特許第6483158号(P6483158)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483158
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】船舶のポッド推進ユニット
(51)【国際特許分類】
   B63H 5/125 20060101AFI20190304BHJP
   B63H 23/24 20060101ALI20190304BHJP
   B63H 21/17 20060101ALI20190304BHJP
   B63H 21/38 20060101ALI20190304BHJP
   B63J 2/12 20060101ALI20190304BHJP
   H02K 1/32 20060101ALI20190304BHJP
   H02K 9/04 20060101ALI20190304BHJP
   H02K 7/14 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B63H5/125
   B63H23/24
   B63H21/17
   B63H21/38 Z
   B63J2/12 A
   H02K1/32 Z
   H02K9/04 A
   H02K7/14 A
【請求項の数】15
【全頁数】16
(21)【出願番号】特願2016-570272(P2016-570272)
(86)(22)【出願日】2015年5月21日
(65)【公表番号】特表2017-518218(P2017-518218A)
(43)【公表日】2017年7月6日
(86)【国際出願番号】EP2015061269
(87)【国際公開番号】WO2015181043
(87)【国際公開日】20151203
【審査請求日】2016年12月22日
(31)【優先権主張番号】14170562.4
(32)【優先日】2014年5月30日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】505056845
【氏名又は名称】アーベーベー・シュバイツ・アーゲー
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【弁理士】
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100103034
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信久
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【弁理士】
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100189913
【弁理士】
【氏名又は名称】鵜飼 健
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【弁理士】
【氏名又は名称】飯野 茂
(72)【発明者】
【氏名】コッソ、アンット
(72)【発明者】
【氏名】ラフティネン、ラッセ
(72)【発明者】
【氏名】セッキネン、ペトリ
【審査官】 結城 健太郎
(56)【参考文献】
【文献】 特開平11−278379(JP,A)
【文献】 特表2004−538200(JP,A)
【文献】 特開平6−191484(JP,A)
【文献】 特開2002−96797(JP,A)
【文献】 特開2003−209210(JP,A)
【文献】 特開2005−186748(JP,A)
【文献】 特開2002−362487(JP,A)
【文献】 特表2004−533363(JP,A)
【文献】 米国特許第6994602(US,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B63H 5/125
B63H 21/17
B63H 21/38
B63H 23/24
B63J 2/12
H02K 1/32
H02K 7/14
H02K 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶のポッド推進ユニットであって、前記ポッド推進ユニットは、
少なくとも部分的に前記船舶の外殻(2)の下方に配設されたポッドハウジング(1)と、
少なくとも1つのプロペラ(5)を回転させるための、前記ポッドハウジング(1)のモータゴンドラ(4)内部の電気プロペラモータ(3)であって、ロータ(6)と、ステータ(7)と、前記ロータ(6)と前記ステータ(7)との間の環状ギャップ(8)と、前記ロータ(6)を通過して延びる気体流路(9)とを有する、電気プロペラモータ(3)と、
密閉型冷却気体回路(10)であって、前記ロータ(6)と前記ステータ(7)との間の前記環状ギャップ(8)と、前記ロータ(6)を通過して延びる前記気体流路(9)とが、前記密閉型冷却気体回路(10)の一部を形成する、密閉型冷却気体回路(10)と、
前記密閉型冷却気体回路(10)内で気体を循環させるためのファン(11)と、を備え、
前記ポッドハウジング(1)は、前記船舶の前記外殻(2)と前記モータゴンドラ(4)との間にストラット区域(12)を備え、
前記電気プロペラモータ(3)の前記ステータ(7)は、前記ポッド推進ユニットの前記ポッドハウジング(1)の前記モータゴンドラ(4)の管状区域(18)に嵌められている、ポッド推進ユニットにおいて、
前記密閉型冷却気体回路(10)が、前記ポッドハウジング(1)と前記船舶の前記外殻(2)の内部との間に気体を導くための、送給ダクト(27)と戻りダクト(28)とを備えること、
前記電気プロペラモータ(3)が、第1のモータ端面(30)と反対側の第2のモータ端面(31)とを有すること、
前記送給ダクト(27)が、前記戻りダクト(28)と、前記電気プロペラモータ(3)の前記第1のモータ端面(30)との間に延びること、
前記戻りダクト(28)が、前記送給ダクト(27)と、前記電気プロペラモータ(3)の前記反対側の第2のモータ端面(31)との間に延びること、
前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)が、前記ポッドハウジング(1)の外表面の一部を形成する、周辺外表面(19)を有すること、
前記電気プロペラモータ(3)の前記ステータ(7)が、前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の壁を介して、前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の前記周辺外表面(19)の少なくとも周辺区域を包囲する水によって冷却されること、
前記ポッドハウジング(1)の前記ストラット区域(12)が、前記船舶の前記外殻(2)に対する前記ポッドハウジング(1)の回動を許容するために、旋回軸受け(25)によって前記船舶に取り付けられていること、
前記ポッド推進ユニットが、前記船舶の前記外殻(2)内部のパワープラント(36)から前記ポッドハウジング(1)内部の電気プロペラモータ(3)へ電力を供給するために、前記パワープラント(36)と前記電気プロペラモータ(3)との間にスリップリング(26)を備えること、及び
前記スリップリング(26)が、前記密閉型冷却気体回路(10)の外側に配設されていること、
を特徴とする、ポッド推進ユニット。
【請求項2】
前記密閉型冷却気体回路(10)内を流れる気体と、少なくとも1つの冷却液体回路(14)内で循環する液体との間で熱エネルギーを交換するために、前記密閉型冷却気体回路(10)内の前記送給ダクト(27)と前記戻りダクト(18)との間に配設された、気体−液体熱交換器(13)を備えることを特徴とする、請求項1に記載のポッド推進ユニット。
【請求項3】
前記冷却液体回路(14)が、密閉型冷却液体回路であることを特徴とする、請求項2に記載のポッド推進ユニット。
【請求項4】
前記冷却液体回路(14)が、前記船舶の密閉型冷却液体システムの一部であることを特徴とする、請求項2に記載のポッド推進ユニット。
【請求項5】
冷却液体回路(14)に連結された気体−液体熱交換器(13)内の冷却液体の漏洩についての情報を提供する漏洩センサを備えることを特徴とする、請求項2からのいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
【請求項6】
前記密閉型冷却気体回路(10)内を流れる気体と、前記ポッドハウジング(1)を包囲する水との間で熱エネルギーを交換するために、前記ポッド推進ユニットの前記ポッドハウジング(1)に取り付けられた、前記密閉型冷却気体回路(10)内の冷却フィン(38)を特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
【請求項7】
前記モータゴンドラ(4)が、前記ストラット区域(12)の第1の連結区域(20a)と第2の連結区域(20b)とによって前記ストラット区域(12)に連結されていること、
前記ストラット区域(12)の前記第1の連結区域(20a)と前記第2の連結区域(20b)とが、前記ストラット区域(12)の前記第1の連結区域(20a)および前記第2の連結区域(20b)と、前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の前記周辺外表面(19)との間に開口(21)が形成されるように、互いに間隔を空けられていること、および
前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の前記周辺外表面(19)の前記周辺区域の少なくとも一部が前記開口(21)内に位置していること
を特徴とする、請求項1からのいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
【請求項8】
前記開口(21)が、前記電気プロペラモータ(3)の前記ステータ(7)の長さの、少なくとも50%にわたって延びていることを特徴とする、請求項に記載のポッド推進ユニット。
【請求項9】
前記密閉型冷却気体回路(10)の前記送給ダクト(27)の一部が前記第1の連結区域(20a)内にあること、および
前記密閉型冷却気体回路(10)の前記戻りダクト(28)の一部が前記第2の連結区域(20b)内にあること
を特徴とする、請求項またはに記載のポッド推進ユニット。
【請求項10】
前記送給ダクト(27)が、前記旋回軸受け(25)の高さにおいて、前記戻りダクト(28)の内側に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載のポッド推進ユニット。
【請求項11】
前記送給ダクト(27)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であって前記船舶に対して前記ポッドハウジング(1)とともに回動するように構成された管状回転送給ダクト区域(32a)を備えること、
前記戻りダクト(28)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であるとともに前記送給ダクト(27)の前記管状回転送給ダクト区域(32a)と同軸であって前記船舶に対して静止して配設されている環状戻りダクト区域(33a)を備えること、および
前記送給ダクト(27)の前記管状回転送給ダクト区域(32a)と、前記戻りダクト(28)の前記環状戻りダクト区域(33a)とが、前記ポッドハウジング(1)の前記スリップリング(26)と前記モータゴンドラ(4)との間の領域に設けられていること
を特徴とする、請求項1に記載のポッド推進ユニット。
【請求項12】
前記戻りダクト(28)が、前記旋回軸受け(25)の高さにおいて、前記送給ダクト(27)の内側に配設されていることを特徴とする、請求項1に記載のポッド推進ユニット。
【請求項13】
前記送給ダクト(27)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であって前記船舶に対して静止して配設されている環状送給ダクト区域(32b)を備えること、
前記戻りダクト(28)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であるとともに前記送給ダクト(27)の前記環状送給ダクト区域(32b)と同軸であって前記船舶に対して前記ポッドハウジング(1)とともに回動するように構成されている管状回転戻りダクト区域(33b)を備えること、および
前記送給ダクト(27)の前記環状送給ダクト区域(32b)と、前記戻りダクト(28)の前記管状回転戻りダクト区域(33b)とが、前記ポッドハウジング(1)の前記スリップリング(26)と前記モータゴンドラ(4)との間の領域に設けられていること
を特徴とする、請求項1に記載のポッド推進ユニット。
【請求項14】
前記電気プロペラモータ(3)が非同期電気モータであることを特徴とする、請求項1から1のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
【請求項15】
前記電気プロペラモータ(3)が同期電気モータであることを特徴とする、請求項1から1のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、独立請求項1のプリアンブルに定義されているような、船舶のポッド(pod)推進ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
ポッド推進ユニットの高出力電気モータの空気冷却は、冗長性のためにさらに倍加される必要のある大型の冷却空気ユニットを必要とする。さらに、ステータのまわりに配設される、必要とされる冷却空気ダクトが、ポッド推進ユニットのモータハウジング部の直径をより大きくするとともに、モータハウジング部の構造をより複雑にする。より大きい直径は、外殻(hull)の抵抗を増大させるとともに、流体力学効率を低下させる。旋回軸受け(slewing bearing)によって船舶に回動可能に取り付けられて、パワープラントから電気プロペラモータへ電力を供給するために、船舶の外殻の内部のパワープラントと、ポッド推進ユニット内部の電気プロペラモータとの間にスリップリングを備える、ポッド推進ユニットにおいて、ポッド推進ユニットの冷却空気は、船舶の外殻とポッド推進ユニットとの間のスリップリングを通過するが、このことは2つの問題につながる。1)スリップリングから生ずる炭塵(coal dust)が電気モータに進入するのを防止するのにフィルタが必要とされる。2)オイルシール漏洩の場合には、プロペラシャフト軸受けから生じる、冷却空気に含まれる油によるスリップリングの油汚染の可能性。
【0003】
直接海水冷却は、ロータ損失のために、非同期電気モータを冷却するための有効な方法ではない。したがって、永久磁石励起による、高価な同期電気モータが頻繁に使用される。
【0004】
様々な冷却設備が当該技術において知られている。
【0005】
US5,403,216の高出力船その他用の主推進設備は、船舶内で軸支された実質的に垂直方向の管状シャフトに連結され、それによって回動可能である、水中駆動ユニットを備える。この駆動ユニットおよび管状シャフトは、プロペラシャフトに連結された電気推進モータを取り囲む中空ケーシングを画定し、このプロペラシャフトは、ケーシングの外部の駆動プロペラに連結されている。ケーシングは、その内側において、いくつかの主として垂直のウェブプレート(web plate)によって支持され、これらのウェブプレートは、ケーシングを構造的に補剛して支持する要素として、ケーシングに対して推進モータを定位置に固定する要素として、推進モータによって発生されるトルクに対する反力をケーシングに伝達する要素として、および推進モータ用の流入および流出の気体状冷却剤用のダクトの壁要素として、協働して作用するように配設されている。
【0006】
US6,935,907B2は、ポッドハウジングと、ポッドハウジング用のアセンブリユニット、いわゆるシーティング(seating)を含む、ポッドユニットを提示しており、この場合に、シーティングは、ポッドハウジングの設置のための、下方部分と上方部分に加えて、基部を有しており、ポッドハウジングは、推進ユニットの収容のための下方ケーシング部分、空気ダクトを備える中間部分、および基部に固定されるギアリングを備える、ステアリングエンジンに固定的に連結されている、上方部分を備える。少なくとも1つのファンを有する冷却システムがシーティング内に装着されている。
【0007】
US6,994,602B2は、少なくとも1つのマリンプロペラと、少なくとも1つのマリンプロペラを駆動する少なくとも1台の電気モータと、その少なくとも1台の電気モータに電力を供給するインバータ供給電源システムとを含む、船舶推進システムを提示している。電源システムは、少なくとも1台の駆動機械と、それによって駆動される少なくとも1台の発電機とを含む。少なくとも1台の電気モータおよび少なくとも1台の発電機は、3相同期機械として構成されている。kW当たり導入電力の損失を低減するため、すなわちステータ巻線において、より強い付勢界磁を可能にするために、3相同期機械として構成された少なくとも1台の電気モータ、および/または電源システムの3相同期機械として構成された少なくとも1台の発電機には、電源システムとして、鉄溝(iron groove)のないエアギャップ式3相巻線が設けられている。巻線の多導体(bundle conductor)は、ロータと積層鉄ヨークとの間の環状ギャップに配置された、絶縁された細い銅線で製作されており、エアギャップ式3相巻線は、プラスチック構造によって強化されるか、および/または樹脂に埋め込まれるか、もしくは樹脂で含浸されているとともに、付属する冷却デバイスが連結されており、それによって、冷却デバイス内で生成された熱が放散される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】US5,403,216
【特許文献2】US6,935,907B2
【特許文献3】US6,994,602B2
【発明の概要】
【0009】
本発明の目的は、効果的な冷却設備を有する船舶のポッド推進ユニットを提供することである。
【0010】
本発明の船舶のポッド推進ユニットは、独立請求項1の定義によって特徴づけられる。
【0011】
船舶のポッド推進ユニットの好ましい実施形態は、従属請求項に定義されている。
【0012】
ポッド推進ユニットの好ましい実施形態は、少なくとも部分的に船舶の外殻の下方に配設されたポッドハウジングを備える。ポッド推進ユニットのこの好ましい実施形態は、少なくとも1つのプロペラを回転させるために、ポッドハウジングのモータゴンドラ内部に電気プロペラモータを備える。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、電気プロペラモータは、ロータと、ステータと、ロータとステータとの間の環状ギャップと、ロータを通過して延びる気体流路とを有する。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、ポッド推進ユニットは、密閉型冷却気体回路を備え、ロータとステータとの間の環状ギャップと、ロータを通過して延びる気体流路とが、この密閉型冷却気体回路の一部を形成する。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、ポッド推進ユニットは、密閉型冷却気体回路内で空気などの気体を循環させるためのファンを備える。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、ポッドハウジングは、船舶の外殻とモータゴンドラ(motor gondola)との間にストラット区域(strut section)を備える。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、ポッド推進ユニットは、密閉型冷却気体回路内を流れる気体と、少なくとも1つの冷却液体回路内を循環する液体との間での熱エネルギーを交換するために、密閉型冷却気体回路内に配設された、少なくとも1つの気体−液体熱交換器を備える。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、電気プロペラモータのステータは、ポッド推進ユニットのポッドハウジングのモータゴンドラの管状区域に、滑り嵌め(snug-fitted)、形状嵌め(form-fitted)、または締り嵌め(shrink-fitted)などにより、嵌め込まれている。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、モータゴンドラの管状区域は、電気プロペラモータのステータが、モータゴンドラの管状区域の壁を介して、モータゴンドラの管状区域の周辺外表面の少なくとも周辺区域を包囲する水まで冷却されるように、ポッドハウジングの外表面の一部を形成する、周辺外表面を有する。このポッド推進ユニットの好ましい実施形態においては、モータゴンドラは、ストラット区域の第1の連結区域と第2の連結区域によってストラット区域に連結されており、そのストラット区域の第1の連結区域と第2の連結区域は、ストラット区域の第1の連結区域および第2の連結区域と、モータゴンドラの管状区域の周辺外表面との間に開口が形成されて、それによってモータゴンドラの管状区域の周辺外表面の前記周辺区域の少なくとも一部が前記開口内に位置するように、互いに間隔を空けられている。
【0013】
以下では、図を参照することによって、本発明がより詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0014】
図1】第1の実施形態による、ポッド推進ユニットの冷却システムの機能原理を示す図。
図2図1に示されるポッド推進ユニットの一部の別の図。
図3】第2の実施形態による、ポッド推進ユニットの冷却システムの機能原理を示す図。
図4】第3の実施形態による、ポッド推進ユニットの冷却システムの機能原理を示す図。
図5】第4の実施形態による、ポッド推進ユニットの冷却システムの機能原理を示す図。
図6】第5の実施形態による、ポッド推進ユニットの冷却システムの機能原理を示す図。
図7】第6の実施形態による、ポッド推進ユニットの冷却システムの機能原理を示す図。
図8】第7の実施形態による、ポッド推進ユニットの冷却システムの機能原理を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1は、船舶のポッド推進ユニットの実施形態の例を示す。
【0016】
ポッド推進ユニットは、少なくとも部分的に船舶(参照番号でマークされていない)の外殻2の下方に配設された、ポッドハウジング1を備える。
【0017】
ポッド推進ユニットは、少なくとも1つのプロペラ5を回転させるために、ポッドハウジング1のモータゴンドラ4内部に電気プロペラモータ3を備える。
【0018】
電気プロペラモータ3は、ロータ6、ステータ7、ロータ6とステータ7との間の環状ギャップ8、およびロータ6を通過して延びる気体流路9を有する。
【0019】
ポッド推進ユニットは、密閉型冷却気体回路10を備え、ロータ6とステータ7との間の環状ギャップ8と、ロータ6を通過して延びる気体流路9とが、密閉型冷却気体回路10の一部を形成する。
【0020】
ポッド推進ユニットは、密閉型冷却気体回路10内で空気などの気体を循環させるための、少なくとも1つのファン11を備える。
【0021】
ポッドハウジング1は、船舶の外殻2とモータゴンドラ4との間のストラット区域12を備える。
【0022】
ポッド推進ユニットは、密閉型冷却気体回路10内を流れる気体と、少なくとも1つの冷却液体回路14内を循環する液体との間で熱エネルギーを交換するために、密閉型冷却気体回路10内の送給ダクト27と戻りダクト28との間に配設された、気体−液体熱交換器13を備えてもよい。
【0023】
電気プロペラモータ3のロータ6は、必ずしもそうではないが、好ましくは、2つの対向するロータ端面16を有し、ロータ6内の気体流路9は、必ずしもそうではないが、好ましくは、電気プロペラモータ3のロータ6の前記2つの対向するロータ端面16の間で、電気プロペラモータ3のロータ6の回転軸の方向に延びる。
【0024】
冷却液体回路14は、密閉型冷却液体回路であってもよい。密閉型冷却液体回路は、船舶の密閉型冷却液体システムの一部であってもよい。
【0025】
冷却液体回路14内を循環する液体は海水であってもよく、冷却液体回路14は、冷却液体回路14が、海水が冷却液体回路14に入ることを可能にするための少なくとも1つの入口(図示せず)と、海水が冷却液体回路14から外に出ることを可能にするための少なくとも1つの出口(図示せず)を有するように、開放型冷却液体回路であってもよい。
【0026】
ファン11および任意選択の気体−液体熱交換器13は、独立した冷却ユニット17の一部であってもよい。独立した冷却ユニット17は、図2に示されるように、ポッドハウジング1の外側で、船舶の外殻2の内部に設けられてもよい。ポッド推進ユニットは、いくつかのそのような独立した冷却ユニット17を備えてもよい。
【0027】
電気プロペラモータ3のステータ7は、ポッド推進ユニットのモータゴンドラ4の管状区域18内に、滑り嵌め、形状嵌め、締り嵌め、滑り嵌めに追加して糊付け、形状嵌めに追加して糊付け、または締り嵌めに追加して糊付けされるなどにより、嵌め込まれる。このような場合には、モータゴンドラ4の管状区域18は、電気プロペラモータ3のステータ7が、モータゴンドラ4の管状区域18の壁(参照番号でマークされていない)を介して、モータゴンドラ4の管状区域18を包囲する水まで冷却されるように、ポッドハウジング1の外表面の一部を形成する、周辺外表面19を有する。
【0028】
モータゴンドラ4は、ストラット区域12の第1の連結区域20aおよび第2の連結区域20bによって、ストラット区域12に連結されてもよく、ストラット区域12の前記2つの連結区域20は、ストラット区域12の第1の連結区域20aおよび第2の連結空気20bと、モータゴンドラ4の管状区域18の周辺外表面19との間に、開口21が形成されて、それによって、モータゴンドラ4の管状区域18の周辺外表面19の前記周辺区域の少なくとも一部が、前記開口21内に位置するように、互いに間隔を空けられている。代替的に、モータゴンドラ4は、ストラット区域12の第1の連結区域20aおよび第2の連結区域20bによって、ストラット区域12に連結されてもよく、ストラット区域12の第1の連結区域20aおよび第2の連結区域20bは、ストラット区域12の前記第1の連結区域20aおよび前記第2の連結区域20bと、モータゴンドラ4の管状区域18の周辺外表面19およびストラット区域の下表面22との間に、開口21が形成され、それによって、モータゴンドラ4の管状区域18の周辺外表面19の前記周辺区域の少なくとも一部が前記開口21内に位置するように、互いに間隔を空けられている。そのような開口21は、電気プロペラモータ3のステータ7の長さの、少なくとも50%、好ましくは75%超、より好ましくは90から110%にわたって延びてもよい。モータゴンドラ4が、ストラット区域12の第1の連結区域20aおよび第2の連結区域20bによって、ストラット区域12に連結される場合には、密閉型冷却気体回路10の送給ダクト27の一部が、第1の連結区域20a内にあり、密閉型冷却気体回路10の戻りダクト28の一部が、第2の連結区域20b内にあってもよい。
【0029】
ポッド推進ユニットは、ポッド推進ユニットに気体−液体熱交換器13が設けられる場合には、電気プロペラモータ3の下流で気体−液体熱交換器13の上流の密閉型冷却気体回路10内を流れる気体の温度を測定するための第1の温度センサ23を含み、ポッド推進ユニットに気体−液体熱交換器13が設けられる場合には、電気プロペラモータ3の上流で気体−液体熱交換器13の下流の密閉型冷却気体回路10内を流れる気体の温度を測定するための第2の温度センサ24を含んでもよい。
【0030】
任意選択の気体−液体熱交換器13は、気体−液体熱交換器13の外部での冷却液体漏洩のリスクを最小化するために、必ずしもそうではないが、好ましくは、二重管タイプである。
【0031】
ポッド推進ユニットは、冷却液体回路14に連結された任意選択の気体−液体熱交換器13内の起こり得る冷却液体の漏洩についての情報を提供するための漏洩センサ(図示せず)を備えてもよい。
【0032】
ポッド推進ユニットに気体−液体熱交換器13が設けられる場合には、ポッド推進ユニットは、電気プロペラモータ3の上流で気体−液体熱交換器13の下流の密閉型冷却気体回路10内を流れる気体の湿度を測定するための湿度センサ(図示せず)を備えてもよい。
【0033】
ポッド推進ユニットは、前記少なくとも1つの冷却回路内で循環する液体の温度を測定するための第3の温度センサを備えてもよい。
【0034】
ポッド推進ユニットは、電気プロペラモータ3の温度に基づいてファン11を制御するための制御手段を備えてもよい。
【0035】
ポッド推進ユニットは、電気プロペラモータ3が生成する動力に基づいてファン11を制御するための制御手段を備えてもよい。
【0036】
ファン11は、船舶の外殻2内部に設けられてもよい。
【0037】
任意選択の気体−液体熱交換器13は、船舶の外殻2内部に設けられてもよい。
【0038】
ポッドハウジング1のストラット区域12は、図1から図7に示されているように、船舶の外殻2に対するポッドハウジング1の回動を許容するために、旋回軸受け25によって船舶に取り付けられてもよい。そのような場合に、ポッド推進ユニットは、パワープラント36から電気プロペラモータ3へ電力を供給するために、船舶の外殻2内部のパワープラント36と、ポッドハウジング1内部の電気プロペラモータ3との間に、スリップリング26を備える。そのような場合に、ポッド推進ユニットは、ポッドハウジング1内部のスリップリング26と電気プロペラモータ3との間の電気配線39を備える。
【0039】
代替的に、ポッドハウジング1のストラット区域12は、図8に示された第7の実施形態における場合のように、ポッドハウジング1が、船舶に回動不能に取り付けられる、すなわち船舶に非回動で取り付けられるように、船舶に取り付けられてもよい。
【0040】
密閉型冷却気体回路10が、ポッドハウジング1と船舶の外殻2との間に気体を導くための、送給ダクト27と戻りダクト28とを備えているため、電気プロペラモータ3は、第1のモータ端面30と反対側の第2のモータ端面31とを有し、送給ダクト27が、戻りダクト28と電気プロペラモータ3の第1のモータ端面30との間に延びるとともに、戻りダクト28が、送給ダクトと電気プロペラモータ3の反対側の第2のモータ端面31との間に延びている。
【0041】
図1、3、5、および6におけるように、ポッド推進ユニットに気体−液体熱交換器13が設けられる場合には、密閉型冷却気体回路10が、ポッドハウジング1と船舶の外殻2との間に、気体を導くための送給ダクト27と戻りダクト28とを備えているため、電気プロペラモータ3は、第1のモータ端面30と反対側の第2のモータ端面31を有し、送給ダクト27が、気体−液体熱交換器13と電気プロペラモータ3の第1のモータ端面30との間に延びるとともに、戻りダクト28が、気体−液体熱交換器13と、電気プロペラモータ3の反対側の第2のモータ端面31との間に延びている。ストラット区域12ポッドハウジング1が、前述のように、旋回軸受けによって船舶に取り付けられており、ポッド推進ユニットが、前述のように、スリップリング26を備える場合には、密閉型冷却気体回路10の送給ダクト27および戻りダクト28は、必ずしもそうではないが、好ましくは、スリップリング26を通過して気体を導くように構成される。
【0042】
ストラット区域12ポッドハウジング1が、前述のように旋回軸受けによって船舶に取り付けられており、ポッド推進ユニットが前述のようにスリップリング26を備える場合には、スリップリング26は、必ずしもそうではないが、好ましくは、密閉型冷却気体回路10の外側に配設される。
【0043】
ストラット区域12ポッドハウジング1が、前述のように旋回軸受けによって船舶に取り付けられるとともに、ポッド推進ユニットが前述のようにスリップリング26を備える場合には、密閉型冷却気体回路10は、図1に示されたポッド推進ユニットの第1の実施形態、および図5に示されたポッド推進ユニットの第4の実施形態における場合のように、スリップリングを通過して気体を導くための送給ダクト27と戻りダクト28を備えてもよく、送給ダクト27は、旋回軸受け25の高さにおいて戻りダクト28の内側に配設されてもよい。図1に示されているポッド推進ユニットの第1の実施形態において、および図5に示されているポッド推進ユニットの第4の実施形態において、送給ダクト27は、管状回転送給ダクト区域32aを備え、この管状回転送給ダクト区域32aは、旋回軸受け25と同軸であり、船舶に対してポッドハウジング1とともに回動するように構成され、隔壁34aに対して密封されている。図1に示されているポッド推進ユニットの第1の実施形態において、および図5に示されているポッド推進ユニットの第4の実施形態において、戻りダクト28は、環状戻りダクト区域33aを備え、この環状戻りダクト区域33aは、旋回軸受け25と同軸であるとともに、送給ダクト27の管状回転送給ダクト区域32aと同軸であり、船舶に対して静止して配設されている。図1に示されているポッド推進ユニットの第1の実施形態において、および図5に示されているポッド推進ユニットの第4の実施形態において、送給ダクト27の管状回転送給ダクト区域32aおよび戻りダクト28の環状戻りダクト区域33aは、スリップリング26とポッドハウジング1のモータゴンドラ4との間の領域に設けられている。図1に示されているポッド推進ユニットの第1の実施形態において、および図5に示されているポッド推進ユニットの第4の実施形態において、環状戻りダクト区域33aは、隔壁34aで終端し、管状回転送給ダクト区域32aには、管状回転送給ダクト区域32a中に気体を送給するための、少なくとも1つの開口35が設けられている。図1に示されているポッド推進ユニットの第1の実施形態、および図5に示されているポッド推進ユニットの第4の実施形態は、例えば、管状回転送給ダクト区域32aが非円形横断面形態を有するとともに、環状戻りダクト区域33aが非円形横断面形態を有するように、および/または管状回転送給ダクト区域32aが、環状戻りダクト区域33aおよび旋回軸受け25に対して非対称に、すなわち環状戻りダクト区域33aおよび旋回軸受け25に対して同軸ではなく配設されるように、修正され得る。
【0044】
ストラット区域12ポッドハウジング1が、前述のように、旋回軸受けによって船舶に取り付けられており、ポッド推進ユニットが前述のようにスリップリング26を備える場合には、密閉型冷却気体回路10は、図3に示されているポッド推進ユニットの第2の実施形態における、および図6に示されているポッド推進ユニットの第5の実施形態における場合のように、戻りダクト28が、旋回軸受け25の高さにおいて送給ダクト27の内側に配設され得るように、スリップリングを通過して気体を導くための送給ダクト27と戻りダクト28を備えてもよい。図3に示されているポッド推進ユニットの第2の実施形態において、および図6に示されているポッド推進ユニットの第5の実施形態において、送給ダクト27は、環状送給ダクト区域32bを備え、この環状送給ダクト区域32bは、旋回軸受け25と同軸であり、船舶に対して静止して配設されている。図3に示されているポッド推進ユニットの第2の実施形態において、および図6に示されているポッド推進ユニットの第5の実施形態において、戻りダクト28は、管状回転戻りダクト区域33bを備え、この管状回転戻りダクト区域33bは、旋回軸受け25と同軸であるとともに、送給ダクト27の環状送給ダクト区域32bと同軸であり、船舶に対してポッドハウジング1と一緒に回動するように構成されて、隔壁34bに対して密封されている。図3に示されているポッド推進ユニットの第2の実施形態において、および図6に示されているポッド推進ユニットの第5の実施形態において、送給ダクト27の環状送給ダクト区域32bおよび戻りダクト28の管状回転戻りダクト区域33bは、スリップリング26とポッドハウジング1のモータゴンドラ4との間の領域に設けられている。図3に示されているポッド推進ユニットの第2の実施形態において、および図6に示されているポッド推進ユニットの第5の実施形態において、環状送給ダクト区域32bは、隔壁34bにおいて終端し、管状回転戻りダクト区域33bには、管状回転戻りダクト区域33bからの気体を送給するための少なくとも1つの開口35が設けられている。図3に示されているポッド推進ユニットの第2の実施形態、および図5に示されているポッド推進ユニットの第5の実施形態は、例えば、管状回転戻りダクト区域32bが非円形横断面形態を有するとともに、環状送給ダクト区域33bが非円形横断面形態を有するように、および/または管状回転戻りダクト区域32bが、環状送給ダクト区域33bおよび旋回軸受け25に対して非対称に、すなわち環状送給ダクト区域33bおよび旋回軸受け25に対して同軸ではなく配設されるように、修正され得る。
【0045】
図1、3、4、5、6、7および8に示されている実施形態において、密閉型気体送給回路10は、戻りダクト28から送給ダクト27を離隔する、ポッドハウジング1内の区画壁37を備える。
【0046】
密閉型冷却気体回路10は、ポッドハウジング1のストラット区域12の壁と、熱的に連結されてもよい。
【0047】
ポッド推進ユニットは、密閉型冷却気体回路10内で気体を循環させるための追加のファン(図示せず)を備えてもよく、この追加の待機ファンは、1次ファン11が破損した場合に自動的に始動するように構成される。
【0048】
ポッド推進ユニットは、図4に示されている第3の実施形態、および図7に示されている第6の実施形態におけるように、密閉型冷却気体回路10内を流れる気体と、ポッドハウジング1を包囲する水との間で熱エネルギーを交換するために、ポッド推進ユニットのポッドハウジング1に取り付けられた、密閉型冷却気体回路10内の冷却フィン38を備えてもよい。
【0049】
プロペラモータ3は、同期電気モータまたは非同期電気モータであってもよい。
【0050】
技術が進歩するにつれて、本発明の基本的概念は、様々な方法で実現し得ることは、当業者には明白である。したがって、本発明およびその実施形態は、上記の例に制約されるものではなく、特許請求の範囲内で変わってもよい。
以下に、出願当初の特許請求の範囲に記載の事項を、そのまま、付記しておく。
[1] 船舶のポッド推進ユニットであって、前記ポッド推進ユニットは、
少なくとも部分的に前記船舶の外殻(2)の下方に配設されたポッドハウジング(1)と、
少なくとも1つのプロペラ(5)を回転させるための、前記ポッドハウジング(1)のモータゴンドラ(4)内部の電気プロペラモータ(3)であって、ここにおいて、前記電気プロペラモータ(3)は、ロータ(6)と、ステータ(7)と、前記ロータ(6)と前記ステータ(7)との間の環状ギャップ(8)と、前記ロータ(6)を通過して延びる気体流路(9)とを有する、電気プロペラモータ(3)と、
密閉型冷却気体回路(10)であって、ここにおいて、前記ロータ(6)と前記ステータ(7)との間の前記環状ギャップ(8)と、前記ロータ(6)を通過して延びる前記気体流路(9)とが、前記密閉型冷却気体回路(10)の一部を形成する、密閉型冷却気体回路(10)と、
前記密閉型冷却気体回路(10)内で気体を循環させるためのファン(11)と を備え、
前記ポッドハウジング(1)は、前記船舶の前記外殻(2)と前記モータゴンドラ(4)との間にストラット区域(12)を備え、
前記電気プロペラモータ(3)の前記ステータ(7)は、前記ポッド推進ユニットの前記ポッドハウジング(1)の前記モータゴンドラ(4)の管状区域(18)に、滑り嵌め、形状嵌め、または締り嵌めなどにより、嵌められている、ポッド推進ユニットにおいて、
前記密閉型冷却気体回路(10)が、前記ポッドハウジング(1)と前記船舶の前記外殻(2)との間に気体を導くための、送給ダクト(27)と戻りダクト(28)とを備えること、
前記電気プロペラモータ(3)が、第1のモータ端面(30)と反対側の第2のモータ端面(31)とを有すること、
前記送給ダクト(27)が、前記戻りダクト(28)と、前記電気プロペラモータ(3)の前記第1のモータ端面(30)との間に延びること、
前記戻りダクト(28)が、前記送給ダクト(27)と、前記電気プロペラモータ(3)の前記反対側の第2のモータ端面(31)との間に延びること、
前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)が、前記ポッドハウジング(1)の外表面の一部を形成する、周辺外表面(19)を有すること、および
前記電気プロペラモータ(3)の前記ステータ(7)が、前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の壁を介して、前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の前記周辺外表面(19)の少なくとも周辺区域を包囲する水まで冷却されること
を特徴とする、ポッド推進ユニット。
[2] 前記密閉型冷却気体回路(10)内を流れる気体と、少なくとも1つの冷却液体回路(14)内で循環する液体との間で熱エネルギーを交換するために、前記密閉型冷却気体回路(10)内の前記送給ダクト(27)と前記戻りダクト(18)との間に配設された、気体−液体熱交換器(13)を特徴とする、[1]に記載のポッド推進ユニット。
[3] 前記冷却液体回路(14)が、密閉型冷却液体回路であることを特徴とする、[2]に記載のポッド推進ユニット。
[4] 前記密閉型冷却液体回路(14)が、前記船舶の密閉型冷却液体システムの一部であることを特徴とする、[2]に記載のポッド推進ユニット。
[5] 前記ファン(11)および前記気体−液体熱交換器(13)が、独立した冷却ユニット(17)の一部であることを特徴とする、[2]から[4]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[6] 前記独立した冷却ユニット(17)が、前記ポッドハウジング(1)の外側で、前記船舶の前記外殻(2)の内部に設けられていることを特徴とする、[5]に記載のポッド推進ユニット。
[7] 前記電気プロペラモータ(3)の下流および前記気体−液体熱交換器(13)の上流で、前記密閉型冷却気体回路(10)内を流れる気体の温度を測定するための、第1の温度センサ(23)と、
前記電気プロペラモータ(3)の上流および前記気体−液体熱交換器(13)の下流で、前記密閉型冷却気体回路(10)内を流れる気体の温度を測定するための、第2の温度センサ(24)と
を特徴とする、[2]から[6]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[8] 漏洩センサが、冷却液体回路(14)に連結された気体−液体熱交換器(13)内の冷却液体の漏洩についての情報を提供することを特徴とする、[2]から[7]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[9] 前記電気プロペラモータ(3)の上流および前記気体−液体熱交換器(13)の下流で、前記密閉型冷却気体回路(10)内を流れる気体の湿度を測定するための湿度センサを特徴とする、[2]から[8]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[10] 前記少なくとも1つの冷却回路内を循環する液体の温度を測定するための第3の温度センサを特徴とする、[2]から[9]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[11] 前記密閉型冷却気体回路(10)内を流れる気体と、前記ポッドハウジング(1)を包囲する水との間で熱エネルギーを交換するために、前記ポッド推進ユニットの前記ポッドハウジング(1)に取り付けられた、前記密閉型冷却気体回路(10)内の冷却フィン(38)を特徴とする、[1]から[10]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[12] 前記モータゴンドラ(4)が、前記ストラット区域(12)の第1の連結区域(20a)と第2の連結区域(20b)とによって前記ストラット区域(12)に連結されていること、
前記ストラット区域(12)の前記連結区域(20a)と前記第2の連結区域(20b)とが、前記ストラット区域(12)の前記連結区域(20a)および前記第2の連結区域(20b)と、前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の前記周辺外表面(19)との間に開口(21)が形成されるように、互いに間隔を空けられていること、および
前記モータゴンドラ(4)の前記管状区域(18)の前記周辺外表面(19)の前記周辺区域の少なくとも一部が前記開口(21)内に位置していること
を特徴とする、[1]から[11]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[13] 前記開口(21)が、前記電気プロペラモータ(3)の前記ステータ(7)の長さの、少なくとも50%、好ましくは75%超、より好ましくは90から110%にわたって延びていることを特徴とする、[12]に記載のポッド推進ユニット。
[14] 前記密閉型冷却気体回路(10)の前記送給ダクト(27)の一部が前記第1の連結区域(20a)内にあること、および
前記密閉型冷却気体回路(10)の前記戻りダクト(28)の一部が前記第2の連結区域(20b)内にあること
を特徴とする、[12]または[13]に記載のポッド推進ユニット。
[15] 前記ポッドハウジング(1)の前記ストラット区域(12)が、前記船舶の前記外殻(2)に対する前記ポッドハウジング(1)の回動を許容するために、旋回軸受け(25)によって前記船舶に取り付けられていること、および
前記ポッド推進ユニットが、前記船舶の前記外殻(2)内部のパワープラント(36)から前記ポッドハウジング(1)内部の電気プロペラモータ(3)へ電力を供給するために、前記パワープラント(36)と前記電気プロペラモータ(3)との間にスリップリング(26)を備えること
を特徴とする、[1]から[14]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[16] 前記密閉型冷却気体回路(10)の前記送給ダクト(27)および前記戻りダクト(28)が、前記スリップリング(26)を通過して気体を導くように構成されていることを特徴とする、[15]に記載のポッド推進ユニット。
[17] 前記スリップリング(26)が、前記密閉型冷却気体回路(10)の外側に配設されていることを特徴とする、[15]または[16]に記載のポッド推進ユニット。
[18] 前記送給ダクト(27)が、前記旋回軸受け(25)の高さにおいて、前記戻りダクト(28)の内側に配設されていることを特徴とする、[15]から[17]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[19] 前記送給ダクト(27)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であって前記船舶に対して前記ポッドハウジング(1)とともに回動するように構成された管状回転送給ダクト区域(32a)を備えること、
前記戻りダクト(28)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であるとともに前記送給ダクト(27)の前記管状回転送給ダクト区域(32a)と同軸であって前記船舶に対して静止して配設されている環状戻りダクト区域(33a)を備えること、および
前記送給ダクト(27)の前記管状回転送給ダクト区域(32a)と、前記戻りダクト(28)の前記環状戻りダクト区域(33a)とが、前記ポッドハウジング(1)の前記スリップリング(26)と前記モータゴンドラ(4)との間の領域に設けられていること
を特徴とする、[18]に記載のポッド推進ユニット。
[20] 前記戻りダクト(28)が、前記旋回軸受け(25)の高さにおいて、前記送給ダクト(27)の内側に配設されていることを特徴とする、[15]から[17]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[21] 前記送給ダクト(27)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であって前記船舶に対して静止して配設されている環状送給ダクト区域(32b)を備えること、
前記戻りダクト(28)が、前記旋回軸受け(25)と同軸であるとともに前記送給ダクト(27)の前記環状送給ダクト区域(32b)と同軸であって前記船舶に対して前記ポッドハウジング(1)とともに回動するように構成されている管状回転戻りダクト区域(33b)を備えること、および
前記送給ダクト(27)の前記環状送給ダクト区域(32b)と、前記戻りダクト(28)の前記管状回転戻りダクト区域(33b)とが、前記ポッドハウジング(1)の前記スリップリング(26)と前記モータゴンドラ(4)との間の領域に設けられていること
を特徴とする、[20]に記載のポッド推進ユニット。
[22] 前記電気プロペラモータ(3)が非同期電気モータであることを特徴とする、[1]から[21]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
[23] 前記電気プロペラモータ(3)が同期電気モータであることを特徴とする、[1]から[21]のいずれか1項に記載のポッド推進ユニット。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8