(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483268
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】パイルフレームおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
E02D 7/00 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
E02D7/00 Z
【請求項の数】9
【全頁数】12
(21)【出願番号】特願2017-537437(P2017-537437)
(86)(22)【出願日】2015年3月17日
(65)【公表番号】特表2018-504539(P2018-504539A)
(43)【公表日】2018年2月15日
(86)【国際出願番号】CN2015074364
(87)【国際公開番号】WO2016112585
(87)【国際公開日】20160721
【審査請求日】2017年7月14日
(31)【優先権主張番号】201510021701.8
(32)【優先日】2015年1月16日
(33)【優先権主張国】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513079719
【氏名又は名称】サンワード インテリジェント イクイップメント カンパニー リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUNWARD INTELLIGENT EQUIPMENT CO., LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100108833
【弁理士】
【氏名又は名称】早川 裕司
(74)【代理人】
【識別番号】100162156
【弁理士】
【氏名又は名称】村雨 圭介
(72)【発明者】
【氏名】銭奐雲
(72)【発明者】
【氏名】陳梓林
(72)【発明者】
【氏名】史筱暉
(72)【発明者】
【氏名】李海艦
(72)【発明者】
【氏名】▲でん▼超
(72)【発明者】
【氏名】劉進学
(72)【発明者】
【氏名】曽素
(72)【発明者】
【氏名】張峰
【審査官】
西田 光宏
(56)【参考文献】
【文献】
特開2001−040663(JP,A)
【文献】
実開昭57−026448(JP,U)
【文献】
実開昭62−060631(JP,U)
【文献】
特開平06−219684(JP,A)
【文献】
特開平11−166386(JP,A)
【文献】
特開平05−195681(JP,A)
【文献】
米国特許第05269107(US,A)
【文献】
実開昭58−176188(JP,U)
【文献】
特開平03−208913(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E02D 7/00
E02D 7/16
E21B 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支柱(3)と、機体(2)と、傾斜支持体(4)とを備え、支柱(3)が機体(2)の前端にヒンジ止めされているパイルフレームであって、
前記傾斜支持体(4)の少なくとも一端に第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が設けられ、
前記傾斜支持体(4)の一端は前記支柱(3)にヒンジ止めされ、
直線フレーム(6)の一端及び第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端はそれぞれ前記機体(2)にヒンジ止めされ、
前記機体(2)にロック孔(12)が設けられ、
前記傾斜支持体(4)、前記直線フレーム(6)の他端及び前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の他端はいずれも一つのヒンジ孔(11)にヒンジ止めされ、
一つのピンで前記ヒンジ孔(11)と前記ロック孔(12)を互いにロックすることができ、
前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置と前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が伸縮シリンダーであり、
前記伸縮シリンダーが多段伸縮型の複合式シリンダーであることを特徴とするパイルフレーム。
【請求項2】
前記傾斜支持体(4)の一端がスライド構造(8)にヒンジ止めされ、
前記スライド構造(8)が前記支柱(3)のガイドレールを自在にスライドすることができ、且つピンで前記スライド構造(8)を前記支柱(3)にロックすることができることを特徴とする請求項1に記載のパイルフレーム。
【請求項3】
前記直線フレーム(6)の一端が前記機体(2)の前端ラグ板にヒンジ止めされ、
前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端が前記機体(2)の後端ラグ板にヒンジ止めされ、
前記ロック孔(12)が前記機体(2)の中部に設けられていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパイルフレーム。
【請求項4】
前記傾斜支持体(4)の一端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第1の伸縮シリンダー(10)であり、
前記第1の伸縮シリンダー(10)の一端が前記ヒンジ孔(11)にヒンジ止めされていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパイルフレーム。
【請求項5】
前記直線フレーム(6)の一端が前記機体(2)の前端ラグ板にヒンジ止めされ、
前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端が前記機体(2)の中部ラグ板にヒンジ止めされ、
前記ロック孔(12)が前記機体(2)の後端に設けられていることを特徴とする請求項1に記載のパイルフレーム。
【請求項6】
前記傾斜支持体(4)の一端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第2の伸縮シリンダー(9)であり、且つ前記第2の伸縮シリンダー(9)が前記支柱(3)にヒンジ止めされ、
前記傾斜支持体(4)の他端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第1の伸縮シリンダー(10)であり、
前記第1の伸縮シリンダー(10)の一端が前記ヒンジ孔(11)にヒンジ止めされていることを特徴とする請求項5に記載のパイルフレーム。
【請求項7】
前記直線フレーム(6)の一端が機体(2)の前端ラグ板にヒンジ止めされ、
前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端が前記機体(2)の中部ラグ板にヒンジ止めされ、
前記ロック孔(12)が前記機体(2)の後端に設けられていることを特徴とする請求項2に記載のパイルフレーム。
【請求項8】
前記傾斜支持体(4)の一端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第2の伸縮シリンダー(9)であり、且つ前記第2の伸縮シリンダー(9)が前記スライド構造(8)にヒンジ止めされ、
前記傾斜支持体(4)の他端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第1の伸縮シリンダー(10)であり、
前記第1の伸縮シリンダー(10)の一端が前記ヒンジ孔(11)にヒンジ止めされていることを特徴とする請求項7に記載のパイルフレーム。
【請求項9】
マストを立てるときにリフトシリンダーが収縮し、所定位置、すなわち前記傾斜支持体と、前記直線フレームと、前記リフトシリンダーとの三者のヒンジ点が前記機体にある前記ロック孔の固定位置に移動したとき、ピンで前記ヒンジ孔と前記ロック孔とを互いにロックして固定することで前記リフトシリンダーがロックされた状態となり、さらに伸縮シリンダーを調整することで支柱を垂直状態に順調に引っ張り、または、まず前記伸縮シリンダーを収縮させ、それが限界位置に達したときに前記リフトシリンダーを収縮させ、前記傾斜支持体と、前記直線フレームと、前記リフトシリンダーとの三者のヒンジ点が前記機体にある前記ロック孔の固定位置に移動したとき、ピンで前記ヒンジ孔と前記ロック孔とを互いにロックして固定することで前記リフトシリンダーがロックされた状態となり、その後、前記伸縮シリンダーを調整することで前記支柱を垂直状態にし、前記マストを横に倒す場合は前記作業とは逆の作業を行い、
前記リフトシリンダー及び前記伸縮シリンダーが多段伸縮型の複合式シリンダーであることを特徴とする請求項1に記載のパイルフレームを組み立てる方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パイルフレーム(Pile Frame)に関し、特に外力の助けなしに自らマストを立てることができるパイルフレームに関する。また、本発明はこのパイルフレームの組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
パイルフレームは建築基礎工事に不可欠な機械設備である。各種の杭打機、ドリル機などの基礎工事機械は、いずれもパイルフレームに吊り下げて取り付けられて工事する必要がある。クローラパイルフレームは各種のパイルフレーム中の一種であり、クローラ走行で移動し、柔軟で便利であるという特徴を有するため、建築基礎工事に幅広く使われている。クローラパイルフレームは通常、シャーシー、機体、支柱、傾斜支持体及び動力油圧システムなどからなり、その支柱が長いため(通常20〜40m)、新しい工事現場へ長距離搬送する場合は、支柱に対してマストを横に倒して解体し、新しい工事現場に着いた後改めてマストを立てて取り付ける必要がある。このため、クローラパイルフレームの支柱のマスト倒し、マスト立て作業はクローラパイルフレームの組立時において重要な作業の一つである。現在、このような公知の(例えば機械工業出版社が出版した「杭打機械」の第5章に発表された)クローラパイルフレームおよびその組立方法は以下のいくつの種類がある。
【0003】
一番目はクレーンにより作業を補助し、マスト立て用巻上げ機で滑車装置を駆動してマストを立てるパイルフレームである。まずは好適なクレーンを選択して、クレーンの駐車位置が適切であるよう注意しながら(マシーンの右側の適切な位置を薦める)、メインクレーンで支柱アセンブリの耳金を吊り、補助クレーンをメインクレーンの反対側に置くとともに、補助クレーンでまずこの側の突っ張り棒(左側の突っ張り棒を薦める)を吊る(詳しくは
図1、
図2、
図3、
図4、
図5及び
図6を参照)。
【0004】
メインクレーンで支柱を持ち上げるとともに、フレーム直立用巻上げ機を起動して、フレーム直立用ロープをゆっくり張り、フレーム直立用巻上げ機とクレーンの同期を保証する。支柱を45°以上まで吊った後、フレーム直立用巻上げ機により主動的に支柱をゆっくり引っ張り始め、メインクレーンが追従して同期し、支柱が水平線に対しておよそ75〜80°ほどになったとき、フレーム直立用巻上げ機にブレークをかけ、フレーム直立を停止する。突っ張り棒のシリンダーの油管のスイッチを入れ、突っ張り棒を吊っているボールカップ(ball cup)を補助クレーンにより固定位置に位置合わせ、伸縮シリンダーのピストンロッドを差し伸ばし、ボルトで伸縮シリンダーのボールカップを取付位置に固定し、その後補助クレーンのフックを取り外して反対側に補助クレーンを移動させ、同じ作業を繰り返すことで、反対側の突っ張り棒を取り付ける。2つの伸縮シリンダーのボールカップを取り付けた後、メインクレーンのフックを取り外し、フレーム直立用巻上げ機をブレーキ停止状態のままとして、その代わりに突っ張り棒のシリンダーの収縮によりフレーム直立工程を引き続ける。左右の突っ張り棒のシリンダーの収縮を操作することにより、パイルフレーム全体を90°の作業可能状態に引っ張る。
【0005】
上記方法でマストを立てる場合、2台のクレーンが必要である上に、マスト立て用巻上げ機の作業と傾斜支持体の解体も必要であり、マストを立てる過程が複雑でコストも高い。
【0006】
二番目は巻上げ機で滑車装置を駆動してマストを立てるパイルフレームである。このパイルフレームについては、マストを立てる前に現場の周辺が安全でマスト立て作業に適することを保証するように、鋼板をマシンの下に当てることが必要である。パイルフレーム前後のケーシング脚を完全に開けて伸びさせることにより、機械の安定性を向上させる。中速回転数でマスト立て用巻き上げ機のハンドルをゆっくり後ろに引いて支柱を立て始め、リフティング用テンションロープがぴんと張って停止するまで引き上げ、接合具、接続ロープ、カラー、ピン等のそれぞれが堅固に信頼できる状態かどうかをチェックする。支柱を100〜200mmごとに引き上げてから、ブレークをかけることで、制動の確実性を観察し、このような作業を何回か繰り返すことでリフティングを引き続けることができる。支柱が78°〜82°に上がったときに、ラフィング(luffing)巻き上げ機のハンドルを中立位置に回復させる。傾斜支持体を取り付け、取り付けた後に左右の傾斜支持体のシリンダー(左右のシリンダーの動作を基本的に同期させるように注意すべきであり、さもなければ支柱を破壊し、深刻な場合は機械全体を転覆させることもある)のボタンを操作し、支柱を垂直になるよう調整する(マストを立てる過程は
図2、
図3、
図4、
図5及び
図6を参照、クレーンを利用する必要はない)。
【0007】
上記方法でマストを立てる場合、まず対象のパイルフレームの重量が大きすぎてはならず、さもなければ巻上げ機だけで自らマストを立てる事ができない。次に、巻上げ機でマストを立てる作業の安全性が不十分である。
【0008】
三番目は、マストの高さが低い場合であれば、1組のシリンダーを採用してマストを倒す/立てる作業を行うことができる。支柱、シリンダー及び機体をヒンジ止めして大きな三角形状を形成し、シリンダーの収縮によって支柱の垂直度を調整する(詳しくは
図7を参照)。この方法でマストを立てるパイルフレームは、その支柱の高さが高すぎてはならず、支点が低く、安定性が低い。
【0009】
このため、大型パイルフレームのマストを立てるときの操作について、その簡便性と安全性の向上は、本技術領域で早急に解決しなければならない課題である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明が解決する第1の課題は、自らマストを立てることができ、マストを立てる過程が簡単で安全性が高いパイルフレームを提供することである。
【0011】
本発明が解決する第2の課題は、このパイルフレームの、マストを立てる過程が簡単で安全性が高い組立方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
上記第1の課題を解決するために、本発明は、支柱と、機体と、傾斜支持体とを備え、前記支柱は前記機体の前端にヒンジ止めされ、前記傾斜支持体の少なくとも一端に第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が設けられ、前記傾斜支持体の一端は前記支柱にヒンジ止めされ、直線フレームの一端及び第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端はそれぞれ前記機体にヒンジ止めされ、前記機体にロック孔が設けられ、前記傾斜支持体、前記直線フレームの他端及び前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の他端はいずれも一つのヒンジ孔にヒンジ止めされ、一つのピンで前記ヒンジ孔と前記ロック孔を互いにロックすることができるパイルフレームを提供する。
【0013】
前記傾斜支持体の一端がスライド構造にヒンジ止めされ、前記スライド構造が前記支柱のガイドレールを自在にスライドすることができ、且つピンで前記スライド構造を前記支柱にロックすることができてもよい。
【0014】
前記直線フレームの一端が前記機体の前端ラグ板にヒンジ止めされ、前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端が前記機体の後端ラグ板にヒンジ止めされ、前記ロック孔が前記機体の中部に設けられていてもよい。
【0015】
前記傾斜支持体の一端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第1の伸縮シリンダーであり、前記第1の伸縮シリンダーの一端が前記ヒンジ孔にヒンジ止めされていてもよい。
【0016】
前記直線フレームの一端が前記機体の前端ラグ板にヒンジ止めされ、前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端が前記機体の中部ラグ板にヒンジ止めされ、前記ロック孔が前記機体の後端に設けられていてもよい。
【0017】
前記傾斜支持体の一端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第2の伸縮シリンダーであり、且つ前記第2の伸縮シリンダーが前記支柱にヒンジ止めされ、前記傾斜支持体の他端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第1の伸縮シリンダーであり、前記第1の伸縮シリンダーの一端が前記ヒンジ孔にヒンジ止めされていてもよい。
【0018】
前記直線フレームの一端が前記機体の前端ラグ板にヒンジ止めされ、前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置の一端が前記機体の中部ラグ板にヒンジ止めされ、前記ロック孔が前記機体の後端に設けられていてもよい。
【0019】
前記傾斜支持体の一端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第2の伸縮シリンダーであり、且つ前記第2の伸縮シリンダーが前記スライド構造にヒンジ止めされ、前記傾斜支持体の他端における前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が第1の伸縮シリンダーであり、前記第1の伸縮シリンダーの一端が前記ヒンジ孔にヒンジ止めされていてもよい。
【0020】
前記第1の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置と前記第2の主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置が伸縮シリンダーであり、前記伸縮シリンダーが多段伸縮型の複合式シリンダーであってもよい。
【0021】
上記第2の課題を解決するために、本発明は、マストを立てるときにリフトシリンダーが収縮し、所定位置、すなわち、傾斜支持体と、直線フレームと、リフトシリンダーとの三者のヒンジ点が機体にあるロック孔の固定位置に移動したとき、ピンでヒンジ孔とロック孔を互いにロックして固定することでリフトシリンダーがロックされた状態となり、更に伸縮シリンダーを調整することで支柱を垂直状態に順調に引っ張り、または、まず伸縮シリンダーを収縮させ、それが限界位置に達したときにリフトシリンダーを収縮させ、傾斜支持体と、直線フレームと、リフトシリンダーとの三者のヒンジ点が機体にあるロック孔の固定位置に移動したとき、ピンでヒンジ孔とロック孔を互いにロックして固定することでリフトシリンダーがロックされた状態となり、その後、伸縮シリンダーを調整することで支柱を垂直状態にし、マストを横に倒す場合は前記作業とは逆の作業を行う、パイルフレームの組立方法を提供する。
【0022】
上記技術案におけるパイルフレームとその組立方法によれば、傾斜支持体と、直線フレームと、リフトシリンダーとの三者が一点にヒンジ止めされ、且つ機体に固定することができる。傾斜支持体の他端は支柱にヒンジ止めされ、且つ支柱のガイドレールをスライドすることができ、傾斜支持体の一端または両端が伸縮シリンダーであることにより傾斜支持体の伸縮をコントロールすることができ、その一端が支柱のガイドレールをスライドする時に、限界位置でピンにより固定される。リフトシリンダーの他端が機体にヒンジ止めされ、リフトシリンダーがこの固定ヒンジ点で自在に揺れることができ、且つ伸縮可能であることにより傾斜支持体と直線フレームの揺動をコントロールすることができる。マストを立てるときにリフトシリンダーが収縮し、所定位置、すなわち傾斜支持体と、直線フレームと、リフトシリンダーとの三者のヒンジ点が機体にある固定位置に移動したとき、ピンを固定することでリフトシリンダーがロックされた状態となり、更に伸縮シリンダーを調整することで支柱を垂直状態に順調に引っ張ることができる。また、まず伸縮シリンダーを収縮させ、それが限界位置に達したときにリフトシリンダーを収縮させ、傾斜支持体と、直線フレームと、リフトシリンダーとの三者のヒンジ点が機体にある固定位置に移動したとき、ピンを固定した後、リフトシリンダーがロックされた状態となり、その後伸縮シリンダーを調整することで支柱を垂直状態にすることができる。
【発明の効果】
【0023】
本発明のメリットは、構造と操作過程が簡単であり、他の補助機械を必要とせずに、マストを立てるコストを下げることができ、巻上げ機を利用してマストを立てる必要もなく、安定性が高いことである。
【0024】
要するに、本発明は自らマストを立てることができ、マストを立てる過程が簡単で安全性が高いパイルフレームである。その組立方法は操作が簡単で安定性も高いマスト立て方法であるので、効果的にコストを削減するとともに、機械の運転効率を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
本発明の一部を構成する図面は本発明をさらに理解するためのものであり、本発明の例示的な実施例及びその説明は本発明を解釈するためのものであり、本発明を限定するためのものではない。
【0026】
【
図1】従来のパイルフレームが巻上げ機と補助クレーン等を利用してマストを立てる模式図。
【
図2】
図1に示すパイルフレームのマストを立てる過程のステップ1の模式図。
【
図3】
図1に示すパイルフレームのマストを立てる過程のステップ2の模式図。
【
図4】
図1に示すパイルフレームのマストを立てる過程のステップ3の模式図。
【
図5】
図1に示すパイルフレームのマストを立てる過程のステップ4の模式図。
【
図6】
図1に示すパイルフレームのマストを立てる過程のステップ5の模式図。
【
図7】従来のパイルフレームが1組のシリンダーを利用してマストを立てる模式図。
【
図8】本発明の第1実施形態のパイルフレームの構造の模式図。
【
図9】本発明の第1実施形態のパイルフレームのマストを立てる過程のステップ1の模式図。
【
図10】本発明の第1実施形態のパイルフレームのマストを立てる過程のステップ2の模式図。
【
図11】本発明の第1実施形態のパイルフレームのマストを立てる過程のステップ3の模式図。
【
図12】本発明の第2実施形態のパイルフレームの構造の模式図。
【
図13】本発明の第2実施形態のパイルフレームのマストを立てる過程のステップ1の模式図。
【
図14】本発明の第2実施形態のパイルフレームのマストを立てる過程のステップ2の模式図。
【
図15】本発明の第2実施形態のパイルフレームのマストを立てる過程のステップ3の模式図。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面と実施例を参照しながら、本発明をさらに説明する。
【0029】
図8に示すように、パイルフレームは、クローラ走行装置を備えるシャーシー1と、機体2と、支柱3と、傾斜支持体4と、動力油圧システム5とを含む。支柱3は機体2の前端にヒンジ止めされ、直線フレーム6の一端が機体2の前端ラグ板にヒンジ止めされ、且つこのヒンジ点を巡って自在に揺れることができ、リフトシリンダー7の一端が機体2の後端ラグ板にヒンジ止めされ、且つこのヒンジ点を巡って自在に揺れることができ、傾斜支持体4の一端が支柱3にヒンジ止めされ、または傾斜支持体4の一端がスライド構造8にヒンジ止めされ、スライド構造8が支柱3のガイドレールを自在にスライドすることができ、ピンでスライド構造8と支柱3をロックすることができる。傾斜支持体4の他端が第1の伸縮シリンダー10であり、機体2の中部にロック孔12が設けられ、第1の伸縮シリンダー10、直線フレーム6の他端及びリフトシリンダー7の他端がいずれも一つのヒンジ孔11にヒンジ止めされ、一つのピンでヒンジ孔11とロック孔12を互いにロックすることができる。
【0030】
図8、
図9、
図10及び
図11に示すように、リフトシリンダー7の伸縮を利用して、直線フレーム6を揺動させ、傾斜支持体4を介して支柱3を動作させることができ、第1の伸縮シリンダー10の伸縮で支柱3の角度を調整することができる。マストを立てるときにリフトシリンダー7が収縮し、所定位置、すなわち傾斜支持体4と、直線フレーム6と、リフトシリンダー7との三者のヒンジ点が機体2の中部にあるロック孔12の固定位置に移動したとき、ピンでヒンジ孔11とロック孔12を互いにロックして固定することでリフトシリンダー7がロックされた状態となり、更に第1の伸縮シリンダー10を調整することで支柱3を垂直状態に順調に引っ張ることができる。または、まず第1の伸縮シリンダー10を収縮させ、それが限界位置に達したときにリフトシリンダー7を収縮させ、傾斜支持体4と、直線フレーム6と、リフトシリンダー7との三者のヒンジ点が機体2の中部にあるロック孔12の固定位置に移動したとき、ピンでヒンジ孔11とロック孔12を互いにロックして固定することでリフトシリンダー7がロックされた状態となり、その後、第1の伸縮シリンダー10を調整することで支柱3を垂直状態にする。マストを横に倒す場合は上記作業とは逆の作業を行う。
【0032】
図12に示すように、パイルフレームは、クローラ走行装置を備えるシャーシー1と、機体2と、支柱3と、傾斜支持体4と、動力油圧システム5とを含む。支柱3は機体2の前端にヒンジ止めされ、直線フレーム6の一端が機体2の前端ラグ板にヒンジ止めされ、且つこのヒンジ点を巡って自在に揺れることができ、リフトシリンダー7の一端が機体2の中部ラグ板にヒンジ止めされ、且つこのヒンジ点を巡って自在に揺れることができ、傾斜支持体4の一端が支柱3にヒンジ止めされ、または傾斜支持体4の一端が第2の伸縮シリンダー9であり、且つこの第2の伸縮シリンダー9がスライド構造8にヒンジ止めされ、スライド構造8が支柱3のガイドレールを自在にスライドすることができ、ピンでスライド構造8を支柱3にロックすることができる。傾斜支持体4の他端が第1の伸縮シリンダー10であり、機体2の後端にロック孔12が設けられ、第1の伸縮シリンダー10と、直線フレーム6の他端及びリフトシリンダー7の他端がいずれも一つのヒンジ孔11にヒンジ止めされ、一つのピンでヒンジ孔11とロック孔12を互いにロックすることができる。
【0033】
図12、
図13、
図9及び
図15に示すように、リフトシリンダー7の伸縮を利用して、直線フレーム6を揺動させ、傾斜支持体4を介して支柱3を動作させることができ、第1の伸縮シリンダー10と第2の伸縮シリンダー9の伸縮で支柱3の角度を調整することができる。マストを立てるときに第2の伸縮シリンダー9が収縮し、所定位置に達したときにリフトシリンダー7を収縮させ、傾斜支持体4と、直線フレーム6と、リフトシリンダー7との三者のヒンジ点が機体2の後端に設けられたロック孔12の固定位置に移動したとき、ピンでヒンジ孔11とロック孔12を互いにロックして固定することでリフトシリンダー7がロックされた状態となり、更に第1の伸縮シリンダー10を調整することで支柱3を垂直状態に順調に引っ張ることができる。マストを横に倒す場合は上記作業とは逆の作業を行う。
【0034】
以上は本発明の好適な実施例に過ぎず、当業者にとって、本発明に対して様々な変更や改良を加えることができる。本発明の精神と原則を逸脱せずに行ったいかなる修正、同等置換、改良等は、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。例えば、第1実施形態における傾斜支持体4の上端に第2実施形態における第2の伸縮シリンダー9を追加し、スライド構造8にヒンジ止めするようにしてもよく、且つそれは伸縮シリンダーに限らず、主動的または受動的な伸縮機能を有する伸縮装置であってもよい。本発明における伸縮シリンダーは、多段伸縮型の複合式シリンダーであってもよい。