【文献】
Benjamin J.Puttnam et al.,Self-Homodyne Detection in Optical Communication Systems,Photonics,米国,2014年 5月 6日,pp.110-130,[検索日2019.01.17], インターネット:URL<https://pdfs.semanticscholar.org/8d92/2ee046f7b4af50141a2ffe0ec18fc223cd1e.pdf>
【文献】
Zoran Vujicic et al.,Demonstration of Wavelength-Shared Coherent PON Using RSOA and Simplified DSP,IEEE Photonics Technology Letters,米国,IEEE,2014年 8月18日,Vol.26, Issue.21,pp.2142-2145
【文献】
Yukiyoshi Kamio, Moriya Nakamura, Tetsuya Miyazaki,80-Gb/s 256-QAM Signals using Phase Noise and DGD-Tolerant Pilot-Carrier-Aided Homodyne Detection,Optical Communication (ECOC), 2007 33rd European Conference and Ehxibition,2007年 9月16日,P.1-P.2
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第1のハイブリッド検出器(31)は、90度ハイブリッド41と、平衡構成における第1の組の2個のフォトディテクタ(43a)と、平衡構成における第2の組の2個のフォトディテクタ(43b)とを含み、
前記90度ハイブリッド41は、
R1x’を2個の成分R1x’a及びR1x’bに分割する第1のスプリッタ(51)と、
R0x’を2個の成分R0x’a及びR0x’bに分割する第2のスプリッタ(53)と、
R1x’aの位相を90度だけシフトさせ、位相がシフトされた信号R1x’a’を得る90度移相器(55)と、
前記信号R0x’a及び前記位相がシフトされた信号R1x’a’を組み合わせて、夫々jR0x’a+jR1x’a’及び−R0x’a+R1x’a’に比例している、光信号R1xa及びR1xbを発生する第1の2x2カップラー(57)と、
前記信号R1x’b及び前記信号R0x’bを組み合わせて、夫々jR1x’b−R0x’b及び−R1x’b+jR0x’bに比例している光信号R0xa及びR0xbを発生する第2の2x2カップラー(59)と、
前記第1の組の2個のフォトディテクタ43aは、前記電気信号R1xa及びR1xbを検出して、そして第1の電気信号Rcrを出力し、Rcrは前記光信号R1xa及びR1xbの瞬時電力の間の差から生じ、R1x’a’×R0x’a*の実部に比例しており、
前記第2の組の2個のフォトディテクタ43bは、前記信号R0xa及びR0xbを検出して、そして第2の電気信号Rciを出力し、Rciは前記光信号R0xa及びR0xbの瞬時電力の間の差から生じ、R1x’b×R0x’b*の虚部に比例しており、
前記Rcrは前記Rcの実部であり、前記RciはRcの虚部である
請求項1項に記載のセルフホモダイン検出(SHD)受信機。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第1の態様は、セルフホモダイン検出(SHD)受信機に関している。
図1は、SDH受信機のブロックダイアグラムを示す。
図1に示すように、第1の実施の形態のSDH受信機は、第1の偏光ビームスプリッタ11と、第2の偏光ビームスプリッタ13と、第1のセパレ−タ15と、第2のセパレ−タ17と、第3のセパレ−タ19と、第4のセパレ−タ21と、第1の90度偏光ロータ23と、第2の90度偏光ロータ25と、第1のハイブリッド検出器31と、第2のハイブリッド検出器33と、第3のハイブリッド検出器35と、第4のハイブリッド検出器37と、信号プロセッサー39を含んでいる。
【0015】
第1の偏光ビームスプリッタ11は、入力信号R1を入力信号の2個の直交偏光成分R1x、R1yに分離する。偏光ビームスプリッタPBSは周知の光学要素であり、それ故、第1の偏光ビームスプリッタ11にPBSを使用することが可能である。R1xの偏光面は、R1yのそれに垂直である。
【0016】
第2の偏光ビームスプリッタ13は、パイロットト−ンR0をパイロットト−ンの2個の直交成分R0x、R0yに分離する。R0xの偏光面は、R0yのそれに垂直である。R1xの偏光面とR0yのそれとは、平行である。
【0017】
第1のセパレ−タ15は、入力信号R1xの直交した偏光成分の一つを2個の成分R1x’に分離する。入力信号R1xの直交した偏光成分の一つは、第1の偏光ビームスプリッタ11から出力される。第1のセパレ−タ15は、信号R1xを2個の強度分離成分R1x’に分離する。
【0018】
第2のセパレ−タ17は、入力信号R1yの他の直交した偏光成分を2個の成分R1y’に分離する。入力信号R1yの直交した偏光成分は、第1の偏光ビームスプリッタ11から出力される。
【0019】
第3のセパレ−タ19は、パイロットト−ンの直交した偏光成分の一つR0xを2個の成分R0x’に分離する。
【0020】
第4のセパレ−タ21は、パイロットトーンの他の直交した偏光成分R0yを2個の成分R0y’に分離する。
【0021】
第1の90度偏光ロータ23は、R0x’の偏光をR1y’のそれに位置合わせして、位置合わせされた成分R0x”を得る。90度偏光ロータは、90度だけ偏光面を回転させる。入力信号R0x’は、セパレータ19から出力される。R0x’の偏光面は、90度だけ回転されてR1y’のそれに位置合わせする。
【0022】
第2の90度偏光ロータ25は、R0y’の偏光をR1x’のそれに位置合わせして、位置合わせされた成分R0y”を得る。
【0023】
第1のハイブリッド検出器31は、成分R1x’及びR0x’を結合し、そしてRcの実部及び虚部に相当する電気信号を出力する。Rcは、成分R1x’及びR0x’の干渉信号である。ハイブリッド検出器は、技術において周知であり、そして種々のタイプのハイブリッド検出器が存在する。種々のタイプのハイブリッド検出器を実施することが可能である。例えば、US20090214224及びUS7421210は、そのようなハイブリッド検出器を開示している。
【0024】
図2は、第1のハイブリッド検出器のブロックダイアグラムを示している。
図2において示されるように、第1のハイブリッド検出器は、90度ハイブリッド41と、平衡構成における第1の組のフォトディテクタ43aと、平衡構成における第2の組のフォトディテクタ43bとを含んでいてもよい。
90度ハイブリッド41は、第1のスプリッタ51と、第2のスプリッタ53と、90度移相器55と、第1の2x2カップラー57と、第2の2x2カップラー59を含んでいる。
第1のスプリッタ51は、R1x’を2個の成分R1x’a及びR1x’bに分割する。
第2のスプリッタ53は、R0x’を2個の成分R0x’a及びR0x’bに分割する。
90度移相器55は、R1x’aの位相を90度だけシフトして、位相がシフトされた信号R1x’a’を得る。
【0025】
第1の2x2カップラー57は、信号R0x’a及び位相がシフトされた信号R1x’a’を組み合わせて光信号R1xa及びR1xbを発生する。光信号R1xa及びR1xbは、夫々jR0x’a+jR1x’a’及び−R0x’a+R1x’a’に比例している。
【0026】
第2の2x2カップラー59は、信号R1x’b及び信号R0x’bを組み合わせて光信号R0xa及びR0xbを発生する。光信号R0xa及びR0xbは、夫々jR1x’b−R0x’b及び−R1x’b+jR0x’bに比例している。
【0027】
第1の組の2個のフォトディテクタ43aは、電気信号R1xa及びR1xbを検出して、第1の電気信号Rcrを出力する。Rcrは、Rcの実部である。第1の電気信号Rcrは、光信号R1xa及びR1xbの瞬時電力間の差によって生じ、R1x’a’×R0x’a
*(=(R1x’a’)(R0x’a
*))の実部に比例している。R0x’a
*はR0x’aの複素数を意味している。
【0028】
第2の組の2個のフォトディテクタ43bは、信号R0xa及びR0xbを検出して、そして第2の電気信号Rciを出力する。第2の電気信号Rciは、光信号R0xa及びR0xbの瞬時電力間の差によって生じ、R1x’b×R0x’b
*(=(R1x’b)(R0x’b
*))の虚部に比例している。RciはRcの虚部である。
【0029】
第2のハイブリッド検出器33は、成分R1x’及びR0y”を結合し、そしてRdの実部及び虚部に相当する電気信号を出力する。Rdは、成分R1x’及びR0y”の干渉信号である。第2のハイブリッド検出器33は、第1のハイブリッド検出器31に類似していてもよい。
【0030】
第3のハイブリッド検出器35は、成分R1y’及びR0x”を結合し、そしてReの実部及び虚部に相当する電気信号を出力する。Reは、成分R1y’及びR0x”の干渉信号である。第3のハイブリッド検出器35は、第1のハイブリッド検出器31に類似していてもよい。
【0031】
第4のハイブリッド検出器37は、成分R1y’及びR0y’を結合し、そしてRfの実部及び虚部に相当する電気信号を出力する。Rfは、成分R1y’及びR0y”の干渉信号である。第4のハイブリッド検出器37は、第1のハイブリッド検出器31に類似していてもよい。
【0032】
信号プロセッサ39は、Rc,Rd,Re及びRfの実部及び虚部を受信して、そして複素信号Rx及びRyを再構成する。Rx及びRyは、入力信号R1を発生すべく、使用される情報信号に相当している。
【0033】
本発明の第2の実施の形態も、またセルフホモダイン検出(SHD)受信機に関している。
図3は、SHD受信機のブロックダイアグラムを示している。
図3に示すように、SHD受信機は、第6のセパレータ61と、第7のセパレータ63と、第3の90度偏光ロータ65と、第5のハイブリッド検出器67と、第6のハイブリッド検出器69と、信号プロセッサ71を含んでいる。
第6のセパレータ61は、入力信号R1を2個の成分R1’に分離する。
第7のセパレータ63は、パイロットトーンR0を2個の成分R0’に分離する。
第3の90度偏光ロータ65は、成分R0’の偏光を90度だけ変更させ位置合わせされた成分R0”を得る。即ち、第3の90度偏光ロータ65は、成分R0’の偏光面を90度だけ回転させる。
【0034】
第5のハイブリッド検出器67は、成分R1’及びR0’を結合し、そしてRaの実部及び虚部に相当する電気信号を出力する。Raは、成分R1’及びR0’の干渉信号である。
【0035】
第6のハイブリッド検出器69は、成分R1’及びR0”を結合し、そしてRbの実部及び虚部に相当する電気信号を出力する。Rbは、成分R1’及びR0”の干渉信号である。
【0036】
信号プロセッサー71は、Ra及びRbの実部及び虚部を受信し、そして虚数信号Rx及びRyを再構成する。Rx及びRyは、入力信号R1を発生させるべく、使用される情報信号に相当している。
【0037】
本発明の第3の実施の形態も、またセルフホモダイン検出(SHD)受信機に関している。
図4は、SHD受信機のブロックダイアグラムを示している。
【0038】
図4におけるSHD受信機は、
図3に示されるそれに類似している。第3の実施の形態のSHD受信機は、第6のセパレータ61と、第7のセパレータ63と、第4の90度偏光ロータ65bと、第7のハイブリッド検出器67bと、第8のハイブリッド検出器69bと、信号プロセッサ71bを含んでいる。
第6のセパレータ61は、入力信号R1を2個の成分R1’に分離する。
第7のセパレータ63は、パイロットトーンR0を2個の成分R0’に分離する。
第4の90度偏光ロータ65bは、成分R1’の偏光を90度だけ変更させ,
位置合わせされた成分R1”を得る。
【0039】
第7のハイブリッド検出器67bは、成分R1’及びR0’を結合し、そしてRa’の実部及び虚部に相当する電気信号を出力する。Ra’は、成分R1’及びR0’の干渉信号である。
【0040】
第8のハイブリッド検出器69bは、成分R1”及びR0’を結合し、そしてRb’の実部及び虚部に相当する電気信号を出力し、Rb’は、成分R1”及びR0’の干渉信号である。
【0041】
信号プロセッサー71bは、Ra’及びRb’の実部及び虚部を受信し、そして虚数信号Rx及びRyを再構成する。Rx及びRyは、入力信号R1を発生させるべく、使用される情報信号に相当している。
【0042】
本発明の第2の態様は、信号プロセッサを用いて元の信号を再構成すべく使用される方法の実施の形態から構成される。
【0043】
図5は、第1の実施の形態のSHD受信機において使用される信号プロセッサーのブロックダイアグラムを示している。
図6は、第2及び第3の実施の形態のSHD受信機において使用される信号プロセッサーのブロックダイアグラムを示している。両方の信号プロセッサーは、複数のマルチプレクサー及び加算器、更に処理ユニット81を含んでいる。信号プロセッサーは、ハードウエア又はハードウエア及びソフトウェアの組み合わせによって、実施されてもよい。
【0044】
第1の実施の形態において使用されるプロセッサの場合、複素信号Rc, Rd, Re及びRfは、入力として信号プロセッサに提供される。元の情報信号が、入力信号の線型結合として以下のように再構成できる
【0045】
Rx=A1×Rc+A2×Rd+A3×Re+A4×Rf
Ry=B1×Rc+B2×Rd+B3×Re+B4×Rf(1)
ここで複素係数A1...A4及びB1...B4は、R0及びR1を送信すべく使用される空間チャンネルの伝送マトリクスに関するフィードフォード及び/又はフィードバック情報を用いて計算できる。処理ユニットは、信号Rc,Rd,Re及びRfを入力として及び/又は出力Rx及びRyを取り込んで、係数A1...A4及びB1...B4を計算する。この最も単純化された形態において、これらの係数はスローに変化する複雑なスカラーであり、その場合、応用は単純な乗算によって行われる。しかしながら、より複雑なプロセッサーは、信号及びパイロットトーンの空間チャンネルのインパルス応答を考慮することが可能である。このような場合、係数は入力信号に適用されるべきインパルス応答になり、そして出力信号を再構成する。
【0046】
第2の又は第3の実施の形態において使用される信号プロセッサによって使用される方法のための実施の形態は、信号Ra及びRbが夫々パイロットトーンの偏光軸及びその直交偏光軸上への信号のプロジェクションに相当することを、考慮している。したがって、情報信号は以下のようにRa及びRbの線型結合により、再構成できる。
Rx=C1×Ra+C2×Rb
Ry=D1×Ra+D2×Rb(2)
【0047】
ここで、C1,C2,D1及びD2は、線型結合の複素係数である。以前のケースに類似して。この場合、係数は、パイロットトーンR0を送信すべく使用されるチャンネルマトリクス上へ、信号R1を送信すべく使用される空間チャンネルのチャンネルマトリクスのプロジェクションによって生ずる、組み合わされたチャンネルマトリクスに関連している。それらは、処理ユニットにおいて実施されるフィードバック又はフィードフォード機構を用いて推定できる。これらの係数は、スローに変化する複雑なスカラーであってもよく、その場合、応用は単純な乗算によって行われる。しかしながら、より複雑なプロセッサーは、信号及びパイロットトーンの空間チャンネルのインパルス応答を考慮することが可能である。このような場合、係数は入力信号に適用されるべきフィルターのインパルス応答になり、そして出力信号を再構成する。
【0048】
図7は、空間分割多重化装置を例示するブロックダイアグラムを示している。空間分割多重化装置112は、複数のコアを有するマルチコアファイバー111を含んでいる。空間分割多重化装置112は、光データ信号を搬送するコア116として、マルチコアファイバー111内に含まれるコアの中で、セルフホモダイン検出用の特定のコア113以外のコアを使用している。SHD受信機は、
図7においてセルフホモダイン検出ユニット115として使用される。
【0049】
図8は、マルチコアファイバーを例示する概念的なダイアグラムある。マルチコアファイバー111は、2個又はそれ以上のコアを有する光ファイバーである。マルチコアファイバーの一例として、センターコアとこのセンターコアの周囲に存在する1個又は複数のコアを有するマルチコアファイバー、又は2個又はそれ以上の矩形状のコアを有する矩形状のコアファイバーが存在している。マルチコアファイバー111において、コアは中心に必ずしも存在しなくともよい。例えば、2から4(又はそれ以上)のコアが対称的に配置されているマルチコアファイバーが採用可能である。各コアは、マルチコアファイバーにおける導波管としての機能を有している。隣接した導波管は、例えば、1マイクロメータ又はそれ以上から100マイクロメータ又はそれ未満までの距離において存在している。導波管の間隔は、3マイクロメータ又はそれ以上から70マイクロメータ又はそれ未満までであってもよく、5マイクロメータ又はそれ以上から70マイクロメータ又はそれ未満までであってもよく、10マイクロメータ又はそれ以上から60マイクロメータであってもよく、20マイクロメータ又はそれ以上から50マイクロメータまでであってもよく、又は30マイクロメータ又はそれ以上から40マイクロメータ又はそれ未満までであってもよい。隣接した導波管の間の距離は、如何なる付加的なコアも存在しない部分(例えば、クラッド部)の距離を示している。
【0050】
マルチコアファイバー111の例において、マルチコアファイバーは、センターコアと、このセンターコアの周囲に存在している複数のコアとを含んでいる。この場合、例えば、センターコアは、セルフホモダイン検出用コア113として使用することが可能である。なお、製造又は類似の便宜さを考察する場合、又は変化したコアを選択的に使用する場合、セルフホモダイン検出用コア113は、マルチコアファイバー111のセンターコアであることは可能ではない。
【0051】
セルフホモダイン検出用コア113の直径Φ
s及び通信用のコア116の直径Φ
cは、0.5≦Φ
s/Φ
c≦3の関係を有していてもよい。セルフホモダイン検出用コア113の直径Φ
sと通信用のコア116の直径Φ
cとの間の好ましい例は、1.01≦Φ
s/Φ
c≦1.15であってもよく、1.1≦Φ
s/Φ
c≦1.3であってもよく、1.2≦Φ
s/Φ
c≦3であってもよく、更に2≦Φ
s/Φ
c≦3であってもよい。複数の光学的なスペクトルを含む光周波数櫛形光ビームは、ファイバー内の非線型性により、1個又は複数の(例えば、2又はそれ以上から10又はそれ未満、2又はそれ以上から6又はそれ未満、3又はそれ以上から6又はそれ未満、又は3又はそれ以上から5又はそれ未満)光スペクトル(周波数成分)を含む、参照光ビームを用いることによって、発生することも可能である。この光学的な周波数櫛形光ビームは、受信機側において、波長分割多重化(WDM)の各チャンネルを復調するための参照光ビームとして使用することもできる。特に、本発明がこの応用のために使用される場合、セルフホモダイン検出用のコア113は、通信用のコア116よりも小さいことが好ましい。この場合、好ましい例においては、セルフホモダイン検出用のコア113の直径Φ
sと通信用のコア116の直径Φ
cとの間の関係は、0.7≦Φ
s/Φ
c≦0.99であってもよく、0.7≦Φ
s/Φ
c≦0.95であってもよく、そして0.95≦Φ
s/Φ
c≦0.99であってもよい。最適なコア直径は、入力光ビーム、ファイバー長さ、ファイバーの分散特性、更に必要なスペクトル数などの条件の考慮の下で設計可能である。
【0052】
光源122からの光ビームは、適切に分波される。分波された光ビームの少なくとも1つは、例えば、セルフホモダイン検出のために、パイロットトーン(パイロット信号)として使用される。パイロットトーン又はパイロット信号は、セルフホモダイン検出期間における位相の基準として使用される信号である。周知の光源が、光源122として使用されてもよい。光源122の例として、光周波数櫛形発生器を含む光源が存在している。光周波数櫛形発生器を用いることによって、複数の波長信号を容易に発生することができる。パイロットトーンは、遅延ユニット(例えば、遅延回路)によって適切に遅延されてもよい。
【0053】
通信用の光信号は、変調器123によって適切に変調されてもよい。変調器123の一例として、位相変調器が存在している。通信用の複数の信号は、信号ガイドユニット117によって夫々のコアにガイドされてもよい。光源122によって発生された各光ビームは、適切に変調されてもよい。
【0054】
多重化ユニット121の一例として、空間分割多重化ユニット(SDM MUX)が存在している。空間分割多重化光信号111は、複数のパース又は複数のタイプの光信号が伝送ラインになる空間内に存在している場合、光信号を示している。空間分割多重化光通信の例は、JP10−336152A及びJP2009−284385Aに開示されている。
【0055】
空間分割多重化光信号111の一例は、ガウシアンモードにおける光信号、ラゲール・ガウシアンモードにおける光信号、べッセルビーム光信号、エルミート・ガウシアンモードにおける光信号、又はエアリーモードにおける光信号の何れか一つである。スイッチングデバイスを構成する光学素子などの構成要素は、適切に調節可能である。例えば、ガウシアンモードの光信号がモードコンバータ113から出力される場合、光信号は、第1の導波管117に照射される。次いで、例えば、ラゲール・ガウシアンモード(べッセルビーム光信号、エルミート・ガウシアンモードにおける光信号、又はエアリーモードにおける光信号が使用されてもよい。)の光信号がモードコンバータ113から出力される場合、光信号が第2の導波管118に照射される。モードの光信号は、例えばJP4871326及びJP2003−139514Aに開示されている。次に、空間分割多重化光信号のモードは、後で記載されるモード変換によって適切に変換される。
【0056】
空間分割多重化光信号である、ラゲール・ガウシアンモードの光信号は、ビーム伝搬の中心軸から同心的である、リング状の強度分布を有するモードの光である。加えて、ガウシアンモードは、ビーム伝搬の中心軸における最大の強度を有するモードである。本発明において、ラゲール・ガウシアンモードの光信号については、完全にリング状の強度分布を有する理論的な光信号及びラゲール・ガウシアンモードの光信号であるように決定することが可能である程度に、リング状の強度分布を有する光信号が、ラゲール・ガウシアンモードの光信号に含まれる。この分析は、他のモードに同様に適用される。本発明は、空間分割多重化光信号を発生するための空間分割多重化光信号発生デバイスを含むことも可能であり、そして空間分割多重化光信号発生デバイスによって発生した空間分割多重化光信号を用いたデバイスであることも可能である。空間分割多重化光信号デバイスの一例として、ラゲール・ガウシアンモードの光信号を発生するためのラゲール・ガウシアンモード光信号発生デバイスを含むデバイスと、エルミート・ガウシアンモードの光信号を発生するためのエルミート・ガウシアンモード光信号発生デバイスを含むデバイスが採用されることが可能である。
【0057】
ベッセルビーム光信号は、ラジアル軸におけるベッセル函数型の電場分布を有する光ビームを示している。ベッセルビーム光信号は、偏向を引き起こすことなく、略一定のビーム径において伝搬する。空間分割多重化光信号デバイスの一例として、ベッセルビーム光信号を発生するためのベッセルビーム光信号発生デバイスを含むデバイスが、採用されることが可能である。エアリーモードの光信号は、その強度分布がエアリー分布に関連している光信号である。エアリーリング状の光信号を出力するための装置は周知である。
【0058】
多重化ユニット121において、セルフホモダイン検出用のパイロットトーンは、複数のコアの任意の一つであるセルフホモダイン検出用のコア113にガイドされる。多重化ユニット121の光学系は、例えば、パイロットトーンガイドユニット114としての機能を有している。
【0059】
上述した好ましい態様において、空間分割多重化装置は、多重化ユニット121と、信号ガイドユニット117とを更に含むように構成されている。この多重化ユニット121は、通信及びパイロットトーンのためのデータ信号を多重化するための構成要素である。信号ガイドユニット117は、多重化ユニット121によって多重化された信号の中の通信用のデータ信号を通信用のコア116にガイドするための構成要素である。多重化ユニット121の光学系は、例えば、信号ガイドユニット117としての機能を有する。
【0060】
マルチコアファイバー111を介して伝搬する信号は、例えば、セパレ―ションユニット131によって分離される。セパレ―ションユニット131の一例は、
空間分割逆多重化ユニット(SDM DE−MUX)である。セパレ―ションユニット131においては、パイロットトーンは、パイロットトーン用の光学路にガイドされる。次に、パイロットトーンは、セルフホモダイン検出ユニット115に到達する。他方、通信用のデータ信号も、セパレ―ションユニット131によって分離される。通信用のデータ信号は、セパレ―ションユニット131内の通信用の光学路にガイドされる。次に、通信用のデータ信号は、セルフホモダイン検出ユニット115に到達する。
【0061】
セルフホモダイン検出ユニット115は、セルフホモダイン検出用のコア113から出力されるパイロットトーンを検出して、そしてセルフホモダイン検出を行うための構成要素である。即ち、セルフホモダイン検出ユニット115は、基準信号としてパイロットトーンを用いることによって、通信用のデータ信号を復調する。ホモダイン検出は、位相変調法に係る検出技法であり、ここで光キャリア波の周波数及び局部的に発信する光ビームの周波数が互いに等しい場合、信号が干渉によって抽出される。パイロットトーンを使ったセルフホモダイン検出技法は、周知である(例えば、Institute of Electronics and Communication Engineers of Japan, Technical Report. CS, Communication Method 107 (91), 17-22, 2007-06-08)。
【0062】
本発明に係る空間分割多重化装置112は、マルチコアファイバーの各コアの光学路長(それ故、コア間の光学路長差)を正確に制御する。それ故、マルチコアファイバーの各コアの光学路長を調節する光学路長調節ユニットを含むように、送信側装置又は受信機側装置が構成されている実施の形態は、本発明の好ましい実施の形態である。光学路長調節ユニットは、例えば、マルチコアファイバーと他の光学的な構成要素との接続デバイス内に設置される。光学路長差の特定の値として、使用上レーザの性能によれば、各コアの光学路長差は、例えば、10メータ又はそれ以下、好ましくは、1メータ又はそれ以下、好ましくは、30センチメータ又はそれ以下、より好ましくは、3センチメータ又はそれ以下に設定される。各コアの光学路長差は、複数のコアの間で最も長い光学路長と最も短い光学路長との間の差を示している。例えば、光学路長調節ユニットは、予めマルチコアファイバーの各コアの光学路長差を測定することが可能であり、そして光学路長調節ユニットはレーザの性能に従って、各コアの光学路長を調節することが可能である。光学路長調節ユニットの一例は、光学的な遅延回路又は光ファイバーである。
【0063】
安定した動作を実現するために、本発明に係る空間分割多重化装置112は各コアの光学路長差をモニターして、そして光学路長差に関する得られた情報に基づいて、光学路長調節ユニットによって調整される各コアの光学路長を制御する。光学路長差のための自動的な調節機構は、例えば、各コアの光学路長差を測定する光学路長調節ユニットと、光学路長測定ユニットによって測定された
各コアの光学路長差を受信する制御ユニットと、制御ユニットからのコマンドに応答して、各コアの光学路長差を調節する光学路長調節ユニットとを含むことが可能である。
【0064】
複数のコアを有するマルチコアファイバーを含む空間分割多重化装置112を用いたセルフホモダイン検出方法がこれ以降説明される。空間分割多重化装置112の例は、上記で記載される空間分割多重化装置112の一つである。
【0065】
この方法において、光源122からの光ビームは分波される。次に、セルフホモダイン検出用のパイロットトーンは、複数のコアの任意の一つであるセルフホモダイン検出用のコア113にガイドされる。他方、分波された光ビームは、多重化され、そして変調信号は光ビーム上に搬送される。パイロットトーン及び多重化された信号は、マルチコアファイバー内へ導入される。次に、パイロットトーン及び空間分割多重化信号は分離され、そして各信号はセルフホモダイン検出ユニット115にガイドされる。セルフホモダイン検出ユニット115は、セルフホモダイン検出用のコア113から出力されるパイロットトーンを検出し、そして基準信号としてのパイロットトーンを用いることによってセルフホモダイン検出を行う。本例において、受信機側又は送信機側は、セルフホモダイン検出用の参照光ビームから、光周波数櫛形光ビームを発生する。次に、各光周波数櫛形信号は、WDM信号の各チャンネルを復調するための参照光ビームとして使用される。光周波数櫛形光ビーム発生デバイスは既に公知であるので、周知の光周波数櫛形信号発生デバイスは、参照光ビームを用いた光周波数櫛形光ビームを得るために、使用することが可能である。光周波数櫛形信号発生デバイスの例は、JP3937233、JP4423372、JP4771216、JP3444958又はJP2011−221366Aに開示されている。
光周波数櫛形発生器の一例は、光ファイバーループを含むように構成された光周波数櫛形発生器である。光ファイバーループは、光学的なシングルサイドバンド(SSB)変調器と、そこを通って光源からの光が入力される光学的入力ポートと、光を出力する光学的出力ポートとを含むように構成されている。光周波数櫛形信号において、各周波数がシフトされる。それ故、各光周波数櫛形信号は、相当するWDMのチャンネルを復調するための参照光ビームとして使用することができる。