(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】6483334
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】医療デバイスのためのラベリング装置
(51)【国際特許分類】
A61M 5/31 20060101AFI20190304BHJP
A61J 1/18 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
A61M5/31 520
A61J1/18
【請求項の数】19
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2018-544130(P2018-544130)
(86)(22)【出願日】2017年2月22日
(86)【国際出願番号】US2017018967
(87)【国際公開番号】WO2017147198
(87)【国際公開日】20170831
【審査請求日】2018年10月2日
(31)【優先権主張番号】62/298,238
(32)【優先日】2016年2月22日
(33)【優先権主張国】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517229774
【氏名又は名称】ウエスト ファーマスーティカル サービシーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100087653
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 正二
(72)【発明者】
【氏名】エヴァンス、クリストファー
(72)【発明者】
【氏名】コステロ、ブライアン
(72)【発明者】
【氏名】フォート、ステイシー
【審査官】
寺川 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】
特表2005−514965(JP,A)
【文献】
特開2006−223857(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2009/0051560(US,A1)
【文献】
特開2007−260295(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/31
A61J 1/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
医療デバイスの適用状態を提示するためのラベリング装置であって、前記医療デバイスは、第1の未使用状態および第2の使用済み状態を有し、前記装置は、
エレクトロクロミック要素を有するラベルであり、前記ラベルは、前記医療デバイスの外面に少なくとも部分的に配置され、電流に応答して所定の特徴を表示するように構成されている、ラベルと、
前記医療デバイス内または上に配置される電源と、
前記医療デバイスの前記第1の状態から前記第2の状態への作動に応答して、前記エレクトロクロミック要素への電流の印加を制御するために、前記ラベルと前記電源とを選択的に互いに接続または接続切断するように構成されたスイッチと、を備えるラベリング装置。
【請求項2】
前記スイッチは、前記医療デバイスが前記第1の状態から前記第2の状態に作動されるときに移動可能な前記医療デバイスの構成要素によって操作される、請求項1に記載のラベリング装置。
【請求項3】
前記医療デバイスは注射デバイスであり、前記可動構成要素は薬液を患者の体内に投与するためのプランジャである、請求項2に記載のラベリング装置。
【請求項4】
前記注射デバイスは、自動注射デバイスであり、前記プランジャは複数の位置を有する、請求項3に記載のラベリング装置。
【請求項5】
前記複数の位置は、少なくとも、完全に押し込まれた位置と完全に押し込まれていない位置とを含む、請求項4に記載のラベリング装置。
【請求項6】
前記スイッチは、前記電源および前記ラベルを接続または接続切断するための複数の導電性部材を含む、請求項3〜5のいずれか一項に記載のラベリング装置。
【請求項7】
前記複数の導電性部材から選択される少なくとも1つの第1の導電性部材は、前記ラベルまたは前記電源のうちの一方に電気的に接続され、前記第1の導電性部材以外の前記複数の導電性部材から選択される少なくとも1つの第2の導電性部材は、前記可動構成要素に接続される、請求項6に記載のラベリング装置。
【請求項8】
前記第1の導電性部材は、前記電源と前記ラベルとの間の接続を完了するための通常の注入過程の間に、前記プランジャが前記完全に押し込まれた位置に移動されたときに前記第2の導電性部材と接触する、請求項7に記載のラベリング装置。
【請求項9】
前記所定の特徴は、走査デバイスによって認識可能な図形である、請求項1〜8のいずれか一項に記載のラベリング装置。
【請求項10】
前記走査デバイスは、前記走査デバイスが前記ラベルを走査することを可能にするように構成されたアプリケーションプログラムを含む、請求項9に記載のラベリング装置。
【請求項11】
前記電源は、亜鉛−炭素電池、アルカリ電池、ニッケル−カドミウム電池、リチウム電池または二酸化マンガン電池である、請求項1〜10のいずれか一項に記載のラベリング装置。
【請求項12】
医療デバイスを管理するためのシステムであって、
請求項1〜11のいずれか一項に記載のラベリング装置と、
前記ラベリング装置の前記ラベルを走査するための走査デバイスと、を備えるシステム。
【請求項13】
前記走査デバイスは、前記ラベリング装置の前記ラベルを走査するためのアプリケーションプログラムを含む、請求項12に記載のシステム。
【請求項14】
前記走査デバイスは、前記ラベルの走査結果に基づいて前記医療デバイスの使用情報を取得するように構成されている、請求項12または13に記載のシステム。
【請求項15】
前記使用情報は、デバイス状態、製品使用、注入検証、タイムスタンプ、またはそれらの組み合わせを含む、請求項14に記載のシステム。
【請求項16】
前記走査デバイスは、前記ラベルの前記走査結果に応答して前記走査デバイス上にメッセージを提示するように構成されている、請求項12〜15のいずれか一項に記載のシステム。
【請求項17】
前記走査デバイスは、医療機関と通信するように構成されている、請求項16に記載のシステム。
【請求項18】
前記走査デバイスは、前記医療デバイスの使用情報を前記医療機関に送信するように構成されている、請求項17に記載のシステム。
【請求項19】
前記走査デバイスは、前記医療機関から受信される指示情報を提示するように構成されている、請求項17または18に記載のシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示の実施形態は、エレクトロクロミック材料を用いたラベルを使用して医療デバイスの状態を提示するための装置および技法に関する。
【背景技術】
【0002】
自動注射デバイス(または自動注射器)は、一定用量の特定の薬物を患者に送達するように設計された医療デバイスである。自動注射デバイスは、通常、使用が容易で、患者または訓練されていない人員による用量の自己投与を目的とした、バネ式の注射器である。特定の状態では、自動注射デバイスは、識別情報、および、医療デバイスを管理するための指示をユーザに提供するためのラベルによって識別される。しかしながら、ラベル上に提示される情報は、一般に、医療デバイスのリアルタイム状態、例えば医療デバイスの使用を反映するために変化することはしない。
【0003】
米国特許第5737114号明細書は、「電気化学セルのためのラベルは、エレクトロクロミック材料を利用し、それによって、その材料が電気化学セルによって供給される電力に接続されると、材料が化学反応の結果として目に見える変化を受ける」ことを開示している。ラベルは、電気化学セルのための組み込まれた充電状態インジケータを有する。インジケータは、導電性エレクトロクロミック電極を形成するためのエレクトロクロミック材料を含む。エレクトロクロミック材料は、電流が電気化学セルから供給される結果として、目に見える変化を受ける。エレクトロクロミック材料を用いるインジケータは、インジケータに電力を供給するために電気化学セルの電荷を使用する。しかしながら、現在利用可能なラベリング装置は、医療デバイスに適用されていない。
【0004】
医療デバイスのための現在利用可能なラベリングソリューションは、医療デバイスの状態を自動的に反映することができない。医療デバイスの状態は、その医療デバイスを使用する患者または医者を混乱させる可能性がある。さらに、ラベルは医療デバイスの状態情報を提供することができないため、自動投与アプリケーションをサポートすることができない。
【0005】
前述の理由から、医療デバイスの使用を反映するために特徴を自動的に視覚化することができるラベリング装置を有することが所望され得る。
【発明の開示】
【0006】
本明細書で開示される第1の態様によれば、第1の未使用状態および第2の使用済み状態を有する医療デバイスの適用状態を提示するためのラベリング装置が記載される。装置は、エレクトロクロミック要素を有するラベルであって、ラベルは、医療デバイスの外面に少なくとも部分的に配置され、電流に応答して所定の特徴を表示するように構成されている、ラベルと、医療デバイス内または上に配置される電源と、医療デバイスの第1の状態から第2の状態への作動に応答して、エレクトロクロミック要素への電流の印加を制御するために、ラベルと電源とを選択的に互いに接続または接続切断するように構成されたスイッチとを含む。開示されているラベリング装置の例示的な実施形態において、スイッチは、医療デバイスが第1の状態から第2の状態に作動されるときに移動可能な医療デバイスの構成要素によって操作される。
【0007】
開示されているラベリング装置の別の例示的な実施形態では、医療デバイスは注射デバイスであり、可動構成要素は薬液を患者の体内に投与するためのプランジャである。注射デバイスは、自動注射デバイスであってもよく、プランジャは複数の位置を有する。複数の位置は、少なくとも、完全に押し込まれた位置と完全に押し込まれていない位置とを含むことができる。スイッチは、電源およびラベルを接続または接続切断するための複数の導電性部材を含むことができる。上記導電性部材から選択される少なくとも1つの第1の導電性部材は、電源およびラベルのうちの一方に取り付けることができ、第1の導電性部材以外の導電性部材から選択される少なくとも1つの第2の導電性部材は、可動構成要素に接続することができる。第1の導電性部材は、電源とラベルとの間の接続を完了するための通常の注入過程の間に、プランジャが完全に押し込まれた位置に移動されたときに第2の導電性部材と接触する。
【0008】
開示されているラベリング装置の別の例示的な実施形態では、所定の特徴は、走査デバイスによって認識可能な図形である。走査デバイスは、走査デバイスがラベルを走査することを可能にするように構成されたアプリケーションプログラムを含むことができる。電源は、亜鉛−炭素電池、アルカリ電池、ニッケル−カドミウム電池、リチウム電池または二酸化マンガン電池であってもよい。本明細書に開示されるさらなる態様によれば、開示されているラベリング装置の前述の実施形態のいずれか1つに従って提供されるラベリング装置と、上記ラベリング装置のラベルを走査するための走査デバイスとを備える、医療デバイスを管理するためのシステムが記載される。走査デバイスは、ラベリング装置のラベルを走査するためのアプリケーションプログラムを含むことができる。
【0009】
開示されているシステムの別の例示的な実施形態では、走査デバイスは、ラベルの走査結果に基づいて医療デバイスの使用情報を取得するように構成されてもよい。使用情報は、デバイス状態、製品使用、注入検証、タイムスタンプ、またはそれらの組み合わせを含む。開示されているシステムの別の例示的な実施形態では、走査デバイスは、ラベルの走査結果に応答して走査デバイス上にメッセージを提示するように構成されてもよい。走査デバイスはまた、医療機関と通信するように構成されてもよい。開示されているシステムの別の例示的な実施形態では、走査デバイスは、医療デバイスの使用情報を医療機関に送信するように構成されてもよい。走査デバイスは、医療機関から受信される指示情報を提示するように構成することができる。
【0010】
前述の概要、および、本発明の好ましい実施形態の以下の詳細な説明は、添付の図面と併せて読めばよりよく理解されるであろう。本発明を例示する目的のために、図面には現在好ましい実施形態が示されている。しかしながら、本発明は、示されている正確な構成および手段に限定されないことを理解されたい。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本開示の一態様による医療デバイスの状態を提示するためのラベリング装置の概念的ブロック図である。
【0012】
【0013】
【
図3A】本開示の一態様による、
図1のラベリング装置を有する使用済み状態および未使用状態の例示的な医療デバイスの上面斜視図である。
【
図3B】本開示の一態様による、
図1のラベリング装置を有する使用済み状態および未使用状態の例示的な医療デバイスの上面斜視図である。
【0014】
【
図4】本開示の一態様による、
図3A〜
図3Bのラベリング装置の一例の概念図である。
【0015】
【
図5】本開示の一態様による、
図1のラベリング装置のラベルの走査を示す概念図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
図面は、必ずしも一定の縮尺で描かれておらず、共通している構造または機能の要素は、図面全体を通して例示的目的のために一般に同様の参照番号によって表されていることに留意されたい。
【0017】
特定の用語は便宜のために以下の説明で使用されており、限定するものではない。「右」、「左」、「下」および「上」という文言は、参照される図面の方向を示す。「内向きに」および「外向きに」という文言は、装置の幾何学的中心およびその指定された部分に向かう方向および外方に向かう方向をそれぞれ指す。用語には、上記で具体的に言及した文言、その派生語、および同様の意味の文言が含まれる。
【0018】
自動注射デバイスなどの現在利用可能な医療デバイスは、医療デバイスの使用に応じて医療デバイスの状態を示すための満足のいく解決策を欠いている。したがって、医療デバイスの使用を正確に追跡し、適用指示への順守を保証することは困難である。医療デバイスの使用を自動的に反映することができるラベルは、有利なことに、望ましい解決策を提供することができる。この結果は、本開示の一態様によれば、
図1に示す例示的なラベリング装置100によって達成され得る。
【0019】
図1を参照すると、例示的なラベリング装置100は、ラベル12を使用して医療デバイス18の状態を反映することを可能にされ得る。
図1では、電流、例えば、ミリアンペアの範囲の小さな電流をラベル12に印加するための電源20が設けられ得る。電源20は、限定されないが、亜鉛−炭素電池、アルカリ電池、ニッケル−カドミウム電池、リチウム電池、二酸化マンガン電池などを含む適切な種類の電池、例えば腕時計電池またはボタン電池であってもよい。等が挙げられる。電源20は、好ましくは、医療デバイス18の中または上に適合するような大きさである。
【0020】
医療デバイス18は、限定するものではないが、注射デバイス、例えば自動注射デバイス(出願人から入手可能なConfiDose(登録商標)自動注射器などの自動注射器または自動シリンジとしても知られている)、手術デバイス、薬剤容器、または、医療用途のために使用される任意の他のタイプのデバイスを含む、医療目的のための任意のタイプのデバイスであってもよい。本開示のいくつかの実施形態では、医療デバイス18は、少なくとも2つの状態、例えば未使用状態および使用済み状態を有することができる。例えば、医療デバイス18は、医療デバイス18の本体に対して位置を変えることができる少なくとも1つの可動要素を含むことができる。医療デバイス18に関する追加の詳細は、
図2Aを参照して以下に提供される。
【0021】
医療デバイス18は、電源20とラベル12との間の接続を制御することができる電気スイッチ16と関連付けることができる。スイッチ16は、電気回路を接続および/または切断することができる適切な電気構成要素であってもよい。スイッチ16の一例は
図3Aを参照して以下に記載される。本開示のいくつかの態様によれば、スイッチ16は、医療デバイス18の標準的な使用によって操作または制御することができる。例えば、医療デバイス18の可動要素を注射等の通常の過程にある特定の位置に操作すると、スイッチ16を接続することができ、それによって、電気回路を完成することができ、電源20からラベル12に電流を印加することができる。
【0022】
ラベル12は、特定の特徴を形成することができる少なくとも1つのエレクトロクロミック要素を含むことができる。エレクトロクロミック要素は、電流に応答することができ、電流がエレクトロクロミック要素を通過する前に、その特徴が不可視であり得、またはほとんど見えないように構成することができる。電流がエレクトロクロミック要素を通過すると、その特徴が見えるようになるか、またはより明確になる。いくつかの実施形態では、電流が流れなくなっても、特徴は目に見えるままにすることができる。エレクトロクロミック要素によって形成される特徴は、好ましくは、医療デバイス18の使用状態を示すように構成される。これらの特徴は、人間によって認識可能、および/または走査デバイス65によって走査可能とすることができる。ラベル12に関する追加の詳細は、
図2Bおよび
図2Cを参照して以下に提供される。
【0023】
本開示のいくつかのさらなる態様によれば、ラベル12の特徴は、走査デバイス65によって認識可能および/または走査可能であり得る。医療デバイス18の使用(または適用)後、ラベル12は、医療デバイス18の成功した適用を記録および/または確認するために走査デバイス65によって走査することができる。走査デバイス65は、好ましくは、少なくとも撮像装置(すなわち、カメラまたは他のタイプの画像センサ)、プロセッサ、および無線または有線通信モジュールを含み、例えば、これに限定されるものではないが、スマートフォン、タブレットコンピュータ、ハンドヘルド走査デバイスなどを含むモバイル機器であり得る。ラベル12上に提示される特徴に基づいて走査デバイス65によって取得される使用情報は、限定するものではないが、使用情報の記録および/もしくは分析、ならびに/または、使用情報に基づくさらなる指示の提供を含む、さらなる目的のために医療機関(図示せず)に送信することができる。医療デバイス18の成功した適用を追跡することができ、それによって、医療デバイス18の適用指示への患者ユーザの遵守を高めることができる。
【0024】
図2Aを参照すると、本開示の一態様によるラベリング装置100の一例がさらに詳細に示されている。
図2Aにおいて、ラベリング装置100は、表示領域15を有するラベル12を含むことができる。表示領域15は、1つまたは複数の視覚的特徴、例えば「使用済み」の語句および/またはチェックマーク「ν」を形成するように構成することができるエレクトロクロミック要素(図示せず)を含むことができる。ラベル12は、2つの電気端子、すなわち1つの正端子13および1つの負端子14を有することができる。エレクトロクロミック要素は、電流が2つの電気端子13,14を通過するときに光吸収性になることができる。電流が遮断された後、視覚的特徴は目に見えるままであることができる。ラベル12に関する追加の詳細は、
図2Bおよび
図2Cを参照して以下に提供される。
【0025】
ラベル12の負端子14は、電源20の負電極17(アノード)に接続することができる。本明細書に示され説明されるように、電源20は、適切なタイプの電池であってもよい。負電極17は、電子が回路11に向かってそこから流出する電池20のアノードであってもよい。ラベル12の負端子14は、電源20の負電極17に直接または電気スイッチ(図示せず)を介して接続することができる。
【0026】
ラベル12の正端子13は、電力スイッチ16を介して電源12の正電極19(またはカソード)に接続することができる。本明細書に示されかつ説明されるように、スイッチ16は、回路11を接続および/または切断することができる任意のタイプの回路スイッチであってもよい。前述したように、スイッチ16は、医療デバイス18の通常の動作によって操作および/または制御することができる。例えば、医療デバイス18の可動構成要素の動きまたは位置によって、スイッチ16をオンにして、回路11を接続することができる。本開示の一実施形態では、医療デバイス18が自動注射デバイスである場合、自動注射デバイスのピストン(またはプランジャ)(
図2Aには図示せず)が所定の位置、例えば、完全に押し込まれた位置にあるときにスイッチ16をオンにすることができる。
【0027】
スイッチ16がオンになると、回路11を完成することができる。電源20から回路11およびラベル12に電流が流れて、ラベル12のエレクトロクロミック要素を作動させることができる。エレクトロクロミック要素は、走査デバイス56(
図1に示す)によって認識可能であり得る視覚的特徴を視覚化することができる。
【0028】
例示のみを目的として別個の構成要素として図示および説明されているが、ラベル12、電源20、回路11およびスイッチ16を含むラベリング装置100は、医療デバイス18に一体化されていてもよい。スイッチ16は、例示のみを目的として、ラベル12の正端子13と電池20の正電極19との間の接続を制御するために設けられたものとして示され説明されているが、負端子14と負電極17との間の接続を制御するために設けられてもよい。
【0029】
追加的および/または代替的に、例示のみを目的として回路11内には1つのラベル12、1つの電池20および1つのスイッチ16のみが含まれているが、回路11は、追加の電気的要素が本開示の原理的着想を変えない限り、追加の電気的構成要素(図示せず)を含んでもよい。追加の電気的構成要素は、直列接続または並列接続を介して電池20および/またはラベル12に接続されてもよく、ラベル12を流れる電流のレベルを制御するために、限定はしないが、1つまたは複数の抵抗器、キャパシタ、インダクタなどを含むことができる。付加的におよび/または代替的に、本開示のいくつかの態様によれば、複数の電池20、ラベル12、および/またはスイッチ16を使用することもできる。
【0030】
図2Bおよび
図2Cは、ラベル12の一例を示す。例えば、医療デバイス18の適用または使用前のラベル12が
図2Bに示されており、医療デバイス18の適用または使用後のラベル12が
図2Cに示されている。
図2Bおよび
図2Cにおいて、ラベル12は、正方形を有するものとして示され、表示領域15が、少なくとも部分的に、少なくとも1つのエレクトロクロミック要素を有して構成され得る。エレクトロクロミック要素は、エレクトロクロミック材料から構成され、図形、コード(バーコードなどの機械可読コードを含む)、および/または語句を含むがこれらに限定されない1つまたは複数の特定の所定の特徴に従って構成されてもよい。
図2Cに示すように、特徴は、チェックマーク「ν」、および/または、医療デバイス18のユーザに次に何をするかを指示するための語句を含むことができる。この特徴は、
図2Bに示すように、エレクトロクロミック材料を活性化するために電流がラベル12を通過する前は目に見えないか、または見えにくくすることができる。エレクトロクロミック材料は、電流によって活性化されたときに光吸収特性を有することができる。
【0031】
図2Aを参照して示し説明したように、ラベル12は、電源20に制御可能に接続するための正端子13および負端子14を含むことができる。例示のみを目的として2つの端子13,14を有するものとして図示および説明されているが、ラベル12は、任意のタイプおよび/または数のコネクタを介して電源20に接続することができ、任意の適切な接続手段を介して接続することができる。
【0032】
図2Cに示すように、例えば、電流がラベル12を流れるとき、エレクトロクロミック材料によって画定された特徴が目に見えるようになり得る。本明細書に記載するように、1つもしくは複数の図形26および/または1つもしくは複数の語句27が、エレクトロクロミック材料と共に配置されてもよい。これにより、医療デバイス18のユーザは、語句27によって指示され得、図形26は、走査デバイス65(例えば、
図5に示される)によって走査され得る。
【0033】
例示のみを目的として図形26および語句27として示され、説明されているが、特徴は、任意の適切なタイプの特徴、例えば、画像、図、記号、コード、標識、信号またはそれらの任意の組み合わせを含んでもよい。
【0034】
図3Aは、ラベリング装置100の一例を示す。
図3Aを参照すると、2つの注射デバイス31A、31Bが医療デバイス18(
図2)として示されている。
図3Aにおいて、未使用の注射デバイス31Aは、ラベル12Aから構成することができるラベルプレート34Aを含むことができる。ラベル12Aは、注射デバイス31Aが適用される前は目に見えるように空白とすることができる。ラベルプレート34Aは、例えば、正方形、長方形、多角形などの細長い形状のプレートであってもよく、平坦な形状またはL字状に形成されていてもよい。ラベルプレート34Aは、任意の適切な材料、例えば、プラスチックまたは金属材料から作成され、注射デバイス31Aに取り付けられてもよい。
【0035】
ラベル12Aはエレクトロクロミック要素を含み、回路11を介してエレクトロクロミック要素を電源20に接続するための2つの端子13,14を有することができる(集合的に
図2に示されている)。端子13,14、電源20および回路11は、ラベルプレート34Aおよび/またはフィンガーフランジ38A(またはトップカラー)内に隠すことができる。フィンガーフランジ38Aは、注射デバイス31Aのプランジャ35Aが押されている間に、人さし指および中指がシリンジを保持するように設計されたフランジであってもよい。注射デバイス31Aは、プランジャ35Aをフィンガーフランジ38Aに向けて押すことによって、患者の身体(図示せず)内に薬液を投与することができる。
【0036】
ラベル12Aの端子13,14は、2つの導電性部材36,37、例えば環状金属部材によって形成されたスイッチ16(
図4に示す)を介して電源20に接続することができる。第1の導電性部材36は、例えば、ラベル12Aまたはフィンガーフランジ38Aの近位位置に配置することができ、各々回路11に接続された2つの分離した要素36A、36Bから構成することができる(
図4にまとめて示す)。プランジャ35Aの遠位端に第2の導電部材37を配置することができる。プランジャ35Aは、複数の所定の位置を有していてもよい。スイッチ16は、プランジャ35Aが、
図3Aの他の注射デバイス31Bによって示されるように、第2の導電性部材37が第1の導電性部材36と接触する選択された所定の位置、例えば完全に押し込まれた位置に達すると、オンになって回路11を導通させることができる。
【0037】
スイッチ16ならびに/または第1の導電性部材36および第2の導電性部材37に関する追加の詳細が、
図4を参照して提供される。スイッチ16が接続されているとき、電流が回路11内で電源20からラベル12Aまで流れることができる。本開示のいくつかの態様によれば、電流は、ラベル12Aに含まれるエレクトロクロミック材料を活性化するのに適した小さな電流であってもよい。
【0038】
電流がラベル12Aを流れるとき、ラベル12Aに含まれ、視覚的特徴の形態に配置されたエレクトロクロミック材料を目に見えるようにすることができる。未使用の注射デバイス31Aが、使用済みの注射デバイス31Bになることができる。ラベル12Aは、ラベル12Bに変化することができ、チェックマーク「ν」33Bおよび「成功」という語句がラベル12B上に現れ得る。チェックマーク33Bおよび「成功」という語句は、電流が回路11内を流れなくなっても退色または変化しないことができる。したがって、プランジャ35Aの通常の注入動作によって、ラベル12Bが起動されて、デバイス31Bの使用を自動的に知らせる。
【0039】
例示のみを目的として注射デバイス31A、31Bとして示され説明されているが、ラベリング装置100は、これに限定されるものではないが、手術デバイス、投薬デバイス、または医療目的で使用される任意の他のタイプのデバイスを含む、任意の適切な医療デバイス18において使用されてもよい。
【0040】
図3Bは、ラベリング装置100のさらなる例を示す。
図3Bを参照すると、2つの注射デバイス31A、31Bが医療デバイス18(
図2)として示されている。
図3Bにおいて、ラベル12Aは、医療デバイス18、例えば、注射デバイス31A、31Bの特定の情報を担持するように構成することができる。本開示のいくつかの態様によれば、エレクトロクロミック材料は、バーコードパターンまたはクイック・レスポンス・コード・パターンを含むがこれに限定されない特定の特徴パターンに予め配置されてもよい。
【0041】
プランジャ35Aを完全に押し込まれた位置に押し込むことによって注射デバイス31Aが係合されると、2つの導電性部材36,37からなるスイッチ16をオンにして(または接続して)回路11を完成させることができる(まとめて
図4に示す)。電源20の電極は、ラベル12Aのそれぞれの端子13,14(
図4にまとめて示す)に接続することができる。電流が、ラベル12A内に配置されたエレクトロクロミック材料を通過することができ、エレクトロクロミック材料の光吸収特性を活性化する。これにより、エレクトロクロミック材料によって規定された、事前に構成されている特徴パターンであるバーコード39Bが見えるようになる。未使用の注射デバイス31Aが、使用済みの注射デバイス31Bになることができる。ラベル12Aは、医療デバイス18が使用されたこと、および/または医療デバイス18に含まれる薬剤が適用されたことを示すために、ラベル12Bに変化することができる。
【0042】
バーコード39Bは、走査デバイス65(
図5に示す)によって走査可能であってもよい。ラベル12Bの走査に関する追加の詳細は、
図5を参照して提供される。例示のみを目的としてバーコード39Bまたはクイック・レスポンス・コードとして図示および説明されているが、当業者には理解され得るように、画像、写真、信号などのような、任意の他のタイプの特徴が、本開示に含まれてもよい。
【0043】
図4は、
図3Aおよび
図3Bのラベリング装置100の一例を示す。
図4を参照すると、ラベリング装置100のスイッチ16の詳細が示されている。
図4において、電源20の負電極17は、回路11を介してラベル12の負端子14に接続することができる。
【0044】
電源20の正電極19は、第1の導電性部材36の第1の要素36Aに接続することができる。ラベル12の正端子13は、第1の導電性部材36の第2の要素36Bに接続することができる。第1の要素36Aは第2の要素36Bから分離することができ、それにより回路11は不完全であり得、電源20からラベル12まで電流が流れ得ない。
【0045】
第2の導電性部材37は、第1の導電性部材36と接触したときに、第1の要素36Aを第2の要素36Bに接続するように構成することができる。
図3Aを参照して図示し説明したように、注射デバイス31Aのプランジャ35Aがフィンガーフランジ38Aに向かって押し込まれると、第2の導電性部材37は、第1の導電性部材36に向かう方向42に移動することができる。プランジャ35Aが完全に押し込まれた位置にあるとき、第2の導電性部材37は第1の導電性部材36と接触することができる。本開示のいくつかの態様によれば、第1の導電性部材36と第2の導電性部材37との間の良好な電気的接続を保証するために、第1の導電性部材36の各要素36A、36Bに2つの接点43,44を設けることができる。いくつかの実施形態では、第2の導電性部材37または第1の導電性部材36と第2の導電性部材37の両方に接点を設けることができる。
【0046】
第2の導電性部材37が第1の導電性部材36に接触すると、第1の導電性部材36の第1の要素36Aと第2の要素36Bとが接続されて回路11を完成することができる。電源20からラベル12に電流が流れることができ、これによって、ラベル12に含まれるエレクトロクロミック材料が活性化し、エレクトロクロミック材料によって画定された任意の特徴が可視化する。
【0047】
図5は、ラベリング装置100の使用の一例を示す。
図6を参照すると、ラベル12は、医療デバイス18が適用指示に従って使用されることを計上するために走査デバイス65によって走査することができる。走査デバイス65は、走査される対象物を表示するための画面を有することができ、所定の指示、例えば、医療デバイス18の適用指示に従って、ラベル12の視覚的特徴62を認識することができるアプリケーションプログラム(「アプリ」)をインストールすることができる。
【0048】
付加的におよび/または代替的に、アプリは、医療デバイス18の使用に関する特定の情報(図示せず)をユーザに提示することができ、それにより、患者であるかもしれないユーザによる適用指示への順守を高める。ユーザは、例えば医療デバイス18の適用後に、特定の時点において医療デバイス18の適用を計上するために、ラベル12を走査するように指示されてもよい。アプリが走査デバイス65上で開始されると、ユーザが走査デバイス65をラベル12に向けることを容易にするために、走査デバイス65上に、走査領域を画定するための走査長方形63を表示することができる。走査デバイス65が医療デバイス18のラベル12に適切に向けられたとき、ラベル12および医療デバイス18は、ラベル画像12Aおよび医療デバイス画像18Aとして走査デバイス65の画面上に表示することができる。視覚的特徴62を含むラベル12が、走査領域68に封入され得る。視覚的特徴62は、特徴画像62Aとして提示することができ、所定の指示に従って認識することができる。
【0049】
医療デバイス18が適用された後にラベル12が走査される場合、確認メッセージ(図示せず)を走査デバイス65の画面上に提示することができる。例えば、確認メッセージは、「医療デバイスの適用に成功しました」と表示することができる。医療デバイス18が適用される前にラベル12が走査されるか、または医療デバイス18が適用指示に従って適用されなかった場合、警告メッセージ(図示せず)が走査デバイス65の画面上に提示され得る。このメッセージは、「医療デバイスが正常に適用されていません。医療デバイスの適用に成功した後、ラベルを走査してください」と表示することができる。
【0050】
本開示のいくつかの他の態様によれば、アプリおよび/または走査デバイス65は、医療デバイス18の使用情報を医療機関(図示せず)に送信することができる。使用情報は、走査デバイス65によって走査された情報に基づいて取得され得る任意の情報であってもよい。医療機関は、使用情報に基づいて取得され得る、デバイス状態、製品使用、注入検証、タイムスタンプおよび他の指標データを記録することができる。使用情報は、例えば、Bluetooth(登録商標)接続、Wi−Fi接続、ZigBee接続、または他の適切な有線もしくは無線接続を介して医療機関に送信されてもよい。医療機関は、使用情報の受信を確認応答し、および/または、走査デバイス65に返信情報を返信することができ、返信情報は、ユーザの注意のために走査デバイス65の画面上に表示することができる。
【0051】
本開示の様々な態様を上記に示した。しかしながら、本発明は、説明の目的のために提示された上述の特定の態様に限定されることを意図しない。むしろ、本発明は、添付の特許請求項の範囲内にあるような機能的均等物にまで及ぶ。当業者であれば、本明細書に教示の利益を受けて、その様々な態様において本発明の範囲および精神から逸脱することなく数多くの改変を行うことができる。
【要約】
未使用状態および使用済み状態を有する医療デバイスの適用状態を提示する装置。この装置は、エレクトロクロミック要素を有するラベルを含む。ラベルは、医療デバイスの外面に少なくとも部分的に配置され、電流に応答して所定の特徴を表示するように構成される。電源が、電流を供給するために医療デバイス内またはその上に配置される。スイッチが、未使用状態から使用済み状態への医療デバイスの作動に応答して、エレクトロクロミック要素への電流の印加を制御するために、ラベルと電源とを互いに選択的に接続または接続切断するように構成される。ラベルは、走査装置と医療機関との間で情報を通信するために医療機関に接続することができる走査デバイスによって走査することができる。
【選択図】
図3B