特許第6483294号(P6483294)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483294
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】ペンまたは鉛筆用のキャップ
(51)【国際特許分類】
   B43K 23/08 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   B43K23/08 130
【請求項の数】11
【全頁数】11
(21)【出願番号】特願2017-568095(P2017-568095)
(86)(22)【出願日】2016年6月20日
(65)【公表番号】特表2018-519199(P2018-519199A)
(43)【公表日】2018年7月19日
(86)【国際出願番号】EP2016001051
(87)【国際公開番号】WO2017001050
(87)【国際公開日】20170105
【審査請求日】2018年2月26日
(31)【優先権主張番号】202015004739.4
(32)【優先日】2015年7月2日
(33)【優先権主張国】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】306041363
【氏名又は名称】シュワン−スタビロ コスメティクス ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング ウント コンパニー コマンディートゲゼルシャフト
【氏名又は名称原語表記】Schwan−STABILO Cosmetics GmbH&Co.KG
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100135633
【弁理士】
【氏名又は名称】二宮 浩康
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】トーマス ハイデンライター
(72)【発明者】
【氏名】ブリッタ ローレンツ
【審査官】 藤井 達也
(56)【参考文献】
【文献】 特開平10−157381(JP,A)
【文献】 実開昭54−157648(JP,U)
【文献】 特開2006−027233(JP,A)
【文献】 実開昭63−119081(JP,U)
【文献】 特開平11−334281(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B43K 23/00−23/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ペンまたは鉛筆(100)を導入するための開口(2)と、ャップ(1)の長手方向軸線(L)の周囲に延びるシーリングビード(3)とを有する、ペンまたは鉛筆(100)用のキャップ(1)であって、該キャップ(1)は、なくとも1つの第1の構成部材(K1)と、2の構成部材(K2)とを有している、ペンまたは鉛筆(100)用のキャップ(1)において、
前記シーリングビード(3)は、前記第1の構成部材(K1)において、閉鎖された輪郭を備える半径方向内方へ突出した部分として形成されており、
前記第1の構成部材(K1)は、前記キャップ(1)の先端および前記開口(2)を含む、有底筒状の外形を形成しており、
記シーリングビード(3)に関して前記開口(2)と反対側に前記長手方向軸線(L)に沿って延在する領域と前記シーリングビード(3)の形成された領域とにおける前記キャップ(1)の内部(7)が、前記第1の構成部材(K1)によって画定されており、
前記シーリングビード(3)の形成された領域における前記第1の構成部材(K1)の壁厚は、前記シーリングビード(3)に関して前記開口(2)と反対側に前記長手方向軸線(L)に沿って延在する領域における前記第1の構成部材(K1)の壁厚よりも小さく、
記第2の構成部材(K2)は、少なくとも前記第1の構成部材(K1)の壁厚の小さい前記領域の外面上に周状に取り付けられており、前記第1の構成部材(K1)の外面上に延在する前記第2の構成部材(K2)は、前記第1の構成部材(K1)よりも高度の可撓性を有しており
記シーリングビード(3)の形成された領域において半径方向に作用する力による前記キャップ(1)の調節可能性が、前記シーリングビード(3)に関して前記開口(2)と反対側に位置する領域における調節可能性よりも大きいことを特徴とする、ペンまたは鉛筆(100)用のキャップ(1)。
【請求項2】
前記シーリングビード(3)の形成された領域における前記第1の構成部材(K1)の最大壁厚(Dmax2)は前記シーリングビード(3)に関して前記開口(2)と反対側に位置する領域における前記第1の構成部材(K1)の最小壁厚(Dmin1)よりも小さいことを特徴とする、請求項1載のキャップ。
【請求項3】
前記第1の構成部材(K1)の外に、半径方向に前記第1の構成部材(K1)を完全に貫通していない切欠(4)が形成されており、前記第2の構成部材(K2)はこの切欠(4)に配置されていることを特徴とする、請求項1または2記載のキャップ。
【請求項4】
前記第2の構成部材(K2)の外面は、前記第1の構成部材(K1)の外と整列していることを特徴とする、請求項記載のキャップ。
【請求項5】
前記第2の構成部材(K2)の外面は、前記第1の構成部材(K1)の外よりも突出していることを特徴とする、請求項記載のキャップ。
【請求項6】
前記第2の構成部材(K2)の外面は、前記第1の構成部材(K1)の外から後退していることを特徴とする、請求項記載のキャップ。
【請求項7】
前記第1の構成部材(K1)および/または前記第2の構成部材(K2)は、弾性的に変形可能であることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップ。
【請求項8】
記第2の構成部材(K2)は、前記長手方向軸線(L)に沿って、前記開口(2)に向かって、前記第1の構成部材(K1)の壁厚の小さい前記領域を超えて延びていることを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップ。
【請求項9】
前記第1の構成部材(K1)および/または前記第2の構成部材(K2)は、プラスチックを含むことを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップ。
【請求項10】
前記第2の構成部材(K2)を、記第1の構成部材(K1)上に射出成形することを特徴とする、請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップを製造する方法。
【請求項11】
尖らせることができ、かつ請求項1からまでのいずれか1項記載のキャップを有する化粧用ペンシル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ペンまたは鉛筆を導入するための開口と、半径方向内方へ延びておりかつ閉鎖された輪郭を備えるキャップの長手方向軸線の周囲に延びるシーリングビードとを有する、ペンまたは鉛筆用のキャップであって、キャップは、第1の可撓性を備える少なくとも1つの第1の構成部材と、第1の可撓性よりも大きい第2の可撓性を備える第2の構成部材とを有している、ペンまたは鉛筆用のキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
冒頭に述べたタイプのキャップは、例えば米国特許第7708486号明細書に開示されている。キャップは2つの構成部材から成り、第1の構成部材は柔軟な合成樹脂から成り、第2の構成部材は硬質の合成樹脂から成る。1つの実施の形態では、柔軟および硬質の構成部材の双方がそれぞれ、キャップの内側の領域と、キャップの外側の領域とを形成している。
【0003】
キャップの閉鎖端部から開放部に向かってクロスオーバ領域まで延びるこの実施の形態の1つの領域において、キャップの内部は柔軟な構成部材によって画定されている。柔軟な構成部材は、ペンまたは鉛筆の先端の領域および軸の領域においてペンまたは鉛筆と接触する。このようにして、ペンまたは鉛筆の先端部のシールされた被覆が達成される。クロスオーバ領域からキャップの閉鎖端部に向かって、硬質の構成部材が延びて、柔軟な構成部材に当接しており、外側の領域を形成している。開口からクロスオーバ領域まで延びる領域において、キャップの内部は完全に、硬質の構成部材によって画定されている。キャップの閉鎖端部からクロスオーバ領域まで延びかつ内部を画定する柔軟な構成部材と、キャップの開口からクロスオーバ領域に向かって延びかつ内側を画定する硬質の構成部材とがつながるクロスオーバ領域において、柔軟な構成部材は、キャップの内側から外側に向かって案内され、開口に向かってさらに延びており、硬質の構成部材に当接している。
【0004】
さらに、キャップの内側におけるクロスオーバ領域において、硬質の構成部材から形成されかつ半径方向内方へ延びるシーリングビードが形成されており、シーリングビードは、ペンまたは鉛筆からのキャップの不意の取外しが防止されるようにペンまたは鉛筆の一領域とロックする。
【0005】
米国特許第7708486号明細書によって開示されたキャップの製造は複雑な製造方法を要求する。なぜならば、柔軟な構成部材がキャップの内側から外側まで案内されなければならないからである。
【0006】
さらに、木材から形成された、尖らせることができるペンまたは鉛筆、押出し成形されたプラスチックスリーブまたはワックスペンシルをシールするためのこのタイプのキャップは、不十分であることが分かっている。なぜならば、これらのペンまたは鉛筆の外径は、大きな公差変動(15/100mm)を生じるからである。一方では、これらのペンまたは鉛筆は、製造方法により、真円度からの大きな外れ(5/100mm)を有する。他方では、空気湿度の変化に応じて外径が増減する可能性がある。したがって、外形は、ペンまたは鉛筆ごとに異なるだけでなく、時間とともに変化する可能性もある。よって、冒頭に述べたタイプのキャップは、様々な安全度でそれぞれのペンまたは鉛筆に装着される。したがって、製造公差または気候条件に基づき、キャップは、ペンまたは鉛筆に装着することまたはペンまたは鉛筆から引き抜くことが困難となる可能性があり、またはそれとは反対に、キャップがペンまたは鉛筆から不意に脱落する可能性がある。このようにして、例えばポケットに入れてペンまたは鉛筆を持ち運ぶときに、汚れが生じる可能性がある。
【0007】
さらに、ペンまたは鉛筆を手作業で尖らせることによって、ペンまたは鉛筆の外側にさらなる不規則性が生じる可能性がある。これは、早期の乾燥を阻止するために柔軟な構成部材との先端の十分な接触を生じることを不可能にする可能性がある。
【0008】
様々な外側輪郭を有するペンまたは鉛筆の先端をシールするための可能性として、いわゆる円錐形シールが開発された。しかしながら、これは、キャップがペンまたは鉛筆に装着されたときにペンまたは鉛筆配列の長さが異なることにつながる。さらに、円錐形シールは、直線のシーリングのみが生じ、軸方向被覆を生じさせることができないために、突然緩くなる可能性があるという欠点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来技術におけるこれらの問題を考慮して、本発明の基礎となる課題は、ペンまたは鉛筆、特に可変の外側形状を有する、尖らせることができるペンまたは鉛筆の先端の確実なシーリングが可能になるように、冒頭に述べたタイプのキャップをさらに開発し、さらに、このタイプのキャップを製造するための単純な製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この課題は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域と、シーリングビードの領域とにおけるキャップの内部が第1の構成部材によって画定され、第2の構成部材が、第1の構成部材における閉鎖された輪郭に沿ってシーリングビードの領域において外側に位置し、シーリングビードの領域において半径方向に作用する力によるキャップの調節可能性が、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における調節可能性よりも大きいことによって、達成される。
【0011】
本発明は、ペンまたは鉛筆の先端を拡散抵抗空間内に包囲することによってペンまたは鉛筆の先端部を乾燥から保護することができるという知識に遡ることができる。本発明によるキャップを用いると、この空間は以下のように形成される。
【0012】
キャップがペンまたは鉛筆に装着された状態で、先端は、ペンまたは鉛筆の軸と、シーリングビードと、シーリングビードに関して開口と反対側に位置するキャップの領域とによって画定された空間によって包囲される。シーリングビードに関して開口と反対側に位置するキャップの領域と、シーリングビードとは、第1の、より可撓性でない構成部材を有する。構成部材の可撓性とは、外力の効果により変形するという特性を意味すると理解されるべきである。高度な可撓性を有する構成部材は、同じ外力によって、低度な可撓性を有する構成部材よりも大きく変形する。
【0013】
一般に、低度な可撓性を有する構成部材は、高度な可撓性を有する構成部材よりも、高い拡散抵抗を有する。構成部材の拡散抵抗とは、液体および気体に対して不透過性である構成部材の性質を意味すると理解される。高い拡散抵抗を有する構成部材は、この場合、低い拡散抵抗を有する構成部材よりも透過性でない。キャップの内側は、先端の領域において、低度な可撓性を有する第1の構成部材によって画定されているので、キャップのこの領域は高い拡散抵抗を有する。
【0014】
開口と反対側に位置するシーリングビードの領域において低度な可撓性を有する第1の構成部材を使用することにより、キャップは、さらに、この領域において手で容易に掴むことができかつペンまたは鉛筆に装着しかつペンまたは鉛筆から引き抜くことができるように、十分に安定する。
【0015】
高い拡散抵抗を有する第1の構成部材によるペンまたは鉛筆の先端のシールされた包囲を保証するために、キャップは、3つの別の特性を有している。まず、キャップはシーリングビードを有する。シーリングビードは、閉鎖された輪郭に沿ってキャップの内側の周囲に延びており、第1の構成部材を含む。不変の外側輪郭を有するペンまたは鉛筆をシールするためにキャップが使用される場合、対応して形成されたシーリングビードにより、ペンまたは鉛筆の先端のシールされた包囲を既に保証することができる。ここで、シーリングビードは、ペンまたは鉛筆の軸に対して密に当接するかまたは軸の領域に対してロックする。可変の外側輪郭または外側不規則性を有するペンまたは鉛筆の場合、シーリングビードそれ自体では、しかしながら、ペンまたは鉛筆の先端の永久的なシーリングを保証するためには不十分である。
【0016】
第2に、シーリングビードが、可変の外側輪郭を有するペンまたは鉛筆においてさえも軸に対して永久的に密に当接するように、シーリングビードの領域におけるキャップの調節可能性は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における調節可能性よりも大きい。領域におけるキャップの調節可能性とは、この領域に配置された壁領域が、この領域に作用しかつ半径方向成分を有する力によって半径方向構成部材に向かって撓まされることを意味すると理解される。この撓みは、低度な調節可能性を有する領域よりも、高度な調節可能性を有する領域において大きい。一般に、低度な可撓性を有する構成部材は、高度な可撓性を有する構成部材よりも低度な調節可能性を有する。
【0017】
以下で説明するように、シーリングビードの領域におけるキャップのより高度な調節可能性により、シーリングビードは、ペンまたは鉛筆の軸に対して密に位置し、したがって、ペンまたは鉛筆の先端の確実な閉鎖が達成される。本発明によれば、シーリングビードの領域におけるキャップの最小内径は、キャップがペンまたは鉛筆に装着された状態においてシーリングビードと接触すべき領域におけるペンまたは鉛筆の軸の最小外径よりも小さくなるように選択されている。このタイプのキャップがペンまたは鉛筆に装着されると、ペンまたは鉛筆の軸がシーリングビードと接触する。シーリングビードの領域におけるキャップの調節可能性によって、シーリングビードは外方へ押し付けられ、ペンまたは鉛筆の軸の周囲に延びる閉鎖された輪郭の全ての領域が、シーリングビードの領域と接触する。シーリングビードの領域におけるキャップの内径およびキャップの調節可能性は、軸が真円度から外れているときまたは軸の直径または形状が時間とともに変化するときにもこれを達成することができるように選択することができる。
【0018】
第3に、シーリングビードの領域において、キャップは、閉鎖された輪郭に沿って外側に第1の構成部材に位置する第2の構成部材を有する。第2の構成部材は、高度な可撓性を有しており、より高度な調節可能性を有する領域においてキャップを支持するバインディングのように機能する。このようにして、キャップは、この領域における損傷に対して、例えば、キャップの破壊につながり得る壁領域の過剰な撓みに対して保護される。加えて、第2の構成部材は、ペンまたは鉛筆の軸に対してシーリングビードを押し付けることもでき、さらに、ペンまたは鉛筆の先端のシーリングを高める。
【0019】
第2の構成部材は、第1の構成部材よりも高度な可撓性を有するので、より柔軟でもあり、第1の構成部材よりも優れた掴みを提供する。第2の構成部材はキャップの外側の領域を形成しているので、この領域において、キャップを指によっても十分に掴むことができ、手が濡れているかまたは手にクリームが塗られているとしても、問題なくペンまたは鉛筆から引き抜くことができ、かつペンまたは鉛筆に装着することができる。
【0020】
したがって、キャップの機能性は、第1および第2の構成部材と、ペンまたは鉛筆の直径に適応されたシーリングビードとの適切な選択によって達成され、シーリングビードの領域における調節可能性は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域よりも高い。第1の構成部材は、キャップの所要の安定性、寸法精度および拡散抵抗が達せられるように選択される。第2の構成部材は、キャップが、良好な掴みを提供し、シーリングビードの領域において十分に調節可能であるように選択される。このようにして、ペンまたは鉛筆の先端の、強い、閉鎖された、気密の、拡散抵抗性の閉鎖が達成される。これにより、ペンまたは鉛筆を早期の乾燥から保護することができる。ペンまたは鉛筆にキャップを確実に装着することができるが、それでも容易に引き抜くことができる。キャップはペンまたは鉛筆に確実に装着され、過剰な力を加えずにキャップを引き抜くことができる。明らかに、より低いキャップ引き抜き力を保証することができる。
【0021】
本発明によれば、第1の構成部材は、1200〜2400N/mm2の弾性率を備える熱可塑性樹脂、好適には、約2000N/mm2の弾性率を備えるABSまたはMABSを含むことができる。本発明によれば、第2の構成部材は、10ShA〜90ShDの硬度範囲を備える熱可塑性エラストマ、好適には、約60ShAを備えるTPE−SまたはTPE−Uを含むことができる。
【0022】
本発明の別の実施の形態では、シーリングビードの領域における第1の構成部材の壁厚は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域の壁厚よりも小さくてもよい。壁厚とは、ここでは平均壁厚を意味すると理解されるべきである。シーリングビードの領域および/またはシーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における壁厚は、位置の関数であってもよい。しかしながら、壁厚は全てのところで等しくてもよい。シーリングビードの領域における壁厚を減少することにより、シーリングビードの領域における第1の構成部材の調節可能性を高めることができる。さらに、第1の構成部材の節約、ひいてはコストの節約を達成することができる。
【0023】
第1の構成部材の外側に位置する第2の構成部材は、第1の構成部材よりも高度の可撓性を有する。この理由から、厚さの減少した壁部が、外側に位置する第2の構成部材によって安定化されるシーリングビードの領域におけるキャップの調節可能性は、常に、シーリングビードに関して開口と反対側に位置するキャップの領域における調節可能性よりも大きい。
【0024】
本発明の別の実施の形態では、第1の構成部材の最大壁厚は、シーリングビードの領域において、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における第1の構成部材の最小壁厚よりも、小さくてもよい。シーリングビードの領域および/またはシーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における壁厚は、対応する領域における全てのところで等しくてもよい。しかしながら、その壁厚は、位置の関数であってもよい。シーリングビードの領域における壁厚を最小値にさらに減じることにより、この領域におけるキャップの調節可能性をさらに高めることができる。さらに、これにより、材料およびコストのさらなる節約を生じることができる。
【0025】
半径方向で第1の構成部材を完全に貫通しない切欠が、少なくともシーリングビードの領域においてキャップの外側に形成され、第2の構成部材がこの切欠に配置されている1つの実施の形態も有利である。切欠は、シーリングビードの領域における第1の構成部材の壁厚が、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における最小壁厚よりも小さくなるように、形成されている。これにより、シーリングビードの領域におけるキャップのより大きな調節可能性が達成される。
【0026】
本発明の1つの実施の形態では、第2の構成部材を、別の軸方向領域においてキャップの第1の構成部材の外側と整列するように切欠に配置することができる。これにより、第1の構成部材への第2の構成部材の接続が、キャップの外側に沿って長手方向に作用する力に関して特に安定することができる。例えばキャップが柔軟な構成部材上で指によって掴まれ、ペンまたは鉛筆から引き抜かれると、この力の効果によって第2の構成部材がキャップから分離される可能性が減少する。しかしながら、第2の構成部材は、第1の構成部材の外側から突出しているかまたは第1の構成部材の外側から後退していてもよい。
【0027】
別の可能な実施の形態では、第1の構成部材および/または第2の構成部材は弾性的に変形可能であってもよい。これにより、ペンまたは鉛筆の先端のシーリングを付加的に高めることができる。ペンまたは鉛筆にキャップを配置するとき、シーリングビードの領域は、キャップの外側の周囲に延びる第2の構成部材と一緒に、半径方向外方へ撓まされる。第1および/または第2の構成部材が弾性特性を有する場合、これにより、シーリングリップをペンまたは鉛筆の軸に対して密にかつ確実に押し付けるリセット力を生じることができる。これにより、ペンまたは鉛筆の先端が包囲される空間のシーリングがさらに高められる。
【0028】
本発明の別の有利な実施の形態は、第1の構成部材および/または第2の構成部材が少なくとも部分的に、開口とシーリングビードとの間の領域内へ延びていることを特徴とする。開口とシーリングビードとの間の領域におけるキャップの内部を、ここでは第1の構成部材によって画定することができる。第2の構成部材は、開口とシーリングビードとの間の領域内へ延びていることができる。既に言及したように、より柔軟な第2の構成部材は、第1の構成部材よりも強い掴みを提供する。第2の構成部材によって形成されたキャップの外側領域が増大するので、キャップによって提供される掴みも高まる。
【0029】
さらに、第1および/または第2の構成部材がプラスチックを含むと有利であり得る。これにより、キャップの異なる形状を、安価に、単純な形式で、例えば射出成形技術によって製造することができる。
【0030】
本発明は、冒頭に示したタイプのキャップを製造する方法も提供する。第1および第2の構成部材のためにここでは熱可塑性樹脂が有利には使用される。第2の構成部材を、射出成形によって加工することができるシリコーンから形成することもできる。第1の構成部材から形成されたキャップの領域を、射出成形法によって製造することができる。シーリングビードの領域におけるキャップの高められた調節可能性が、切欠によって壁厚を減じることによって提供される場合、この調節可能性は、この処理ステップにおいて既に提供することもできる。第2の製造ステップにおいて、第2の構成部材は、加熱された状態で第1の構成部材に取り付けられる。これは、第1の構成部材の再加熱につながる。第2の構成部材は第1の構成部材の周囲に位置するので、この領域において、第2の構成部材は熱スリーブとして作用する。第1の材料の焼きもどしが生じ、この焼きもどしによって第1の材料はより高い可撓性を得ることができる。
【0031】
上述の製造方法は、特に容易である。なぜならば、キャップを製造するために、公知の射出成形法に基づく2つの製造ステップのみが必要とされるからである。本発明の1つの実施の形態によるキャップを、これにより、安価に大量に製造することができる。
【0032】
本開示の枠内において、本発明によるキャップは、尖らせることができる化粧用ペンシルとも一緒に保護されるべきである。化粧用ペンシルは、例えば、ワックスペンシルであってもよい。これらのペンシルを尖らせるのは困難であり、加えて、これらのペンシルは、円形から大きく外れており、変化した外径を有する。ワックスペンシルの先端が長期間にわたって空気に曝されると、先端は乾燥し、ペンシルは使用できなくなる。例えば、ペンシルが地面に落とされると、ワックスペンシルの先端は容易に破損する。さらに、ワックスペンシルによって生じた汚れを落とすのは困難である。本発明によるキャップを使用することによって、これらの問題を排除することができる。
【0033】
以下の説明では、例として示された図面を参照して発明がより詳細に説明される。図面は以下の通りである。
【図面の簡単な説明】
【0034】
図1】本発明の1つの実施の形態によるキャップの縦断面図である。
図2】ペンまたは鉛筆に配置された、図1に示されたキャップの縦断面図である。
図3】線C−Cに沿った、図1に示されたキャップの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図1は、キャップ1の縦断面図を示している。キャップ1は、内部7への、ここには示されていないペンまたは鉛筆100の導入(これに関して図2参照)のための開口2を有する。内部7は、第1の構成部材K1のみによって画定されている。内部7に面したキャップ1の側には、シーリングビード3が形成されている。シーリングビード3は、半径方向内方へ延びており、閉鎖された輪郭においてキャップ1の長手方向軸線Lの周囲に延びている。シーリングビード3は、第1の構成部材K1を有する。
【0036】
シーリングビード3の領域において、内部7とは反対側に面した第1の構成部材K1の側に、切欠4が形成されている。切欠4により、シーリングビード3の領域における第1の構成部材K1の最大壁厚Dmax2は、シーリングビード3に関して開口2とは反対の側における第1の構成部材K1の最小壁厚Dmin1よりも小さい。この領域における第1の構成部材K1の壁厚の減少は、シーリングビード3の領域におけるキャップ1の調節可能性を高める。これは以下のことを意味する。すなわち、力が半径方向にキャップ1の壁部5に作用すると、シーリングビード3の領域は、シーリングビード3に関して開口2とは反対の側に配置されたキャップ1の壁部5の領域と同じ力によって、半径方向でさらに撓まされる。切欠4は、シーリングビード3から開口2に向かって延びる第1の構成部材K1の領域にも延びている。
【0037】
第2の構成部材K2は切欠4に配置されている。第1の構成部材K1と同一平面に配置された第2の構成部材K2は、キャップ1の外側を形成している。しかしながら、第2の構成部材K2は、突出しているかまたは後退していてもよい。第2の構成部材K2は、バインディングのように作用する。これは、壁厚の減少した領域におけるキャップ1の安定性を高める。第2の構成部材K2は第1の構成部材K1よりも大きな可撓性を有するので、シーリングビード3の領域におけるキャップの調節可能性も、シーリングビード3に関して開口2とは反対に位置する側に配置された領域における調節可能性よりも、外側においてそこに位置する第2の構成部材K2により、大きくなり得る。第2の構成部材K2はシーリングビード3の領域を超えて延びているので、第2の構成部材K2を適切に選択することにより、キャップ1によって提供される掴みをさらに増大することができる。
【0038】
さらに、図1に示されたキャップ1は、開口2に面したシーリングビード3の側における凹所10を有する。しかしながら、これらは、本発明のために絶対的に必要であるわけではない。凹所10は、図3を参照してさらに詳細に説明される。
【0039】
図2は、ペンまたは鉛筆100に装着された、図1に示されたキャップ1の縦断面図を示している。シーリングビード3は、ペンまたは鉛筆100の軸101上に位置している。ペンまたは鉛筆100におけるキャップ1の確実なはめ込みは、例えば、以下のようにして達成することができる。シーリングビード3の領域におけるキャップ1の内径は、ペンまたは鉛筆100に配置されたキャップ1がペンまたは鉛筆100の外壁に接触することが意図された領域において、ペンまたは鉛筆100の予想される最小外径よりも小さく選択される。キャップ1がペンまたは鉛筆100に配置されると、シーリングビード3の領域におけるキャップ1の壁部5が外方へ押し付けられる。第1の構成部材K1および第2の構成部材K2は弾性的に変形可能である。これにより、外側への壁部5の変形によって、復元力が生じる。この復元力がシーリングビード3をペンまたは鉛筆100に対して密にかつ確実に押し付ける。
【0040】
図2に示された配置において、ペンまたは鉛筆100の先端102は、ペンまたは鉛筆100の軸101と、シーリングビード3と、開口2とは反対方向にシーリングビード3から延びるキャップ1の領域とによって形成された内部の残り9において、包囲されている。シーリングビード3と、開口2とは反対側に位置するシーリングビード3の側に配置されたキャップ1の壁部5の内側との双方が、第1の構成部材K1を含む。第1の構成部材K1は高い拡散抵抗性を有するので、ペンまたは鉛筆100の先端102は、内部の残り9において包囲されることによって、乾燥から保護される。
【0041】
図3は、線C−Cに沿った、図1に示されたキャップの断面図を示している。切欠4に加えて、キャップ1の外側からキャップ1の内部へ完全に貫通するこれらの凹所10が、第1の構成部材K1に形成されている。外側において第1の構成部材K1に対して当接する第2の構成部材K2は、凹所10内へ延びており、第1の構成部材K1の内側および外側と整列している。これにより、第2の構成部材K2は、キャップの長手方向に作用する力に関して、第1の構成部材K1に特に確実に接続される。
【符号の説明】
【0042】
1 キャップ
2 開口
3 シーリングビード
4 切欠
5 壁部
7 内部
9 内部の残り
10 凹所
100 ペンまたは鉛筆
101 軸
102 先端
図1
図2
図3