(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483286
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】蓄電装置及びこれに関する方法
(51)【国際特許分類】
H01M 10/36 20100101AFI20190304BHJP
H01M 4/36 20060101ALI20190304BHJP
H01G 11/00 20130101ALI20190304BHJP
【FI】
H01M10/36 A
H01M4/36 Z
H01G11/00
【請求項の数】15
【全頁数】20
(21)【出願番号】特願2017-559526(P2017-559526)
(86)(22)【出願日】2016年4月27日
(65)【公表番号】特表2018-522368(P2018-522368A)
(43)【公表日】2018年8月9日
(86)【国際出願番号】FI2016050270
(87)【国際公開番号】WO2016185082
(87)【国際公開日】20161124
【審査請求日】2017年11月14日
(31)【優先権主張番号】15167921.4
(32)【優先日】2015年5月18日
(33)【優先権主張国】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】315002955
【氏名又は名称】ノキア テクノロジーズ オーユー
(74)【代理人】
【識別番号】100127188
【弁理士】
【氏名又は名称】川守田 光紀
(72)【発明者】
【氏名】ウェイ ディ
(72)【発明者】
【氏名】ザーラ サルバトーレ
【審査官】
神野 将志
(56)【参考文献】
【文献】
特表2017−538245(JP,A)
【文献】
国際公開第2014/188059(WO,A1)
【文献】
特開2013−165267(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2014/0315096(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/36、4/36、4/583
H01G 11/00
C01B 32/198
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1電荷コレクタと、
イオン層と、
前記第1電荷コレクタ上に設けられる酸化グラフェンと、
前記第1電荷コレクタから離れたところに設けられ、前記第1電荷コレクタより低い仕事関数を有する第2伝導性材料と、
を備え、
前記酸化グラフェンは、前記第2伝導性材料と接合部分で接するように前記第1電荷コレクタから延設されており、
前記イオン層は、前記酸化グラフェンと前記第2伝導性材料とに接し、
前記イオン層は、周辺環境から水分を吸収し、前記水分を、前記酸化グラフェン及び/又は前記第2伝導性材料に供給するように配され、
また前記イオン層は、室温イオン液体と、前記イオン層を室温で固体化させる凝固剤とを備える、
装置。
【請求項2】
前記室温イオン液体が室温で液体である、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記室温イオン液体は、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(TES−TFSI)含有化合物、
1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(EMIM−TFSI)含有化合物、
トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(OMA−TFSI)含有化合物、及び
その他のビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(TFSI)含有化合物、のうちのいずれか1つ以上を含む、請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記凝固剤は、共有結合性の高分子網目を含む、請求項1〜3のいずれかに記載の装置。
【請求項5】
前記イオン層は、共有結合性の高分子網目に固定、埋込み、含有のうちのいずれか1以上がされた室温イオン液体を備える、請求項1〜4のいずれかに記載の装置。
【請求項6】
前記第2伝導性材料が第2電荷コレクタ上に設けられ、前記第2電荷コレクタは前記第1電荷コレクタから離れたところに設けられ、前記第2伝導性材料は前記第2電荷コレクタから前記接合部分に延設されている、請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記第2伝導性材料が、
還元型酸化グラフェン、
水酸化カリウム、
ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸、
基本高分子、
導電性高分子のうちのいずれか1つ上を含む、請求項1〜6のいずれかに記載の装置。
【請求項8】
前記酸化グラフェンが酸化グラフェンとプロトン伝導体との混合物として提供され、前記プロトン伝導体が疎水性である、請求項1〜7のいずれかに記載の装置。
【請求項9】
前記イオン層が、室温で2Bの鉛筆と同等またはそれ以上の硬度を有する性質、
50℃以上のガラス転移点を有する性質、
のうちの1つ以上の性質を有する、請求項1〜8のいずれかに記載の装置。
【請求項10】
バッテリー、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリー及びキャパシタのハイブリッド、電子デバイス、携帯型電子デバイス、携帯型電気通信デバイス、PDA、携帯電話機、スマートフォン、ファブレット、タブレット、ノート型コンピュータ、デスクトップコンピュータ、スマートウォッチ、スマートグラス、電子時計、ワイアレスセンサ、電気化学センサ、ウェアラブルデバイス、RFIDタグ、エレクトロクロミックデバイス、湿度センサ、及びこれらと同じものの1つまたは複数のモジュール、
のうちの1つ以上である、請求項1〜9のいずれかに記載の装置。
【請求項11】
請求項1〜10のいずれかに記載の装置を複数積層したものを備える装置。
【請求項12】
酸化グラフェンを、第1電荷コレクタ上に設けることと、
前記第1電荷コレクタから離れたところに、前記第1電荷コレクタより低い仕事関数を有する第2伝導性材料を設けることと、
前記酸化グラフェンおよび前記第2伝導性材料に接するイオン層を設けることと、
を含む、装置の製造方法であって、
前記酸化グラフェンは、接合部分で前記第2伝導性材料と接するように、前記第1電荷コレクタから伸びるように設けられ、
前記イオン層は、
・ 室温イオン液体と、前記イオン層を室温で固体化させる凝固剤とを含み、
・ 周辺環境から水分を吸収し、前記水分を、前記酸化グラフェン及び/又は前記第2伝導性材料に供給するように配される、
製造方法。
【請求項13】
前記イオン層を提供することは、前記室温イオン液体を含む共有結合性の高分子網目を形成するため、前記室温イオン液体の存在下で架橋性オリゴマーを重合することを含む、請求項12に記載の製造方法。
【請求項14】
前記室温イオン液体の存在下で前記架橋性オリゴマーを重合することは、前記室温イオン液体、前記架橋性オリゴマー、及びUV架橋開始剤のUV照射を含む、請求項13に記載の製造方法。
【請求項15】
前記室温イオン液体、前記架橋性オリゴマー、及び前記UV架橋開始剤の比重は、85:10:5、80:15:5、75:20:5、のうちのいずれか1つである、請求項14に記載の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は蓄電の分野(例えば、バッテリー、スーパーキャパシタ、バッテリー及びキャパシタのハイブリッドを含む)に関するものである。また、本願はこれに関する方法及び装置に関するものであり、特に、水が存在すると陽子を生成するように構成される酸化グラフェンを備える装置、第1電荷コレクタの上に提供される酸化グラフェン、及びイオン層に関するものである。イオン層は酸化グラフェンの上に設けられ、室温では固体であり、周辺環境から水分を吸収し、吸収した水分を装置/酸化グラフェンに供給するように構成される。このような装置は、特定の実施形態においてプロトン電池、またはプロトン電池に関連するものであると考えられる。本願の特定の例示的態様/実施形態は携帯型の電子デバイス、特に、いわゆる持ち運び用電子デバイスに関するものである。この携帯型の電子デバイスは、手に持って使用可能である(クレードルに設置して使用することも可能であるが)。このような持ち運び用の電子デバイスは、いわゆるPDA(Personal Digital Assistants)、スマートウォッチ、タブレットPCを含む。
【0002】
本願の例示的態様/実施形態の1つ又は複数に従う携帯電子デバイス/装置は、次のうちの1つ又は複数の機能を提供し得る:オーディオ/テキスト/ビデオ通信機能(例えば、電話通信,ビデオ通信,及び/又はテキスト通信,ショートメッセージサービス(SMS)/マルチメディアメッセージサービス(MMS)/電子メールの機能);インタラクティブ/非インタラクティブ表示機能(例えば、ウェブ閲覧,ナビゲーション,テレビ/番組表示の機能);音楽録音/再生機能(例えば、MP3や他のフォーマット及び/又は(FM/AM)ラジオ放送の録音/再生);データのダウンロード/設定機能;画像録画機能(例えば、(内蔵の)デジタルカメラ);ゲーム機能。
【0003】
現在、最新の電子デバイスに使用するために、既存の蓄電池より大きな蓄電容量を有するより小さな蓄電池を開発するため、調査が行われている。
【0004】
本願の1つ又は複数の態様/実施形態が課題の1つ又は複数を解決してもよく、そうでなくてもよい。
【0005】
本願における公開済み文献または背景の列挙や議論は、こうした文献や背景が当該技術分野の状況の一部であること、または共通の一般知識であることとして必ずしも理解されなくてもよい。
【0006】
第1の態様によれば、イオン層を備える装置が提供される。イオン層は周辺環境から水分を吸収し、その水分を装置に供給するように構成される。前記装置は、第1電荷コレクタ上に配される酸化グラフェンを備え、この酸化グラフェンは水分があるところで陽子を生成するように構成されている。前記装置はまた、第1電荷コレクタから離れたところに配される第2伝導性材料を備え、この第2伝導性材料は第1電荷コレクタより低い仕事関数を有し、酸化グラフェンは第2伝導性材料と接合部分で接するように第1電荷コレクタから延設されている。前記装置はさらに、酸化グラフェンと第2伝導性材料とに接するイオン層を備えている。ここで、イオン層は室温イオン液体および凝固剤を有し、凝固剤はイオン層が室温で固体化するために提供される。
【0007】
前記第2伝導性材料は第2電荷コレクタ上に設けられ、第2電荷コレクタは第1電荷コレクタと物理的および電気的に離れるように設けられ、第2伝導性材料は第2電荷コレクタから接合部分に延設されている。
【0008】
室温イオン液体は室温で液体でいられる。室温は、−100℃〜+100℃、−50℃〜+50℃、+15℃〜+35℃、+20℃〜+27℃、の温度範囲のうちのいずれか1つ以上であると考えられる。
【0009】
室温イオン液体は、トリエチレンスルホニウムビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(triethylsulfonium bis(trifluoromethane)sulfonimide;TES−TFSI)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(1-ethyl-3-methylimidazolium bis(trifluoromethane)sulfonimide;EMIM−TFSI)、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(trioctylmethylammonium bis(trifluoromethane)sulfonimide;OMA−TFSI)のうちの1つ以上を含むことができる。室温イオン液体は、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(bis(trifluoromethane)sulfonimide;TFSI)を含む他の化合物を含むことができる。代替的に、室温イオン液体はTFSIを含まない化合物を含むこともできる。
【0010】
凝固剤には、共有結合性の高分子網目を含むことができる。これはまた、ポリマーマトリクスと考えることもできる。共有結合性の高分子網目は、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、実質的に100%の重合度を有することができる。
【0011】
室温イオン液体は、共有結合性の高分子網目に固定、埋込み、含有、適用のいずれか一つ以上がなされていてもよい。
【0012】
酸化グラフェンは、第1電荷コレクタにコーティングされてもよい。第2伝導性材料は第2電荷コレクタにコーティングされてもよい。イオン層は、酸化グラフェンと第2伝導性材料にコーティングされてもよい。
【0013】
第2伝導性材料は還元型酸化グラフェン、水酸化カリウム、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸(poly(3,4-ethylenedioxythiophene) polystyrene sulfonate)、基本高分子、導電性高分子のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。
【0014】
第1電荷コレクタ上に設けられる酸化グラフェンは、酸化グラフェンとプロトン伝導体の混合物としても使用される。プロトン伝導体は疎水性である場合があり、有機ポリマー、イオノマー、Nafin(商標)のうちの一以上を含むことができる。
【0015】
第1及び第2電荷コレクタの一方または両方は、金属、合金、金、銀、銅、アルミニウム、スチール、インジウムスズ酸化物のうちのいずれか1つ以上を含む。
【0016】
装置は基板を備えることができる。基板は、第1電荷コレクタ及び第2電荷コレクタ、酸化グラフェン、第2伝導性材料、及びイオン層を支持するように構成される。基板は、絶縁性、柔軟性、親水性のうちの少なくとも1つ以上を有することができる。
【0017】
室温で固体のイオン層は、下記の1つ以上の性質を有することができる。室温で2Bの鉛筆と同等かそれ以上の硬度を有する。50℃以上のガラス転移点を有する。イオン層が固体化するための他の性質も予測可能である。
【0018】
第1電荷コレクタと第2電荷コレクタとの間の間隔は、2mm、1mm、500μm、100μm、50μmのいずれかより狭くともよい。
【0019】
酸化グラフェンと第2伝導性材料との間の接合部分の幅は、500μm、100μm、50μm、10μm、1μmのいずれかより狭くてもよい。
【0020】
装置は、イオン層及び酸化グラフェンのうちの1つ以上が、周辺環境にある水分(例えば、水蒸気)に晒されるよう構成されている。動作中、水分(例えば、液体の水、水蒸気)は特に装置に供給される場合もあり、且つ/または、装置が水源を備える場合もある。代替的に、水分を特に装置に供給しない場合もある。例えば、イオン層/酸化グラフェンは、空気の湿度という形で水分に晒される場合がある。
【0021】
イオン層は、周辺環境から装置/酸化グラフェン/第2伝導性材料に水分を供給するために作用することによって、酸化グラフェンによる陽子生成を促進するように構成されている。さらに、イオン層は装置のイオン伝導率を増加させることにより(例えば、酸化グラフェンのイオン伝導率を増加させることにより)第1電荷コレクタと第2電荷コレクタとの間で、電荷の流れを促進するよう構成されうる。さらに、イオン層は、第2伝導性材料の仕事関数を小さくことにより、装置の出力/開回路の電圧を増加させるように構成されうる。
【0022】
イオン層は、周辺環境からのイオン層による水分吸収、および/または、装置/酸化グラフェン/第2伝導性材料への水分供給を増進するように1以上の塩をさらに含むことができる。1以上の塩は、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、塩化リチウム、塩化ナトリウムのうちの1つ以上を含む。
【0023】
室温イオン液体は、親水性を有していてもよい。
【0024】
装置は、バッテリー、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリー及びキャパシタのハイブリッド、電子デバイス、携帯型電子デバイス、携帯型電気通信デバイス、携帯電話機、PDA(a personal digital assistant)、スマートフォン、ファブレット、タブレット、ノート型パソコン、電子時計、ワイアレスセンサ、電気化学センサ、ウェアラブルデバイス、RFIDタグ、エレクトロクロミック素子、湿度センサ、これらと同じものの1つまたは複数のモジュール、のうちの1つ以上でありうる。
【0025】
さらに別の態様によれば、前述のように積み重ねて配置された装置を2つ以上含む装置が提供される。
【0026】
さらに別の態様では、装置の製造方法が提供される。この方法は、第1電荷コレクタ上に酸化グラフェンを設けることを含み、酸化グラフェンは水分があるところで陽子を生成するように構成されている。また、この方法は、第1電荷コレクタから離れたところに第2伝導性材料を設けることを含み、第2伝導性材料は第1電荷コレクタより低い仕事関数を有している。また、酸化グラフェンは、接合部分で第2伝導性材料と接するように、第1電荷コレクタから伸びるように設けられる。さらに、この方法は、酸化グラフェン及び第2伝導性材料と接するイオン層を提供することを含み、イオン層は周辺環境から水分を吸収するように構成されている。ここで、イオン層は室温イオン液体と凝固剤を含み、凝固剤はイオン層を室温で固体化するために提供される。
【0027】
第2伝導性材料は第2電荷コレクタ上に設けられ、第2電荷コレクタは第1電荷コレクタと物理的および電気的に離れるように設けられ、第2伝導性材料は第2電荷コレクタから接合部分に延設されている。
【0028】
イオン層は、室温イオン液体存在下での架橋性オリゴマーの重合によって提供され、室温イオン液体を含む共有結合性の高分子網目を形成する。重合は、in-situ又はex-situで実施されうる。
【0029】
重合は、室温イオン液体、架橋性オリゴマー、及びUV架橋開始剤のUV照射を含むことができる。
【0030】
架橋性オリゴマーは、さまざまな分子量の、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレングリコールジメタクリラレート(PEG−DMA)、ポリエチレングリコールジビニルエーテル(PEG−DE)等、両端が同じ官能基で修飾されたポリエチレングリコール(PEG)を含むことができる。架橋開始剤はフェノンに限定されることなく、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(HOMPP)、ベンゾフェノン(BP)、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(DMBP)、その他これに適した開始剤等、これに適したあらゆる化合物を含むことができる。
【0031】
室温イオン液体、架橋性オリゴマー、及びUV架橋開始剤の比重は、85:10:5、80:15:5、75:20:5、のいずれかであってもよい。
【0032】
UV照射は、1秒〜45秒、45秒〜990秒、90秒〜5分、5分以上の範囲で一定時間実施される。
【0033】
室温イオン液体、架橋性オリゴマー、及びUV架橋開始剤のUV照射の間、UVフォトマスクを使用してもよい。フォトマスクは、架橋領域を定義するのに使用可能である。
【0034】
上記構成要素のいずれか1つ以上が基板に設けられうる。基板は装置の一部を形成しうる。代替的に、基板は装置の一部を形成せず、装置の製造中または製造後に除去してもよい。基板は、絶縁性、柔軟性、親水性のうちの1つ以上を有することができる。基板は、ポリエチレンナフタレート(PEN)であってもよい。
【0035】
酸化グラフェンは、第1電荷コレクタにコーティングされてもよい。第2材料は第2電荷コレクタにコーティングされてもよい。イオン層は、酸化グラフェンと第2材料に接するようにコーティングされてもよい。
【0036】
第1電荷コレクタ、第2電荷コレクタ、酸化グラフェン、第2材料、イオン層のうちのいずれか1つ以上を、印刷法(例えば、ロール・ツー・ロール印刷またはインクジェット印刷)で設けることができる。代替的に、構成要素のうちのいずれか1つ以上をドロップキャスト法で設けてもよい。第2材料は水溶液として提供/堆積されうる。
【0037】
(第2電荷コレクタを含む)さらなる態様では、互いに離して配される第1電荷コレクタ及び第2電荷コレクタ、イオン層を含む装置が提供され、イオン層は周辺環境から水分を吸収し、吸収した水分を装置に供給するように構成されている。この装置は、第1電荷コレクタ上に配される酸化グラフェンを備え、酸化グラフェンは水分があるところで陽子を生成するように構成されている。さらに、この装置は、第2電荷コレクタ上に配される第2伝導性材料を備え、第2伝導性材料は、第1電荷コレクタより低い仕事関数を有する。また、酸化グラフェン及び第2伝導性材料は接合部分で互いに接するように、それぞれの電荷コレクタから延設されている。この装置はさらに、酸化グラフェンと第2伝導性材料とに接するイオン層を備えている。ここで、イオン層は室温イオン液体および凝固剤を有し、凝固剤はイオン層が室温で固体化するために提供される。
【0038】
本明細書で開示されるあらゆる方法のステップは、当業者によって具体的に提示または理解されない限り、開示したステップと全く同じ順番で実行する必要はない。
【0039】
本明細書で開示される1つ以上の方法を実行する、対応コンピュータプログラム(担体に記録されていても、記録されていなくてもよい)も本願に含まれており、記載されている事例的形態のうちの1以上によって網羅される。
【0040】
本願は、1つ又は複数の態様や事例的実施形態,特徴を個別に、または様々な組合せで含んでいる。こうした事項は、その組合せや個別で具体的に(特許請求の範囲を含めて)記述されているかどうかを問わない。議論される機能の1つ以上を遂行するための対応する手段も、本願の範囲内にある。
【0041】
前述の摘要は、単なる例示的かつ非限定的事項であることが意図されている。
【図面の簡単な説明】
【0042】
本願は以下の添付図面を参照して説明される。ただし、これらは一例に過ぎない。
【
図1a】
図1aは、既存のプロトン電池の平面図である。
【
図2】
図2は、本願に従う装置の一例を記載した図である。
【
図3】
図3は、異なるイオン層の構成を有する
図2の複数の装置の放電曲線を記載した図である。
【
図5】
図5は、本願に従う装置の他の一例を記載した図である。
【
図7】
図7は、
図6の製造方法によって製造される装置の図である。
【
図8】
図8は、
図6の一以上の製造方法のステップを実行、制御、実現できるよう構成されるコンピュータプログラムを含むコンピュータ読み取り可能な媒体を示す。
【0043】
電気エネルギーのストレージは、携帯型の電子デバイスにとって重要な検討事項である。現在、プロトン電池はこの目的のために開発されている。プロトン電池の一類型のエネルギー生成のメカニズムは、水と接触したときの酸化グラフェンの分解を含む。水分は電池に含有されているか、または、周辺環境から取得できる(例えば、空気の湿度というかたちで)。
【0044】
図1a及び1bは、既存の酸化グラフェンをベースにしたプロトン電池101の平面図と断面図を示す。電池101は、酸化グラフェン102から形成される第1電極102、107a、還元型酸化グラフェン103から形成される第2電極103、107bを備える。第1電極及び第2電極は、それら電極が(少なくとも部分的に)銀の電荷コレクタ107a、107bとそれぞれ重ね合わさり、それらの間にある接合部分106(例えば、電極材料が相互に混ざる、及び/または重なり合うところ)で相手との接合部分を形成するように配される。一または複数の酸化グラフェン及び第1電荷コレクタが第1電極であると考えることもできるが(酸化グラフェンが伝導性でなかったとしても)、メカニズムの理解の仕方によっては、第1電荷コレクタ107aに伝導性があることを考慮すると、第1電荷コレクタ107aが第1電極であると考えることができる。
【0045】
本明細書では、既存のプロトン電池101より大きな電気的出力及び/または電気的ストレージ容量を提供できる装置及びそれに関連する方法を説明する。
【0046】
図2は、本願の装置201の一実施形態を示す。これは、一または複数の一次電池または二次電池、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリー及びキャパシタのハイブリッドであってもよく、また、装置201の特定の電気化学に応じた一または複数の装置201に相当するモジュールであってもよい。装置201は、物理的かつ電気的に離れている第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bを備えている。そして、酸化グラフェン202及び第2伝導性材料203が接合部分206で接触するよう、第1電荷コレクタ207a上には酸化グラフェン202が、第2電荷コレクタ207b上には第2伝導性材料203が配されている。イオン層204は酸化グラフェン202及び第2伝導性材料203の両方と接触するように提供される。イオン層204は第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bの両方ではなく、一方のみと接触することができる(短絡を防ぐため)。 本願の具体的事例では、第2伝導性材料203が還元型酸化グラフェンであり、第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bは両方とも銀である。
【0047】
第1電荷コレクタ207a上に酸化グラフェン202を配し、第2電荷コレクタ207b上に第2伝導性材料203を配することは、酸化グラフェン202/第2伝導性材料203が第1電荷コレクタ207a、207bそれぞれと機能的に接触するように配すること、すなわち、第1電荷コレクタ207a、第2電荷コレクタ207bそれぞれの上、下、側面のいずれかに配することを含むことが理解されるであろう。
図2の実施形態では、酸化グラフェン202及び第2材料203が、電荷コレクタ207a、207bそれぞれの側面に配されている。これは、電荷コレクタ207a、207bそれぞれの「上に設ける」という表現で説明される場合がある。
【0048】
本実施形態(及び下記に説明する実施形態)は、装置201は第2電荷コレクタ207bを備え、第2電荷コレクタ207b上に第2材料203が配されていると記述される。第2電荷コレクタ207bは、物理的にロバストな接合部分を提供可能である。また、第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bが外部回路と接続した場合、第2材料203から外部回路に電子が流れることを許容する。しかし、将来の技術発展によって、第2電荷コレクタ207bが必要な場合を除き、第2材料203は効率的に外部回路に直接接続するようになることは理解可能であろう。本シナリオでは、本願は第2電荷コレクタ207bそれ自体を除く、上記のような装置(及びこれに関連する方法)を含むと理解されるべきである。
【0049】
重要なことは、イオン層204が室温イオン液体(図示せず)及び凝固材料(図示せず)を含むことである。凝固材料は、イオン層204を室温で固体にする。室温で固体化したイオン層204は、周辺環境から水分を吸収し、吸収した水分を装置201/酸化グラフェン202/第2材料203に供給するように構成されている。室温イオン液体は、室温(例えば、+20℃〜+27℃、−50℃〜+50℃)で液体になりうる。
【0050】
酸化グラフェン202は、水分があれば陽子を生成するよう構成されている。これにより、第1電荷コレクタ207aと第2材料203との間に異なる電位をつくることができる。さらに、第2材料203の仕事関数は、第1電荷コレクタ207aの仕事関数より低い。したがって、第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bが外部回路(図示せず)によって接続された場合、本装置を通じて第1電荷コレクタ207a(
図2の左側)から第2電荷コレクタ207b(
図2の右側)に電子を流すことができ、外部回路を通じて第2電荷コレクタ207bから第1電荷コレクタ207aに電子を流すことができる。電子の流れは、仕事関数の差異(すなわち、電子は酸化グラフェン202を通じて、仕事関数の高い材料(第1電荷コレクタ207a)から仕事関数の低い材料(第2材料203)に流れることができる。)、及び、第1電荷コレクタ207aと第2材料203との間に生じた(作られた)電位差に依存しうる。さらに、第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bが外部回路によって接続された場合、陽子は酸化グラフェン202から第1電荷コレクタ207aに流れることができる。第1電荷コレクタ207a(例えば、銀)及び/または酸化グラフェン202(非伝導性であるが)は、第1電極として動作すると考えられる。第2材料203(すなわち、還元型酸化グラフェン)は、第2電極として動作すると考えられる。
【0051】
酸化グラフェン202の仕事関数が第2材料203の仕事関数より高いこと、及び/又は、酸化グラフェン202の仕事関数が第1電荷コレクタ207aの仕事関数より低いことが、好都合であるといえる。第2電荷コレクタ207bの仕事関数が、第2材料203の仕事関数より低いことが好都合であるといえる。
【0052】
酸化グラフェン202は、非常に強い陽子伝導性とわずかな電子伝導性を有すると考えられる。第2材料203は、非常に強い電子伝導性(よって、「伝導性のある第2材料」)とわずかな陽子伝導性を有すると考えられる。酸化グラフェン202は、湿度が高いと(例えば湿度50%)導電性を有し、帯電することができる。これによって、第1電荷コレクタ207aと第2電荷コレクタ207bとの間の電子流をさらに増加させることができる。
【0053】
固体のイオン層204の特徴によって、ストレージ容量と装置201の出力電圧との両方が増加することが判明している。また、固体のイオン層204の特徴は、装置201を高電流で放電させる。固体のイオン層204は、周辺環境から装置201/酸化グラフェン202/第2材料203に水分を供給することによって、酸化グラフェン202での陽子の生成を促進できる。さらに、イオン層204は装置201のイオン伝導率を増加させることにより(例えば、酸化グラフェン202のイオン伝導率を増加させることにより)、第1電荷コレクタ207aと第2電荷コレクタ207bとの間の電荷の流れを促進できる。さらに、イオン層204は、第2材料203の仕事関数を低減させることにより、装置201の出力/開回路の電圧を大きくすると考えられる。
【0054】
いくつかの実施形態では(例えば、二次電池、キャパシタ、スーパーキャパシタ、又はバッテリー及びキャパシタのハイブリッド)、イオン層の存在によって、装置201が完全に放電された後、外部エネルギーの充当なしで数分以内に再充電可能となる。これは、酸化グラフェン202と外部環境205からの水分との間の化学反応に起因する。この化学反応により、陽子が生成され、電位差が上昇する。これら実施形態では、そのため、(i)水分があること、(ii)酸化グラフェン202が前の充電サイクルの間に完全に消耗されていないこと、これら条件(i)(ii)を満たせば装置201を再充電できる。しかし、他の実施形態では(例えば、一次電池)、装置201は再充電不可能である場合がある。
【0055】
装置201は全固体状態の装置であると考えてよい。これは、多くの利点を提供する。室温で固体化するという性質によって、装置201は積み重ねたり、曲げたり、触ったり、移動させたり、あらゆる方向に設置したりすることが可能である。さらに、酸化グラフェン202及び第2材料203の上の固体のイオン層204の存在は、装置201が曲げられたりした場合に、酸化グラフェン202や第2材料203が装置201から剥がれるのを防止できる。このように、固体のイオン層204の存在は、装置の完全性を向上させる。装置201は安価で簡単に製造することができる。また、印刷法を使用する等して、商業的に大規模に製造することが可能である。
【0056】
凝固材料は共有結合性の高分子網目(これはポリマー・マトリクスと考えてもよい)を有利に含むことができる。共有結合性の高分子網目は、適用ケースとそれに用いる実施形態ごとに、50%以上、60%以上、70%以上、80%以上、90%以上、実質的に100%といったように、異なる重合度を有してよい。
【0057】
室温イオン液体は、共有結合性の高分子網目に固定、埋込み、含有、適用のいずれか一つ以上がなされていると考えてよい。これは、イオン層204の製造方法に依存する。製造方法としては、例えば、室温イオン液体の存在下での架橋性オリゴマーのin−situ重合等がある。
【0058】
図2に示す実施形態では、酸化グラフェン202及び第2材料203は、それらの間にある接合部分206(例えば、材料が混ざり合い、又は/及び、互いに重なり合うところ)で互いと接合部を形成するように構成されている。また、イオン層204は、酸化グラフェン202と第2材料203との接合部分206と接触している。この構造は比較的簡素な印刷法を用いて作ることができる。
【0059】
一実施形態では、酸化グラフェン202は酸化グラフェンとプロトン伝導体との混合物として提供される。プロトン伝導体は疎水性である場合があり、有機ポリマー、イオノマー、Nafin(商標)のうちの一以上を含むことができる。第2材料は水溶液として積層/提供されうる。疎水性のプロトン伝導体を配することよって、より小さな酸化グラフェン202/第2材料203の接合領域206が、装置201の製造過程で提供されうる。これは、酸化グラフェン混合物の中の疎水性プロトン伝導体が、これら2つの材料の重なり合い及び/又は混ざり合いを制限して、水溶性の第2材料203が混ざるのを阻止するためである。追加的または代替的に、疎水性のプロトン伝導体は、酸化グラフェン混合物中にある水分子を酸化グラフェン202側に押しやり、陽子の生成をさらに促進させることができる。代替的に、酸化グラフェン202は、それ単独で、又は、別の材料との混合や組み合わせで提供することもできる。
【0060】
図2はまた、第1電荷コレクタ207aと酸化グラフェン202とが重なり合う領域220a、第2電荷コレクタ207bと第2材料203とが重なり合う領域220b、それぞれを示している。例えば、酸化グラフェン202及び/または第2材料203及び/または電荷コレクタ207a、207bの材料が、印刷法を用いて設けられる場合、このような領域220a、220bが作られる場合がある。これら実施形態は、電荷コレクタ207a、207bのそれぞれの上に備えられた酸化グラフェン202/第2材料203を包含する。
【0061】
装置201は、イオン層204及び酸化グラフェン202のいずれか一方または両方が、周辺環境にある水分に晒されるよう構成されうる。特にこれは、装置201を覆ったり密封したりせず、ケースに入れる必要がある場合は水及び/または通気性の良い材料の中に装置201を入れること等で達成できる。または、開閉可能な部分を1つ以上有する、装置201用のケースを提供することによって達成できる。イオン層204を周辺環境205にある水分に晒す能力は、装置201の改良された電気特性の恩恵を受けるために必要である。なぜなら、水分は酸化グラフェン202の陽子の生成を促すと考えられ、イオン層204は酸化グラフェン202への水分供給を促進することができるためである。いくつかのケースでは、装置201は水源を含むこともでき、それにより、陽子(および、これによる電位差)を周辺環境205の湿度が比較的低い場合でも生成することができる。例えば、装置201はイオン層204及び/または酸化グラフェン202との流体連結の中で、水分吸収材料(スポンジ等)を備えることができる。代替的または追加的に、その上に電荷コレクタ207a、207bや酸化グラフェン202/第2材料203が設けられる基板208は親水性であってもよい。
【0062】
この実施形態では、イオン層204は、水分を装置201/酸化グラフェン202/第2材料203に供給するよう構成されている。他の実施形態では、イオン層204は、水分を第2材料203には供給しない、且つ/または、酸化グラフェン202のみに供給するように構成することもできる。
【0063】
室温イオン液体に適した例としては、トリエチレンスルホニウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド(TES−TFSI)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(EMIM−TFSI)、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(OMA−TFSI)がある。TFSIを含むような他の化合物が適している場合がある。
【0064】
第1及び第2電荷コレクタ207a、207bの一方または両方は、金属、合金、金、銀、銅、アルミニウム、スチール、インジウムスズ酸化物のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。第2材料203は還元型酸化グラフェン、水酸化カリウム、PEDOT:PSS(ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)とポリスチレンスルホン酸から成る複合物)、基本高分子、導電性高分子のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。上述したとおり、
図2に示す実施形態は電荷コレクタ207a、207bを有し、これら電荷コレクタは銀であり、第2材料203は還元型酸化グラフェンを含む。
【0065】
図2の装置201はさらに、基板208を備える。この基板208は、第1及び第2電荷コレクタ207a、207b、酸化グラフェン202、第2材料203、イオン層204を支持するよう構成されている。支持している基板208は、種々の構成部品が印刷プロセスを用いて形成される場合に特に便利である。なぜなら、印刷可能な材料(インク、液体、ジェル等)は、少なくともそれらが乾く、または、硬化するまで自身を支えることができないためである。代替的に、装置201が基板208を備えていない場合もある。基板208は、装置201の製造過程で使用される場合があるが、製造過程または製造完了後に除去される。基板208は、絶縁性、柔軟性、親水性のうちの1つ以上を有することができる。
図2に示す実施形態では、基板208はポリエチレンナフタレート(PEN)である。
【0066】
イオン層204は、周辺環境205からのイオン層204による水分吸収、及び/または、装置201/酸化グラフェン202/第2材料203/への水分供給を促進するように構成される1以上の塩をさらに含むことができる。1以上の塩の追加は、酸化グラフェン202の中の陽子の生成を促進させることができる。そして、その結果、装置201によってさらに多くの電気的エネルギーが生成される。これに適した塩は、リチウムビス(トリフルオロメチルスルホニル)イミド、塩化リチウム、塩化ナトリウムを含む。
【0067】
種々のパラメータまたは特性が、イオン層204を固体化するために使用されうる。適した特性とは、室温で2Bの鉛筆と同等またはそれ以上の硬さを有すること、及び/または、50℃以上のガラス転移点を有することである。イオン層204が固体になる他の特性は予想可能であり、本願の範囲内である。
【0068】
第1電荷コレクタ207aと第2電荷コレクタ207bとの間の間隔は、2mm、1mm、500μm、100μm、50μmのいずれかより短くてもよい。酸化グラフェン202と第2材料203との間の接合部分206の幅は、500μm、100μm、50μm、10μm、1μmのいずれかより小さくてもよい。
【0069】
装置201は、バッテリー、キャパシタ、スーパーキャパシタ、バッテリー及びキャパシタのハイブリッド、電子デバイス、携帯型電子デバイス、携帯型電気通信デバイス、PDA(a personal digital assistant)、携帯電話機、スマートフォン、ファブレット、タブレット、ノート型パソコン、電子時計、ワイアレスセンサ、電気化学センサ、ウェアラブルデバイス、RFIDタグ、エレクトロクロミック素子、湿度センサ、これらと同じものの1つまたは複数のモジュール、のうちの1つ以上でありうる。
【0070】
さらに別の態様によれば、前述の装置201を2つ以上積み重ねたものを含む装置が提供される。前述のとおり、上で説明した完全に固体状の装置201の性質は積み重ねるのに有利であり、積み重ねられた物理的配列の中で、1つ以上の電気的にシリアル及び/又はパラレルな構成で複数のバッテリーを組み合わせ可能である。
【0071】
本願の装置201は、既存のプロトン電池101より大きな蓄電容量と出力電圧を示すことが判明しており、大きな電流で放電されうる。これは少なくとも部分的に、固体のイオン層204の存在に要因があるといえる。装置201の電気的特性をテストするため、多くの実験が行われた。
【0072】
図3は、4つのプロトン電池を用いて実施された実験から得た放電曲線を示す。3つのプロトン電池(
図3のa,c,d)は、固体のイオン層204を備える
図2の装置201の実施形態であった。4番目のプロトン電池(
図3のb)は液体のイオン層を備える。プロトン電池a,c,dは固体のイオン層204(固体のイオンフィルム)を含む。ここで、イオン層204(固体のイオンフィルム)は、共有結合性の高分子網目の中に室温イオン液体を含有する。ここで、室温イオン液体として、aのプロトン電池には1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタン)イミド(EMIM−TFSI)、bのプロトン電池にはトリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタン)イミド(TES−TFSI)(c)、dのプロトン電池にはセルロース(95/5 w/w)との混合物として1−ブチル−3−メチルイミダゾリウムクロリド(BMIM−CI)が使用されている。プロトン電池a,c,dは本願で後述する方法を使用して製造される。プロトン電池bは、液体のTES−TFSI(プロトン電池cのイオン層に含有されている室温イオン液体と同一のもの)でコーティングされている。
【0073】
この実験では終始、還元型酸化グラフェンが第2材料203として使用され、銀が第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bとして使用された。周辺環境205の湿度(すなわち、周囲湿度)は計測され、約70%に保たれた。また、周辺環境の温度も計測され、約30℃に保たれた。
【0074】
プロトン電池a及びbは、放電の初期段階では同程度のパフォーマンスを示すことが判明したが、プロトン電池aのほうが長時間放電することが判明した。具体的には、プロトン電池aが1時間、プロトン電池bが0.65時間の放電時間であった。プロトン電池b(液体のTES−TFSIコーティング)はプロトン電池c(固体のイオン層にTES−TFSIを含有する)より優れたパフォーマンスを示すことが判明した。すなわち、プロトン電池bはプロトン電池cの2倍の放電時間であった(bが0.65時間、cが0.3時間)。さらに、放電の初期段階の電圧も高かった(プロトン電池bが0.7V、プロトン電池cが0.53V)。しかし、プロトン電池bは前述のとおり、固体状態のプロトン電池の利点を提供しない。プロトン電池d(BMIM−CI)は、測定可能な放電をしないと考えられる。室温イオン液体を含むTFSIは、充分な放電特性を提供することが判明した。
【0075】
図4a及び4bは、第1プロトン電池及び第2プロトン電池に関する電流(I)−電圧(V)特性をそれぞれ示す。
図4aのプロトン電池は、
図1に示す従来技術のプロトン電池101であり、固体のイオン層204を備えていない。
図4bのプロトン電池は、固体のイオン層204(イオンの固体フィルム)を備える
図2の装置201の一実施形態である。固体のイオン層204はEMIM−TFSIを室温イオン液体として含み、室温イオン液体は共有結合性の高分子網目に含有されている。この装置は
図3のaのプロトン電池を用いた装置と似ていると考えられる。
【0076】
図4a及び
図4bは、これら特定のプロトン電池に関する放電電流を示す。放電電流は、固体のイオン層がある場合、少なくとも100の因子によって上昇しうる。
図4a及び
図4bは、これら特定の電池用の開回路電圧が、0.8V以下から0.95V近くまで上がったことを示す。これらの電圧上昇は、固体のイオン層204による装置201/酸化グラフェン202/第2材料203への水分供給に依存する。この水分供給が酸化グラフェン202での陽子の生成、及び/又は、固体のイオン層の存在による装置201のイオン伝導率の増加、及び/又は、固体のイオン層204の存在による第2材料203の仕事関数の減少を促進する。
【0077】
図5は、本願の装置501の他の事例を示す。この事例では、電源は本明細書に記載の構成要素のいくつか又はすべてを備える(
図5では、電気的ストレージデバイス509と示されている)。さらに、この装置は、プロセッサ510、記憶媒体511、電子表示512、送受信機513を備え、これらはデータバス514によって電気的に接続されている。装置501は、電子デバイス、携帯型電子デバイス、携帯型電気通信デバイス、PDA、携帯電話機、スマートフォン、ファブレット、タブレット、ノート型パソコン、電子時計、ワイアレスセンサ、電気化学センサ、ウェアラブルデバイス、RFIDタグ、エレクトロクロミック素子、これらと同じものの1つまたは複数のモジュール、のうちの1つ以上でありうる。
【0078】
電気的ストレージデバイス/電源509は、他の構成要素の機能を有効にすべく、これら構成要素に電力供給するよう構成されている(
図2に関して考察したような構成によって)。この点において、他の構成要素は、上で参照された外部回路であると考えられる。ディスプレイ512は、装置501に保存された(例えば、記憶媒体511に保存された)コンテンツを表示するように構成されている。また、送受信機513は無線回線または有線回線を介して、1つ以上の他の装置とデータを送受信するように構成されている。
【0079】
プロセッサ510は、他の構成要素に信号を送信したり、他の構成要素から信号を受信したりして、装置501の指令操作がそれらの動作を管理するように構成されている。記憶媒体511は、装置501の動作を遂行,制御,または可能にするように構成されるコンピュータコードを格納するように構成される。記憶媒体511は、他のコンポーネント用の設定を格納するように構成されてもよい。プロセッサ510は、他のコンポーネントの動作管理を目的として、コンポーネント設定を読出すために格納媒体511にアクセスしてもよい。
【0080】
プロセッサ510は、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)等のマイクロプロセッサであってよい。記憶媒体511は、揮発性ランダムアクセスメモリ等の一時記憶媒体でもよい。一方、記憶媒体511は、ハードディスクドライブやフラッシュメモリ,不揮発性ランダムアクセスメモリ等の永久記憶媒体でもよい。
【0081】
図6は、本明細書に記載の装置の製造方法のステップ615〜617を示す。この方法は、通常、ステップ615〜617を含む。ステップ615では、第1電荷コレクタ上に酸化グラフェンが設けられる。酸化グラフェンは、水分があるところで陽子を生成するように構成されている。ステップ616では、第1電荷コレクタから離れたところに第2伝導性材料を設ける。第2伝導性材料は、第1電荷コレクタより低い仕事関数を有する。ここで、酸化グラフェンは、接合部分で第2伝導性材料と接するように第1電荷コレクタから伸びるように設けられる。ステップ617では、酸化グラフェンと第2伝導性材料とに接するイオン層を設ける。ここで、イオン層は、周辺環境から水分を吸収し、吸収した水分を装置に供給するよう構成されている。ここで、イオン層は室温イオン液体と凝固剤とを備える。凝固剤は、イオン層を室温で固体化させる。これらのステップは、当業者によって明示または理解されない限り、
図6に開示したものと全く同じ順番で実施する必要はない。これらのステップは、種々の異なる製造工程を用いて実施することができる。
【0082】
第2材料203は第2電荷コレクタ207bに提供されうる。
【0083】
酸化グラフェン202は、第1電荷コレクタ207aにコーティングされうる。第2材料203は第2電荷コレクタ207bにコーティングされうる。イオン層204は、酸化グラフェン202と第2材料203に接するようにコーティングされうる。第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bは基板にコーティングされうる。
【0084】
有利に、酸化グラフェン202、第2材料203、第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207b、イオン層204のうちのいずれか1つ以上が印刷法(具体的には、インクジェット印刷及び/又はロール・ツー・ロール印刷)によって提供されうる。これは、低コストで簡易、かつ拡大縮小可能な製造技術を提供しうる。印刷法を採用した場合、イオン層204を印刷する際に、イオン層204が電荷コレクタ207a及び207bの両方と接触しないように留意すべきである。両方ともに接触すると、装置201が短絡してしまうためである。代替的または追加的に、構成要素のうちのいずれか1つ以上をドロップキャスト法で設けてもよい。
【0085】
前述のとおり、製造方法によっては、イオン層204の凝固材料として共有結合性の高分子網目を使用してもよい。室温イオン液体は、共有結合性の高分子網目に固定、埋込み、含有、適用のいずれか一つ以上がなされていると考えてよい。イオン層204とその室温イオン液体を含有する共有結合性の高分子網目は、室温イオン液体の存在下での、架橋性オリゴマー材料の重合によって形成されうる。代替的に、高分子網目に室温イオン液体をドープしてもよい。
【0086】
重合はUV照射によってなされるが、他の重合方法(熱開始、他の種類の電磁放射等)も本願の範囲内にある。UV照射を含む本実施形態では、照射される混合物として室温イオン液体、架橋性オリゴマー材料、UV架橋開始剤を含む。
【0087】
重合は、元の位置(in−situ)(例えば、混合物が重合前に酸化グラフェン202及び第2材料203にドロップキャストされうる)又は元の位置以外(ex−situ)(例えば、イオン層204が酸化グラフェン202及び第2材料203の上に設けられうる)に形成されうる。
【0088】
混合物は、波長365nmかつ強度225mW/cm2のUV照射に一定時間さらされる。具体的には、1秒〜45秒、45秒〜990秒、90秒〜5分、5分以上である。異なる波長及び/または異なる強度のUV照射に対して異なる時間範囲が使用され、固体のイオン層を提供するのに必要な重合度が提供される。
【0089】
UV照射による重合の間、UVフォトマスクが使用され、架橋範囲のパターンが定義される。フォトマスクを使用した混合物のUV照射後、溶剤を使用して、装置201の非重合オリゴマー(及び、残留した室温イオン液体、UV架橋開始剤)を洗浄してもよい。
室温イオン液体、架橋性オリゴマー、及びUV架橋開始剤の比重は、85:10:5、80:15:5、75:20:5、のいずれかであってもよい。
【0090】
上記構成要素のいずれか1つ以上が基板208に設けられうる。基板208は装置201の一部を形成しうる。基板208は装置201の一部を形成しなくてもよく、構成要素のいずれか1つ以上が基板上に設けられた後、除去してもよい。基板208はポリエチレンナフタレート等、絶縁性かつ柔軟性がある方が好ましいであろう。基板は親水性であってもよい。
【0091】
室温イオン液体は、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(TES−TFSI)、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(EMIM−TFSI)、トリオクチルメチルアンモニウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(OMA−TFSI)、ビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(TFSI)を含むその他の化合物であってよい。架橋性オリゴマーは、さまざまな分子量の、ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)、ポリエチレングリコールジメタクリレート(PEG−DMA)、ポリエチレングリコールジビニルエーテル(PEG−DE)等の両端が同じ官能基で修飾されたポリエチレングリコール(PEG)を含んでもよい。架橋開始剤はフェノンに限定されることなく、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン(HOMPP)、ベンゾフェノン(BP)、4−(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン(DMBP)、その他これに適した開始剤を含むことができる。第2材料203は還元型酸化グラフェン、水酸化カリウム、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)ポリスチレンスルホン酸、基本高分子、導電性高分子のうちのいずれか1つ以上を含むことができる。第1及び第2電荷コレクタ207a、207bの一方または両方は、金属、合金、金、銀、銅、アルミニウム、スチール、インジウムスズ酸化物のうちのいずれか1つ以上を含む。特定の実施形態では、イオン層は、重合ポリエチレングリコールジアクリレート(PEG−DA)の共有結合性網目に積層されている室温イオン液体EMIM−TFSIを含有する。また、第2材料203は還元型酸化グラフェンを含み、第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207bは銀を含む。
【0092】
上記方法の代替手段は予測可能であり、本願の範囲内にある。代替手段として、異なる材料の使用、異なるUV照射時間、異なる重合方法がある。
【0093】
図6の方法の一実施形態は、
図3のa,c,dのプロトン電池を製造するのに用いられる。第1及び第2の銀の電荷コレクタ(207a、207b)は、絶縁性かつ柔軟性のあるポリエチレンナフタレート(PEN)の基板208の上にコーティングされる。酸化グラフェン202及び(第2材料203としての)還元型酸化グラフェンは、第1電荷コレクタ207a及び第2電荷コレクタ207b上にそれぞれコーティングされ、これらコレクタ(207a及び207b)の間の接合部206を形成する。イオン層204は、室温イオン流体の存在下で架橋性オリゴマーのin−situUV照射開始重合によって提供される。架橋性混合物(架橋性インク)は、1.7gのRTIL(後述のとおり、さまざまな使用用途がある)、0.2gの架橋性オリゴマー(ポリエチレングリコールジアクリレート、PEG−DA、アベレージM
n575)、0.1gのUV架橋開始剤(2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、HOMPP)を混ぜることによって製造される。混合物は低温で保存され、不本意な架橋が起こるのを避けるために光から保護される。架橋性混合物は、装置201の酸化グラフェン202及び還元型酸化グラフェン203の上にドロップキャストされる。そして、装置201は1分間、UV光(波長365nmで225mW/cm2の明度を有するランプ)に晒される。第2材料203の仕事関数は4.2eVで測定され、第1電荷コレクタ207aの仕事関数は4.9〜5.0eVで測定される。
【0094】
前述のように、様々な室温イオン液体がプロトン電池の固体のイオン層で使用される。室温イオン液体は、トリエチルスルホニウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド、1−エチル−3−メチルイミダゾリウムビス(トリフルオロメタン)スルホンイミド(EMIM-TFSI)、1−ブチル−3−メチルイミダゾリウム(BMIM)チオシアン酸塩を含む。TFSIイオンを含むイオン層204は、
図5に示すように、十分に機能することが判明している。
【0095】
図7は、
図6の方法で製造された装置(プロトン電池)を示す。本方法に従うと、プロトン電池は固体のイオン層でコーティングされる。
図7は、プロトン電池を傾けても、固体のイオン層はプロトン電池のその他の部分に対して移動しないことを示している。このイオン層の固形性は、上述のとおり、大きな利点をもたらす。
【0096】
図8は、一実施形態に従うコンピュータプログラムを提供するコンピュータ/プロセッサ可読媒体819を概略的に示す。コンピュータプログラムは、
図6のステップ615−617の1つ以上を実行、制御、可能にするよう構成されたコンピュータコードを含むことができる。この実施例では、コンピュータ/プロセッサ可読媒体819はデジタル多用途ディスク(DVD)やコンパクトディスク(CD)等のディスクである。他の実施例では、コンピュータ/プロセッサ可読媒体819は、本発明の機能を遂行するようぬプログラムされた任意の媒体でもよい。コンピュータ/プロセッサ可読媒体819は、メモリスティック又はメモリカード(SD、miniSD、microSD、nanoSD)等の脱着可能なメモリデバイスであってもよい。
【0097】
前述した任意の装置/デバイス、及び/又は前述した装置/デバイスのうちのある特定のものに関する他の特徴が、所望する動作を遂行するように構成される装置によって提供されてもよいことは、当業者が読めば理解されよう。ただし、こうした動作が可能である場合、例えば、電源が入れられているような場合に限る。このような場合、装置は、不可能な状態(例えば、電源が入っていない状態)で適切なソフトウェアをアクティブメモリにロードする必要がなく、可能な状態(例えば、電源が入れられた状態)のときだけ適切なソフトウェアをロードすればよい。装置はハードウェア回路および/またはファームウェアを備えてもよい。装置はメモリにロードされるソフトウェアを備えてもよい。こうしたソフトウェア/コンピュータプログラムは、同一のメモリ/プロセッサ/機能ユニット、および/または1つ以上のメモリ/プロセッサ/機能ユニットに記憶されていてもよい。
【0098】
実施形態によっては、前述の装置/デバイスのうちの特定のものは、所望する動作を遂行するように適切なソフトウェアで予めプログラムされていてもよい。ここで適切なソフトウェアは、例えば、ソフトウェアと関連機能を解除/有効化するためにユーザが「キー」をダウンロードすることによって利用可能になってもよい。こうした実施形態に関連する利点には、デバイスが追加機能を必要する場合、必要なデータダウンロードを減らせることが含まれる。これは、ユーザが有効化しない機能に関する予めプログラムされたソフトウェアを格納できるだけの十分な容量をデバイスが持っているとされる実施例では、有用となり得る。
【0099】
前述した任意の装置/回路/要素/プロセッサは、前述した機能以外の他の機能を有していてもよく、こうした機能が同一の装置/回路/要素/プロセッサで遂行されてもよいことは、理解されるであろう。開示した態様の1つ又は複数は、関連するコンピュータプログラムの電子配置と、適切なキャリア(メモリ,信号等)に記憶されたコンピュータプログラム(送信元/送信途上で符号化されたものでもよい)を包含してもよい。
【0100】
本願で記載される「コンピュータ」は全て、1つ以上の個別のプロセッサ/処理要素を集めたものを含んでおり、こうしたプロセッサ/処理要素は、同一の回路基板や特定の回路基板における同一の領域/場所、または同一のデバイスに配置されてもよく、そうでなくてもよいことは理解可能であろう。実施形態によっては、前述した任意のプロセッサの1つ以上は、複数のデバイスに分散されていてもよい。同一のまたは別々のプロセッサ/処理装置が本願に記載された機能の1つ以上を遂行してもよい。
【0101】
前述した任意のコンピュータおよび/またはプロセッサ、およびメモリ(ROM,CD-ROM等を含む)のあらゆる議論を参照することで、これらがコンピュータプロセッサや特定用途向け集積回路(ASIC),フィールドプログラマブル・ゲートアレイ(FPGA),および/または本発明の機能を遂行するようにプログラムされたその他のハードウェアコンポーネントを含んでもよい。
【0102】
本願において出願人は、本願に記述された個別の特徴の各々を分けて開示してきたが、こうした特徴を2つ以上組合せてそれらを拡張することは、当業者に共通の一般知識に照らせば本明細書全体に基づいて実行することが可能である。その際、こうした特徴またはその組合せが本願で開示された課題のどれを解決するかには関係なく、本願の特許請求の範囲を限定するものではない。本出願人は、開示した態様/実施形態が個別の特徴またはその組合せの何れかから成り得ることを示唆している。前述の記載に照らせば、本開示の範囲内で様々な変形が可能であることは、当業者には明白であろう。
【0103】
本願において、種々の実施形態に適用されるような基本的で新規性を有する特徴が示されたり、記載されたり、指摘されたりしてきたが、記載したデバイスと方法の形態と細部において様々な削除や代用,変更を行うことは、当業者であれば本発明の精神を逸脱しない限り可能であることも理解されよう。例えば、実質的に同じ方法で同一の結果を達成するために、実質的に同じ機能を遂行するこうした要素および/または方法のステップの全ての組合せも本発明の範囲内であることは自明である。また、開示した任意の構造または実施形態に関連して示されたおよび/または記載された構造および/または要素および/または方法のステップは、適宜選択しうる一般的事項として、開示/記述/示唆したその他任意の構造または実施形態に組込まれてもよい。さらに、特許請求の範囲におけるミーンズ・プラス・ファンクションの節は、記載した機能を遂行するものとして本願で記載した構造を包含することを意図しており、構造的な等価物だけでなく等価な構造も包含するものである。