【実施例】
【0018】
図1〜
図12に示すように、容器反転機1は、容器Aを持ち上げて反転させるものであり、本体フレーム2と、本体フレーム2に移動自在に設けられた左右1対のアーム3と、1対のアーム3を移動駆動可能なアーム駆動機構4と、1対のアーム3に夫々回動自在に設けられた左右1対の把持部材5と、1対の把持部材5を回動駆動可能な反転駆動機構6と、駆動制御ユニット7とを備えている。
【0019】
図1〜
図4に示すように、本体フレーム2は、左右方向に延びるH型鋼を主体に構成され、実質的に水平姿勢に保持され、外部の昇降手段Bにより昇降される(
図1、
図2)。本体フレーム2の左右方向中央部の上面部に吊上板20が固着され、本体フレーム2の左右方向中央部の下面部に駆動制御ユニット7が取付けられている。
【0020】
ここで、
図1、
図2に示すように、例えば、外部の昇降手段BとしてクレーンBが適用され、そのクレーンBのワイヤロープB1の先端に取付けられたフックB2が、吊上板10に形成されたフック孔10aに掛けられて、クレーンBによって、容器反転機1が上下・前後・左右に移動され得る。尚、
図8〜
図12は、ワイヤロープBa及びフックBcを図示省略したものとなっている。
【0021】
図1、
図2、
図4に示すように、1対のアーム3は、本体フレーム2に垂下状に且つ相互に接近・離隔する方向(左右方向)へ移動自在に設けられている。各アーム3は、上下方向に長い溝型鋼(或いは、H型鋼)を主体に構成され、実質的に鉛直姿勢に保持され、その上部が本体フレーム2に左右方向へ移動自在にガイド支持されている。
【0022】
そのために、各アーム3の上部には、本体フレーム2の前後両側に位置する連結板30が取付けられ、前側の連結板30にはその後面側に左右1対の遊転輪31が、また、後側の連結板30にはその前面側に左右1対の遊転輪31が、夫々装着されている。そして、前側の遊転輪31と後側の遊転輪31は、夫々本体フレーム2(H型鋼)の前後の凹溝部2a内に収容され、本体フレーム2の下端部2bの上面を転動する。尚、各アーム3と各連結板20には補強板32が結合され、両者が補強されている。
【0023】
図1、
図3、
図4に示すように、アーム駆動機構4は、1対のアーム3を夫々前記接近・離隔方向(左右方向)へ移動駆動可能な左右1対の油圧シリンダ40を有する。各油圧シリンダ40は、本体フレーム2の上側において左右方向に向けて配設され、そのシリンダ本体40a(一端)が本体フレーム2に連結され、そのピストンロッド40b(他端)が対応するアーム3の1対の連結板30に連結されている。
【0024】
駆動制御ユニット7は、操作指令を受けて1対の油圧シリンダ40を制御し、1対の油圧シリンダ40を左右対称に駆動することで、1対のアーム3を左右対称に移動させる。尚、1対の油圧シリンダ40を駆動制御するために、各油圧シリンダ40には、その進退量又は進退位置を検知可能な進退検知センサ(図示略)が付設されている。
【0025】
図1、
図2、
図5、
図6に示すように、1対の把持部材5は、1対のアーム3に夫々前記接近・離隔方向(左右方向)と平行な軸心c回りに回動自在に設けられ、アーム駆動機構4による1対のアーム3の移動により容器Aの把持と把持解除とが可能である。
【0026】
各把持部材5は、板状の把持部材本体50と、把持部材本体50に設けられ容器Aに当接する弾力性のある4つのパッド51と、反転前の容器Aの上端を係止する係止部52(落下防止ストッパ52)と、係止部52が容器の上端を係止したことを検知する係止検知センサ53(近接スイッチ53)とを有する。
把持部材本体50は側面視矩形(正方形)に形成され、4つのパッド51はこの把持部材本体50の4つの角近傍に設けられている。
【0027】
各パッド51は、合成樹脂(又は樹脂)からなり、把持部材本体50にパッド取付部材54を介して、揺動可能に装着されている。パッド51は、その当接面が
図6(a)では鉛直となる初期姿勢となるが、
図6(b)のように下側に傾いたり、
図6(c)のように上側に傾いたり、上下前後のあらゆる方向に傾け得るように揺動可能である。
【0028】
パッド取付部材54は、その取付座面54aにパッド51が取付けられ、ユニバーサルジョン55により把持部材本体50に連結されている。このユニバーサルジョン55では、球状部56aを有する軸状部材56が把持部材本体50に固定され、その球状部56aが摺動自在に内嵌される球面受部57aを有する受部材57がパッド取付部材54に固定されている。
【0029】
把持部材本体50には上方へ延びる係止用フレーム
57が設けられ、係止部52は係止用フレーム
57の上端部に設けられ、係止検知スイッチ53は係止部52に設けられている。
【0030】
駆動制御ユニット7は、係止検知スイッチ53からの信号を入力して、係止部52が容器Aの上端を係止しているか否かを判定検知することができ、例えば、係止部52が容器Aの上端を係止している場合、所定の出力装置(図示略)を介して係止検知音声を鳴らしたり、係止検知光を発光させたりすることができ、また、係止部52が容器Aの上端を係止している場合には、反転駆動機構6の作動を許可するが、係止部52が容器Aの上端を係止していない場合には、反転駆動機構6の作動を禁止することができる。
【0031】
ここで、
図7に示すように、1対の把持部材5を回動させる軸心cに対して係止部52の位置を可変にする係止位置可変機構58が設けられている。この係止位置可変機構58では、係止用フレーム57が、伸縮可能な1対のフレーム57a,57b(固定フレーム57a、可動フレーム57b)からなり、両フレーム57a,57bが油圧シリンダ59により連結されている。
【0032】
つまり、係止部52が容器Aの上端を係止した場合において、容器Aの上下サイズに応じて、1対の把持部材5を回動させる軸心cが容器Aの中心(重心)又はその近くを通るように、つまり、反転駆動機構6により容器Aを反転させる負荷が増大しないように、係止部52と軸心cとの距離を調整することができる。
【0033】
駆動制御ユニット7は、操作指令を受けて油圧シリンダ59を制御し、油圧シリンダ
59を駆動することで、1対のフレーム57a,57bを伸縮させる。尚、油圧シリンダ59を駆動制御するために、油圧シリンダ59には、その進退量又は進退位置を検知可能な進退検知センサ(図示略)が付設されている。
【0034】
図1、
図2に示すように、反転駆動機構6は、1対の把持部材5を夫々軸心c回りに回動駆動可能な1対の油圧モータ60を有する。
各油圧モータ60は、対応するアーム3の外面部に内側に向けて取付けられ、その出力軸がアーム3を挿通し、把持部材本体50の中心部に係止用フレーム57(固定フレーム57b)を介して結合されている。
【0035】
駆動制御ユニット7は、操作指令を受けて1対の油圧モータ60を制御し、1対の油圧モータ60を軸心cを中心として同方向に駆動することで、1対の把持部材5を軸心cを中心として同方向へ回動させる。尚、1対の油圧モータ60を駆動制御するために、各油圧モータ60には、その回動量(回動角)又は回動位置を検知可能な回動検知センサ(図示略)が付設されている。
【0036】
次に、容器反転装置1により容器Aを持ち上げ反転させる作業について説明する。
先ず、容器Aのサイズに応じて、1対の把持部材5間の間隔が、それら1対の把持部材5間に容器Aを位置させ得る適当な間隔となるように、アーム駆動機構4により1対のアーム3を移動させる。その後、
図8→
図9に示すように、1対の把持部材5間に容器Aを位置させるように、容器反転装置1を移動させ、アーム駆動機構4により1対のアーム3を相互に接近する方向へ移動駆動して、1対の把持部材5により容器Aを把持する。
【0037】
ここで、係止位置可変機構58において、1対の把持部材5間に容器Aを位置させる前に、軸心cに対する係止部52の位置を容器Aの上下サイズに応じた位置に調整し、そこで油圧シリンダ59への油圧の給排を停止して係止部52の位置をロックしておいてから、1対の把持部材5間に容器Aを位置させ、係止部52が容器Aの上端を係止するように、容器反転装置1を移動させることで、軸心cが容器Aの中心(重心)又はその近くを通るようにすることができる。
【0038】
或いは、1対の把持部材5間に容器Aを位置させる前に、軸心cに対する係止部52の位置を最大限離隔した位置にしておいてから、1対の把持部材5間に容器Aを位置させ、軸心cが容器Aの中心(重心)又はその近くを通るようにしてから、軸心cに対する係止部52の位置を調整し、係止部52が容器Aの上端を係止したところで、油圧シリンダ59への油圧の給排を停止して係止部52の位置をロックしてもよい。
【0039】
尚、係止位置可変機構58の油圧シリンダ59に代えて比較的強力な引っ張りバネを採用可能である。この場合、係止部52が容器Aの上端を係止していない場合、軸心cに対して係止部52が最大限接近した位置になる。そこで、1対の把持部材5間に容器Aを位置させる際、係止部52が容器Aの上端を係止してから、軸心cが容器Aの中心(重心)又はその近くを通る位置に、容器反転装置1を移動させ、このとき、係止位置可変機構58の1対のフレーム57a,57bが、引っ張りバネの付勢力に抗して伸長するが、その後、何らかのロック手段により係止部52の位置をロックする。
【0040】
その後、
図9→
図10に示すように、クレーンBにより容疑反転装置1を所定位置へ移動させ、つまり本体フレーム2、1対のアーム3、1対の把持部材5等と共に容器Aを上昇させ、
図11→
図12に示すように、反転駆動機構6により1対の把持部材5を回動駆動して、これら1対の把持部材5と共に容器Aを反転(例えば、135度程度反転)させ、容器A内の収容物を外部へ排出することができる。
【0041】
以上説明した容器反転装置1よれば、クレーンBにより昇降される実質的に水平姿勢の本体フレーム2と、本体フレーム2に垂下状に且つ相互に接近・離隔する方向へ移動自在に設けられた1対のアーム3と、1対のアーム3を前記接近・離隔方向へ自動的に移動駆動可能なアーム駆動機構4と、1対のアーム3に夫々前記接近・離隔方向と平行な軸心c回りに回動自在に設けられた1対の把持部材5であって、アーム駆動機構4による1対のアーム3の移動により容器Aの把持と把持解除とが可能な1対の把持部材5と、1対の把持部材5を軸心c回りに自動的に回動駆動可能な反転駆動機構6とを備えた。
【0042】
従って、容器反転機1を、容器Aの真上以外の方からも、1対の把持部材5間に容器Aを位置させように移動させることができ、アーム駆動機構4による1対のアーム3の移動により、1対の把持部材5により容器Aを容易に把持することができ、また、反転駆動機構6による1対の把持部材5の回動により、容器Aを容易に反転させることができる。しかも、容器Aを持ち上げて反転させる為の構造を、本体フレーム2、1対のアーム3、アーム駆動機構4、1対の把持部材5、及び反転駆動機構6により実現できるため、その構造を簡単化することができる。
【0043】
把持部材5は、板状の把持部材本体50と、この把持部材本体50に設けられ容器Aに当接する弾力性のある4つのパッド51とを有するので、4つのパッド51と容器との間に作用する摩擦により、1対の把持部材5により容器Aを確実に把持することできる。パッド51は、把持部材本体50に揺動可能に装着されているので、容器Aのうち把持部材5が把持する部位が多少変形している場合でも、パッド51を容器Aに確実に当接させることができる。
【0044】
把持部材5(把持部材本体50)は、反転前の容器Aの上端を係止する係止部52と、係止部52が容器Aの上端を係止したことを検知する係止検知センサ53とを有する。依って、容器Aが反転された際、係止部52が反転姿勢の容器Aの下端側を係止して、1対の把持部材5間から容器Aが落下することを防止でき、容器Aが反転される前に、係止部52が容器Aの上端に係止されているか否か、つまり、容器Aが反転された際の落下防止機能が働いているか否かを簡単且つ確実に検知できる。
【0045】
尚、前記実施例を次のように部分的に変更することができる。
(1)パッド51の数については、前記実施例では4つとしているが、2つ、3つ、5つ等の種々変更可能である。
【0046】
(2)アーム駆動機構4の一方の油圧シリンダ40を省略してもよい。この場合、省略する一方の油圧シリンダ40に対応する一方のアーム3は、本体フレーム2に垂下状に且つ固定的に設けられ、アーム駆動機構4は、その一方のアーム3に対して他方のアーム3を前記接近・離隔方向(左右方向)へ移動駆動可能にする。
【0047】
或いは、アーム駆動機構4の一方の油圧シリンダ40を省略するこの場合、1つの油圧シリンダ40の一端側(シリンダ本体)と他端側(ピストンロッド)を1対のアーム3に夫々連結し、この油圧シリンダ40により、1対のアーム3を前記接近・離隔方向へ移動駆動可能にする。
【0048】
【0049】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、種々の変更を付加して実施することができる。