(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、トンネル状の延長カバー部102を備えた従来のX線検査装置100には、検査装置の全長である搬送方向の長さLが長くなる不利がある。また、出入口に被検査物の形状に合わせた通過穴を形成した従来のX線検査装置は、出入口が装置自体の側壁部分の一部であり固定構造であるため、被検査物の形状が限定されたものとなる。すなわち、特定の被検査物専用のX線検査装置になってしまい汎用性がない。例えば被検査物の仕様、すなわち形状が変更されると、専門作業者が新たな通過穴形状を有した出入口部材を用意し、現場に出向き、ボルト締結作業等をやり直して出入口部材を交換する必要があった。そのため、形状の異なる多品種を被検査物として扱う検査が煩雑であった。
【0008】
本発明は上記状況に鑑みてなされたもので、その目的は、X線検査装置の搬送方向長さを短くすることができるとともに、形状の異なる複数種の被検査物を検査対象とする場合に容易に且つ安全に仕様変更を行うことを可能とするX線検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
次に、上記の課題を解決するための手段を、実施の形態に対応する図面を参照して説明する。
本発明の請求項1記載のX線検査装置1は、X線の遮蔽空間6内に搬送手段9で搬入される被検査物50にX線を照射して検査を行うX線検査装置であって、
前記搬送手段9にて通過する複数種の外形状の前記被検査物50のそれぞれに合わせた異なる形状とされる通過部19を有する複数種で構成されており、検査対象となる特定種類の前記被検査物50に対応するように選択されて、前記遮蔽空間6の外部へのX線の漏洩を抑制するように前記遮蔽空間6内となる遮蔽位置に着脱自在に取り付けられる遮蔽ゲート18と、
複数種の前記遮蔽ゲート18のそれぞれに設けられ、複数種の前記被検査物50と対応関係となり、前記被検査物50の形状と前記通過部19の形状とを一致させる前記各遮蔽ゲート18に固有のゲート係合部22と、
前記遮蔽位置の近傍に設けられ、複数種の前記被検査物50の中から検査対象として選択される特定種類の前記被検査物50に対応した状態に設定されて、該被検査物50に対応する通過部19を備えた前記遮蔽ゲート18に対してのみ前記ゲート係合部22と係合可能となる本体係合部21と、
前記遮蔽ゲート18が前記遮蔽位置に取り付けられたことを検知し、前記ゲート係合部22と前記本体係合部21とが係合することによって前記遮蔽位置に前記遮蔽ゲート18が取り付けられる場合以外には前記X線の照射を禁止するインターロック手段20と、
を具備することを特徴とする。
【0010】
このX線検査装置1では、検査対象である被検査物50の外形に合わせた形状の通過部19の形成された遮蔽ゲート18が予め用意される。この遮蔽ゲート18を、遮蔽空間6内に配置して搬送手段9にて搬送される被検査物50の通過出入口を形成する。遮蔽ゲート18は、被検査物50の形状に合わせて選択し、簡単に取り付けることができる。遮蔽ゲート18を設けたことで、通過部19の形状が被検査物50の外形状に一致し、間隙が小さくなり、X線の漏洩を減少させることができる。このことから、従来のようなトンネル状の長いカバーを不要とし、検査装置の搬送方向の長さを短くすることが可能となる。その結果、省スペース化を図ることができる。
そして、このX線検査装置1では、各遮蔽ゲート18に、固有のゲート係合部22が設けられる。遮蔽位置の近傍には、特定種類の被検査物50に対応する遮蔽ゲート18のゲート係合部22と係合可能な状態に設定される本体係合部21が設けられる。また、このX線検査装置1には、インターロック手段20が設けられる。インターロック手段20は、ゲート係合部22と本体係合部21とが係合する遮蔽ゲート18の正規の取付状態以外ではX線の照射を禁止する。すなわち、検査対象となる被検査物50の形状に合わせて選択した遮蔽ゲート18の設定と、取り付けようとする遮蔽ゲート18との整合性を容易に確認できる。間違った遮蔽ゲート18は、ゲート係合部22と本体係合部21とが係合せず取り付け不可となる。遮蔽ゲート18が取り付けられなければ、X線照射が行われず、装置の運転も不可能にできる。その結果、X線漏洩を確実に減らすことができ、安全性を担保できる。
【0011】
本発明の請求項2記載のX線検査装置1は、請求項1に記載のX線検査装置であって、
前記ゲート係合部が孔22であり、前記本体係合部が前記孔22に係合する突起21であることを特徴とする。
【0012】
このX線検査装置1では、係合し合う本体係合部とゲート係合部とを、突起21と孔22との組合せとしたことにより、鍵と鍵孔のような対応関係となり、互いの嵌め合う作用で遮蔽ゲート18を遮蔽位置に取り付けることを可能としている。
また、このX線検査装置1では、遮蔽ゲート18のゲート係合部が孔22で形成されることにより、例えば板状に形成される複数枚の遮蔽ゲート18の取り扱いや収納時に、遮蔽ゲート18同士の引っ掛かり等の干渉が回避可能となる。また、遮蔽ゲート18に形成されるゲート係合部を孔22とすることにより、遮蔽ゲート18をプレス加工等により容易に製作することができる。
【0013】
本発明の請求項3記載のX線検査装置1は、請求項2に記載のX線検査装置であって、
前記突起が特定種類の前記被検査物50を選択するために操作される操作つまみ21であることを特徴とする。
【0014】
このX線検査装置1では、突起を操作つまみ21とすることにより、突起を単なる突起部としてだけでなく、操作部や表示部としても機能させることができる。操作つまみ21は、操作により位置や向きを可変させる構成とすることができるので、一つの操作つまみ21で、複数種の係合部として機能させることが可能となる。また、その際の操作つまみ21の位置や向きは、容易に目視や手で触れることにより確認が可能となる。
【0015】
本発明の請求項4記載のX線検査装置1は、請求項2または3に記載のX線検査装置であって、
前記突起21が複数設けられ、該突起21に対応して前記孔22が前記遮蔽ゲート18に複数設けられることを特徴とする。
【0016】
このX線検査装置1では、突起を複数とすることにより、それぞれの突起の位置や向きの組合せの数で、複数種の被検査物50に対応できるようになり、複数種の中から遮蔽ゲート18が特定できるようになる。つまり、識別可能な遮蔽ゲート18の数を容易に増やすことができる。例えば一つの突起が8つの位置や向きに切り換え可能な場合、突起を2つにすれば8の二乗、すなわち64種類、3つにすれば、8の三乗、すなわち512種類の遮蔽ゲート18が特定可能となる。
【0017】
本発明の請求項5記載のX線検査装置1は、請求項4記載のX線検査装置であって、
複数の前記突起21が近接して並んでいることを特徴とする。
【0018】
このX線検査装置1では、突起を近接して配置することにより、操作性、視認性を高めることができる。また、突起を操作つまみ21とした場合には、装置筐体内における信号線等の配索を容易にすることができる。
【0019】
本発明の請求項6記載のX線検査装置1は、請求項1〜5のいずれか1つに記載のX線検査装置であって、
複数種類の前記被検査物50の中から特定種類の前記被検査物50を選択するための操作を行うことにより作動する駆動部を備え、
前記駆動部の作動により、特定種類の前記被検査物50に対応する前記遮蔽ゲート18の前記ゲート係合部22と係合可能な状態に前記本体係合部21が設定されることを特徴とする。
【0020】
このX線検査装置1では、被検査物50を選択するための操作を行うと、駆動部が作動する。この駆動部の作動は、選択した遮蔽ゲート18のゲート係合部22と係合可能な状態に本体係合部21を自動で設定する。本体係合部21は、この駆動部の作動により回転されて姿勢が設定されても、スライドにより位置が設定されてもよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明に係る請求項1記載のX線検査装置によれば、検査対象である被検査物の形状に形成された通過部を有する遮蔽ゲートを遮蔽空間に配置させることができ、X線が漏洩してしまう間隙などを小さく構成することができるので、従来のようなX線を減衰させるためのトンネル状の延長カバー等を設けなくても、遮蔽空間の外部へのX線の漏洩を抑制することが可能となり、このことから検査装置の搬送方向長さを短くすることができる。そして、遮蔽ゲートは、遮蔽空間に対して出し入れ自在な構成としたことで、装置に対して着脱が容易なものとなり、被検査物の形状が変更となった場合に、その形状に合わせた通過部を有する遮蔽ゲートへ入れ換えることが可能となり、その被検査物を検査対象とすることを容易に行うことが可能となる。また、遮蔽ゲートを取り付ける際に、遮蔽ゲートのゲート係合部と、特定種類に設定された本体係合部とが係合することで取り付けが可能となり、これらが正しく係合しあうことでインターロック手段がX線の照射を可能とすることとなり、これら本体係合部とゲート係合部が係合しない状態、すなわち遮蔽ゲートの選択が間違っていた場合には、遮蔽ゲートは取り付けられないこととなり、X線の照射は不可能となって、これにより、安全にX線検査装置を運用可能となる。
【0022】
本発明に係る請求項2記載のX線検査装置によれば、係合し合う本体係合部とゲート係合部とを、突起と孔との組合せとしたことにより、鍵と鍵孔のような対応関係となり、互いの嵌め合う作用で遮蔽ゲートを遮蔽位置に取り付けることを可能としている。また、遮蔽ゲートのゲート係合部が孔で形成されることにより、例えば板状に形成される複数枚の遮蔽ゲートの取り扱いや収納時に、遮蔽ゲート同士の引っ掛かり等の干渉が回避可能となり、複数種の遮蔽ゲートの管理を容易にすることができる。
【0023】
本発明に係る請求項3記載のX線検査装置によれば、突起を操作つまみとすることにより、突起を単なる突起部としてだけでなく、操作部や表示部としても機能させることができ、この操作つまみは、操作により位置や向きを可変させる構成とすることができるので、一つの操作つまみで、複数種の係合部として機能させることが可能となる。また、その際の操作つまみの位置や向きは、容易に目視や手で触れることにより確認が可能となり、操作性を向上させる。
【0024】
本発明に係る請求項4記載のX線検査装置によれば、突起を複数とすることにより、それぞれの突起の位置や向きの組合せの数で、複数種の被検査物に対応できるようになり、複数種の中から遮蔽ゲートが特定できるようになる。また、識別可能な遮蔽ゲートの数を容易に増やすことができる。
【0025】
本発明に係る請求項5記載のX線検査装置によれば、近接して配置される突起により、操作性を高め、また、視認性を高めることができる。さらに、突起を操作つまみとした場合に、この操作つまみに検知機能を持たせ信号線などが接続される際には、装置筐体内における信号線等の配索を容易にすることができる。
【0026】
本発明に係る請求項6記載のX線検査装置によれば、検査対象とする被検査物を選択するための操作を行うと作動する駆動部によって、本体係合部の設定作業を自動化でき、手動による本体係合部の誤設定を防止できる。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本発明に係る実施形態を図面を参照して説明する。
本発明によるX線検査装置は、例えば、瓶やペットボトルに入った飲料品などのように、直立搬送される縦長な所謂背が高い被検査物にX線を照射し、異物検出など種々の検査を行う場合に用いて好適なものである。
【0029】
なお、本X線検査装置の被検査物はこれに限定されるものではない。すなわち、被検査物は、例えば1リットル紙パック、500ml紙パックなどの縦長な包装容器、ペットボトル、瓶、ボトルなど容量の違いで大きさが異なる縦型の検査対象物の他、縦型でない平型であってもよい。
【0030】
[第1実施形態]
図1は本発明に係る第1実施形態のX線検査装置の斜視図、
図2は
図1に示したX線検査装置の筐体内部を透視した斜視図である。
第1実施形態に係るX線検査装置1は、箱型の筐体2を有する。筐体2は、例えば四本の脚部3で設置面上に支持される。この筐体2は、内部から有害な量のX線が外部に漏洩しないように放射線防護材料を用いて形成されている。具体的には、鉛等の遮蔽材が内貼りされてなる。
【0031】
筐体2は、両側面に、被検査物50を通過させる入口4及び出口5を有している。なお、本実施形態においては、図示の筐体2の右側を入口4とし、左側を出口5として説明する。そして、入口4から出口5の間の内方が遮蔽空間6となっている。また、筐体2には、正面に検査結果の確認や各種情報の表示、入力操作が可能なタッチパネル形式の表示操作部7を有する。
【0032】
筐体2の内部には、X線発生装置(図示略)が配設される。X線発生装置は、遮蔽空間6に搬送されてくる被検査物50に向けてX線を照射させる。X線は、X線管から出射方向に広がる略三角形の面状検査領域8を形成して被検査物50を照射する。照射されたX線は、センサ(図示略)により受けられる。センサは、このX線を光電変換し、装置本体の検査処理部(図示略)に出力する。なお、
図2に示したX線検査装置1では、被検査物50に対して上方からX線を照射する例として図示したが、被検査物50の検査に応じて、この被検査物50に対して斜め方向や横方向などからX線を照射するように構成されていてもよい。
【0033】
筐体2には、搬送手段9が貫通して配置される。本実施形態ではこの搬送手段9を、入口4に入口搬送部10、出口5に出口搬送部11、これら入口搬送部10と出口搬送部11との間となり筐体2の内方に配置される筐体内搬送部12で構成される。入口搬送部10、出口搬送部11及び筐体内搬送部12は、複数のローラ13a,13bと、これらのローラ13a,13bに掛け回された無端状の搬送ベルト14を有している。これら各入口搬送部10,出口搬送部11,筐体内搬送部12は、装置本体に取り付けられたモータ等の駆動手段によりローラ13aまたはローラ13bのいずれかが駆動され、これにより搬送ベルト14が周回移動し、上側の搬送ベルト14に載った被検査物50を移送する。入口搬送部10により入口4に搬送された被検査物50は、筐体2の内部に配置される筐体内搬送部12に移載される。筐体2の内方において、X線の照射された被検査物50は、筐体内搬送部12から出口搬送部11に移載されてX線検査を終了する。なお、図示は省略するが、入口搬送部10、出口搬送部11及び筐体内搬送部12には、被検査物50の倒れを防止するとともに、被検査物50を搬送方向一列に案内する一対のガイドバーが備えられていてもよい。また、搬送手段9は、上記した入口搬送部10,出口搬送部11,筐体内搬送部12に分かれている必要はなく、1つの搬送部であっても良いし、モータの駆動手段も装置本体に備えずに、外部の装置が駆動する形態でも構わない。
【0034】
X線検査装置1の後段には、例えば被検査物50の良否を仕分ける選別装置が配置される。
【0035】
筐体2の入口4と出口5とには、四角枠状の枠体15,16が筐体2の外に突出して設けられ、それぞれの枠体15,16は、入口4と出口5とを包囲するように形成される。なお、この枠体15,16の筐体2の外側に対する突出長さは、若干量であって、従来のトンネル状の延長カバーのような長大なものではなく、筐体2の入口4及び出口5に対して額縁状の厚みを有するようなものに設定される。入口搬送部10、出口搬送部11及び筐体内搬送部12は、枠体15,16の内側における下縁に沿って配置される。それぞれの枠体15,16は、入口4及び出口5を介して筐体2の内方に通じる。従って、枠体15,16は、内方が遮蔽空間6となり、筐体2の内方と連続して入口4と出口5との間でトンネル状の遮蔽空間6を形成している。ここで遮蔽空間6は、X線発生装置によるX線の照射が行われ被検査物50が検査される位置を含み、このX線照射位置への被検査物50の搬入搬出が行われる空間であって、そのX線を漏れ出させないために形成される空間である。また、枠体15,16は、筐体2と同様に内部から有害な量のX線が外部に漏洩しないように放射線防護材料を用いて形成されている。
【0036】
枠体15,16は、筐体2とは反対側となる外側の枠体開口部17(
図5参照)に、遮蔽ゲート18が設けられる。これら枠体15,16及び遮蔽ゲート18は、入口4及び出口5の少なくとも一方に設けられ、X線が漏洩しないように配置される。本実施形態では、枠体15,16及び遮蔽ゲート18は、入口4及び出口5の双方に設けられる。そして、本実施形態では、遮蔽ゲート18は、筐体2の外側面に付設された枠体15,16の遮蔽空間6に出し入れされ、枠体開口部17の位置を遮蔽位置としている。
この他、遮蔽ゲート18は、枠体開口部17よりもやや内側となる枠体15,16の内方、すなわち枠体開口部17よりもやや奥方の位置や、筐体2の内部での遮蔽空間6におけるいずれかの位置を遮蔽位置として出し入れされる構成としてもよい。
なお、以下の説明においては、入口4に、遮蔽ゲート18が配設される各構成について各図を用いて説明する。
【0037】
遮蔽ゲート18は、複数種類の被検査物50の形状にそれぞれ対応した形状の通過部19を有する複数種類のものが揃えられる。遮蔽ゲート18は、この複数種類の中から、特定種類の被検査物50に対応するように選択されて、被検査物50が通過する筐体2の開口(入口4)に着脱自在に設けられる。
【0038】
遮蔽ゲート18は、例えばSUS等のステンレス鋼板や、X線を遮蔽する素材、或いはX線を遮蔽する素材を含んだ材質部材よりなる板状部材で形成される。通過部19は、被検査物50の外形に合わせて形成される。具体的には、四角形の遮蔽ゲート18に、被検査物50の輪郭に合わせた通過部19を、下縁部の一部を開放して、略コ字状に形成する。下縁部を開放形状とするのは、搬送手段9の搬送ベルト14に載置されて移送される被検査物50を干渉させないためである。通過部19は、被検査物50の輪郭にほぼ沿っていればよい。例えば牛乳パックの形状において上端部の起立紙片の輪郭まで厳密に形成されていなくてもよい。これは、引っ掛かりによる搬送性の低下を回避するためである。
【0039】
図3は
図1に示したX線検査装置の遮蔽ゲート装着前の斜視図である。
X線検査装置1は、筐体2に設けられた上記の表示操作部7に、被検査物50の識別番号の入力が可能に構成される。識別番号は、被検査物50の種類ごと、すなわち被検査物の外形状ごとに設定される。表示操作部7から入力された識別番号は、装置制御部(図示略)へ送られる。
【0040】
遮蔽位置近傍となる筐体2の入口4の付近には、本体係合部21が設けられる。本実施形態において、本体係合部21は、入口4の正面視で左上に設けられるが配設位置はこれに限定されない。本体係合部21は、複数種類の被検査物50の中から特定種類の被検査物50を選択することにより、特定種類の被検査物50に対応する遮蔽ゲート18と係合可能な状態に設定される。本実施形態においては、この本体係合部21は、遮蔽ゲート18に設けられる後述のゲート係合部22と係合可能となる。
【0041】
また、筐体2の入口4の付近には、インターロック手段20が設けられる。本実施形態において、インターロック手段20は、入口4の正面視で上部中央に設けられるが配設位置はこれに限定されない。インターロック手段20は、遮蔽ゲート18のゲート係合部22と本体係合部21とが係合することにより、筐体2の入口4に遮蔽ゲート18が正規の状態で設けられた場合以外にはX線の照射を禁止する。
【0042】
図4は
図3に示した操作つまみの拡大図である。
本体係合部は、突起とすることができる。本実施形態において、この突起は、操作つまみ21である。操作つまみ21は、特定種類の被検査物50を選択するために、回転操作が行えるように構成される。この操作つまみ21としては、例えばロータリースイッチを用いることができる。操作つまみ21は、回転型設定突起部材であり、回転軸CLに対して片側に翼状となって延出する摘み部分が形成されている。すなわち、回転することにより、つまみ部分の向きが回転中心に対して変わる。操作つまみ21は、クリック操作感・停止位置付きのものとして構成される。本実施形態において、操作つまみ21は、45°毎にクリック感を生じさせて、回転停止する。つまり、回転軸CLに対して8方向で停止が可能となる。操作つまみ21は、この方向ごとに、0〜7の合計8つの識別番号を付与することが可能となる。この8つの識別番号は、識別信号として装置制御部へ送出が可能となっている。
【0043】
図5は遮蔽ゲートが装着される直前のX線検査装置を表す動作説明図である。
複数種類の遮蔽ゲート18のそれぞれには、ゲート係合部が設けられる。ゲート係合部は、被検査物50の形状と通過部19の形状とを一致させた組合せとされて各遮蔽ゲート18に固有のものとなる。本実施形態において、ゲート係合部は、孔22である。この孔22には、特定の回転向きに回転された操作つまみ21のみが係合するように、垂直向きや水平向き、斜め向きに形成される。遮蔽ゲート18は、この操作つまみ21が、孔22に係合したときに正規の遮蔽位置で枠体15に取り付けが可能となる。
【0044】
なお、ゲート係合部と本体係合部とは、突起21と孔22とが逆であってもよい。すなわち、X線検査装置は、本実施形態とは逆に、遮蔽ゲート18に突起が設けられ、枠体15,16に孔22が設けられる組合せとしても良い。
【0045】
複数種類の遮蔽ゲート18のそれぞれには、インターロック作動片23が突設される。本実施形態では、このインターロック作動片23は、遮蔽ゲート18の上縁部分にL字状に折曲形成で設けられる。このインターロック作動片23は、遮蔽ゲート18が正規の位置で枠体15に取り付けられた場合のみ、インターロック手段20に挿入されて、すなわち遮蔽ゲート18が取り付けられたことを検知して、インターロック手段20のX線照射規制を解除する。
【0046】
図6は入口に装着される遮蔽ゲートを表す動作説明図である。
突起は、複数設けることができる。本実施形態では突起である2つの操作つまみ21が設けられる。なお、突起や操作つまみ21の数はこれに限定されない。
【0047】
また、複数の操作つまみ21は、近接して並んでいることが好ましい。本実施形態では、2つの操作つまみ21が、上下方向で近接して配設される。なお、突起や操作つまみ21の配設位置はこれに限定されない。
【0048】
図6に示した例では、2つの操作つまみ21のそれぞれが、
図4に示した「7」の回転向きで設定される。そのため、遮蔽ゲート18は、「識別番号77」とすることができる。「識別番号77」の遮蔽ゲート18は、2つの孔22が、この操作つまみ21の回転向きと一致する向きの斜め向きで穿設されている。従って、枠体15は、2つの操作つまみ21が「7」、「7」に設定された状態において、「識別番号77」の遮蔽ゲート18のみが正規の位置で取り付けが可能となる。
【0049】
図7は操作つまみとゲート係合部との整合性を表す動作説明図である。
遮蔽ゲート18は、操作つまみ21が縦であり、孔22が縦であれば、操作つまみ21に孔22が挿通状態となるので枠体15へ取り付けでき、すなわち遮蔽位置に装着される。一方、操作つまみ21が縦であり、孔22が横の遮蔽ゲート18は、操作つまみ21に孔22が挿通状態とならないので枠体15へ取り付けできず、すなわち遮蔽位置に装着することができない。なお、本実施形態では、同じ縦方向であっても、
図4に示した「0」と「4」の回転向きで識別が可能となっている。すなわち、操作つまみ21は、回転中心CLから半径方向につまみ部分が偏芯して設けられている。
【0050】
図8は遮蔽ゲートの誤装着時の動作説明図である。
2つの操作つまみ21が共に斜めに設定された枠体15では、一方の孔22が斜め、他方の孔22が縦の遮蔽ゲート18は、取り付けることができない。X線検査装置1は、遮蔽ゲート18が取り付けられなければ、インターロック手段20にインターロック作動片23が挿入できず、これを解除することができない。
【0051】
図9は異なる遮蔽ゲートの例と本体係合部の設定との整合性を表す動作説明図、
図10は異なる遮蔽ゲートの例と本体係合部の他の設定との整合性を表す動作説明図である。
X線検査装置1は、複数種の被検査物50のそれぞれに合わせた異なる形状の通過部19を有する複数の遮蔽ゲート18を揃えておくことができる。例えば
図9に示すように、形状の異なる4種類の被検査物50の形状に合わせて、4種類の通過部19A,19B,19C,19Dが形成された4種類の遮蔽ゲート18を予め用意することができる。
【0052】
通過部19Aを有する遮蔽ゲート18は、識別番号が例えば「70」である。通過部19Bを有する遮蔽ゲート18は、識別番号が例えば「71」である。通過部19Cを有する遮蔽ゲート18は、識別番号が例えば「77」である。通過部19Dを有する遮蔽ゲート18は、識別番号が例えば「72」である。
【0053】
X線検査装置1は、X線検査時に、検査対象となる被検査物50の外形に応じた遮蔽ゲート18を選んで、枠体15に取り付ける。例えば、
図9に示す例では、被検査物50Aが「識別番号70」であるとき、表示操作部7に識別番号「70」が入力され、操作つまみ21を回転設定して「70」に設定される。遮蔽ゲート18は、通過部19Aを有する遮蔽ゲート18が枠体15に取り付けられる。
図10に示す例では、被検査物50Cが「識別番号77」であるとき、表示操作部7に識別番号「77」が入力され、操作つまみ21を回転設定して「77」に設定される。遮蔽ゲート18は、通過部19Cを有する遮蔽ゲート18が枠体15に取り付けられる。
【0054】
このときの流れを説明する。
X線検査装置1では、先ず、X線検査時に検査対象とする被検査物50を決定する。これにより、被検査物50の外形、通過部19の形状が決定される。
次いで、装置制御部に対して、被検査物50の形状を、表示操作部7からの入力、例えば識別番号の入力や、表示される複数種の被検査物50の形状から対象となる形状を選択する操作によって識別番号を決定することにより設定する。
次いで、被検査物50の形状に該当する向きに、操作つまみ21を設定する。操作つまみ21の向き、すなわち、つまみ角度は、
図4に示した識別番号により設定する。
次いで、被検査物50の形状に合った通過部19A、通過部19B、通過部19C、通過部19Dのいずれかを有する遮蔽ゲート18(該当識別番号のもの)を用意する。
次いで、用意した遮蔽ゲート18を枠体15に取り付ける。
ここで、遮蔽ゲート18が取り付けられない場合、その遮蔽ゲート18は設定した形状、識別番号とは異なるので、交換する。つまり、嵌まらないことを作業者に気づかせることができる。
交換した遮蔽ゲート18が取り付けられれば、すなわち、操作つまみ21と孔22とが係合することとなり、遮蔽ゲート18は該当識別番号のものであるので、インターロック作動片23がインターロック手段22に挿入され、すなわち遮蔽ゲート18が正しく装着されたことを検知して、インターロック手段20が解除となる。
次いで、装置が始動可能となり、検査が始まる。
【0055】
なお、X線検査装置1は、被検査物50に対する品種ごとの検査条件の設定に必要な入力操作のときに識別番号も入力して記憶させ、検査対象を変える品種切替えのときに、操作つまみ21の手動操作による識別番号と、品種ごとの識別番号とを照合してもよい。これにより、X線検査装置1は、操作つまみ21の誤設定時には、X線が照射されないようにして、安全性を担保できる。
【0056】
また、X線検査装置1は、検査対象となる品種の識別番号と、操作つまみ21により設定した識別番号とを監視・比較して、異なる場合にはアラーム(警告)を発報させる構成としてもよく、作業者に対して間違えていることを気付かせることが可能となる。
【0057】
次に、上記した構成の作用を説明する。
本実施形態に係るX線検査装置1では、検査対象である被検査物50の外形に合わせた形状の通過部19の形成された遮蔽ゲート18が予め用意される。この遮蔽ゲート18を、遮蔽空間6内に配置して搬送手段9にて搬送される被検査物50の通過出入口を形成する。遮蔽ゲート18は、被検査物50の形状に合わせて選択し、簡単に取り付けることができる。遮蔽ゲート18を設けたことで、通過部19の形状が被検査物50の外形状に一致し、間隙が小さくなり、X線の漏洩を減らすことができる。このことから、従来のようなトンネル状の長いカバーを不要とし、検査装置の搬送方向の長さを短くすることが可能となる。その結果、省スペース化を図ることができる。
【0058】
また、被検査物50の出入口部分が固定構造であった従来装置のように、専門作業者が現場に出向き、ボルト締結作業をやり直して出入口部材を交換するなどの煩雑な作業が発生しない。このため、1つの生産ラインにおいて被検査物50の品種を頻繁に切り替えた場合であっても、その被検査物50の形状に対応した通過部19を備える遮蔽ゲート18を選択して遮蔽空間6に設ければ、X線漏洩の抑制に迅速に対応することができる。
【0059】
そして、X線検査装置1では、各遮蔽ゲート18に、固有のゲート係合部22が設けられる。遮蔽位置となる筐体2の開口の付近には、特定種類の被検査物50に対応する遮蔽ゲート18のゲート係合部22と係合可能な状態に設定される本体係合部21が設けられる。また、筐体2には、インターロック手段20が設けられる。インターロック手段20は、ゲート係合部22と本体係合部21とが係合する遮蔽ゲート18の正規の取付状態以外ではX線の照射を禁止する。すなわち、選択した遮蔽ゲート18の設定と、取り付けようとする遮蔽ゲート18との整合性を容易に確認できる。間違った遮蔽ゲート18は、取り付け不可となる。遮蔽ゲート18が取り付けられなければ、X線照射が行われず、装置の運転も不可能にできる。その結果、X線漏洩を減らすことができ、安全性を担保できる。
【0060】
また、X線検査装置1では、遮蔽ゲート18のゲート係合部が孔22で形成されることにより、板状に形成される複数枚の遮蔽ゲート18の取り扱いや収納時に、遮蔽ゲート同士の引っ掛かり等の干渉が回避可能となる。また、遮蔽ゲート18に形成されるゲート係合部を孔22とすることにより、遮蔽ゲート18をプレス加工等により容易に製作することができる。その結果、板状である遮蔽ゲート18の板面に突出部分をなくすことができ、複数の遮蔽ゲートの管理を容易にすることができる。なお、
図5に示すようにインターロック作動片23が板面に対して突設しているが、縁部に位置して折曲形成されており、複数枚の遮蔽ゲート18を重ねても板面において干渉することはない。
【0061】
また、X線検査装置1では、突起を操作つまみ21とし、操作つまみ21を操作して、位置や向きを変えることで、一つの操作つまみ21で、複数種の係合部として機能させることが可能となる。また、その際の操作つまみ21の位置や向きは、容易に目視や手で触れることにより確認が可能となる。その結果、突起を操作つまみ21とすることにより、突起を、操作部、係合部及び表示部として機能させることができる。
【0062】
また、X線検査装置1では、突起21を複数とすることにより、それぞれの突起21の位置や向きの組合せの数で、遮蔽ゲート18が特定できるようになる。つまり、識別可能な遮蔽ゲート18の数を容易に増やすことができる。例えば一つの突起21が8つの姿勢に切り換え可能な場合、突起21を2つにすれば8の二乗、すなわち64種類、3つにすれば、8の三乗、すなわち512種類の設定が可能であり、多数種の遮蔽ゲート18が特定可能となる。その結果、組合せ数を増やして、他種類の遮蔽ゲート18に対応可能とすることができる。
【0063】
また、X線検査装置1では、突起21を近接して配置することにより、操作性、視認性を高めることができる。また、突起を操作つまみ21とした場合には、筐体内における信号線等の配索を容易にすることができる。その結果、操作性と視認性とを共に高めることができる。
【0064】
ところで、X線検査装置1は、複数種類の被検査物50の中から特定種類の被検査物50を選択するための操作を行うことにより作動する駆動部をさらに備える構成としてもよい。この場合、X線検査装置1は、駆動部の作動により、特定種類の被検査物50に対応する遮蔽ゲート18のゲート係合部(孔22)と係合可能な状態に突起(操作つまみ21)が設定される。
このように構成したX線検査装置1では、被検査物50を選択するための操作を行うと、駆動部が作動する。この駆動部の作動は、選択した遮蔽ゲート18の孔22と係合可能な状態に操作つまみ21を自動で設定する。なお、この場合、突起は、この駆動部の作動により回転されて姿勢が設定されても、スライドにより位置が設定されてもよい。その結果、突起(操作つまみ21)の設定作業を自動化できるとともに、手動による突起(操作つまみ21)の誤設定を防止することができる。
【0065】
[第2実施形態]
次に、第2実施形態に係るX線検査装置を説明する。
図11は孔と突起が一組で構成される第2実施形態に係るX線検査装置の要部斜視図である。なお、第2実施形態においては第1実施形態で示した部材と同一の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第2実施形態に係るX線検査装置200は、枠体15、枠体16のそれぞれに、1つの操作つまみ21が設けられる。遮蔽ゲート27には、1つの孔22が設けられる。他の構成はX線検査装置1と同じである。
このX線検査装置200によれば、装置構造を簡素化することができる。このX線検査装置200は、比較的少ない種類の被検査物50を検査する装置に好適となる。
【0066】
[第3実施形態]
次に、第3実施形態に係るX線検査装置を説明する。
図12は孔と突起の係合方向が縦方向となる第3実施形態に係るX線検査装置の要部斜視図、
図13は第3実施形態に係るX線検査装置の動作説明図である。なお、第3実施形態においては第1実施形態で示した部材と同一の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第3実施形態に係るX線検査装置300は、遮蔽ゲート28がX線検査装置1と異なる。遮蔽ゲート28は、通過部19の形成された正面板部29の上縁に、枠体15,16に向かって折曲された上面板部30が形成された逆L字形状となる。
【0067】
遮蔽ゲート28は、上面板部30に、ゲート係合部としての2つの孔26が穿設される。また、上面板部30の片側の側縁には、インターロック作動片23が垂設させる。この遮蔽ゲート28は、
図13に示すように、上方から枠体15,16に取り付けることができる。
【0068】
一方、枠体15,16は、上面15aに、本体係合部としての2つの突起31が設けられる。この突起31は、上述した第1実施形態の操作つまみ21と同等の構成とされ、すなわち、回転操作することで設定できるロータリースイッチを用いることができ、操作つまみが上向きに突出する。また、枠体15,16の一側部には、インターロック作動片23が挿入されるインターロック手段20が設けられる。他の構成は、上記第1実施形態のX線検査装置1と同じである。
【0069】
なお、このX線検査装置300の場合、枠体15,16に、枠体開口部17を挟んで左右一対のガイドレール(図示略)を垂直に互いに平行となるように取り付けてもよい。ガイドレールは、略Z字形状に形成され、一側縁の固定縁部を枠体開口部17に沿って固定することで、枠体15との間に、遮蔽ゲート28の左右側縁を差し入れする挿入スリットが互いに向き合うように形成される。ガイドレールは、遮蔽ゲート28の左右側縁をガイドすることにより、遮蔽ゲート28を枠体開口部17に対して下降を案内して搬送ベルト14の直上に配置可能とする。この場合、遮蔽ゲート28は、ガイドレールに上方より差し込むことで自重によりセットできる。遮蔽ゲート28は、作業者が上面板部30を把持してガイドレールへ差し込み、また、引き上げることで抜き去る。
【0070】
このX線検査装置300によれば、遮蔽ゲート28の着脱方向を上下方向としており、遮蔽ゲート28の上面板部30を枠体15,16の上面15aに載せて引っ掛けることができるので、遮蔽ゲート28を落下しにくくできる。
【0071】
[第4実施形態]
次に、第4実施形態に係るX線検査装置を説明する。
図14は突起がスライド構造である第4実施形態に係るX線検査装置の要部斜視図、
図15は第4実施形態に係るX線検査装置の動作説明図、
図16は第4実施形態に係るX線検査装置における異なる遮蔽ゲートの例と本体係合部の設定を表す動作説明図である。なお、第4実施形態においては第1実施形態で示した部材と同一の部材には同一の符号を付し重複する説明は省略する。
第4実施形態に係るX線検査装置400は、本体係合部としての突起が、スライド型設定突起部材であるスライドスイッチ25により構成される。本実施形態においてスライドスイッチ25は、2つ設けられる。遮蔽ゲート33に形成される孔35は、このスライドスイッチ25のスライドつまみ32が嵌合する形状及び位置に穿設される。他の構成は、X線検査装置1と同じである。
【0072】
スライドつまみ32は、例えば
図15に示すように、横方向にスライドされて3つの位置に配置が可能となる。スライドつまみ32には、
図16に示すように、スライド位置に応じ「0」「1」「2」の番号を付すことができる。2つのスライドつまみ32を設けた場合、3の二乗、すなわち9種類の設定が可能であり、9種類の通過部34の遮蔽ゲート33が特定可能となる。
図16では4種類の通過部34A,34B,34C,34Dを有する遮蔽ゲート33を示したが、これら通過部34A〜34Dに対応する被検査物50の形状にスライドつまみ32と係合する孔35の位置が設定される。
【0073】
このX線検査装置400によれば、スライドスイッチ25を用いることにより、設定操作を分かりやすくできるとともに、設定状態の視認性も高めることができる。
なお、このスライドスイッチ25の構成を、上述した第3実施形態のように枠体15(16)の上面に配設する構成としても良い。
【0074】
なお、本発明は上記の各実施形態に限定されるものではなく、例えば、上記の構成例では、遮蔽ゲート18,27,28,33を入口4及び出口5に設けたが、遮蔽ゲート18,27,28,33は、従来のトンネル状の延長カバー部との併用や、筐体2の外側面と筐体内部との併用等、複数箇所に組合せて設けてもよい。
また、遮蔽ゲート18,27,28,33は、遮蔽空間6に対していずれの位置に配置させても良く、また配置数も複数としても良く、例えば、
図17に示すように、入口4側に通過部19が同形状に形成される遮蔽ゲート36,37を2つ配置し、同時に遮蔽空間6内に出し入れ可能とする構成としても良い。この場合、上記第3実施形態のような上方から遮蔽ゲート36,37を取り付けるような構成とし、すなわち、各遮蔽ゲート36,37には上面板部38,39を有して逆L字形状に形成させる。そして、上面板部38,39の先端縁を対向させて、これら先端縁に跨がるようにゲート係合部40,41を設け、つまり、それぞれが切欠状に形成されるゲート係合部40,41として、先端縁同士を合わせることで孔となるように構成させる。枠体15には、上面に2つの突起となるつまみ42が設けられ、これらつまみ42は上記第4実施形態のスライドスイッチ25と同等の構成とさせる。また、各遮蔽ゲート36,37には、インターロック作動片43,44が設けられる。枠体15には、一方の遮蔽ゲート37が挿入可能なスリット45が設けられており、このスリット45を通じて遮蔽ゲート37が遮蔽空間6内に配置される。このような構成としたX線検査装置500では、遮蔽ゲート36,37を入口側4に二重に配置でき、X線漏洩をさらに防げることとなるとともに、これら遮蔽ゲート36,37の装着を正しく行うことを可能とし、安全性を担保できる。
【0075】
また、遮蔽ゲート18,27,28,33は、通過部19,33の形状が同じ遮蔽ゲート18,27,28,33を遮蔽空間6に複数箇所に設ける構成とした場合、それらが同時に移動される構造、例えば入口4側と出口5側の両遮蔽ゲート18,27,28,33が同時に遮蔽空間6に対して出し入れできる機構を備えるものとしてもよい。
また、遮蔽ゲートは、上記したSUS製の板ではなく、柔軟な素材により形成してもよい。
【0076】
従って、本実施形態に係るX線検査装置1,200,300,400によれば、検査装置の搬送方向長さを短くすることができるとともに、形状の異なる複数種の被検査物50を検査対象とする場合に、選択される遮蔽ゲートを容易に取り付けることができ、且つ検査対象の形状に正しく合った通過部を備える遮蔽ゲートを装着することができ、被検査物の形状と通過部の形状が異なる形状で間違った場合には装着が不可能となり、X線の照射が行われないという制限が設けられ、安全性を担保して仕様変更を行うことができるものである。