特許第6483155号(P6483155)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483155単回使用バイオリアクタセンサアーキテクチャ
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483155
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】単回使用バイオリアクタセンサアーキテクチャ
(51)【国際特許分類】
   C12M 1/34 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   C12M1/34 B
【請求項の数】20
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2016-565389(P2016-565389)
(86)(22)【出願日】2015年4月29日
(65)【公表番号】特表2017-514485(P2017-514485A)
(43)【公表日】2017年6月8日
(86)【国際出願番号】US2015028192
(87)【国際公開番号】WO2015168232
(87)【国際公開日】20151105
【審査請求日】2016年10月31日
(31)【優先権主張番号】14/502,502
(32)【優先日】2014年9月30日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】62/029,199
(32)【優先日】2014年7月25日
(33)【優先権主張国】US
(31)【優先権主張番号】61/987,726
(32)【優先日】2014年5月2日
(33)【優先権主張国】US
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】597115727
【氏名又は名称】ローズマウント インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110001508
【氏名又は名称】特許業務法人 津国
(72)【発明者】
【氏名】シューマッハー,マーク・エス
【審査官】 千葉 直紀
(56)【参考文献】
【文献】 米国特許出願公開第2012/0290268(US,A1)
【文献】 特表2009−519440(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2012/0242993(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/162394(WO,A1)
【文献】 米国特許出願公開第2013/0055821(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12M
C12N
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
生物反応収容器のためのセンサアセンブリであって、
生物反応収容器のプロセスウインドウに物理的に結合し、第1のプロセス変数を検出するように構成された第1のセンサと、
生物反応収容器のプロセスウインドウに物理的に結合し、生物反応収容器内のサンプル圧力を検出するように構成された第1の絶対圧力センサと、
リード線を介して第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサに作動可能な状態で結合されたエンクロージャであり、第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサのための補正データを保存するメモリと、生物反応収容器内の検出されたサンプル圧力のための参照を供給するように構成されたエンクロージャの内部の圧力を検出するように構成された第2の絶対圧力センサと、を含むエンクロージャと、
エンクロージャに物理的に接続されたコネクタと、を含み、
第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサは、生物反応収容器に結合されているとき、減菌を受けるように構成される、
センサアセンブリ。
【請求項2】
プロセス変数トランスミッタが第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサのアナログセンサ信号を測定することができるように、コネクタが、プロセス変数トランスミッタに接続可能である、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項3】
補正データが、各々のアナログセンサ信号を補正されたプロセス変数出力に関連付けるために、プロセス変数トランスミッタによって読み込み可能である、請求項2に記載のセンサアセンブリ。
【請求項4】
第1のセンサが、圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、溶存酸素センサ、二酸化炭素センサ、伝導率センサ、及び測色センサからなる群から選択されるタイプである、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項5】
圧力センサ、温度センサ、pHセンサ、溶存酸素センサ、二酸化炭素センサ、伝導率センサ、及び測色センサからなる群から選択され、第1のセンサとは異なるタイプの第2のセンサを更に含み、メモリが、第2のセンサのための補正データを包含する、請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項6】
エンクロージャが、第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサに作動可能な状態で接続された信号調整電気回路を含む、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項7】
信号調整電気回路が、少なくとも1つのプリアンプを含む、請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項8】
信号調整電気回路が、第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサのためのプリアンプを含む、請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項9】
メモリが、追加的なデータを保存する、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項10】
追加的なデータが、構造材料データ、製造年月日データ、シリアル番号データ、作動範囲データ、信号タイプデータからなる群から選択される情報であって、監督当局によって要求される情報を含む、請求項に記載のセンサアセンブリ。
【請求項11】
メモリが、第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサのためのシフトデータを保存し、シフトデータが、第1のセンサ及び第1の絶対圧力センサがどのように減菌の影響を受けるか特性設定する、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項12】
メモリが、無線周波数識別(RFID)タグ内に実施される、請求項1に記載のセンサアセンブリ。
【請求項13】
生物反応検出アセンブリであって、
プロセスウインドウを含む単回使用生物反応収容器と、
プロセスウインドウに結合され、単回使用生物反応収容器の内側の第1の状態を検出するように構成された第1のセンサと、
プロセスウインドウに結合され、単回使用生物反応収容器の内側の第2の状態を検出するように構成された第2のセンサと、
第1及び第2のセンサの各々に動作可能に結合されたエンクロージャであり、第1及び第2のセンサの各々のための補正データと第1及び第2のセンサの各々がどのように減菌の影響を受けるか特性設定するシフトデータとを保存するメモリを包含するエンクロージャと、
を含む生物反応検出アセンブリであり、
第1及び第2のセンサは、単回使用生物反応収容器のプロセスウインドウに結合されているとき、減菌されるように構成される、生物反応検出アセンブリ。
【請求項14】
プロセス変数トランスミッタに結合されるように構成されたエンクロージャに結合されたコネクタを更に含む、請求項13に記載の生物反応検出アセンブリ。
【請求項15】
コネクタに結合されるように構成されて、第1のセンサに係る第1のアナログ信号を測定し第1のアナログ信号及び補正データに基づいて第1のプロセス変数を算出するように構成されるプロセス変数トランスミッタであって、第2のセンサに係る第2のアナログ信号を測定し第2のアナログ信号及び補正データに基づいて第2のプロセス変数を算出するように構成されるプロセス変数トランスミッタを更に含む、請求項14に記載の生物反応検出アセンブリ。
【請求項16】
プロセス変数トランスミッタが、エンクロージャのメモリから補正データを読み込むように構成される、請求項15に記載の生物反応検出システム。
【請求項17】
プロセス変数トランスミッタが、プロセス通信プロトコルに従って通信するように構成されたプロセス通信電気回路を含む、請求項16に記載の生物反応検出システム。
【請求項18】
プロセス変数トランスミッタが、プロセス通信電気回路を使用して第1及び第2のプロセス変数を通信するように構成される、請求項17に記載の生物反応検出システム。
【請求項19】
第1の絶対圧力センサを含む複数のセンサを提供することと、
内部にメモリ及び第2の絶対圧力センサを含むエンクロージャに複数のセンサを結合することと、
1セットの補正データを生成するために、センサが周知の状態にある際に、複数のセンサを、各々のセンサ出力を測定する特性設定プロセスに従属させることと、
補正データをメモリに保存することと、
複数のセンサ、エンクロージャ、メモリ、生物反応袋を含む生物反応アセンブリを作成するために、生物反応袋に複数のセンサを結合することと、
生物反応アセンブリを減菌することと、
を含む、生物反応検出アセンブリを製造する方法。
【請求項20】
補正データを保存することが、エンクロージャのRFIDデバイスとやり取りすることを含む、請求項19に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
背景
バイオリアクタは、多数の目的で生物学的反応を発生させ及び支持するために有用である。生物学的反応は、温度及び/又は圧力の変化に敏感な場合がある。更に、生物学的反応が進行するにつれて、反応自体が、溶存酸素含有量及び/又はpHなどの、生物反応容器内の種々のパラメータを変化させることがあり得る。したがって、生物学的反応の多数の変数を監視することは重要であり得る。
【0002】
生命科学産業は、大きな定置洗浄(CIP)インフラを有するステンレス鋼製の大きな資本集約的な施設から、バイオリアクタとして機能するポリマー袋又は収容器を使用する小さな施設へと移行している。バイオリアクタ袋は、一度使用され、次いで廃棄される。この単回使用バイオリアクタ技術は、プラントの資本コストを著しく低減させる。例えば、ステンレス鋼CIPインフラを使用する既存の施設では、設備を作動するためのコストの最高90%が、蒸気洗浄サイクルに耐えるように設計された非常に高い計装を含む、定置洗浄インフラによるものである。使い捨て単回使用バイオリアクタ袋へ移行することによって、資本のCIP部分は、削減され、施設を柔軟かつ非常に小さくすることができ、その結果、標的薬物療法及び他の小規模適用に必要とされる小さなバッチの生産が可能となる。使い捨て単回使用生物反応技術の使用及び採用を容易にする計装アーキテクチャを提供することは、生命科学産業だけでなく、このような生物学的反応を発生させる他の産業及びプロセスに顕著な利益となる。
【0003】
概要
センサアセンブリは、第1のセンサ及び第2のセンサを含む。エンクロージャは、第1及び第2のセンサの各々に作動可能な状態で結合されて、第1及び第2のセンサの各々のための補正データを保存するメモリを包含する。コネクタは、第1及び第2のセンサに作動可能な状態で接続される。生物反応検出アセンブリだけでなく、生物反応検出アセンブリを製造する方法もまた提供される。
【図面の簡単な説明】
【0004】
図1】本発明の一実施形態に従った単回使用生物反応システムの概略図である。
図2】本発明の一実施形態に従った単回使用生物反応袋に組み込まれたセンサアセンブリの概略図である。
図3】本発明の一実施形態に従った単回使用生物反応検出システムに接続可能なプロセス変数トランスミッタの概略図である。
図4】本発明の一実施形態に従った単回使用生物反応袋センサアセンブリを製造する方法のフロー図である。
図5】本発明の一実施形態に従った単回使用生物反応検出システムを使用して生物反応を監視する方法のフロー図である。
【0005】
発明の詳細な説明
図1は、本発明の実施形態に従った生物反応検出システムの概略図である。システム100は、サンプル106で発生する生物学的反応を支持するポリ袋104を収容した構造保持容器102を含む。図1に例示される実施形態では、生物学的反応への個々のセンサ110、112、及び114の結合を容易にするプロセスウィンドウ108が、提供される。センサ110、112、及び114は、典型的に、生物学的サンプルの異なる変数を検出する。このようなセンサとしては、温度センサ、圧力センサ、溶存酸素センサ、二酸化炭素センサ、伝導率センサ、pHセンサ、測色センサ、又は任意の他の好適なセンサを挙げることができる。プロセスウィンドウ108は、生物学的標本への種々のセンサの結合を容易にする。例えば、ポリ袋104に流体密封ウィンドウを維持しながら、ウィンドウ108の一部分は、高い酸素透過性を有してもよく、袋の外部の酸素センサの利用を容易にする。しかしながら、本発明の実施形態はまた、袋自体内への1つ以上のセンサ110、112、及び114の単純な配設、センサの電気的接続が袋壁を通過する際の電気的接続の封止を含む。追加的に、図1に関連して例示される実施形態は3つの別のセンサ110、112、及び114を示すが、より少ないセンサ又はより多いセンサが、本発明の実施形態に従って使用され得る。追加的に、これまでに説明された実施形態は異なるセンサタイプに関連して説明されているが、2つのセンサが類似のタイプであり異なる作動特性又は範囲を有してもよいことも明白に企図される。例えば、第1の圧力センサは0〜100PSIの範囲を有する一方で、第2の圧力センサは5〜10PSI間の範囲を有するだけであるが注目範囲内における非常に高い精度及び確度を有することができる。
【0006】
比較的標準化された位置及びサイズをプロセスウィンドウ108に提供することによって、複数の異なるセンサタイプの種々の構成が、提供され得る。しかしながら、ポリマー袋は、プロセスウィンドウの標準化されたサイズ及び位置に基づいて量産され得る。その後、ウィンドウ108をポリマー袋104に溶着、封止、又は別途貼付することによって、個々のバイオリアクタ袋及び検出アセンブリの特殊化が、提供され得る。したがって、スケールメリットによって、袋自体の全体コストを低減する量でポリマー袋を生産することができる。
【0007】
図1に例示されるように、センサ110、112、114の各々は適合ボックス116に接続され、適合ボックス116は、次いでコネクタ120及び122を介してプロセス変数トランスミッタ118に接続する。プロセス変数トランスミッタは、種々のセンサ110、112、114のアナログ信号を測定し、測定されたアナログ信号に基づいて、例えば、温度、圧力、pHなどの、関連した変数を計算することが可能である。追加的に、これらの計算された変数は、次いで、例えばHighway Addressable Remote Transducer(HART(登録商標))プロトコル又はFOUNDATION(商標)フィールドバスプロトコルに従った、プロセス通信を含む、任意の好適な手段で制御システム124に送信され得る。図1に例示されるように、センサ110、112、114のアレイは、単回使用バイオリアクタ袋104内に埋設又は別途配設される。種々のセンサ110、112、114を袋104に埋設する前又は後に、センサアレイは、製造の一部として特性設定プロセスを受ける。この特性設定プロセスは、センサアレイの個々のセンサを補正するために使用されるデータセットを生成する。この補正により、プロセス変数トランスミッタ118によって測定された未加工のアナログ信号をプロセス変数出力に正確にマッピング又は別途変換することができる。例えば、pHは、非常に温度依存性があることが知られている。特性設定プロセスは、pHセンサを補正するために、温度センサを使用する。補正曲線情報又はデータは、適合ボックス116に読み込まれて、局所的に保存される。補正曲線情報又はデータは、アレイの個々のセンサに固有である。
【0008】
いくつかの実施形態では、適合ボックス116は、任意のセンサ特有データを保存することができるRFIDデバイスを含むことができる。このようなデータとしては、補正曲線情報及びデータでなく、エンドユーザ又は食品医薬品局などの監督機関によって必要とされる可能性のある追加的なデータを含む。更なる情報としては、構造材料、製造年月日、シリアル番号、作動範囲、(抵抗又は電圧などの)信号タイプなどを挙げることができる。
【0009】
作動中、コネクタ120がコネクタ122に接続されるときに、適合ボックス116は、プロセス変数トランスミッタ118と通信することが可能である。プロセス変数トランスミッタ118は次いで、適合ボックス116内に保存されたデータを読み込んで、アレイのセンサの性能を強化するために、補正曲線情報又はデータを利用する。プロセス変数トランスミッタ118は、1つ以上の未加工のセンサアナログ信号を測定し、1つ以上の補正されたプロセス変数を得るために、測定された未加工のアナログ信号に補正機能を適用し、制御システム124に補正されたプロセス変数を伝送する。
【0010】
いくつかの場合、機器がバッチ運転の間その作動範囲内で確実に作動しているように、バッチ運転の終わりに機器較正が実行されることが監督機関によって要求される。図1に関連して例示されるセンサアレイの場合、既知のパラメータの「バッチ−チェック」緩衝液が、袋104内に充填され、アレイの出力はこの既知の参照と照合され得る。アレイ及び「バッチ−チェック」液は廃棄されるので、任意の定置洗浄(CIP)能力の必要性はない。更に、「バッチ−チェック」液パラメータを設定するために使用される参照機器が製品と決して接触しないので、標準的な機器がこのアプリケーションに使用され得る。
【0011】
生物反応が完了するときに、袋104だけでなくセンサ110、112、及び114並びに適合ボックス116が、廃棄又は別途破棄され得る。プロセス変数トランスミッタ118は、保持されて、次のセンサアレイ/生物反応システムとやり取りするために使用される。
【0012】
図2は、本発明の一実施形態に従った生物反応袋に組み込まれたセンサアレイアセンブリの概略図である。アセンブリ200は、図1に関連して例示されたアセンブリと同様であり、類似の要素が同様に番号付けられる。具体的には、多数のセンサ110、112、114、及び130が、生物反応袋104内に配設される。しかしながら、図1に関連して例示された配列とは異なり、図2のアセンブリ200は、プロセスウィンドウを含まない。代わりに、センサ110、112、114、及び130は、単に生物反応袋104の内部に配置されるだけである。各々のセンサ110、112、114、及び130は、袋壁104を通過して適合ボックス116に接続するリード線を含む。一実施形態では、センサ110、112、114、及び130の各々は、適合ボックス116内に配設された好適な信号調整電気回路132に接続する。信号調整電気回路132は、種々のセンサ110、112、114、及び130のアナログ信号をブーストするか又は別途増強する1つ以上のプリアンプを含む。pH、伝導率、溶存酸素、その他多くのセンサの未加工のアナログ出力が低レベルのミリボルト信号であるので、信号調整電気回路132内への1つ以上のプリアンプの提供は有利である。プリアンプは、この信号がプロセス変数トランスミッタ118によって効果的に測定され得るように、信号をブーストすることが可能である。追加的に、各々のセンサがそれ自体のプリアンプに接続することができるように、信号調整電気回路132がいくつかのプリアンプを含むことができることが明白に企図される。一実施形態では、プリアンプ(単数又は複数)は、センサの比較的近傍に配設される。しかしながら、センサが生物反応袋104に埋め込まれる場合には、センサが受ける過酷な滅菌プロセスは、プリアンプの電気回路に損害を与える可能性がある。袋/センサ/ワイヤシステムは、典型的に、加熱及び/又は照射プロセスを使用して減菌される。センサは、滅菌プロセスに耐えるように設計され得る。しかしながら、適合ボックス内にプリアンプ電気回路を移動させることによって、プリアンプ電気回路は、滅菌プロセスから安全に保護され、このようなプロセスに耐えるように設計される必要がなくなる。
【0013】
データ保存デバイス134内に保存されたデータがコネクタ120を介して通信され得るように、適合ボックス116は、ローカルデータ保存装置134だけでなく、通信インタフェースを含む。しかしながら、本発明の実施形態は、ローカル保存装置134からプロセス変数トランスミッタ118へのデータの通信が周知のRFID通信技術に従って無線で行われることが企図される。
【0014】
図2に関連して例示されるアセンブリ全体が本質的に使い捨てであるので、その種々の要素は、全体の作動コストを低減させるために比較的低コストであることが好ましい。一実施形態では、データ保存デバイス134は、センサアセンブリの製造及び特性設定の間に、書き込まれるか又は別途データを読み込まされるRFIDタグを含む。しかしながら、フラッシュメモリを含む、他の低コストのメモリインフラストラクチャが使用されてもよい。
【0015】
適合ボックス116は、適合ボックス116内に配設され、適合ボックス116近接又は適合ボックス116内の環境条件を検出することが可能な1つ以上のローカルセンサ136を含むことができる。このようなセンサの1つの例は、絶対圧力センサである。1つの絶対圧力センサが気圧の変化を補正するために使用されるときに、もう1つの絶対圧力センサを、バイオリアクタ袋内で使用することが可能である。このようなデュアル絶対圧力センサの利用は、袋のセンサから外側の環境まで通じる計量通気管の必要性を排除する。このような計量通気管は環境から袋への汚染の潜在的な原因であり、この通気管の排除は、多くの生物反応の環境において有利である。
【0016】
図3は、本発明の一実施形態に従ったセンサアセンブリに接続可能なプロセス変数トランスミッタの概略図である。プロセス変数トランスミッタ118は、プロセス変数トランスミッタ118が制御システム124又は任意の他の好適なデバイスと通信できるように、プロセス通信ループ又はセグメント140に接続可能なプロセス通信モジュール120を含む。この通信は、上に説明されたHART(登録商標)又はフィールドバスプロトコルなどの、プロセス通信プロトコルに従う。追加的に、例えばIEC62591に従った、無線プロセス通信プロトコルもまた企図される。プロセス通信モジュール142は、プロセッサ144に接続され、プロセッサ144は、いくつかの実施形態では、マイクロプロセッサであり得る。プロセッサ144は、センサアセンブリから得られた未加工のセンサ値の測定に基づいて、1つ以上のプロセス変数をプログラムで算出することが可能である。プロセッサ144は、例えばアナログデジタル変換器を含むことができる測定電気回路146に接続される。測定電気回路146は、コネクタ122を介してセンサアレイの1つ以上のセンサに、作動可能な状態で接続される。測定電気回路146は、センサアレイの個々のセンサの各々によって提供された未加工のアナログ信号の指度をプロセッサ144に提供する。プロセッサ144はまた、データ保存デバイスリーダ148に接続される。データ保存デバイスリーダ148は、データ保存デバイス134内に保存されたデータを読み込むために適合ボックス116のデータ保存デバイス134とやり取り作用するように構成される。上に記載されたように、このようなデータは、センサアレイの各々のセンサに関連した特性設定/補正曲線又はデータを含むことになる。追加的なデータとしては、エンドユーザが保存することを望むデータだけでなく、監督機関又は他の存在から追跡性のために要求される任意のデータを挙げることができる。図3に示されるように、データ保存デバイスリーダ148は、コネクタ122を介して適合ボックス116に接続され得る。しかしながら、データ保存デバイスリーダ148と保存デバイス134との間のやり取りが無線である本発明の実施形態も、実践され得る。ローカル保存装置を有するセンサとやり取りするために好適な技法の一例は、本発明の譲受人に譲渡されたUnited States Patent Application Publication Number 2010/0302008に提供される。しかしながら、データ保存デバイスリーダ148とデータ保存デバイス134との間の通信はまた、I2C、コントローラエリアネットワーク(CAN)バス、又はシリアル周辺インタフェース(SPI)などの、周知の低レベル通信技術に従うことができる。しかしながら、当業者は、任意の好適な通信プロトコル又は技術が利用され得ることを認識するであろう。
【0017】
図4は、本発明の一実施形態に従った単回使用生物反応検出アセンブリを製造する方法のフロー図である。方法300は、1つ以上のセンサがアセンブリ内への封入のために選択されるブロック302から始まる。上に記載されたように、種々のタイプのセンサ及び/又は異なる性能特性を有する同じタイプのセンサが、アレイへの封入のために選択され得る。次に、ブロック304で、種々のセンサが、生物反応袋に埋め込まれるか又は別途取り付けられ得る。しかしながら、袋に埋め込み又は取り付ける前に、アセンブリがまた、完成し、特性設定され、データを読み込まれ得ることが企図される。このような場合、補正されたセンサアレイが、単純に更なる製造ステップのための生物反応袋製造者に提供され得る。ブロック306で、ブロック302で選択されたセンサのアレイが、特性設定される。例えば、pH、溶存酸素(DO)、温度(T)、及び圧力(P)センサを有するアレイのために、アレイは、周知のpH及び溶存酸素値の脱イオン水などの。緩衝液に浸漬される必要がある。緩衝液は、次いで、センサの必要条件に応じて加熱及び冷却される。pH、溶存酸素、温度、及び圧力が、NIST−追跡可能標準などの、周知の標準への較正基準を有する基準機器によって実行される補正全体にわたって監視される。センサアレイは、種々の点で種々の参照と照合又は別途監視される。個々のアセンブリの特性設定のために必要とされる基準点の数は、必要とされる性能に応じて変化する。このようにして、アレイの個々のセンサを補正するために使用され得るデータセットが生成される。
【0018】
ブロック308で、アレイが生物反応袋内に埋め込まれる実施形態では、袋/センサアセンブリ全体が減菌され得る。減菌は、どのバイオリアクタにも重要な要件である。従来のステンレス鋼施設の場合には、これは、典型的に、蒸気CIPプロセスを使用して行われる。バイオリアクタポリ袋の場合には、これは、加熱及び照射プロセスを使用して達成される。多くの場合、照射プロセスは、センサを僅かにシフトさせる。シフトが、例えば実験技術を使用して、測定及び予測され得る場合には、シフトは、補正情報をローカル保存デバイス134に保存することによって補正され得る。ブロック310で、ブロック306で得られた特性設定データなどの、適合データがデータをシフトし、任意の他の好適なデータがデータ保存デバイス134にロード及び保存される。最後に、ブロック312で、適合ボックスが、センサアセンブリに取り付けられる。図4は、データが適合ボックスに読み込まれた後にセンサアセンブリに結合される適合ボックスを例示するが、データが適合ボックスに読み込まれる前に、このような結合が生じることもあり得る。
【0019】
図5は、本発明の一実施形態に従った単回使用生物反応検出アセンブリを作動する方法のフロー図である。方法400は、センサアセンブリがプロセス変数トランスミッタに結合されるブロック402から始まる。コネクタ120及び122が互いに接続されるときにこのブロックは生じる。一度そのように接続されると、方法400は、適合データがトランスミッタによってセンサアセンブリの適合ボックス116から読み込まれるブロック404に進む。このステップは、コネクタ120と122との間の接続の検知の際に自動で、又はプロセス変数トランスミッタ118のローカルユーザインタフェース上のオペレータ入力に応答して手動で、又はプロセス通信ループ若しくはセグメント140を通ってプロセス変数トランスミッタ118に受け取られる通信を介して、生じ得る。一度適合データが受け取られると、方法400は、個々のアナログセンサ信号がプロセス変数トランスミッタ118の測定電気回路によって測定されるブロック406に進む。これらの個々のセンサ信号は、次いで、ブロック408で例示されるように、ブロック404で読み込まれた適合データによって補正される。追加的に、センサアセンブリの適合ボックスが、絶対圧力センサなどの、任意のローカルセンサを含む場合には、このような適合ボックスセンサが同様に測定され得る。未加工のセンサ信号を測定して前記信号を適合データで補正するステップは、破線410で例示されるように、全生物反応の間繰り返すことができる。一度生物反応が完了すると、ポストバッチ較正が提供される任意のブロック412が実行されてもよい。機器が、生物反応の間、正確にかつその指定された作動範囲内で確実に作動するように、このポストバッチ較正は、生物反応/バッチ運転の終わりに実行され得る。ポストバッチ較正情報が、次いで、プロセス変数トランスミッタ118によって保存され、及び/又は、所望の通りに、プロセス通信ループ140を介して制御システム124に通信され得る。次に、ブロック414で、生物反応袋及びその内容物、並びにセンサアセンブリ、適合ボックス、及びコネクタ120が破棄される。ブロック416で、システムは、次の単回使用バイオリアクタ袋/センサアセンブリを受ける状態となる。一度このようなセンサアセンブリがトランスミッタ118に結合されると、方法400は繰り返される。
図1
図2
図3
図4
図5