(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記電気トレースは、前記磁気ループの駆動点からおよそ90度又はおよそ270度の電気角度位置で、前記電界放射器を前記磁気ループに繋ぐことを特徴とする、請求項4に記載のアンテナ。
前記電気トレースは、前記磁気ループを通って流れる電流が反射し当該電流が最小となる反射最小点で、前記電界放射器を前記磁気ループに繋ぐことを特徴とする、請求項4に記載のアンテナ。
前記電界放射器は、前記磁気ループの駆動点からおよそ90度又はおよそ270度の電気角度位置で、前記磁気ループに直接繋がれることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ。
前記電界放射器は、前記磁気ループを通って流れる電流が反射し当該電流が最小となる反射最小点で、前記磁気ループに前記直接繋がれることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ。
前記トレースは、前記電界放射器に隣接する第1セクションと、前記電界放射器から離れた第2セクションを含み、ここで、前記第1セクションの長さと幅は、前記第2セクションの長さと幅とは異なることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ。
前記トレースは、前記電界放射器に隣接する第1セクションと、前記電界放射器から離れた第2セクションを含み、ここで、前記第1セクションの形状は、前記第2セクションの形状とは異なることを特徴とする、請求項1に記載のアンテナ。
【背景技術】
【0003】
現代の電気通信デバイスの大きさが絶えず減少するにつれ、アンテナの設計の改善が必要となる。モバイル電話/携帯電話などのデバイスにある既知のアンテナは、性能に主な制限の1つを提供し、何かにつけ、ほぼ常に妥協が生じてしまう。
【0004】
特に、アンテナの効率は、デバイスの性能に主な影響を及ぼすことができる。より効率的なアンテナは、送信器から供給されたより高い割合のエネルギーを放射する。同様に、アンテナ固有の相互作動のため、より効率的なアンテナは、受信器による処理のため、より多くの受信信号を電気エネルギーに変換する。
【0005】
トランシーバー(送信器と受信器の両方として作動するデバイス)とアンテナの間でのエネルギーの旋回径(送信と受信モードの両方における)を確実にするために、両方のインピーダンスは、振幅が互いに一致しなければならない。2つの間の任意の不整合は、送信の場合において、アンテナから送信器へと後ろに反射されているエネルギーによる、準最適な性能をもたらす。受信器として作動する場合、アンテナの準最適な性能は、別段に可能である低受信電力をもたらす。
【0006】
既知の単純なループアンテナは、典型的に電流供給デバイスであり、主に磁力(H)界を作りだす。そのため、それらは典型的に送信器には適切ではない。このことは、小さなループアンテナ(即ち、より小さいか、或いは一波長未満の直径を有している)に特に該当する。対照的に、ダイポールなどの電圧供給アンテナは、電気(E)界及びH界の両方を作りだし、送信モード及び受信モードにおいて使用することができる。
【0007】
ループアンテナにより受信した、又はループアンテナから送信したエネルギー量は、部分的に、その領域によって測定される。典型的に、ループの領域が半分にされる度、受信/送信され得るエネルギー量は、初期のサイズ、周波数などの適用パラメーターに依存して、およそ3dBまで減少される。この物理的な拘束は、非常に小さなループアンテナを実際に使用することができないことを意味する傾向がある。
【0008】
複合アンテナは、横磁気(TM)モード及び横電気(TE)モードの両方が、より高い帯域幅(低いQ)、より大きな線強度/電力/利得、及びより大きな効率などのより高い性能の利益を達成するために起動されるものである。
【0009】
1940年代後半に、WheelerとChuが、初めて電気的小型(ELS)アンテナの特性を調べた。彼らの行動を通じ、様々な数方程式が、物理的な大きさが減少するという、アンテナの制限を説明するために作成された。WheelerとChuによって言及されたELSアンテナの制限の1つは、特に重要なものであり、それらが、放射するより多くの時間平均エネルギーを格納するという点で、大きな線質因子「Q」を有するということである。WheelerとChuによると、ELSアンテナは、典型的に1−50%の間で、アンテナ又はマッチングネットワークの最も小さな抵抗性の損失をもたらし、且つ非常に低い放射効率につながる、高い放射Qを有する。その結果、1940年代以来、ELSアンテナが狭い帯域幅と貧しい放射効率を有することが、科学業界によって一般的に受け入れられてきた。ELSアンテナを利用するワイヤレス通信システムにおける現代業績の多くは、変調スキームの厳格な実験及び最適化から、並びにエアプロトコル上で生じたが、今日において商業上利用されるELSアンテナは、まだ狭い帯域幅、低い効率を反映しており、WheelerとChuが最初に確立したものに帰着する。
【0010】
1990年代の初めに、Dale M. GrimesとCraig A. Grimesが、WheelerとChuの理論によって確立された低放射Qの制限を超える、ELSアンテナにおいて共に作動するTMモードとTEモードの特定の組み合わせを数学的に見出したことを主張した。GrimesとGrimesは、1995年5月に、電磁界適合性に関するIEEEのトランザクションにおいて公表されたジャーナル「Bandwidth and Q of Antennas Radiating TE and TM Modes」において自身の成果を説明した。これらの主張は多くの討論の口火を切り、TMモード又はTEモードの何れかが単独で起動される「単純なフィールドアンテナ」に対立するものとして、TMモード及びTEモードの両方が起動される用語「複合フィールドアンテナ」へと繋がった。複合フィールドアンテナの利点は、Wheeler−Chuの制限、増加した線強度、指向性(利得)、放射した電力、及び放射した効率よりも低い放射Qの証拠を導き出した、「U.S. Naval Air Warfare Center Weapons Division」によって採用されたグループを含む、様々な非常に評判の高いRFの専門家によって数学的に証明されてきた(P. L. Overfelft, D. R. Bowling, D. J. White, “Colocated Magnetic Loop, Electric Dipole Array Antenna (Preliminary Results),” Interim rept. , Sep. 1994)。
【0011】
複合フィールドアンテナは、要素結合の望まれない効果、並びに電気及び磁気の放射器を組み合わせるために低損失受動回路網を設計する際に関連する困難のため、複雑であり、物理的に実施するのが難しいと証明された。
【0012】
一般的に回路基板上の金属の印刷片から成る、2次元の、非複合アンテナの多くの例が存在する。しかし、これらアンテナは電圧を供給される。1本のそのようなアンテナの一例は、平面逆F型アンテナ(PIFA)である。同様のアンテナ設計の大多数はまた、主として4分の1波長(又は、4分の1波長の幾つかの倍数)、供給された電圧、ダイポールアンテナから成る。
【0013】
平面アンテナも、当該技術分野において既知である。例えば、Zahn et alにより特許化された米国特許第5,061,938号は、アンテナを作動させるために高価なテフロン(登録商標)基板、又は同様の材料を必要とする。Shigaにより特許化された米国特許第5,376,942号は、マイクロ波信号を受信できるが送信はしない平面アンテナを教示する。Shigaのアンテナはさらに、高価な半導体基材を必要とする。Nalbandianにより特許化された米国特許第6,677,901号は、1:3乃至1:1の誘電率対透磁率の比率を有する基板を必要とし、且つHFとVHFの周波数範囲(3〜30MHz及び30〜300MHz)において作動することができるのみの、平面アンテナに関連する。通常のプリント回路基板に共通して使用される、FR−4などの低価格のガラス強化したエポキシ積層板上に幾つかの低周波数デバイスを印刷することが既知である一方、FR−4における誘電損失は高すぎると考えられ、誘電率は、そのような基板がマイクロ波振動数で使用されるように十分にしっかりと制御されない。これらの理由のため、アルミナ基板がより共通して使用される。加えて、これら平面アンテナは何れも、複合ループアンテナではない。
【0014】
複合フィールドアンテナの性能の増加の根拠は、帯域幅、効率、利得、及び線強度に関して、アンテナの近くの場に蓄えられたエネルギーの効果に由来する。RFアンテナ設計において、アンテナへと提示された可能な限り多くのエネルギーを、放射した電力に移すことが、望ましい。アンテナ近くの場に蓄えたエネルギーは、歴史的に無効電力と称され、放射することができる電力の量を制限する役目を果たす。複素電力について議論する場合、実際の及び架空の(頻繁に「無効の」と称される)部分が存在する。実電力は発生源を残し、決して戻らない一方で、架空電力又は無効電力は、発生源の固定位置(半分の波長内にある)の周囲で振動する傾向があり、発生源と相互作動し、それにより、アンテナの動作に影響を及ぼす。複数の発生源からの実電力の存在は直接加えられる一方で、架空の電力の複数の発生源は、付加的となる又は負(取り消される)となり得る。複合アンテナの利益は、以前は単純なフィールドアンテナが利用可能でなかった無効電力の取り消しを利用して、技術者が設計を作成する、TM(電気ダイポール)及びTE(磁気ダイポール)発生源の両方によってアンテナを駆動し、それにより、アンテナの実電力伝送品質を改善することである。
【0015】
複合アンテナへの無効電力を取り消すことを可能にするためには、電界及び磁界が互いに直交して作動することが必要である。電界を放射するのに必要な電界放射器、及び磁界を生成するのに必要な磁気ループの多くの取り決めが提案されているが、全てのそのような設計は、三次元アンテナで例外なく定まってきた。例えば、McLeanにより特許化された米国特許第7,215,292号は、1組の磁気ループ間に位置付けられる第3平行平面上に電気ダイポール子を備えた平行平面に、1組の磁気ループを必要とする。Grimes et alにより特許化された米国特許第6,437,750号は、互いに物理的に直交して配列される、2組の磁気ループと電気ダイポール子を必要とする。McLeanにより出願された、米国特許出願US2007/0080878号は、磁気ダイポール子と電気ダイポール子が直交平面にも存在する配置を教示する。
【0016】
共有に関わる米国特許出願第12/878,016号は、直線偏光の、多層の平面の複合ループアンテナを教示する。共通して所有される米国特許出願第12/878,018号は、直線偏光の、片側複合ループアンテナを教示する。最後に、共通して所有される米国特許出願第12/878,020号は、直線偏光の、自給型複合ループアンテナを教示する。これら共有に関わる特許出願は、McLeanとGrimes et alによるアンテナの設計におけるような磁気ループと電界放射器の三次元配列を必要とするのではなく、二次元で物理的に配置される、1つ以上の磁気ループと1つ以上の電界放射器を有する複合ループアンテナであるという点で、以前のアンテナと異なる。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施形態は、片側の、多層の、円偏光の自給型複合ループアンテナ(円偏光CPLアンテナ)を提供する。円偏光CPLアンテナの実施形態は、互いに直交するよう物理的に方向付けられた2つの電界放射器を使用することにより、及び、2つの電界放射器の間にある電気的な遅延が、2つの電界放射器にそれぞれ位相の異なる電界を放射させるように、2つの電界放射器を確実に位置づけることにより、円偏光信号を生成する。2つの電界放射器間の適切な電気的遅延を確実にすることはまた、アンテナの高性能を維持し、アンテナの軸比を改善する。
【0019】
片側複合ループアンテナ、多層複合ループアンテナ、及び自給型複合ループアンテナは、米国特許出願第12/878,016号、第12/878,018号、第12/878,020号の中で考察され、それらはその全体において引用により本明細書に組み込まれる。
【0020】
円偏光は、アンテナによって生成された電磁波が間隔を空けてアンテナから離れて広がるにつれてそれぞれの直交性を維持する間、電界及び磁界が連続的に回転するという現象を指す。円偏光は、直線偏光よりも優れて、湿気及び障害物に浸透することができる。このことは、湿度環境、多くの建物や木を有する大都市圏、及び周辺での適用のため適切にする。
【0021】
直線偏光アンテナと共に、個別のデバイスの送信器及び受信器は、受信器が送信器から最も強い信号を受信することを可能にするように、同様の配向を有していなければならない。例えば、送信器が垂直に適応させられると、受信器も最も強い信号を受信するために垂直に適応させなければならない。他方、送信器が垂直に適応され、受信器がわずかに斜めになる又は垂直ではない角度に傾いていれば、受信器はより弱い信号を受信する。同様に、送信器の角度が傾き、受信器が垂直であれば、受信器はより弱い信号を受信する。このことは、セル方式に基づいた電話などのモバイル電話の特定の型に備わる重大な問題であり、そこでは、電話の受信器は、絶えず変わる配向を有し、又は、最良の信号強度を備える電話の配向はまた、ユーザーがあまり快適でない電話の配向である。それ故、携帯電子デバイスにおいて、又は衛星受信器用に使用されるアンテナを設計する場合、絶えず受信器の低性能に繋がり得る受信デバイスの配向を予測することは、不可能である。携帯電子デバイスの場合、受信器の配向は、携帯電子デバイスを使用する間にユーザーが何を行っているかに依存して、予測できない変化に結び付く。
【0022】
この問題に対する可能な解決策は、異なる配向で配置される、多数の受信器、又は多数の送信器を使用することであり、それにより、受信器が受信する信号の質を高める。例えば、第1受信器は垂直であり、第2受信器は45度の角度で配向され、第3受信器は水平であり得る。このことは、角度が直線垂直偏光、直線水平偏光、及び直線偏光の信号である信号を受信器が受信することを可能にする。この場合、送信器から送信された信号が受信器の1つの配向と一致する時、受信器は最も強い信号を受信する。しかし、多数の受信器/送信器の使用は、多数の受信器/送信器を収容するため、より大きな受信デバイス/送信デバイスを必要とする。加えて、多数の受信器/送信器の利益は、付属の受信器/送信器に電力を供給するのに必要な電力消費によって相殺される。
【0023】
円偏光において、送信器と受信器は、広げられた信号が独自に変わらず回転しているため、同様に配向される必要はない。従って、受信器の配向にかかわらず、受信器は同じ強度の信号を受信する。上述のように、円偏光において、電界と磁界は、電界と磁界が間隔を空けて広がるようにそれぞれの直交性を維持する間、連続的に回転する。
【0024】
図1Aは、長さおよそ2.92センチメートル、高さおよそ2.92センチメートルの、片側の2.4GHz、円偏光CPLアンテナ(100)の実施形態を示す。特定の次元がこのアンテナ設計及び本明細書に開示される他の実施形態に関して知られる一方で、本発明は、特定のサイズ又は動作周波数に限定されず、及び、異なるサイズ、周波数、構成要素、並びに動作特性を使用するアンテナは、本発明の教示から逸脱することなく開発することができることが理解されるべきである。
【0025】
アンテナ(100)は、磁気ループ(102)、磁気ループ(102)に直接繋がれた第1電界放射器(104)、及び第1電界放射器(104)に対して垂直の第2電界放射器(106)から成る。電界放射器(102)及び(104)は両方とも、磁気ループ(102)の内部に物理的に置かれる。電界放射器(104)及び(106)は、磁気ループの外部に置くことができる一方で、最大のアンテナ性能のため、磁気ループ(102)の内部に電界放射器(104)及び(106)を置くことが好ましい。第1電界放射器(104)及び第2電界放射器(106)の両方は、4分の1波長のモノポールであるが、代替的実施形態は、4分の1波長のいくつかの倍数であるモノポールを使用することができる。
【0026】
複合ループアンテナは、送信モードと受信モードの両方において作動することができ、それにより、既知のループアンテナより大きな性能を可能にする。CPLアンテナの2つの主な構成要素は、磁界(H界)を生成する磁気ループ、及び電界(E界)を放射する電界放射器である。H界とE界は、アンテナによって放射された電磁波が間隔を空けて効率的に広がるのを可能にするため、互いに直交していなければならない。この効果を達成するために、電界放射器は、磁気ループに沿って、およそ90度の電気的な位置、又はおよそ270度の電気的な位置に位置する。H界とE界の直交性はまた、磁気ループを通って流れる電流が反射する最小にある場合、磁気ループに沿った点に電界放射器の位置を決めることにより、達成することができる。電流が反射する最小にあるCPLアンテナの磁気ループに沿った点は、磁気ループの幾何学的配列に依存する。例えば、電流が反射する最小にある点は、磁気ループの第1領域として最初に識別され得る。インピーダンスマッチングを達成するため磁気ループに金属を加える、又は除去した後、電流が反射する最小にある点は、第1領域から第2領域へと変化し得る。
【0027】
図1Aに戻ると、電界放射器(104)と(106)は、同じ90度又は270度の接続点、又は磁気ループ(102)を通って流れる電流が反射する最小にある同じ接続点で、磁気ループ(102)に繋ぐことができる。代替的に、第1電界放射器は、電流が反射する最小にある、磁気ループに沿った第1の点に位置することができ、第2電界放射器は、電流が反射する最小にある、磁気ループに沿った異なる点に位置することができる。電界放射器を、磁気ループに直接繋ぐ必要はない。代替的に、電界放射器の各々は、誘導的な遅延を加えるために、磁気ループ(102)を狭い電気的トレースに接続することが出来る。電界放射器が磁気ループ内に置かれると、特に、放射器が、以下に更に記載される、転移経路(108)又はカウンタポイズ(110)などの、アンテナの他の部分と電気的に接続されないことを確実にするのに注意しなければならず、それらは、以下に更に記載されるように、接続の幾つかの形態が所望されない限り、アンテナの性能又は操作性を弱める。
【0028】
言及したように、アンテナ(100)は、転移経路(transition)(108)、並びに第1電界放射器(104)及び第2電界放射器(106)に対するカウンタポイズ(110)を含む。転移経路(108)は、磁気ループ(102)の幅より大きな幅を有する、磁気ループ(102)の一部から成る。転移経路(108)の機能は、更に以下に記載される。一体型カウンタポイズ(110)は、アンテナ(100)が、任意のアース平面、又はアンテナを使用する製品のシャーシから完全に独立することを可能する。アンテナ(100)の実施形態、及び同様に円偏光CPLアンテナの代替的な実施形態は、転移経路及び/又はカウンタポイズを含む必要がない。
【0029】
転移経路は、ある程度、磁気ループのまわりの電圧の分配を遅らせ、磁気ループと転移経路に現われる電圧が、電界放射器によって放射されている電圧を取り消さないように、カウンタポイズにインピーダンスを配置する。カウンタポイズ及び電界放射器が、アンテナにおいて互いに180度位相が異なって位置付けられる場合、アンテナの利得は、近くの任意のアース平面に関係なく増加することができる。また、転移経路は、カウンタポイズに現われる電圧と一致するため、その長さと幅を調整することができることも、理解されるべきである。
【0030】
アンテナ(100)は、バルーン(112)を更に含む。バルーンは、アースのまわりで平衡を保たれる(差動的)電気的信号を、平衡が保たれていない(不平衡の)信号に、及びその逆に変換することができる、電気変圧器の一種である。具体的に、バルーンは、共通モード信号に高インピーダンスを提示し、差動モード信号に低インピーダンスを提示する。バルーン(112)は、共通モード電流を取り消す機能を果たす。加えて、バルーン(112)は、所望の入力インピーダンスにアンテナ(100)を合わせ、全体的な磁気ループ(102)のインピーダンスを合わせる。バルーン(112)は、ほぼ三角形であり、中央ギャップ(114)により分割された2つの部分から成る。アンテナ(100)の代替的な実施形態、及び同様に自給型CPLアンテナ並びに円偏光CPLアンテナの代替的な実施形態は、バルーンを含む必要がない。
【0031】
転移経路(108)の長さは、アンテナの動作周波数に基づいて配置することができる。高周波数のアンテナのため、波長がより短い場合、より短い転移経路が使用され得る。他方、低周波数アンテナのため、波長がより長い場合、より長い転移経路(108)が使用され得る。転移経路(108)は、カウンタポイズ(110)から独立して調整することができる。
【0032】
カウンタポイズ(110)は、磁気ループ(102)から形成されるため、一体型であると称される。従って、自給型カウンタポイズアンテナは、アンテナを使用するデバイスによって提供されるためにアース平面を必要としない。カウンタポイズ(110)の長さは、所望のアンテナ性能を得るのに必要とされるように調整することができる。
【0033】
単純な4分の1波長のモノポールの場合、アース平面及びカウンタポイズは、全く同一である。しかし、アース平面とカウンタポイズは、必ずしも同じである必要はない。アース平面は、基準位相点が位置付けられる場所であり、一方でカウンタポイズは遠距離電磁界偏光を配置するものである。自給型CPLアンテナの場合、転移経路は、アースに対応する基準位相点をカウンタポイズにも移動させ、アンテナが接続されるデバイスから独立したアンテナを作る、180度の位相遅れをカウンタポイズに作るように機能する。バルーンが磁気ループの端部に含まれる場合、その後、磁気ループの両端はアンテナのアースである。アンテナがカウンタポイズを含まない場合、その後、電界放射器からおよそ180度ずれた磁気ループの一部は未だに、アース平面として作動する。
【0034】
アンテナ(100)の実施形態は、転移経路(108)及び/又はカウンタポイズ(110)を含むことに限定されない。故に、アンテナ(100)は、転移経路(108)を含まず、未だにカウンタポイズ(110)を含み得る。代替的に、アンテナ(100)は、転移経路(108)又はカウンタポイズ(110)を含まないこともある。アンテナ(100)がカウンタポイズ(110)を含まない場合、アンテナ(100)の利得及び効率は、わずかに落ちる。アンテナ(100)がカウンタポイズを含まない場合、電界放射器は未だに、カウンタポイズとして機能し得る金属片(例えば、
図1Aの磁気ループ(102)の左側)等の、電界放射器からおよそ180度のカウンタポイズを探す。磁気ループ(102)(カウンタポイズがない)の左側は、同様の方法で機能することができる一方で、磁気ループ(102)の幅より大きな幅を有するカウンタポイズ(110)を有するほど効率的ではない(幅の減少のため)。言いかえれば、磁気ループに沿った反射する最小にある電流点(current point)に接続されるものはすべて、その最小の反射する電流点からカウンタポイズを180度探す。アンテナ(100)において、カウンタポイズ(110)は、電界放射器(104)と(106)の両方に関して使用される、反射する最小にある電流点からおよそ180度で位置付けられる。しかし、上述のように、カウンタポイズ(110)に利点がある一方で、カウンタポイズ(110)の除去には、アンテナ(100)の利得及び性能に対する不十分な効果しかない。
【0035】
図1Aが、水平に配向される第1電界放射器と、垂直に配向される第2電界放射器を有するアンテナ(100)の平面図を示す一方で、幾つかの実施形態において、電界放射器は、同じ面に異なる角度に沿って配向され得る。2つの電界放射器の正確な位置が変わり得る一方で、2つの電界放射器は、円偏光CPLアンテナとして操作するためのアンテナ(100)のため互いに直交して位置付けられることが重要である。例えば、第1電界放射器は45度で傾けることができ、電気的なトレースは、傾いた電界放射器を磁気ループに繋げる。第2電界放射器は、アンテナが円偏光信号を作ることを可能にするため、第1電界放射器に直交することのみ必要とする。そのような実施形態において、2つの交わる電界放射器によって形成される、ほぼ交差した形状は、45度傾けられる。
【0036】
円偏光CPLアンテナ(100)は平面である。従って、右手の円偏光(RHCP)は、正のz方向に沿って、アンテナ(100)によって形成される平面に垂直な、第1の方向に送信されます。左手の円偏光(LHCP)は、負のz−方向に沿って、第1の方向に対向する第2の方向に送信される。
図1Bは、RHCP(120)がアンテナ(100)の前面から拡散し、一方でLHCP(122)がアンテナ(100)の後部から拡散することを示す。
【0037】
低周波数で、第2電界に直交するよう第2電界放射器を配置することは、第1電界放射器と第2電界放射器の間に十分な遅延が存在しない場合、機能しない場合がある。2つの電界放射器間に十分な遅延が存在しない場合、2つの電界放射器は、同時に、又は十分でないが位相を異にしてそれぞれの電界を放射し、それらの電界の取り消しをもたらす。電界の取り消しは、電界の損失が空間へと放射されるため、アンテナの低い効率と利得をもたらす。これはまた、円偏光アンテナよりもむしろ、交差偏光アンテナにおける結果として生じ得る。
【0038】
解決策として、
図1Aに戻ると、2つの電界放射器は、磁気ループの異なる点に沿って位置することができる。故に、第2電界放射器(106)は、第1電界放射器(104)の頂部に位置する必要はない。例えば、電界放射器の1つは、90度の位相点に位置することができ、一方で第2電界放射器は、270度の位相点に位置することができる。上述のように、CPLアンテナの磁気ループは、電流が反射する最小にある、磁気ループに沿った重複点を有することが出来る。電界放射器の1つは、その後、電流が反射する最小にある第1の点に位置することができ、第2電界放射器は、電流が反射する最小にある、第2の点に位置することができる。
【0039】
図1Aからのアンテナ(100)において、電界放射器(104)及び(106)は両方とも、同じ反射最小点で接続される。しかし、アンテナ(100)の代替的な実施形態において、第1電界放射器(104)は、磁気ループ(102)に沿って第1の点に接続することができ、第2電界放射器(106)は、
図2Aで示されるように、磁気ループ(102)に沿って第2の点に接続することができる。しかし、上述のように、2つの電界放射器は、たとえ互いに物理的に接触していなくとも、
図2Aにおいても示されるように、未だに、円偏光を有するためアンテナに関して互いに直交するよう位置する必要がある。
【0040】
図1Aのアンテナ(100)において、2.4GHzの周波数で作動すると、第1電界放射器(104)と第2電界放射器(106)の間の距離(105)は、第1電界放射器(104)が第2電界放射器(106)と位相が異なることを確実にする程、十分に長い。アンテナ(100)において、中央点(107)は、第2電界放射器のための供給点である。
【0041】
アンテナ(100)において、電流は、バルーン(112)の右半分を介してアンテナに流れ、磁気ループ(102)に沿って、第1電界放射器(104)に流れ、第2電界放射器(106)に流れ、転移経路(108)を通り、カウンタポイズ(110)を通り、バルーン(112)の左側を通って出る。
【0042】
図2Aは、片側の402MHzの、自給型、円偏光CPLアンテナ(200)の実施形態を示す。アンテナ(200)は、2つの異なる反射最小点に沿って位置付けられる、2つの電界放射器(204)と(206)を含む。402MHzのアンテナ(200)は、およそ15センチメートルの長さ、およそ15センチメートルの高さを有する。アンテナ(200)は転移経路を含まないが、カウンタポイズ(208)を含む。カウンタポイズ(208)は、磁気ループ(202)の左側に広がり、磁気ループ(202)の幅の2倍の幅を有する。しかし、これらの次元は固定されず、カウンタポイズの長さと幅は、アンテナ利得と性能を最大限にするために合わせることができる。たとえアンテナ(200)の代替的な実施形態がバルーン(210)を含む必要がなくとも、アンテナ(200)はまた、バルーン(210)を含む。アンテナ(200)において、バルーン(210)は、磁気ループ(202)の内部に物理的に位置付けられる。しかし、バルーン(210)も、磁気ループ(202)の外側に物理的に位置付けることが出来る。
【0043】
アンテナ(200)において、電流は、バルーン(210)の右半分を介して、供給点(216)でアンテナ(200)に流れる。その後、電流は、磁気ループ(202)に沿って右に流れる。第1電界放射器(204)は、磁気ループ(202)の下半分の区分に沿ってバルーン(210)の右に位置付けられる。電流は、第1電界放射器(204)の全長へと、及びそれに沿って流れ、磁気ループ202に沿って流れ続けて、遅延ループ(212)を通る。その後、電流は、第2電界放射器(206)の全長を通って流れ、磁気ループ(202)の上側を通って流れ続けて、カウンタポイズ(208)を通り、遅延スタブ(214)などに流れる。
【0044】
言及したように、アンテナ(200)は、磁気ループ(202)へ突き出る、小さな遅延ループ(212)を含む。遅延ループ(212)は、第1電界放射器(204)と第2電界放射器(206)の間の遅延を調整するために使用される。第1電界放射器(204)は、90度の位相点に位置することができ、一方で第2電界放射器(206)は、180度の位相点に位置することができる。2つの電界放射器(204)と(206)の幅は、同じである。2つの電界放射器(204)と(206)の幅と長さは、アンテナの動作周波数を合わせるため、且つアンテナの軸比を合わせるために異なり得る。
【0045】
軸比は、電界の垂直の構成要素の比率である。円偏光フィールドは、等しい振幅の2つの垂直の電界構成要素から構成される。例えば、電界構成要素の振幅が等しくない、又はほぼ等しくない場合、結果は、楕円偏光フィールドである。軸比は、第1電界に対して垂直の第2電界により分割された一方向において、第1電界のログ(log)をとることにより、計算される。円偏光アンテナにおいて、軸比を最小化することが望ましい。
【0046】
遅延ループ(212)を構築するトレースの厚みと同様に、遅延ループ(212)の長さと幅も、2つの電界放射器間の必要な遅延を達成するために必要とされるよう、合わせることができる。遅延ループ(212)を有すると、磁気ループ(202)へ突き出て、即ち、磁気ループ(202)の内部に位置付けられ、アンテナ(200)の軸比を最適化する。しかし、遅延ループ(212)はまた、磁気ループ(202)から突き出ることができる。要するに、遅延ループ(212)は、第1電界放射器(204)と第2電界放射器(206)の間の電気的長さを増加する。遅延ループ(212)は、ほぼ長方形である必要がない。遅延ループ(212)の実施形態は、曲線状、Z字型、又は、遅延ループ(212)に沿った電子の流れを十分に遅くし、電界放射器が互いに位相が異なることを確実にする任意の他の形状であり得る。
【0047】
1つ以上の遅延ループは、2つの電界放射器間の適切な遅延を達成するため、アンテナに加えることができる。例えば、
図2Aは、単一の遅延ループ(212)を伴うアンテナ(200)を示す。しかし、単一の遅延ループ(212)を有するよりむしろ、アンテナ(200)の代替的な実施形態は、2つ以上の遅延ループを有することが出来る。
【0048】
アンテナ(200)は、磁気ループ202の左側にあるスタブ(214)を更に含む。スタブ(214)は、磁気ループ(202)に直接繋がれる。スタブ(214)は、第2電界放射器(206)に容量的に繋がれ、帯域へのインピーダンス整合を合わせるために電界放射器(206)を電気的に延長する。アンテナ(200)において、その方法で電界放射器(206)を延長することがカウンタポイズ(208)に電界放射器(206)を容量的に繋げ、それによりアンテナ性能を下げるため、第2電界放射器(206)は、物理的に更に長くすることが出来ない。
【0049】
上述のように、
図2Aにおいて示されるように、第2電界放射器(206)は通常、
図2Aにおいて示されるその長さより長い必要がある。具体的に、第2電界放射器(206)は、スタブ(214)の長さと同じくらいにまで長くなければならない。しかし、電界放射器(206)がより長いと、磁気ループ(202)の左側に容量的に繋げられる。スタブの使用により、第2電界放射器(206)が、電気的により長く現れることが可能となる。電界放射器(206)の電気的長さは、磁気ループ(202)の左側に沿って、スタブ(214)を上下に移動させることにより合わせることができる。磁気ループ(202)の左側に沿ってスタブ(214)をより高く動かすと、電気的により長い電界放射器(206)がもたらされる。他方、磁気ループ(202)の左側に沿ってスタブ(214)をより低く動かすと、電気的により短く見える電界放射器(206)をもたらす。電界放射器(206)の電気的長さも、スタブ(214)の物理的なサイズの変更により合わせることができる。
【0050】
図2Bは、スタブ(214)の無い、アンテナ(200)の反射減衰量を示すグラフである。それ故、
図2Bは、異なる電気的長さを備えた2つの電界放射器を有する、アンテナ(200)に関する反射減衰量を示す。2つの電界放射器が異なる電気的長さである場合、反射減衰量は異なる周波数で2つのディップを示す。第1ディップ(220)と第2ディップ(222)は、アンテナのインピーダンスが一致する周波数に相当した。各電界放射器は、自身の共振を作りだす。各共振はそれぞれ、反射減衰量に関して多数のディップを作り出す。アンテナ(200)において、第1電界放射器(204)は、供給点(216)へと磁気ループ(202)に沿って近接するため、第2電界放射器(206)より第2ディップ(222)に対応して、わずかに高い共振を作り出す。他方、第2電界放射器(206)は、供給点(216)と第2電界放射器(206)の間のより長い長さのため、第1ディップ(220)に対応して、低い共振を作り出す。上述のように、スタブ(214)は、第2電界放射器(206)を電気的に延長する。これは結果的に、第1ディップ(220)を動かし、第1ディップ(220)を第2ディップ(222)に一致させる。
【0051】
図3は、2つの遅延ループを有する、片側402MHzの自給型の、円偏光アンテナ(300)の代替的な実施形態を示す平面図である。アンテナ(300)は、およそ15センチメートルの長さ、およそ15センチメートルの高さを有する。アンテナ(300)は、磁気ループ(302)、電流が反射する最小にある第1の点に沿って位置付けられる第1電界放射器(304)、及び、電流が反射する最小にある第2の点に沿って位置付けられる第2電界放射器(306)から成る。アンテナ(300)はまた、カウンタポイズ(308)とバルーン(310)を含む。
図2Aのアンテナ(200)とは対照的に、アンテナ(300)は、スタブ(214)を含まないが、2つの遅延ループ、磁気ループ(302)の右側に沿った第1遅延ループ(312)と、磁気ループ(302)の右側に沿った第2遅延ループ(314)を含む。第2遅延ループ(314)は、2つの電界放射器(304)と(306)の間の遅延を調整するために使用される。アンテナ(300)において、第2遅延ループ(314)の頂部(316)は、第2の電界放射器(306)に容量的に繋がれ、第2電界放射器(306)を電気的に延長することにより、アンテナ(200)からのスタブ(214)として同様の機能を実行する。
【0052】
アンテナが2つ以上の遅延ループを含む場合、2つ以上の遅延ループは、同じ次元である必要はない。例えば、アンテナ(300)において、第1遅延ループ(312)は、第2遅延ループ(314)のほぼ半分の小ささである。代替的に、第2遅延ループ(314)は、2つのより小さな遅延ループと置き換えられた。遅延ループは、磁気ループの任意の側部に加えることができ、単一のアンテナは、磁気ループの1つ以上の側部に遅延ループを有することができる。
【0053】
2つの電界放射器間の適切な遅延は、磁気ループの全体的な長さを増加させることにより、遅延ループの使用なしに達成することができる。それ故、第1電界放射器(304)と第2電界放射器(306)の間の適切な遅延を確実にするため、遅延ループ(312)と(314)を含んでいない場合、磁気ループ(302)はより大きなものである必要がある。故に、遅延ループの使用は、アンテナ設計中にスペースセービング技術として使用することができ、即ち、アンテナの全体的なサイズは、磁気ループ(302)の内部の物理的位置に様々な構成要素を移動させることにより、少なくすることができる。
【0054】
図2Aと
図3は、角が約45度の角度で切られる磁気ループを有するアンテナの例である。ある角度で磁気ループの角を切ることは、アンテナの効率を改善する。およそ90度の角度を形成する角を持つ磁気ループを有することは、磁気ループを通って流れる電流の流れに影響を及ぼす。磁気ループを通って流れる電流が90度の角度の角に当たる場合、それは電流の跳飛を作り、反射された電流は、メイン電流の流れに対して、又は渦巻プールを形成しての何れかで流れる。90度の角の結果としてのエネルギー損失は、アンテナの性能に負に影響を及ぼし、より小さなアンテナの実施形態において最も顕著に影響を及ぼす場合がある。およそ45度の角度で磁気ループの角を切ることは、磁気ループの角の周囲の電流の流れを改善する。故に、角度を付けた角は、電流中の電子を、それらが磁気ループを通って流れるとともに、あまり妨害されないようにする。45度の角度で角を切ることが好ましい一方、45度と異なる角度で切られる代替的な実施形態も可能である。任意のCPLアンテナは、アンテナ性能を改善するための角度で切断される角を備える磁気ループを有することができるが、切断される角は、必ずしも必要とは限らない。
【0055】
アンテナにおける2つの電界放射器間の遅延を調整するためにループを使用する代わりに、1つ以上のほぼ長方形の金属スタブは、2つの電界放射器間の遅延を調整するために使用することができる。
図4は、両側(多層)の、402MHz、自給型の、円偏光アンテナ(400)の実施形態を示す。アンテナ(400)は、磁気ループ(402)、第1電界放射器(404)(垂直方向)、第2電界放射器(406)(水平方向)、転移経路(408)、カウンタポイズ(410)、及びバルーン(412)から成る。
【0056】
第1電界放射器(406)は、第1電界放射器(406)を電気的に延長する、正方形パッチ(414)に付けられる。正方形パッチ(414)は、磁気ループ(402)に直接繋がれる。正方形パッチ(414)の次元は、電界放射器(406)がどのようにして合わせられるかに基づいて、調整することができる。アンテナ(400)はまた、アンテナが適用される基板の裏面に置かれるパッチ(416)を後ろに含む。特に、後部パッチ(416)は、磁気ループ(402)の左側の全長に及ぶ。後部パッチ(416)は、第1電界放射器(404)に沿って、及び第2電界放射器(406)と位相を異にして、垂直に放射する。後部パッチ(416)は、磁気ループに電気的に接続されず、そのため、それは寄生性電界放射器である。故に、アンテナ(400)は、電界放射器として作動する2つの垂直要素、及び第1電界放射器として作動する1つのみの水平要素を有する、円偏光CPLアンテナの例である。他の実施形態は、共に作動する垂直要素の多くの異なる組み合わせ、及び共に作動する水平要素の多くの異なる組み合わせを含み、それら垂直要素及び水平要素が本明細書に記載されるように位相を異にする限り、アンテナは円偏光である。
【0057】
アンテナ(400)は、第1スタブ(418)と第2スタブ(420)を更に含む。2つの遅延スタブ(418)と(420)は、ほぼ長方形である。遅延スタブ(418)と(420)は、第1電界放射器(404)と第2電界放射器(406)の間の遅延を調整するために使用される。
図4は、磁気ループ(402)へ突き出る2つの遅延スタブ(418)と(420)を示す一方で、代替的に、2つの遅延スタブ(418)と(420)は、2つの遅延スタブ(418)と(420)が磁気ループ(402)から突き出るように配置することが出来る。
【0058】
図5は、両側の、402MHzの、自給型、円偏光CPLアンテナ(500)の別の実施形態を示す。ここまで示された他のアンテナとは対照的に、アンテナ(500)は、磁気ループ(502)及びほんの1つの電界放射器(504)から成る。第2電界放射器を使用するのではなく、アンテナ(500)は、寄生性の垂直の電界放射器として、アンテナ(500)の後ろの大きな金属後部パッチ(506)を使用する。後部パッチ(506)は、ほぼ長方形の、切断部分(508)を有し、それは、電界放射器(504)と後部パッチ(506)の間の容量結合を少なくするため、後部パッチ(506)から切られた。切断部分(508)は、後部パッチ(506)によって放射される放射パターンに影響しない。アンテナ(500)はまた、転移経路(510)、カウンタポイズ(512)、及びバルーン(514)を含む。
【0059】
特に、アンテナ(500)は、電界放射器(504)と後部パッチ(506)の間の遅延を調整するため、遅延ループ、遅延スタブ、及び金属パッチの組み合わせの使用を示す。遅延ループ(516)は放射せず、第1電界放射器(504)と後部パッチ(506)の間の遅延を調整するために使用される。遅延ループ(516)はまた、ある角度にて切断される角を有する。上述のように、ある角度で角を切ることは、角の周囲の電流の流れを改善することが出来る。
【0060】
アンテナ(500)はまた、磁気ループ(502)に直接繋がれる金属パッチ(518)、及び磁気ループ(502)に直接繋がれる、より小さな遅延スタブ(520)を含む。金属パッチ(518)と遅延スタブ(520)の両方は、電界放射器(504)と後部パッチ(506)の間の遅延を合わせるのを助け、垂直の放射器として作動する。金属パッチ(518)は、金属パッチ(518)と遅延ループ(516)の間の容量結合を少なくするため、その左下に切断される角を有する。
【0061】
後部パッチ(506)は、たとえ寄生性であっても、電界放射器(504)に対して直交する方向に沿って位置付けられる。例えば、電界放射器(504)がある角度に配向され、電気的なトレースを介して磁気ループ(502)に繋げられると、その後、後部パッチ(506)は、電界放射器(504)と後部パッチ(506)の間の配向の差が、90度であるように、配向しなければならない。
【0062】
図6は、両側の、402MHzの、自給型、円偏光CPLアンテナ(600)の別の例を示す。アンテナ(600)は、磁気ループ(602)、電界放射器(604)、電界放射器(604)に直交する第2の寄生性放射器として作動する後部パッチ(606)、転移経路(608)、カウンタポイズ(610)、及びバルーン(612)から成る。
図6は、電界放射器(604)と後部パッチ(606)の間の遅延を調整するため、遅延スタブを使用するだけであるアンテナ(600)の例である。後部パッチ(606)はアンテナ(600)の裏面に位置付けられる。後部パッチ(606)は、磁気ループ(602)の左側の全長に広がる。後部パッチ(606)はより狭いため、
図5の後部パッチ(506)の場合のように、後部パッチ(606)は切断される部分を有していない。
【0063】
アンテナ(600)は、電界放射器(604)と後部パッチ(606)の間の遅延を調整するため、3つの遅延スタブを使用する。
図6は、バルーン(612)の右に位置した大きな遅延スタブ(614)、磁気ループ(602)の右側に沿って、及び電界放射器(604)の前に位置付けられる中間遅延スタブ(616)、並びに、磁気ループ(602)の右側に沿うが、電界放射器(604)の後にも位置付けられる小さな遅延スタブ(618)を含む。
【0064】
上述のように、自給型の円偏光CPLアンテナは、2つの電界放射器の間又は電界放射器と第2電界放射器として作動する他の要素との間の遅延を調整するため、遅延ループのみ、遅延スタブのみ、又は遅延ループと遅延スタブの組み合わせを使用することができる。アンテナは、様々な大きさの1つ以上の遅延ループを使用することができる。加えて、遅延ループのいくつかは、遅延ループの角に沿った電流の流れを改善するために、ある角度で切断される角を有する。同様に、アンテナは、様々な大きさの1つ以上の遅延スタブを使用することができる。遅延スタブはまた、アンテナにおける他の要素との容量結合を少なくするため、従って形成される又は切られることがある。最終的に、遅延ループと遅延スタブの両方は、それらが磁気ループへと出るように、磁気ループの内部に物理的に位置付けることができる。代替的に、遅延ループと遅延スタブは、それらが磁気ループから突き出るように、磁気ループの外部に物理的に位置付けることができる。単一のアンテナはまた、磁気ループへと突き出る1つ以上の遅延ループ/スタブと、磁気ループから突き出る1つ以上の遅延ループ/スタブを組み合わせることができる。遅延ループは、様々な形状を有し得、ほぼ長方形形状のものからほぼ滑らかな曲線形状のものにまで及ぶ。
【0065】
図7は、両側の、402MHzの、自給型、円偏光CPLアンテナ(700)の別の例を示す。アンテナ(700)は、磁気ループ(702)、電界放射器(704)の真中に位置する小さなトレース(706)を有する電界放射器(704)、電界放射器(704)に直交する寄生性電界放射器として作動する後部パッチ708、転移経路(710)、カウンタポイズ(712)、及びバルーン(714)を含む。小さなトレース(702)は、電界放射器(704)に直交するように位置付けられ、インピーダンスチューニングのため電界放射器(704)を電気的に延長する目的を果たす。従って、電界放射器(704)を作り、且つ、これら2つの要素の間の容量結合を防ぐために後部パッチ(708)の一部を切り出さなければならないことより、電界放射器(704)に直交する小さなトレース(706)は、電界放射器を物理的に長くすることなく、電界放射器(704)を長くする。
【0066】
アンテナ(700)は、ほぼ滑らかな曲線形状を有する遅延ループを使用するアンテナの例である。遅延ループ(716)は、ほぼ円弧状である。しかし、長方形の遅延ループの使用は、
図7に示されるような円弧状のループの使用と比較して、アンテナ性能を増加させることが知られている。
【0067】
アンテナ(700)はまた、ほぼ長方形の遅延スタブ(718)を含む。遅延ループ(716)と遅延スタブ(718)の両方は、電界放射器(704)と、第2電界放射器として作動する垂直な後部パッチ(708)の間の遅延を調整するために使用される。
【0068】
上述のアンテナの各実施形態において、磁気ループは全体として、第1誘導リアクタンスを有し、該第1誘導リアクタンスは、第1電界放射器の第1容量性リアクタンス、第1電界放射器と磁気ループの間の物理的配列の第2容量性リアクタンス、第2電界放射器の第3容量性リアクタンス、及び第2電界放射器と磁気ループの間の物理的配列の第4容量性リアクタンスなどの、アンテナの他の構成要素の組み合わさった容量性リアクタンスと一致しなければならない。同様に、他の要素は、適切な性能のためアンテナの全体にわたって一致する又は平衡を保たれなければならない誘導リアクタンス及び容量性リアクタンスを与え得ることが、理解されるべきである。
【0069】
図8Aは、寄生性放射器を備えた両側(多層)のマルチバンドCPLアンテナの実施形態を示す。アンテナ(800)は、およそ5.08cmの長さ、およそ2.54cmの高さを有する。アンテナ(800)は、頂面上に磁気ループトレース(802)を、底面上に寄生性電界放射器(804)(寄生性放射器)を含む。トレース(802)の磁気ループは十分な波長であるが、トレース(802)の代替的な実施形態は、異なる波長を有することがある。トレース(802)はまた、以下により完全に記載されるように、2つの更に異なる周波数で電界放射器として作動する。上述の他のCPLアンテナのように、電界の各々は、磁気ループ(802)の磁界の各々に直交する。
【0070】
電界放射器(804)は、磁気ループ(802)に物理的に接続されず、且つそれにエネルギーを与えるものに共振するため、寄生性放射器と称される。共振素子は、エネルギーを吸収し、且つ吸収しているエネルギーにより180度位相の異なるエネルギーを再放射している要素である。要素がエネルギーによって絶えず励起される限り、要素におけるエネルギーは、吸収されるエネルギーの2倍まで確立される。要素が吸収しているエネルギーの2倍を放射するため、合計のエネルギーは、励起されるエネルギーのすべてにわたり3dbより大きくならない場合がある。
【0071】
寄生性放射器(804)は電界を放射する。アンテナの本実施形態が、寄生性放射器(804)の存在のために、磁気ループ(802)によって作られる電界を有すること、また、寄生性放射器(804)と平行である磁気ループに沿った位置に位置付けられることが、重要である。加えて、磁気ループトレース(802)によって作られた電界はまた、寄生性放射器(804)によって放射された電界を有する位相にある必要がある。
【0072】
たとえ真っ直ぐな電界放射器(804)が最も高い効率及び利得をもたらすとしても、寄生性放射器(804)は、湾曲部又はZ字型部(806)を含む。湾曲部(806)などの湾曲部が導入される場合は常に、電界放射器によって放射された電界の幾つかの取り消しがもたらされる。
図8に示す実施形態において、湾曲部のない直線の電界放射器は、磁気ループの供給点又は駆動点(801)と、電界放射器との間の容量結合をもたらす。この容量結合は、次に、コンデンサーと平行した誘導子である磁気ループ(802)のために、磁気ループ(802)を共振回路とする。寄生性放射器(804)が所望の周波数を設定するために使用することができるように、寄生性放射器(804)を、磁気ループ(802)というよりむしろ共振素子とすることが望ましい。
【0073】
図8に記載の寄生性放射器(804)は、磁気ループ(802)の内部に置かれる。代替の実施形態において、寄生性放射器(804)は、寄生性放射器(804)の半分より多くが、磁気ループ(802)の内部上にあるように置くことができる。後部平面又は底層に沿って、寄生性放射器(804)を動かすと、磁気ループ(802)の中心に近づくにつれ、寄生性放射器(804)の電気的長さは減少する。反対に、寄生性放射器(804)を動かすと、磁気ループ(802)の端に近づくにつれ、寄生性放射器(804)の電気的長さは増加する。
【0074】
磁気ループ(802)のトレースは、1つ以上の横断面及び1つ以上の縦断面へと湾曲している。
図8に示される磁気ループトレース(802)は対称的であり、トレースの右半分はトレースの左半分と同じである。しかし、トレース(802)は、磁気ループトレース(802)が、様々な周波数で電界を放射する様々な横断面及び縦断面を形成するために配置する及び折り重ねることができる、多くの方法の特定の実施形態だけである。代替的な実施形態において、アンテナは、非対称的な磁気ループトレースを使用することができ、トレースの右半分は、トレースの左半分のパターンと異なるパターンに折り重ねられる。
【0075】
容易な理解のため、磁気ループトレース(802)は、駆動点(801)から出発する磁気ループトレースの右半分を参照して、更に説明される。磁気ループトレース(802)は、第1電界を放射する第1横断面(808)から成る。第1横断面(808)は、第1横断面(808)を補強する第1縦断面(810)に対してほぼ90度の角度で湾曲する。第1縦断面(810)は、第2電界を放射する第2横断面(814)に対してほぼ90度の角度で湾曲する。第2横断面(814)は、磁気ループ(802)の左半分にある対応する第2縦断面を容量的に取り消す、第2縦断面(816)に対してほぼ90度の角度で湾曲する。第2縦断面(816)は、第3電界を放射する第3横断面(818)に対してほぼ90度の角度で湾曲する。最後に、磁気ループトレース(802)の頂部トレース(820)は、第1横断面(808)と同位相で放射し、頂部トレース(820)と第1横断面(808)の両方は、寄生性放射器(804)によって補強される。
【0076】
電界を放射する磁気ループトレースの様々な横断面は、電界を多かれ少なかれ付加的にするのに必要とされるように、周囲で動かすことができる。アンテナ(800)は、第1縦断面(810)に静電容量を加えるアンテナ(800)の後部平面上に容量性パッチ(812)を更に含む。特に、容量性パッチ(812)は、アンテナ(800)によって作られる1つ以上の電界が、互いにより同位相で、結果的に付加的であり負であることを可能にする。故に、容量性パッチ(812)は、アンテナのチューニング、特に、アンテナによって作られる電界のチューニングの方法の例である。
【0077】
容量性パッチ(812)が、適切に合わせられるためにアンテナ(800)に必要ではないことを、理解されたい。1つの実施形態は、アンテナの性能を合わせるために容量性パッチ(812)を使用することができる一方で、容量性パッチ(812)を加える利点も、磁気ループトレースの調整により達成することができる。磁気ループトレースは、頂部トレース(820)の大きさを増加又は減少させることにより、磁気ループトレースの全幅を増加又は減少させることにより、磁気ループの1つ以上のセクションを全体の磁気ループトレース(802)よりも広く又は狭くすることにより、磁気ループトレース(802)における湾曲部の位置を調整することにより、調整することが出来る。同様に、アンテナ(800)の実施形態は、アンテナ性能を合わせるために磁気ループトレース(802)のセクションに対して様々な場所に位置付けられる、2以上の容量性パッチを使用することができる。
【0078】
代替の実施形態において、第1横断面(808)が、波長の倍数である異なる長さを有することができたとしても、磁気ループトレース(802)の第1横断面(808)は、4分の1波長である。磁気ループトレース(802)の第1縦断面(810)は、補強のためのものであり、4分の1波形のモノポールの端部に位置するコンデンサーとして作動する。上述のように、容量性同調パッチ(812)は、磁気ループトレース(802)の第1縦断面(810)の静電容量を調整し、第1横断面(808)によって配置された波長を結果的に短くする。磁気ループトレース(802)の第2横断面(814)は、第2周波数帯域の放射に加えて、第1縦断面(810)によって加えられた静電容量を取り消す。
【0079】
アンテナ(800)において、磁気ループトレース(802)の横断面によって作られる電界に直交するため、容量性パッチ(812)は、電界放射器として作動しない。寄生性放射器(804)は、磁気ループトレース(802)の横断面と同じ平面に沿って一列にされ、結果的に、容量性パッチとしてではなく非励振素子として作動する。寄生性放射器(804)によって再放射されたエネルギーは、磁気ループトレース(802)の横断面によって作られる電界と平行である。
【0080】
寄生性放射器(804)の長さは、寄生性放射器(804)によって放射されることが所望される共振振動数に基づいて設定される。周波数は対数であることも理解されるべきである。それ故、周波数が2倍となるため、通路減衰と性能に6dBの損失がある。アンテナ(800)を効率的に操作するため、寄生性放射器(804)の長さは、最低周波数にあるアンテナ(808)の効率に3dBを加えるアンテナ(800)によって作られるべき、最低周波数に設定される。代替の実施形態において、寄生性放射器(802)の長さは、所望のアンテナ性能の調整に基づいてアンテナ(800)によって作られる、多くの周波数中の特定の周波数に設定することができる。
【0081】
アンテナ(800)は、700MHz、1200MHz、及び1700MHz乃至2100MHzで作動する。磁気ループトレース(802)の頂部トレース(820)と組み合わせられ、且つ寄生性放射器(804)によって補強される、磁気ループトレース(802)(YAGI要素である)の第1横断面(808)は、700MHzの周波数帯域を作り出す。第3横断面(818)は、1200MHzの周波数帯域を作る。第2横断面(814)は、1700MHz乃至2100MHzの周波数帯域を作る。第2横断面(814)は、アンテナ(800)の後部平面上の一体型コンデンサー(812)のため、1700MHz乃至2100MHzの間の範囲を作ることができる。磁気ループ(802)の外部の長方形の外形全体は、700MHzの周波数帯域のための磁性成分である。アンテナの実施形態(800)から認識することができるように、様々な周波数帯域を作るセクションは、磁気ループ(802)において特定の順になる必要はない。
【0082】
上述のように、アンテナ(800)において、磁気ループトレース(802)の部分は、磁気ループトレース(802)の全長を十分な波長にするために取り消される。磁気ループトレース(802)の形状は、アンテナに様々な周波数を作らせることを可能にするが、磁気ループトレース(802)の横断面及び縦断面をもたらす様々な湾曲部を作ることを可能にし、1より多くの波長の長さを有する磁気ループが使用される。例えば、第2縦断面(816)は互いに取り消される。このことは、たとえ磁気ループトレース(802)の物理的な長さが1つの波長より長い又は短くても、磁気ループトレース(802)が、その電気的長さが1つの波長であるかのように作動することを可能にする。
【0083】
磁気ループトレース(802)の湾曲部は、磁気ループトレース(802)の様々な点の取り消し及び補強の使用に加えて、単一の磁気ループトレース(802)が様々な次元の複数の磁気ループとして作動することを可能にする。
図8Bに示されるように、第1磁気ループ(830)は、第1横断面(808)、第1縦断面(810)、及び第2横断面(814)によって形成される。第2磁気ループは、磁気ループの全トレース(802)によって形成される。最後に、第3磁気ループ(832)及び第4磁気ループ(834)は、第2横断面(814)、第2縦断面(816)、及び第3横断面(818)によって形成される。しかし、第3磁気ループ(832)及び第4磁気ループ(834)は、これらの磁気ループの間隔と配置が、互いにこれら2つの磁気ループの取り消しをもたらすため、任意の利得又は効率を作らない。磁気ループトレース(802)が、高電圧の様々なノード、及び、多帯域アンテナが作られるべき特定の周波数で付加される磁気ループを通じて流れる高電流の様々なノードを可能にするような形態で湾曲することが、更に理解されるべきである。
【0084】
代替的な実施形態は、寄生性放射器のない多数の周波数帯域を作ることができるCPLアンテナを含む。これは、少なくとも1つの電界放射器を有することにより、磁気ループ内に位置されること、第1周波数帯域を作ること、及び磁気ループの様々な部分を有することにより、電界放射器と組み合わせて又はそれから独立して、追加の周波数帯域を作る様々な周波数で、達成される。
図9Aは、2.4/5.8GHzの多周波帯域のCPLアンテナ(900)の実施形態を示す。アンテナ(900)は、およそ1センチメートルの幅、およそ1.7センチメートルの長さを有するアンテナの例である。アンテナ(900)は、磁気ループ(902)、及び磁気ループ(902)の内部に置かれた電界放射器(904)を含む。電界放射器(904)は、アンテナ(900)の第1帯域(2.4GHz)を作るために使用される。電界放射器(904)は、曲がりくねったトレース(906)を介して磁気ループ(902)に繋がれる。トレース(906)は、それが、180度又は270度の位相点、或いは磁気ループ902を通って流れる電流が反射する最小にある磁気ループ(902)に沿った点で、代替的に繋がれたとしても、90度の位相点で電界放射器(904)に繋がる。電界放射器(904)も、アンテナ設計又はアンテナに必要な次元に依存して、磁気ループ(902)に直接繋ぐことができる。例えば、アンテナ(900)において、電界放射器が磁気ループ(902)の頂部に繋がれるため、磁気ループ(902)に電界放射器(904)を直接繋ぐのは難しい;従って、トレース(906)は必要となるが、異なる設計は、電界放射器が磁気ループ(902)の側部に繋がれることを可能にする。
【0085】
アンテナ(900)において、磁気ループの一部は、モノポール(914)を作成する湾曲部(910)にて、ほぼ階段状の様式で湾曲される。具体的に、湾曲部(910)の後ろの磁気ループの一部(916)は、モノポール(914)を共振にもたらすために容量的にロードされる。モノポール(914)は、アンテナ(900)のより高い周波数帯域5.8GHzを作る。
【0086】
電界放射器(904)は、ほぼ長方形である。電界放射器(904)の右下角(908)は、電界放射器(904)の右下角(908)と、湾曲部(910)(特に、電界放射器(904)に最も近い湾曲部(910)の角(912))の間の容量結合を少なくする角度で切られる。電界放射器(904)の角の切断は随意のものであり、所望のアンテナ性能及び他のアンテナ必要条件に依存する、様々な実施形態において使用することができる。代替的な実施形態において、電界放射器(904)の1つ以上の角は、湾曲部(910)又はモノポール(914)がない磁気ループの一部を含む、磁気ループの1つ以上の一部と繋がれる容量結合を少なくする角度で切ることができる。
【0087】
ある角度で電界放射器(904)の角を切ることは、電界放射器(904)のパターン及び共振振動数を変える。
図9Aに示される実施形態において、より高いバンド周波数で効率を最大限にすることが望ましい。故に、ある角度で電界放射器の角を切ることが、その性能に影響を及ぼすとしても、これは、より高い周波数帯域の湾曲部に容量的に繋がれた電界放射器の角を有することが好ましかった。
【0088】
電気的なトレース(906)は、曲線の代わりに直線であるなどの他の方法で形成することができる。電気的なトレース(906)はまた、
図9Aに示されるように、柔らかく優美な曲線で形成され、又は、電気的なトレース(906)における湾曲部の数を最小化するように形成され得る。加えて、電気トレース(906)は、電気トレースのインダクタンスが、アンテナの様々な要素と一部の全体的な静電容量リアクタンスと、アンテナの様々な要素と一部によって作られる全体的な誘導リアクタンスとを一致させるため、その厚みを増加又は減少させることにより、変えることができる。電気的なトレース(906)はまた、電界放射器(904)に電気的長さを加える。
【0089】
図9Bは、アンテナ(900)に関する反射減衰量のダイアグラムを示す。反射減衰量のダイアグラムは、低周波数帯に関連する第1ディップ(920)、及び高周波数帯に関連する第2ディップ(922)を示す。反射減衰量のダイアグラムは、アンテナ(900)によって放射され、且つアンテナから送信器まで戻らなかったエネルギーを示す。故に、アンテナ(2.4GHz及び5.8GHz)の2つの周波数帯域には、2つの対応する反射減衰量ディップ(920)と(922)が存在する。
【0090】
加えて、反射減衰量における2つのディップは、互いに独立して動かすことができる。故に、2つの周波数帯域は、それらが独立した共振であるよう、独立して調整することができる。多帯域アンテナの実施形態は、アンテナ性能から寄生効果を防止することなく、調和的に関連づけられない周波数を作ることができる。アンテナ(900)は、単一の供給点を有するが、調和的に関連づけられない2つ以上の周波数帯域を作ることができることも、理解されたい。
【0091】
上述のように、周波数帯域は独立して調整することができる。例えば、電界放射器(904)は、その幅又はその高さの変更により調整することができ、これらの変化は、湾曲部(910)に関連する周波数帯域に影響しない。湾曲部(910)からのモノポール(914)は、モノポールに隣接している直角を左又は右に調整することにより、周波数を調整することができる。モノポールに隣接している直角を右に動かすことは、より長いモノポールをもたらし、その結果、モノポール(914)によって放射されている低周波数をもたらす。他方、モノポールに隣接している直角を左に動かすことは、より短いモノポールをもたらし、その結果、モノポール(914)によって放射されている高周波数をもたらす。前述のように、より短いモノポールを有することは、周波数が高い、より小さな波長をもたらす。反対に、より長いモノポールを有することは、周波数が低い、より長い波長をもたらす。
【0092】
ダイポールの半分が消えるため(その逆は、
図10に示される)、湾曲部(910)の電界放射器(904)及びモノポール(914)は、モノポールである。他の半分がモノポールのためのカウンタポイズであれば、それはダイポールである。アンテナ(900)において、湾曲部(910)のモノポール(914)は、カウンタポイズにかかり、カウンタポイズは、磁気ループの反対側にある。
【0093】
図10は、アンテナの5.8GHz帯を作るためにダイポールを使用する、2.4/5.8GHzのアンテナ(1000)のまた別の実施形態を示す。アンテナ(1000)は、磁気ループ(1002)と、曲がりくねったトレース(1006)を介して磁気ループ(1002)に繋がれた電界放射器(1004)で構成される。電界放射器(1004)は、ほぼ長方形であるが、その右下角、又は他の角は、ある角度で切断される。故に、これは、アンテナの実施形態が、アンテナの他の要素との容量結合を少なくする角度で切断される角を備えた電界放射器を有する、又は有し得ないことを示すことを意味する。
【0094】
一般に、アンテナの要素が特定の様式で配列される場合、その後、アンテナは、互いに接近している要素間の容量結合を少なくするために、1つ以上の要素の角を切断することにより合わせることができる。しかし、電界放射器の表面領域の合計は、効率に影響を及ぼす。故に、電界放射器の角の切断は、アンテナの効率を低下させる。第2直角は、磁気ループの大きさに影響を及ぼす。反射する最小にある電流点は、結果として同様に移動する。
【0095】
アンテナ(1000)は、第1湾曲部(1008)、及び、第2階段状湾曲部(1010)により湾曲する部分を含み、第1階段状湾曲部(1008)は、第2湾曲部(1010)にほぼ対称的である。第1の4分の1波長次元(1012)は、第2の4分の1波長次元(1014)と共に、ダイポールを形成する。モノポール上でのダイポールの使用は、所望される放射角と、必要とされるインピーダンス帯域幅に基づく。
【0096】
図11Aは、ロングタームエボリューション(LTE)アンテナ(1100)の実施形態を示す。LTEアンテナ(1100)は、698MHz−798MHzの第1周波数範囲、824MHz−894MHzの第2周波数範囲、880MHz−960MHzの第3周波数範囲、1710MHz−1880MHzの第4周波数範囲、1850MHz−1990MHzの第5周波数範囲、及び1920MHz−2170MHzの第6周波数範囲を包含する。アンテナ(1100)は、およそ7.44センチメートルの長さ、およそ1センチメートルの高さを有する。アンテナ(1100)は、
図11Aに示される頂部平面、及び
図11Bに示される後部平面で構成される。
【0097】
アンテナ(1100)は、単一の供給点(1102)で構成される。磁気ループ(1104)は、電界放射器として作動する、モノポール(1106)を形成するために湾曲する。モノポール(1106)は、1800MHzの周波数のための放射器である。しかし、モノポール(1106)によって作られる電界と平行な電界を放射する、アンテナ(1100)の他の要素は、モノポール(1106)によって放射された電界の利得及び効率を改善する。故に、最も高い振幅を有する電界はモノポール(1106)によって放射され、一方でアンテナ(1100)の他の要素は、モノポール(1106)より低い振幅を有する電界を放射する。
【0098】
中心放射器(1110)は、915MHzの周波数帯域で最も大きな振幅を有する電界を放射するモノポールである。中心放射器(1110)は、曲がりくねったトレース(1112)を介して90/270度の位置で磁気ループ(1104)に繋がれる。代替的に、中心放射器(1110)は、反射する最小にある電流点で、磁気ループ(1104)に繋ぐことができる。915MHzの周波数帯域で、磁気ループの左下部分などのアンテナの要素は、アース平面に繋がれ、最も高い振幅を有する電界の利得及び効率に加える平行の電界を結果として放射する。
【0099】
アンテナの広帯域の特性は、850MHzの周波数帯域が、中心放射器(1110)によって放射されることを可能にする。磁気ループ(1104)のL字型部分(1114)(破線で表示される)は、850MHzの周波数帯域をもたらす、広帯域の特性を可能にする。L字型部分(1114)は、低い中心放射器(1116)と組み合わされる磁気ループ(1104)の右翼の右側で構成されます。具体的には、磁気ループ(1104)のL字型部分(1114)が中心放射器(1110)に容量的に繋がれる場合、850MHzの周波数帯域が放射される。故に、L字型部分(1114)は、中心放射器(1110)に静電容量を加える。
【0100】
アンテナ(1100)の他の部分はまた、様々な周波数帯域のためアンテナ(1100)の効率を最大限にするのを助ける。例えば、磁気ループ(1104)の左下側面(1118)はまた、1800MHzの周波数帯域にわたり放射する。加えて、モノポール(1106)を作る湾曲部の左上角、及び低い中心放射器(1116)の右部分はまた、1800MHzの周波数帯域にわたり放射する。中心放射器(1110)の左上角及び磁気ループ(1104)の左下側面(1118)はまた、1800MHzの周波数帯域にわたり放射し、特にこの帯域で利得効率を増加させることもある。アンテナの1つ以上の要素が、平行及び位相で放射する場合、それぞれの利得は付加的であり、アンテナの全体の放射効率を増加させる。実施形態は、本明細書に記載されるような特異的な方法で放射される要素を有することに限定されないことを、理解されたい。上述のように、アンテナの設計の変化は、様々な強度で放射する、異なるアンテナ素子をもたらし得る。例えば、中心放射器(1110)の幅を少なくすることは、1800MHzの周波数帯域のために放射しないが、代わりにより劣った強度で放射する中心放射器をもたらし得る。
【0101】
第1モノポール(1106)及び磁気ループ(1104)の左下側面(1118)は、1900MHzの周波数帯域にわたる主な放射素子である。上述のように、アンテナ(1100)の配置は、アンテナ(1100)の様々な要素が、様々な周波数帯域で放射し、故に、様々な周波数帯域にわたる全放射効率を改善することを可能にする。特にこの実施形態において、中心放射器の左上角、低い放射器の右部分、及び中心放射器と磁気ループの頂部の間の場所(place)はまた、1900MHzの周波数帯域にわたって放射する。
【0102】
低周波数にて、アンテナは、放射のための適用アース平面を利用し、効率と利得を改善する、不平衡モードで作動し得る。モノポール(1106)は、1800MHzの周波数帯域を占める、主要な放射要素である。2100MHzの周波数帯域にわたり、主な放射素子は、磁気ループ(1104)の左下側面(1118)、第1モノポール(1106)の下半分、低い電界放射器(1116)の右部分、中心放射器(1110)の左部分、及び中心放射器(1110)と磁気ループ(1104)の頂部の間の空間である。750MHzの周波数帯域にわたり、主な放射素子は、低い電界放射器(1116)及び中心放射器(1110)の下半分である。最低の電界放射器(1116)は、中心放射器(1110)の下半分より高い強度で放射する。850MHzの周波数帯域にわたり、主な放射素子は、低い電界放射器(1116)及び中心放射器(1110)である。915MHzの周波数帯域にわたり、主な放射素子は、低い電界放射器(1116)及び中心放射器(1110)である。
【0103】
図11Bは、アンテナ(1100)の第2層を示す。アンテナ(1100)は、一体型コンデンサー(1150)を含む。一体型コンデンサー(1150)は、磁気ループ(1104)の左下部分(1114)上の、磁気ループの狭いトレースを占めるように静電容量を加える。一体型コンデンサー(1150)の次元は、アンテナ(1100)の全体的な静電容量を合わせるのに必要とされるように、増加又は減少する場合がある。
【0104】
多帯域アンテナの実施形態は、磁気ループの左側の左部分、及びプラスチック構成要素又は幾つかの他の構成要素の周りに包まれる磁気ループの右側の右部分を有する、可撓性回路基板などの半剛性又は非剛性基板材料の上で実行できることを、理解されたい。
【0105】
実施形態は、片側多帯域アンテナに向けられ、該アンテナは、平面上に位置し且つ磁界を作るように構成される磁気ループを含み、該磁気ループは、少なくとも第1セクションと第2セクションを含み、ここで、磁気ループは、多帯域アンテナの誘導リアクタンスの合計に加える第1誘導リアクタンスを有し;前記アンテナは、磁気ループのほぼ階段状の湾曲部によって形成されるモノポールを含み、該モノポールは、第1周波数帯域で磁界に直交するように第1電界を放射するよう構成され;及び、前記アンテナは、平面上及び磁気ループ内に位置する電界放射器を含み、該電界放射器は、磁気ループに繋げられ、且つ磁界に直交するように第2周波数帯域で第2電界を放射するよう構成され、ここで、電界放射器は、多帯域アンテナの容量性リアクタンスの合計に加える第1容量性リアクタンスを有し、ここで、電界放射器と磁気ループの間の物理的な配列は、容量性リアクタンスの合計に加える第2容量性リアクタンスをもたらし、及び、ここで、誘導リアクタンスの合計は、容量性リアクタンスの合計とほぼ一致する。
【0106】
また別の実施形態は、多層平面多帯域アンテナに向けられ、該アンテナは、第1平面上に位置し且つ磁界を作るように構成される磁気ループを含み、該磁気ループは、第1セクションと第2セクションを含み、ここで、磁気ループは、多帯域アンテナの誘導リアクタンスの合計に加える第1誘導リアクタンスを有し;前記アンテナは、磁気ループのほぼ階段状の部分によって形成されるモノポールを含み、該モノポールは、第1周波数帯域で磁界に直交するように第1電界を放射するよう構成され、ここで、磁気ループの1つ以上の他の部分は、第1周波数帯域でモノポールと同位相で共振し;及び、前記アンテナは、第1平面及び磁気ループ内に位置する電界放射器を含み、第1電界放射器は、磁気ループに繋がれ、第2周波数帯域で第2電界を放射するように構成され、ここで、電界放射器は、多帯域アンテナの容量性リアクタンスの合計に加える第1容量性リアクタンスを有し、ここで、電界放射器と磁気ループの間の物理的な配列は、容量性リアクタンスの合計に加える第2容量性リアクタンスをもたらし、ここで、磁気ループの1つ以上の第2セクションは、第2周波数帯域で電界放射器と同位相で共振し、及び、ここで、誘導リアクタンスの合計は、容量性リアクタンスの合計とほぼ一致する。
【0107】
また別の実施形態は、多層平面多帯域アンテナに向けられ、該アンテナは、第1の平面に置かれ且つ磁界を作るように構成される磁気ループを含み、該磁気ループは、2つ以上の横断面と2つ以上の縦断面の間で、ほぼ90度で形成される、2つ以上の横断面と2つ以上の縦断面を形成し、2つ以上の横断面の中の第1横断面は、低周波数帯域で第1電界を放射し、2以上の横断面の中の第2横断面は、高周波帯域で第2電界を放射し、ここで、磁気ループは、多帯域アンテナの誘導リアクタンスの合計を加える第1誘導リアクタンスを有し;及び、前記アンテナは、第1平面の下の第2平面に位置する寄生性電界放射器を含み、寄生性電界放射器の少なくとも半分は、位置が第1平面にある場合に、磁気ループ内に電界放射器を置く位置にて第2平面上に位置し、寄生性電界放射器は、磁気ループに繋がれず、寄生性電界放射器は、第1電界を補強し且つ磁界に直交するように低周波数帯域で第3の電界を放射するよう構成され、ここで、寄生性電界放射器は、多帯域アンテナの容量性リアクタンスの合計を加える第1の容量性リアクタンスを有し、ここで、電界放射器と磁気ループの間の物理的配列は、容量性リアクタンスの合計を加える第2容量性リアクタンスをもたらし、及び、ここで、誘導リアクタンスの合計は、容量性リアクタンスの合計とほぼ一致する。
【0108】
本明細書に記載されるアンテナの実施形態において、誘導リアクタンスの合計は、容量性リアクタンスの合計と一致し、アンテナの様々な要素は誘導リアクタンスの合計に寄与し、他の要素は、アンテナの容量性リアクタンスの合計に寄与する。例えば、アンテナの磁気ループは、誘導リアクタンスの合計に加える誘導リアクタンスを有し、アンテナの電界放射器は、アンテナの容量性リアクタンスの合計に加える容量性リアクタンスを有する。磁気ループの誘導リアクタンス及び電界放射器の容量性リアクタンスが一致する場合、それは、電界放射器及び磁気ループが、同じ共振振動数で互いに生成し、強化していることを示唆する。
【0109】
本明細書に記載される実施形態はまた、より大きな磁気エネルギーを達成するため、且つ、電界放射器が所望の共振振動数にてアンテナの総合効率に対し付加的であることを可能にするために、連続的でないループ構造を使用する。特定の実施形態において、アンテナが2つ以上の電界放射器を有すると、少なくとも1つの電界放射器は、主な磁気ループと同じ周波数で動く。これは、アンテナの複合モードと称される。多帯域アンテナ(寄生性放射器を伴う及び伴わない)場合において、磁気ループの様々な部分が異なる周波数で作動するところで、主な磁気ループと同じ周波数で動く少なくとも1つの電界放射器が存在する。
【0110】
図12は、2.4/5.8GHzの片側多帯域CPLアンテナ(1200)の実施形態を示す。アンテナ(1200)は、ほぼ長方形の磁気ループ(1202)及び電界放射器(1204)を含む。磁気ループ(1202)は、磁気ループ(1202)の2つの端点間のギャップ(1203)によって示されるように、不連続である。トレース(1206)は、磁気ループ(1202)に電界放射器(1204)を繋ぐ。トレース(1206)の誘導的な静電容量は、その長さ、幅を増加させることにより、又はその物理的形状を長方形から曲線状に変えることにより合わせることができる。トレースが任意の所望の形状を有する一方で、柔軟な曲線を備え、且つトレース(1206)における湾曲部の数を最小化する形状を有することは、アンテナ性能を最大限にする。電界放射器(1204)はまた、トレース(1206)なしで磁気ループ(1202)に直接繋ぐことができる。
【0111】
電界放射器(1204)は、2.4GHzの周波数帯域で共振する。ほぼ曲線状のトレース(1208)は、放射器(1204)の左側から下方に伸び、電気的長さを増加させ、且つ電界放射器(1204)の動作を合わせるための方法として使用される。具体的には、トレース(1208)の形状の変更は、所望の動作周波数に依存して、共振をより低い又はより高い周波数に変える。トレース(1208)は、トレース(1208)の長さを増加又は減少させることにより、トレース(1208)の幅を増加又は減少させることにより、或いはトレース(1208)の形状を変えることにより合わせることができる。電界放射器(1204)の電気的長さも、放射器(1204)の長さを増加又は減少させることにより、放射器(1204)の幅を増加又は減少させることにより、或いは放射器(1204)の形状を修正することにより合わせることができる。実施形態において、ほぼ曲線状のトレース(1208)は、磁気ループ(1202)に繋がれた放射器(1204)の側面に対向する放射器(1204)の側面から伸びる。アンテナ(1200)において、トレース(1208)は、磁気ループ(1202)に繋がれた放射器(1204)の右側に対向する放射器(1204)の左側から伸びる。放射器(1204)の左側が磁気ループ(1202)の左側に繋がれると、その後、トレース(1208)は、放射器(1204)の右側から伸びる。放射器(1204)が磁気ループ(1202)の頂部側面に繋がれると、その後、トレース(1208)は、放射器(1204)の底部側面から伸び、放射器(1204)の底部側面は、ギャップ(1203)に面する側面である。本明細書に記載される実施形態において、トレースに関して曲線形状の使用は、場の取り消しを最小化する。
【0112】
図12において破線で示された磁気ループの第1レッグ、ループ部(1210)は、5.8GHzの周波数帯域の共振モードを作成するように構成される。磁気ループ(1202)の右下部分(1210)は、磁気ループ(1202)から下方へ伸びる、ほぼ長方形のブリック(1212)を含む。ブリック(1212)は、磁気ループの第1レッグの静電容量及びインダクタンスを合わせる方法として使用される。磁気ループの第1レッグは、ブリック(1212)の幅と長さを変えることにより、又は、磁気ループ(1202)の第1レッグに沿ってブリック(1212)の位置を変更することにより、合わせることができる。
【0113】
図13は、2.4/5.8GHzの片側多帯域CPLアンテナ(1300)の代替的な実施形態を示す。アンテナ(1300)は、ほぼ長方形の磁気ループ(1302)及び電界放射器(1304)を含む。磁気ループ(1302)はまた、磁気ループ(1302)の2つの端点間のギャップ(1303)から明らかなように、不連続である。トレース(1206)は、磁気ループ(1302)に電界放射器(1304)を繋ぐ。上述のように、トレース(1306)の誘導的な静電容量は、その長さ、幅、及び形状を変えることにより合わせることができる。
【0114】
電界放射器(1304)は、2.4GHz帯域で共振する。電界放射器(1304)は、放射器(1304)の左側から下方へ伸びるトレース(1308)を含む。トレース(1308)は、ほぼ曲線状であり、トレース(1308)の一部は、トレース(1308)の遠位の一部分より大きな幅を有する放射器(1304)に隣接している。トレース(1308)は、共振をより低い又はより高い周波数に変えるために、電界放射器(1304)の電気的長さを合わせる方法として使用される。トレース(1308)は、放射器(1304)に近い部分の長さ、幅、及び形状を変えることにより合わせることができる。トレース(1308)はまた、トレース(1308)の遠位の部分の長さ、幅、及び形状を変えることにより合わせることができる。トレース(1308)はまた、様々な部分から成り、そこでは、第1部分は第2部分の幅より大きな幅を有し、第3部分の幅は第3部分の幅と異なる。トレース(1308)はまた、放射器(1304)に近い部分からトレース(1308)の遠位の部分まで直線的に次第に細くなり得る。全体的に、トレース(1308)の実際の形状は、
図12及び13に示される形状と異なることがある。トレース(1308)の特定の形状は、インピーダンスマッチングのための方法として使用することができる。
【0115】
磁気ループ(1302)の第1レッグ(1310)は、5.8GHzの周波数帯域の共振モードを作成するように構成される。磁気ループ(1302)の右下部分(1310)は、アンテナ(1300)の周波数及び帯域幅を合わせる方法として上方に伸びるブリック(1312)を含む。アンテナ(1300)は、ブリック(1312)の長さ、幅、及び形状を変えることにより合わせることができる。アンテナ(1300)はまた、磁気ループの第1レッグ(1310)に沿ってブリック(1312)の位置を変えることにより、又は、ブリック(1312)がどのようにして磁気ループから上方又は下方の何れかに伸びるかを変更することにより、合わせることができる。ブリック(1314)はインピーダンスマッチングに使用される。本明細書に記載の実施形態において、磁気ループの様々な部分に沿って位置する1つ以上のブリックは、インピーダンスマッチングを合わせる方法として使用することができる。ブリックの無い又は他のインピーダンスマッチング構成要素がある実施形態は、本発明の範囲及び精神の中にあることを、理解されたい。例えば、アンテナの1つ以上の構成要素の幾何学的配列はまた、ブリック又は他の形成した構成要素の使用により達成されるのと同じインピーダンスマッチングを達成するため、変わることがある。同様に、磁気ループの1つ以上の部分の幅は、インピーダンスを合わせるために変えることができる。
【0116】
本開示が好ましい実施形態及び様々な代案を示し且つ記載する一方、本明細書に記載される技術は、複数の付加的な使用及び適用を有することができることを理解されたい。従って、本発明は、そのような実施形態の原理の様々な実施形態及び適用を単に示すだけである本明細書に含まれる、単なる特定の記載及び様々な図面に限定されるべきではない。