(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0023】
図1は本発明の一実施の形態に係るタッチセンサを示す平面図、
図2は本発明の一実施の形態に係るタッチセンサを示す分解斜視図、
図3は本発明の一実施の形態に係る第1の配線体を示す平面図、
図4は本発明の一実施の形態に係る相互に交差する複数の導体部を示す斜視図、
図5は
図3のV-V線に沿った断面図、
図6は
図3のVI-VI線に沿った断面図である。なお、
図4は、本発明の配線体を分かり易く説明するための参考斜視図である。
【0024】
本実施形態の第1の配線体3を備えるタッチセンサ1は、投影型の静電容量方式のタッチパネルセンサであり、たとえば、表示装置(不図示)等と組み合わせて、タッチ位置を検出する機能を有する入力装置として用いられる。表示装置としては、特に限定されず、液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ、電子ペーパー等を用いることができる。このタッチセンサ1は、相互に対向して配置された検出電極と駆動電極(後述する電極31と電極61)を有しており、この2つの電極の間には、外部回路(不図示)から所定電圧が周期的に印加されている。
【0025】
このようなタッチセンサ1では、たとえば、操作者の指(外部導体)がタッチセンサ1に接近すると、この外部導体とタッチセンサ1との間でコンデンサ(静電容量)が形成され、2つの電極間の電気的な状態が変化する。タッチセンサ1は、2つの電極間の電気的な変化に基づいて、操作者の操作位置を検出することができる。
【0026】
図1及び
図2に示すように、タッチセンサ1は、基材2と、第1の配線体3と、第2の配線体6と、を備えた配線基板から構成されている。このタッチセンサ1は、上記表示装置の視認性を確保するために、全体的に透明性(透光性)を有するように構成されている。本実施形態における「タッチセンサ1」が本発明における「タッチセンサ」、「配線基板」の一例に」相当する。また、本実施形態における「第1の配線体3」、「第2の配線体6」が本発明における「配線体」の一例に相当する。
【0027】
基材2は、可視光線が透過可能であると共に第1の配線体3を支持する透明な基材である。こうした基材2を構成する材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリイミド樹脂(PI)、ポリエーテルイミド樹脂(PEI)、ポリカーボネート(PC)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、液晶ポリマー(LCP)、シクロオレフィンポリマー(COP)、シリコーン樹脂(SI)、アクリル樹脂、フェノール樹脂、エポキシ樹脂、グリーンシート、ガラス等を例示できる。この基材2に、易接着層や光学調整層が形成されていてもよい。本実施形態における「基材2」が本発明における「支持体」の一例に相当する。
【0028】
第1の配線体3は、
図3に示すように、複数の検出用の電極31と、複数の引出線32と、複数の端子33と、から構成されている。なお、この第1の配線体3が有する電極31の数は、特に限定されず、任意に設定することができる。また、第1の配線体3が有する引出線32の数や端子33の数は、電極31の数に応じて設定される。
【0029】
それぞれの電極31は、図中Y方向に延在しており、複数の電極31は、図中X方向に並列されている。それぞれの電極31の長手方向一端には引出線32の一端が接続されている。また、各引出線32の他端には端子33が設けられている。この端子33が外部回路に電気的に接続される。
【0030】
このような第1の配線体3は、
図4に示すように、基材2上に形成された樹脂部4と、この樹脂部4上に形成された線状の導体部5と、から構成されている。
【0031】
導体部5は、
図3の拡大図に示すように、それぞれ直線状に延在すると共に、相互に交差する導体部51a,51bを含んでおり、当該導体部51a,51bが網目形状を形成している。電極31は、導体部5が網目状とされていることで、透光性が付与されている。なお、引出線32や端子33は、
図3においては表されていないが、電極31と同様、網目状の導体部5により構成されている。
【0032】
この場合、電極31、引出線32、及び端子33を構成する導体部の態様(たとえば、導体部の幅及び高さ、並びに複数の導体部同士のピッチ及び配し方など)は、相互に同じであってもよいし、異なっていてもよい。なお、引出線32及び端子33は、特に上述に限定されず、ベタパターンにより構成されていてもよい。以下の説明では、必要に応じて、導体部51a,51bを導体部51と総称する。
【0033】
本実施形態の導体部51aは、X方向に対して+45°傾斜した方向(以下、単に「第1の方向」とも称する。)に沿って直線上に延びている。当該複数の導体部51aは、この第1の方向に対して直交する方向(以下、単に「第2の方向」とも称する。)に等ピッチP
1で並べられている。これに対し、導体部51bは、第2の方向に沿って直線上に延びており、当該複数の導体部51bは、第1の方向に等ピッチP
2で並べられている。そして、これら導体部51a.51bが互いに直交することで、四角形状の網目を繰り返す網目状の導体部5が構成されている。
【0034】
なお、導体部5の構成は、特に上述に限定されない。たとえば、本実施形態では、導体部51aのピッチP
1と導体部51bのピッチP
2とを同一として、正方形状の単位網目となっているが(P
1=P
2)、特にこれに限定されず、導体部51aのピッチP
1と導体部51bのピッチP
2とを異ならせてもよい(P
1≠P
2)。
【0035】
また、本実施形態では、導体部51aの延在方向である第1の方向は、X方向に対して+45°傾斜した方向とされ、導体部51bの延在方向である第2の方向は、第1の方向に対して直交する方向とされているが、特にこれに限定されず、この第1及び第2の方向(すなわち、X軸に対する第1の方向の角度やX軸に対する第2の方向の角度)は、任意に設定することができる。
【0036】
また、網目状の導体部5の網目の外形は、次のような幾何学模様であってもよい。すなわち、上記網目の形状が、正三角形、二等辺三角形、直角三角形等の三角形でもよいし、平行四辺形、台形等の四角形でもよい。また、網目の形状が、六角形、八角形、十二角形、二十角形等のn角形や、円、楕円、星型等でもよい。
【0037】
このように、網目状の導体部5として、種々の図形単位を繰り返して得られる幾何学模様を、当該網目状の導体部5の網目の形状として用いることができる。また、本実施形態では、導体部51は、直線状とされているが、線状に延在しているのであれば、特にこれに限定されず、たとえば、曲線状、馬蹄状、ジグザグ線状等にしてもよい。
【0038】
本実施形態の導体部51は、
図5に示すように、当該導体部51の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面において、接触面511と、頂面512と、側面513と、を有している。
【0039】
接触面511は、樹脂部4の突出部42(後述)を構成する接触面421(後述)と密接している。頂面512は、導体部51において接触面511の反対側の面である。この頂面512は、樹脂部4の平坦面41(後述)の上面411(後述)と実質的に平行に延在している。本実施形態のタッチパネル1では、頂面512は、操作者の操作する側に位置している。
【0040】
この頂面512は、略平坦に形成されており、その平面度は0.5μm以下となっている。なお、平面度は、JIS(JIS B0621(1984))により定義することができる。
【0041】
この頂面512の平面度は、レーザ光を用いた非接触式の測定方法により求める。具体的には、帯状のレーザ光を測定対象に照射し、その反射光を撮像素子(例えば、2次元CMOS)上に結像させて平面度を測定する。平面度の算出方法は、対象の平面において、できるだけ離れた3点を通過する平面をそれぞれ設定し、それらの偏差の最大値を平面度として算出する方法(最大ふれ式平面度)を用いる。なお、平面度の測定方法や算出方法は、特に上述に限定されない。たとえば、平面度の測定方法は、ダイヤルゲージ等を用いた接触式の測定方法であってもよい。また、平面度の算出方法は、対象となる平面を、平行な平面で挟んだときにできる隙間の値を平面度として算出する方法(最大傾斜式平面度)を用いてもよい。
【0042】
側面513は、樹脂部4から離れるに従い、相互に接近するように傾斜している。この側面513は、それぞれに対応する樹脂部4の突出部42を構成する側面422(後述)と連続している。
【0043】
接触面511の幅W1は、樹脂部4の接触面421の幅とほぼ一致する。この接触面511の幅W1は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜10μmであることがさらに好ましく、1μm〜5μmであることがさらにより好ましい。また、頂面512の幅W2は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましく、1μm〜5μmであることがさらに好ましく、1μm〜10μmであることがさらにより好ましい。
【0044】
本実施形態では、この接触面511の幅W1と頂面512の幅W2との比が、下記(4)式を満たすように設定されている。
1≦W1/W2≦1.5・・・(4)
【0045】
また、本実施形態の第1の配線体3では、接触面511の幅W1が、下記(5)式を満たすように設定されている。
W1≦5μm・・・(5)
【0046】
すなわち、導体部5の接触面511の幅W1が5μmであれば、上記頂面512の幅W2は3,33μm〜5μmの範囲内で設定される(3.33μm≦W2≦5μm)。
【0047】
導体部51の高さH1(接触面511と頂面512の間の距離に相当する。)は、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
【0048】
接触面511は、微細な凹凸からなる凹凸状の面である。一方、頂面512や側面513は、略平坦な面となっている。本実施形態では、導体部5と樹脂部4とを強固に固定する観点から、接触面511が比較的粗い面とされている。具体的には、接触面511の面粗さRaが0.1〜3.0μm程度であるのに対し、頂面512の面粗さRaは0.001〜1.0μm程度となっていることが好ましく、当該頂面512の面粗さRaが0.001〜0.3μmであることがさらにより好ましい。なお、このような面粗さは、JIS法(JIS B0601(2013年3月21日改正))により測定することができる。
【0049】
以上に説明した導体部51を含む導体部5は、導電性ペーストを塗布して硬化させることで形成されている。この導体部5を構成する導電性ペーストの具体例としては、導電性粉末もしくは金属塩が、バインダ樹脂、水もしくは溶剤、および各種添加剤を混合して構成される導電性ペーストを例示することができる。導電性粉末としては、銀、銅、ニッケル、スズ、ビスマス、亜鉛、インジウム、パラジウム等の金属や、グラファイト、カーボンブラック(ファーネスブラック、アセチレンブラック、ケッチェンブラック)、カーボンナノチューブ、カーボンナノファイバ等のカーボン系材料を挙げることができる。金属塩としては、これら金属の塩を挙げることができる。
【0050】
また、導電性粉末としては、形成する導体部51の幅に応じて、例えば、0.5μm〜2μm以下の平均粒径φ(0.5μm≦φ≦2μm)とされた導電性粉末を用いることができる。なお、導体部51における電気抵抗を安定させる観点から、形成する導体部51の幅の半分以下の平均粒径φとされた導電性粉末を用いることが好ましい。また、導電性粉末としては、BET法により測定した比表面積が20m
2/g以上の粒子を用いることが好ましい。
【0051】
導体部51として、一定以下の比較的小さい電気抵抗が求められる場合、導電性粉末としては上記の金属材料を主成分とする材料を用いることが好ましい。一方、導体部51として、一定以上の比較的大きい電気抵抗が許容される場合には、導電性粉末として上記のカーボン系材料を主成分とした材料を用いることができる。なお、導電性粉末としてカーボン系材料を用いると、メッシュフィルムのヘイズや全光線反射率を改善させる観点から好ましい。
【0052】
また、本実施形態のように、光透過性を付与するために電極31を網目状としている場合、電極31を構成する導電性材料として、銀、銅、ニッケルの金属材料や、上述のカーボン系材料といった導電性は優れるが不透明な導電性材料(不透明な金属材料及び不透明なカーボン系材料)を用いることができる。
【0053】
また、導電性ペーストに含まれるバインダ樹脂としては、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ビニル樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を例示することができる。
【0054】
導電性ペーストに含まれる溶剤としては、α-テルピネオール、ブチルカルビトールアセテート、ブチルカルビトール、1−デカノール、ブチルセルソルブ、ジエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート、テトラデカン等を例示することができる。なお、導体部5を構成する材料からバインダ樹脂を省略してもよい。
【0055】
本実施形態における「導体部5」が本発明における「導体部」の一例に相当し、本実施形態における「接触面511」が本発明における「接触面」の一例に相当し、本実施形態における「頂面512」が本発明における「頂面」の一例に相当する。
【0056】
樹脂部4は、たとえば、基材2上に導体部5を保持する接着層として機能する。この樹脂部4は、平坦部41と、当該平坦部41よりも突出する突出部42と、当該突出部42の両側に位置する窪み部43と、を有している。平坦部41は、略平坦な上面411を有し、略一定の厚さで、基材2の主面を覆うように一様に設けられている。平坦部41の厚さは、特に限定しないが、5μm〜100μmの範囲で設定されている。
【0057】
突出部42は、平坦部41に比べて、導体部5側(図中の+Z方向)に向かって突出しており、当該導体部5に対応して設けられている。この突出部42は、導体部51の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面において、接触面421と、側面422と、を有している。
【0058】
接触面421は、導体部5と接触する面である。本実施形態では、突出部42が平坦部41よりも突出していることから、接触面421は当該平坦部41の上面411の同一平面状には存在しない。側面422は略平坦に形成されており、導体部5から離れるに従い、相互に離間するように傾斜している。
【0059】
また、本実施形態では、導体部51の幅が樹脂部4に近づくに従い大きくなっており、この場合において、突出部42の側面422は、その両端を通る仮想直線よりも外側に存在している(すなわち、導体部51は、裾を引いた形状となっていない。)。この場合、平坦部41上を通る仮想直線と側面422上を通る仮想直線とのなす角度θは、90°に近い鋭角に設定されている。
【0060】
本実施形態の接触面421は、導体部5と樹脂部4とを強固に固定する観点から、比較的粗い面とされており、側面422に対して相対的に粗くなっている。
【0061】
このような突出部42の高さH3は、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましく、500nm〜10μmであることがさらに好ましい。
【0062】
窪み部43は、平坦部41と突出部42との間に形成されている。この窪み部43は、突出部42に対応して設けられるものであり、当該突出部42の両側に平行に延在している。この窪み部43は、導体部51の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面において、平坦部41に比べて導体部5から離れる方向に湾曲状に凹んだ形状とされており、当該窪み部43の中心Cから外側に向かうに従い、漸次的に浅くなるように形成されている。
【0063】
本実施形態では、導体部51の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面において、窪み部43の内側の端部(すなわち、突出部42側の端部)と突出部42の側面422とは、連続している。一方、窪み部43の外側の端部(すなわち、平坦部41側の端部)と平坦部41の上面411とは、連続している。「連続している」とは、面同士がひとつながりとなっていて、外観上、不連続でないことをいう。また、「不連続でない」とは、面同士が繋がっていない、又は、面同士がずれていることで、面の延在方向が急激に変化することをいう。
【0064】
この窪み部43の深さD1は、100nm〜1μmであることが好ましく、窪み部43の幅W31は、500nm〜50μmであることが好ましく、500nm〜5μmであることがより好ましい。なお、窪み部43の深さD1は、平坦部41の上面411から窪み部43の最も凹んだ部分(以下、窪み部43の底部431ともいう。)までの距離に相当する。また、窪み部43の幅W31は、導体部51の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面において、当該窪み部43における平坦部41の上面411と同一平面上に位置する二点(図中のT1,T2)間の距離に相当する。なお、T1,T2は、断面視における窪み部43の両端に相当する。
【0065】
また、窪み部43に応力が集中するのを防ぐ観点から、
図5に示すように、窪み部43の底部431は、断面視(導体部51の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面視)において、窪み部43の中心Cよりも導体部51に近い側に位置している。具体的には、断面視において、窪み部43の両端のうち導体部51に近い側の端部T1から底部431までの距離W41は、端部T1から窪み部43の中心Cまでの距離W51よりも小さくなっている(W41<W51)。
【0066】
この場合、断面視において、底部431よりも導体部51に近い側における窪み部43の曲率は、底部431よりも導体部51から離れる側における窪み部43の曲率に対して相対的に大きくなっている。
【0067】
また、当該窪み部43に応力が集中するのを防ぐ観点から、窪み部43の深さD1と窪み部43の幅W31との比(D1/W31)が、0.05〜1の範囲で設定されていることが好ましい。なお、突出部42の両側に位置する窪み部43において、当該凹部の深さや凹部の幅は、同じであってもよいし、相互に異なっていてもよい。
【0068】
また、網目状とされた導体部5における電気抵抗の増大を抑制する観点から、
図5及び
図6に示すように、導体部51a、51bが交差する部分の近傍における窪み部43の深さD2は、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の深さD1に対して相対的に大きくなっている(D2>D1)。また、導体部51a,51bが交差する部分の近傍における窪み部43の幅W32は、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の幅W31に対して相対的に大きくなっている(W32>W31)。
【0069】
この窪み部43の深さD2は、窪み部43の深さD1と同様の範囲内で設定することができる。また、窪み部43の幅W32は、窪み部43の幅W31と同様の範囲内で設定することができる。
【0070】
なお、
図6に示すように、導体部51a,51bが交差する部分の近傍における窪み部43においても、窪み部43の底部431は、断面視において、窪み部43の中心Cよりも導体部51に近い側に位置している。この場合、断面視において、端部T1から底部431までの距離W42は、端部T1から中心Cまでの距離W52よりも小さくなっている(W42<W52)。
【0071】
このような樹脂部4を構成する材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂、ウレタン樹脂、ビニル樹脂、シリコーン樹脂、フェノール樹脂、ポリイミド樹脂等のUV硬化性樹脂、熱硬化性樹脂又は熱可塑性樹脂等を例示することができる。
【0072】
本実施形態における「樹脂部4」が本発明における「樹脂部」の一例に相当し、本実施形態における「平坦部41」が本発明における「平坦部」の一例に相当し、本実施形態における「突出部42」が本発明における「突出部」の一例に相当し、本実施形態における「窪み部43」が本発明における「窪み部」の一例に相当する。
【0073】
結果として、本実施形態の第1の配線体3においては、突出部42と導体部5を合わせた、平坦部41に対して突出する部分が、当該平坦面41の上面411に対して、高さH2(H2=H1+H3)だけ突出している。本実施形態では、この高さH2と、導体部5の高さH1との比が、下記(6)式を満たすように設定されている。
1/2≦H1/H2≦5/6・・・(6)
【0074】
第2の配線体6は、
図1及び
図2に示すように、複数の電極61と、複数の引出線62と、複数の端子63と、から構成されている。なお、この第2の配線体6を構成する電極61の数は、特に限定されず、任意に設定することができる。また、第2の配線体6を構成する引出線62や端子63の数は、電極61の数に応じて設定される。
【0075】
それぞれの電極61は、第1の配線体3のそれぞれの電極31に対して直交する方向(図中X方向)に延在しており、複数の電極61は、図中Y方向に並列されている。それぞれの電極61の長手方向一端には引出線62の一端が接続されている。また、それぞれの引出線62の他端には端子63が設けられている。この端子63が外部回路に電気的に接続される。
【0076】
この第2の配線体6は、
図2に示すように、樹脂部7と、導体部8と、を備えている。樹脂部7は、第1の配線体3を覆うように基材2上に形成されている。本実施形態において、この樹脂部7は、第1の配線体3の導体部5と第2の配線体6の導体部8との間の絶縁を確保する絶縁部としても機能する。この樹脂部7は、その下面が第1の配線体3の凹凸形状に対応した凹凸状の面となっているが、基本的な構造は第1の配線体3の樹脂部4と同じである。
【0077】
本実施形態において、第2の配線体6を構成する電極61、引出線62、及び端子63と、第1の配線体3の電極31、引出線32、及び端子33との基本的な構造は同じである。したがって、第2の配線体6の導体部8と、第1の配線体3の導体部5との基本的な構造は同じものである。
【0078】
次に、本実施形態における第1の配線体3の製造方法について説明する。
図7は本発明の一実施の形態に係る第1の配線体の製造方法を説明するための工程図、
図9(a)〜
図9(e)は本発明の一実施の形態に係る第1の配線体の製造方法を説明するための断面図である。
【0079】
本実施形態の第1の配線体3の製造方法は、
図7に示すように、凹版11の凹部13に導電性材料16を充填する充填工程S10と、導電性材料16に対して乾燥、加熱及びエネルギ線の照射のうち少なくとも1つを行う焼成工程S20と、凹版11及び導電性材料16上に樹脂材料17を塗布する塗布工程S30と、凹版11上に基材2を載置する載置工程S40と、導電性材料16及び樹脂材料17を凹版11から剥離する剥離工程S50と、を備える。
【0080】
本実施形態における「充填工程S10」が本発明における「第1の工程」の一例に相当し、本実施形態における「焼成工程S20」が本発明における「第2の工程」の一例に相当し、本実施形態における「塗布工程S30」が本発明における「第3の工程」の一例に相当し、本実施形態における「剥離工程S50」が本発明における「第4の工程」の一例に相当する。
【0081】
充填工程S10では、
図9(a)に示すように、予め準備した凹版11に導電性材料16を充填する。ここでは、まず、本実施形態で用いる凹版11の製作方法について、
図8(a)及び
図8(b)を参照しながら説明する。
図8(a)及び
図8(b)は本発明の一実施の形態に係る凹版の製作方法を説明するための断面図である。
【0082】
本実施形態の第1の配線体3の製造方法に用いられる凹版11は、
図8(b)に示すように、平坦部12と、凹部13と、凸部14と、を有している。凹部13は、平坦部12に対して凹んだ部分であり、導電性材料16を収容するために形成されるものである。この凹部13は、略平坦な底面131と、凹版11の一方主面から離れるに従い、相互に接近するように傾斜する側面132と、を有している。
【0083】
凸部14は、凹部13に対応して設けられるものであり、凹部13の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面において、平坦部12に対して湾曲状に突出した形状となっている。この凸部14は、対応する凹部13の側面132と連続している。本実施形態では、凹部13は、上述の導体部5及び突出部42に対応しており、平面視において、線状に延在している。また、凸部14は、上述の窪み部43に対応しており、平面視において、凹部13の両側に平行して延在している。
【0084】
この凹部13の幅は、50nm〜1000μmであることが好ましく、500nm〜150μmであることがより好ましい。凹部13の深さは、50nm〜3000μmであることが好ましく、500nm〜450μmであることがより好ましい。一方、凸部14の幅は、500nm〜5μmであることが好ましく、凸部14の高さは、100nm〜1μmであることが好ましい。
【0085】
本実施形態における「凹版11」が本発明における「凹版」の一例に相当し、本実施形態における「平坦部12」が本発明における「平坦部」の一例に相当し、本実施形態における「凹部13」が本発明における「凹部」の一例に相当し、本実施形態における「凸部14」が本発明における「凸部」の一例に相当する。
【0086】
凹版11の製作工程では、まず、
図8(a)に示すように、平板15を準備する。この平板15は、たとえば、CMP(化学的機械的研磨)処理により、その両主面(少なくとも、凹部13及び凸部14(いずれも後述)が形成される面)が鏡面仕上げされていることが好ましい。この平板15は、ニッケル、シリコン、二酸化珪素等のガラス類、セラミック類、有機シリカ類、グラッシーカーボン、熱可塑性樹脂、光硬化性樹脂等を例示することができる。本実施形態では、光硬化性樹脂を採用する。
【0087】
次に、
図8(b)に示すように、平板15の一方主面に凹部13及び凸部14を形成する。
【0088】
平板15に凹部13を形成する手順について説明する。ここでは、平板15の一方主面を選択的に露光し、当該平板15の一部を硬化させることで、平板15に凹部13に対応する露光パターンを形成する。そして、平板15に現像液などを供給して、平板15に形成された露光パターンを除去する。これにより、凹部13が形成される。
【0089】
平板15に凸部14を形成する手順について説明する。ここでは、平板15の一方主面の全面を露光するが、凸部14に対応する部分に対する露光量を、これ以外に対応する部分に対する露光量に比べて選択的に小さくする。以降の手順は、上述した凹部13の形成手順と同様であり、平板15に現像液などを供給して、平板15のうち露光され硬化した部分を除去する。平板15においては、エッチング残りが生じて凸部14が形成され、その他の部分に平坦部12が形成される。
【0090】
凹部13と凸部14とは、同じプロセスで形成してもよいし、異なるプロセスで形成してもよい。平板15を選択的に露光する方法としては、当該平板15上にレジスト層(マスク)を形成した後、当該平板15を露光してもよい(面露光)。あるいは、平板15にレーザ光を照射することで、選択的に露光してもよい(走査露光)。
【0091】
平板15の一方主面にフォトレジストを用いて凸部に対応するパターンもしくは凹部に対応する反転パターンのマスクを形成し、これを利用して平板15をエッチングしてもよい。
【0092】
平板15の露光量を選択的に小さくする方法としては、上述の面露光を用いる場合では、レジスト層の厚み等を調整して選択的に露光量を小さくする。一方、走査露光を用いる場合では、レーザの照射出力等を調整して選択的に露光量を小さくする。
【0093】
露光の際に使用される光源としては、特に限定しないが、たとえば、可視光線、紫外線等の光、又は、X線等の放射線を用いることができる。
【0094】
なお、凹部13及び凸部14を形成する方法は、特に上述に限定されない。凹部及び凸部を上述のフォトエッチング処理以外の方法で形成する場合は、平板に対する加工度を調整することで、凹部及び凸部を所定の形状に形成する。
【0095】
また、公知の方法を採用して平板に凹部を形成した後、化学気相成長法(化学気相蒸着、CVD(chemical vapor deposition))等を用いて、凸部を形成してもよい。
【0096】
充填工程S10において、上述のとおり製作された凹版11の凹部13に充填される導電性材料16としては、上述したような導電性ペーストを用いる。
【0097】
導電性材料16を凹版11の凹部13に充填する方法としては、例えばディスペンス法、インクジェット法、スクリーン印刷法を挙げることができる。もしくはスリットコート法、バーコート法、ブレードコート法、ディップコート法、スプレーコート法、スピンコート法での塗工の後に凹部13以外に塗工された導電性材料16をふき取るもしくは掻き取る、吸い取る、貼り取る、洗い流す、吹き飛ばす方法を挙げることができる。導電性材料16の組成等、凹版11の形状等に応じて適宜使い分けることができる。
【0098】
次に、焼成工程S20において、
図9(b)に示すように、凹部13に充填した導電性材料16を乾燥もしくは加熱する。導電性材料16の乾燥もしくは加熱の条件は、導電性材料16の組成等に応じて適宜設定することができる。
【0099】
ここで、乾燥もしくは加熱の処理により、導電性材料16に体積収縮が生じる。この際、導電性材料16の底面や側面は、凹部13の内璧面の形状に沿って平坦になる。また、導電性材料16の頂面の形状は、凹部13の形状に影響されない。ここで、導電性材料16の頂面には微細な凹凸形状が形成される。
【0100】
次に、塗布工程S30において、
図9(c)に示すように、樹脂部4を形成するための樹脂材料17を凹版11上に塗布する。このような樹脂材料17としては、上述した樹脂材料を用いる。また、樹脂材料17を凹版11上に塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法を例示することができる。この塗布により、凹部13内に樹脂材料17が入り込む。
【0101】
次に、載置工程S40において、
図9(d)に示すように、凹版11上に塗布された樹脂材料17の層の上に基材2を配置する。本工程は、樹脂材料17と基材2との間に気泡が入り込むことを抑制するために、真空下で行うことが好ましい。基材2の材料は上述したものを例示できる。
【0102】
次に、剥離工程S50において、樹脂材料17を硬化させる。樹脂材料17を硬化させる方法としては、紫外線、赤外線レーザ光等のエネルギ線照射、加熱、加熱冷却、乾燥等を例示することができる。その後、
図9(e)に示すように、基材2、樹脂材料17及び導電性材料16を凹版11から離型することにより、樹脂材料17及び導電性材料16を基材2に追従させて凹版11から剥離させる(この場合、樹脂材料17と導電性材料16は、一体的に凹版11から剥離される)。本実施形態では、凹部13に充填された導電性材料16により導体部5が形成され、凹部13に入り込んだ樹脂材料17により突出部42が形成され、凸部14,14により窪み部43,43が形成される。
【0103】
なお、本実施形態では、樹脂材料17を凹版11上に塗布した後に基材2を凹版11に積層しているが、特にこれに限定されない。例えば、基材2の主面(凹版に対向する面)に予め樹脂材料17を塗布したものを凹版11上に配置することにより、樹脂材料17を介して基材2を凹版11に積層してもよい。
【0104】
なお、特に図示しないが、上記工程を実行して第1の配線体3を得た後、樹脂部7を構成する透明な樹脂材料を、第1の配線体3を覆うように塗布する。このような樹脂材料としては、上述したような透明な樹脂材料を用いる。
【0105】
なお、樹脂部7を構成する透明な樹脂材料の粘度は、塗布時の十分な流動性を確保する観点から、1mPa・s〜10,000mPa・sであることが好ましい。また、硬化後の樹脂の貯蔵弾性率は、導体部6の耐久性の観点から、10
6Pa以上、10
9Pa以下であることが好ましい。樹脂部7の樹脂材料を塗布する方法としては、スクリーン印刷法、スプレーコート法、バーコート法、ディップ法、インクジェット法等を例示することができる。
【0106】
また、特に図示しないが、樹脂部7の樹脂材料が硬化した後、樹脂部7上に、導体部8を形成することにより、本実施形態のタッチセンサ1を得ることができる。導体部8は、導体部5の形成方法と同様の方法により形成することができる。
【0107】
次に、本実施形態に係る第1及び第2の配線体3,6、配線基板、タッチセンサ1の作用について説明する。
【0108】
図10は、比較例に係る配線体の作用を説明する断面図である。
【0109】
図10に示すように、比較例に係る配線体300は、樹脂部400と、導体部500と、を備えている。
【0110】
樹脂部400は、略平坦な平坦部410から構成されている。この平坦部410上に導体部500が配置されている。この導体部500は、複数の導体部510から構成されるものである。導体部510は、樹脂部400に対して上方に突出している。この導体部510は、当該導体部510の延在方向に対して実質的に直交する方向に沿って切断した場合の断面において、平坦部410と接触する接触面5110と、当該接触面5110と反対側の頂面5120と、接触面5110と頂面5120との間に延在する2つの側面5130,5130と、を有している。
【0111】
接触面5110は樹脂部400の平坦部410の上面4110と同一平面上に位置している。頂面5120は、上方(図中+Z方向)に向かって湾曲した曲面である。側面5130,5130は、頂面5120と滑らかに連続する一方、樹脂部400の平坦部410とは不連続となっている。
【0112】
この比較例に係る配線体300では、樹脂部400の平坦部410と、導体部500(導体部510)とが繋がるところ(導体部510の付け根部分)が不連続となっているため、応力が集中して破断し易い。また、導体部510の接触面5110が、平坦部410の上面4110と同一平面上に位置しているため、異種材料が接合する比較的接合強度が低い部分に、応力が集中してしまう。この場合、樹脂部400と導体部500とが繋がるところが、さらに破断し易くなる。
【0113】
また、導体部510の頂面5120が曲面となっているので、当該頂面5120において光の散乱が顕著に生じてしまい、配線体300の視認性を低下させる。
【0114】
この比較例に対して、本実施形態の第1の配線体3は、平坦部41及び突出部42の間に湾曲状に凹んだ窪み部43を有する樹脂部4を備える。そして、突出部42の側面422と窪み部43とが連続している。このため、平坦部41に対して突出した部分(突出部42及び導体部5を含む)の付け根近傍(本実施形態では、接続点P1の近傍)において、繋がる面同士のなす角が大きくなる、及び/又は、曲率が小さくなると共に、面同士の延在方向の急激な変化が抑えられる。これにより、熱応力が外部からの押圧力によって応力が印加された場合に、最も応力が集中し易い突出部42の付け根近傍に加わる応力が分散され易くなる。つまり、本実施形態では、突出部42と窪み部43との間で応力が集中し難くなっている。
【0115】
なお、本実施形態のように、平坦部41及び突出部42の間に窪み部43が存在していることで、平坦な部分と突出した部分とが直接連続している場合に比べて、曲率がさらに小さくなるので、より一層応力が分散される。このため、本実施形態の第1の配線体3と比較例に係る配線体300において、平坦部41に対して突出した部分の高さが同じである場合、本実施形態の第1の配線体3では、比較例に比べて、突出部42の付け根近傍に加わる応力が集中し難くなっている。
【0116】
また、本実施形態では、導体部51a、51bが交差する部分の近傍における窪み部43の深さD2は、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の深さD1に対して相対的に大きくなっている。このため、導体部51a,51bが交差する部分において、応力の分散がより促進され、導体部5に破断が生じ難くなる。特に、導体部51a,51bが集合するこれらの交差する部分において破断発生の抑制を図ることで、破断に伴う導体部5の電気抵抗の増大の抑制を効率的に図ることができる。
【0117】
また、本実施形態では、導体部51a,51bが交差する部分の近傍における窪み部43の幅W32は、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の幅W31に対して相対的に大きくなっている。このため、導体部51a,51bが交差する部分において、応力の分散がより促進され、導体部5に破断が生じ難くなる。特に、導体部51a,51bが集合するこれらの交差する部分において破断発生の抑制を図ることで、破断に伴う導体部5の電気抵抗の増大の抑制を効率的に図ることができる。
【0118】
また、本実施形態では、導体部51の幅が樹脂部4に近づくに従い大きくなる場合において、突出部42の側面422は、その両端を通る仮想直線よりも外側に存在しており(すなわち、導体部51が裾を引いた形状でない。)、平坦部41上を通る仮想直線と側面422上を通る仮想直線とのなす角度が90°に近い鋭角とされている。仮に、導体部51を裾の引いた形状とした場合、平面視において導体部51の幅が大きくなるにもかかわらず、導体部51の断面積も十分に確保できず、視認性の低下及び導体部5の電気抵抗の増大を招くおそれがある。これに対し、本実施形態では、上述の構成を採用することで、平面視において導体部51の幅を抑えつつ、導体部51の断面積を大きく確保することができる。このため、導体部5において、視認性の低下を抑制しつつ、電気抵抗の増大を抑制することができる。
【0119】
また、本実施形態では、断面視において、窪み部43の底部431が窪み部43の中心Cよりも導体部51に近い側に位置している。このため、導体部51の幅の広がりをより確実に発生させない構成となっている。
【0120】
また、角度θが90°に近い鋭角である場合、突出部42と窪み部43との滑らかな連続性が維持し難く、これらが繋がる部分が急峻で不連続に近い形状となりがちであるが、本実施形態では、窪み部43の底部431を窪み部43の中心Cよりも導体部51に近い側に位置させて、底部431よりも導体部51に近い側における窪み部43の曲率を、底部431よりも導体部51から離れる側における窪み部43の曲率に対して相対的に大きくしている。このため、角度θが90°に近い鋭角とされている場合でも、突出部42と窪み部43とが滑らかに繋がり易く、これらの間で曲率の急激な変化が抑えられるため、突出部42と窪み部43との間で応力がより集中し難くなっている。
【0121】
また、配線体3にカバーコートなどを積層した場合、窪み部43のうち相対的に曲率が大きい領域でカバーコートが樹脂部4に対してアンカー効果を発揮しやすくなるため、カバーコートが剥離しにくくなっている。
【0122】
また、本実施形態では、導体部5が、平坦部41の上面411と実質的に平行な頂面522を有しているので、当該導体部5の頂面512に対して入射した光が散乱するのを抑えることができる。これにより、第1の配線体3の視認性が低下するのを抑制することができる。
【0123】
また、本実施形態では、導体部5の接触面511の面粗さが、頂面512の面粗さに対して相対的に粗くなっているので、導体部5の接触面511と樹脂部4との密着性を向上でき、これらの剥離を抑制できる。
【0124】
また、本実施形態の第1の配線体3では、接触面511の幅W1と頂面512の幅W2との比が、上記(4)式を満たすように設定されている。これにより、接触面511の幅が過剰となるのを抑えている。本実施形態の第1の配線体3では、接触面511の幅W1が頂面512の幅W2よりも大きくなっているから、平面視において、当該接触面511の幅が視認可能な領域となるおそれがある。したがって、接触面511の幅W1を小さくすることで、第1の配線体3の視認性をさらに向上することができる。
【0125】
また、本実施形態の第1の配線体3では、突出部42と導体部5を合わせた、平坦部41に対して突出する部分が、当該平坦面41の上面411に対して、高さH2(H2=H1+H3)だけ突出しており、この高さH2と、導体部5の高さH1との比が、上記(6)式を満たすように設定されている。この場合、異種材料が接合する比較的接合強度が低い樹脂部4と導体部5との接続部分(接触面421,511)は、平坦部41の上面411と同一平面上に存在しない。これにより、樹脂部4と導体部5との剥離をさらに抑制できる。
【0126】
また、本実施形態の配線基板では、第1及び第2の配線体3,6を備え、当該第2の配線体6が第1の配線体3上に積層されているが、この場合、第1の配線体3の樹脂部4が窪み部43を有しているので、当該窪み部43に第2の配線体6の樹脂部7が入り込む。これにより、第1の配線体3の樹脂部4と第2の配線体6の樹脂部7とをより強固に接合することができる。
【0127】
また、本実施形態の第1の配線体3の製造方法は、凹版11に導電性材料16を充填する充填工程S10と、導電性材料16に対して乾燥、加熱及びエネルギ線の照射のうち少なくとも1つを行う焼成工程S20と、凹版11及び導電性材料16上に樹脂材料17を塗布する塗布工程S30と、凹版11上に基材2を載置する載置工程S40と、導電性材料16及び樹脂材料17を凹版11から剥離する剥離工程S50と、を備える。そして、凹版11は、平坦部12と、導電性材料16を収容する凹部13と、平坦部12及び凹部13の間に形成され、湾曲状に突出した凸部14と、を有し、凹部13の底面131は、平坦部12の上面121と実質的に平行であり、凹部13の側面1322と凸部14とが連続している。このような凹版1を用いることで、上記作用を有する第1の配線体3を精度良く形成することができる。
【0128】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0129】
たとえば、本実施形態では、導体部51a、51bが交差する部分の近傍における窪み部43の深さD2が、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の深さD1に対して相対的に大きくなると共に、導体部51a、51bが交差する部分の近傍における窪み部43の幅W32が、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の幅W31に対して相対的に大きくなっているが、特にこれに限定されない。たとえば、導体部51a、51bが交差する部分の近傍における窪み部43の深さが、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の深さに対して相対的に大きくなっている一方、窪み部43の幅は、略一定とされていてもよい。または、導体部51a、51bが交差する部分の近傍における窪み部43の幅が、導体部51a,51bが交差する部分の近傍以外における窪み部43の幅に対して相対的に大きくなっている一方、窪み部43の深さは、略一定とされていてもよい。
【0130】
また、本実施形態では、上述の通り、引出線32も、電極31と同様、網目状の導体部5により構成されている。この場合、引出線32を構成する導体部51に対応して、平坦部41と突出部42の間に窪み部43が設けられていてもよい。
【0131】
また、たとえば、タッチセンサ1から基材2を省略してもよい。この場合において、たとえば、樹脂部4の下面に剥離シートを設け、実装時に当該剥離シートを剥がして実装対象(フィルム、表面ガラス、偏光板、ディスプレイ等)に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。なお、この形態では、「樹脂部4」が本発明の「樹脂部」の一例に相当し、「実装対象」が本発明の「支持体」の一例に相当する。また、第1の配線体3を覆う樹脂部を設け、当該樹脂部を介して、上述の実装対象に接着して実装する形態として配線体又は配線基板を構成してもよい。
【0132】
また、上述の実施形態のタッチセンサ1は、2層の導体部からなる投影型の静電容量方式のタッチパネルセンサであるが、特にこれに限定されず、1層の導体層からなる表面型(容量結合型)静電容量方式のタッチパネルセンサにも、本発明を適用することができる。
【0133】
また、導体部5の導電性粉末として、金属材料とカーボン系材料を混合したものを用いてもよい。この場合、たとえば、導体部5の頂面側にカーボン系材料を配置し、接触面側に金属系材料を配置してもよい。また、その逆で、導体部5の頂面側に金属系材料を配置し、接触面側にカーボン系材料を配置してもよい。
【0134】
さらに、上述の実施形態では、配線体又は配線基板は、タッチパネルセンサに用いられるとして説明したが、特にこれに限定されない。たとえば、配線体に通電して抵抗加熱等で発熱させることにより当該配線体をヒーターとして用いてもよい。この場合、導体部5の導電性粉末としては、比較的電気抵抗の大きいカーボン系材料を用いることが好ましい。また、配線体の導体部の一部を接地することにより当該配線体を電磁遮蔽シールドとして用いてもよい。また、配線体をアンテナとして用いてもよい。この場合、配線体を実装する実装対象が本発明の「支持体」の一例に相当する。