(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
通過気液の流れ方向が上向きである場合に、前記仕切壁の開口部の上端からの噴出流を略水平方向に飛散又は拡散させるよう、該開口部の上端及び/又はそれに対峙する仕切壁の形状が形成されていることを特徴とする、請求項3又は請求項4に記載の微細気泡発生装置。
前記気液溶解タンクに、その内部での未溶解気体の集積度合を感知する感知手段が付設され、その感知された集積度合に応じて、前記気体混入手段における気体取入量が絞り調節される構成であることを特徴とする、請求項3〜請求項7のいずれかに記載の微細気泡発生装置。
【背景技術】
【0002】
下水処理・水産養殖等において、水処理用のバクテリアを活性化したり、水棲生物を育成・活性化するために、水中に気泡を拡散させて酸素を溶存させること(エアレーション)が有効であることが知られている。又、工業分野等においても、気液反応を促進するために、液中に気泡を拡散させることが有効であることが広く知られている。
これらの目的のためには、気泡の浮力を小さくして液中により長く滞留させ、かつ液体と接触する表面積をより大きくして反応効率を上げるように、気泡のサイズはできるだけ微細にすることが望ましい。
水中に気泡を拡散させるための方法として、従来は、例えばコンプレッサーからの圧縮空気を水中の散気管等の細孔から放出する方法や、水中で羽根車を回転させて混合撹拌する方法が最も一般的であった。
しかし、これらの方法においては、設備のコストが嵩みメンテナンスも面倒であるのみならず、単に細孔から放出したり水中で混合撹拌した程度では、微細化作用が不十分で発生気泡は比較的大きいままであり、微細気泡の発生は困難であるという欠点があった。
そこで微細気泡の発生を目的として、近年、下記のような各種の提案がなされている。
(1)ノズルから液体を急速に噴出させつつ気体を混入することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献1参照)
(2)容器内で液体の旋回流を発生させて、混入気体を撹拌・剪断することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献2参照)
(3)静止型ミキサーを設置して、その邪魔板や衝突突起に気液混合体を衝突させ撹拌することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献3参照)
(4)液体と気体を混合して加圧し、液体中に気体を溶解させたのち、その気液混合体を減圧することにより微細気泡を発生させる。(例えば特許文献4参照)
しかし、上記の従来技術(1)〜(3)には次のような問題がある。
(1)は、液体と気体の最適な混合を得るためには微妙な調節を要し、又、小型に限定されるため、微細気泡を短時間に大量に発生させることは難しい。
(2)は、微細気泡の安定的発生のためには微妙な調節を要し、無人の長時間運転は難しい。又、渦巻き状の流入路を備えたサイクロン式の旋回機構が用いられており、液体自身の運動エネルギーによる旋回力に頼ったものであるために、エネルギー不足により十分な旋回力が得られない場合があり、微細気泡を短時間に大量に発生させることは難しい。
(3)は、単純な衝突に頼るので微細化作用が十分でない。又、静止型ミキサーの抵抗によるエネルギーロスが大きく、それだけ気液混合体を送り込むための動力を必要とする。
一方、上記の従来技術(4)は、
図23に例示したような気液溶解タンクを備え、これによって加圧下で気体を液体に接触させて一旦溶解させた後に、これを減圧もしくは大気開放することによって微細気泡を発生させるというもので、従来技術(1)〜(3)に比べれば、それほど微妙な調節を要さず運転制御は比較的容易であるが、しかし、微細気泡を短時間に大量に発生させるためには、気液溶解タンク内での気液の接触面積を増やして溶解を促進する必要があり、気液溶解タンクの設備そのものが大規模になってコスト高となるという問題がある。
その解決法として、
図24〜
図26に例示したように、気液溶解タンク3内に棚状の仕切壁14、15、16を設けて流路をジグザク形状にしたりすることにより、気液の接触面積を増やす方法も提案されているが(例えば特許文献5参照)、この方法によっても依然として、溶解の促進には限界がある。何故なら、この方法は、その流路のどこでも常に上部に気体、下部に液体が流れる状態、即ち
図24〜
図25の状態を理想とするが、実際には流れがその理想状態を常に維持することはできず、やがてはバランスが崩れて、
図26のように流路の殆どが液面レベルLの下に水没する状態になりがちだからである。そうなったときには、液面レベルL以下の位置にいくら仕切壁があっても意味をなさないことになり、
図23の気液溶解タンクと左程の違いが見出せない結果となる。もしこの水没を防ごうとするなら、流路中の各所、例えば仕切壁の開口部14m、15m、16mを夫々流量調節可能にして、流路中のどこでも適量な液体が流れてその上に空間を残すように制御しなくてはならず、コストが嵩んで実用的な装置とはならない。
このように、上記の従来技術(1)〜(3)はもとより、従来技術(4)においても、コストと性能という両面での限界があるという課題があった。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、上述の従来技術の課題を解決して、簡潔な構成により液中に微細気泡を短時間で大量にかつ安定的・効率的に発生させることができ、又、構造が簡単で、装置が小型でも大型でも安価に製造できる、高性能で取扱い容易な微細気泡発生装置及びそれに好適に用いることができる気液溶解タンクを得ることを目的とする。
なお、微細気泡発生装置を食品・飲料や高純度液等を取り扱うプロセスに適用する場合には、洗浄が容易でなければならない。通常このような目的に使用される装置は、「サニタリー仕様」として、接液表面が平滑に仕上げられるのみならず、定置洗浄(分解しないまま内部洗浄)、分解洗浄及び再組立が簡単に行える構造となっていることが必須であり、もし装置が複雑な構造であったり流路中に隘路があったりすると、定置洗浄により接液部を影なく洗浄することは困難となる上、分解洗浄も煩雑となり、固形物や粒子の混入した液の場合には目詰まりも起こりやすくなる。
そこで本発明は、食品・飲料や高純度液等を取り扱うプロセスに適用されても、サニタリー仕様を満足できる定置洗浄や分解洗浄が容易に行え、目詰まりを起こすこともなく、多様な用途や液質にも適用できる微細気泡発生装置及びそれに好適に用いることができる気液溶解タンクを得ることをも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するために、この発明は、液体に混入された気体の液体への溶解を促進する気液溶解タンクにおいて、タンクの容器の上部と下部に通過気液の出入りする開口部を備え、該容器の内部には上下方向に並ぶ複数の室を画成する複数の仕切壁を備え、該仕切壁の各々にはその上下の室を連通する開口部が設けられ、該仕切壁の開口部の上端は該仕切壁から上方に所定距離延設され、該仕切壁の開口部の下端は該仕切壁から下方に所定距離延設されていることを主な特徴としている。
本発明においては、前記仕切壁の開口部の上端が、該仕切壁の一つ上の仕切壁の開口部の下端よりも上に位置していてもよい。
又、通過気液の流れ方向が上向きである場合に、前記仕切壁の開口部の上端からの噴出流を略水平方向に飛散又は拡散させるよう、該開口部の上端及び/又はそれに対峙する仕切壁の形状が形成されてもよい。
又、前記容器内で集積した未溶解気体を排気する排気手段が付設されてもよい。
又、液体を圧送する圧送手段と、該液体に気体を混入させる気体混入手段と、該気液の溶解を促進する気液溶解促進手段と、該気液を流路から放出する気液放出手段とを備え、該気液溶解促進手段として、前記のいずれかに記載の気液溶解タンクを用いた微細気泡発生装置であってもよい。
又、前記気液溶解タンクに、その内部で集積した未溶解気体を排気する排気手段が付設され、その排気口が、前記気体混入手段における気体取入口に連通可能にされてもよい。
又、前記気液溶解タンクに、その内部での未溶解気体の集積度合を感知する感知手段が付設され、その感知された集積度合に応じて、前記気体混入手段における気体取入量が絞り調節される構成であってもよい。
又、前記気液放出手段が、通過気液に流路の絞り、狭い間隙の通過、急激な方向転換、急速な旋回のうちの少なくとも一つの過程を経させつつ、その気液を放出する構成であってもよい。
又、前記気液放出手段が、底面部が開口し徐々に縮径して先端部が閉口するに致る略円錐状の空洞を有する容器胴部と、該空洞の内壁面からの所定の間隙を有しつつ残りの空洞を埋める形状に形成された容器蓋部とを備え、該容器胴部と容器蓋部との間に形成された空間の拡径部付近には、該容器胴部を貫通して該空洞内壁面の円周接線方向から気液を流入させる入口流路が設けられ、該容器胴部と容器蓋部との間に形成された空間の縮径先端部付近には、該容器蓋部を貫通して外部に気液を放出する出口流路が設けられた構成であってもよい。
又、この発明は、液体を圧送する圧送手段と、該液体に気体を混入させる気体混入手段と、該気液を流路から放出する気液放出手段とを備え、該気液放出手段は、底面部が開口し徐々に縮径して先端部が閉口するに致る略円錐状の空洞を有する容器胴部と、該空洞の内壁面からの所定の間隙を有しつつ残りの空洞を埋める形状に形成された容器蓋部とを備え、該容器胴部と容器蓋部との間に形成された空間の拡径部付近には、該容器胴部を貫通して該空洞内壁面の円周接線方向から気液を流入させる入口流路が設けられ、該容器胴部と容器蓋部との間に形成された空間の縮径先端部付近には、該容器蓋部を貫通して外部に気液を放出する出口流路が設けられた構成であることを特徴としている。
【発明の効果】
【0006】
本発明の装置は、簡潔な構成により、液中に微細気泡を短時間で大量にかつ安定的・効率的に発生させることができると共に、定置洗浄の際には接液部を影なく洗浄することができ、分解洗浄及び再組立も容易であり、目詰まりを起こすこともなく、食品・飲料や高純度液等の多様な液質にも対応できる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、各図にわたって共通の部分には同じ符号を付すものとし、本発明の各実施例について詳細を説明する。
【実施例1】
【0009】
図1は微細気泡発生装置の構成例を示す説明図であり、以下の各実施例における基本的構成要素及びその結合回路を示している。即ち、この微細気泡発生装置においては、液体を圧送する圧送手段1と、その液体に気体を混入させる気体混入手段2と、その気体の液体への溶解を促進する気液溶解促進手段3と、溶解した気液を流路から液槽5内に放出する気液放出手段4とを備えている。管路6、7、8、9はそれら各手段を結合する管路であり、弁6a、7a、8a、8b、9aにより各管路の開閉及び流量調節を行えるようになっている。気体は管路7経由、液体は管路6経由で装置外部の供給源から取り入れて気体混入手段2にて合流させるが、液体については、管路9経由で液槽5の液体を循環利用してもよいことが図示されている。
本図においては、圧送手段1は自吸式ポンプを用い気体混入手段2をその上流側に配置して、ポンプの自吸力によって液体と共に気体を吸い込み混合させる簡便な構成とした例を示しており、この場合は自吸式ポンプ内においても気液の混合が行われるという利点があるが、この他にも、圧送手段1は非自吸式ポンプを用い気体混入手段2をその下流側に配置して、コンプレッサーやエジェクター(ベンチュリー管)等によって気体を注入する構成としてもよい。
図2及び
図3は本発明の実施例1の気液溶解タンクの縦断面図であり、前記の微細気泡発生装置における気液溶解促進手段3として好適に用いることができるものである。
図2が通過気液の流れ方向が上向きである場合の作動状態、
図3が通過気液の流れ方向が下向きである場合の作動状態を示す。
この気液溶解タンク3は液体に混入された気体の液体への溶解を促進するために好適な構成を備えている。具体的には、容器11は上部と下部に通過気液の出入りする開口部12、13を備えると共に、その内部には上下方向に並ぶ室r1、r2、r3、r4を画成する仕切壁14、15、16を備えている。そして、仕切壁14にはその上下の室r1と室r2を連通する開口部14mが設けられ、その開口部の上端14aは仕切壁14から上方に所定距離Aだけ延設され、開口部の下端14bは仕切壁14から下方に所定距離Bだけ延設されている。同様に、仕切壁15についても、その上下の室r2とr3を連通する開口部15mが設けられ、その開口部の上端15aと下端15bは各々仕切壁15から所定距離延設され、仕切壁16についても、その上下の室r3とr4を連通する開口部16mが設けられ、その開口部の上端16aと下端16bは各々仕切壁16から所定距離延設されている。
図中では、仕切壁は説明の便宜上3箇所に設置されたものが例示されているが、設置数は3箇所に限るものでないことは言うまでもない。
この実施例1の気液溶解タンクを、
図1における微細気泡発生装置の気液溶解促進手段3として設置し、通過気液の流れ方向が容器11の下部にある容器開口部13から上部にある容器開口部12に向かう上向きの流れとなるよう配管して運転すると、通過気液は
図2に示す状態となる。即ち、気体と液体は十分な広さの確保された流路である仕切壁開口部16m、15m、14mを緩やかに上昇して各室r4、r3、r2、r1を通過して行くうちに、その比重差により気体は上、液体は下に分離し、気体は液体に先んじてより上の室に移動して行こうとするが、その気体は、仕切壁開口部下端16b、15b、14bが各仕切壁から下方に所定距離延設されているため、それを越えぬ限り上の室に移動することができず、仕切壁16、15、14を天井として張り付いた状態となり、結果的に、各室r4、r3、r2の中で液面レベルL4、L3、L2を生じることとなる。これは、液体中に未溶解の気体がある限り仕切壁16、15、14のいずれも水没状態にはならないことを意味している。なお、図示例では、室r1についても、容器開口部12の下端が容器11の天井から下方に所定距離延設されているため、他の室と同様の効果を生じ、液面レベルL1を生じる。
このように、仕切壁16、15、14がいずれも水没することなく、各室r4、r3、r2、r1において上部に気体、下部に液体が存在して液面レベルL4、L3、L2、L1が生じていることによって、気液溶解タンク3内での気液の接触面積が増大しており、微細気泡を短時間に大量に発生させるために必要となる気液溶解を効率的に促進している。
一方、通過気液の流れ方向が容器11の上部にある容器開口部12から下部にある容器開口部13に向かう下向きの流れとなるよう配管して運転する場合は、通過気液は
図3に示す状態となる。即ち、気体と液体は十分な広さの確保された流路である仕切壁開口部14m、15m、16mを緩やかに下降して各室r1、r2、r3、r4を通過して行くうちに、その比重差により気体は上、液体は下に分離し、気体は液体の流れに逆らってより上の室に移動して行こうとするが、その気体は、仕切壁開口部下端14b、15b、16bが各仕切壁から下方に所定距離延設されているため、それを越えぬ限り上の室に移動することができず、仕切壁14、15、16を天井として張り付いた状態となり、結果的に、各室r2、r3、r4の中で液面レベルL2、L3、L4を生じることとなる。これは、液体中に未溶解の気体がある限り仕切壁14、15、16のいずれも水没状態にはならないことを意味している。なお、図示例では、室r1についても、容器開口部12の下端が容器11の天井から下方に所定距離延設されているため、他の室と同様の効果を生じ、液面レベルL1を生じる。
更に、このように通過気液の流れ方向が下向きとなる場合には、未溶解の気体が集積して行くと、その気体の層の厚み(液面からその上の仕切壁までの距離)は厚くなり、遂にはその室内の液体をより下の室に向けて押し出そうとするが、その液体は、仕切壁開口部上端14a、15a、16aが各仕切壁から上方に所定距離延設されているため、それを越えぬ限り下の室に移動することができず、仕切壁14、15、16を底とした液溜まりの状態となり、結果的に、各室r1、r2、r3の中で液面レベルL1、L2、L3を生じることとなる。これは、液体中にいくら未溶解の気体が増えても仕切壁14、15、16のいずれも干上がり状態にはならないことを意味している。
なお、この
図3においては、説明の便宜上、仕切壁開口部下端の作用を主として受けた結果の液面レベルがL3、L4、仕切壁開口部上端の作用を主として受けた結果の液面レベルがL1、L2として例示されている。
このように、仕切壁14、15、16がいずれも水没することも干上がることもなく、各室r1、r2、r3、r4において上部に気体、下部に液体が存在して液面レベルL1、L2、L3、L4が生じていることによって、気液溶解タンク3内での気液の接触面積が増大しており、微細気泡を短時間に大量に発生させるために必要となる気液溶解を効率的に促進している。
本装置は、その容器11内の通過気液の流れ方向を上向きとする場合でも下向きとする場合でも、液面レベルL1、L2、L3、L4の発生は、気体と液体の比重差と仕切壁開口部上端及び下端の存在に起因するもので、その気体の層の厚み(液面からその上の仕切壁までの距離)は、気液溶解が進まなければ厚く、気液溶解が進めば薄くなり、層の厚みがゼロ即ち仕切壁が水没した状態になれば、それは気液溶解が完全に行われたことを意味するものであり、要するに層の厚みは気液溶解の程度に応じて自動的に決まるものであるため、気液の接触面積を安定的に確保するための水位制御等の制御機構や制御操作は何ら必要とせず、自動運転ができて極めて便利である。
本装置はこのように、気液の比重の差を利用して積層状に気液の接触面積を確保するという明快な原理に基づく、シンプルかつコンパクトな装置なので、装置の製作は容易で信頼性・耐久性が高い。又、その仕切壁の設置数を増やすことによって、更に気液の接触面積を増やすことも容易に可能である。
なお、各仕切壁開口部上端及び下端の各仕切壁からの延設距離(図中のA及びBで例示されている距離)に関しては、各仕切壁で同一とする必要はなく、例えば、流路抵抗を考慮して容器11内の流れの下流側の仕切壁ほど延設距離を短くするなどしてよい。又、容器11内の流れ方向を上向き方向のみに限定する場合は、各仕切壁開口部上端及び下端の内の下端のみを仕切壁から延設することとしてもよい。
本装置は、サニタリー仕様を満足できる定置洗浄や分解洗浄が容易に行える構造も備えており、多様な用途や液質にも適用できる。
この気液溶解タンク3は、狭隘部がなく、気体と液体は十分な広さの確保された流路である仕切壁開口部14m、15m、16mを緩やかに通過すればよい構造なので、目詰まりの恐れもなく、簡単にしかも隅々までくまなく洗浄することができる。図示は省略したが、本装置を運転しながら洗浄する定置洗浄ができるように、又、残留液体が排出できるように、容器11の適宜の箇所に適宜個数の洗浄液注入口、洗浄ノズル、ドレン等を付設してもよいことは言うまでもない。又、容器11を各仕切壁部材を積層して締結する構造とすれば、分割時には仕切壁周辺が全て露出するので接液部を影なく洗浄することができ、再組立も容易である。
本装置の用途は、水、食品、飲料、油、化学品等の各種液体に対して、気泡の微細化により、空気、酸素、炭酸ガス、オゾン等の気体を効率よく溶解させる用途のほかにも、気体を溶解させぬままの微細気泡として利用する、例えば美容・健康増進、洗浄処理、廃水処理等の用途や、更には各種液体中に微細気泡を分散させ泡状・クリーム状にして利用する、例えば食品、化粧品等の用途など、広い分野にわたる。
【実施例2】
【0010】
図4及び
図5は本発明の実施例2の気液溶解タンクの縦断面図であり、
図4が通過気液の流れ方向が上向きである場合の作動状態、
図5が通過気液の流れ方向が下向きである場合の作動状態を示す。
本実施例においては、実施例1のものの仕切壁14、15、16の変形例として、傾斜をもたせ、それに合わせて仕切壁開口部上端14a、15a、16a及び下端14b、15b、16bの位置を調整したものを例示した。
本実施例のその他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【実施例3】
【0011】
図6は本発明の実施例3の気液溶解タンクを示す縦断面図であり、通過気液の流れ方向が下向きである場合の作動状態を示す。
本実施例においては、実施例1のものの仕切壁14、15、16の変形例として、上向き凸状とし、それに合わせて仕切壁開口部上端14a、15a、16a及び下端14b、15b、16bの位置を調整したものを例示した。又、未溶解気体が流れにつられて下流側に流れ出るのを防ぐための邪魔板21を付設してもよいことも例示した。
本実施例のその他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【実施例4】
【0012】
図7は本発明の実施例4の気液溶解タンクを示す縦断面図であり、通過気液の流れ方向が下向きである場合の作動状態を示す。
本実施例においては、実施例1のものの仕切壁14、15、16の変形例として、下向き凸状とし、それに合わせて仕切壁開口部上端14a、15a、16a及び下端14b、15b、16bの位置を調整したものを例示した。
本実施例のその他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【実施例5】
【0013】
図8は本発明の実施例5の気液溶解タンクを示す縦断面図であり、通過気液の流れ方向が上向きである場合の作動状態を示す。
本実施例は、各仕切壁14、15、16の開口部の相互関係について、ある仕切壁の開口部の上端が、その一つ上の仕切壁の開口部の下端よりも上に位置するように構成したものであり、それによって、その仕切壁開口部上端を室内の液面レベルよりも上の未溶解気体層中に露出させ、液体を未溶解気体層の中で噴出させて、更に気液の接触面積を増大させるものである。例えば、仕切壁16の開口部の上端16aが、その一つ上の仕切壁15の開口部の下端15bよりも距離Cだけ上方に位置している。このとき、仕切壁開口部上端16aとその一つ上の仕切壁15との間の距離Dは気液の流動を妨げない範囲で狭くしておくと更に好ましい。そこで、通過気液の流れ方向を上向きにして作動状態を観察すると、未溶解気体が多い場合(即ち気液溶解を更に促進するべき場合)には、仕切壁開口部下端15bの働きによって、仕切壁15の下側に未溶解気体の層ができて、室r3内で液面レベルL3を生じており、仕切壁開口部上端16aはその液面レベルL3よりも上の位置にあるから未溶解気体層中に露出した状態である。従って、仕切壁開口部上端16aから噴出する液体は未溶解気体に曝され、気液の接触面積が増大することとなって、自動的に気液溶解が更に促進される。
この構成は仕切壁開口部14m、15m、16mのいずれに適用してもよく、
図8においては、それら仕切壁開口部14m、15m、16mの全てに適用し、かつ容器開口部12、13にもその構成の一端を担わせたものを図示してある。
このように、本実施例においては、前述の各実施例1〜4における作用効果が同様に得られるのみならず、特に通過気液の流れ方向が上向きである場合には、各仕切壁開口部上端を液面レベルよりも上の未溶解気体層中に露出させ、噴出する液体と未溶解気体との接触面積を増大させて、自動的に気液溶解を更に促進するという作用効果がある。
本実施例のその他の構成及び作用は実施例1と同様である。
【実施例6】
【0014】
図9は本発明の実施例6の気液溶解タンクを示す縦断面図であり、通過気液の流れ方向が上向きである場合の作動状態を示す。
図10、
図11、
図12は
図9における仕切壁開口部の形状の一例を示す斜視図である。
本実施例は、実施例5のものについて、通過気液の流れ方向が上向きである場合に、仕切壁開口部上端14a、15a、16aからの噴出流を略水平方向に飛散又は拡散させるよう、その仕切壁開口部上端14a、15a、16a及び/又はそれに対峙する仕切壁の形状が形成されたものである。この仕切壁開口部上端の形状については、各種あり得ることを一括して図示しており、仕切壁開口部上端14aはシャワーノズル状のもの、15aは円盤状の開口部と仕切壁14との間にスリットを形成するもの、16aは開口部を二重の円盤状としてスリットを形成するもの、を夫々例示している。
なお、容器開口部13の上端13aのように、単純に仕切壁16との距離を狭く設定し周辺の流路を滑らかに形成するだけでも同様の役割は果たし得ることも図示した。
本実施例のものは、各仕切壁開口部上端からの噴出流が確実に略水平方向に飛散又は拡散するようにすると共に、シャワー状か極力薄い層状に噴出させることによって、噴出する液体と未溶解気体との接触面積を、実施例5のものよりも更に増大させ、気液溶解を更に促進することができる。
本実施例のその他の構成及び作用は実施例5と同様である。
【実施例7】
【0015】
図13は本発明の実施例7の気液溶解タンクを示す要部断面図である。
本実施例は、気液溶解タンク3内で集積した未溶解気体を排気する排気手段を付設したものである。本発明の気液溶解タンク3によって気液溶解効率が向上してもなお未溶解気体が残る場合は、それが大きな気泡となって下流側に漏れ出て、微細気泡の生成を阻害する恐れがあるので、これを防ぐための保護装置として排気手段を設けたものであり、その具体例として、容器11内の最上部の室にフロート32を設置し、集積した気体が一定量を超えた場合は液面レベルL1が下降して弁口31を開口させるという簡便なフロート弁形式のものを図示してあるが、これに限らず、集積した気体が一定量を超えたらそれを逃がす仕組みがあればよい。
本実施例のその他の構成及び作用は前述の各実施例と同様である。
【実施例8】
【0016】
図14は本発明の実施例8の微細気泡発生装置を示す説明図(一部断面図)である。
本実施例は、実施例7のような気液溶解タンク3内で集積した未溶解気体を排気する排気手段を、
図1に例示した微細気泡発生装置の回路に組み込むことによって、その排気を有効に再利用しつつ、気液溶解タンク3内の未溶解気体の集積を一定量以下に抑える自動制御を行わせるもので、具体的には、排気手段の弁口31を管路33経由で気体混入手段2における気体取入口に連通させてあり、集積した気体が一定量を超えた場合は、フロート32が弁口31から離間し、その気体が自動的に気液溶解タンク3の上流側に還流されるようになっている。これによって、気液溶解タンク3内の未溶解気体はその集積が一定量以下に抑えられるよう自動制御されることとなる。
本図中には、集積した気体の量を観測する液面計34等を適宜に付設すれば、操作上便利であることも示した。
なお、本発明の気液溶解タンク3を組み込んだ微細気泡発生装置は、十分に気体を液体に接触させ溶解させた後に、その気液混合体を減圧しつつ放出することによって微細気泡を発生させるというものであるが、そのための気液放出手段4の具体例として、流路を絞りつつ気液を放出するという単純な絞り弁形式ものを例示している。この気液放出について細かい調節を必要としない場合は、絞り弁の代わりに固定オリフィスやレデューサー等を用いてもよい。
本実施例のその他の構成及び作用は前述の各実施例と同様である。
【実施例9】
【0017】
図15は本発明の実施例9の微細気泡発生装置を示す説明図(一部断面図)である。
本実施例は、気液溶解タンク3内の未溶解気体の集積を一定量以下に抑える自動制御のもう一つの方法を例示したもので、気液溶解タンク3にその内部での未溶解気体の集積度合を感知するセンサー35が付設され、その感知された集積度合に応じて、気体混入手段2における気体取入量が絞り調節される構成となっている。具体的には、容器11の最上部の液面レベルL1の上下変動の下限値を規定するセンサーS1と上限値を規定するセンサーS2が配設され、そこからのセンサー信号を図示しない信号処理装置が弁駆動信号に変換し、気体取り入れ用の弁7aの駆動装置36を駆動して、管路7経由で外部から取り入れる気体の量を絞り制御するようになっている。これによって、気液溶解タンク3内の未溶解気体の集積が進んで液面レベルL1が下降してセンサーS1に達すると、弁7aが絞り作動して取り入れる気体の量を減少させ、このため残った未溶解気体の溶解が進み、一方、未溶解気体の集積が解消されて液面レベルL1が上昇してセンサーS2に達すると、弁7aが開き作動して取り入れる気体の量を増大させる。
このようにして、気液溶解タンク3内の未溶解気体の集積が一定量以下に抑えられた上で、できるだけ多くの気体を取り入れるよう自動制御されることとなり、完全自動運転ができて極めて便利である。
本実施例においては、未溶解気体の集積度合を感知し弁7aを駆動するプロセスは電気的に行うものを例示しているが、これは機械的に行うものでもよい。
なお、図中の気液放出手段4に関しては、単に流路を絞りつつ気液を放出するのみならず、その気液放出手段そのものも、液中に微細気泡を短時間で大量にかつ安定的・効率的に発生させることができる、より高能率の気液放出を目指したものを例示している。その詳細は後述する。
本実施例のその他の構成及び作用は実施例8と同様である。
【実施例10】
【0018】
図16は本発明の実施例10の気液放出手段を示す縦断面図であり、
図17は
図16におけるI−I線断面図である。
本実施例は、前述の各実施例の微細気泡発生装置における気液放出手段4の一例を示したものであり、狭い間隙の通過及び/又は急激な方向転換を行わせつつ気液を放出する構成となっている。具体的には、入口流路41iから出口流路42dに向かう流路が、途中の流路41hや流路41sにおいて急激な流路断面積の減少と急激な方向転換となるよう形成されており、それによって通過気液に減圧と同時に急激な乱流をも生じさせて、微細気泡の発生を促進するもので、前述の各実施例の微細気泡発生装置にこの気液放出手段4を組み込むことによって、微細気泡の安定的・効率的な発生を促進する。又、気液溶解タンク3内で未溶解気体が処理しきれず大きな気泡となって漏れ出た場合に、その微細化の処理もできる。
なお、図示例のように、この気液放出手段4の容器を例えば容器胴部41と容器蓋部42等に分割して相互位置を調節可能とすることによって、流路41s等の流路断面積や流路形状を調節可能にしておくと便利である。
【実施例11】
【0019】
図18は本発明の実施例11の気液放出手段を示す縦断面図であり、
図19は
図18におけるI−I線断面図である。
本実施例は、前述の各実施例の微細気泡発生装置における気液放出手段4のもう一つの例を示したものであり、気液を急速に旋回させつつ放出する構成となっている。具体的には、気液放出手段4の容器は、容器胴部41と容器蓋部42とからなり、容器胴部41はその底面部41b(図中の右側端面)が開口し徐々に縮径して先端部41cが閉口するに致る略円錐状の空洞sを有しており、容器蓋部42は空洞sの内壁面41aからの所定の間隙を有しつつ残りの空洞を埋める形状に形成された凸状面42aを有している。容器胴部41と容器蓋部42との間に形成された空間の拡径部付近には、容器胴部41を貫通して空洞内壁面41aの円周接線方向から気液を流入させる入口流路41iが設けられている。又、容器胴部41と容器蓋部42との間に形成された空間の縮径先端部41c付近には、容器蓋部42を貫通して出口空間e経由外部に気液を放出する出口流路42dが設けられている。
この構成によって、入口流路41iから流入した気液は、容器蓋部42によって有効に逃げ道が塞がれていることから所定の圧力を保ちつつ、かつ、空洞内壁面41aの円周接線方向から流入しているため空洞内壁面41aに添って旋回しつつ、空洞sの先端部41cに向かって進んで行くが、その旋回速度は旋回半径が縮小するに従って増速するので、先端部41c付近では極めて高速な旋回流となっている。
ついでその気液は、先端部41cに対峙する容器蓋部42側の出口流路42dから出口空間eに向けて噴出するが、この出口空間eは液槽5内の静水域であるため、気液は、出口空間eに噴出した瞬間に、急激に大気開放に近い圧力まで減圧されると同時に、高速旋回状態から無旋回状態への急激な変化にも晒されることとなり、従い、気泡が遊離すると同時に、高速旋回状態から無旋回状態への急激な変化によって強烈な渦流・乱流と化し、気泡は撹拌・剪断され、微細化されるものである。
本実施例のものにおいては、出口流路42dを空洞sの縮径先端部41cそのものに設けず、その先端部41cに対峙する位置に配置しているため、その出口流路42dの径の大きさによって気液の旋回の高速化に制約を与える恐れがなく、極限まで高速化できるので、微細気泡発生の性能の向上が図れると共に、出口流路42dの径を比較的大きくとれて目詰まりのしにくい気液放出手段4が得られるという特段の利点がある。
このため、この実施例11の気液放出手段4を適用することによって、たとえ気液溶解タンク3を欠いた微細気泡発生装置であっても、一定程度の性能は発揮できるものである。即ち、
図22に例示した微細気泡発生装置のように、液体を圧送する圧送手段(ポンプ)1と、液体に気体を混入させる気体混入手段2と、気液を流路から放出する気液放出手段4とを備えた微細気泡発生装置において、この実施例11の気液放出手段4を適用することも可能である。勿論、これに更に気液溶解タンクを併用することが、微細気泡発生装置としての高度な性能を達成するためにより好ましいことは言うまでもない。
【実施例12】
【0020】
図20は本発明の実施例12の気液放出手段を示す縦断面図であり、
図21は
図20におけるI−I線断面図である。
本実施例は、実施例11のものの他の形態例として、空洞sの内壁面41aの形状を単純なコーン状の代わりに椎の実状とし、又、出口流路42d周りをより簡略化した形状としたものを示した。空洞内壁面41aの形状については、この他にもラッパ状、ワインボトル状など適宜に設計し得る。
本実施例のその他の構成及び作用は実施例11と同様である。
次に、各実施例に共通の技術事項について説明する。
圧送手段1については、遠心ポンプ、斜流ポンプ、軸流ポンプ、渦流ポンプ、ダイヤフラムポンプ、ギヤーポンプなど種々公知のものを適宜に選択してよい。
気液溶解タンク3については、その性能を更に向上させるために、仕切壁の段数を任意の段数に増やしてもよく、又、その容器11を複数個備えて直列、並列に連結して設置してもよい。
気液溶解タンク3や気液放出手段4の容器の部材の分割箇所や分割数については、各図に図示した箇所に限らず、設計上適宜の箇所を選択してよい。
その他、本発明の趣旨の範囲内で、その構成要素の個数、配置、組合わせを変更したり、従来技術手段を追加するなど、種々設計変更可能であり、更に素材材質も適宜選択可能であり、本発明を前記の各実施例に限定するものではない。