(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態について説明する。
(第1実施形態)
本発明の第1実施形態に係るスパウトを、
図2を用いて説明する。
図2は本実施形態のスパウト100を示す図であり、(a)は上面斜視図、(b)は軸方向(A−A方向)断面図、(c)は上面図である。
【0016】
本実施形態のスパウト100は合成樹脂等によって形成されており、例えば
図10で示すようなシート状部材で構成される収容体700に取着(溶着)され、収容部内の粒状の収容物を注出するために用いられる。
図2に示すように、スパウト100は、収容物が通過する注出口130が形成された筒状部110と、筒状部110の内壁面110aの注出口130側に配設され、筒状部110の内面壁110aから収容物が通過する空間(内部空間)Sに向かって突出する拡散部150とを備えた本体部105を有しており、本実施形態では前記収容体700に取着されるように、収容体を構成するシート状部材が溶着される溶着部170が形成されている。なお、前記内部空間Sは、筒状部110内の空間だけでなく、筒状部110の外側であって注出口130付近の空間も含むものと定義する。また、後述するように拡散部150が本体部105に対して着脱可能な実施形態の場合、筒状部は拡散部150を備えるパーツのパーツ筒状部を含むものと定義する。
【0017】
前記筒状部110の形状は、収容体から流入する収容物を通過させる内部空間Sを備えていれば、図示するような円筒状に限られず、角柱状や円錐状等であっても良い。筒状部110の外面壁110bには、注出口130を密封、開封するための密開封手段であるスクリュー式のキャップ(例えば、
図10におけるキャップ750)と螺合する凸部110c、及びキャップの未開封を保証するバンド(図示せず)を初回開封時に切り離して、その切り離したバンドを留め置くバンド受部110dが形成されている。
【0018】
前記拡散部150は、
図2に示すように、筒状部110の注出口130側の端部110eに、内面壁110aから筒状部110の内部空間Sに向かって突出している。収容体に取着されたスパウト100を下方に向けて用いると、収容物は、筒状部110の収容体側から端部110eに向かって軸方向に内部空間Sを通過するため、内部空間Sに向かって突出することで、収容物を拡散部150に衝突させることができる。
【0019】
図3(a)は、拡散部150を
図2(b)で示すB−B方向(前記拡散部150が突出する方向に垂直な面)で切断した断面図である。図示するように、拡散部150の収容体側には、収容物が衝突して拡散する傾斜面150aが形成されている。粒状の収容物が内部空間Sを通過する際、収容体側(図面下方側)から傾斜面150aに衝突して跳ね返り、粒状体の運動方向が変化する。
【0020】
この運動方向の変化について、最も単純なモデルとして、注出時に収容物である一つの粒状体が内部空間Sを垂直に自由落下し、傾斜面150aに衝突する場合を説明する。その場合、
図3(a)において、粒状体は図面の下方側から上方側に傾斜のない真っ直ぐな直線運動で進み、傾斜面150aに衝突する。衝突前は、粒状体の速度ベクトルは鉛直成分のみであって水平成分は零である。この粒状体が傾斜した傾斜面150aに衝突すると、粒状体は跳ね返り、その運動方向は水平成分を含む向きに変化する。
【0021】
図3(a)の傾斜面150aは左右対称な山状に形成されているため、粒状体が右側の傾斜面150a1に衝突すると、その運動方向は
図3(a)正面視で右方向の水平成分を含む向きに、粒状体が左側の傾斜面150a2に衝突すると、その運動方向は
図3(a)正面視で左方向の水平成分を含む向きに変化する。
【0022】
このように衝突によって運動方向が変化した粒状の収容物は、その運動方向が水平成分を含むため、注出口130に達すると注出口130から拡散するように注出される。具体的には、
図2(b)で示す拡散部150−1の傾斜面150aが
図3(a)で示す形状の場合、傾斜面150a1に衝突した粒状体は、衝突後の進行方向にある
図2(b)の注出口130−1から外部に注出され、傾斜面150a2に衝突した粒状体は、衝突後の進行方向にある進行方向にある
図2(b)の注出口130−2から外部に注出される。
【0023】
なお、実際には、多数の粒状体が内部空間Sを通過して拡散部に衝突し、粒状体同士も衝突する多体運動となり、また内部空間Sを垂直落下でなく水平方向を含んで落下する粒状体も存在するが、拡散注出の基本的なメカニズムは同様である。すなわち、拡散部150の傾斜面150aにより、粒状の収容物の運動方向を変化することによって、粒状の収容物を拡散して注出することができる。
【0024】
次に、
図3(b)〜(d)を用いて、傾斜面150aの形状について他の実施例を説明する。
図3(b)は
図3(a)と同様に左右対称な山状であるが、傾斜面は平面でなく湾曲している。また、
図3(b)の傾斜面150aの山状の先端部は平坦であり、傾斜していない部分150a3を含んでいる。この場合、粒状体は傾斜面150aの湾曲面150a1又は150a2で運動方向が変えられて、注出口130から拡散するように注出される。すなわち、傾斜面150aは一部に傾斜のある面を含んでいれば良く、その形状は平面に限られない。
【0025】
図3(c)、(d)はそれぞれ、
図3(a)、(b)の左側部分を拡散部150の収容体側の面全体に広げて形成した実施例である。
図2(b)で示す拡散部150−1の傾斜面150aが
図3(c)または(d)で示す形状の場合、傾斜面150a2に衝突した粒状体は、衝突後の進行方向にある注出口130(
図2(b)の注出口130−2)から外部に注出される。すなわち、
図3(a)、(b)で示す山状の場合には、左右両側の注出口130からそれぞれ左右に広がるように拡散注出できるが、
図3(c)、(d)で示す形状の場合には左側の注出口130−2のみから左にのみ広がるように拡散注出される。従って、
図3(a)、(b)で示す山状の傾斜面150aの方が、より広範囲に拡散注出可能となる。
【0026】
図2に示すスパウト100は、四つの拡散部150を有しており、これらは筒状部110の中心軸に対して回転対称に配置されている。このように複数個を回転対称に配置すると、全方位に対して拡散が可能となる。また、四つの拡散部150の傾斜面150aの形状は同一であり、これによってより均等な拡散が可能となる。逆に拡散範囲や注出量に偏りを持たせたい場合等には、異なる形状のものを用いたり、回転非対称に配置することもできる。すなわち、各拡散部150の形状や配置は目的に応じて適宜組み合わせることができる。
【0027】
また、スパウト100の拡散部150はいずれも、筒状部110の内面壁110aから垂直に(径方向に沿って)内部空間Sに向かって突出しているが、垂直に突出している必要はなく、傾きをもって斜めに突出していても良い。拡散部150を斜めに(径方向から傾斜をつけて)内部空間Sに突出させることにより、収容物が傾斜面150aに衝突する際の衝突角度を調整することができる。この衝突角度は、傾斜面150aの形状、及び、拡散部150が内部空間Sに向かって突出する角度により規定されるため、両者を適宜設計することによって、収容物の衝突角度を調整可能である。
【0028】
さらに、
図2に示す拡散部150は、収容体と反対側(注出口130側)の筒状部110の端部110eに形成されているが、傾斜面150aに衝突した粒状の収容物が、注出口130に到達可能であれば、端部110eに限られず、多少内部側に形成されていても良い。
【0029】
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態に係るスパウトを、
図4を用いて説明する。本実施形態のスパウト200は、第1実施形態のスパウト100の本体部105に貫通孔190aを備えた流量調整部190をさらに設けたものである。
図4はスパウト200を示す図であり、(a)は上面斜視図、(b)は軸方向(A−A方向)断面図、(c)は流量調整部190を有する流量調整パーツ290の斜視図である。なお、以下に説明する実施形態では、第1実施形態と同様な構成については、同一の参照符号を付し詳細な説明は省略する。
【0030】
前記流量調整パーツ290は、
図4(c)に示すように、収容物の流出を許容する複数の貫通孔190aが形成された板状の流量調整部190と、流量調整部190を支持するパーツ筒状部190bと、パーツ筒状部190bの底部に形成された環状の突起190gと、スパウト200の筒状部110と係合する係合部190dとを備える。
図4(a)(b)に示すように、流量調整パーツ290は、筒状部110の内面壁110aに装着して使用する。
【0031】
前記係合部190dは、前記パーツ筒状部190bの側壁において軸方向に形成された貫通溝であり、この貫通溝が内面壁110aに形成された凸部110fに係合する。流量調整パーツ290は、係合部190dと凸部110fが係合するように筒状部110の収容体側の開口110jから挿入することによって、筒状部110の内面壁110aに装着される。また、装着時に貫通孔190aが拡散部150(傾斜面150a)と軸方向において対向するように、前記係合部190dがパーツ筒状部190bに形成されている。この貫通孔190aと拡散部150(傾斜面150a)との対向配置の効果については後述する。
【0032】
前記突起190gは、パーツ筒状部190bの底部の周縁に形成されており、流量調整パーツ290が筒状部110の収容体側の開口110jから挿入されて、突起190gが筒状部110の収容体側の端部110gに接触すると、挿入の進行が停止し、流量調整パーツ290を所定の位置で留めることができる。
【0033】
前記貫通孔190aは、収容物が通過する方向(軸方向)において拡散部150(傾斜面150a)と対向するように配置されることが好ましい。対向配置することによって、収容物を拡散部150の傾斜面150aに集中して衝突させることができるため、上述した拡散部150による拡散効果をより大きく発揮させることができる。従って、流量調整部190は、筒状部110を部分的に遮蔽することによって収容物の流量(注出量)を調整すると共に、貫通孔190aと拡散部150の対向配置によって収容物を傾斜面150aに集中させる効果を奏する。
【0034】
前記貫通孔190aの形状は円形であるが、円形に限られず、貫通孔190aを通過した収容物が拡散部150の傾斜面150aに集中できる形状であれば良い。例えば、後述する
図7〜
図9に示す実施形態においては、貫通孔190aの形状は、接続部150の傾斜面150aの平面形状に類似した形となっており、より傾斜面150aに集中しやすくなっている。
【0035】
前記流量調整部190は四つの貫通孔190aを備えており、各貫通孔190aは四つの拡散部150のそれぞれに対向するように配置されている。このように拡散部150が複数ある場合、各拡散部150に対向するように貫通孔190aを設けると、全ての拡散部150の傾斜面150aに収容物を集中して衝突させることができる。さらに、各貫通孔190aの形状と大きさを同一に揃えることによって、全方位に対してより均等な拡散効果を実現することができる。一方で、拡散範囲や注出量に偏りを持たせたい場合等には、貫通孔190aの形状や大きさ、拡散部150との位置関係を調整すれば良く、これらは目的に応じて適宜組み合わせることができる。
【0036】
また、スパウト200は、貫通孔190aから傾斜面150aまでの距離によって、拡散範囲を調整することができる。貫通孔190aから傾斜面150aまでの距離が短くなると、傾斜面150aに衝突する際の粒状体の速度が遅いため、衝突後の粒状体の速度も遅くなり、注出口130からの到達距離が短くなって拡散範囲が狭くなる。一方、貫通孔190aから傾斜面150aまでの距離が長すぎると、貫通孔190aが傾斜面150aに集中しにくくなってしまう。
【0037】
このため、傾斜面150aへの集中度合い、及び、粒状体の衝突速度を考慮して、貫通孔190aから傾斜面150aまでの距離を適宜設計し、拡散範囲を調整することが好ましい。
図4で示す流量調整パーツ290においては、筒状のパーツ筒状部190bの長さを調整することによって、上記した貫通孔190aから傾斜面150aまでの距離を変更することができる。
【0038】
前記流量調整パーツ290は、着脱可能であるため、目的や用途に応じた仕様の異なる流量調整パーツ290を切替えて使用することもできる。例えば、貫通孔190aの形状や大きさ、拡散部150との配置関係、パーツ筒状部190bの長さを変更すると、上述したように拡散範囲や注出量等が変化するため、仕様の異なる流量調整部190を着脱して使用でき便利である。
【0039】
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態に係るスパウトを、
図5〜
図6を用いて説明する。本実施形態のスパウト300は、本体部105に対して拡散部150を着脱可能とし、流量調整部190を筒状部110内に固着したものである。
図5はスパウト300を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は軸方向(A−A方向)断面図である。また、
図6はスパウト300において、拡散部150を備える着脱可能な拡散パーツ350を取り外した状態を示す斜視図であり、(a)は拡散パーツ350、(b)は拡散パーツ350を取り外した部分の斜視図である。
【0040】
前記拡散パーツ350は、
図6(a)に示すように略円筒状に形成されており、拡散部150と、拡散部150を支持するパーツ筒状部350bと、パーツ筒状部350bの天部に形成された環状の突起350eと、スパウト300の筒状部110と係合する係合部350dとを備える。
図5(a)(b)に示すように、拡散パーツ350は、筒状部110の内面壁110aに装着して使用する。本実施形態において、拡散部150はパーツ筒状部350bの注出口130側に配設され、パーツ筒状部350bの内面壁350aから収容物が通過する内部空間Sに向かって突出している。
【0041】
前記係合部350dは、前記パーツ筒状部350bの側壁において軸方向に形成された凸部であり、この凸部が本体の内面壁110aに形成された係合溝110hに係合する。拡散パーツ350は、係合部350dと係合溝110hが係合するように筒状部110の注出口側(収容体側と反対側)の開口110iから挿入することによって、筒状部110の内面壁110aに装着される。また、装着時に貫通孔190aが拡散部150(傾斜面150a)と軸方向において対向するように、係合部350dはパーツ筒状部350bに形成されている。この貫通孔190aと拡散部150(傾斜面150a)との対向配置の効果は、流量調整パーツ290において既述した通りである。
【0042】
前記突起350eは、パーツ筒状部350bの天部の周縁に形成されており、拡散パーツ350が筒状部110の注出口側の開口110iから挿入されて、突起350eが筒状部110の注出口側の端部110eに接触すると、挿入の進行が停止し、拡散パーツ350を所定の位置で留めることができる。
【0043】
また、スパウト300は、上記したスパウト200と同様に、貫通孔190aから傾斜面150aまでの距離によって、拡散範囲を調整することができる。拡散パーツ350において、筒状のパーツ筒状部350bの長さを調整することによって、上記した貫通孔190aから傾斜面150aまでの距離を変更することができる。さらに、スパウト300の拡散パーツ350は、上記した流量調整パーツ290と同様に着脱可能であり、目的や用途に応じた仕様の異なるものを切替えて使用することもできる。
【0044】
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態に係るスパウトを、
図7〜
図8を用いて説明する。本実施形態のスパウト400は、拡散部150及び流量調整部190を同一パーツ上に形成し、この一体型パーツ450を本体部105に対して着脱可能としたものである。
図7はスパウト400を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は軸方向(A−A方向)断面図である。また、
図8はスパウト400において、拡散部150及び流量調整部190を備える着脱可能な一体型パーツ450を取り外した状態を示す斜視図であり、(a)は一体型パーツ450の上面斜視図、(b)は一体型パーツ450の底面斜視図、(c)は一体型パーツ450を取り外した部分の上面斜視図である。
【0045】
前記一体型パーツ450は、
図8(a)(b)に示すように、拡散部150と、収容物の流出を許容する貫通孔190aが形成された流量調整部190と、拡散部150及び流量調整部190を支持するパーツ筒状部450bと、パーツ筒状部450bの天部に形成された環状の突起450eと、スパウト300の筒状部110と係合する係合部450dとを備える。
図7(a)(b)に示すように、一体型パーツ450は、筒状部110の内面壁110aに装着して使用する。
【0046】
前記係合部450dは、前記パーツ筒状部450bの側壁において軸方向に形成された貫通溝であり、この貫通溝が本体の内面壁110aに形成された凸部110fに係合する。一体型パーツ450は、係合部450dと凸部110fが係合するように筒状部110の注出口側(収容体側と反対側)の開口110iから挿入することによって、筒状部110の内面壁110aに装着される。
【0047】
前記突起450eは、パーツ筒状部450bの天部の周縁に形成されており、一体型パーツ450が筒状部110の注出口側の開口110iから挿入されて、突起450eが筒状部110の注出口側の端部110eに接触すると、挿入の進行が停止し、一体型パーツ450を所定の位置で留めることができる。
【0048】
一体型パーツ450における貫通孔190aは、パーツ筒状部450bを軸方向に貫通しており、装着した場合、収容物を注出する開口である注出口130を兼ねる。貫通孔190aの注出口側の開口部には、拡散部150が配設されており、収容物は、拡散部150に覆われていない前記開口部(注出口130)から注出される。従って、本実施形態において拡散部150はパーツ筒状部450bの注出口130側に配設され、パーツ筒状部450bの内面壁450aから収容物が通過する内部空間Sに向かって突出している。
【0049】
また、このように貫通孔190aの注出口側の開口部に、拡散部150が配設されることによって、貫通孔190aと拡散部150(傾斜面150a)は軸方向において対向配置される。これによって、流量調整パーツ290において既述した通り(
図4参照)、収容物を傾斜面150aに集中させることができる。さらに、貫通孔190aの形状を拡散部150(傾斜面150a)の平面形状に類似した形状(同一形状を含む)にすることで、収容物をより傾斜面150aに集中しやすくすることが可能である。
【0050】
スパウト400は、上記したスパウト200及び300と同様に、一体型パーツ450のパーツ筒状部450bの長さを調整することによって、拡散範囲を調整することができる。また、一体型パーツ450は、上記した流量調整パーツ290及び拡散パーツ350と同様に本体部105に対して着脱可能であり、目的や用途に応じた仕様の異なるものを切替えて使用することもできる。
【0051】
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態に係るスパウトを、
図9を用いて説明する。本実施形態のスパウト500の本体部105は、筒状部110、流量調整部190、拡散部150、及び溶着部170を型によって一体形成したものである。
図9はスパウト500を示す図であり、(a)は斜視図、(b)は軸方向(A−A方向)断面図、(c)は上面図、(d)は底面側から見た斜視図である。
【0052】
前記貫通孔190aと前記拡散部150(傾斜面150a)は軸方向において対向配置しており、さらに貫通孔190aの形状は、拡散部150(傾斜面150a)の平面形状に類似した形状であって、これによって粒状体を傾斜面150aに集中させることができる。
【0053】
スパウト500は、筒状部110に、流量調整部190及び拡散部150を一体形成することによって、上述した実施形態のスパウト200、300、400における本体部100と各パーツ290、350、450を係合させるための構成要素が不要である。また、上記した貫通孔190aと前記拡散部150を類似形状(同一形状を含む)にし、かつ、対向配置する構成にすることで容易に一体形成することが可能となる。具体的には、
図9(c)で示すように、拡散部150の上面形状(平面形状)は貫通孔190aの大きさ以下であるため、一体形成する際の型抜きが可能となり、合成樹脂を用いると製造コストを削減できる。この場合、拡散部150は軸方向から見て貫通孔190aの範囲内にあればその形状は適宜変形することができる。また、上述した実施形態のスパウト100、200、300、400においても、着脱可能な部分を除いては、合成樹脂で一体形成することが好ましい。
【0054】
図10は、本発明に係るスパウト(一例として前記スパウト500)を収容体に取着したスパウト付き収容体700の一実施形態を示す。スパウト付き収容体700は、周囲が溶着されたシート状部材間に収容物を収容する袋状の収容体本体710と、収容体本体710を構成するシート状部材間に介在して溶着されたスパウト500と、スパウト500の注出口130の密開封手段であるキャップ750とを有する。このようなスパウト付き収容体は、ボトル状容器に比べて柔軟性を有しているため、省スペースで使用後の廃棄性にも優れている。
【0055】
前記収容体本体710内の収容部710Aには粒状体が収容されており、使用者はキャップ750を取り外し、スパウト付き収容体700を傾けて注出口130を散布(拡散注出)したい方向に向けることによって、上述したスパウト500の効果により、粒状体を拡散注出することができる。実際に、スパウト付き収容体700と、スパウト付き収容体700においてスパウト500のかわりに従来技術のスパウト900を溶着した収容体を用いて、同一の粒状体の散布試験を行ったところ、高さ50cmの位置で散布した場合、前者は後者に対して約1.5倍粒状体が拡散して注出される結果が得られた。
【0056】
また、本発明に係るスパウト、及び、スパウト付き収容体を用いると、粒状の収容物をより広範囲に拡散しながら注出することができるため、散布の手間や時間を削減可能である。
【0057】
以上、本発明の実施形態について説明してきたが、本発明は、上記した実施形態に限定されず、その要旨を逸脱しない範囲で種々変形して実施できる。例えば、前記溶着部170は、本発明に係るスパウトが取着される収容体の種類や収容体の開口部の形態によっては、必ずしも必要とされない。収容体がペットボトルのようなボトル形状の容器の場合、収容体の開口部は密開封手段であるスクリュー式のキャップと螺合する螺合部が形成されているため、この螺合部と螺合する溝状の凹部等を筒状部110の収容体側の開口に形成して、取着部としてもよい。また、スパウトと収容体の開口部を取着するための部材を別途用いる場合、本発明に係るスパウトは、収容体の開口部との取着部は有していなくても良い。