(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記7xxxアルミニウム合金板の7xxxアルミニウム合金が、7075、7010、7040、7050、7055、7150、7085、7016、7020、7021、7022、7029、または7039である、請求項1〜6のいずれかに記載の方法。
工程g)の後に、前記アルミニウム合金板を180℃の温度に加熱することと、前記アルミニウム合金板を180℃の温度で0.5時間の期間維持することと、をさらに含む、請求項12に記載の方法。
前記7xxxアルミニウム合金板の7xxxアルミニウム合金が、7075、7010、7040、7050、7055、7150、7085、7016、7020、7021、7022、7029、または7039である、請求項14〜17のいずれかに記載の方法。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図1】画定された期間及び温度での単一の加熱工程、及びその後の室温での自然時効の、降伏強度(MPa単位のY.S)及び伸長(EL%)における効果を示す。
【
図2】画定された期間及び温度での2工程加熱後の、降伏強度(MPa単位のY.S)及び伸長(EL%)における二重時効反応を示す。
【
図3】70℃で6時間の第1の加熱工程、及びその後の150℃で1時間もしくは6時間、または175℃で1時間もしくは6時間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図4】100℃で1時間の第1の加熱工程、及びその後の150℃で1時間もしくは6時間、または175℃で1時間もしくは6時間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図5】100℃で6時間の第1の加熱工程、その後150℃で1時間もしくは6時間または175℃で1時間もしくは6時間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図6】120℃で1時間の第1の加熱工程、及びその後の150℃で1時間もしくは6時間、または175℃で1時間もしくは6時間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図7】100℃で1時間の第1の加熱工程、及びその後の、従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図8】120℃で1時間の第1の加熱工程、及びその後の、従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図9】70℃で6時間の第1の加熱工程、及びその後の、従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図10】110℃で6時間の第1の加熱工程、及びその後の、従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図11】125℃で6時間の第1の加熱工程、及びその後の、従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図12】125℃で24時間(T6条件)の第1の加熱工程、及びその後の、従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の加熱工程を有する、2工程時効処理の略図である。第2の加熱工程は、第1の工程の直後または3時間後に生じた。降伏強度及び伸長への効果が示される。特性は、室温で測定された。
【
図13】100℃で1時間の第1の加熱工程、その後の150℃で1時間の第2の加熱工程、及び従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第3の加熱工程を有する、3工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図14】120℃で1時間の第1の加熱工程、その後の150℃で1時間の第2の加熱工程、及び従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第3の加熱工程を有する、3工程時効処理の略図である。降伏強度及び伸長への効果が示される。
【
図15】110℃で6時間の第1の加熱工程、及びその後の室温への空気冷却(−−−−線)または50℃の目標温度への1時間当たり3℃の速度での冷却(−−・−−・−−線)を有する、1工程時効処理の略図である。T4条件での、降伏強度及び伸長における効果が示される。
【
図16】125℃で6時間の第1の加熱工程、及びその後の室温への空気冷却(−−−−線)または50℃の目標温度への1時間当たり3℃の速度での冷却(−−・−−・−−線)を有する、1工程時効処理の略図である。T4条件での、降伏強度及び伸長における効果が示される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
定義及び説明
本明細書で使用される場合、「発明」、「本発明」、「この発明」、「現在の発明」は、本特許出願及び下記の特許請求項の主題の全てを広く指すことが意図される。これらの用語を含む陳述は、本明細書に記載される主題を限定する、または下記の特許請求項の意味もしくは範囲を限定すると理解されるべきではない。
【0018】
本発明を実施する形態において、AA番号及び「系」等の他の関連する呼称によって特定される合金が参照される。アルミニウム及びその合金の命名及び特定において最も一般的に使用される番号呼称体系の理解には、いずれもThe Aluminum Association出版の『International Alloy Designations and Chemical Composition Limits for Wrought Aluminum and Wrought Aluminum Alloys』または『RegistrationRecord of Aluminum Association Alloy Designations and Chemical Compositions Limits for Aluminum Alloys in the Form of Castings and Ingot』を参照されたい。
【0019】
本明細書で使用される場合、「1つの(a)」、「1つの(an)」、及び「その(the)」の意味は、文脈が別途明確に述べない限り、単数及び複数の指示物を含む。
【0020】
本発明は、7xxx合金を処置して、時効を加速させ、所望の強度及び延性を実現する処理を提供する。いくつかの実施形態では、溶体化熱処理(SHT)の後、7xxx合金板は、1つの時効工程において、130℃〜150℃の範囲の温度に1〜5時間の期間加熱される。他の実施形態では、SHTの後、7xxx合金板は、第1の時効工程において、50℃〜120℃の範囲の温度に0.5〜6時間の期間(または70℃〜120℃に1〜6時間の期間)加熱され、合金板は、第2の時効工程において、150℃〜175℃の温度に1〜6時間の期間加熱される。あるいは、第1の加熱工程の後、合金板は、180℃の塗料焼付け温度に30分間晒される。なおもさらなる実施形態では、SHTの後、7xxx合金板は、100℃〜120℃の温度で1時間の期間の第1の時効工程、150℃で1時間の期間の第2の工程、及び180℃の温度で30分間の第3の工程を有する、3つの連続的な時効工程において加熱される。
【0021】
本出願における全ての挙げられる温度及び温度範囲は、範囲の上限及び加減に±5℃を含み得ることが理解されるべきである。したがって、例えば、第1の時効工程において上記に挙げられた70℃〜120℃の範囲は、65℃〜125℃、70℃〜125℃、75℃〜125℃、65℃〜120℃、75℃〜120℃、65℃〜115℃、70℃〜115℃、及び75℃〜115℃もまた含む。
【0022】
研究室の窯で挙げられた温度に到達するのに、およそ2分間が必要とされた。産業設定における溶体化熱処理(CASH)の直後に予備時効工程においてこの概念を使用することは、板が予備時効窯を通過する際に、板を比較的速く加熱することを意味する。その場合における所望の温度への加熱時間は、より速く1分間未満である。しかしながら、コイルに別々に2工程時効処理が用いられる場合、窯の構成及びその初期設定温度に応じて、コイルを所望の温度まで加熱するのにおそらく約6時間が必要である。
【0023】
様々な7xxx合金が本処理において用いられ得、7075、7010、7040、7050、7055、7150、7085、7016、7020、7021、7022、7029、及び7039が挙げられるがこれらに限定されない。本出願において試験及び提示された7075合金試料は、2mmゲージの圧延板であった。用いられた試験方法は、ASTM B557−10:TYS、UTS、n、r、UE、全伸長、応力歪み曲線(http://www.astm.org/DATABASE.CART/HISTORICAL/B557−10.htm)に従い、当業者に既知である。
【0024】
本明細書で提供されるいくつかの実施形態では、7xxx合金は室温から50秒間で480℃の溶体化熱処理(SHT)温度に加熱され、480℃で90秒間維持され、次いで450℃に冷却され、次いで1秒当たり150℃超の冷却速度で室温に急速冷却される。次に、第1の工程時効が生じる。板は約2分間で選択された温度に加熱される。この2分間加熱工程は実験室規模の試料に適用され、産業規模における加熱は、当業者に一般的に既知のように追加的な時間を必要とし得ることに留意されたい。
【0025】
単一の時効工程の実施形態については、1または5時間の期間について130℃及び150℃の温度が試験された。
【0026】
2時効工程の実施形態については、70℃、100℃、110℃、120℃、及び125℃の第1の工程温度が試験された。これらの温度のうちのほとんどが、1または6時間の期間について試験された。いくつかの実施形態では、工程1の1または6時間の期間の後、次いで試料は150℃または175℃の目標温度に加熱され、1または6時間の期間維持された。他の実施形態では、工程1の1時間の期間または6時間の期間の後、次いで試料は、自動車産業における塗料焼付け条件で通常なされるように、180℃の温度に約30分間加熱された。塗料焼付け温度条件は、本明細書で説明される場合、180℃の温度で約30分間加熱することを意味する。
【0027】
3時効工程の実施形態については、100℃及び120℃の第1の工程温度が1時間の期間について試験され、その後1時間の150℃の第2の工程温度、その後30分間の180℃の第3の工程温度が続いた。
【0028】
7xxxアルミニウム合金板において所望の降伏強度及び伸長を達成するための、本発明のある方法は、概して、
a)板を450℃〜510℃の温度に急速加熱することと、
b)板を450℃〜510℃で、最大20分間維持することと、
c)1秒当たり50℃超で、板を室温に急速冷却することと、
d)板を約50℃〜150℃の間の温度に加熱することと、
e)板を約50℃〜150℃の間の温度で、約0.5〜6時間の期間維持することと、
f)板を約150℃〜200℃の間の温度に加熱することと、
g)板を約150℃〜200℃の間の温度で、約0.5〜6時間の期間維持することと、を含む。
【0029】
本発明の別の実施形態では、7xxxアルミニウム合金板において所望の降伏強度及び伸長を達成する方法は、
a)約450℃〜510℃の温度に急速加熱することと、
b)板を450℃〜510℃で最大20分間維持することと、
c)1秒当たり50℃超で、板を室温に急速冷却することと、
d)約110℃〜約125℃の温度に加熱することと、
e)板を約110℃〜約125℃の温度で約6時間の期間維持することと、
f)板を約180℃の温度に加熱することと、
g)板を約180℃の温度で約0.5時間の期間維持することと、を含む。
【0030】
本発明の別の実施形態では、7xxxアルミニウム合金板において所望の降伏強度及び伸長を達成する方法は、
a)約450℃〜510℃の温度に急速加熱すること、
b)板を450℃〜510℃で最大20分間維持すること、
c)1秒当たり50℃超で、板を室温に急速冷却すること、
d)板を約130℃〜約150℃の温度に加熱すること、
e)板を約130℃〜約150℃の温度で約1〜5時間の期間維持することを含む。
【0031】
本発明の別の実施形態では、7xxxアルミニウム合金板において所望の降伏強度及び伸長を達成する方法は、
a)約450℃〜510℃の温度に急速加熱することと、
b)板を450℃〜510℃で最大20分間維持することと、
c)1秒当たり50℃超で、板を室温に急速冷却することと、
d)板を約100℃〜約120℃の温度に加熱することと、
e)板を約100℃〜約120℃の温度で約1時間の期間維持することと、
f)板を約150℃の温度に加熱することと、
g)板を約150℃の温度で約1時間の期間維持することと、
h)板を約180℃の温度に加熱することと、
g)板を約180℃の温度で約0.5時間の期間維持することと、を含む。
【0032】
以下の組成物、5.68重量%のZn、2.45重量%のMg、1.63重量%のCu、0.21重量%のCr、0.08重量%のSi、0.12重量%のFe、及び0.04重量%のMn、残りはAlを有する鋳塊が鋳造された。一滴当たり2つの鋳塊が鋳造された。鋳塊の寸法は以下380mm×1650mm×4100mmの通りであった。鋳塊は、2×10mmの深さで剥がれた。鋳塊は、以下の2段階処理において均質化された。それらはまず8時間で465℃まで加熱され、次いで480℃で10時間浸漬された。
【0033】
圧延処理は産業規模で以下の通り実施された。鋳塊は、420℃+/−10℃(金属温度(MT))に0〜6時間の期間加熱された。連続的な高温圧延が350〜400℃の温度範囲で実施された。高温圧延板の出口ゲージは10.5mmであった。次いで低温圧延が10.5mmから6.3mmから4mmから2.9mmから最終的に最終ゲージの2mmへ、間に中間焼鈍を実施せずに4つのパスで続いた。2つの鋳塊からの2つのコイルは同一の特性を示した。したがって、試験は板のうちの1つで実施された。本明細書に提示される溶体化熱処理及び時効実践を実行するために、この2mm圧延板から引張試料が採取された。
【0034】
AA7045合金は、470℃で20分間の溶体化熱処理及び水急冷の後、単一の時効工程に晒された。単一の時効工程は、130℃〜150℃の範囲の温度で1〜5時間の期間である。実施形態では、少なくとも400MPaの降伏強度が実現された。実施形態では、少なくとも470の降伏強度が実現された。実施形態では、少なくとも5%の伸長が実現された。表1は、降伏強度(MPa単位のY.S)、極限引張強度(MPa単位のRm)、均一伸長(%単位のAg)、及び全伸長(%単位のA80)における単一時効工程の効果を示す。
【表1】
【0035】
AA7022合金は、470℃で20分間の溶体化熱処理及び水急冷の後、単一の時効工程に晒された。単一の時効工程は、130℃〜150℃の範囲の温度で1〜5時間の期間である(12及び24時間の期間が比較のために示される)。実施形態では、少なくとも400MPaの降伏強度が実現された。実施形態では、少なくとも470の降伏強度が実現された。実施形態では、少なくとも5%の伸長が実現された。表1は、降伏強度(MPa単位のY.S)、極限引張強度(MPa単位のRm)、均一伸長(%単位のAg)、及び全伸長(%単位のA80)における単一時効工程の効果を示す。
【表2】
【0036】
図1は、単一の加熱工程及びその後の室温での自然時効の、降伏強度(MPa単位のY.S)及び伸長(EL%)における効果を示す。T6は、125℃で24時間実施される溶体化熱処理の後の加熱処理である。溶体化熱処理及び急冷の後、該状態はW調質と称される。急冷と後続のT6加熱処理との間の遅延は「自然時効」期間と称される。
図2は、画定された温度及び期間での2工程加熱後の、降伏強度(MPa単位のY.S)及び伸長(EL%)における二重時効反応を示す。
【0037】
一実験では、120℃に1時間加熱する第1の工程の後、試料は室温に冷却され、その後150℃または175℃での第2の加熱工程が、それぞれ6または1時間の期間生じた。これはそれぞれ510MPa及び479MPaの最終降伏強度を、それぞれ13.4%または12.8%の伸長値と共にもたらした。したがって、第2の工程の加熱を開始する前に、第1の加熱工程の後に室温に冷却することの、認識できる効果は無いようである。
【0038】
1時間もしくは6時間またはその間の何らかの期間、特定の目標温度で、第1の工程の加熱条件から第2の工程の加熱条件に直接移動することは、所望の強度及び伸長値(
図2〜6)を達成するのに十分であるようである。
【0039】
結果は、第1の工程の加熱条件から30分間の180℃の塗料焼付け温度に直接移動することもまた、所望の強度及び伸長値(
図7〜11)を達成するのに十分であることも実証する。
【0040】
さらに別の実施形態では、100℃で1時間の第1の工程には、150°で1時間の第2の工程、及び最後に180°で30分間の塗料焼付け条件が続き、12.6%の伸長値を有する496MPaの強度をもたらした(
図13)。さらに別の実施形態では、120℃で1時間の第1の工程には、150°で1時間の第2の工程、及び最後に180°で30分間の塗料焼付け条件が続き、12.6%の伸長値を有する493MPaの強度をもたらした(
図14)。
【0041】
一実施形態では、予備時効及び塗料焼付け周期を組み合わせることにより、400MPaを超える7xxx合金の強度水準が実現され得る。別の実施形態では、予備時効及び塗料焼付け周期を組み合わせることにより、470MPaを超える7xxx合金の強度水準が実現され得る。別の実施形態では、予備時効及び塗料焼付け周期を組み合わせることにより、500MPaを超える7xxx合金の強度水準が実現され得る。
【0042】
一実施形態では、より低い温度での短い第1の工程の時効、及びその後のより高い温度での第2の工程の時効を有する、2工程時効処理は、500MPaを超える降伏強度をもたらす。
【0043】
別の実施形態では、低い温度の第1の工程の時効にて、第2の工程において高い強度を達成するためにより多くの時間が必要とされる。一実施形態では、予備時効及び塗料焼付け周期を組み合わせることにより、470MPaまたは500MPaを超える7xxx合金についての強度水準が実現され得る。例えば、70℃で1時間の第1の工程は、175℃で6時間の第2の工程を必要とする。対照的に、100℃または120℃での第1の工程の事項は、175℃での1時間の第2の工程の時効のみを必要とする。第1の工程のより長い期間は、強度を著しく変更しなかった。
【0044】
別の実施形態では、2つの工程のうちの1つがより長い期間実施される場合(例えば、120℃で6時間次いで175℃で1時間、または120℃で1時間次いで150℃で6時間、または100℃で6時間次いで175℃で1時間、または100℃で1時間次いで150℃で6時間)、第1の工程の時効の100℃以上で、500MPaを超える強度水準を実現することが可能である。
【0045】
一実施形態では、第1の工程の時効が100℃以上で実施される場合、175℃での第2の工程の事項のより長い期間は、過剰時効により強度を低減し得る。
【0046】
最高強度(517MPaの降伏強度)は、100℃での6時間の時効の第1の工程、及び150℃での6時間の第2の工程によって達成された(
図5)。第1の工程の時効の時間を1時間に低減し、その後150℃で6時間の第2の工程が続くことは、509MPaの降伏強度を生産した(
図4)。
【0047】
さらに別の実施形態では、500MPaに近い強度水準は、180℃で約30分間の塗料焼付け処理を有する2工程の短い時効処理に従うことによって実現され得る(3工程処理、
図13、14)
【0048】
自然時効の最初の2週間は、強度における最も大きい効果を示した。1週間以上の自然時効は、ピーク強度水準をわずかに低減する(10MPa未満で)ようである。
【0049】
70℃、100℃、110℃、及び125℃での予備時効は、自然時効反応の安定をもたらす。本効果は、予備時効のより長い期間、すなわち6時間でより顕著である(
図1)。
【0050】
70℃、100℃、及び125℃での6時間の予備時効は、約14%の全伸長を有する、520MPaを超えるT6強度水準をもたらした(
図1)。
【0051】
連続焼鈍溶解熱(CASH)ライン構成においてかなり実践的である、現在の110℃及び125℃での6時間の予備時効は、自然時効の強度水準を450MPa超に上昇させた。
【0052】
別の実施形態では、110℃で6時間または125℃で6時間の予備時効後に、180℃で30分間の塗料焼付けを実行することは、500MPa超の強度水準を生産した(
図10、11)110℃の予備時効温度は、非常に良好な結果を生産するようである。さらなるコイル冷却に約8時間かかり得るとすれば、本処理は、再加熱窯温度をこの値よりも約10℃高く設定することによって、CASHライン実践に組み込まれ得る。本処理は、コイル形態のT6またはT7調質の板を生産するのに必要とされる、窯における別々の長い人工時効周期を、本質的に排除する。コイルの典型的な産業規模の人工時効は、T6強度水準を達成するために、120℃〜125℃の範囲の温度での、加熱(最大12時間)及び従来の時効時間(最大24時間)の両方の時間のうちの相当量がかかる。コイルの温度は正確である必要があり、多コイル時効窯内の個々のコイルの温度を制御することは困難であり得る。本発明の実施形態は、予備時効または再加熱実践を選択すること、及び流路を短くすることによって、所望の調質及び特性のコイルを生産することを可能にし、時間、エネルギー、及び費用を節約もする。
【0053】
以下の実施例は、本発明をさらに例示する役割をするが、同時にそのいかなる限定も構成することはない。対照的に、本明細書の説明を読んだ後に、様々な実施形態、その修正及び等価物に、訴えが有され得、本発明の精神から逸脱せずに当業者に明らかになり得ることが明らかに理解されるべきである。以下の実施例において説明される研究の間、別途述べられない限り、従来の手順に従う。手順のうちのいくつかは、例示的な目的で下記に記載される。
【0054】
実施例1
1工程時効処理が、AA7075及びAA7022合金板を使用して、様々な温度及び期間の加熱で試験された。結果は表1及び2に示される。高い強度水準及び所望の伸長パーセントが、24時間以上かかり得る従来の技術よりも非常に速く達成された。
【0055】
実施例2
2工程時効処理が、AA7075合金板を使用して、様々な温度及び期間の加熱で試験された。結果は
図2〜6に示される。高い強度水準及び所望の伸長パーセントが、24時間以上かかり得る従来の技術よりも非常に速く達成された。
【0056】
実施例3
2工程時効処理が、AA7075合金板を使用して、様々な第1の工程の温度及び期間の加熱、ならびにその後の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の工程で試験された。結果は
図2及び7〜11に示される。高い強度水準及び所望の伸長パーセントが、24時間以上かかり得る従来の技術よりも非常に速く達成された。
【0057】
実施例4
本実施例では、125℃で24時間(T6条件)の第1の加熱工程に、従来の塗料焼付け条件である180℃で30分間の第2の加熱工程が続いた。第2の加熱工程は、第1の工程に続いてまたは3時間後に生じた。強度及び伸長における結果は類似しており、塗料焼付け条件の前の3時間の遅延の効果は無く、かかる遅延は塗料バック特性にはいかなる効果も有しないことを意味する。結果は
図12に示される。
図12に提示される結果を
図3〜11の結果と比較すると、所望の水準の強度及び延性を実現するのに非常により短い時効時間が用いられ得、それによってエネルギー、経費、及び製造時間ならびに保管を節約し、したがって生産性を著しく上昇させることが気付かれる。
【0058】
実施例5
3工程の時効方法が本実施例において用いられた。第3の工程は、塗料焼付け条件、その後100℃または120℃での1時間の曝露、及びその後の150℃での1時間で構成された。結果は、合計期間2.5時間の3つの加熱工程を使用することで、非常に高い水準の強度及び延性が実現されることを実証する。結果は
図13及び14に示される。
【0059】
実施例6
本実施例は、110℃で6時間の第1の加熱工程、及びその後の室温への空気冷却(−−−−線)または50℃の目標温度への1時間当たり3℃の速度での冷却(−−・−−・−−線)を有する、1工程時効処理を示す。結果は
図15及び16に示され、
図16に示されるように125℃で6時間で得られるより優れた結果と共に、この単一の加熱工程は、高い強度水準、望ましくない伸長値を生産し得ることを実証する。非常に高い強度水準が、アルミニウム合金の自動板製造におけるコイル冷却処理に類似する、1時間当たり3℃の速度での50℃への徐冷の後に得られた。
【0060】
上記に記述された全ての特許、出版物、及び要約書は、参照により本明細書にその全体が組み込まれる。本発明の様々な実施形態が、本発明の様々な目的の遂行において記載された。これらの実施形態は、本発明の原則の単なる例示であることが認識されるべきである。その多数の修正及び適用は、以下の特許請求項において定義される本発明の精神及び範囲から逸脱することなく当業者に容易に明らかになり得る。