(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483253
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】L−グルタミンを生産する微生物、及びそれを利用したL−グルタミン生産方法
(51)【国際特許分類】
C12N 1/20 20060101AFI20190304BHJP
C12P 13/14 20060101ALI20190304BHJP
C12R 1/15 20060101ALN20190304BHJP
【FI】
C12N1/20 A
C12P13/14 A
C12R1:15
【請求項の数】3
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-517032(P2017-517032)
(86)(22)【出願日】2015年9月22日
(65)【公表番号】特表2017-529858(P2017-529858A)
(43)【公表日】2017年10月12日
(86)【国際出願番号】KR2015009909
(87)【国際公開番号】WO2016056773
(87)【国際公開日】20160414
【審査請求日】2017年3月29日
(31)【優先権主張番号】10-2014-0135959
(32)【優先日】2014年10月8日
(33)【優先権主張国】KR
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11553P
【微生物の受託番号】KCCM KCCM11554P
(73)【特許権者】
【識別番号】513178894
【氏名又は名称】シージェイ チェイルジェダン コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100118773
【弁理士】
【氏名又は名称】藤田 節
(74)【代理人】
【識別番号】100122389
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 栄一
(74)【代理人】
【識別番号】100111741
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 夏夫
(74)【代理人】
【識別番号】100169971
【弁理士】
【氏名又は名称】菊田 尚子
(74)【代理人】
【識別番号】100169579
【弁理士】
【氏名又は名称】村林 望
(72)【発明者】
【氏名】リー,チン ナム
(72)【発明者】
【氏名】パク,スン ヘ
(72)【発明者】
【氏名】スン,チン ソク
(72)【発明者】
【氏名】ソン,テ ホ
(72)【発明者】
【氏名】ウー,ハ トン
(72)【発明者】
【氏名】リー,キュン チャン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,チェ ウー
【審査官】
伊藤 良子
(56)【参考文献】
【文献】
米国特許第03886039(US,A)
【文献】
国際公開第2011/083859(WO,A1)
【文献】
特表2004−513654(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 1/00−7/08
C12P 13/14
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
L−グルタミンに対して耐性を有するコリネバクテリウムグルタミカムであって、L−グルタミンを生産するコリネバクテリウムグルタミカム変異株KCCM 11553Pまたはコリネバクテリウムグルタミカム変異株KCCM 11554P。
【請求項2】
15ないし25濃度(g/L)のL−グルタミンを含む、培養培地で6日以上生存することを特徴とする、請求項1に記載のコリネバクテリウムグルタミカム変異株KCCM 11553Pまたはコリネバクテリウムグルタミカム変異株KCCM 11554P。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコリネバクテリウムグルタミカム変異株を培養する段階、及び前記変異株または培地からL−グルタミンを回収する段階を含む、L−グルタミンを生産する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、L−グルタミンを生産する微生物、及びそれを利用してL−グルタミンを生産する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
L−グルタミンは、医薬品、化粧品、健康食品などに汎用されるアミノ酸であり、主に化合物に対する耐性または敏感性の微生物を利用して、L−グルタミンを生産してきた。例えば、スルファグアニジン(sulfaguanidine)耐性菌株(日本特許公報1978−17675)、アザセリン(azaserine)耐性微生物(日本特許公開1980−148094)、ペニシリン感受性微生物(日本特許公開1992−088994)、チロシン−グルタミン酸(tyr−glu)耐性株(日本特許公開1990−186994)などが利用されてきた。
【0003】
かような背景下、本発明者らは、L−グルタミンの生産能が向上した菌株を開発するために研究を行っている最中、高濃度L−グルタミンに対する耐性を有する変異株を獲得し、そこから得られた変異株が、高収率でL−グルタミンを生産することを確認することにより、本発明を完成した。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、L−グルタミンを生産する、向上したL−グルタミン生産用コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)変異株を提供することである。
【0005】
本発明の他の目的は、前記コリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)変異株を利用して、L−グルタミンを生産する方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一様態において、L−グルタミンに対して耐性を有するコリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)であって、L−グルタミンを生産するコリネバクテリウムグルタミカム変異株を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明におけるコリネバクテリウムグルタミカム変異株を利用すれば、L−グルタミンが高濃度で含まれた培地でも、L−グルタミンを生産することができる。従って、産業的生産が可能になるように、高効率及び高収率でL−グルタミンを生産することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一様態で、L−グルタミンに対して耐性を有するコリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)であって、L−グルタミンを生産するコリネバクテリウムグルタミカム変異株を提供する。
【0009】
本発明において、用語「L−グルタミン」は、タンパク質を構成するアミノ酸の一種であり、グルタミン酸のモノアミドであり、H
2NCO−CH
2CH
2CH(NH
2)COOHの化学式を有するL−アミノ酸を意味する。
【0010】
本発明において、用語「L−グルタミンに対する耐性」は、高濃度のL−グルタミンが存在する環境において、微生物が生育可能であるか、あるいはL−グルタミンを生産する活性が維持されるか、あるいは増大する特性を意味する。
【0011】
細胞内において、一定濃度以上のL−グルタミンが蓄積されれば、グルタミンによって、グルタミン合成酵素(gultamine synthetase)の活性が阻害されるか、あるいは抑制されるフィードバック阻害を誘発し、L−グルタミン生合成が阻害される。従って、L−グルタミンに対して耐性を有する菌株は、L−グルタミンによるフィードバックが解除されることにより、高濃度のL−グルタミンを含む条件でも、L−グルタミンを生成することができる。
【0012】
前記変異株は、コリネバクテリウムグルタミカムKCCM 11553PまたはコリネバクテリウムグルタミカムKCCM 11554Pでもある。
【0013】
前記変異株は、高濃度のL−グルタミンに対して耐性を有することができる。前記変異株は、具体的には、5g/Lないし30g/L、さらに具体的には、15g/Lないし30g/L、一層さらに具体的には、20g/Lないし25g/LのL−グルタミン濃度に対して耐性を有することができる。
【0014】
前記変異株は、15ないし25濃度(g/L)のL−グルタミンを含む最小培地において、6日以上生存することができる。具体的には、前記変異株は、15ないし25濃度(g/L)のL−グルタミンを含む、pH7.0のブドウ糖0.1%、硫酸マグネシウム(MgSO
4・7H
2O)0.04%、リン酸第1カリウム(KH
2PO
4)0.1%、チアミン(thiamine・HCl)0.0001%、ビオチン(biotin)200μg/L、及び寒天(agar)含有の最小培地において30℃で培養する場合、6日以上生存することができる。
【0015】
本発明において使用される用語「L−グルタミンを生産する微生物」とは、自然にL−グルタミン生産能を有している微生物、またはL−グルタミンの生産能がない親菌株に、グルタミンの生産能が付与された微生物を意味する。
【0016】
本発明のL−グルタミンの生産能が向上したコリネバクテリウムグルタミカム変異株は、親菌株を突然変異させ、所望する変異株にもなる。微生物の突然変異誘発は、当該分野で周知の多様な手段によって行われ、物理的あるいは化学的な突然変異発生の二つのうち1つの方法を使用することができる。例えば、本発明に適する化学的突然変異誘発要因として、N−メチル−N’−ニトロ−N−ニトロソグアニジン(NTG:N−methyl−N’−nitro−N−nitrosoguanidine)、ジエポキシブタン、エチルメタンスルホネート、マスタード化合物、ヒドラジン及び亜硝酸を含んでもよいが、それらに制限されるものではない。また、物理的突然変異誘発要因は、紫外線及びガンマ放射線を含んでもよいが、それらに制限されるものではない。
【0017】
詳細には、本発明のL−グルタミンの生産能が向上した変異株を作製するために、従来のグルタミン生産菌株であるコリネバクテリウムグルタミカムKFCC 10680(Corynebacterium glutamicum KFCC 10680、大韓民国登録特許第10−0048440号)を親菌株として使用することができる。前記親菌株コリネバクテリウムグルタミカムKFCC 10680にNTGを処理し、ランダム突然変異を行った後、L−グルタミンが添加された培地で培養し、菌株間のL−グルタミン生産能を比較選別することにより、L−グルタミンに耐性を有する変異株2種を獲得し、それらをGln096(KCCM 11553P)及びGln265(KCCM 11554P)と命名した。前記コリネバクテリウムグルタミカムGln096及びコリネバクテリウムグルタミカムGln265が、親菌株対比で、約10%レベル向上した高収率のL−グルタミン生産能をそれぞれ有するということを確認した。
【0018】
本発明の他の様態において、前記コリネバクテリウムグルタミカム変異株を培地で培養する段階を含むL−グルタミン生産方法を提供する。
【0019】
前記コリネバクテリウムグルタミカム変異株については、前述の通りである。
【0020】
前記培養は、当業界に公知の適切な培地及び培養条件によって行われる。また、当業者であるならば、培地及び培養条件を容易に調整して使用することができるであろう。具体的には、前記培地は、液体培地でもあるが、それに限定されるものではない。培養方法は、例えば、回分式培養(batch culture)、連続式培養(continuous culture)、流加式培養(fed-batch culture)、またはそれらの組み合わせ培養を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。
【0021】
前記培地は、適切な方式で、特定菌株の要件を満足しなければならず、当業者によって適切に変形されもする。コリネバクテリア菌株に係わる培養培地は、公知文献(Manualof Methods for General Bacteriology, American Society for Bacteriology, Washington D. C., USA, 1981)を参照することができるが、それに限定されるものではない。また、培地に、多様な炭素源、窒素源及び微量元素成分を含んでもよい。使用される炭素源としては、グルコース、スクロース、ラクトース、フルクトース、マルトース、澱粉、セルロースのような糖;炭水化物、大豆油、ひまわり油、ひまし油、ココナッツ油のようなオイル;脂肪、パルミチン酸、ステアリン酸、リノール酸のような脂肪酸;グリセロール、エタノールのようなアルコール;酢酸のような有機酸が含まれる。それら物質は、個別的にまたは混合物としても使用されるが、それらに限定されるものではない。使用される窒素源としては、ペプトン、酵母抽出物、肉汁、麦芽抽出物、とうもろこし浸漬液、大豆ミール及び尿素、または無機化合物、例えば、硫酸アンモニウム、塩化アンモニウム、リン酸アンモニウム、炭酸アンモニウム及び硝酸アンモニウムが含まれてもよい。窒素源も、個別的にまたは混合物として使用することができるが、それらに限定されるものではない。使用されるリンの供給源としては、リン酸二水素カリウムまたはリン酸水素二カリウム、または相応するナトリウム含有塩が含まれてもよいが、それらに限定されるものではない。また、培養培地は、成長に必要な硫酸マグネシウムまたは硫酸鉄のような金属塩を含んでもよいが、それらに限定されるものではない。それ以外に、アミノ酸及びビタミンのような必須成長物質が含まれてもよい。また、培養培地に、適切な前駆体が使用される。前記培地または個別成分は、培養過程で培養液に、適切な方式によって、回分式でまたは連続式で添加されるが、それらに限定されるものではない。
【0022】
また、培養中に、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム、アンモニア、リン酸及び硫酸のような化合物を微生物培養液に適切な方式で添加し、培養液のpHを調整することができる。また、培養内に、脂肪酸ポリグリコールエステルのような消泡剤を使用して、気泡生成を抑制することができる。さらには、培養液の好気状態を維持するために、培養液内に、酸素または酸素含有気体(例えば、空気)を注入することができる。培養液の温度は、一般的に20℃ないし45℃、例えば、25℃ないし40℃でもある。培養期間は、所望のキノリン酸の生成量が得られるまで持続することができ、例えば、10ないし160時間でもある。
【0023】
前記培養は、高濃度のL−グルタミン、例えば、15ないし25g/L、または20ないし25g/LのL−グルタミン濃度を含む培地内で培養することでもある。
【0024】
本発明のL−グルタミン生産方法は、培養した微生物または培地からL−グルタミンを回収する段階を含んでもよい。前記微生物または培地からL−グルタミンを回収する方法は、培養方法によって、当該分野に公知された適する方法を利用して、培地から生産されたL−グルタミンを収集または回収することができる。例えば、遠心分離、濾過、陰イオン交換クロマトグラフィ、結晶化及びHPLC(high-performance liquid chromatography)などが使用されるが、それら例に限定されるものではない。
【0025】
以下、本発明について、実施例によってさらに詳細に説明する。しかし、それら実施例は、本発明について例示的に説明するためのものであり、本発明の範囲は、それら実施例によって制限されるものではない。
【実施例】
【0026】
実施例1:L−グルタミン生産用変異株選別
L−グルタミンの生産能が向上した微生物変異株を得るために、下記のような方法を使用して微生物の変異を誘導した。
【0027】
具体的には、親菌株であるコリネバクテリウムグルタミカムKFCC 10680(Corynebacterium glutamicum KFCC 10680、大韓民国特許登録番号第10−0048440号)を、活性化培地(肉汁(beef extract)1%、ポリペプトン(polypeptone)1%、塩化ナトリウム(NaCl)0.5%、酵母エキス(yeast extract)0.5%及び寒天(agar)2%、pH7.2:以下「活性化培地」は、同一組成を有する)(%は、w/v%を示し、以下、実施例の全ての%について同一である)において、16時間培養して得た活性化された菌株を、121℃で15分間滅菌した種培地(ブドウ糖5.0%、バクトペプトン(bactopeptone)1%、塩化ナトリウム(NaCl)0.25%、酵母エキス(yeast extract)1%、ビオチン(biotin)3μg/L及び尿素(urea)0.4%、pH7.0:以下「種培地」は、同一組成を有する)で14時間培養した。培養液5mlを試験管内に取り、8,000rpmで5分間遠心分離し、上澄み液を除去した後、100mMシトレート緩衝溶液(citrate buffer)を添加し、再浮遊させた後、同一に遠心分離して上澄み液を除去することにより、細胞を洗浄した。試験管内の細胞ペレットに、5ml 100mMシトレート緩衝溶液(citrate buffer)を添加して再浮遊させ、ここにNTG(N−methyl−N’−nitro−N−nitrosoguanidine)を最終濃度200mg/Lになるように添加した後、20分間室温で放置した。その後、NTGで処理された細胞を、8,000rpmで5分間遠心分離して上澄み液を除去した後、100mMリン酸緩衝溶液(phosphate buffer)を添加して再浮遊させた後、同一に遠心分離して上澄み液を除去することにより、細胞を洗浄した。次に、得られたNTGで処理された菌株ペレットに種培地5mlを添加して再浮遊させ、それを最小培地(ブドウ糖0.1%、硫酸マグネシウム(MgSO
4・7H
2O)0.04%、リン酸第1カリウム(KH
2PO
4)0.1%、チアミン(thiamine・HCl)0.0001%、ビオチン(biotin)200μg/L及び寒天(agar)(1.5%)、pH7.0:以下「最小培地」は、同一組成を有する)含有プレートに塗抹し、30℃で6日間培養した後、生存細胞をOD600値で測定した。細胞数を測定した結果、細胞死滅率は、85%であった。
【0028】
また、前記洗浄されたNTGで処理された菌株を、L−グルタミン(最終濃度15g/L)が添加された最小培地含有プレートに塗抹し、30℃で6日間培養し、生存細胞コロニーを選択することにより、L−グルタミン耐性変異株を選別した。選別された耐性変異株を、グルタミン生産培地(ブドウ糖4.0%、塩化アンモニウム(NH
4Cl)3.0%、大豆酸加水分解物(soy protein acid hydrolysate)0.3%、炭酸カルシウム(CaCO
3)5%、塩化カルシウム(CaCl
2)0.1%、硫酸マグネシウム(MgSO
4・7H
2O)0.05%、リン酸第1カリウム(KH
2PO
4)0.15%、リン酸第2カリウム(K
2HPO
4)0.15%、尿素(urea)0.3%、チアミン(thiamine・HCl)2mg/L、ビオチン(biotin)5μg/L、硫酸鉄(FeSO
4・7H
2O)20mg/L、硫酸マンガン(MnSO
4・H
2O)20mg/L及び硫酸亜鉛(ZnSO
4・7H
2O)12mg/L、pH6.8:以下「グルタミン生産培地」は、同一組成を有する)25mlを含んだ振盪用三角フラスコに1ループ接種し、30℃で200rmpで振盪しながら、48時間それぞれ培養した。対照群として、親菌株を同一条件で培養した。それらのうち親菌株であるコリネバクテリウムグルタミカムKFCC−10680よりグルタミン生産収率が約10%以上向上したL−グルタミン耐性変異株2種を選別した。
【0029】
前記選別された変異株をコリネバクテリウムグルタミカム(Corynebacterium glutamicum)Gln096及びGln265と命名し、それらを2014年7月3日付けで韓国微生物保存センターに寄託し、それぞれ受託番号KCCM 11553P及びKCCM 11554Pを受けた。
【0030】
実施例2:L−グルタミン生産用変異株のL−グルタミンに対する耐性比較
実施例1で選別された変異株のL−グルタミンに対する耐性を比較するために、親菌株(KFCC 10680)、コリネバクテリウムグルタミカムGln096(KCCM 11553P)及びGln265(KCCM 11554P)を、それぞれL−グルタミンの最終濃度が2.5g/L、10g/L、15g/L、20g/L及び25g/Lで添加された最小培地含有プレートに塗抹し、30℃で6日間培養した。
【0031】
その結果、下記表1で示されているように、親菌株は、15g/LのL−グルタミン濃度において、生育程度が低く、20g/L以上のL−グルタミン濃度では、生育することができない一方、変異株であるコリネバクテリウムグルタミカムGln096(KCCM 11553P)及びGln265(KCCM 11554P)は、15g/LのL−グルタミン濃度でも、依然として生育程度が高く、20g/L以上のL−グルタミン濃度でも、生育可能であり、変異株が高濃度のL−グルタミンに対する耐性を有するということを確認することができた。
【0032】
【表1】
【0033】
実施例3:L−グルタミン生産用変異株のL−グルタミン生産性評価
前記実施例1で得られた変異株コリネバクテリウムグルタミカムGln265(KCCM 11554P)と、変異株コリネバクテリウムグルタミカムGln096(KCCM 11553P)のL−グルタミン生産性を確認するために、下記のような方法で培養し、L−グルタミンを生産した。
【0034】
発酵培地(ブドウ糖10%、塩化アンモニウム(NH
4Cl)4.5%、大豆酸加水分解物(soy protein acid hydrolysate)0.5%、炭酸カルシウム(CaCO
3)5%、塩化カルシウム(CaCl
2)0.1%、硫酸マグネシウム(MgSO
4・7H
2O)0.05%、リン酸第1カリウム(KH
2PO
4)0.15%、リン酸第2カリウム(K
2HPO
4)0.15%、尿素(urea)0.3%、チアミン(thiamine・HCl)2mg/L、ビオチン(biotin)5μg/L、硫酸鉄(FeSO
4・7H
2O)20mg/L、硫酸マンガン(MnSO
4・H
2O)20mg/L及び硫酸亜鉛(ZnSO
4・7H
2O)12mg/L、pH6.8:以下「発酵培地」は、同一組成を有する)20mlを、250ml振盪用三角フラスコに分注し、121℃で15分間滅菌した後、30℃活性化培地で16時間培養し、活性化された菌株(KFCC 10680、Gln096及びGln265)を、前記発酵培地にそれぞれ1ループずつ接種し、30℃で48時間200rpmで撹拌しながら培養した。培養終了後、細胞を除去した培地上澄み液中に存在するL−グルタミンを、YSI 7100 Multiparameter Bioanalytical System(YSI Inc)を使用して測定し、その結果を下記表2に示した。
【0035】
【表2】
【0036】
前記表2から分かるように、親菌株であるコリネバクテリウムグルタミカムKFCC 10680は、12.6g/Lの濃度でL−グルタミンを生産したが、本発明による変異株コリネバクテリウムグルタミカムGln096は、13.8g/Lの濃度でL−グルタミンを生産し、親菌株に比べ、約9.5%以上L−グルタミン生産性が上昇したということを確認した。また、変異株コリネバクテリウムグルタミカムGln265は、14.1g/Lの濃度でL−グルタミンを生産し、親菌株に比べ、約11%以上L−グルタミン生産性が上昇したということを確認した。
【受託番号】
【0037】
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM 11553P
受託日時:20140703
寄託機関名:韓国微生物保存センター(国外)
受託番号:KCCM 11554P
受託日時:20140703
【0038】
【0039】
【0040】