特許第6483131号(P6483131)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483131ディスペンサーのための保護キャップ、及び医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するための放出装置
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483131
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】ディスペンサーのための保護キャップ、及び医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するための放出装置
(51)【国際特許分類】
   B65D 55/02 20060101AFI20190304BHJP
   B65D 83/00 20060101ALI20190304BHJP
   A61J 1/05 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B65D55/02
   B65D83/00 G
   A61J1/05 313
【請求項の数】7
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2016-539922(P2016-539922)
(86)(22)【出願日】2014年12月16日
(65)【公表番号】特表2017-507082(P2017-507082A)
(43)【公表日】2017年3月16日
(86)【国際出願番号】EP2014078048
(87)【国際公開番号】WO2015091539
(87)【国際公開日】20150625
【審査請求日】2017年11月6日
(31)【優先権主張番号】14/108,449
(32)【優先日】2013年12月17日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】512245713
【氏名又は名称】アプタル ラドルフツエル ゲーエムベーハ
(74)【代理人】
【識別番号】100103816
【弁理士】
【氏名又は名称】風早 信昭
(74)【代理人】
【識別番号】100120927
【弁理士】
【氏名又は名称】浅野 典子
(72)【発明者】
【氏名】ヴォシェレ, マティアス
(72)【発明者】
【氏名】シャンカー, サイ
(72)【発明者】
【氏名】マッラレ, アントニオ オー.
【審査官】 佐藤 正宗
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2013/140069(WO,A1)
【文献】 実開昭56−141161(JP,U)
【文献】 特開2010−163180(JP,A)
【文献】 実公昭46−024147(JP,Y1)
【文献】 特開昭51−106583(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2003/0062329(US,A1)
【文献】 独国特許出願公開第102011086755(DE,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 55/02
A61J 1/05
B65D 83/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医薬液体及び/又は化粧品液体(4)を放出するためのディスペンサー(2)のための保護キャップであって、ディスペンサー(2)が、
− ハウジング、
− 液体貯蔵器(21)、及び
− ハウジングに与えられた出口開口(24)であって、それを通して液体(4)が周囲雰囲気中に放出されることができるもの、
を有し、
− 保護キャップ(3)が、繰り返されるハウジングからの脱着及びハウジングへの取り付けのために与えられ、かつ外部キャップ(31)と、その中に挿入された内部要素(32)とを含み、
− 保護キャップ(3)の内部と外部環境の間の連通を与える少なくとも一つの換気通路(33)が、外部キャップ(31)と内部要素(32)の間に形成され、
− 保護キャップ(3)が、最初の使用前に保護キャップ(3)から不可逆的に分離される遮断要素をさらに含み、それによって少なくとも一つの換気通路(33)が、気密でかつ耐菌性になるように閉鎖され
保護キャップが、最初の使用前に不可逆的に除去される第一部分(301)を有する不正操作明示安全装置(30)を含み、除去される第一部分(301)が遮断要素として作用し、少なくとも一つの換気通路(33)が、第一部分(301)の除去前に第一部分(301)によって気密でかつ耐菌性になるように閉鎖される。
【請求項2】
不正操作明示安全装置(30)が、第一部分(301)及び第二部分(302)を有し、第一部分(301)が、予め決められた破壊点(305,306)によって第二部分(302)及び外部キャップ(31)に接続される、請求項に記載の保護キャップ。
【請求項3】
内部要素(32)が二つの封止領域(321,322)を有し、それらが軸方向に離間されかつディスペンサー(2)との接触をもたらす、請求項1に記載の保護キャップ。
【請求項4】
保護キャップ(3)が、使用時に出口開口(24)に載る吸収体要素(5)を有する、請求項1に記載の保護キャップ。
【請求項5】
医薬液体及び/又は化粧品液体(4)を放出するためのディスペンサー(2)と、保護キャップ(3)とを含む放出装置であって、
ディスペンサー(2)が、ハウジングと、液体貯蔵器(21)と、ハウジングに与えられた出口開口(24)とを有し、出口開口(24)を通して液体(4)が周囲雰囲気中に放出されることができ、
保護キャップ(3)が、繰り返されるハウジングからの脱着及びハウジングへの取り付けのために与えられ、
保護キャップ(3)が、外部キャップ(31)と、その中に挿入された内部要素(32)とを有し、保護キャップ(3)の内部と外部環境の間の連通を与える少なくとも一つの換気通路(33)が、外部キャップ(31)と内部要素(32)の間に形成され、
保護キャップ(3)が、最初の使用前に保護キャップ(3)から不可逆的に分離される遮断要素をさらに有し、それによって少なくとも一つの換気通路(33)が、気密でかつ耐菌性になるように閉鎖され
保護キャップが、最初の使用前に不可逆的に除去される第一部分(301)を有する不正操作明示安全装置(30)を含み、除去される第一部分(301)が遮断要素として作用し、少なくとも一つの換気通路(33)が、第一部分(301)の除去前に第一部分(301)によって気密でかつ耐菌性になるように閉鎖される。
【請求項6】
不正操作明示安全装置(30)が、最初の使用前に不可逆的に除去される第一部分(301)を与えられ、除去される第一部分(301)が、遮断要素として作用し、除去前に、ディスペンサー(2)のハウジング、特に出口集成体(22)のハウジング(220)を気密でかつ耐菌性になるように封止しながら圧迫し、少なくとも一つの換気通路(33)が、第一部分(301)の除去前に第一部分(301)によって気密でかつ耐菌性になるように閉鎖される、請求項に記載の放出装置。
【請求項7】
出口通路(23)と出口弁(25)をさらに含む、請求項に記載の放出装置であって、出口通路(23)が、液体貯蔵器(21)を出口開口(24)に接続し、出口弁(25)が、圧力に依存して開放するか又は手動で作動されることができ、出口弁(25)が、出口通路(23)に配置され、閉鎖状態において、出口通路(23)を閉鎖する、放出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスペンサーのための保護キャップ、及び医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するためのディスペンサーを含む放出装置に関する。この種のディスペンサーは、液体貯蔵器及び出口開口を含み、この出口開口を通して液体が周囲雰囲気中に放出されることができる。
【0002】
液体貯蔵器中に貯蔵されている液体は、放出のために出口開口の方向に供給される。これは、多くの異なるメカニズムを使用して行なわれることができる。従って、液体貯蔵器は、圧搾ボトルとして設計されることができ、その内容物は、壁の変形によって圧力下に置かれることができる。また、別個のポンプ装置を使用することもできる。
【背景技術】
【0003】
問題のこの種のディスペンサーは、従来技術から、例えばDE102011086755A1から公知である。DE102011086755A1に示されたディスペンサーは、液体貯蔵器を出口開口に接続する出口通路と、圧力に依存して開放するか又は手動で作動されることができ、出口通路に配置される出口弁とを含み、出口弁は、閉鎖状態において、出口通路を閉鎖する。出口弁は、出口通路を第一部分と第二部分に分割し、第二部分は、出口開口に隣接し、液体貯蔵器の方向に出口弁まで延びる。他の構成では、第二部分は、出口開口の液滴形成表面に相当する。
【0004】
各場合において、出口弁は、それが閉鎖された後、液体貯蔵器から離れる出口弁の側の出口通路の第二部分中に通過した液体、又は出口通路の外側の出口開口のまわりの領域に残留した液体は、ディスペンサーの中に吸い戻されることができないという効果を持つ。それによって、液体貯蔵器の内容物が、吸い戻された液体残留物によって汚染される可能性が防止される。従って、残留液体は、外側から接近可能な領域に残存する。雰囲気と接触すると、残留液体は、迅速に乾燥する。
【0005】
保護キャップがディスペンサーの上に嵌合されるときであっても残留液体の迅速な乾燥を可能にするために、DE102011086755A1は、換気開口を有するディスペンサーの保護キャップを提供することを開示する。この換気開口は、残留液体が残存しうる領域と外部環境との間に永続的な接続を形成する。しかし、それらの部分のための換気開口は、汚染を再度生じる可能性がある。
【0006】
汚染を回避するために、DE102011086755A1は、放出方向で見ると出口弁の下流の出口通路の表面、及び/又は出口開口を包囲するハウジングの外部表面は、抗菌性であるように設計され、この抗菌性状態は、もっぱらこれらの表面に限定されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明の目的は、ディスペンサーのための保護キャップであって、迅速な乾燥を可能にし、かつ保護キャップ中への微生物の侵入の問題を軽減する保護キャップを利用可能にすることである。また、本発明の目的は、対応する保護キャップを有するディスペンサーを含む放出装置を利用可能にすることである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第一の側面によれば、医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するためのディスペンサーのための保護キャップが提供され、保護キャップが、外部キャップと、その中に挿入された内部要素とを含み、保護キャップの内部と外部環境の間の連通を与える少なくとも一つの換気開口が、外部キャップと内部要素の間に形成され、保護キャップが、最初の使用前に保護キャップから不可逆的に分離される遮断要素をさらに含み、それによって少なくとも一つの換気通路が、気密でかつ耐菌性であるように閉鎖される。
【0009】
第二の側面によれば、医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するためのディスペンサーのための保護キャップが提供され、保護キャップが、外部キャップと、その中に挿入された内部要素とを含み、外部キャップが、保護キャップの内部と外部環境の間の連通のための少なくとも一つの換気開口を有し、内部要素が、少なくとも遮断位置と隙間位置の間で外部キャップに対して調整可能であるように配置され、遮断位置において、少なくとも一つの換気開口が、内部要素によって気密でかつ耐菌性であるように閉鎖され、隙間位置において、少なくとも一つの換気開口が、内部を外部環境に接続する。
【0010】
第三の側面によれば、医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するためのディスペンサーと、保護キャップとを含む放出装置が提供され、ディスペンサーが、液体貯蔵器と、出口開口とを有し、出口開口を通して液体が周囲雰囲気中に放出されることができ、保護キャップが、外部キャップと、その中に挿入された内部要素とを有し、保護キャップの内部と外部環境の間の連通を与える少なくとも一つの換気通路が、外部キャップと内部要素の間に形成され、保護キャップが、最初の使用前に保護キャップから不可逆的に分離される遮断要素を有し、それによって少なくとも一つの換気通路が、気密でかつ耐菌性になるように閉鎖されている。
【0011】
第四の側面によれば、医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するためのディスペンサーと、保護キャップとを含む放出装置が提供され、ディスペンサーが、液体貯蔵器と、出口開口を有し、出口開口を通して液体が周囲雰囲気中に放出されることができ、保護キャップが、外部キャップと、その中に挿入された内部要素とを有し、外部キャップが、保護キャップの内部と外部環境の間の連通のための少なくとも一つの換気開口を有し、内部要素が、少なくとも遮断位置と隙間位置の間で外部キャップに対して調整可能であるように配置され、遮断位置において、少なくとも一つの換気開口が、内部要素によって気密でかつ耐菌性になるように閉鎖され、隙間位置において、少なくとも一つの換気開口が、内部を外部環境に接続する。
【0012】
残留液体の迅速な乾燥は、保護キャップの内部と外部環境の間の連通によって達成される。本発明はまた、最初の使用前で貯蔵、輸送等時に、微生物が経時的に保護キャップ上に集まりうるという知識に基づく。集まった微生物の量は、特に最初の使用前の期間及び外部環境の微生物負荷に依存する。もし微生物が集まるのを放置するなら、これは、微生物が換気開口を介して保護キャップの内部に入ることを導きうる。
【0013】
本発明に従って提供される保護キャップは、ハウジング上に与えられた出口開口へアクセスするためにディスペンサーのハウジングから分離されることができるキャップである。放出装置の使用後、キャップは、出口開口をカバーするために再びハウジングに固定されることができる。
【0014】
本発明による保護キャップは、外部キャップと、外部キャップの中に挿入された内部要素とを含む。これらの二つの構成要素は、一緒に取り扱われるために互いに付着されることができる。この付着は、例えばプラグ接続として又はフォームロック接合(form−locked join)として作られることができる。通常、放出装置の使用者は、工具及び/又は破壊的力を使用せずに外部キャップから内部要素を分離することができないはずである。
【0015】
本発明の意味における微生物(germs)は、全ての微生物病原菌、特に細菌及びウイルスとして理解されるべきである。本願の文脈において、耐菌性で気密の閉鎖又は耐菌性で気密の封止は、通常又は標準条件下でのディスペンサーの貯蔵時に10−6mbar l/sより小さいか又はそれに等しい漏れ率がある封止として理解されるべきである。微生物に対する不透過性の試験は、例えばDIN 58953に従って実施される。他の実施形態では、封止要素は、標準規格DIN EN ISO 11607,DIN EN 868の条件が合致するような方法で設計される。
【0016】
ディスペンサーは、特に保存剤が入れられていない眼科用剤のために好適である。一つの実施形態では、ディスペンサーは、液体貯蔵器を出口開口に接続する出口通路と、圧力に依存して開放するか又は手動で作動されることができ、出口通路に配置される出口弁とを含み、出口弁は、閉鎖状態において出口通路を閉鎖する。出口弁は、液体貯蔵器中への微生物の侵入を防止する。出口弁は、圧力に依存して開放し、液体貯蔵器における液体の圧力、又はそこから除去される部分量の圧力によって開放され、外部環境に対して対応する過度の圧力が終わるとすぐに自動的に閉鎖する出口弁であることが好ましい。しかしながら、他のタイプの弁もまた、ここでは原理的に使用されることができる。例えば、液体貯蔵器中の液体が永続的に圧力下にあり、ディスペンサーがハンドルを介して操作され、その手動作動が出口弁を開放することができる。出口弁は、放出された液体が液体貯蔵器中に吸い戻されることを防止する。
【0017】
第一の側面によれば、外部キャップと内部要素の間に封止可能な換気通路が形成される。換気通路の簡単な設計がこのようにして可能である。一つの実施形態では、換気通路は、外部キャップの内部表面及び/又は内部要素の外部表面上の溝によって形成され、その溝は、半径方向の部分同士の接続で閉鎖される。溝の形状、サイズ及び/又はプロファイルは、特定の使用のために好適であるように選択されるだろう。一つの実施形態では、溝は、外部キャップの長手方向に延びることができる。他の実施形態では、溝は、外部キャップと内部要素の間で螺旋形状に延びる。有利な実施形態では、外部キャップがスリーブ形状部分と、それに接続されたカバー部分とを含むことができる。有利な実施形態では、内部要素は、内部スリーブとして設計され、それは、スリーブ形状部分中に挿入される。他の実施形態では、内部要素は、同様にカバー部分を有するキャップとして設計され、貫通開口が、内部と換気通路の間の連通のために与えられる。
【0018】
一つの実施形態では、換気通路が形成され、それは、遮断要素によって内部と連通する第一部分と外部環境と連通する第二部分に分割される。有利な実施形態では、遮断要素は、除去前に換気通路の口を閉鎖する。一つの実施形態では、遮断要素の除去後に内部の十分な換気を確保するために複数の換気通路が与えられ、その換気通路は、全て遮断要素の領域において開放され、従って全て共通の遮断要素によって閉鎖される。
【0019】
一つの実施形態では、保護キャップは、最初の使用前に不可逆的に除去される第一部分を有する不正操作明示安全装置を含み、除去される第一部分が、遮断要素として作用し、少なくとも一つの換気通路が、第一部分の除去前に第一部分によって気密でかつ耐菌性になるように閉鎖される。
【0020】
少なくとも部分的に除去される不正操作明示安全装置、より正確には最初の使用前に不可逆的に除去される第一部分によって、最初の使用前に少なくとも一つの換気通路を介する保護キャップの内部への微生物の侵入が、貯蔵、輸送などに関してこの目的のために特別な予防措置をとる必要なしで防止される。換言すれば、最初の使用前に、不正操作明示安全装置は、貯蔵、輸送などの時にディスペンサー上に、そして保護キャップの内部に経時的に微生物が集まることを防止する。最初の使用前に、不正操作明示安全装置が除去されなければならない。なぜならそれは、そうでなければディスペンサーの使用を妨げるからであり、特にそれは、ディスペンサーから保護キャップの引き離しを防止するからである。第一部分は、不可逆的に除去される。保護キャップの続く使用では、内部と外部環境の間の連通が換気通路を介して与えられ、残留液体の迅速な乾燥を可能にする。ディスペンサーの短期間の使用のため、最初の使用後の微生物の可能な侵入は一般的に重要ではない。
【0021】
有利な実施形態では、不正操作明示安全装置は、第一部分及び第二部分を有し、第一部分は、予め決められた破壊点によって第二部分及び外部キャップに接続される。これらの部分は、それぞれディスペンサーを包囲する環状要素として設計されることが好ましい。第一部分は、引裂開放タブを有することが好ましい。有利な実施形態では、第二部分は、ディスペンサー上に締結するための締結要素を有し、締結された接続は、不正操作明示安全装置及び/又はディスペンサーもしくはその部分の破壊でのみ緩めることができる。他の実施形態では、第二部分は、ディスペンサーに一体的に結合され、従って分離は、破壊でのみ可能である。本願の文脈において、破壊はまた、目に見える変形又はその類似を示す。破壊の結果として、ディスペンサーがその元の状態でないこと、そして貯蔵された液体の品質が保証されないことがいかなる場合においても使用者に明らかである。
【0022】
有利な実施形態では、両部分及び外部キャップは、例えば射出成形部分としてワンピースで形成されている。他の実施形態では、予め決められた破壊点で接続される個々の要素が与えられる。
【0023】
有利な実施形態では、不正操作明示安全装置の第一部分は、ディスペンサーのハウジングに対して、特に出口集成体のハウジングに対して気密でかつ耐菌性になるように封止しながら圧迫する。出口集成体は、液体貯蔵器上に装着されることができ、かつ出口開口、及び出口弁(もしあれば)を含む集成体である。一つの実施形態では、空気及び微生物に対する不透過性は、ハウジングと第一部分の間のクランプ力によって与えられ、クランプ力は、弾性的に変形された部分及び/又はハウジングの復元力によって付与されることが好ましい。他の実施形態では、弾性封止要素は、弾性的に変形された部分とハウジングの間に与えられる。
【0024】
有利な実施形態では、内部要素は、二つの封止領域を含み、それらは、軸方向に離間され、かつディスペンサーと接触する。この種の設計は、液体貯蔵器のための圧力補償開口を有するディスペンサーのために特に有利であり、その開口を介して液体貯蔵器が圧力補償のために外部環境と連通する。保護キャップの使用中、圧力補償開口が、二つの封止領域の間に配置され、圧力補償開口が外部環境に対して及び出口開口に対して(従って、間接的に外部環境に対して)封止される。従って、圧力補償開口を介する微生物の侵入及び/又は乾燥が防止される。
【0025】
第二の態様によれば、内部要素は、外部キャップに対して調整可能であり、特に長手方向軸のまわりに回転可能であり、一つの位置では、それは、外部キャップの換気開口を閉鎖し、その開口を介して外部キャップの内部が、外部環境と連通する。一つの実施形態では、換気開口は、換気通路として設計され、他の実施形態では、保護キャップの壁における開口として設計される。一つの実施形態では、保護キャップに対して長手方向軸のまわりに回転可能である内部要素を得るために、内部スリーブ又は内部キャップが与えられ、それは、外部キャップに対して長手方向軸のまわりに回転するように外部キャップの中に挿入される。有利な実施形態では、少なくとも一つの換気開口が内部要素によって気密でかつ耐菌性になるように閉鎖される遮断位置から、少なくとも一つの換気開口が内部を外部環境に接続する隙間位置への回転移動は逆にできない。従って、内部要素が隙間位置に回転された後、内部は、換気開口を介して外部環境に永続的に接続される。
【0026】
一つの発展例では、保護キャップは、使用時に出口開口に載る吸収体要素を有する。吸収体要素は、残留液滴を吸収しかつ分散することによってディスペンサーを乾燥することを助ける。吸収体要素は、例えばスポンジ状要素、不織布又は膜として設計される。
【図面の簡単な説明】
【0027】
本発明のさらなる利点及び側面は、請求項からだけでなく、図面を参照して以下に説明される本発明の好ましい図示実施形態の以下の記載からも明らかになるだろう。同じ参照符号は、図面において同一又は同様の構成要素に対して使用される。一つの図示実施形態の部分として記載又は示される特徴は、本発明のさらなる構成を得るために別の図示実施形態において同様に使用されることができる。
図1図1は、医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するためのディスペンサーの横断面図を示す。
図2-3】図2は、ディスペンサー及び保護キャップを含む放出装置の第一実施形態の透視全体図を示す。図3は、図2による放出装置の横断面図を示す。
図4-5】図4は、ディスペンサー及び保護キャップを含む放出装置の第二実施形態の透視全体図を示す。図5は、図4による放出装置の横断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、まず医薬液体及び/又は化粧品液体を放出するためのディスペンサー2を示し、そのディスペンサーは、特に保存剤の入っていない眼科製剤のために好適である。
【0029】
このディスペンサー2は、容器本体20によって画定されている液体貯蔵器21を有する。液体4は、液体貯蔵器21の中に貯蔵されている。ハウジング220を有する出口集成体22は、容器本体20の上に装着され、示された図示実施形態のハウジング220は、締結接続によって容器本体20上に固定されている。この出口集成体22は、液体貯蔵器21から出口通路23を通して出口開口24に液体を運ぶ目的のために作用する。示された出口開口24は、液滴形成表面として設計されており、放出方向に円錐状に幅広になっている。
【0030】
図1の図では、断面は、出口通路23の最終部分しか示していないことを意味する。出口通路23には出口弁25が配置されており、この出口弁25は、閉鎖状態において出口通路23を閉鎖する。従って、放出方向に出口弁25の下流に位置された液体は、液体貯蔵器21中に戻ることができない。示された出口弁25は、弁体27を含み、この弁体27は、回復ばね26の力に対抗するように調整可能であり、ハウジング壁に形成された弁座28と協働する。圧力補償のための液体貯蔵器21中への空気の内側の流れは、圧力補償開口29及びフィルター要素290を介して行なわれ、圧力補償開口29は、通路(図示せず)を介してフィルター要素290と連通する。有利な実施形態では、フィルター要素290は、液体貯蔵器21の方向に配向された液体フィルター、及び液体貯蔵器21から離れる方向に配向された細菌フィルターを含む。細菌フィルターは、約0.2μmの分離限界を有し、従って、約0.2〜約5μmの寸法の細菌は、細菌フィルターによって安全に抑止される。
【0031】
示されたディスペンサー2は、圧搾ボトルとして設計される。このディスペンサー2は、出口開口24が下方に面するように上下を逆に配置することによって使用される。次いで、容器本体20の壁は、一緒に圧搾されて、液体貯蔵器21中の液体4に圧力を付与する。この圧力は、出口弁25を開放させる。より正確には、出口弁25の上流の出口通路23の部分の液体圧力が十分に高まるとすぐに、弁体27は、この圧力によって回復ばね26の力に対抗して移動され、出口開口24の方向の、液体のための経路を解放する。
【0032】
放出後、出口弁25は再度閉鎖される。一般的に、液体の残り(いわゆる残留液滴)が、液滴形成表面として設計された出口開口24に、及び出口開口24に割り当てられかつ放出方向に出口弁25の下流に位置された出口通路23の一部に残留する。液体貯蔵器21中へ戻る流れは、圧力に依存して開放する出口弁25のために可能でない。保護キャップを嵌合しなければ、残留液滴は、素早く乾燥することができる。
【0033】
図2及び3は、図1によるディスペンサー2、及び不可逆的に除去可能な遮断要素を有する保護キャップ3を含む放出装置1の第一実施形態の透視全体図及び断面図をそれぞれ示す。ディスペンサー2の記載については、上記を参照されたい。
【0034】
保護キャップ3は、不正操作明示安全装置30、不正操作明示安全装置30とワンピースで形成された外部キャップ31、及び外部キャップ31中に挿入された内部要素32を有する。外部キャップ31とその中に挿入された内部要素32の間に、換気通路33が形成され、かくして保護キャップ3の内部と外部環境との連通をもたらし、従って保護キャップ3が嵌合されるときであっても迅速な乾燥を可能にする。換気通路33を通る空気流れが矢印Iによって概略的に示されている。換気通路33は、好ましくは外部キャップ31上及び/又は内部通路32上の通路又は溝によって形成され、その通路又は溝は、第二要素によって閉鎖される。一つの実施形態では、多数の通路又は溝が与えられ、それらは、ディスペンサー2の軸方向に延び、それらは、挿入される多数の平行な換気口を形成する。
【0035】
外部キャップ31は、スリーブ形状部分310及びカバー要素311を有する。示された内部要素32は、内部スリーブとして設計される。内部スリーブは、外部キャップ31のスリーブ形状部分310中に挿入され、容器本体20から離れる端で外部キャップ31の上に締結される。示された図示実施形態では、この目的のための外部キャップ31は、カバー要素311から突出する環状ウェブ312を有する。ウェブ312は、スリーブ形状部分310とともに、内部スリーブの端が中に挿入されるスリットを形成する。
【0036】
容器本体20から離れる内部要素32の端には、吸収体要素5も与えられ、それは、示されているように保護キャップの使用時に出口開口24上に載り、吸収体要素5は、換気通路33の方向に空気透過性の態様で内部要素32を閉鎖する。
【0037】
示された不正操作明示安全装置30は、最初の使用前に不可逆的に除去される第一部分301、及び接続が破壊なしで緩めることができないようにディスペンサー2に接続された第二部分302を有する。示された図示実施形態では、第二部分302は、スリット303を有し、その中にディスペンサー2の、より正確には出口集成体22のハウジング220の戻り止めばね(図示せず)が係合する。戻り止めばねは、出口集成体22上へ保護キャップ3を装着するときの嵌合方向の動きの間、戻り止めばねがスリット303中に締結され、戻り止めばねが締結後に嵌合方向に対抗する動きを防止するように設計される。従って、保護キャップ3の脱着のための第二部分302の、従って外部キャップ31の動きは、第二部分302の及び/又は戻り止めばねの少なくとも部分的な破壊でのみ可能である。もしこの種の脱着が不適切に行なわれるなら、これは、構成部品の部分的破壊からすぐ明らかである。他の実施形態では、第二部分302を出口集成体22に接続するために接続が破壊なしで緩めることができないような他の要素が与えられる。示された図示実施形態では、第二部分302はさらに、締結幾何学的形状304によってハウジング220に接続される。
【0038】
第一部分301、第二部分302、及び外部キャップ31は、ワンピースで形成され、第一部分301は、第二部分302と外部キャップ31の間に配置される。第一部分301は、予め決められた破壊点305,306によって外部キャップ31及び第二部分302に接続される。第一部分301上には、使用者によって把持されることができる引裂開放タブ307もあり、引裂開放タブ307に力を付与することによって、第一部分301は、予め決められた破壊点305,306において外部キャップ31から及び第二部分302から分離され、従って不可逆的に除去される。第一部分301の除去後、第二部分302は、ハウジング220上に残るが、もはや外部キャップ31に接続されない。従って、保護キャップ3は、第一部分301の除去後に脱着されることができる。保護キャップ3は、前記キャップ3が繰り返しディスペンサー2から脱着され、ディスペンサー2の上に戻ってクランプされることができるように設計される。この目的のため、保護キャップ3は、嵌合されたときにわずかに変形され、プラスチックから作られた保護キャップ3の弾性復元力がクランプ作用を発生する。他の実施形態では、この目的のための締結要素が与えられる。外部キャップ31は、良好な把持及び良好な力の付与を可能にするために把持領域313を有する。
【0039】
第一部分301は、遮断要素として作用し、図2及び3に示された元の状態では、即ち第一部分301の除去前では、換気通路33は、第一部分301によって気密でかつ耐菌性になるように閉鎖される。この目的のため、第一部分301は、ハウジング220に対して封止しながら圧迫する。これは、微生物が最初の使用前に保護キャップ3の内部に集まることを防止する。第一部分301が除去された後、換気通路33又は複数の換気通路が開放され、それによって出口開口24が乾燥することを確保する。
【0040】
示された内部要素32は、二つの封止領域321,322を有し、それらは、軸方向に離間され、それらの領域で内部要素32は、ハウジング220に対して封止しながら圧迫する。図3からわかるように、圧力補償開口29が、保護キャップ3の使用時に封止領域321,322の間に配置される。保護キャップ3が正しい位置に嵌合されると、圧力補償開口29、外部環境から及び出口開口24から封止される。それによって液体4の拡散は防止される。
【0041】
図4及び5は、図1によるディスペンサー2、及び保護キャップ3を含む放出装置1の第二実施形態の透視全体図及び断面図をそれぞれ示し、保護キャップ3は、保護キャップに対して回転可能である内部要素32を有する。保護キャップ3は、図2及び3における保護キャップ3と同様に使用され、同じ参照符号は、同一又は同様の構成要素のために使用される。ディスペンサー2の記載について、上記を参照されたい。
【0042】
保護キャップ3は、不正操作明示安全装置30、及び不正操作明示安全装置30とワンピースで形成された外部キャップ31を有する。外部キャップ31は、スリーブ形状部分310及びカバー要素311を有する。図4及び5に示された内部要素32は、内部キャップとして設計され、外部キャップ31のスリーブ形状部分310中に挿入される。
【0043】
外部キャップ31、及び内部キャップとして設計される内部要素32は、それぞれ開口315,325を有する。もし開口315,325が一致されるなら、保護キャップ3の内部は、開口315,325を介して外部環境と連通し、それによって保護キャップ3が正しい位置に嵌合されるときであっても残留液体の迅速な乾燥を可能にする。示された状態では、開口315,325は一致せず、保護キャップ3の内部は、気密でかつ耐菌性になるように閉鎖されている。
【0044】
容器本体20から離れた内部要素32の端には、吸収体要素5が与えられ、それは、示されているように、保護キャップの使用中に出口開口24を圧迫する。吸収体要素5は、周囲突出部326によって内部要素32上に錠止される。
【0045】
図4及び5に示された不正操作明示安全装置30は、接続が破壊なしで緩めることができないようにディスペンサー2に接続された部分302を有し、それは、保護キャップ3の脱着を防止する。部分302は、図2及び3による実施形態と類似の方法でハウジング220上に固定され、その記載については、上記を参照されたい。部分302及び外部キャップ31は、ワンピースで形成され、予め決められた破壊点305が部分302と外部キャップ31の間に与えられる。外部キャップ31にトルクを付与することによって、外部キャップ31は、予め決められた破壊点305で第一部分301から分離される。外部キャップ31は、開口315,325が一致するように、内部要素32に対して調整される。より正確には長手方向軸のまわりに回転される。好ましくは、開口315,325が一致するときにのみ保護キャップ3を引き離すことが可能である。外部キャップ31の良好な把持を可能にするために把持領域313が与えられる。
図1
図2-3】
図4-5】