(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1の反射部は、前記第2の方向における前記第1の反射部の中央部を前記第3の方向に延びる線と、前記第1の方向に延びる線とを含む面に対して面対称な外形を有している、請求項4に記載の光ループバック部材。
前記第1の出力光反射面と前記第1の入力光反射面とのそれぞれは、前記第3の方向に平行に延びる単一の平面により形成されている、請求項1から5のいずれか一項に記載の光ループバック部材。
前記第2の反射部は、前記第3の方向における前記第2の反射部の中央部を前記第2の方向に延びる線と、前記第1の方向に延びる線とを含む面に対して面対称な外形を有している、請求項7に記載の光ループバック部材。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明に係る光ループバック部材の実施形態について
図1から
図17を参照して詳細に説明する。なお、
図1から
図17において、同一又は相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。また、
図1から
図17においては、各構成要素の縮尺や寸法が誇張されて示されている場合や一部の構成要素が省略されている場合がある。
【0020】
本発明に係る光ループバック部材及び光ループバックコネクタを説明する前に、本発明の理解を容易にするために、光ループバックコネクタの第1の参考例及び第2の参考例を
図1から
図7を参照して説明する。
【0021】
図1は、第1の参考例における光ループバックコネクタ1を示す斜視図、
図2は、
図1のA−A線断面図、
図3は、光ループバックコネクタ1の分解斜視図である。第1の参考例における光ループバックコネクタ1は、オス型MPOコネクタとして形成されており、図示しないメス型MPOコネクタ(相手方光コネクタ)に取り付けることによって、メス型MPOコネクタに接続された光ファイバケーブル及び光伝送機器のループバックテストが可能となる。なお、以下の説明においては、
図2の左方を「前方」又は「前」といい、右方を「後方」又は「後」ということにする。
【0022】
図1から
図3に示すように、光ループバックコネクタ1は、前方ハウジング10と、光ループバックコネクタ1が相手方光コネクタに取り付けられた際に相手方光コネクタの複数の光ファイバに対向するように配置される光ループバック部材20と、光ループバック部材20の後端に取り付けられる保護部材30と、1対のガイドピン41,41を保持するピンクランプ40と、ピンクランプ40を前方に付勢するコイルばね50と、後方ハウジング60とを備えている。
【0023】
前方ハウジング10は、相手方光コネクタに嵌合するプラグフレーム12と、相手方光コネクタから光ループバックコネクタ1を引き抜くためのカップリング14とを有している。カップリング14は、プラグフレーム12の外側でプラグフレーム12の前後に移動可能となっている。また、カップリング14の内部にはカップリング14を前方に付勢するコイルばね(図示せず)が収容されている。
【0024】
後方ハウジング60は、前方に延びる1対のガイド部61と、ガイド部61の前端部で外側に突出する係止爪62と、コイルばね50を押圧するばね押圧部63とを有している。ピンクランプ40は、この後方ハウジング60のばね押圧部63に対応してばね保持部43を有している。コイルばね50は、ピンクランプ40のばね保持部43と後方ハウジング60のばね押圧部63との間で付勢された状態で配置される。
【0025】
プラグフレーム12内には、保護部材30と、ピンクランプ40と、コイルばね50と、後方ハウジング60の前側の部分とが収容されている。光ループバック部材20の一部はプラグフレーム12内に収容されているが、光ループバック部材20の前端部はプラグフレーム12から前方に突出している。後方ハウジング60の係止爪62は、プラグフレーム12の側壁に形成された係止孔(図示せず)に係合するようになっており、後方ハウジング60の係止爪62とプラグフレーム12の係止孔との係合によって後方ハウジング60が前方ハウジング10に連結されるようになっている。
【0026】
光ループバック部材20及び保護部材30には、ガイドピン41を挿通させる貫通孔21,31がそれぞれ形成されている。光ループバックコネクタ1が組み立てられた状態では、ガイドピン41がこれらの貫通孔21,31を通って光ループバック部材20から前方に延出するようになっている。この前方に延出したガイドピン41が相手方光コネクタのピン孔に挿入されて、光ループバックコネクタ1が相手方光コネクタに対して位置決めされた状態で接続される。
【0027】
図4Aは光ループバック部材20を示す前方斜視図、
図4Bは後方斜視図、
図4Cは
図4AのB−B線断面図、
図4Dは
図4AのC−C線断面図である。
図4Aから
図4Dに示すように、光ループバック部材20は、相手方光コネクタに当接する前端面22と、保護部材30の前端面32(
図3参照)に当接する後端面23とを有する略直方体状の部材であり、相手方光コネクタに接続される多心光ファイバケーブルを伝搬する光が透過する材料で形成されている。
【0028】
図4Aに示すように、光ループバック部材20の前端面22の中央部には凹部24が形成されており、この凹部24の底部には複数のレンズ25が相手方光コネクタの複数の光ファイバに対向するように形成されている。また、
図4Bに示すように、光ループバック部材20の後側にも凹部26が形成されており、この凹部26の底部には略三角柱状の反射部27が形成されている。この反射部27は、第1の反射面28Aと第2の反射面28Bとを有しており、これらの反射面28A,28BはそれぞれXZ平面と約45°をなしてX方向に延びる傾斜面となっている。
【0029】
図5は、光ループバックコネクタ1を多心光コネクタ(相手方光コネクタ)2に取り付けた際の光ループバック部材20内の光路を模式的に示す図である。第1の参考例における光ループバックコネクタ1は、24本の光ファイバ3を有する多心光コネクタ2に接続して利用されるものである。この多心光コネクタ2は、
図5に示すように、光軸(Y方向)に垂直なZ方向に並べられた光ファイバ3Aと光ファイバ3Bとからなる光ファイバ対がX方向に12組並べられたものである。第1の参考例における光ループバック部材20のレンズ25は、このような光ファイバ3の配列(Z方向に2列×X方向に12列)に対応して設けられている(
図4A参照)。
【0030】
光ループバック部材20のレンズ25のZ方向及びX方向の位置は、光ループバックコネクタ1を多心光コネクタ2に取り付けた際に、レンズ25の光軸が多心光コネクタ2の対応する光ファイバ3の光軸に一致するように決められている。また、レンズ25のY方向の位置は、レンズ25の焦点が多心光コネクタ2の対応する光ファイバ3の端面に位置するように決められている。
【0031】
このような構成において、例えば、
図5に示すように、光ファイバ3Aからループバックテスト用の光71を出力すると、この光71が光ループバック部材20の内部に入射するが、光ループバック部材20に入射する際にレンズ25Aによってコリメートされる。コリメートされた光72は、反射部27の第1の反射面28Aで反射して90°方向転換され、第2の反射面28Bに向かう。第1の反射面28Aで反射した光73は、第2の反射面28Bで反射して90°方向転換され、レンズ25Bに向かう光74となる。この光74は、レンズ25Bから多心光コネクタ2の光ファイバ3Bに向けて出射されるが、このときレンズ25Bによって光ファイバ3Bの端面に集光され、光ファイバ3Bと光結合する。このようにして、多心光コネクタ2の光ファイバ3Aから出力された光71がループバックされて光ファイバ3Bに入力される。
【0032】
ここで、
図3及び
図5に示すように、保護部材30の前端面32には凹部33が形成されており、保護部材30が光ループバック部材20の後方に取り付けられた際に保護部材30の凹部33の内部に光ループバック部材20の反射部27が収容されるようになっている。このように、光ループバックコネクタ1を実際に使用する際には、光ループバック部材20の反射部27が保護部材30によって覆われて保護されるため、反射部27の反射面28A,28Bに異物などが付着して反射面28A,28Bの光学特性が劣化することが防止される。
【0033】
一方で、保護部材30はガイドピン41,41を介して光ループバック部材20に対して着脱自在に取り付けることができる。したがって、光ループバック部材20の光学特性を検査するために光ループバック部材20の反射部27及び反射面28A,28Bを確認する必要がある場合には、光ループバック部材20から保護部材30を取り外した状態とすることで容易にそのような確認をすることができる。すなわち、光ループバック部材20から保護部材30を取り外すことで、光ループバック部材20の反射部27が外部に露出することとなるので、例えば反射面28Aと第2の反射面28Bとがなす角やこれらの反射面28A,28Bの間の稜線29(
図4B及び
図4D参照)とレンズ25が形成された面24A(
図4D参照)との間の平行度を測定したりすることで、光ループバック部材20の成形の精度を確認することができる。したがって、光ループバック部材20が所望の光学特性を備えた良品であるか否かを容易に判断することができ、光ループバックコネクタ1の良好な光学特性を維持することができる。
【0034】
また、光ループバック部材20の反射部27を保護する保護部材30を光ループバック部材20に対して着脱自在な部材としたことで、光ループバック部材20を小さくすることができる。したがって、光ループバック部材20を高い精度で成形すること可能となる。
【0035】
また、第1の参考例では、第1の反射面28A及び第2の反射面28Bのそれぞれが、相手方光ファイバの複数のファイバ対が並んでいるX方向(第2の配列方向)に平行に延びているため、複数の光ファイバ対に対するループバックテストを1組の反射面28A,28Bで実現することができ、部品点数の増加を抑えて光ループバックコネクタ1の製造コストを低減することができる。
【0036】
図6は、第2の参考例における光ループバックコネクタ201を示す斜視図、
図7は、
図6のD−D線断面図である。
図6及び
図7に示すように、第2の参考例における光ループバックコネクタ201は、光ループバックコネクタ201が相手方光コネクタに取り付けられた際に相手方光コネクタの複数の光ファイバに対向するように配置される光ループバック部材220と、光ループバック部材220の後端に取り付けられる保護部材230と、保護部材230を保持するコネクタキャップ240とを備えている。コネクタキャップ240は、基部241と、基部241から前方に延び、保護部材230の周囲を覆う箱状の包囲部242とを有している。
【0037】
図7に示すように、光ループバック部材220及び保護部材230には、上述したガイドピン41を挿通させる貫通孔221,231がそれぞれ形成されている。したがって、光ループバックコネクタ201をオス型のコネクタとして構成する場合には、ガイドピン41がこれらの貫通孔221,231に挿通され、ガイドピン41が光ループバック部材220から前方に延出するように構成される。
【0038】
光ループバック部材220は、相手方光コネクタに当接する前端面222と、保護部材230の前端面232に当接する後端面223とを有する略直方体状の部材であり、相手方光コネクタに接続される多心光ファイバケーブルを伝搬する光が透過する材料で形成されている。また、光ループバック部材220の前端面222の中央部には凹部が形成されており、この凹部の底部には複数のレンズ225A〜225Lが相手方光コネクタの複数の光ファイバに対向するように形成されている。また、光ループバック部材220の後側にも凹部が形成されており、この凹部の底部には略三角柱状の反射部227が形成されている。この反射部227は、第1の反射面228Aと第2の反射面228Bとを有しており、これらの反射面228A,228BはそれぞれXZ平面と約45°をなしてZ方向に延びる傾斜面となっている。
【0039】
第2の参考例における光ループバックコネクタ201は、X方向に一列に並べられた12本の光ファイバを有する多心光コネクタ(相手方光ファイバ)に接続して利用されるものである。第2の参考例における光ループバック部材220のレンズ225A〜225Lは、このような光ファイバ列に対応して設けられている。すなわち、光ループバック部材220のレンズ225A〜225LのZ方向及びX方向の位置は、光ループバックコネクタ201を相手方光コネクタに取り付けた際に、レンズ225A〜225Lの光軸が相手方光コネクタの対応する光ファイバの光軸に一致するように決められており、レンズ225A〜225LのY方向の位置は、レンズ225A〜225Lの焦点が相手方光コネクタの対応する光ファイバの端面に位置するように決められている。
【0040】
このような構成において、例えば、相手方光コネクタの光ファイバのうちX方向において最も外側に位置する光ファイバからループバックテスト用の光を出力すると、この光がレンズ225A(
図7参照)によってコリメートされて光ループバック部材220に入射され、反射部227の第1の反射面228Aで反射して90°方向転換され、第2の反射面228Bに向かい、第2の反射面228Bで反射してさらに90°方向転換され、レンズ225Lに向かう。レンズ225Lから出射される光は、レンズ225Lによって相手方光コネクタの光ファイバの端面に集光されて、この光ファイバと光結合する。同様に、レンズ225Bとレンズ225K、レンズ225Cとレンズ225J、レンズ225Dとレンズ225I、レンズ225Eとレンズ225H、レンズ225Fとレンズ225Gの間でそれぞれ光のループバックが生じる。
【0041】
第2の参考例においても、
図7に示すように、保護部材230の前端面232には凹部233が形成されており、保護部材230が光ループバック部材220の後方に取り付けられた際に保護部材230の凹部233の内部に光ループバック部材220の反射部227が収容されるようになっている。このように、光ループバックコネクタ201を実際に使用する際には、光ループバック部材220の反射部227が保護部材230によって覆われて保護されるため、反射部227の反射面228A,228Bに異物などが付着して反射面228A,228Bの光学特性が劣化することが防止される。
【0042】
また、保護部材230は光ループバック部材220に対して着脱自在に取り付けるようになっている。このため、光ループバック部材220の光学特性を検査するために光ループバック部材220の反射部227及び反射面228A,228Bを確認する必要がある場合には、光ループバック部材220から保護部材230を取り外した状態とすることで容易にそのような確認をすることができる。すなわち、光ループバック部材220から保護部材230を取り外すことで、光ループバック部材220の反射部227が外部に露出することとなるので、例えば反射面228Aと第2の反射面228Bとがなす角やこれらの反射面228A,228Bの間の稜線229(
図7参照)とレンズ225A〜225Lが形成された面との間の平行度を測定したりすることで、光ループバック部材220の成形の精度を確認することができる。したがって、光ループバック部材220が所望の光学特性を備えた良品であるか否かを容易に判断することができ、光ループバックコネクタ1の良好な光学特性を維持することができる。
【0043】
また、第2の参考例では、ループバックを行うそれぞれの組の光ファイバ(例えばレンズ225Aに対応する光ファイバとレンズ225Lに対応する光ファイバ、レンズ225Bに対応する光ファイバとレンズ225Kに対応する光ファイバなど)を同一方向(X方向)に配置している。このため、複数の光ファイバ対に対するループバックテストを1組の反射面228A,228Bで実現することができ、部品点数の増加を抑えて光ループバックコネクタ201の製造コストを低減することができる。
【0044】
次に、本発明の第1の実施形態における光ループバックコネクタ及び光ループバック部材について詳細に説明する。
図8は、本発明の第1の実施形態における光ループバックコネクタ301を示す斜視図、
図9は、
図8のE−E線断面図、
図10は、光ループバックコネクタ301の分解斜視図である。本実施形態における光ループバックコネクタ301は、オス型MPOコネクタとして形成されており、図示しないメス型MPOコネクタ(相手方光コネクタ)に取り付けることによって、メス型MPOコネクタに接続された光ファイバケーブル及び光伝送機器のループバックテストが可能となる。なお、以下の説明においては、
図9の左方を「前方」又は「前」といい、右方を「後方」又は「後」ということにする。
【0045】
図8から
図10に示すように、光ループバックコネクタ301は、前方ハウジング310と、光ループバックコネクタ301が相手方光コネクタに取り付けられた際に相手方光コネクタの複数の光ファイバに対向するように配置される光ループバック部材320と、光ループバック部材320の後端に取り付けられる保護部材330と、1対のガイドピン341,341を保持するピンクランプ340と、ピンクランプ340を前方に付勢するコイルばね350と、後方ハウジング360とを備えている。
【0046】
前方ハウジング310は、相手方光コネクタに嵌合するプラグフレーム312と、相手方光コネクタから光ループバックコネクタ301を引き抜くためのカップリング314とを有している。カップリング314は、プラグフレーム312の外側でプラグフレーム312の前後に移動可能となっている。また、カップリング314の内部にはカップリング314を前方に付勢するコイルばね(図示せず)が収容されている。
【0047】
後方ハウジング360は、前方に延びる1対のガイド部361と、ガイド部361の前端部で外側に突出する係止爪362と、コイルばね350を押圧するばね押圧部363とを有している。ピンクランプ340は、この後方ハウジング360のばね押圧部363に対応してばね保持部343を有している。コイルばね350は、ピンクランプ340のばね保持部343と後方ハウジング360のばね押圧部363との間で付勢された状態で配置される。
【0048】
プラグフレーム312内には、保護部材330と、ピンクランプ340と、コイルばね350と、後方ハウジング360の前側の部分とが収容されている。光ループバック部材320の一部はプラグフレーム312内に収容されているが、光ループバック部材320の前端部はプラグフレーム312から前方に突出している。後方ハウジング360の係止爪362は、プラグフレーム312の側壁に形成された係止孔(図示せず)に係合するようになっており、後方ハウジング360の係止爪362とプラグフレーム312の係止孔との係合によって後方ハウジング360が前方ハウジング310に連結されるようになっている。
【0049】
図10に示すように、光ループバック部材320及び保護部材330には、ガイドピン341を挿通させる貫通孔321,331がそれぞれ形成されている。光ループバックコネクタ301が組み立てられた状態では、ガイドピン341がこれらの貫通孔321,331を通って光ループバック部材320から前方に延出するようになっている(
図8参照)。この前方に延出したガイドピン341が相手方光コネクタのピン孔に挿入されて、光ループバックコネクタ301が相手方光コネクタに対して位置決めされた状態で接続される。
【0050】
図11Aは本発明に係る光ループバック部材320を示す前方斜視図、
図11Bは後方斜視図、
図11Cは
図11AのF−F線断面図、
図11Dは
図11AのG−G線断面図である。
図11Aから
図11Dに示すように、光ループバック部材320は、相手方光コネクタに当接する前端面322と、保護部材330の前端面332(
図10参照)に当接する後端面323とを有する略直方体状の部材であり、相手方光コネクタに接続される多心光ファイバケーブルを伝搬する光が透過する材料で形成されている。
【0051】
図11Aに示すように、光ループバック部材320の前端面322の中央部には凹部324が形成されており、この凹部324の底面324Aには複数のレンズ325,352が相手方光コネクタの複数の光ファイバに対向するように形成されている。
【0052】
また、
図11B及び
図11Cに示すように、光ループバック部材320の上面(+Z方向側の面)340におけるY方向の中央部よりもやや−Y方向側の位置には、凹部326Aが形成されている。この凹部326Aの−Z方向側の面は、光ループバック部材320を形成する材料と空気との間の境界面となっており、光ループバック部材320の内部を透過する光を反射する反射面328Aとして作用する。この反射面328Aは、XZ平面に対して約45°の角度をなしてX方向に延びる傾斜面となっている。
【0053】
同様に、
図11Cに示すように、光ループバック部材320の下面(−Z方向側の面)342におけるY方向の中央部よりもやや−Y方向側の位置には、凹部326Bが形成されている。この凹部326Bの+Z方向側の面は、光ループバック部材320を形成する材料と空気との間の境界面となっており、光ループバック部材320の内部を透過する光を反射する反射面328Bとして作用する。この反射面328Bは、XZ平面に対して約45°の角度をなしてX方向に延びる傾斜面となっている。
【0054】
図11Cにおいて、これらの反射面328A,328Bは、光ループバック部材320のZ方向における中心線Lに対して互いに線対称に形成されており、このような反射面328A,328Bにより、YZ平面において略三角形の外形をなす第1の反射部327Aが光ループバック部材320の内部に形成されている。この第1の反射部327Aの先端部329は中心線L上に位置している。
【0055】
また、
図11Bから
図11Dに示すように、光ループバック部材320の後端面323の中央部には、凹部386が形成されている。この凹部386の−Y方向側の面は、光ループバック部材320を形成する材料と空気との間の境界面となっており、光ループバック部材320の内部を透過する光を反射する第2の反射部327Bとして作用する。この第2の反射部327Bは、略三角柱状に形成されており、稜線392から−X方向側に広がる第1の反射面382Aと、+X方向側に広がる第2の反射面382Bとを有している。これらの反射面382A,382BはそれぞれXZ平面に対して約45°をなしてZ方向に延びる傾斜面となっている。
【0056】
図9及び
図11Cに示すように、第1の反射部327Aは、第2の反射部327Bの前方に位置している。すなわち、第1の反射部327Aは、凹部324の底面324A(レンズ325,352が形成されている面)に対して相対的に近い場所に位置しており、第2の反射部327Bは、底面324Aに対して相対的に遠い場所に位置している。
【0057】
図12は、光ループバックコネクタ301を多心光コネクタ(相手方光コネクタ)302に取り付けてアセンブリを形成した際に、該アセンブリを
図11AのF−F線のX方向における位置で切断した縦断面図であり、光ループバック部材320内の光路の第1のパターンを模式的に示す図である。また、
図13は、上記アセンブリを
図11AのG−G線のZ方向における位置で切断した横断面図であり、光ループバック部材320内の光路の第2のパターンを模式的に示す図である。また、
図14は、上記アセンブリを
図11AのH−H線のX方向における位置で切断した縦断面図であり、光ループバック部材320内の光路の第2のパターンを模式的に示す図である。
【0058】
図12から
図14に示すように、本実施形態における光ループバックコネクタ301は、36本の光ファイバ303,304を有する多心光コネクタ302に接続して利用されるものである。多心光コネクタ302は、光軸(Y方向(第1の方向))に垂直なZ方向(第2の方向)に並べられた光ファイバ303A,303Bからなる光ファイバ対がX方向(第3の方向)に12組並べられ(
図12及び
図14参照)、かつ、12個の光ファイバ304がX方向に並べられたものである(
図13参照)。
図12及び
図14に示すように、12個の光ファイバ304のそれぞれは、光ファイバ303Aと光ファイバ303Bとの間のZ方向における中央部(すなわち、
図12に示す中心線L上)に配置されている。すなわち、多心光コネクタ302は、Z方向に3つ配列された光ファイバ組がX方向に12組並べられた36本の光ファイバを有している。
【0059】
図11A及び
図12に示すように、本実施形態における光ループバック部材320の複数のレンズ325は、複数の光ファイバ303の配列(Z方向(第2の方向)に2列×X方向(第3の方向)に12列)に対応して設けられている。すなわち、光ループバック部材320のレンズ325のZ方向及びX方向の位置は、光ループバックコネクタ301を多心光コネクタ302に取り付けた際に、レンズ325の光軸が多心光コネクタ302の対応する光ファイバ303の光軸に一致するように決められている。また、レンズ325のY方向の位置は、レンズ325の焦点が多心光コネクタ302の対応する光ファイバ303の端面に位置するように決められている。
【0060】
このような構成において、例えば、
図12に示すように、光ファイバ303A(出力光ファイバ)からループバックテスト用の光371(出力光)を出力すると、この光371が光ループバック部材320の内部に入射するが、光ループバック部材320に入射する際にレンズ325A(第1のレンズ)によってコリメートされる。コリメートされた光372は、第1の反射部327Aの第1の反射面328A(第1の出力光反射面)で反射して90°方向転換され、第2の反射面328Bに向かう。すなわち、第1の反射面328Aで−Z方向に反射して、第2の反射面328Bに向かう。
【0061】
第1の反射面328Aで反射した光373は、第2の反射面328Bで反射して90°方向転換され、レンズ325Bに向かう光374となる。すなわち、第2の反射面328B(第1の入力光反射面)で−Y方向に反射して、レンズ325Bに向かう光374となる。この光374(入力光)は、レンズ325Bから多心光コネクタ302の光ファイバ303Bに向けて出射されるが、このときレンズ325B(第2のレンズ)によって光ファイバ303Bの端面に集光され、光ファイバ303Bと光結合する。このようにして、多心光コネクタ302の光ファイバ303Aから出力された光371がZ方向にループバックされて光ファイバ303B(第1の入力光ファイバ)に入力される。以下、このようなZ方向のループバックを第1のループバックということがある。
【0062】
図11A及び
図13に示すように、本実施形態における複数のレンズ352(レンズ352A〜352L)は、複数の光ファイバ304の配列(X方向に12列)に対応して設けられている。すなわち、光ループバック部材320のレンズ352A〜352LのZ方向及びX方向の位置は、光ループバックコネクタ301を多心光コネクタ302に取り付けた際に、レンズ352A〜352Lの光軸が相手方光コネクタの対応する光ファイバ304A〜304Lの光軸に一致するように決められている。さらに言えば、レンズ352A〜352Lは、光ファイバ304A〜304Lに対向するそれぞれの位置に設けられ(
図13参照)、かつ、レンズ325A,325Bの間のZ方向における中央部(例えば、
図12に示す中心線L上)に設けられている。また、
図13及び
図14に示すように、レンズ352A〜352LのY方向の位置は、レンズ352A〜352Lの焦点が相手方光コネクタの対応する光ファイバ304A〜304Lの端面に位置するように決められている。
【0063】
このような構成において、例えば、
図13及び
図14に示すように、多心光コネクタ302の光ファイバ304A〜304Lのうち+X方向において最も外側に位置する光ファイバ304A(出力光ファイバ)からループバックテスト用の光375(出力光)を出力すると、この光375はY方向に沿って伝搬して光ループバック部材320の内部に入射するが、光ループバック部材320に入射する際に、+X方向において最も外側に位置するレンズ352A(第3のレンズ)によってコリメートされる。
【0064】
コリメートされた光376は、
図14に示すように、Y方向に沿って伝搬して第1の反射部327A内を通過するが、この光路上に位置する第1の反射部327Aの先端部329を通過してさらに後方まで(第2の反射部327Bに向かって)伝搬していく。第2の反射部327Bまで伝搬した光376は、
図13に示すように、第2の反射部327Bの第1の反射面382A(第2の出力光反射面)で反射して90°方向転換され、第2の反射面382Bに向かう。すなわち、第1の反射面382Aで−X方向に反射して、第2の反射面382Bに向かう。
【0065】
第1の反射面382Aで反射した光377は、
図13に示すように、第2の反射面382Bで反射して90°方向転換され、−X方向において最も外側に位置するレンズ352Lに向かう光378となる。すなわち、第2の反射面382B(第2の入力光反射面)で−Y方向に反射して、レンズ352Lに向かう光384(入力光)となる。この光384は、光ループバック部材320内を伝搬して第1の反射部327Aの先端部329を通過してさらに前方まで(レンズ352Lに向かって)伝搬していく(
図14参照)。
【0066】
最終的に、
図13に示すように、この光378(入力光)は、−X方向において最も外側に位置する光ファイバ304L(第2の入力光ファイバ)に向けて出射される。このとき、レンズ352L(第4のレンズ)によって光ファイバ304Lの端面に集光され、光ファイバ304Lと光結合する。このようにして、+X方向において最も外側に位置する光ファイバ303Aから出力された光375が、X方向にループバックされて−X方向においても最も外側に位置する光ファイバ304Lに入力される。以下、このようなX方向のループバックを第2のループバックということがある。同様に、レンズ225Bとレンズ225K、レンズ225Cとレンズ225J、レンズ225Dとレンズ225I、レンズ225Eとレンズ225H、レンズ225Fとレンズ225Gの間でそれぞれ第2のループバックが生じる。
【0067】
以上のように、本実施形態によれば、光ファイバ303A,303Bからなるファイバ対を複数有する多心光コネクタ(例えば、24心光コネクタ又は32心光コネクタ)に関して光ループバックテストを行う場合には、第1の反射部327Aによって光をZ方向にループバックさせることができるとともに、複数の光ファイバ304を有する多心光コネクタ(例えば、12心光コネクタ又は16心光コネクタ)に関して光ループバックテストを行う場合には、第2の反射部327Bによって光をX方向にループバックさせることができるため、相手方光コネクタの光ファイバの配列が1列、2列、又は3列であるかにかかわらず、1つの光ループバック部材で光ループバックテストを行うことができる。
【0068】
また、1つの光ループバック部材で様々な配列タイプの相手方光コネクタについて光ループバックテストを行うことができるため、相手方光ファイバの様々な配列タイプに応じて種々の光ループバック部材を製造する必要がなくなる。すなわち、光ループバック部材の製造の際に、相手方光コネクタの心数(光ファイバの数)の変更による金型の段替えや調整が不要となる。
【0069】
また、本実施形態では、第1の反射部327Aの第1の反射面328A及び第2の反射面328Bのそれぞれが、相手方光ファイバのファイバ対(光ファイバ303A,303Bからなるファイバ対)が並んでいるX方向に平行に延びているため、第1のループバックによるループバックテストを1組の反射面328A,328Bで実現することができ、部品点数の増加を抑えて光ループバック部材の製造コストを低減することができる。
【0070】
また、本実施形態では、上述の第2のループバックを行うそれぞれの組の光ファイバ(例えば、レンズ352Aに対応する光ファイバとレンズ352Lに対応する光ファイバ304L、レンズ352Bに対応する光ファイバとレンズ352Kに対応する光ファイバなど)を同一方向(X方向)に配置している。このため、第2の反射部327Bでは、第2のループバックによるループバックテストを1組の反射面382A,382Bで実現することができ、部品点数の増加を抑えて光ループバック部材の製造コストをさらに低減することができる。
【0071】
ここで、
図10及び
図14に示すように、光ループバックコネクタ301は、ガイドピン341,341を介して光ループバック部材320に対して着脱自在に取り付けることができる保護部材330を有している。したがって、光ループバックコネクタ301を実際に使用する際には、光ループバック部材320の第2の反射部327Bが保護部材330によって覆われて保護されるため、第2の反射部327Bの反射面328A,328Bに異物などが付着して反射面328A,328Bの光学特性が劣化することが防止される。
【0072】
一方、光ループバック部材320の光学特性を検査するために光ループバック部材320の第2の反射部327Bを確認する必要がある場合には、光ループバック部材320から保護部材330を取り外した状態とすることで容易にそのような確認をすることができる。すなわち、光ループバック部材320から保護部材330を取り外すことで、光ループバック部材320の第2の反射部327Bが外部に露出することとなるので、例えば第1の反射面382Aと第2の反射面382Bとがなす角やこれらの反射面382A,382Bの間の稜線392(
図11C及び
図11D参照)とレンズ352が形成された面324A(
図11D参照)との間の平行度を測定したりすることで、第2の反射部327Bの成形の精度を確認することができる。
【0073】
また、光ループバック部材320を保護する保護部材330を光ループバック部材320に対して着脱自在な部材としたことで、光ループバック部材320を小さくすることができる。したがって、光ループバック部材320を高い精度で成形すること可能となる。
【0074】
上述した第1の実施形態では、光ループバックコネクタがオス型MPOコネクタとして形成され、相手方光コネクタとしてのメス型MPOコネクタに取り付けられる例について説明したが、例えば
図15に示すように、光ループバックコネクタをメス型MPOコネクタ401として形成し、オス型MPOコネクタに取り付けてもよい。また、本実施形態に係る光ループバックコネクタは、MPOコネクタに限られず、複数の光ファイバを有する光コネクタであれば任意の相手方光コネクタに対して適用できるものである。
【0075】
図16は、本発明に関する第2の実施形態における光ループバックコネクタ501を示す斜視図である。
図16に示すように、本実施形態における光ループバックコネクタ501は、光ループバックコネクタ501が相手方光コネクタに取り付けられた際に相手方光コネクタの複数の光ファイバに対向するように配置される光ループバック部材520と、光ループバック部材520の後端に取り付けられる保護部材530と、保護部材530を保持するコネクタキャップ540とを備えている。コネクタキャップ540は、基部541と、基部541から前方に延び、保護部材530の周囲を覆う箱状の包囲部542とを有している。
【0076】
図16に示すように、光ループバック部材520には、上述したガイドピン341を挿通させる貫通孔521がX方向における両端部近傍に形成されており、保護部材530には、これらの貫通孔521に連通する貫通孔(図示せず)がX方向における両端部近傍に形成されている。したがって、光ループバックコネクタ501をオス型のコネクタとして構成する場合には、ガイドピン341がこれらの貫通孔に挿通され、ガイドピン341が光ループバック部材520から前方に延出するように構成される。
【0077】
図17は、本発明の第3の実施形態における光ループバックコネクタ601を相手方光コネクタ602とともに示す模式図である。この相手方光コネクタ602は、光ファイバケーブル603に接続された4つの多心光コネクタ604と、これらの多心光コネクタ604を保持するハウジング605とを有している。このような相手方光コネクタ602に対応して、光ループバックコネクタ601は、上述した光ループバック部材320と保護部材330をそれぞれ4つ含んでおり、さらに、これら4組の光ループバック部材320及び保護部材330を後方から保持するハウジング610を含んでいる。このように、複数の光ループバック部材320及び保護部材330を組み合わせて用いることもできる。
【0078】
なお、上述した実施形態においては、光ループバック部材320にレンズ325,352を形成した例について説明したが、例えば相手方光コネクタにこれらのレンズ325,352と同様の機能を有する部材が設けられていれば、光ループバック部材320にレンズ325,352を形成する必要はないことは言うまでもない。
【0079】
また、上述の実施形態では、第1の反射部327Aを第2の反射部327Bの前方に配置しているが、第1の反射部及び第2の反射部の位置はこれに限られない。例えば、第2の反射部を第1の反射部の前方に配置してもよい。また、上述の第1のループバックと第2のループバックとを独立して行うことができるのであれば、第1の反射部及び第2の反射部の形状を適宜変更してもよい。ただし、上述の実施形態のようにアセンブリを構成すれば、第1の反射部及び第2の反射部をそれぞれ面対称に形成することができるため、第1の反射部及び第2の反射部を容易に形成することができる。
【0080】
また、上述した実施形態では、第1のループバックにおいて光を光ファイバ303Aから光ファイバ303Bにループバックさせる例を説明したが、光ファイバ303Bから光ファイバ303Aに向かって光をループバックさせてもよいことは言うまでもない。同様に、上述した実施形態では、第2のループバックにおいて光を光ファイバ304Aから光ファイバ304Lにループバックさせる例を説明したが、光ファイバ304Lから光ファイバ304Aに向かって光をループバックさせてもよいことは言うまでもない。
【0081】
また、上述の実施形態では、相手方光コネクタ302の光ファイバ304A〜304Lのそれぞれが、Z方向において光ファイバ303Aと光ファイバ303Bとの間に配置されている例を説明したが(
図12及び
図14参照)、X方向に沿って1列に配列された光ファイバ304A〜304Lのそれぞれを、光ファイバ303Aの上側(+Z方向側)に配置してもよく、又は、光ファイバ303Bの下側(−Z方向側)に配置してもよい。
【0082】
これまで本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述の実施形態に限定されず、その技術的思想の範囲内において種々異なる形態にて実施されてよいことは言うまでもない。