vj)または有機ホスホネート(Vk)、(Vl)の場合、残基RuおよびRvは、互いに独立して、好ましくは、メチル、エチル、n−プロピル、iso−プロピル、ブチル、フェニル、およびp−トリルを表す。とりわけ好ましい有機ホスフェート(Vj)は、ジメチルホスフェート、ジエチルホスフェート、ジブチルホスフェート、ビス(2−エチルヘキシル)ホスフェート、ジフェニルホスフェート、ジベンジルホスフェートである。とりわけ好ましい有機ホスホネート(Vl)は、ジメチルホスホネートおよびジエチルホスホネートである。
【0035】
アニオン[B]a-が、一般式(Vm)、(Vn)、または(Vo)の金属錯体の場合、M+vは、特に好ましくは、酸化数Ag+、Al+3、Cr+2、Cr+3、Cr+6、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Mo+2、Mo+3、Mo+4、Mo+5、Nd+2、Nd+3、Ni+2、Ni+3、Sn+2、Sn+4、Ti+2、Ti+3、W+4、W+5、V+2、V+3、V+4およびV+5の元素Ag、Al、Cr、Co、Cu、Fe、Mn、Mo、Nd、Ni、Sn、Ti、W、Vから選択される。配位子Xのそれぞれは、互いに独立して、とりわけ好ましくは、フルオリド、クロリド、ブロミド、ヨージド、チオシアネート、ジシアナミド、アセチルアセトン;CO;シアニド;シクロペンタジエニル;ジメチルグリオキシム;エチレンジアミンテトラアセテート;エチレンジアミン;スクシネート;オキサレート;ポルフィリンから選択される。
【0036】
好ましいカチオン[A]+は、それぞれ、四級もしくはプロトン化されたアンモニウムカチオン[R1’R123N]+、ホスホニウムカチオン[R1’R123P]+、またはグアニジウムカチオンR33’N(C=NR11’)NR22’であり、この場合、残基R1、R1’、R2、R2’、R3、およびR3’は、互いに独立して、水素、直鎖状もしくは分岐鎖状(C1〜C20)アルキル、直鎖状もしくは分岐鎖状(C2〜C20)アルケニル、特に、ビニルおよびアリル、シクロヘキシル、フェニル、ベンジル、またはトリルを表す。
【0037】
それらにおいてとりわけ好ましいのは、NH4+;グアニジウム(プロトン化されたグアニジン);1,1,3,3−テトラメチルグアニジニウム、1,1,2,3,3−ペンタメチルグアニジニウム、1,1,2,2,3,3−ヘキサメチルグアニジニウム、メチルアンモニウム、エチルアンモニウム、プロピルアンモニウム、ブチルアンモニウム、ヘキシルアンモニウム、オクチルアンモニウム、ジメチルアンモニウム、ジエチルアンモニウム、ジプロピルアンモニウム、ジブチルアンモニウム、ジヘキシルアンモニウム、ジオクチルアンモニウム、ジエチルメチルアンモニウム、ジプロピルメチルアンモニウム、ジブチルメチルアンモニウム、トリメチルアンモニウム、トリエチルアンモニウム、トリプロピルアンモニウム、トリブチルアンモニウム、トリヘキシルアンモニウム、トリオクチルアンモニウム、ジエチルジメチルアンモニウム、ジプロピルジメチルアンモニウム、ジブチルジメチルアンモニウム、ジヘキシルジメチルアンモニウム、ジオクチルジメチルアンモニウム、トリエチルメチルアンモニウム、トリプロピルメチルアンモニウム、トリブチルメチルアンモニウム、トリヘキシルメチルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリメチルエチルアンモニウム、トリメチルプロピルアンモニウム、トリメチルブチルアンモニウム、トリメチルヘキシルアンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、テトラメチルアンモニウム、テトラエチルアンモニウム、テトラプロピルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、テトラヘキシルアンモニウム、テトラオクチルアンモニウム、2−ヒドロキシエチル−トリメチルアンモニウム(コリニウム)、O−アセチルコリニウム、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−アンモニウム、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−メチルアンモニウム、トリス−(2−ヒドロキシエチル)−エチルアンモニウム、2−メトキシエチル−トリメチルアンモニウム(O−メチル−コリニウム)、トリス−(2−メトキシエチル)−アンモニウム、トリス−(2−メトキシエチル)−メチルアンモニウム、トリス−(2−メトキシエチル)−エチルアンモニウム、ビス−(2−メトキシエチル)−ジメチル−アンモニウム、トリアリルメチルアンモニウム、トリメチルホスホニウム、トリエチルホスホニウム、トリプロピルホスホニウム、トリブチルホスホニウム、トリヘキシルホスホニウム、トリオクチルホスホニウム、テトラメチルホスホニウム、トリエチルメチルホスホニウム、トリプロピルメチルホスホニウム、トリブチルメチルホスホニウム、トリヘキシルメチルホスホニウム、トリオクチルメチルホスホニウム、テトラデシル(トリヘキシル)ホスホニウム、トリイソブチル(メチル)ホスホニウム、エチル(トリブチル)ホスホニウム、オクチル(トリブチル)ホスホニウム、N−デシル−N−メチルピロリジニウム、N−オクチル−N−メチルピロリジニウム、N−ヘキシル−N−メチルピロリジニウム、N−ブチル−N−メチルピロリジニウム、N−プロピル−N−メチルピロリジニウム、N−エチル−N−メチルピロリジニウム、N,N−ジメチルピロリジニウム、N−アリル−N−メチルピロリジニウム、N−デシル−ピロリジニウム、N−オクチル−ピロリジニウム、N−ヘキシル−ピロリジニウム、N−ブチル−ピロリジニウム、N−プロピル−ピロリジニウム、N−エチル−ピロリジニウム、N−メチルピロリジニウム、N−アリル−ピロリジニウム、ピロリジニウム(プロトン化テトラヒドロピロール)、N−デシル−N−メチルモルホリニウム、N−オクチル−N−メチルモルホリニウム、N−ヘキシル−N−メチルモルホリニウム、N−ブチル−N−メチルモルホリニウム、N−プロピル−N−メチルモルホリニウム、N−エチル−N−メチルモルホリニウム、N,N−ジメチルモルホリニウム、N−アリル−N−メチルモルホリニウム、N−デシル−モルホリニウム、N−オクチル−モルホリニウム、N−ヘキシル−モルホリニウム、N−ブチル−モルホリニウム、N−プロピルモルホリニウム、N−エチルモルホリニウム、N−メチルモルホリニウム、N−アリル−モルホリニウム、モルホリニウム(プロトン化1,4−オキサジナン)、N−デシル−N−メチルピペリジニウム、N−オクチル−N−メチルピペリジニウム、N−ヘキシル−N−メチルピペリジニウム、N−ブチル−N−メチルピペリジニウム、N−プロピル−N−メチルピペリジニウム、N−エチル−N−メチルピペリジニウム、N,N−ジメチルピペリジニウム、N−アリル−N−メチルピペリジニウム、N−デシル−ピペリジニウム、N−オクチル−ピペリジニウム、N−ヘキシル−ピペリジニウム、N−ブチル−ピペリジニウム、N−プロピル−ピペリジニウム、N−エチル−ピペリジニウム、N−メチルピペリジニウム、N−アリル−ピペリジニウム、ピペリジニウム(プロトン化されたヘキサヒドロピリジン)である。
【0038】
とりわけ好ましいのは、さらに、イミダゾリウム(プロトン化された1,3−ジアゾール)、1−メチル−イミダゾリウム、1,2−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−イミダゾリウム、1−ビニルイミダゾリウム、1−プロピル−イミダゾリウム、1−イソ−プロピル−イミダゾリウム、1−アリル−イミダゾリウム、1−ブチル−イミダゾリウム、1−エチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ブチル−2−メチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−イミダゾリウム、1−オクチル−イミダゾリウム、1,3−ジメチル−イミダゾリウム、1,2,3−トリメチルイミダゾリウム、1−エチル−3−メチル−イミダゾリウム、1−ビニル−3−メチル−イミダゾリウム、1−ビニル−2,3−ジメチル−イミダゾリウム、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−イソ−プロピル−3−メチルイミダゾリウム、1−アリル−3−メチルイミダゾリウム、1−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−イソ−プロピル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−アリル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−エチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ブチル−2,3−ジメチルイミダゾリウム、1−ヘキシル−3−メチルイミダゾリウム、1−オクチル−3−メチルイミダゾリウム、1−デシル−3−メチルイミダゾリウム、1,3−ジエチルイミダゾリウム、1,3−ジブチルイミダゾリウムである。
【0039】
さらに好ましいのは、強塩基である、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]ノン−5−エン(DBN);1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデカ−7−エン(DBU);1,4−ジアザビシクロ−[2.2.2]−オクタン(DABCO(登録商標));1,8−ビス−(ジメチルアミノ)−ナフタリン(Proton Sponge(登録商標));N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン(TMEDA);4,5−ビス−(ジメチル−アミノ)−フルオレン;1,8−ビス−(ヘキサメチルトリアミノホスファゼニル)ナフタリンのプロトン化された形態である。
【0040】
本明細書において説明されるイオン性液体に対し、さらに、本発明による方法では、5〜95重量%の金属塩[M]xb+[B]ya-を加えてもよく、ここで、a、b、x、yは、互いに独立して、整数1、2、3、または4を表し、xとbの積は、yとaの積に等しい。本明細書において、好ましい金属カチオンは、Cr+2、Cr+3、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Ni+2、Ni+3、Ti+2、Ti+3、Li+、Na+、K+、Cs+、Mg2+、Ca2+、Ba2+、Sr2+、Zr4+、Sn2+、Sn4+、Ag+、Zn2+、およびAl3+であり、とりわけ好ましいのは、Co+2、Co+3、Cu+1、Cu+2、Fe+2、Fe+3、Mn+2、Mn+3、Ti+2、Ti+3、Li+、Na+、K+、Mg2+、Ca2+、Zn2+、およびAl3+である。
【0041】
イオン性液体は、一般に広く認められた文献(例えば、Wasserscheid,Peter;Welton,Tom(Eds.);「Ionic Liquids in Synthesis」,Verlag Wiley−VCH 2003;ISBN 3−527−30515−7;Rogers,Robin D.;Seddon,Kenneth R.(Eds.);「Ionic Liquids−Industrial Applications to Green Chemistry」,ACS Symposium Series 818,2002;ISBN 0841237891)の意味において、100℃未満の融点を有する、有機カチオンと有機または無機アニオンとからなる液体有機塩または塩混合物である。これらの塩には、追加の無機塩が溶解されていてもよく、さらには分子補助剤も溶解されていてもよい。本明細書の意味において、100℃というのは、より広い意味において、イオン性液体の融点における自由裁量によって選択された限界と考えられ、したがって、100℃を超えるが200℃未満である融点を有する溶融塩も含まれる。それらは、それ以外では、その特性において異なっているわけではない。イオン性液体は、非常に興味深い特性(例えば、非常に低い蒸気圧から測定できないほど蒸気圧まで、非常に高い液相線範囲、良好な電気伝導性、ならびに珍しい溶媒和特性など)を有している。これらの特性により、イオン性液体は技術的応用の様々な分野での使用にとって好適である。それらは、例えば、(一般的に、遷移金属触媒作用、生体触媒作用、相関移動触媒作用、多層反応、光化学、ポリマー合成、およびナノテクノロジーにおけるに有機および無機合成のための)溶媒として、(一般的に、液体−液体および液体−気体抽出、粗油の脱硫、廃液からの重金属の除去、液膜抽出における)抽出剤として、(バッテリー、燃料電池、コンデンサー、太陽電池、センサー、ガルバノ技術、電気化学金属処理、一般的に、電気化学合成、電気有機合成、ナノテクノロジーにおける)電解質として、潤滑剤として、熱流体として、ゲルとして、「グリーンケミストリー」における有機合成のための反応剤(揮発性有機化合物の代替物)として、分析学の特殊な用途(ガスクロマトグラフィ、質量分光法、細管電気泳動)における帯電防止剤として、液晶などとして、使用することができる。イオン性液体の使用において、それぞれ、アニオンおよびカチオンの構造またはそれらの組み合わせを変えることによって、より広い範囲内において、それぞれの用途に合わせて特性を最適化することができ、そのため、イオン性液体は、一般的に「デザイナー溶媒」と呼ばれる(例えば、Freemantle,M.;Chem.Eng.News,78,2000,37を参照されたい)。
【0042】
イオン性液体は、有機カチオンと、有機または無機アニオンとからなるため、それらは、高濃度の電荷キャリアを有しており、したがって、電気伝導性である。この理由から、イオン性液体は、非常に広い周波数範囲にわたって非常に高い吸収係数を有する、非常に良好なマイクロ波受容体である(Martinez−Palou R.,Molecular Diversity(2010),14,(1),3−25およびMorris R.E.,Angewandte Chemie,International Edition(2008),47,(3),442−444を参照されたい)。
【0043】
驚くべきことに、イオン性液体が接着剤配合物に加えられる場合、一般的に典型的な接着剤配合物の高い〜非常に高い粘度にもかかわらず、素晴らしい特性が、接着プロセスの前および間に保持されるであろうことが見出された。さらに、大きな有機イオンを有する(したがって、電荷キャリアの密度が低い)イオン性液体でさえ、その吸収は、小さいイオンを有し電荷キャリアのより高い密度を有するイオン性液体より、わずかしか低くないことも見出された。したがって、イオン性液体は、容易に化学的に官能化することもでき、この場合、特に、接着剤と同一であるかもしくは類似する官能性が関心対象であり、そのため、官能化されたイオン性液体は、硬化した接着剤マトリックス中に組み入れられ、したがって、「充填剤」ではなく、むしろマトリックスの一部であろう。さらに、優れたマイクロ波カップリング特性を接着剤に付与するには、少量のイオン性液体を加えるだけで十分であり、原則として、この目的のためには、数質量パーセントで十分であることも見出された。
【0044】
以下の例において、本発明の特定の実施形態についてより詳細に説明する。
【実施例1】
【0045】
3グラムの2種のイオン性液体1−エチル−3−メチルイミダゾリウム−メタンスルホネート(「EMIM−MeSO3」、CAS 145022−45−3、モル質量206.3g/mol)およびメチルトリオクチルアンモニウム−メタンスルホネート(「TOMA−MeSO3」、CAS 84679−79−8、モル質量463.8g/mol)を、10mlの石英マイクロ波容器において、激しく撹拌しながら、2.45GHzならびに10Wおよび50Wの一定のパワーにおいて、Anton Paar Monowave 300のマイクロ波を使用して照射した。光ファイバープローブにより、温度経過を測定し、図1に示す結果が得られた。
【0046】
図1には、それぞれ、10Wのマイクロ波パワーによる3gのEMIM−MeSO3およびTOMA−MeSO3への照射の結果が示されている。上側の曲線はTOMA−MeSO3を表し、下側の曲線はEMIM−MeSO3を表している。
【0047】
図2には、それぞれ、50Wのマイクロ波パワーによる3gのEMIM−MeSO3およびTOMA−MeSO3への照射の結果が示されており、この場合、300℃に達すると、照射を止めた。左側の曲線はEMIM−MeSO3を表し、右側の曲線はTOMA−MeSO3を表している。
【0048】
EMIM−MeSO3は、芳香族カチオンおよびかなり低い粘度(100℃において11mPa・s)を有する、水に十分に可溶なイオン性液体であり、その一方で、TOMA−MeSO3は、疎水性の純粋な脂肪族であり、(すなわち、大きなモル質量にも起因して)かなり高い粘度(100℃において83mPa・s)を示す。図1および図2から分かるように、両方のイオン性液体は、それらのモル質量および粘度が大きく異なっているにもかかわらず、ほぼ同一の優れたマイクロ波カップリング挙動を示しており、したがって、これらは、電荷キャリアの密度およびカチオンの構造にほとんど依存しない。
【実施例2】
【0049】
以下の3つの試料に対し、実験1と同じ条件下で、50Wの一定パワーにおいてマイクロ波を照射した:
1. 3mlの1,4−ジオキサン
2. 3mlの1,4−ジオキサン中に懸濁した、微細粉末としての100mgのPE193(30重量%の炭素粒子を含むポリブタジエン)
3. 3mlの1,4−ジオキサンに溶解させた5mgのTOMA−MeSO3
【0050】
これに関して、1,4−ジオキサンは、それぞれ、ある程度、マイクロ波透過性溶媒もしくは懸濁媒体としての役割を果たし、イオン性液体に溶解させることも可能である。図3は、3つの試料の加熱プロファイルを示しており:溶媒1,4−ジオキサンならびに炭素粒子含有ポリマーは中程度のマイクロ波カップリングを示す。しかしながら、30mgの炭素粒子を含有するポリマーと比較して、5mgのイオン性液体TOMA−MeSO3のみは、完全に異なる挙動を示しており、十分に速い加熱性が得られている。これは、炭素粒子(カーボンブラック)が加えられたポリマーとイオン性液体との加熱プロファイルの比較を示している図3から明白である。一番上の曲線はTOMA−MeSO3を示しており、中間の曲線はPE193を示しており、一番下の曲線はジオキサンを示している。
【実施例3】
【0051】
市販のホットメルト接着剤(「UHU Klebepatronen」、製品番号47865、UHU GmbH & Co.KG)を乾燥キャビネットにおいて200℃で液化させ、実施例1において説明したのと同じイオン性液体(EMIM−MeSO3およびTOMA−MeSO3)の5重量%と均一に混合した。液体試料を円筒形の10mLのマイクロ波容器に装入し、再び、室温まで冷却した。次いで、試料を、単一モードのマイクロ波装置(Monowave 300、Anton Paar GmbH)において、50Wの一定のマイクロ波パワーにおいて5分間照射し、温度は、IRセンサーを使用して、マイクロ波容器の外壁において測定した。図4には、個々の照射実験の加熱プロファイルが示されており:5分後、容器の壁において測定された温度は、70℃(未処理のホットメルト接着剤)、170℃(5重量%のEMIM−MeSO3)、および105℃(5重量%のTOMA−MeSO3)であった。ホットメルト接着剤は、いかなる添加剤も用いずに、マイクロ波照射を用いて加熱することができるが、しかしながら、イオン性液体の添加により、著しく高い加熱速度が得られることも明確に示されている。室温において液体として存在するEMIM−MeSO3の場合、加熱速度は、TOMA−MeSO3よりもさらに速く、約60℃で溶融し始めるであろう。TOMA−MeSO3が溶融するとすぐに、この混合物の加熱速度も増加するであろう(図4のTOMA−MeSO3の加熱プロファイルを参照されたい)。マイクロ波照射に晒された試料は、マイクロ波場との直接相互作用により加熱され(「インコア加熱」)、それにより、試料は、内側から外側に向かって加熱される。従来の加熱処理では、熱の導入は、外部熱源によって、最初は試料容器において実現され、次いで、加熱される試料において実現されるであろう。この理由で、IRセンサーを用いて外壁において測定された温度は、容器では外側より内側の方が温度が高く、実際の温度条件を時間的に遅延して反映し得ることは想定されるべきである。マイクロ波を使用する実験に続いて、3つの試料を、再び、乾燥キャビネットにおいて200℃で慣習的に液化し、ガラス(光学顕微鏡用の市販の標本スライドガラス)および、紙(市販の複写紙)を使用して接着試験を実施し、この場合、試料材料の2つの層の間に液体ホットメルト接着剤の数滴をそれぞれ適用し、手動において試料材料に圧力を適用し(圧着)、冷却されるまで数分間を要した。イオン性液体で処理したホットメルト接着剤における、触覚的に検知できる接着力は、未処理の元の試料と比較して差はなかった。
【実施例4】
【0052】
イオン性液体による熱可塑性材料のマイクロ波誘発溶接を調べるために、例えば真空下での食品のパッケージなどに使用される市販の真空シールホイル(熱真空シール、「バキューミング」)を使用した。このために、2つのホイル片(75×25mm)の間にEMIM−MeSO3の液滴を導入し、ある特定の接触圧力を加えて、ホイルの互いの接触を確実にするためにマイクロ波透過ガラスプレートの間において固定した。試験設定の概略図を図5に示す((1)ガラスプレート、(2)熱可塑性ホイル、(3)EMIM−MeSO3)。照射されるべき系に、2450MHzの周波数において作動させた市販の電子レンジ(Samsung ME711K、Samsung Electronics U.K. Ltd.)において照射した。装置のマイクロ波パワーは、100から800の間において自由に選択することができ、20Lのキャビティ内に回転式プレートが配置されており、これが、試料へのマイクロ波照射のある程度の均一な分配を確実にする。第一試験手順では、ホイル片を、イオン性液体を用いずに、2つのガラスプレートの間において接触させ、800Wのマグネトロンパワーにおいて150秒間照射した。照射された系は全体的にわずかに加熱されるが、熱可塑性ホイルは互いに融合はされないということが見出された。さらなる試験手順では、図5に表されているように、EMIM−MeSO3の液滴を、2つのホイルの間に導入し、これらを、2つのガラスプレートによって接触させ、前と同じマイクロ波パワー(800W)において30秒間照射した。照射後、前にイオン性液体の液滴を適用したまさにその領域において、熱可塑性ホイルが互いに融合した。したがって、2つのホイル片が互いに溶接する程度に、選択的に非常に短い時間内において、イオン性液体の液滴を加熱することが可能である。EMIM−MeSO3が適用されていない、熱可塑性プラスチックの領域は、変化の無いままであり、すなわち、それらは、互いに融合しなかった。
【0053】
したがって、接着剤、マイクロ波透過性材料を加熱する必要なく、ほぼその場において接着領域を選択的にかつ非常に急速に加熱することが可能であるため、言及された高温を許容しないであろうそのような材料を一緒に接着することが可能である。
【0054】
マイクロ波吸収性の粒子ベースの材料とは対照的に、もはや数十%の範囲の大量を加える必要はなく、0.01〜15重量%、好ましくは0.01〜5重量%の範囲の量で十分である。
【0055】
イオン性液体の大部分は無色から淡黄色であり、均一相に含まれ得るので、それらは、ほぼ黒色である粒子とは対照的に、光学的外観を妨げないであろう。
【0056】
好適なイオン性液体は、化学的に官能化することができ、この場合、特に、接着剤モノマーの官能性と同一または類似する官能性が関心対象であり、そのため、官能化されたイオン性液体は、硬化させた接着剤マトリックス中に組み入れられ、したがって、「充填剤」ではなくむしろマトリックスの一部であり、それらの剛性に貢献するであろう。そのような官能化されたイオン性液体は、潜在的に、反応性接着剤において接着剤モノマーとしても使用することができ、そのため、硬化プロセスの間にポリマー性のイオン性液体が生成されるであろう。
【0057】
とりわけ好ましい化学官能化は、−ORc、−SRc、−NRcd、−CORc、−COORc、−CO−NRcd、アクリレート、メタクリレート、シアノアクリレート、エポキシド、ビニル、ビニルエーテル、ビニルエステル、スチレン、アリル、フェノール、アルキルフェノール、ケトン、アミドアミン、尿素、ウレタン、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、イソシアネート、ジカルボン酸無水物、レゾルシノール、メラミン、シロキサン、アルコキシシロキサンであり、式中、RcおよびRdは、互いに独立して、水素、C1〜C6−アルキル、C1〜C6−ハロゲンアルキル、シクロペンチル、シクロヘキシル、フェニル、トリル、またはベンジルを表す。
【0058】
原則として、本発明によれば、概して、上記において説明される接着剤に対して、任意の種類のイオン性液体のポリマーを、マイクロ波受容体として加えることができるが、ただし、それらが、それぞれ、接着剤混合物に可溶性であるか、またはそれらの中でゲル化することができ、結果として、均一に分配することができる場合に限る。
【0059】
イオン性液体は、接着剤混合物に溶解させるかまたはゲル化させることもでき、それらは、コロイド状においてまたは乳化形態において存在し得る。それらが、例えば、現在支配的な周囲温度を超える融点を有しているが、温度の増加により、接着プロセスの間に液化し得る場合、それらは、固体粒子として懸濁させることもできる。この温度増加は、マイクロ波によって誘起され得るか、または、慣習的な理由を有し得るか、または反応熱に由来し得る。
【0060】
イオン性液体は、純粋な材料であっても、または様々なイオン性液体の混合物であってもよく、および/または、さらに、例えば、電荷キャリアの密度を増加させるため、およびマイクロ波カップリング挙動を増加させるために、有機もしくは無機塩を溶解させてもよい。
【0061】
イオン性液体は、熱可塑性材料の溶融を引き起こし、その結果として溶接プロセスを実行するために、一緒に接着される熱可塑性材料の間、または接着される熱可塑性材料と別の材料との間に薄層として、それぞれ、適用、導入、または注入してもよい。
【0062】
説明される全てのプロセスにおいて、互いに対する被工作物の適度な接触圧力は、最重要である。
【0063】
言及された利点から、イオン性液体もしくは官能化されたイオン性液体が添加されている接着剤を、「まるで命令されたかのように」、局所的に制限して、非常に正確に、かつ非常に迅速に、被工作物全体を加熱する必要なく、高温に加熱することが可能である。これは、被工作物を保護し、接着プロセスを促進し、エネルギーを節約し、ならびに反応性接着剤における高い最終的剛性へと導くであろう。
【0064】
例えば、複雑な被工作物の組み立ての際などに、接着剤が既に適用されており、接着剤が後でマイクロ波照射を用いて活性化される場合、アクセスできない領域においても、接着接続を実現することができる。このタイプの慣用的な方法は、例えば、自動車製造において使用されており(「スポット溶接接着」)、この場合、接着剤によって一緒に接着される部品は、スポット溶接によって固定されるが、接着プロセスを活性化させて高い剛性を得るために、被工作物全体は加熱する必要はない。
【0065】
ホットメルト接着剤による接合は、後で、被工作物全体を加熱する必要なく、迅速にかつ注意深く離すことができる。
【0066】
マイクロ波レーザー(「MASER」)を使用することにより、空間的に解決される方法において、イオン性液体を含む接着剤を活性化させることが可能であり、したがって、例えば、2Dおよび3D構造化された接着剤接続および/または非常に小さい接着剤接続を得ることが可能である。
図1
図2
図3
図4
図5