(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、図面を用いて本実施形態のATMの構成を説明する。
【0012】
図1は、本実施形態のATM100の筐体の正面図であり、
図2は
図1のA-BでのATM100の筐体の断面概略図である。
図3は、ATM100の上部筐体内部の正面図である。以下
図1〜
図3に関し説明する。
【0013】
まず
図1を中心に説明する。ATM100の筐体は、表示入力部101、入出金口102、カード取扱口103、PINパッド104、明細票取扱口105などの、顧客とのインターフェースとなる操作部を有する。
【0014】
表示入力部101は、利用者に取引に関する情報である取引情報を表示する又は利用者からの取引に関する取引操作を受け付ける。また、表示入力部101は、係員に保守操作に関する情報を表示する又は操作入力を受け付けてもよい。表示入力部101は、タッチパネル等で構成されてよい。
【0015】
入出金口102は、利用者からの紙幣の投入を受付け、利用者へ紙幣を放出する。PINパッド(PIN:Personal Identification Number)104は、取引時に利用者から、暗証番号などの数字に関する情報の入力を受け付ける複数の数字キー(記号キーを含んでもよい)を有する。
【0016】
明細票取扱口105は、取引内容が印字された明細票(レシート)を出力する。カード取扱口103は、利用者からカードの挿入を受け付け又は利用者へカードを返却し、カードの情報を読み込むカード媒体取扱い装置の挿入口又は返却口である。
【0017】
また、表示入力部の両サイドには、表示入力部101と同等の操作を受け付けるファンクションキー106を備える。ファンクションキー106を、表示入力部101の両側であって、表示入力部101の高さの半分以下の位置にすることで、ファンクションキー106の高さを抑制することが可能となり、多種多様な利用者の操作性を維持することが可能となる。
【0018】
続いて、
図2及び
図3を用いて、ATM筐体の内部の各ユニットの配置に関し説明する。ATM100の筐体は、上部筐体100A、下部筐体100Bを有する。上部筐体100Aは、紙幣取扱装置の上部ユニット200A、明細票発行装置501、及びカード取扱い装置301を備える。下部筐体100Bは、紙幣を収納する収納庫202、収納庫を収納する紙幣取扱装置の下部ユニット200B、紙幣取扱装置200の下部ユニット200Bを収納し、下部筐体100Bよりも強固な金庫201を備える。この金庫201は、筐体よりも頑丈に構成されており、鍵によって金庫201の扉を開閉するようにし、セキュリティを高めている。
【0019】
図1及び
図2から明らかなように、表示入力部101の直下の左側に紙幣の入出金口102を配置する。PINパッド104は、紙幣の入出金口102の直下で、ATM100の横方向ほぼ中央部に配置する。また表示入力部101の直下の右側に明細票取扱口105を配置し、明細票取扱口105の直下にカード取扱口103を配置している。このように各処理部をATM100の上部の中央に寄せるように配置して、小型化を実現してもよい。
【0020】
小型化を実現したユニットの配置に関し、
図2を用いて、より詳細に説明する。表示入力部101の前端108が紙幣入出金口102の上方にまで突出し(言い換えると、表示入力部101の一部(特に前端)と入出金口102が垂直方向に重なる位置にし)、表示入力部101を装置前側(利用者の近くに配置)にすることで、ATM100の小型化を可能とする。ここで、本実施形態では、204A側を装置前側(前方)とし、204B側を装置後ろ側(後方)として説明する。また、左右に関しては、204A側から装置を見たときの方向で説明する。
【0021】
このように表示入力部101及び紙幣取扱装置200を構成することで、利用者の操作の際に利用される表示入力部101、入出金口102をATM前面から所定距離内に配置することが可能となる。これにより多種多様な利用者の操作性を確保することが可能となる。
【0022】
さらに、小型化を実現したユニットの配置に関し、
図3を用いて、より詳細に説明する。媒体を搬送する紙幣取扱装置200と水平方向に重なる位置に、明細票を発行する明細票発行装置501を配置することで、明細票発行装置501の明細票取扱口105を所定高さ以内に配置することが可能となる。詳述すると、上部ユニット200Aは、紙幣を上部ユニット200Aの後方に紙幣を搬送する搬送路を有し、明細票発行装置501は発行する明細票を蓄える(例えばロール形状で保管する)ため、これらを前後方向に配置することは困難となる。一方、上部ユニット200Aの上方に、明細票発行装置501を配置すると、明細票発行装置501の明細票取扱口105の高さが高くなり、利用者の操作性が低下する。従って、上述のように媒体を搬送する紙幣取扱装置と明細票発行装置501とを水平方向(装置前方からみて横方向)に重なるように並べて配置することで、操作性を維持することが可能となる。
【0023】
さらに、明細票発行装置501の下方に、紙幣取扱装置200にカードを取り扱うカード取扱い装置301を配置することで、カード取扱い装置301のカード取扱口103を所定高さ以内に配置することが可能となる。
【0024】
図4は、上部ユニット200Aを筐体100Aから引き出したときの斜視図である。
図3、
図4を用いて、上部ユニット200Aの引き出し構造に関し説明する。なお、
図4では紙幣取扱装置200は点線で透過したものとして示す。
【0025】
装置筐体の上部に、紙幣処取扱装置200の上部ユニット200Aと、明細票発行装置501を内蔵する。上部ユニット200Aの横側(装置前面から見て右側)に明細票発行装置501が配置されている。紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aの右側壁面は、明細票発行装置501の左側壁面とボルト・ネジ等で直接固定されている。また、上部ユニット200Aの右側壁面は、明細票発行装置501を乗せる台板(メカ台ともいう)502とボルト・ネジ等で接続固定されていて、明細票発行装置501は、台板502の上面にボルト・ネジ等で接続固定されていてもよい。台板502は、装置前面からみて凹型又はL字型形状をしており、横側壁面(凹型の場合は片側)を、上部ユニット200Aの壁面に固定されている。すなわち、台板502は、互いに接続される垂直方向に延伸する面と、水平方向に延伸する面を有し、垂直方向に延伸する面を、上部ユニット200Aの壁面に固定し、水平方向に延伸する面の上に明細票発行装置501を配置するものであってよい。
【0026】
ATM100の筐体内部には、紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aを載せるスライド(例えば、前後方向に移動)するレール510がある。レール510のスライドしない固定部510Bは、ATM100の筐体内部に固定されている。レール510のスライドするスライド部510Aは、紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aに固定接続されている。そして、紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aはレール510のスライド部510Aが固定部に対してスライドする(前後方向に移動又は出し入れされる)ことで、手前側に(筐体内部から外部へ)引き出される又は筐体外部から筐体内部に入れられる。このとき、明細票発行装置501は、紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aに固定されており、明細票発行装置501も紙幣取扱装置200と同時に引き出される。このように、明細票発行装置501を、紙幣取扱装置200に固定したため、明細票発行装置501を引き出すためだけのレールを不要とし、装置全体の横幅が増えることを抑制し装置を小型化することが可能となる。
【0027】
より詳細には、紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aの横側の両壁面に、それぞれレール510のスライド部を設け、ATM100の筐体内部の上部ユニット200Aの下面上部に、スライド部とスライドする位置にレール510の固定部510Bを設けてもよい。そして、明細票発行装置501を、レール510の上方であって、紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aの横側の壁面に接続固定してもよい(レール510のスライド部を固定した紙幣取扱装置200の壁面と同じ壁面に、明細票発行装置501を固定してもよい)。これにより、上部ユニット200Aのレール510と、明細票発行装置501とが、垂直方向に重なる配置とし、さらに装置全体の横幅が増えることを抑制することを可能としてもよい。
【0028】
このように、紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aと明細票発行装置501との側面部を接続固定し、筺体内に設置したレール510に上部ユニット200A部のみを搭載し、上部ユニット200Aと明細票発行装置501とを一体として引き出すように構成したことによって、両者を鉛直方向に配置した場合と比較して高さ方向の寸法を抑えることが可能となり、また、両者を個別に引き出すようにした場合と比較して横方向の寸法も抑えることが可能となり、装置全体のコンパクト化を実現できる。
【0029】
また、レール510の前方側を後方側よりも上方に傾けて固定してもよい。これにより、上部ユニット200及び明細票発行装置501が、レール510のスライド部510Aが可動して引き出された場合に、上部ユニット200及び明細票発行装置501との重量でレール510のスライド部510Aが、下方に垂れ下がった場合であっても、下部ユニット前方に配置された筐体の下部である下部筐体100Bの扉504を開いた際に下部筐体100Bの扉504とレール510との干渉を抑制することが可能となる。さらに、上部ユニット200Aが、筐体内部にあるときも、下部ユニット200Bの前方の扉504と上部ユニット200A間の距離を開けることなく、配置することが可能となる。
【0030】
また、ATM100の装置筐体の上部のパネル(ATMの操作部を含む筐体)501を開き、上部ユニット200Aを装置筐体の外部まで引き出すことで、上部ユニット200Aや明細票発行装置501などのユニットを前面だけでなく、左右側面及び上面からアクセス可能とすることで容易な保守が可能となる。例えば、上部ユニット200Aのジャムや、明細票発行装置501の媒体補充時は、保守効率を高めることが可能となる。
【0031】
続いて、
図4、
図5、
図9に記載の補助ローラ401に関し説明する。筐体内部の右側の壁面には回転自在な補助ローラ401を搭載する。この補助ローラ401は台板502又は明細票発行装置501を装置内に収納した時に、台板と接触する(明細票発行装置501を下から支える)位置に搭載する。つまり、台板502が筐体内部にある場合に、装置前方から見て台板502の左側は紙幣取扱装置200の上部ユニット200Aに連結され、台板502の右側は補助ローラ401に支えられる。補助ローラ401は、ATM筐体の前側にあるとよい。言いかえると、筐体内に明細票発行装置501を収納したとき、明細票発行装置501の明細票をロールして保管している位置よりも前方に配置するとよい。また、筐体内に明細票発行装置501を収納したとき、明細票発行装置501の明細票を発行する口の下方に位置してもよい。補助ローラ401により、明細票発行装置501の重量により、装置前方からみて右側に台板502及び明細票発行装置510垂れ下がることを防ぐことが可能となる。これにより、明細票発行装置501から排出されたレシートが操作パネル側の媒体口でジャムしないことが可能となる。なお、台板502がない場合は、補助ローラ401は、明細票発行装置501の下面に直接接触して明細票発行装置501を支えてもよい。
【0032】
また、カード取扱装置は、カードリーダがあれば開閉するパネル側に搭載し、個別の引出し機構等を不要な構成としてもよい。
【0033】
続いて、
図5を用いて、ATM100の筐体の上部である上部筐体100A、筐体の下部である下部筐体100Bの前面の開閉動作に関し説明する。
【0034】
ATM100は、筺体の上部と下部とが別々に開閉することができ、係員は保守等の際に、上部と下部とを別々に開閉して内部の各ユニット等へアクセスすることができる。上部筺体100Aは、
図5に示すように、筐体前面の操作部を含むパネル503を下から上へ跳ね上げるように持ち上げて、上方に開く(回動する)ことができる。また、下部筺体100Bは、
図5に示すように、鍵を解除することによって、下部筐体の前側に設置された扉504を横方向に開く(回動する)ことができる。
【0035】
図6は、本装置の制御関係を示す制御ブロック図である。ATM100に納められたカード取扱い装置301、明細票発行装置501、紙幣取扱装置200、および表示入力部101、PINパッド104は、バス602を介して本体制御部601と接続されており、本体制御部601の制御の下に必要な動作を行う。本体制御部601は、上記の他に、外部記憶装置603ともバス602で接続されていてもよく、必要なデータのやりとりを行うが、本発明の特徴には直接関係がないので詳細な説明は省略する。なお、
図6に示した604は、上記各機構、構成部分に電力を供給する電源部である。
【0036】
図7は、紙幣取扱装置200の制御関係を示す制御ブロック図である。紙幣取扱装置200の制御部701は、ATM100の本体制御部601とバス602を介して接続され、本体制御部601の制御に基づき、制御部701は、紙幣取扱装置100の入出金部802、判別部804、一時保管庫805、搬送部/切替え部(811、812)、上部収納庫806、収納庫202を制御し、紙幣に関する処理を実施する。
【0037】
本体制御部601、制御部701は、例えば、プロセッサやメモリなどから構成されるものであってよい。
【0038】
続いて
図8及び
図10を用いて、本実施形態の紙幣取扱装置200の詳細を説明する。最初に上部ユニット200A、下部ユニット200Bに関し説明する。
【0039】
上部ユニット200Aは、紙幣モジュール200(紙幣取扱装置ともいう)の上部に配置されたユニットである。上部ユニット200Aは、装置外部から紙幣を受け付け又は装置外部へ紙幣を受け渡す入出金口102、紙幣を搬送する搬送部811、搬送部811により搬送される紙幣の通路となる搬送路801、紙幣を判別する判別部804を含む。好ましくは、判別部804で判別された紙幣を入出金処理中に一時的に保管する一時保管庫805、判別部804で、偽券と判断された紙幣又は利用者が入出金口102に取り忘れた取り忘れ紙幣を保管する上部収納庫806を有してよい。
【0040】
下部ユニット200Bは、紙幣取扱装置200の下部に配置されたユニットである。下部ユニット200Bは、入出金処理終了後も紙幣を収納する収納庫202と、収納庫202へ紙幣を搬送する搬送部811g、搬送部により搬送される紙幣の通路となる搬送路801gを含む。下部ユニット200Bの収納庫202としては、リサイクル庫、出金リジェクト庫、入金専用庫、出金専用庫、装填回収庫を含んでよい。下部ユニット200Bは、リサイクル庫を、金種別に複数有してもよい。
【0041】
リサイクル庫は、入金取引では、入金された紙幣を収納し、出金取引では、収納されている紙幣を繰り出す。リサイクル庫は、リサイクル庫への紙幣を集積する紙幣集積機構及び紙幣を繰出す紙幣繰出し機構を備える。出金リジェクト庫は、判別部804で出金リジェクト(汚れや破れ等によって利用者に再度払い出すのに適していない)と判別された紙幣を収納する。出金リジェクト庫は、紙幣集積機構及び紙幣繰出し機構のうち、紙幣を収納する紙幣集積機構のみを有するものであってよい。入金専用庫は、入金された紙幣を収納するのみで、出金取引時に紙幣を繰出さない。入金専用庫は、紙幣集積機構及び紙幣繰出し機構のうち、紙幣を集積する紙幣集積機構のみを有するものであってよい。出金専用庫は、出金専用庫に収納されていた紙幣を繰出すのみで、入金取引時に紙幣を集積しない。出金専用庫は、紙幣集積機構及び紙幣繰出し機構のうち、紙幣を繰出す紙幣繰出し機構のみを有するものであってよい。装填回収庫は、紙幣を他の収納庫へ装填し、又は他の収納庫から回収する。装填回収庫は、紙幣集積機構及び紙幣繰出し機構を備えるものであってよい。
【0042】
また、収納庫202は、紙幣を立位状態で保持する横型カセットを採用しても、紙幣を鉛直方向に集積する縦型カセットを採用してもよい。本実施形態では、横型カセットを採用することで、縦型カセットと比較して、装置の奥行き方向の寸法を小さくしている。紙幣を多種類扱う場合など、収納庫の数を増やしたい場合は、縦型カセットを採用するとよい。縦型カセットは、上部ユニット200Aの高さを維持したまま、下部ユニット200Bの収納庫の数を増やすことが可能となる。
【0043】
続いて、上部ユニット200Aが備える入出金部802に関し説明する。入出金部802は、利用者の投入する紙幣を受け入れる又は利用者へ放出する紙幣を集積する空間である入出金口102、紙幣を入出金口102から繰出す繰出し部(807〜809)、紙幣を入出金口102に集積する集積部(810、814)を備える。入出金口102は、上方に開口部を設け、傾斜した入出金口102前面側の壁面に、紙幣面が接触するようにして、利用者の投入する紙幣を受け入れる又は利用者へ放出する紙幣を集積してもよい。紙幣取扱装置200又はATM100は、入出金口を覆うシャッタ803を有してもよい。シャッタ803は、入出金口102から利用者に紙幣を放出するとき又は利用者から入出金口に受け入れるときに開くものであってよい。
【0044】
入出金口102は、入出金口102の下部に、紙幣が入出金口102から紙幣取扱装置200内に繰出される際に経由する繰出し口817を備える。また、入出金部は、利用者に投入された紙幣を装置前面側の壁面に押し付ける押板815を備えてもよい。入出金部802は、入出金口102の装置前面側に繰出し部(例えば、ピックアップローラとその下方に位置するフィードローラ)とを備える。繰出し部のピックアップローラ807は、押板815により入出金口102の前面側の壁面に押し付けられた紙幣に接触し、紙幣を一枚ずつ分離し、フィードローラ808とともに、紙幣を繰出し口から、搬送路へ搬送する。また、繰出し部802は、紙幣の重送を抑制するゲートローラ809を有し、フィードローラ808はゲートローラ809に対向してよい。フィードローラ808とゲートローラ809とにより、入出金部102内での搬送路を形成してもよい。
【0045】
入出金口102は、入出金口102の下部に、紙幣を紙幣取扱装置200内から入出金口102に一枚ずつ搬入し、集積する際に経由する集積口816を備える。入出金部102は、集積口816の下方に集積部(810、814)を備える。集積ローラ810は、搬送路から集積口816へ紙幣を繰出す。繰出された紙幣を羽根ローラ814が、入出金口102内部へ紙幣を集積する。集積部(810、814)は入出金部802において、対向する2つの軸を有し、それぞれの軸にローラ(810、814)を有し、入出金部102内での搬送路を形成してもよい。
【0046】
紙幣取扱装置200は、入出金部802の繰出し部(807〜809)、集積部(810、814)を駆動する駆動源を備える。駆動源としては、例えば、モータなどがある。また、入出金部802は、ユニット化されていてもよい。ユニット化に関しては後述する。
【0047】
なお、入出金口102は、利用者の投入する紙幣を受け入れる入金口と利用者へ放出する紙幣を集積する出金口とが分離して構成されていてもよい。また、上部ユニット100Aは、入出金口の底面と第一の搬送路801a、bの間には、異物を収納する異物収納空間を備えていてもよい。入出金口の底面には、入出金口に投入された異物を異物収納空間に落とすスリットがあり、当該スリットを通して、異物は異物収納空間に収納される。異物収納空間に収納された異物は、異物収納空間からATM筐体の外部に通じる通路を通過し、利用者が異物を取り出すことのできる異物返却口に返却されてもよい。
【0048】
続いて、上部ユニット200Aが備える一時保管庫805に関し説明する。一時保管庫805は、紙幣を一時的に保管する。より詳細には、判別部804の判別結果に基づき紙幣の計数を行う入金計数時に紙幣を一時的に保管し、一時保管庫805に保管された全ての紙幣を収納庫202又は入出金口102に収納する入金収納時に一枚ずつ繰出す。また、一時保管庫805は、収納庫202から、紙幣を出金する出金処理時に、判別部804の判別結果により、出金リジェクト紙幣と判別された紙幣を一時的に保管し、出金額分の紙幣を入出金口102に搬送した後に、一時保管庫805に保管された全ての紙幣を上部収納庫806又は出金リジェクト庫202に収納してもよい。
【0049】
一時保管庫805は、紙幣を巻き取って保管する巻き取り式のものであってもよいし、紙幣を集積して保管するスタック式のものであってもよい。
【0050】
続いて、上部ユニット200A、下部ユニット200Bで紙幣を搬送する搬送部811に関し説明する。
【0051】
紙幣は、搬送部により搬送される。搬送部811は、例えば、搬送ベルト、搬送ローラなどがある。搬送路801は、搬送部811が紙幣を搬送する通路である。搬送路801は、搬送部811の紙幣と接触する部分や紙幣の搬送をガイドする搬送ガイド、従動部820(例えば、従動ローラ)により形成さていてよい。搬送部811は、紙幣を一方向のみに搬送してもよいし、双方向に搬送してもよい。紙幣取扱装置200は、搬送部801を一方向又は双方向に駆動する駆動源を備える。搬送部801は、駆動源により駆動され、紙幣を搬送するものであってよい。駆動源としては、モータなどがある。
【0052】
また、切替え部812は、紙幣の搬送方向を切替えることにより、紙幣が搬送される搬送路801を選択する。制御部が、判別結果、取引の種類、又は処理の種類などに基づき、切替え部812の切替え制御を行う。切替え部812とは、例えば、切替えゲートなどがある。紙幣取扱装置は、切替え部812を駆動する駆動源を備える。駆動源としては、ソレノイドなどがある。
【0053】
続いて、本実施形態の特徴の一つである上部ユニット200の構成の詳細について説明する。本実施形態では、入出金部(繰出し部807〜809)と判別部804との間で紙幣を搬送する(又は搬送される)第一の搬送路(801a、b)と、判別部804と第一の切替え部812aの間で紙幣を搬送する(又は搬送される)第二の搬送路801dと、第一の切替え部812aと入出金部(集積部810、814)との間で紙幣を搬送する(又は搬送される)第三の搬送路801eとを有する。
【0054】
また、第一の切替え部812aと一時保管庫805との間で紙幣を搬送する一時保管庫搬送路801hを有する。第一の切替え部812aは、第二の搬送路801dの判別部側から搬送されてきた紙幣を、集積部810、814(第三の搬送路801e)の方向と、一時保管庫805(一時保管庫搬送路801h)の方向とに搬送方向を切替える。また、第一の切替え部812aは、一時保管庫搬送路801hの一時保管庫805側から搬送されてきた紙幣を、判別部804(第二の搬送路801d)の方向と、集積部810、814(第三の搬送路812e)の方向とに搬送方向を切り替える。第一の切替え部812aは、判別部804の上方に位置してよい。
【0055】
また、第三の搬送路801eは、
図8の通り、第一の切替え部812aの一時保管庫側(一時保管庫搬送路801h)から紙幣が搬送されてくる搬送路と、判別部側(第二の搬送路801d)から紙幣が搬送されてくる搬送路とが分岐されて構成されていてもよい。
【0056】
また、各搬送路(例えば、第一の搬送路801a、b、第二の搬送路801d、第三の搬送路801e、一時保管庫搬送路801h、後述する第六の搬送路801f、下部ユニット200Bの搬送路801g)は、搬送部811を備えており紙幣が搬送される構成となっていてよい。
【0057】
続いて、第一の搬送路801a、bの詳細を説明する 。第一の搬送路801a、bは、繰出し部(807〜809)と判別部とを接続する搬送路であってよい。第一の搬送路801a、bは、繰出し部(807〜809)から下方向に紙幣を搬送し、第一の搬送ローラ811aに沿って、横方向に紙幣の搬送方向を変化させ、第二の切替え部812bまで紙幣を搬送する第四の搬送路801aと、第四の搬送路801aと、判別部との間で紙幣を横方向に搬送する第五の搬送路801bとを有する。
【0058】
第四の搬送路801aは、繰出し部(807〜809)と第五の搬送路801bとを接続する搬送路であってよく、繰出し部(807〜809)と第一の搬送ローラ811aを接続する搬送路及び第一の搬送ローラから第二の切替え部812bとを接続する搬送路からなってよい。第四の搬送路801aは、繰出し部(807〜809)から垂直方向に沿って延伸する搬送路と第一の搬送ローラ811aを介して水平方向に沿って延伸する搬送路とからなってよい。
【0059】
第五の搬送路801bは、第四の搬送路801aと判別部とを接続する搬送路であってよい。第五の搬送路801bは水平方向に沿って延伸する搬送路であってよい。
【0060】
第四の搬送路801a又は第五の搬送路801bは、入出金部802(特に、繰出し口817及び集積口816)の下方に位置するものであってよい。また、第四の搬送路801a又は第五の搬送路801bは、上部ユニット200Aの下面と、入出金部802の下面との間に位置するものであってよい。第四の搬送路801aの第一の搬送ローラ811aから第二の切替え部812bまでの間(第四の搬送路801aの横方向に搬送する搬送路)は第二の切替え部812b側が、第一の搬送ローラ811a側よりも高くなる(第一の搬送ローラ811a側が、第二の切替え部812b側より低くなる。)方向に傾斜してもよい。また、第五の搬送路801bは、第四の搬送路801a(第二の切替え部812b)側よりも、判別部804側の方が高くなる(判別部804側よりも、第四の搬送路801a側を低くなる)方向に傾斜してもよい。
【0061】
第四の搬送路801aの第二の切替え部812b側より第一の搬送ローラ811a側を低く又は第五の搬送路801bの判別部804側よりも第四の搬送路801a側を低くすることで、判別部804の紙幣出入り口の高さにより、入出金部802の高さが高くなることを抑制し、入出金口102を低く配置することが可能となる。
【0062】
詳細には、判別部804がユニット化されている場合、ユニット化された判別部804は、判別部搬送路804cの高さが固定されるため、判別部804の紙幣出入り口の高さを基準とし、入出金口102の高さが高くなることがある。しかし、本実施形態のように、第四の搬送路又は第五の搬送路を傾斜させることにより、入出金部802の下面と上部ユニット200Aの下面との間で必要となる機構(例えば、異物収納空間、第二の切替え部など)を維持しつつ、入出金口102の高さを低くすることが可能となる。特に、第四の搬送路801aを傾斜させると、入出金口102の繰出し部側を低くすることが可能となる。第五の搬送路801bを傾斜させると、入出金口102の集積部側を低くすることが可能となる。
【0063】
また、本実施形態のように、入出金部が一体化したユニットとなっている場合、第四の搬送部及び第五の搬送部を上述のように傾斜させることで、入出金口全体を下げることが可能となる。なお、ユニット化されているとは、装置の他の部品と区別できる塊として纏められていること又は紙幣取扱装置への固定部材を外すことによりひと塊として取り出せるように纏められていることを意味してもよい。
【0064】
第六の搬送路801fの搬送部は、第五の搬送路801bと受け渡し部203の搬送路801iとの間で紙幣を搬送する。受け渡し部203の搬送路801iの搬送部811i又は従動部820は、下部ユニット200Bの搬送路801gと上部ユニット200Aの第六の搬送路801fとの間で紙幣を搬送する。第六の搬送路801fは、第四の搬送路801a及び第五の搬送路801bの下側に位置してよい。第五の搬送路801bと第四の搬送路801aとが接続される位置に、第二の切替え部812bを有する。第二の切替え部812bは、第五の搬送路801bにより搬送されてきた紙幣の搬送方向を、第四の搬送路801aの方向又は第六の搬送路801fの方向に切替える。
【0065】
第四の搬送路801aは、第四の搬送路801aを形成する第一の搬送ローラを備えてもよい。第五の搬送路801b又は第六の搬送路801fは、第五の搬送路801b及び第六の搬送路801fを形成する第二の搬送ローラ811bとを備えてもよい。言いかえると第二の搬送ローラ811bは、第五の搬送路801bと第六の搬送路801fに共用される。
【0066】
以下では第一の搬送路(第四の搬送路801a、第五の搬送路801b)及び第六の搬送路801fに関しさらに詳細に説明する。
【0067】
ここで、第四の搬送路801aは、第四の搬送路801aを介して横方向に対向する位置に第一の水平従動部820aを有し、縦(高さ)方向に対向する位置に第一の垂直従動部820bを有してもよい。第一の水平従動部820aと第一の垂直従動部820bは、第一の搬送ローラ811aに従動して回転してもよい。また、第一の水平従動部820aと第一の垂直従動部820bは、第一の搬送ローラ811aよりも軸径が小さくてもよい。
【0068】
また、第一の搬送ローラ811aと、第二の搬送ローラ811bとが水平方向に重なる位置(あるいは、第一の搬送ローラ811aと、第二の搬送ローラ811bが垂直方向に重ならない位置)に配置してもよい。特に、第四の搬送路801aの横方向に紙幣を搬送する搬送路及び第五の搬送路801bが上述の通り傾斜している場合、第四の搬送路801aの横方向に紙幣を搬送する搬送路の上側に第一の搬送ローラ811a、第五の搬送路801bの下側に第二の搬送ローラ811bを有してもよい。これにより、第五の搬送路801bを傾斜させることで生じる上部ユニット200Aの下面と第五の搬送路801bとの空間を有効に利用することが可能となり、入出金口102の高さを抑制することが可能となる。
【0069】
さらに、第一の搬送ローラ811aに関し詳細に説明する。第一の搬送ローラ811aは、入出金部802から搬送されてきた紙幣を、縦方向(垂直方向に沿った方向)から横方向(水平方向に沿った方向)へと紙幣の搬送方向を変更する役目を有している。なお、紙幣の搬送方向が縦(上下)方向とは、搬送方向が水平方向よりも垂直方向に近いことを意味し、紙幣の搬送方向が横(前後)方向とは、搬送方向が垂直方向よりも水平方向に近いことを意味してもよい。また、紙幣の搬送方向を変更する場合、搬送方向の角度を様々な角度に変化させるものであってよいが、好ましくは、第一の搬送ローラ811aの前後の搬送路801a(搬送方向)の角度が鋭角となるとよい。また、第一の搬送ローラ801aは、繰出し部(807〜809)のフィードローラ808が搬送している紙幣を受け取る役目を有している。紙幣取扱装置の高さ方向及び前後方向の大きさを抑制しつつ入出金部下部の空間の有効利用することができる。
【0070】
第一の搬送ローラ811aは、繰出し部(807〜809)(特にフィードローラ808及びゲートローラ809)が紙幣に接触している時に当該紙幣に接触してよい。言いかえると、繰出し部(807〜809)(特にフィードローラ808及びゲートローラ809)が紙幣と非接触(非挟持)となる前に、第一の搬送ローラ811aが当該紙幣を接触(挟持)してよい。すなわち、第一の搬送ローラ811aと繰出し部(807〜809)(特にフィードローラ808及びゲートローラ809と接触する位置)との距離(例えば、第一の搬送ローラの回転軸とフィードローラ808の回転軸の間の距離)が、搬送媒体の搬送方向の長さよりも短いものでよい。
【0071】
上述のように第一の搬送ローラ811aを形成することで、第一の搬送ローラ811aが、入出金部から搬送された紙幣を受け取る役目と、搬送方向を変える役目との二つの役目を果たすことが可能となる。
【0072】
また、第一の搬送ローラ811aは、繰出し部(807〜809)直下に配置されてよい。また、第一の搬送ローラ811aは、繰出し部(807〜809)と同じ速度で回転するものであってよい。すなわち、第一の搬送ローラ811aの駆動部は、繰出し部(807〜809)と共通するものであってよく、他の搬送部(例えば、第二の搬送ローラ811b、後述する第三の搬送ローラ811c)とは異なるものであってよい。あるいは、第一の搬送ローラ811aの駆動部は、繰出し部(807〜809)の駆動部と同期して駆動されるものであってもよい。これにより、繰出し部(807〜809)から搬送された紙幣のジャムを抑制することが可能となる。より詳細には、繰出し部に紙幣の長さを検知するセンサを備え、繰出された紙幣が重送等で1枚であることが長さから判別できない場合に、繰出し部の動作を止めることにより、第一の搬送ローラも止めることが可能となり搬送路でのジャムを低減できる。
【0073】
続いて、第三の搬送路801eと第五の搬送路801bの関係に関し詳細に説明する。第三の搬送路801eは、第一の切り替え部812aと集積部(810、814)(集積部(810、814)の形成する搬送路)とを接続してもよい。集積部(810、814)は、第三の搬送路801eの前端から集積口816へ紙幣を搬送し、紙幣を入出金口102に集積する。第一の下端部813は、第三の搬送路801eの最下端である。第一の下端部813で第三の搬送路801eと集積部(810、814)又は集積部(810、814)が形成する搬送路とが接続されていてよい。第一の下端部813は、第五の搬送路801bの上方(判別部804の前面よりも前方)に位置してもよい。これにより、入出金部802を前方に配置することが可能となる。さらに、入出金部802を前方に配置することで、例えば、上部ユニット200A上方に配置するATM100の表示入力部101を装置前方に配置することが可能となり、操作性を向上させることができる。
【0074】
また、第一の下端部813は、判別部804の上面よりも下側に配置されてよい。これにより、入出金部802の高さを抑制することが可能となる。この場合、第一の下端部813及びその周辺の搬送部が第五の搬送路801bの搬送部を配置する空間を抑制することがある。
【0075】
第一の下端部813が判別部804の上面よりも下側に配置される場合や、第一の下端部813が第五の搬送路801bの上方(判別部804の前面よりも前方)に配置される場合であっても、第五の搬送路801bを傾斜させることで、第五の搬送路801bの搬送部の空間や入出金口に投入された異物(例えば硬貨など)を収納する異物収納空間を確保することを可能とする。また、第二の搬送ローラ811bよりも判別部804側(後方)に配置する、第五の搬送路801bの搬送部である第三の搬送ローラ811c(例えば、第三の搬送ローラ)を、第五の搬送路801bよりも下側に配置してもよい。これにより、第五の搬送路801bの搬送部の空間や異物収納空間を確保することが可能となる。第三の搬送ローラ811cは、第五の搬送路801bを形成する搬送部のうち、判別部804直前の(最も判別部804に近い)搬送部であってよい。また、判別部804内で紙幣を搬送する判別部搬送部が接触しているときに、第三の搬送ローラ811cは、当該紙幣に接触してもよい。また、第三の搬送ローラ811cは、第一の下端部813の下方に位置してよい。すなわち、第三の搬送ローラ811cと判別部搬送部との距離(例えば、軸間の距離)が、搬送媒体の搬送方向の長さよりも短い。
【0076】
また、第一の搬送ローラ811aと第三の搬送ローラ811cとが、水平方向に重なる位置(あるいは、第一の搬送ローラ811aと、第三の搬送ローラ811cが垂直方向に重ならない位置)に配置してもよい。
【0077】
また、第五の搬送路801bは、第五の搬送路801bを介して第二の搬送ローラ811b、第三の搬送ローラ811cのそれぞれに対向する位置に、第二の従動部820c、第三の従動部820dを有してよい。第一の水平従動部820a、第一の垂直従動部820bは、第一の搬送ローラ811aによる紙幣の搬送に従動して回転する。第二の従動部820c、第三の従動部820dは、それぞれ第二の搬送ローラ811b、第三の搬送ローラ811cによる紙幣の搬送に従動して回転する。また、第一の水平従動部820a、第一の垂直従動部820b、第二の従動部820c、第三の従動部820dは、駆動源を有さず、搬送部が搬送する紙幣と接触することで回転するものであってよい。より詳細には、従動部820a〜dは、対向するものにより駆動されるもので、紙幣がない場合には、それぞれに対向する搬送部811a〜cにより駆動され、紙幣がある場合には、通過する紙幣により駆動されるものでよい。
【0078】
第一の水平従動部820a、第一の垂直従動部820b、第二の従動部820c、第三の従動部820dは、例えば、従動ローラであってよい。
【0079】
また、第一の水平従動部820a、第一の垂直従動部820bは、第一の搬送ローラ811aよりも、軸径が小さく(又は高さが低く)、第二の従動部820cは、第二の搬送ローラ811bよりも、軸径が低く(又は高さが低く)、第三の従動部820dは、第三の搬送ローラ811cよりも、軸径が小さく(又は高さが低い)。このような場合に、第一の垂直従動部820bを第五の搬送路801bの下側、第一の搬送ローラ811aを第五の搬送路801bの上側に配置し、第二の従動部820c又は第三の従動部820dを第五の搬送路801bの上側、第二の搬送ローラ811b又は第三の搬送ローラ811cを第五の搬送路801bの下側に配置してもよい。
【0080】
また、入出金部の下面と上部ユニットの下面の間の搬送部を搬送ベルトではなく全て搬送ローラで形成することで、入出金部の高さを抑制することが可能となる。また、第一の搬送ローラ811aと第二の搬送ローラ811b、第二の搬送ローラ811bと第三の搬送ローラ811cは、それぞれのローラの距離(ローラの回転軸の軸間距離)が、搬送される搬送媒体の搬送方向の長さよりも短くてもよい。これにより第一の搬送路801aを簡素化し、入出金口102の高さを抑制することが可能となる。この場合、第一の搬送路801aの搬送部811として、第一の搬送ローラ811a、第二の搬送ローラ811b、第三の搬送ローラ811cのみで構成してもよい。更なる小型化が可能となる。
【0081】
また、搬送ローラの場合は、ベルトを通すための機構が不要となるため、装置が簡素化でき、装置の小型化が可能となる。また、搬送ベルトの場合は、修理等で交換する場合、通常はベルトが配置された範囲全ての分解が必要で、作業量が多くなり易いが搬送ローラの場合は、作業量を抑制できる。
【0082】
一方、各搬送路の搬送部には搬送ベルトを含んでもよい。搬送部を搬送ベルトとすることで、安定した搬送が可能となる。上述の第一の搬送ローラ811a、第二の搬送ローラ811b、又は第三の搬送ローラ811cに、搬送ベルトが懸架されている場合、第一の搬送ローラ811a、第二の搬送ローラ811b、又は第三の搬送ローラ811cは、懸架されている搬送ベルトを駆動するために回転するローラを意味するものとする。
【0083】
続いて判別部804に関し説明する。判別部804は、判別部804内に紙幣を搬送する判別部搬送路804c及び判別部搬送部を有する。判別部搬送路804cは、判別部搬送部により、紙幣を搬送される通路である。判別部搬送部は、例えば、搬送ローラ、搬送ベルトなどがある。判別部搬送路804c及び判別部搬送部は、紙幣を双方向に搬送してもよい。第一の搬送路(801a、b)と第二の搬送路801dは、判別部搬送路804cと接続されており、第一の搬送路(801a、b)と接続される判別部804(判別部搬送路804c)の紙幣の出入り口を第一出入り口804a、第一の搬送路(801a、b)と接続される判別部804(判別部搬送路804c)の紙幣の出入り口を第二出入り口804bとしてもよい。また、判別部804の上面を入出金部802の下面をよりも高い位置にしてよい。これにより入出金部802の高さを抑制することが可能となる。
【0084】
また、判別部804は、判別部搬送路804cが傾斜するように配置されてもよい。上部ユニット200Aの下面に判別部804を傾斜して接続する固定部を備える。これにより、判別部804の第一出入り口804a又は第二出入り口804bの一方の高さを抑制することが可能となる。特に、第一出入り口804aが、第二出入り口804bよりも低い位置になるように、判別部804を傾斜させることで、判別部804の紙幣出入り口の高さにより、入出金部802の高さが高くなることを抑制し、入出金口102を低く配置することが可能となる。
【0085】
判別部804は、搬送される紙幣の真偽、金種又はリジェクト(正損含む)の判断に必要な情報を取得するセンサ(例えば、画像センサ、厚みセンサ、磁気センサなど)を備え、取得した情報に基づき、紙幣の真偽、金種又はリジェクトの判別を行う。制御部は、判別部804による判別の結果に基づき、紙幣の搬送先を決定し、切替え部が紙幣の搬送方向を切り替えるように制御する。
【0086】
続いて、受け渡し部203に関し説明する。本実施形態では、下部ユニット200Bの搬送路と第六の搬送路801fとの受け渡し部203を第一の搬送ローラ811aよりも後方に配置する。これにより受け渡し部203へのアクセスを困難にし、セキュリティを高めることが可能となる。また、下部ユニット200Bを筐体よりも強固な金庫201で囲っている場合、金庫201の鍵を開けることなく、金庫201内部へアクセスできる場所は、受け渡し部203のみとなり、当該個所のセキュリティを高めることはより有効となる。さらに、第一の搬送ローラ811aが、受け渡し部203又は金庫201で囲われた下部ユニット200Bへのアクセスを抑制することでセキュリティを高めることが可能となる。
【0087】
さらに本実施形態では、入出金部802の下面を判別部804の上面よりも下げる(低い配置とする)ことで、受け渡し部203付近の上部ユニット200Aの構造を密とし、受け渡し部203へのアクセスを抑制している。
【0088】
また、下部ユニット200Bへ又は下部ユニット200Bから紙幣を搬送する搬送路を、本実施形態のように第六の搬送路801f一本としてもよい。上部ユニット200Aと下部ユニット200Bとの間で紙幣を搬送する上部ユニット200Aの搬送路を第六の搬送路801fのみとすることで、金庫201の開口部の数を抑制することが可能となり、下部ユニット200Bのセキュリティを高めることができる。
【0089】
続いて制御部701について説明する。制御部701は、入出金口102、収納庫202、判別部804、搬送部、切替え部812を制御する。例えば、入出金部802の繰出し部(807〜809)、収納庫202を制御し、入出金口102又は収納庫202に収納されている紙幣を繰出し、搬送部811を制御し、繰出された紙幣を搬送し、判別部804を制御し、紙幣の判別を行い、切替え部を制御し、搬送方向を決定し、入出金部802の集積部(810、814)又は収納庫202を制御し、入出金口102又は収納庫2027に紙幣を収納する。
【0090】
制御部701は、上部ユニット200A、下部ユニット200Bにそれぞれ備えていてもよいし、上部ユニット200A、下部ユニット200Bで一つの制御部を備えてもよい。
【0091】
続いて、各搬送路の搬送方向制御に関し簡単に説明する。例えば、
図8では、入金取引、出金取引きなどの通常の取引きで、一方向にのみ紙幣を搬送する一方向搬送路を一方向の矢印とし、一本の搬送路で紙幣を双方向に搬送する双方向搬送路を双方向の矢印で示した。第一の搬送路(801a、b)の一部である第四の搬送路801aは、繰出し部(807〜809)から第二の切り替え部812bまで一方向にのみ搬送する一方向搬送路であってよい。第一の搬送路(801a、b)の一部である第五の搬送路801a、第六の搬送路801f、判別部搬送路804c、第二の搬送路801d一時保管庫搬送路801hは、処理に応じて搬送方向を切り替え、紙幣を双方向に搬送する双方向搬送路であってよい。また、第三の搬送路801eは、第一の切り替え部812aから集積部(810、814)へ紙幣を一方向にのみ搬送する一方向搬送路であってよい。第四の搬送路801a及び第三の搬送路801eを一方向搬送路とすることで、搬送部を単純化し、装置の小型化と共にジャムの発生を抑制することが可能となる。
【0092】
続いて、入金取引に関して説明する。制御部701は、入出金部802、収納庫、判別部804、搬送部、切替え部、一時保管庫805を制御することにより、入金取引を実施する。入金取引(入金計数処理)では、繰出し部(807〜809)が、入出金口102に投入された紙幣を一枚位ずつ入出金口102の繰出し口817から第一の搬送路(801a、b)に搬送し、第一の搬送路(801a、b)の搬送部が判別部804へ紙幣を搬送し、判別部804が第一の搬送路(801a、b)により搬送された紙幣を判別し、判別部804で判別された紙幣を、第二の搬送路801dの搬送部が第一の切替え部812aへ搬送し、判別部804での判別の結果に基づき、第一の切替え部812aが一時保管庫805の方向又は第三の搬送路801eの方向に紙幣の搬送方向を切替え、一時保管庫搬送路801hの搬送部が一時保管庫805の方向へ向かう紙幣を一時保管庫805へ搬送し、一時保管庫805は紙幣を保管し、第三の搬送路801eの搬送部が第三の搬送路801eの方向へ向かう紙幣を入出金部802の集積部(810、814)へ搬送し、集積部(810、814)は入出金口102に紙幣を集積する。
【0093】
ここで、入出金口102へ搬送される紙幣は、判別部804がリジェクト紙幣と判断した紙幣で、下部ユニット200Bの紙幣収納庫202に収納すべきではない紙幣(例えば、損券、金種が判別できなかった紙幣など)などが相当する。これらの紙幣は、利用者に返却される。一方、一時保管庫805へ搬送される紙幣は、金種が判別できた真券、偽券があり、下部ユニット200Bの紙幣収納庫へ収納可能な紙幣である。なお、偽券は各国のルールによって異なり、入出金口102に紙幣を搬送する形態でもよい。
【0094】
続いて、制御部701は、入金取引(入金収納処理)を実施する。入金取引(入金収納処理)では、入金計数処理で収納された紙幣を一時保管庫805が、一枚ずつ繰出し、一時保管庫搬送路801hの搬送部が第一の切替え部812aへ紙幣を搬送し、第一の切替え部812aにより第二の搬送路801dの方向へ紙幣の搬送方向を切替え、第一の切替え部812aにより搬送されてきた紙幣を第二の搬送路801dの搬送部が判別部804へ搬送し、第二の搬送路801dの搬送部により搬送されてきた紙幣を判別部804の判別部搬送路804cが第五の搬送路801bへ搬送し、第五の搬送路801bにより搬送されてきた紙幣の搬送方向を第二の切替え部812bが第六の搬送路801fの方向へ切替え、下部搬送路が、判別部804の判別結果に基づき、下部の各紙幣収納庫へ紙幣を搬送する。判別結果は、入金収納処理の際に再度判別部804が判別を行った判別結果を利用してもよいし、再度の判別は行わず、入金計数処理の際の判別結果を利用してもよい。なお、上部ユニット200Aの上部収納庫806に、偽券を収納する場合は、入金計数処理の際の判別結果を用いるとよい。
【0095】
続いて、出金取引に関して説明する。制御部は、入出金部802、収納庫、判別部804、搬送部、切替え部、一時保管庫805を制御することにより、出金取引を実施する。下部ユニット200Bの紙幣収納庫から一枚ずつ繰り出された紙幣を、第六の搬送路801fの搬送部が、第二の切替え部812bに搬送し、第二の切替え部812bに搬送された紙幣を第五の搬送路801bの搬送部が、判別部804に搬送し、判別部804が第五の搬送路801bにより搬送された紙幣を判別し、判別部804で判別された紙幣を、第二の搬送路801dの搬送部が第一の切替え部812aへ搬送し、判別部804での判別の結果に基づき、第一の切替え部812aが一時保管庫805の方向又は第三の搬送路801eの方向に紙幣の搬送方向を切替え、一時保管庫搬送路801hの搬送部が一時保管庫805の方向へ向かう紙幣を一時保管庫805へ搬送し、第三の搬送路801eの搬送部が第三の搬送路801eの方向へ向かう紙幣を入出金部802の集積部(810、814)へ搬送し、集積部(810、814)が入出金口102に紙幣を集積する。
【0096】
ここで、入出金口102へ搬送される紙幣は、判別部804が真券と判断した紙幣で、出金可能な紙幣である。一方、一時保管庫805へ搬送される紙幣は、リジェクト券と判断した出金リジェクト紙幣で、入出金口102に出金すべきではない紙幣(例えば、例えば、損券、金種が判別できなかった紙幣など)などが相当する。
【0097】
以上本願発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、少なくとも以下のいずれかの特徴を有するものであってよい。
【0098】
第一の搬送路は、繰出し部から搬送される紙幣の搬送方向を、下方向から横方向に変える第一の搬送ローラを有し、第一の搬送ローラは、繰出し部が紙幣に接触している時に当該紙幣に接触することを特徴とする。第一の搬送ローラが、入出金部から搬送された紙幣を受け取る役目と、搬送方向を変える役目との二つの役目を果たすことにより、繰出し部の下方の搬送機構を簡素化し、入出金口の高さ(特に手前側の高さ)を抑制することを可能とする。特に、従来では、第二の切替え部、異物収納空間、搬送ベルト、判別部などにより、入出金部の高さの抑制が困難であったが、本実施形態の紙幣取扱装置では、入出金部下面と上部ユニットの底面(あるいは下面、底板ともいう)との間の空間を有効利用することが可能となる。
【0099】
また、前記第五の搬送路の判別部側が第六の搬送路側よりも高い(上側に)位置になる方向に傾斜していることを特徴とする。入出金部の下方の空間を確保することが可能となり、集積部を前方又は下方に配置できる。これにより、入出金口の上方にある表示入力部の高さも下げることが可能となる。
【0100】
また、第二の搬送ローラを、第五の搬送路の下側に、第一の搬送ローラを第四の搬送路の横方向に延伸する搬送路の上側に配置することを特徴とする。入出金部と上部ユニットの下面との間の空間を有効利用することが可能となる。
【0101】
また、判別部搬送部が紙幣と接触しているときに、当該紙幣と接触する第三の搬送ローラを有し、第三の搬送ローラは、第五の搬送路の下側に配置することを特徴とする。第三の搬送ローラを、第五の搬送路の上側に配置しないことにより集積部を下方に配置することが可能となる。
【0102】
また、入出金部の下面は、判別部の上面よりも下側に位置することを特徴とする。入出金部の高さを抑制することが可能となる。
【0103】
また、判別部は、判別部の第五の搬送路側が第二の搬送路側よりも低い位置に位置する方向に傾いていることを特徴とする。集積部側の高さを抑制することが可能となる。
【0104】
また、上部筐体の有するレール部は、紙幣取扱装置の両側面に固定され前後方向に出入りするスライド部と、上部筐体に固定され、両側面のスライド部が出し入れされる固定部とを有し、第一の媒体取扱装置(例えば明細票発行装置)は、紙幣取扱装置の両側面のいずれか一方である第一の側面に固定され、紙幣取扱装置が前後方向に出し入れされることにより、第一の媒体取扱装置も前後方向に移動することを特徴とする。これにより、自動取引装置の幅方向のサイズを抑制し、自動取引装置の小型化が可能となる。
【0105】
また、レール部は、レール部の前方側が後方側よりも高い位置になるように傾斜していることを特徴とする。紙幣取扱装置と第一の媒体取扱装置とを一つのレールで前方に引き出した場合に、紙幣取扱装置と第一の媒体取扱装置の重量によりスライド部が垂れ下がっても、下部筐体の作業をすることが可能となる。
また、筐体は、前記筐体に固定され、第一の媒体取扱装置の下方から上方向に第一の媒体取扱装置を支持する補助部材を有し、補助部材は、第一の媒体取扱装置が、前後方向に移動する際に、接触して回転するローラであることを特徴とする。自動取引装置の幅方向を抑制し、かつ第一の媒体取扱装置の垂れ下がりを抑制することが可能となる。
【0106】
また、上部ユニットの入出金口と、第一の媒体取扱装置の媒体である明細票を発行する明細票取扱口とを略同一の高さとし、カード取扱い装置のカードを受け付けるカード取扱口と、明細票取扱口とを垂直方向に重なる位置に配置することを特徴とする。これにより、自動取引装置の操作部を利用者の操作し易い位置(所定の高さ内で、所定の幅範囲で、装置前面から所定の距離内)に配置することが可能となる。
【0107】
以上本発明によれば、紙幣取扱装置又は自動取引装置を小型化することが可能となる。また、多種多様な利用者の操作性を維持することが可能となる。この結果、障がい者に対する差別をなくし健常者と平等の機会を与えることを目指して制定されたアメリカ障がい者差別禁止法(Americas with Disabilities Act)(以下ADA規格と記す)を満たすことも可能となる。例えば、装置操作に関わる部位は床からの高さ1220mm、装置前方から255mm内にエンドユーザーの操作部の配置することができる。