(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483141
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】再構成可能な金属形成装置
(51)【国際特許分類】
B21D 25/02 20060101AFI20190304BHJP
B21D 25/04 20060101ALI20190304BHJP
B21D 37/02 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
B21D25/02
B21D25/04
B21D37/02 A
【請求項の数】24
【全頁数】15
(21)【出願番号】特願2016-549061(P2016-549061)
(86)(22)【出願日】2015年1月27日
(65)【公表番号】特表2017-504485(P2017-504485A)
(43)【公表日】2017年2月9日
(86)【国際出願番号】EP2015051565
(87)【国際公開番号】WO2015113954
(87)【国際公開日】20150806
【審査請求日】2017年12月13日
(31)【優先権主張番号】1401474.0
(32)【優先日】2014年1月29日
(33)【優先権主張国】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】505211710
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ アルスター
(74)【代理人】
【識別番号】100081422
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 光雄
(74)【代理人】
【識別番号】100084146
【弁理士】
【氏名又は名称】山崎 宏
(74)【代理人】
【識別番号】100111039
【弁理士】
【氏名又は名称】前堀 義之
(72)【発明者】
【氏名】アラン・リーコック
【審査官】
石田 宏之
(56)【参考文献】
【文献】
特開2002−210520(JP,A)
【文献】
米国特許第04212188(US,A)
【文献】
実開昭49−050533(JP,U)
【文献】
実開平01−177027(JP,U)
【文献】
特開2000−042638(JP,A)
【文献】
特開2009−034726(JP,A)
【文献】
特開2000−042637(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B21D 25/02
B21D 25/04
B21D 37/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
再構成可能な成形面を規定するために個々に高さ調整可能なように構成されたピンのアレイと、
ピンの前記アレイの対向側に設けられている1対の反対方向に回転する被加工物の把持装置であって、被加工物を支持するためのアーチ形の支持面と、前記アーチ形の支持面に対する被加工物をクランプするためのクランプ部材とを有する被加工物の把持装置と、
前記成形面上で前記被加工物を引き伸ばすために前記把持装置を相反する方向に回転させるために設けられた駆動手段とを備える、再構成可能なストレッチ成形装置。
【請求項2】
前記把持装置のそれぞれが、ローラと、前記それぞれの把持装置の前記アーチ形の支持面を規定する前記ローラの外面とを備える、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
それぞれの把持装置の前記クランプ部材は、前記それぞれの把持装置の前記アーチ形の支持面に隣接して取り付けられた偏心装着のカムあるいはローラと、被加工物をクランプするために前記アーチ形の支持面に対して働くクランプ面を規定する前記クランプ部材の外面とを備え、
前記クランプ部材は、前記クランプ部材の前記クランプ面が前記アーチ形の支持面から間隔を置いている第1の位置と、前記クランプ部材の前記クランプ面が前記アーチ形の支持面と係合する第2の位置との間で回転可能である、請求項1又は請求項2に記載の装置。
【請求項4】
それぞれの把持装置の前記クランプ部材は、前記それぞれの把持装置の回転軸と平行に延在する軸を中心にして偏心して回転可能である、請求項3に記載の装置。
【請求項5】
それぞれの把持装置の前記アーチ形の支持面が、それぞれの1対の端プレートの間に位置して、前記それぞれのクランプ部材が、その第1の位置及び第2の位置の間で回転するための前記端プレートの間に取り付けている、請求項4に記載の装置。
【請求項6】
ストレッチ成形操作の間に前記被加工物の作用で前記それぞれのクランプ部材がその第2の位置の方に付勢されるように、その第1の位置及び第2の位置の間でのそれぞれの把持装置の前記クランプ部材の回転の方向が、設定される、請求項3から請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
それぞれの把持装置の前記クランプ部材が、その第1の位置及び第2の位置の間で前記それぞれのクランプ部材を回転させるために実質的に半径方向に延在する操作レバーを備える、請求項3から請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
前記クランプ部材がその第2の位置にあるとき、それぞれのクランプ部材の前記操作レバーの一部が、前記それぞれのアーチ形の支持面に接するように構成される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
ピンの前記アレイが、前記把持装置の間に延在するアーチ形の成形面を規定する、請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の再構成可能なストレッチ成形装置。
【請求項10】
端部キャップが、それぞれのピンの上端に取り付けられる、請求項1から請求項9のいずれか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記ピンに関する前記端部キャップの傾斜を可能にするために前記端部キャップが取り付けられる前記ピンに関して、それぞれの端部キャップが関節連結されている、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
それぞれの端部キャップの直径が、端部キャップが取り付けられるピンの直径より小さい、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
それぞれの端部キャップが、玉継ぎ手を介してそれぞれのピンに取り付けられる、請求項10又は請求項11に記載の装置。
【請求項14】
それぞれのピンが上部及びベース部を備え、前記ベース部に関する前記上部の回転によって前記ピンの高さが調節されるように前記上部及びベース部が互いに螺合している、請求項1から請求項13のいずれか1項に記載の装置。
【請求項15】
それぞれのピンの前記ベース部が、前記上部が螺合しているねじ付きのロッド又はスタッドを備える、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記調節位置にあるときに前記端部キャップと係合するように構成された適切なツールによって前記端部キャップを介して回転トルクが前記ピンに加えられるように、前記端部キャップが前記ピンに関して調節位置に傾斜するときに、前記ピンに関する前記端部キャップの回転を防止するために、前記それぞれのピンの前記端部キャップの前記下面が、前記それぞれのピンの前記上部の一部と係合するように構成される、請求項11から請求項13のうちのいずれか1項に従属する請求項14又は請求項15に記載の装置。
【請求項17】
前記端部キャップが前記調節位置にあるとき、前記端部キャップの前記下面が、前記端部キャップの下にある前記ピンの前記上部に位置するナットの面と係合するように形作られる、請求項16に記載の装置。
【請求項18】
前記駆動手段が成形面上でのブランクの一様な引き伸ばしを保証するように作動されるとき、前記把持装置の両方が等しい量で回転することを保証するために、前記把持装置が1つ以上のリンク手段を介してリンクされる、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の装置。
【請求項19】
前記リンク手段が、1つ以上のギア及び/又は1つ以上の剛体であるかフレキシブルなリンクを備える、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記把持装置を等しい量で相反する方向に回転させるために、前記リンク手段が、前記把持装置の間に延在するとともに前記把持装置を包み込む1つ以上のチェーンを備える、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記駆動手段は、1つ以上のアクチュエータが延在するときに、前記把持装置を相反する方向に回転させるために前記把持装置の間で働く1つ以上のリニアアクチュエータを備える、請求項1から請求項20のいずれか1項に記載の装置。
【請求項22】
前記把持装置がベースの1対の側板の間で支持され、前記アクチュエータが前記側板と実質的に平行に延在する、請求項20に記載の装置。
【請求項23】
ピンの前記アレイが、支持部の上に取り付けられ、前記支持部及び/又は前記ローラが共通のベースに関して垂直に置き換え可能であり、それにより、前記成形面及び前記ローラが、ストレッチ成形プロセスの間に互いに関して垂直に移動することができる、請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の装置。
【請求項24】
補間器の薄板が、前記再構成可能な成形面を規定するためにピンの前記アレイの上端に取り付けられる、請求項1から請求項23のいずれか1項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、再構成可能な金属形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
低体積の薄板金属部品(component)の製造は、再び発生しない設備費用及び最終の部品売却価値の困難なバランス取り行動である。低体積の部品が普通である産業部門は、航空宇宙、船舶及び建築を含む。これらの産業部門のそれぞれは、構成材料、要求される公差及び繰り返しの部品の数の組み合わせであるユニークな挑戦を示す。航空宇宙が、合理的なバッチ番号において製造された厳格な寸法公差を満たさなければならない高強度金属を利用しているが、建築は典型的には比較的広い寸法公差及び多くの場合に単一の部品製造を使った低強度金属を使用する。
【0003】
これらの産業部門用の部品の製造において使用された従来の製造方法は、本質的な基礎を要求する固定されたツール及び大きな複合機械をしばしば利用する。工具費は、ストレッチ成形のようなプロセスの使用を通じて下げることができ、部品形状に応じて、単一の雄型工具だけが必要である。コストは、ツールを複数回機械加工することによる工具の再使用を通じてさらに下げることができる。しかしながら、達成可能なコスト削減におけるそのような革新が限定されている。
【0004】
1つの可能な代替は、ピンと被加工物との間に位置したフレキシブルな補間器(interpolator)の薄板(sheet)を有する高さ調整可能なピンのアレイによって成形面が典型的に規定される、再構成可能なピン・ツール技術である。ピンの高さは、成形面の形状を変えるために調節できる。ストレッチ成形での再構成可能なピン・ツール技術の使用は、過去20年にわたって多くの研究の主題である。しかしながら、この技術を開発するほとんどの先行技術の試みは、技術的に素晴らしいが、商業上欠陥のある複雑で高価な実現に帰着している。さらに、成形面上で(over)ブランクの薄板金属を引き伸ばす複雑なストレッチ成形機械の使用は、全体的な生産コストをさらに増加させて、したがって再構成可能なピン・ツール技術の採用を制限している。
【0005】
この発明は、先行技術の問題を克服する相対的に低コストで非常に適応性のある再構成可能な金属形成装置を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0006】
この発明の第1の態様によれば、再構成可能な成形面を規定するために個々に高さ調整可能に構成されたピンのアレイと、ピンのアレイの対向側(opposite sides)に設けられた1対の反対方向に回転する被加工物の把持装置であって、被加工物を支持するためのアーチ形の支持面と、前記アーチ形の支持面に対して被加工物をクランプするためのクランプ部材とを有する把持装置と、成形面上で被加工物を引き伸ばすために把持装置を相反する方向(opposing direction)に回転させるために設けられた駆動手段とを備える再構成可能なストレッチ成形装置が提供される。
【0007】
好ましくは、前記把持装置のそれぞれが、ローラを備え、ローラの外面が、それぞれの把持装置のアーチ形の支持面を規定する。
【0008】
好ましい実施形態では、それぞれの把持装置のクランプ部材は、それぞれの把持装置のアーチ形の支持面に隣接して取り付けられた偏心装着のカム又はローラを備える。クランプ部材の外面は、被加工物をクランプするためにアーチ形の支持面に対して作用するクランプ面を規定する。クランプ部材は、クランプ部材のクランプ面がアーチ形の支持面から間隔を置いている第1の位置と、クランプ部材のクランプ面がアーチ形の支持面と係合している第2の位置との間で回転可能である。それぞれの把持装置のクランプ部材は、それぞれの把持装置の回転軸と平行に延在する軸を中心にして偏心して回転可能なことがある。好ましくは、それぞれの把持装置のアーチ形の支持面は、それぞれの1対の端プレートの間に位置する。それぞれのクランプ部材は、その第1の位置及び第2の位置の間で回転するために端プレートの間に取り付けられている。ストレッチ成形操作の間に被加工物の作用で(under the action of)その第2の位置の方へそれぞれのクランプ部材が付勢されるように、その第1の位置及び第2の位置の間でのそれぞれの把持装置のクランプ部材の回転方向が設定される(arranged)ことがある。
【0009】
それぞれの把持装置のクランプ部材が、その第1の位置及び第2の位置の間でそれぞれのクランプ部材を回転させるためにクランプ部材から実質的に半径方向に延在する操作レバーを備えることがある。クランプ部材がその第2の位置にあるときに、それぞれのクランプ部材の操作レバーの一部が、それぞれのアーチ形の支持面に接するように構成されることがある。
【0010】
好ましくは、ピンの前記アレイが、把持装置の間で延在するアーチ形の成形面を規定する。
【0011】
好ましくは、端部キャップが、それぞれのピンの上端に取り付けられる。それぞれの端部キャップが、ピンに関する端部キャップの傾斜を可能にするために、端部キャップが取り付けられるピンに関して関節連結していることがある。それぞれの端部キャップの直径は、端部キャップが取り付けられるピンの直径より小さいことがある。好ましくは、それぞれの端部キャップが玉継ぎ手を介してそれぞれのピンに取り付けられる。
【0012】
成形面上でのブランクの一様な(even)引き伸ばしを保証するように駆動手段が操作されるときに両方の把持装置が等しい量で回転することを保証するために、把持装置が、1つ以上のギアのようなリンク手段及び/又はチェーンのような剛体であるかフレキシブルなリンクを介してリンクされることがある。一実施形態では、前記リンク手段が、相反する方向に及び等しい量で前記把持装置を回転させるために前記反対方向に回転する把持装置の間に及び当該把持装置のまわりで延在する1つ以上のチェーンを備えることがある。
【0013】
好ましくは、前記駆動手段が、1つ以上のアクチュエータが伸長しているときに、把持装置を相反する方向に回転させるために把持装置の間に働く1つ以上のリニアアクチュエータを備える。把持装置が、ベースの1対の側板の間で支持されることがある。アクチュエータが、側板と実質的に平行に延在する。
【0014】
一実施形態では、それぞれのピンが、上部及びベース部を備えることがある。ベース部に関する上部の回転によってピンの高さが調節できるように、前記上部及びベース部が互いに螺合している。それぞれのピンのベース部が、上部が螺合しているねじ付きのロッド又はスタッドを備えることがある。
【0015】
前記調節位置にあるときに端部キャップと係合するように構成された適切なツールによって端部キャップを介して回転トルクがピンに加えられるように、それぞれのピンの端部キャップの下面が、端部キャップがピンに関して調節位置に傾斜しているときに、ピンに関する端部キャップの回転を防止するために、それぞれのピンの上部の一部と係合するように構成されることがある。一実施形態では、キャップが前記調節位置にあるとき、端部キャップの下にあるピンの上部に位置するナットの面と係合するように端部キャップの下面が形作られることがある。
【0016】
ピンのアレイが、共通の支持部(support)に取り付けられることがある。支持部及び/又はローラは、共通のベースに関して垂直に置き換え可能である。それによって、成形面及びローラが、ストレッチ成形プロセスの間に互いに関して垂直に移動できる。
【0017】
補間器(interpolator)の薄板が、前記再構成可能な成形面を規定するためにピンのアレイの上端(top)に取り付けられることがある。
【0018】
この発明のさらなる態様によれば、ブランク又は被加工物を支持するための再構成可能な支持面が提供される。前記支持面が、ピンのアレイによって規定されている。それぞれのピンが、上部及びベース部を備える。前記上部及びベース部が、それぞれのピンの高さがそのベース部に関して上部の回転によって調節できるように、互いに螺合している。端部キャップが、それぞれのピンの上端上に取り付けられている。ピンに関して端部キャップの傾斜を可能にするために端部キャップが取り付けられるピンに関してそれぞれの端部キャップが関節連結している。前記調節位置にあるときに端部キャップと係合するように構成された適切なツールによる端部キャップを介して回転トルクがピンに加えられることができるように、それぞれのピンの端部キャップの下面が、端部キャップがピンに関して調節位置に傾斜するときに、ピンに関して端部キャップの回転を防止するためにそれぞれのピンの上部の一部と係合するように構成されている。
【0019】
それぞれの端部キャップが、玉継ぎ手(ball and socket coupling)を介してそれぞれのピンに取り付けられることがある。
【0020】
一実施形態では、それぞれのピンのベース部が、上部が螺合しているねじ付きのロッド又はスタッドを備える。
【0021】
一実施形態では、端部キャップが前記調節位置にあるとき、それぞれのピンの端部キャップの下面が、端部キャップの下にあるピンの上部に位置するナットの面と係合するように形作られている。
【0022】
支持面が、金属形成装置の成形面あるいは機械加工プロセスの間に被加工物を支持するための支持面であることがある。
【0023】
この発明の実施形態に係る再構成可能な金属形成装置は、添付図面を参照して、単なる例として説明されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】この発明の一実施形態に係る金属形成装置の斜視図である。
【
図8】
図7のA−A線で切断したピンアレイの断面図である。
【
図9】この発明のさらなる実施形態に係る金属形成装置の支持ローラ組立体の斜視図である。
【
図10】この発明のさらなる実施形態に係る金属形成ツールのピンを通る断面図である。
【
図13】
図10のピンのヘッド、及び、ピンの高さを調節するためのツールの断面図。
【
図15】
図10のピンのヘッドとツールとの相互作用を示す斜視図である。
【
図16】
図10のピンのヘッドとツールとの相互作用を示す長手方向の断面図である。
【
図17】成形面の形状を変えるためにピンの高さを調節するための組立体の斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図面に示されるように、この発明の実施形態に係る再構成可能なストレッチ成形装置2は、ピンアレイ8の上端(top)に位置したフレキシブルな補間器(interpolator)(フレキシブルなカバー薄板)6によって規定されたアーチ形の再構成可能な成形面4を備える。アレイ8のそれぞれのピン10は、成形面4の形状を変更するために個々に高さ調整可能である。
【0026】
図6から
図8に最もよく示されるように、ピンアレイ8のピン10は六方最密充填(hexagonal close packed)パターンで配置される。それぞれのピン10は、ボールとソケットの関節継ぎ手(articulated joint)14を介してその上端上に取り付けられた円形の端部キャップ12を有する。端部キャップ12は、端部キャップ12が取り付けられるピン10に関して傾斜することができる。関節連結している端部キャップ12は、ツールの離散的性質(discrete nature)から表面の刻み目(indentation)を最小限にして、実質的に連続的で無段の(stepless)表面を規定する。その結果、ピン10と形成された薄板(被加工物)との間の補間器6は、先行技術の補間器よりも非常に薄くすることができ、おそらく省略することができる。
【0027】
ピンアレイ8は、1対の被加工物の把持装置の間でベースフレーム16に取り付けられる。把持装置のそれぞれは、アーチ形の被加工物支持面を規定する外面を有する被加工物の支持ローラ18,20を備える。被加工物のそれぞれの端部は、それぞれの支持ローラ18,20の一方の端部に設けられた1対の取付板26,28の間でそれぞれの支持ローラ18,20と平行に取り付けられた、偏心装着のクランプローラ22,24によってアーチ形の被加工物の支持面に対してクランプされる。
【0028】
図1及び
図2から最もよく見られるように、支持ローラ18,20は、装置のベースフレーム16の対向する側板30,32の間に取り付けられる。
【0029】
図5から最もよく示されるように、クランプローラ22,24が、クランプローラ22,24の外面が支持ローラ18,20の外面から間隔を置いている第1の位置と、クランプローラ22,24の外面が支持ローラ18,20の外面と係合する第2の位置(
図5に示される)との間で回転するように、それぞれのクランプローラ22,24は、それぞれの支持ローラ18,20の取付板26,28の間に偏心して取り付けられる。
【0030】
操作レバー34は、その第1の位置及び第2の位置の間でそれぞれのクランプローラを移動させるためのそれぞれのクランプローラ22,24から実質的に半径方向に延在している。
図5に示されるように、それぞれの操作レバー34は、それぞれのクランプローラ22,24がその第2の位置にあるときに、隣接した支持ローラ18,20の外面に接するように形作られる。ストレッチ成形操作中にクランプローラに隣接した支持ローラとの間でクランプされた被加工物によって、クランプローラ18,20に対して働く付勢力が、クランプローラをその第2の位置の方に向かわせて、クランプローラによって被加工物に加えられたクランプ力を増加させるように、それぞれの第1の位置及び第2の位置の間でのそれぞれのクランプローラ22,24の回転の方向が配置される。操作レバー34は、手動で操作されることがあるか、あるいは適切なアクチュエータ(ダブルで働く液体ラムあるいは適切な電動機)に接続されることがある。
【0031】
クランプローラ22,24が支持ローラ18,20に対して被加工物をクランプするために設けられているとして説明されるが、他のクランプ手段が、支持ローラ(円筒状のクランプローラの代わりに、偏心装着のカムあるいは湾曲した表面)に対してブランクをクランプするために使用されてもよいことは想定される。
【0032】
1対のリニアアクチュエータ36,38、好ましくはラム、典型的に液圧又は空気圧の(hydraulic or pneumatic)ダブルで作動するラム(double acting ram)は、支持ローラ18,20を回転するためにピンアレイ8の一方の側に取り付けられる。以下に詳細に説明されるように、アクチュエータ36,38の伸長(extension)が、支持ローラ18,20を相反する方向に回転させて、成形面4上で被加工物を引き伸ばすように、アクチュエータ36,38は、支持ローラ18,20の取付板26,28と係合する。
【0033】
図2に最もよく図示されるように、アクチュエータ36,38が伸長して引っ込む(extended and retracted)とき、支持ローラ18,20が等しい量で回転するのを強いられるように、回動可能に(pivotally)取り付けられた剛体であるリンク・アーム40は、支持ローラ18,20の取付板26,28の間に延在して、1方の支持ローラ18の上側と、他方の支持ローラ20の取付板28の下延在アーム42との間に延在する。支持ローラが等しい量で回転して互いに相反する方向に回転することを保証するために、支持ローラ18,20がチェーン又はギアリングのような他の手段によって相互にリンクされることがあることは想定される。例えば、
図9に示される実施形態では、一方の端でそれぞれの支持ローラ18,20に取り付けられており、支持ローラが等しい量での反対の回転のために制限される(constrained)ことを保証するために支持ローラ18,20が回転するように(as)、支持ローラ18,20に巻き回して支持ローラ18,20から解くように構成されているチェーン140A,140Bによって支持ローラ18,20はリンクされる。反対方向に回転する支持ローラ18,20は、アーチ形の成形面4の周りに被加工物を巻きつけて、従って材料を引き伸ばすように構成されている。
【0034】
一実施形態では、ピンアレイ8がストレッチ成形操作の間にベースに関して上昇する(raised)ように、ピンアレイ8は適切なアクチュエータ(図示せず)を介してベースフレーム16上に取り付けられることがある。
【0035】
使用中、被加工物(典型的に、アルミニウム又は鋼のような金属の薄板)は、装置に取り付けられ、薄板の対向する端部が、被加工物の把持装置の支持ローラ18,20とクランプローラ22,24との間を通過し(pass)、被加工物が成形面の上に置かれる。
【0036】
装置上に被加工物を配設する前にあるいは後に、成形面が所望の3次元形状を有するように、ピンアレイ8のそれぞれのピン10が、高さ調節されることがある。ピン10の位置は、例えばねじ付きのアジャスター(
図8の44)を介して手動で調節されることがある、あるいは駆動手段(ステッピング・モーター又は液圧アクチュエータ)によって調節されることがある。ピン10の所要位置は、コンピューター・ソフトウェアによって決定されることがある。
【0037】
図10から
図17に示される実施形態では、以下により詳細に説明されるように、ピンの前記アレイでのそれぞれのピン10(あるいはグループのピンの)の高さは、それぞれのピン10の端部キャップ12と係合するように構成された調節ツールによって調節されることがある。
【0038】
そのような実施形態では、ピン10の下部102に関しての上部104の回転が、ピン10の高さを変えるように、アレイのそれぞれのピン10は、垂直に延在するねじ付きのロッドによって規定された下部102と、当該下部102上に螺合している上部104とを備える。第1の実施形態と同様に、端部キャップ12は、ボールとソケットの関節継ぎ手14を介してピン10の上部104の上端に取り付けられる。端部キャップ12は、端部キャップ12の上面が実質的に滑らかな連続的な表面を規定して、それにより、ツールの離散的性質からの表面の刻み目を最小限にすることができるように、端部キャップ12が取り付けられるピン10に関して傾斜することができる。
【0039】
図10から
図17に示される実施形態では、端部キャップ12の下面は、端部キャップ12が垂直な(nomal)動作角を越えてピン調節位置に傾斜するときに、ピン10の上部104の一部と係合するように構成された内面108を有する「V」字形状の周辺のリッジ106と合体する(incorporate)。その位置では、ピン10の上部104に対する端部キャップ12の内面108の係合は、ピン10に関して端部キャップ12の回転を防止して、端部キャップ12が調節ツールによって係合することを可能にする。それによって、端部キャップ12及びピン10の上部104は、ツールによって回転することができ、ピン10の高さ調節を容易にする。
【0040】
図11及び
図12から最もよく見られるように、
図10から
図17に示される実施形態では、ナット110は、端部キャップ12の玉継ぎ手14の下に取り付けられる。端部キャップ12が前記調節位置に傾斜するときに、端部キャップ12の前記係合面108は、前記ナット110の面に接するように配置される。しかしながら、端部キャップ12が前記調節位置に傾斜するとき、他の協働する形成が、他方と係合するように構成されたピン10及び端部キャップ12の上に形成されることは想定される。
【0041】
それぞれのピン10の高さを調節するための調節ツールは、端部キャップがその調節位置にあるとき、それぞれのピン10の端部キャップ12と係合するように構成された調節ヘッド112を含む。
図13及び
図14に最もよく示されるように、調節ヘッド112は、端部キャップ12の上面と係合するように構成された第1の角度のある面114と、端部キャップ12の外面と係合するように構成された湾曲した側面116と、端部キャップ12の下面に規定されたリッジ106の外面120と係合するように構成されたリップ118とを含む。
図15及び
図16に図示するように、調節ツールの調節ヘッド112の形状は、調節ヘッド112が端部キャップ12を駆動してそれぞれのピン10の長手方向軸を中心に回転することができるように、それぞれのピンの端部キャップ12に対して密に嵌合し且つ係合するように構成されている。ピン10の上部104が下部102に関して回転してピン10の高さを調節することができるように、端部キャップ12が、それぞれのピン10の上部104に順にこの回転を伝える。
【0042】
図17は、この発明の実施形態に係る調節ツール130を示す。調節ヘッド112は、ピンアレイ8の上に取り付けた構台(gantry)132に取り付けられる。調節ヘッド112は、それぞれのピン10上に位置決めされ、それぞれのピン10の端部キャップ12と係合するために昇降する(raised and lowered)ことができる。調節ヘッド112は、それぞれのピン10の高さが所望の高さに調節されることを可能にするために回転自在に駆動される。
【0043】
代替の実施形態(図示せず)では、調節ツールは、ピンのそれぞれのグループの同時の調節を容易にして成形面の迅速な調節を容易にするために調節ヘッドのアレイ(例えば六角形型(hexagonal formation)に配置された7つのヘッド)を備えることは想定される。いったん被加工物が装置上に位置すると、それらの第2の位置にクランプローラ22,24を移動させてクランプローラ22,24とそれぞれの支持ローラ18,20との間で被加工物をクランプするために操作レバー34が操作される。
【0044】
アクチュエータ36,38は、支持ローラ18,20を相反する方向に回転させて、成形面4上で被加工物を引き伸ばして材料を所望形状に引き伸ばすために延在している。同時に、ピンアレイ8はベースフレーム16に関して上昇することがある。さらに、個々のピン10がストレッチ成形操作の間に昇降することがあるのは想定される。
【0045】
ベースフレーム16の側板30,32の間に支持ローラ18,20及びアクチュエータ36,38を取り付けることは、ベースフレーム16及びアクチュエータ36,38を通じてすべての負荷に影響を与えて(react)、装置の高価で時間のかかる設置の必要性をなくすことができる。このデザインからの増加した柔軟性は、新システムを採用することができる可能な顧客の数を増加させる。
【0046】
装置の寸法は、作成される物品の所望の最大サイズに依存して選択されることがある。分解の無いあるいは限られた分解で装置を標準の運送用コンテナに入れることができるように、装置の寸法が選択されることがあるのは想定される。
【0047】
装置は、コンピューターにリンクされることがあるコントローラーを含むことがある。データは、コンピューターとコントローラーとの間で無線であるいは有線接続を介して転送されることがある。コンピューターは、コントローラーから遠い位置にあることがある。そして、データはインターネットを通じてコンピューターとコントローラーとの間で転送されることがある。従って、成形装置のユーザは、金属形成プロセスについてのあらゆる知識を必要としないで、当業者によって物品を製造するために、装置が使用されることを可能にして、形成プロセスがプログラムされる及び/又は遠隔で制御される。
【0048】
この発明は、本願で説明される実施形態に限定されずに、この発明の範囲から逸脱することなく修正又は変形を行うことができる。