【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明によれば、この課題は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域と、シーリングビードの領域とにおけるキャップの内部が第1の構成部材によって画定され、第2の構成部材が、第1の構成部材における閉鎖された輪郭に沿ってシーリングビードの領域において外側に位置し、シーリングビードの領域において半径方向に作用する力によるキャップの調節可能性が、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における調節可能性よりも大きいことによって、達成される。
【0011】
本発明は、ペンまたは鉛筆の先端を拡散抵抗空間内に包囲することによってペンまたは鉛筆の先端部を乾燥から保護することができるという知識に遡ることができる。本発明によるキャップを用いると、この空間は以下のように形成される。
【0012】
キャップがペンまたは鉛筆に装着された状態で、先端は、ペンまたは鉛筆の軸と、シーリングビードと、シーリングビードに関して開口と反対側に位置するキャップの領域とによって画定された空間によって包囲される。シーリングビードに関して開口と反対側に位置するキャップの領域と、シーリングビードとは、第1の、より可撓性でない構成部材を有する。構成部材の可撓性とは、外力の効果により変形するという特性を意味すると理解されるべきである。高度な可撓性を有する構成部材は、同じ外力によって、低度な可撓性を有する構成部材よりも大きく変形する。
【0013】
一般に、低度な可撓性を有する構成部材は、高度な可撓性を有する構成部材よりも、高い拡散抵抗を有する。構成部材の拡散抵抗とは、液体および気体に対して不透過性である構成部材の性質を意味すると理解される。高い拡散抵抗を有する構成部材は、この場合、低い拡散抵抗を有する構成部材よりも透過性でない。キャップの内側は、先端の領域において、低度な可撓性を有する第1の構成部材によって画定されているので、キャップのこの領域は高い拡散抵抗を有する。
【0014】
開口と反対側に位置するシーリングビードの領域において低度な可撓性を有する第1の構成部材を使用することにより、キャップは、さらに、この領域において手で容易に掴むことができかつペンまたは鉛筆に装着しかつペンまたは鉛筆から引き抜くことができるように、十分に安定する。
【0015】
高い拡散抵抗を有する第1の構成部材によるペンまたは鉛筆の先端のシールされた包囲を保証するために、キャップは、3つの別の特性を有している。まず、キャップはシーリングビードを有する。シーリングビードは、閉鎖された輪郭に沿ってキャップの内側の周囲に延びており、第1の構成部材を含む。不変の外側輪郭を有するペンまたは鉛筆をシールするためにキャップが使用される場合、対応して形成されたシーリングビードにより、ペンまたは鉛筆の先端のシールされた包囲を既に保証することができる。ここで、シーリングビードは、ペンまたは鉛筆の軸に対して密に当接するかまたは軸の領域に対してロックする。可変の外側輪郭または外側不規則性を有するペンまたは鉛筆の場合、シーリングビードそれ自体では、しかしながら、ペンまたは鉛筆の先端の永久的なシーリングを保証するためには不十分である。
【0016】
第2に、シーリングビードが、可変の外側輪郭を有するペンまたは鉛筆においてさえも軸に対して永久的に密に当接するように、シーリングビードの領域におけるキャップの調節可能性は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における調節可能性よりも大きい。領域におけるキャップの調節可能性とは、この領域に配置された壁領域が、この領域に作用しかつ半径方向成分を有する力によって半径方向構成部材に向かって撓まされることを意味すると理解される。この撓みは、低度な調節可能性を有する領域よりも、高度な調節可能性を有する領域において大きい。一般に、低度な可撓性を有する構成部材は、高度な可撓性を有する構成部材よりも低度な調節可能性を有する。
【0017】
以下で説明するように、シーリングビードの領域におけるキャップのより高度な調節可能性により、シーリングビードは、ペンまたは鉛筆の軸に対して密に位置し、したがって、ペンまたは鉛筆の先端の確実な閉鎖が達成される。本発明によれば、シーリングビードの領域におけるキャップの最小内径は、キャップがペンまたは鉛筆に装着された状態においてシーリングビードと接触すべき領域におけるペンまたは鉛筆の軸の最小外径よりも小さくなるように選択されている。このタイプのキャップがペンまたは鉛筆に装着されると、ペンまたは鉛筆の軸がシーリングビードと接触する。シーリングビードの領域におけるキャップの調節可能性によって、シーリングビードは外方へ押し付けられ、ペンまたは鉛筆の軸の周囲に延びる閉鎖された輪郭の全ての領域が、シーリングビードの領域と接触する。シーリングビードの領域におけるキャップの内径およびキャップの調節可能性は、軸が真円度から外れているときまたは軸の直径または形状が時間とともに変化するときにもこれを達成することができるように選択することができる。
【0018】
第3に、シーリングビードの領域において、キャップは、閉鎖された輪郭に沿って外側に第1の構成部材に位置する第2の構成部材を有する。第2の構成部材は、高度な可撓性を有しており、より高度な調節可能性を有する領域においてキャップを支持するバインディングのように機能する。このようにして、キャップは、この領域における損傷に対して、例えば、キャップの破壊につながり得る壁領域の過剰な撓みに対して保護される。加えて、第2の構成部材は、ペンまたは鉛筆の軸に対してシーリングビードを押し付けることもでき、さらに、ペンまたは鉛筆の先端のシーリングを高める。
【0019】
第2の構成部材は、第1の構成部材よりも高度な可撓性を有するので、より柔軟でもあり、第1の構成部材よりも優れた掴みを提供する。第2の構成部材はキャップの外側の領域を形成しているので、この領域において、キャップを指によっても十分に掴むことができ、手が濡れているかまたは手にクリームが塗られているとしても、問題なくペンまたは鉛筆から引き抜くことができ、かつペンまたは鉛筆に装着することができる。
【0020】
したがって、キャップの機能性は、第1および第2の構成部材と、ペンまたは鉛筆の直径に適応されたシーリングビードとの適切な選択によって達成され、シーリングビードの領域における調節可能性は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域よりも高い。第1の構成部材は、キャップの所要の安定性、寸法精度および拡散抵抗が達せられるように選択される。第2の構成部材は、キャップが、良好な掴みを提供し、シーリングビードの領域において十分に調節可能であるように選択される。このようにして、ペンまたは鉛筆の先端の、強い、閉鎖された、気密の、拡散抵抗性の閉鎖が達成される。これにより、ペンまたは鉛筆を早期の乾燥から保護することができる。ペンまたは鉛筆にキャップを確実に装着することができるが、それでも容易に引き抜くことができる。キャップはペンまたは鉛筆に確実に装着され、過剰な力を加えずにキャップを引き抜くことができる。明らかに、より低いキャップ引き抜き力を保証することができる。
【0021】
本発明によれば、第1の構成部材は、1200〜2400N/mm
2の弾性率を備える熱可塑性樹脂、好適には、約2000N/mm
2の弾性率を備えるABSまたはMABSを含むことができる。本発明によれば、第2の構成部材は、10ShA〜90ShDの硬度範囲を備える熱可塑性エラストマ、好適には、約60ShAを備えるTPE−SまたはTPE−Uを含むことができる。
【0022】
本発明の別の実施の形態では、シーリングビードの領域における第1の構成部材の壁厚は、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域の壁厚よりも小さくてもよい。壁厚とは、ここでは平均壁厚を意味すると理解されるべきである。シーリングビードの領域および/またはシーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における壁厚は、位置の関数であってもよい。しかしながら、壁厚は全てのところで等しくてもよい。シーリングビードの領域における壁厚を減少することにより、シーリングビードの領域における第1の構成部材の調節可能性を高めることができる。さらに、第1の構成部材の節約、ひいてはコストの節約を達成することができる。
【0023】
第1の構成部材の外側に位置する第2の構成部材は、第1の構成部材よりも高度の可撓性を有する。この理由から、厚さの減少した壁部が、外側に位置する第2の構成部材によって安定化されるシーリングビードの領域におけるキャップの調節可能性は、常に、シーリングビードに関して開口と反対側に位置するキャップの領域における調節可能性よりも大きい。
【0024】
本発明の別の実施の形態では、第1の構成部材の最大壁厚は、シーリングビードの領域において、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における第1の構成部材の最小壁厚よりも、小さくてもよい。シーリングビードの領域および/またはシーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における壁厚は、対応する領域における全てのところで等しくてもよい。しかしながら、その壁厚は、位置の関数であってもよい。シーリングビードの領域における壁厚を最小値にさらに減じることにより、この領域におけるキャップの調節可能性をさらに高めることができる。さらに、これにより、材料およびコストのさらなる節約を生じることができる。
【0025】
半径方向で第1の構成部材を完全に貫通しない切欠が、少なくともシーリングビードの領域においてキャップの外側に形成され、第2の構成部材がこの切欠に配置されている1つの実施の形態も有利である。切欠は、シーリングビードの領域における第1の構成部材の壁厚が、シーリングビードに関して開口と反対側に位置する領域における最小壁厚よりも小さくなるように、形成されている。これにより、シーリングビードの領域におけるキャップのより大きな調節可能性が達成される。
【0026】
本発明の1つの実施の形態では、第2の構成部材を、別の軸方向領域においてキャップの第1の構成部材の外側と整列するように切欠に配置することができる。これにより、第1の構成部材への第2の構成部材の接続が、キャップの外側に沿って長手方向に作用する力に関して特に安定することができる。例えばキャップが柔軟な構成部材上で指によって掴まれ、ペンまたは鉛筆から引き抜かれると、この力の効果によって第2の構成部材がキャップから分離される可能性が減少する。しかしながら、第2の構成部材は、第1の構成部材の外側から突出しているかまたは第1の構成部材の外側から後退していてもよい。
【0027】
別の可能な実施の形態では、第1の構成部材および/または第2の構成部材は弾性的に変形可能であってもよい。これにより、ペンまたは鉛筆の先端のシーリングを付加的に高めることができる。ペンまたは鉛筆にキャップを配置するとき、シーリングビードの領域は、キャップの外側の周囲に延びる第2の構成部材と一緒に、半径方向外方へ撓まされる。第1および/または第2の構成部材が弾性特性を有する場合、これにより、シーリングリップをペンまたは鉛筆の軸に対して密にかつ確実に押し付けるリセット力を生じることができる。これにより、ペンまたは鉛筆の先端が包囲される空間のシーリングがさらに高められる。
【0028】
本発明の別の有利な実施の形態は、第1の構成部材および/または第2の構成部材が少なくとも部分的に、開口とシーリングビードとの間の領域内へ延びていることを特徴とする。開口とシーリングビードとの間の領域におけるキャップの内部を、ここでは第1の構成部材によって画定することができる。第2の構成部材は、開口とシーリングビードとの間の領域内へ延びていることができる。既に言及したように、より柔軟な第2の構成部材は、第1の構成部材よりも強い掴みを提供する。第2の構成部材によって形成されたキャップの外側領域が増大するので、キャップによって提供される掴みも高まる。
【0029】
さらに、第1および/または第2の構成部材がプラスチックを含むと有利であり得る。これにより、キャップの異なる形状を、安価に、単純な形式で、例えば射出成形技術によって製造することができる。
【0030】
本発明は、冒頭に示したタイプのキャップを製造する方法も提供する。第1および第2の構成部材のためにここでは熱可塑性樹脂が有利には使用される。第2の構成部材を、射出成形によって加工することができるシリコーンから形成することもできる。第1の構成部材から形成されたキャップの領域を、射出成形法によって製造することができる。シーリングビードの領域におけるキャップの高められた調節可能性が、切欠によって壁厚を減じることによって提供される場合、この調節可能性は、この処理ステップにおいて既に提供することもできる。第2の製造ステップにおいて、第2の構成部材は、加熱された状態で第1の構成部材に取り付けられる。これは、第1の構成部材の再加熱につながる。第2の構成部材は第1の構成部材の周囲に位置するので、この領域において、第2の構成部材は熱スリーブとして作用する。第1の材料の焼きもどしが生じ、この焼きもどしによって第1の材料はより高い可撓性を得ることができる。
【0031】
上述の製造方法は、特に容易である。なぜならば、キャップを製造するために、公知の射出成形法に基づく2つの製造ステップのみが必要とされるからである。本発明の1つの実施の形態によるキャップを、これにより、安価に大量に製造することができる。
【0032】
本開示の枠内において、本発明によるキャップは、尖らせることができる化粧用ペンシルとも一緒に保護されるべきである。化粧用ペンシルは、例えば、ワックスペンシルであってもよい。これらのペンシルを尖らせるのは困難であり、加えて、これらのペンシルは、円形から大きく外れており、変化した外径を有する。ワックスペンシルの先端が長期間にわたって空気に曝されると、先端は乾燥し、ペンシルは使用できなくなる。例えば、ペンシルが地面に落とされると、ワックスペンシルの先端は容易に破損する。さらに、ワックスペンシルによって生じた汚れを落とすのは困難である。本発明によるキャップを使用することによって、これらの問題を排除することができる。
【0033】
以下の説明では、例として示された図面を参照して発明がより詳細に説明される。図面は以下の通りである。