(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上面に搭載物が搭載されるタンク下部と、このタンク下部から上方突出状に設けられていて前記搭載物と水平方向で並ぶタンク上部とにより側方視L字形に形成された作動油タンクと、
作動油タンクの側方に配置されたコントロールバルブと、
前記タンク下部の上面に搭載されたバッテリと、
前記タンク下部の上面における前記バッテリよりも前記コントロールバルブに近い側に配置された前記タンクの液面計と、
前記作動油タンク、前記バッテリ、および前記液面計を覆うカバー部材と、を備えた作業機であって、
前記カバー部材における前記液面計に対向する領域から前記バッテリに対向する領域にわたって形成された開口部と、
前記バッテリが配置された空間と前記液面計が配置される空間との間を仕切る仕切壁とを備えている作業機。
前記仕切壁は、前記バッテリと前記液面計との間の領域から前記開口部まで延伸しており、前記開口部を前記液面計側と前記バッテリ側とに仕切っている請求項1に記載の作業機。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。
図1は、作業機として例示するバックホー1を示している。
このバックホー1は、下部の走行装置2と、上部の旋回体3とを有する。
走行装置2は、無端帯状のゴムクローラ15を油圧モータによって駆動される駆動輪40で周方向に循環回走して走行するクローラ式走行装置20を左右一対有する。この走行装置2の前部には油圧シリンダで駆動されるドーザ装置23が装備されている。
【0012】
旋回体3は、走行装置2上に上下方向の旋回軸心回りに旋回自在に搭載された旋回台4(機体)と、この旋回台4の前部に装備された作業装置5(掘削作業装置)とを有する。旋回台4は油圧モータからなる旋回モータMによって旋回軸心回りに旋回駆動される。
図2に示すように、旋回台4には、運転席D、エンジンE、第1、第2油圧ポンプP1,P2、ラジエータR、オイルクーラO、作動油タンクT、バッテリB、コントロールバルブV1、操作パターン切換バルブV2等が設けられている。
【0013】
前記運転席Dは、旋回台4の後部で且つ左右方向中央から左寄りに配置されている。該運転席Dの左右両側には、操縦台12L,12Rが設けられ、各操縦台12L,12Rには操縦レバー13L,13Rを有する操縦装置14L,14Rがそれぞれ設けられている。この左右の操縦装置14L,14Rは、操縦レバー13L,13Rで操作されるパイロット弁PVL,PVRを備えており、各操縦レバー13L,13Rは前後及び左右に傾動操作可能とされている。
【0014】
前記エンジンEは、左右方向に横置き配置されて旋回台4の後部に搭載されている。
第1油圧ポンプP1と第2油圧ポンプP2とはエンジンEの左側部に取り付けられ、エンジンEによって駆動される。
前記第1油圧ポンプP1は、独立した2つの吐出ポートから等しい量の作動油を吐出する等流量ダブルポンプの機能を有するスプリットフロー式の油圧ポンプで構成されている。この第1油圧ポンプP1は、バックホー1に装備された各種油圧アクチュエータを作動させる作動油の供給用に使用される。
【0015】
前記第2油圧ポンプP2は、定容量形のギヤポンプによって構成されており、パイロット圧や検出信号等の信号圧の供給用に使用される。
前記ラジエータRはエンジンEの右側方に配置され、オイルクーラOはラジエータRの右側方に配置されている。エンジンEの右側部には、該エンジンEで回転駆動される冷却ファンFが設けられている。この冷却ファンFは、吸い込み式のファンであり、ラジエータR及びオイルクーラOの右側方から左側方へと冷却空気を流す。
【0016】
前記作動油タンクT及びバッテリBは、ラジエータR及びオイルクーラOの前方側に配置され、コントロールバルブV1及び操作パターン切換バルブV2は、作動油タンクT及びバッテリBの前方側に配置されている。
前記コントロールバルブV1は、バックホー1に装備された各油圧アクチュエータを制御する制御弁を上下方向に順に配置すると共にこれらを相互に連結してなる。
【0017】
図2に示すように、前記エンジンE、第1、第2油圧ポンプP1,P2、ラジエータR、オイルクーラO、作動油タンクT、バッテリB、コントロールバルブV1、操作パターン切換バルブV2はカバー装置17によって覆われている。
このカバー装置17は、大別すると、エンジンE及び第1、第2油圧ポンプP1,P2を覆うエンジンカバー体18と、ラジエータR、オイルクーラO、作動油タンクT、バッテリB、コントロールバルブV1及び操作パターン切換バルブV2を覆う側部カバー体19とから構成されている。
【0018】
図3に示すように、側部カバー体19は、ラジエータR、オイルクーラO、作動油タンクT、バッテリB、コントロールバルブV1及び操作パターン切換バルブV2の左右方向外方側(右方側)を覆う外側カバー19Aと、コントロールバルブV1及び操作パターン切換バルブV2の前方を覆うと共にラジエータR、オイルクーラO、作動油タンクT、バッテリB、コントロールバルブV1及び操作パターン切換バルブV2の上方を覆う上部カバー19Bとを有する。
【0019】
前記外側カバー19Aの後部には、多数の通気孔を有する多孔部材が嵌められた吸気用開口61A,61Bが設けられていて、前記冷却ファンFによって該吸気用開口61A,61Bを介してラジエータR、オイルクーラO及びエンジンEの配置空間に外気が吸引可能とされている。
上部カバー19Bは開閉自在とされている。
【0020】
図1に示すように、前記作業装置5は、旋回台4の前部に設けられた支持ブラケット6に上下方向の軸心回りに左右揺動自在に支持されていて油圧シリンダによって駆動されるスイングブラケット7と、このスイングブラケット7の上部に上下揺動自在に連結されていて油圧シリンダからなるブームシリンダC1によって駆動されるブーム8と、このブーム8の先端側に前後揺動自在に連結されていて油圧シリンダからなるアームシリンダC2によって駆動されるアーム9と、このアーム9の先端側に前後揺動自在に連結されていて油圧シリンダからなるバケットシリンダC3によって駆動されるバケット10とを有する。前記バケット10には、吊り金具11が設けられ、クレーン作業が可能とされている。
【0021】
前記旋回台4は、
図4に示すように、板材等を組み合わせて構成された骨格となる機体フレーム21を有する。この機体フレーム21の後部には、旋回台4の後部を構成するウエイト22(
図1参照)が取り付けられ、該機体フレーム21の左右両側及び前面側には、旋回台4の外装を構成する旋回カバーが取り付けられる。
この機体フレーム21は、旋回台4の底部を構成する厚板材からなるフレーム基板24と、このフレーム基板24上に溶接固定された左右一対の補強用の縦リブ25L,25Rを有する。
【0022】
前記左右の縦リブ25L,25Rは、板材からなり、左右方向で対向するように縦向き配置されていると共に、フレーム基板24の前部から後部にわたって設けられている。この左右の縦リブ25L,25Rの前部に、前記支持ブラケット6が上下一対溶接固定されている。
機体フレーム21は、フレーム基板24の前後方向中央部よりも後方寄りに、板面が前後を向くように縦向き配置された仕切り壁41を有し、この仕切り壁41は、左右の縦リブ25L,25Rを横切るようにフレーム基板24の左右方向にわたって設けられている。この仕切り壁41の後方側において、前記エンジンEが機体フレーム21に搭載されている。
【0023】
前記作動油タンクTは、
図5及び
図6に示すように、タンク下部62と、このタンク下部62から上方突出状に設けられたタンク上部63とからL字形に形成されている。
本実施形態では、タンク上部63の前後幅はタンク下部62の前後幅と同幅に形成され、タンク上部63は、タンク下部62の上端の左側部から上方に突出していて、背面視L字形とされている。
【0024】
タンク上部63の前面63a上部、タンク下部62の前面62a下部及びタンク下部62の上面62b前端側には、ブラケット取付部材64が固定され、このブラケット取付部材64にコントロールバルブブラケット65が取り付けられている。このコントロールバルブブラケット65は板材によって構成されていて、板面が前後を向くように配置されて取り付けられ、このコントロールバルブブラケット65の前面に前記コントロールバルブV1が取り付けられている。
【0025】
また、タンク上部63の前面63aと左側面63bとの間のコーナー部分の上部には、切換バルブブラケット66が固定されている。この切換バルブブラケット66に操作パターン切換バルブV2が取付固定されている。
タンク上部63は、タンク下部62から上方に延出するタンク上部本体67と、このタンク上部本体67の上端部からタンク下部62の上面の上方側にオーバーハングする(タンク上部63の上端部右側から右方に延出する)オーバーハング部68とを有する。
【0026】
オーバーハング部68の上壁はタンク上部本体67の上壁から一体的に延出されていて、オーバーハング部68の上面68aはタンク上部本体67の上面67aと面一状とされている。したがって、オーバーハング部68の上面68aとタンク上部本体67の上面67aとでタンク上部63(作動油タンクT)の上面63cを構成している。
また、オーバーハング部68の下面68bは、タンク上部63の右側面63cの上部からオーバーハング方向に向かって上方に傾斜する傾斜状に形成されている(右斜め上方に向けて傾斜する傾斜面に形成されている)。
【0027】
なお、オーバーハング部68の前面はタンク上部63の前面と面一状であり、オーバーハング部68の後面はタンク上部63の前面と面一状である。
図7に示すように、前記タンク上部63の上面63cには(作動油タンクTの上面を構成する壁部には)、フィルタ挿入穴69が形成されている。このフィルタ挿入穴69を介して、リターンフィルタ70やサクションフィルタ71が作動油タンクT内に挿入される。
【0028】
タンク上部63の上面のフィルタ挿入穴69の周囲には、カバー取付座が固定され、このカバー取付座72にフィルタ挿入穴69を閉鎖するタンクカバー73が取り付けられている。
本実施形態のバックホーにあっては、設置場所の制約をうけて作動油タンクTの左右幅が十分にとれず、タンク上部63の左右幅が狭いが、タンク上部63がオーバーハング部68を有することにより、タンク上部63の上端側の左右幅を広げることができ、フィルタ挿入穴69の穴径を確保できると共にタンクカバー73を取り付けるための取付面積を確保することができる。
【0029】
図7に示すように、前記タンクカバー73には、リターンフィルタ取付パイプ74の上部が貫通していると共に該リターンフィルタ取付パイプ74の上部が固定されている。このリターンフィルタ取付パイプ74の上端には第1リターンホース接続管75が接続固定され、この第1リターンホース接続管75には、コントロールバルブV1に戻ってきた作動油を作動油タンクTに戻すリターンホースが接続される。また、第1リターンホース接続管75には第2リターンホース接続管76が接続固定され、この第2リターンホース接続管76には、オイルクーラOからの戻りの作動油を作動油タンクTに戻す戻しホースが接続される。リターンフィルタ取付パイプ74の下端側にはリターンフィルタ70が縦向きで取り付けられている。このリターンフィルタ70はタンク下部62内部の左側前部に位置している。
【0030】
タンク下部62の後壁62cの下部の左右方向中央側には、サクションフィルタ取付パイプ77が貫通していると共に該サクションフィルタ取付パイプ77が溶接固定されている。このサクションフィルタ取付パイプ77の前端にはサクションフィルタ71が取り付けられている。このサクションフィルタ71は、フィルタ挿入穴69から作動油タンクT内部に挿入され、該サクションフィルタ71に固定されたナット71aを、サクションフィルタ取付パイプ77のテーパネジ部77aに螺合することにより取り付けられる。
【0031】
サクションフィルタ取付パイプ77の後端にはサクションホース接続管78が接続固定されている。このサクションホース接続管78には、作動油タンクTから第1、第2油圧ポンプへと作動油を流すサクションホースが接続される。
サクションフィルタ取付パイプ77は後斜め左方に向けて傾斜状に配置されて固定されている。これによって、リターンフィルタ70の下部の右側方にサクションフィルタ71の前端側が位置するように、該サクションフィルタ71が前方に行くに従って右方に移行する傾斜状とされている。
【0032】
また、タンク下部62の後面右側(サクションフィルタ取付パイプ77の後端右側)には、アンロードバルブV3や2速切換バルブV4が配置されて取り付けられている。
アンロードバルブV3は、作業装置5及び旋回台4の操作を不能にするものであり、降車する際において運転席D横に設けられたレバーを引き上げることにより、作業装置5の操作及び旋回台4の操作が不能となるように構成されている。
【0033】
走行2速切換バルブV4は、クローラ式走行装置20を駆動する走行モータを1速状態又は2速状態に切り換える切換弁である。
前記リターンフィルタ70を作動油の液面79よりも上に配置すると作動油に泡がたつという問題が生じ、また、旋回台4(機体)は、前後左右に揺れたり、前後左右に上下したり、また、傾斜地での作業もあるため、リターンフィルタ70は作動油の液面79よりも十分に下げなければならない。リターンフィルタ70を液面79から十分に下げると、作動油の液面79の低い小型の作動油タンクTでは、リターンフィルタ70の下部がサクションフィルタ71の配置高さ位置にくる。一方、サクションフィルタ取付パイプ77の後端右側には、メンテナンスや油圧ホースの取り回しの利便性等からアンロードバルブV3や2速切換バルブV4が配置されているので、リターンフィルタ70との干渉を避けるため、サクションフィルタ71を作動油タンクTの右側壁に近接するように配置することは困難である。また、戻りの作動油をすぐに吸い込まないように、リターンフィルタ70とサクションフィルタ71とは、できるだけ近づけないようにするのが望ましい。
【0034】
そこで、本実施形態では、リターンフィルタ取付パイプ74を斜めに配置して作動油タンクTに固定することにより、リターンフィルタ70とサクションフィルタ71との干渉を避けると共にこれらリターンフィルタ70とサクションフィルタ71を離間するようにしている。
図5及び
図6に示すように、前記タンク下部62の上面には搭載物としてのバッテリBが搭載されており、このバッテリBの前方には、作動油の液面79の高さを表示するオイルゲージ装置80が配置されている。
【0035】
前記バッテリBは、タンク下部62の上面に取付固定されたバッテリ取付部材81に取り付けられている。バッテリ取付部材81は、底壁81aと、左側壁81bと、前壁81cとを有する。このバッテリ取付部材81の底壁81aはタンク下部62の上面に固定された固定部材にボルト固定されている。バッテリBは、バッテリ取付部材81の底壁81a上に載置されて、取付金具82によって該底壁81aに押し付け固定されている。
【0036】
前記取付金具82は、左右のナット部材83a,83bを締め付けることにより、バッテリBをバッテリ取付部材81の底壁81aに押し付け固定するが、前記タンク上部63のオーバーハング部68の下面68bがオーバーハング方向に向かって上方に傾斜する傾斜状になっていることにより、該オーバーハング部68の下面側の空間がオーバーハング方向に向けて広くなり、奥側(左側)のナット部材83aの締め付け作業がしやすい(タンク上部63に搭載されるバッテリBの設置作業がしやすくなる)。
【0037】
前記オイルゲージ装置80は、オイルゲージ84と連通管85とを有し、バッテリ取付部材81の前壁81cの前方に位置する(オーバーハング部68のオーバーハング方向に直交する水平方向においてタンク下部62上のバッテリBと並設するように位置する)。
オイルゲージ84は、支持部材86と、ゲージ管87と、上下の継ぎ手88,89とから構成されている。
【0038】
支持部材86は上下方向に長く形成され、タンク上部63の上面63bの前端側且つ右端側に立設されている。ゲージ管87は透明のパイプによって形成され、支持部材86の前方において縦向き配置されている。上継ぎ手88はゲージ管87の上端を支持部材86の上端側に接続しており、下継ぎ手89はゲージ管87の下端を支持部材86の下端側に接続している。
【0039】
ゲージ管87の下端は、下継ぎ手89及び支持部材86の下部に形成された通路を介してタンク下部62の内部に連通している。
前記連通管85は、支持部材86の上端部からタンク上部63の右側面63cにわたって左右方向に配置され、該連通管85の左端はタンク上部63の内部に連通し、連通管85の右端は、支持部材86及び上継ぎ手88に形成された通路を介してゲージ管87の上端に連通している。
【0040】
以上の構成のオイルゲージ装置80にあっては、ゲージ管87に作動油の液面79の高さが表示される。
作動油タンクTをL字形に形成して(段付き状にして)タンク下部62の上面にバッテリBを搭載したものにあっては、タンク上部63の右側面63cにオイルゲージ84を設置すると、機体4外側(右側)からのオイルゲージ84の視認が困難であり、また、タンク下部62の右側面62dにオイルゲージ84を設置すると、作動油タンクTの容量を確保することができない。
【0041】
これに対して、本実施形態の構成のオイルゲージ装置80にあっては、上部が連通管85を介してタンク上部63の内部に連通すると共に下部がタンク下部62の内部に連通するオイルゲージ84を、バッテリBと前後方向で並設するように配置することにより、作動油の容量を確保しながら、作動油タンクT内の作動油の液面79の位置を、機体4外側(タンク上部63のバッテリB搭載側)から容易に視認することができる。
【0042】
図3に示すように、側部カバー体19には、作動油の液面79を点検するための液面点検用窓91と、バッテリ配置空間へ外気を採り入れるためのバッテリ通気口92とを兼ねた開口部93が形成されている。
この開口部93は、
図8に示すように、右側面から見てバッテリBとゲージ管87とにわたるように形成されている。また、この開口部93は、
図5及び
図8に示すように、前記バッテリ取付部材81の前壁81cによって、液面点検用窓91と、バッテリ通気口92とに仕切られている(バッテリ取付部材81の前壁81cが、液面点検用窓91とバッテリ通気口92とを仕切る仕切り壁とされている)。
【0043】
このように、液面点検用窓91とバッテリ通気口92とを1つの開口部93で形成することによりコストダウンを図ることができる。
また、本実施形態では、前記冷却ファンFの吸引力によってバッテリ通気口92を介してバッテリ配置空間へと外気が採り入れられ、該採り入れた外気によってバッテリBの冷却がされるように構成されている。
【0044】
前記液面点検用窓91とバッテリ通気口92とを1つの開口部93で形成すると、液面点検用窓91から流入した外気と共に作動油タンクTの前方に配置したコントロールバルブV1周辺の熱気をバッテリB側へと流動させてしまい、バッテリBの冷却が不十分となることが考えられる。
しかしながら、本実施形態では、液面点検用窓91とバッテリ通気口92とがバッテリ取付部材81の前壁81cによって仕切られており、前記開口部93を液面点検用窓91とバッテリ通気口92とを兼ねた開口としつつも、コントロールバルブV1周囲の熱気をバッテリB配置側へと流動させにくい構造となっている。
【0045】
図5に示すように、前記作動油タンクTは機体フレーム21に設けられたタンク取付台94にボルト95によって取付固定されている。
図9及び
図10に示すように、タンク取付台94は、フレーム基板24に立設固定された支持脚96と、作動油タンクTを載置固定するための載置固定板97とを有する。
支持脚96は、板材を折曲してなり、前壁96aと、この前壁96aの右端から後方に延出された側壁96bとから平面視L字形に形成されている。この支持脚96はその下端がフレーム基板24に溶接固定されている。この支持脚96の側壁96bの後端は仕切り壁41の右側壁部98の前面に接当して該右側壁部98に溶接固定されている。
【0046】
前記仕切り壁41の右側壁部98は、一段低く形成され、支持脚96と同じ高さに形成されている。また、この仕切り壁41の右側壁部98は支持脚96の側壁96bの後端から右方に突出している。
支持脚96の側壁96bの左右方向外側面(右側面)の前部には、補強板99が溶接固定されている。この補強板99は支持脚96と同じ高さに形成されている。
【0047】
載置固定板97は、板面が上下を向くように配置されていて、支持脚96、仕切り壁41の右側壁部98及び補強板99上に載置されている。また、載置固定板97は、その下面が、これら支持脚96、仕切り壁の右側壁部98及び補強板99に下側から溶接固定されている。
この載置固定板97の左右の各縁部側には、該縁部に沿って複数のねじ穴100が貫通形成されている(本実施形態では、前後方向3つのねじ穴100が形成されている)。
【0048】
図11に示すように、作動油タンクTの底面101は、左右方向に延びる一対の外縁101a,101b(前後方向で相対向する前後の外縁)と前後方向に延びる一対の外縁101c,101d(左右方向で相対向する左右の外縁)とを有する矩形状に形成されている。この作動油タンクTの底面101には、該底面101の左右にタンク固定用板材102が溶接固定されている(相対向する一対の外縁101c,101dに対応してタンク固定用板材102が設けられている)。
【0049】
左右の各タンク固定用板材102は、作動油タンクTの底面101の前後方向にわたる長さに形成されている。また、左右の各タンク固定用板材102は、作動油タンクTの底面101に重ね合わされて該底面101に溶接固定される重合部103と、タンクの底面101の左右の外縁101c,101dからはみ出すボルト固定部104とを有する。
前記ボルト固定部104には、タンク固定用のボルト97を挿通する複数のボルト穴105が前後方向に形成されている(本実施形態では、前後方向3つのボルト穴105が形成されている)。
【0050】
また、ボルト固定部104のボルト穴105が形成されたボルト穴形成部分104aは、該ボルト穴形成部分104aの間の縁部104bよりも外方に突出している。
図10に示すように、前記作動油タンクTは、タンク取付台94の載置固定板97上に載置されると共に、左右の各タンク固定用板材102に形成された3つのボルト穴105を、左右方向で同じ側にある3つのねじ穴100に一致させ、上方からボルト穴105を挿通してねじ穴100にねじ込まれるボルト95によって取付固定されている。
【0051】
図11に示すように、前記左右の各タンク固定用板材102の重合部103の左右方向で対向する縁部103aは、該縁部103aに沿って長い(前後方向に長い)溶接ビード109を断続的に形成することで、作動油タンクTの底面101に溶接されている。
また、左右の各タンク固定用板材102の重合部103には溶接用開口穴106が形成されている。この溶接用開口穴106は、作動油タンクTの底面101の左右の外縁101c,101dから作動油タンクTの左右方向中央部寄りに離れた位置に形成されている。この溶接用開口穴106の開口縁部107とタンクの底面101とが溶接されている。
【0052】
これによって、ボルト穴105と、該ボルト穴105に近い側の溶接部との距離は作動油タンクTの搭載スペースに依存されないこととなり、ボルト穴105から溶接部を遠ざけることができ、タンク固定用板材102をボルト固定する時に発生する応力を低減することができる。
また、タンク固定用板材102に溶接用開口穴106を形成して、該溶接用開口穴106の開口縁部107と作動油タンクTの底面101とを溶接すると、溶接歪みはタンク固定用板材102のボルト固定部104を押下げる方向(
図10の矢印G参照)となる。
【0053】
一方、タンク取付台94の載置固定板97は、その下面が支持脚96に溶接されるので、溶接歪みは載置固定板97のねじ穴100の形成部を押下げる方向(
図10の矢印K参照)となる。したがって、タンク固定用板材102に形成した溶接用開口穴106の開口縁部107と作動油タンクTの底面101とを溶接することにより、タンク固定用板材102のボルト固定部104と、タンク取付台94の載置固定板97のねじ穴100の形成部とに生じる溶接歪みの方向(G,K)を合わせることができ、タンク固定用板材102を載置固定板97にボルト固定する時に発生する応力を低減することができる。
【0054】
また、左右一方のタンク固定用板材102の溶接用開口穴106に形成された溶接ビード110と、左右他方のタンク固定用板材102の溶接用開口穴106に形成された溶接ビード110との距離(
図10に符号Wで示す)は、大きい方が作動油タンクTを左右に倒そうとするモーメントに対して有利である。そこで、本実施形態にあっては、各溶接用開口穴106の開口縁部107を、タンクの底面101の左右方向中央Sから遠い側でタンクの底面101に溶接している。これによって、作動油タンクTを倒そうとするモーメント負荷に対して有利な構造とすることができる。
【0055】
本実施形態にあっては、前記溶接用開口穴106は、各タンク固定用板材102に対して前後一対形成されている(左右の外縁101c,101dに沿う方向に一対形成されている)。また、各溶接用開口穴106は、隣接する一方のボルト穴105から他方のボルト穴105に向かう方向に沿って長く形成されている。また、各タンク固定用板材102に形成された一対の溶接用開口穴106は、左右方向に形成された3つのボルト穴105のうちの中央のボルト穴105aの中心を通る左右方向の線Xに対して振り分け状に形成されている。
【0056】
なお、左側のタンク固定用板材102の溶接用開口穴106のうち前側の溶接用開口穴106は、作動油タンクTの底面101に固定されたドレンパイプ108を挿通する挿通穴を兼ねている。
前記各溶接用開口穴106の開口縁部107に形成された溶接ビード110は、該開口縁部107に沿って長く形成されると共に、該溶接ビード110は各ボルト穴105に対応して一対形成されている。また、各溶接ビード110は、その長手方向中央側が対応するボルト穴105に近く且つその長手方向端部が対応するボルト穴105から遠くなるように形成されている。
【0057】
これによって、タンク固定用板材102を固定するボルト95から溶接部にかかる力を長い溶接ビード110の中央側で受け、応力が集中する溶接ビード110の端部側には、ボルト95からの負荷があまりかからないようにすることができる。また、各ボルト穴105に対応して溶接ビード110を形成したので、コスト、溶接歪みを抑えることができる。
【0058】
また、各溶接用開口穴106の中央ボルト穴105aに相対向する隅部106aには比較的大きなアール(例えば、溶接用開口穴106の左右幅の1/2以上の半径のアール)が付けられている。また、各溶接用開口穴106の前側ボルト穴105b及び後側ボルト穴105cに相対する隅部106bは傾斜状とされている。これらによって、溶接部をボルト穴105から遠ざけている。
【0059】
図12に示すように、前記操作パターン切換バルブV2は、左右の各操縦装置14L,14Rのパイロット弁PVL,PVRに対してそれぞれ4本の油圧ホース111を介して接続され、また、該操作パターン切換バルブV2は、コントロールバルブV1の4つの制御弁V11〜14に対してそれぞれ2本の油圧ホース111を介して接続されている。
左右一方の操縦レバー13L,13Rの前後の傾動操作によって前記4つの制御弁V11〜14の内の1つが操作され、該一方の操縦レバー13L,13Rの左右の傾動操作によって残りの3つの制御弁V11〜14の内の1つが操作され、左右他方の操縦レバー13L,13Rの前後の傾動操作によって残りの2つの制御弁V11〜14の内の1つが操作され、該他方の操縦レバー13L,13Rの左右の傾動操作によって残りの1つの制御弁V11〜14が操作される。
【0060】
前記4つの制御弁V11〜14は、旋回モータMを制御する旋回制御弁と、ブームシリンダC1を制御するブーム制御弁と、アームシリンダC2を制御するアーム制御弁と、バケットシリンダC3を制御するバケット制御弁である。
操作パターン切換バルブV2は、前記4つの制御弁V11〜14に対する操縦装置14L,14Rの操作パターンを切り換えるものである。この操作パターン切換バルブV2によって切り換えられる操縦装置14L,14Rの操作パターンとしては、例えば、1つの操作パターンは、左操縦レバー13Lの左右傾動操作で旋回台が駆動し、該左操縦レバー13Lの前後傾動操作でアームが駆動し、右操縦レバー13Rの左右傾動操作でバケットが駆動し、該右操縦レバー13Rの前後傾動操作でブームが駆動するパターンであり、他の操作パターンは、左操縦レバー13Lの左右傾動操作でアームが駆動し、該左操縦レバー13Lの前後傾動操作で旋回台が旋回し、右操縦レバー13Rにあっては、前記1つの操作パターンと同様とされる。
【0061】
前記油圧ホース111の一端はエルボ継ぎ手112を介して操作パターン切換バルブV2に接続される。油圧ホース111の他端はストレート継ぎ手113を介して操縦装置14L,14Rのパイロット弁PVL,PVR、コントロールバルブV1の制御弁V11〜14に接続される。
前記油圧ホース111の一端をエルボ継ぎ手112を介して油圧機器に接続し、該油圧ホース111の他端をストレート継ぎ手113を介して油圧機器に接続する場合、油圧ホース111のストレート継ぎ手113側を先に接続し、エルボ継ぎ手112側を後で接続すると、油圧ホース111が捻れる場合が考えられるので、エルボ継ぎ手112側を先に接続する必要がある。
【0062】
本実施形態にあっては、すべての油圧ホース111のエルボ継ぎ手112側を操作パターン切換バルブV2に接続しているので、操作パターン切換バルブV2に接続されるすべての油圧ホース111を該操作パターン切換バルブV2にサブアッセンブリしておくことができ、製造工程における組付けの単純化を図ることができる。
図13はコントロールバルブV1と操作パターン切換バルブV2の組付けの変形例を示すものである。
【0063】
この
図13に示すものは、一つの取付ブラケット114に、操作パターン切換バルブV2が取り付けられる第1取付部114aと、コントロールバルブV1が取り付けられる第2取付部114bとを設け、この取付ブラケット114を作動油タンクT(又はその他の部品でもよい)に取り付けるようにしたものである。
これによって、取付ブラケット114に操作パターン切換バルブV2とコントロールバルブV1とを取り付けると共に操作パターン切換バルブV2とコントロールバルブV1の制御弁とを油圧ホース111で接続してサブアッセンブリした状態で、取付ブラケット114を作動油タンクTに取り付けることができ、組み付けの容易化を図ることができる。
【0064】
また、作動油タンクT(同じ部品)に操作パターン切換バルブV2とコントロールバルブV1とを取り付けているので、作動油タンクTのサブアッセンブリ工程において、操作パターン切換バルブV2とコントロールバルブV1とを接続する油圧ホース111を組み付けることができるので、製造メインラインでの油圧ホース111組付け工程を削減でき、製造メインラインでの工数低減を図ることができる。