(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記第2アウトサイドレバーは、前記ロッキング機構部がアンロック状態にあるとき、自体のリリース動作を前記ロッキング機構部を介して前記リリースレバーに伝達することを特徴とする請求項1記載の車両用ドア開閉装置。
前記制御装置は、前記ドアが閉鎖位置、前記ロッキング機構部がロック状態にある場合、アウトサイドハンドル検出スイッチが前記アウトサイドハンドルの操作を検出した後に前記アウトサイドハンドルの操作の復帰を検出したことを契機に、前記ロッキング電動駆動源をアンロック駆動制御し、続いて前記リリース電動駆動源をリリース駆動制御し、続いて前記ドア開閉電動駆動源の開駆動制御を実行することを特徴とする請求項1又は2記載の車両用ドア開閉装置。
前記制御装置は、前記ドアが閉鎖位置、前記ロッキング機構部がアンロック状態にある場合、前記アウトサイドハンドル検出スイッチが前記アウトサイドハンドルの操作を検出したことを契機に、前記リリース電動駆動源をリリース駆動制御し、続いて前記ドア開閉電動駆動源の開駆動制御を実行することを特徴とする請求項3記載の車両用ドア開閉装置。
前記制御装置は、前記ドアが全開位置にある場合、前記ロッキング機構部がアンロック状態又はロック状態にあるか否かに関わりなく、前記アウトサイドハンドル検出スイッチが前記アウトサイドハンドルの操作を検出したことを契機に、前記リリース電動駆動源をリリース駆動制御し、続いて前記ドア開閉電動駆動源の閉駆動制御を実行することを特徴とする請求項3又は4記載の車両用ドア開閉装置。
前記制御装置は、前記ドアが全閉位置と全開位置との間の中間位置にある場合、前記ロッキング機構部がアンロック状態又はロック状態にあるか否かに関わりなく、前記アウトサイドハンドル検出スイッチが前記アウトサイドハンドルの操作を検出したことを契機に、前記リリース電動駆動源をリリース駆動制御しないで、前記ドア開閉電動駆動源の開駆動制御を実行することを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の車両用ドア開閉装置。
前記制御装置は、前記アウトサイドハンドル検出スイッチが前記アウトサイドハンドルの操作を検出している時間が予め定めた所定時間よりも短い場合、前記ロッキング電動駆動源のアンロック駆動制御、前記リリース電動駆動源のリリース駆動制御及び前記ドア開閉電動駆動源の開駆動制御を実行しないことを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の車両用ドア開閉装置。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
図1において、Dは、車体Bの側面に固定される前後方向のアッパーガイドレールG1、ウェストガイドレールG2及びロアガイドレールG3により前後方向へ開閉可能に支持されるスライドドア(以下、「ドア」と記す)である。
【0016】
ドアDの外側面(アウタパネル)には、ドアDを車外から開閉する際に操作されるアウトサイドハンドルOH、同じく室内側を向く内側面には、ドアDを車内から開閉する際に操作されるインサイドハンドルIH及び手動操作で後述のロッキング機構部をアンロック状態及びロック状態に切り替える際に操作されるロック操作ノブLK、同じく下部には、ドアDを全開位置に保持するための全開ドアラッチ装置DL3、前部には、ドアDを閉鎖位置に保持するためのフロント側の全閉ドアラッチ装置DL1、また同じく後部には、フロント側の全閉ドアラッチ装置DL1と共にドアDを閉鎖位置に保持するためのリヤ側の全閉ドアラッチ装置DL2がそれぞれ設けられる。また、車体Bの側面内部には、ドアDを電動で開閉動作させるための電動ドア開閉装置100が設けられる。
【0017】
さらに、ドアDの内部には、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの操作を中継するための操作装置1が設けられる。
【0018】
アウトサイドハンドルOHは、後部がドアDのアウタパネルに上下方向の軸回りに揺動可能に軸支され、初期位置(非操作位置)から一方向(外方)へ引張操作可能なグリップ式であって、ドアDを開ける際も閉じる際も把持部の前部を握って外方へ引張操作されることによって、当該引張操作を後述のように操作装置1に伝達する。
【0019】
フロント側の全閉ドアラッチ装置DL1は、公知の構造であって、車体側に固定された図示略のフロント側ストライカに噛合することで、ドアDを全閉位置(
図1に実線で示す位置)に保持するするための図示略の噛合部と、当該噛合部の噛合を解除してドアDの閉鎖位置からの開き操作を可能にするための図示略のリリース部とを備える。
【0020】
リヤ側の全閉ドアラッチ装置DL2は、公知の構造であって、車体側に固定される図示略のリヤ側のストライカと噛合することで、フロント側の全閉ドアラッチ装置DL1と共にドアDを閉鎖位置に保持するための図示略の噛合部と、ドアDの閉作動時、図示略のモータの動力をもって、ドアDを半ドア状態(リヤ側のストライカが噛合部に僅かに噛合した状態)から全閉状態(ストライカが噛合部に完全に噛合した状態)に強制的に閉め込むように、噛合部をハーフラッチ状態からフルラッチ状態に作動させる図示略のクローザ機構部と、ドアDを開ける際、噛合部とリヤ側のストライカとの噛合を解除させるための図示略のリリース部と、緊急時、クローザ機構部と噛合部との連結部を強制的に切断するための図示略のエマジェンシー機構部とを備える。
【0021】
全開ドアラッチ装置DL3は、公知の構造であって、車体側に固定された図示略の全開用ストライカに噛合することで、ドアDを全開位置に保持するするための図示略の噛合部と、当該噛合部の噛合を解除してドアDの全開位置からの閉じ動作を可能にするための図示略のリリース部とを備える。
【0022】
電動ドア開閉装置100は、公知の構造であって、正逆回転可能なドア開閉電動駆動源を構成するドア開閉モータMと、当該モータMの回転を減速する減速機構を介して回転する正逆回転可能なドラムを含む駆動部101と、回転ドラムに巻き取り、繰り出し可能に巻き付けられた開用ケーブル102及び閉用ケーブル103とを備え、回転ドラムから繰り出される各ケーブル102、103をウェストガイドレールG2に支持された図示略の反転プーリにそれぞれ掛け回した状態でドアDに連結することで、ドア開閉モータMの動力を開用ケーブル102又は閉用ケーブル103を介してドアDに伝達してドアDを開閉動作させるものである。なお、ドア開閉モータMは、車体に搭載される後述の制御装置200によって後述のように制御される。
【0023】
図2、3に示すように、操作装置1は、ドアD内に固定されるベースプレート2を備え、ベースプレート2の車内側を向く一側面には、前述のロック操作ノブLKと、ロッキング電動駆動源を構成するロッキングモータM1及び当該モータM1の動力を出力する出力レバー20を含むロッキングアクチュエータAC1と、リリース電動駆動源を構成するリリースモータM2及び当該モータM2の動力を出力する出力レバー21を含むリリースアクチュエータAC2と、インサイドハンドルIHを前後方向へ揺動可能に枢支するための車内外方向を向くインサイドハンドル軸22と、インサイドハンドル軸22により支持されるインサイドレバー3、チャイルドロックレバー4、スイッチレバー5及びインサイドサブレバー6と、インサイドハンドル軸22の下方に支持される車内外方向を向く軸23により枢支される第1アウトサイドレバー7と、インサイドハンドル軸22の後斜め下方に支持される他の軸をなす軸24により枢支される開用インサイドレバー8、エマジェンシーレバー9、第2アウトサイドレバー10、サブレバー11及びリリースレバー12と、インサイドハンドル軸22の後斜め上方に支持される軸25により枢支される閉用インサイドレバー13と、インサイドハンドル軸22の前斜め下方に位置する軸26により枢支されるチャイルドロックリンク14と、軸24の前斜め下方に位置する車内外方向を向く軸27により枢支される第1ロックレバー15及び第2ロックレバー16と、インサイドハンドル軸22の下方に位置する車内外方向の軸28により前後方向へ揺動可能に枢支されるインサイドハンドル検出レバー17と、インサイドハンドル検出スイッチSW1(
図19参照)と、チャイルド検出スイッチSW2と、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3と、開用インサイドレバー8とサブレバー11との間の操作力伝達経路間に設けられる係合ピン18と、インサイドレバー3にスライド可能に支持されるスライダー19とが設けられる。
【0024】
なお、本発明は、本実施形態に限定されるものでなく、ドア開閉駆動源M、ロッキング電動駆動源M1及びリリース電動駆動源M2の少なくとも一つをモータに代えてソレノイドとしても良い。
【0025】
また、ベースプレート2における車外側を向く他側面には、ベースプレート2の他側面全体を覆う防水カバー2Aが設けられる。なお、インサイドハンドル検出スイッチSW1、チャイルド検出スイッチSW2及びアウトサイドハンドル検出スイッチSW3から出力される各信号は、制御装置200に送信される。
【0026】
ロック操作ノブLKは、ベースプレート2の上部に固定されるガイドブラケット29に上下方向へスライド可能に支持され、車内側からの手動操作により、ロッキング機構部をアンロック状態とする
図4に示すアンロック位置及び当該アンロック位置から下方へ所定距離移動し、ロッキング機構部をロック状態とする
図6に示すロック位置に移動可能である。
【0027】
なお、本実施形態の説明で使用する「ロッキング機構部」は、第1、2ロックレバー15、16及び後述の係合ピン33を含んで構成され、「アンロック状態」とは、第1、2ロックレバー15、16及び係合ピン33がそれぞれ後述のアンロック位置にあって、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの開操作に基づいてドアDを開くことができる状態を指し、また「ロック状態」とは、第1、2ロックレバー15、16及び係合ピン33がそれぞれ後述のロック位置にあって、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの開操作を無効にしてドアDを開くことができない状態を指す。
【0028】
また、「チャイルド機構部」は、チャイルドロックレバー4及び係合ピン18を含んで構成され、「チャイルドアンロック状態」とは、チャイルドロックレバー4及び係合ピン18が後述のチャイルドアンロック位置にあって、「ロッキング機構部」が「アンロック状態」にある場合、インサイドハンドルIHの開操作に基づいてドアDを開くことができる状態を指し、「チャイルドロック状態」とは、チャイルドロックレバー4及び係合ピン18が後述のチャイルドロック位置にあって、「ロッキング機構部」が「アンロック状態」にあっても、インサイドハンドルIHの開操作を無効にしてドアDを開けることができない状態を指す。
【0029】
ロッキングアクチュエータAC1は、特に
図18に示すように、ベースプレート2の下部に固定されるケーシング301内に、ロッキングモータM1と、軸302により枢支されロッキングモータM1の回転軸に固着されたウォーム303に噛合することで、ロッキングモータM1の回転を減速して回転するウォームホイール304と、軸305により枢支されウォームホイール304の回転により
図18に実線で示すアンロック位置及びアンロック位置から反時計方向へ所定角度回動した
図18に2点鎖線で示すロック位置に回動可能な作動レバー306と、作動レバー306のロック位置を検出可能なロック検出スイッチSW4を内蔵すると共に、ケーシング301外に作動レバー306と一体的に回動可能な出力レバー20を枢支することによって構成される。
なお、ロッキングモータM1は、制御装置200により制御される。
【0030】
ウォームホイール304は、一方の回転面304aに回転方向へ等間隔で3個の第1突起部304bが形成され、また他方の回転面(一方の回転面304aの反対側の面)304cにも第1突起部304bと同様な第2突起部304d(
図18に括弧書きで記載)が形成される。
【0031】
作動レバー306は、ウォームホイール304の一方の回転面304aに対向する側にあって、ロック位置にあるとき、ウォームホイール304が反時計方向へ回動した際、3個の第1突起部304bのうちいずれか一つの第1突起部304bが当接可能な第1アーム部306aと、ウォームホイール304の他方の回転面304cに対向する側にあって、アンロック位置にあるとき、ウォームホイール304が時計方向へ回動した際、3個の第2突起部304dのうちいずれか一つの第2突起部304dに当接可能な第2アーム部306bと、ロック位置に回動することによりロック検出スイッチSW4に対して接触するロック検知部306cとを有する。
【0032】
ロッキングアクチュエータAC1は、上述の構成を備えることによって、次のように動作する。
ロッキング機構部がアンロック状態にある場合には、作動アーム306の第1アーム部306aは、
図18に実線で示すように、ウォームホイール304の各第1突起部304bの回動軌跡外に退避し、第2アーム部306bは、第2突起部304dの回動軌跡内に進入し、第1、2突起部304b、304dは、第1、2アーム部306a、306bの回動軌跡外に停止している。
【0033】
上述の状態で、ロッキングモータM1の動力によりウォームホイール304が時計方向へ回動した場合には、第2突起部304dが第2作動アーム306bに対して時計方向側から当接することで、作動アーム306は、アンロック位置からロック位置へ回動し、ウォームホイール304は、時計方向へ略120度回動した時点で、第1突起部304b(
図18において下側の第1突起部304b)が第1アーム部306aの先端部306axに当接することにより、時計方向への回動が阻止されてその位置に停止する。これにより、ロッキング機構部は、作動レバー306の回動に同期する出力レバー20のロック位置への回動によって速やかにロック状態に切り替わる。
【0034】
また、上述のアンロック状態で、ロック操作ノブLKの手動ロック操作で出力レバー20がアンロック位置からロック位置へ回動する場合には、作動レバー306の各アーム部306a、306bがウォームホイール304の各突起部304b、304dに対して当接することがないので、作動レバー306は、ウォームホイール306を逆転させることなく円滑にアンロック位置からロック位置へ回動することができる。
【0035】
ロッキング機構部がロック状態にある場合には、
図18に2点鎖線で示すように、作動アーム306の第1アーム部306aは、ウォームホイール304の第1突起部304bの移動軌跡内に進入し、第2アーム部306bは、第2突起部304dの移動軌跡外に退避し、第1、2突起部304b、304dは、第1、2アーム部306a、306bの回動軌跡外に停止している。
【0036】
上述のロック状態で、ロッキングモータM1の動力によりウォームホイール304が反時計方向へ回動すると、第1突起部304bが第1作動アーム306aに対して反時計方向側から当接することで、作動アーム306は、ロック位置からアンロック位置へ回動し、ウォームホイール304は、反時計方向へ略120度回動した時点で、第2突起部304dが第2アーム部306bの先端部306bxに当接することにより、反時計方向への回動が阻止されてその位置に停止する。これにより、ロッキング機構部は、作動レバー306の回動に同期する出力レバー20のアンロック位置への回動によって速やかにアンロック状態に切り替わる。
【0037】
また、上述のロック状態で、ロック操作ノブLKの手動アンロック操作で出力レバー20がロック位置からアンロック位置に回動する場合には、作動レバー306の各アーム部306a、306bがウォームホイール304の各突起部304b、304dに対して当接することがないので、作動レバー306は、ウォームホイール306を逆転させることなく、円滑にロック位置からアンロック位置へ回動することができる。
【0038】
リリースアクチュエータAC2は、ベースプレート2の後部に固定されるケーシング401内にリリースモータM2及び当該モータM2の回転を減速する図示略の減速歯車等を内蔵すると共に、ケーシング401外に減速歯車の回転を出力するための出力レバー21を枢支することによって構成され、ロッキング機構部がアンロック状態にあるとき、リリースモータM2の動力をもって出力レバー21を作動させることで、ロッキング機構部の各要素を介して全開ドアラッチ装置DL3及び全閉ドアラッチ装置DL1、DL2をリリース動作させてドアDの開き動作及び閉じ動作を可能にする。なお、リリースモータM2は、制御装置200により制御される。
【0039】
インサイドハンドルIHは、ベースプレート2に枢支された前後方向のインサイドハンドル軸22の車内側端部に固定され、ドアDを開ける際の開操作時には
図2に示す中立位置から後方(開方向)へ所定角度揺動し、また、ドアDを閉じる際の閉操作時には中立位置から前方(閉方向)へ所定角度揺動する。
【0040】
インサイドレバー3は、インサイドハンドル軸22によりベースプレート2の一側面の上部にインサイドハンドルIH及びインサイドサブレバー6と一体回動し得るように枢支されると共に、インサイドハンドルIHの非操作時はインサイドサブレバー6に作用するスプリング30の付勢力により
図4に示すようにインサイドハンドルIHと共に中立位置に保持され、インサイドハンドルIHの開操作により、スプリング30の付勢力に抗して、
図4に示す中立位置から
図8に示すように時計方向へ開動作し、また同じく閉操作により、中立位置から反時計方向へ
図10に示すように閉動作する。
【0041】
インサイドサブレバー6は、特に
図16、17から理解できるように、ベースプレート2の軸受孔2aから車外側へ突出したインサイドハンドル軸22の角柱部22aが自体の略中央部に形成した角孔6aに回転不能に嵌合固定されることで、インサイドハンドル軸22と一体となって回転し得るように、ベースプレート2の車外側に支持される。また、インサイドレバー3は、自体の略中央部に形成した軸受孔3dにインサイドハンドル軸22の円柱部22bが挿入されると共に、インサイドサブレバー6の車内側を向く折曲部6bがベースプレート2の円弧状の長孔2bを通過してインサイドレバー3の孔部3eに嵌合されることで、インサイドサブレバー6を介してインサイドハンドル軸22と一体となって回転するように支持される。
【0042】
なお、インサイドハンドル軸22とインサイドレバー3とインサイドサブレバー6は、インサイドハンドルIHの操作に伴って、一体となって回転するものであるから、機能を損なうことがないようにインサイドサブレバー6を省略して、インサイドレバー3をインサイドハンドル軸22に直接、相対回転不能に固定しても良い。
【0043】
さらに、インサイドレバー3は、上部に設けた円弧状の長孔3aに閉用インサイドレバー13に連結された連結ロッド51の前端部が前後方向へ相対的に移動可能に連結されることで、インサイドハンドルIHの閉操作による閉動作を連結ロッド51を介して閉用インサイドレバー13に伝達可能とし、また、インサイドハンドルIHの開操作による開動作を後部に設けた折曲部3bが開用インサイドレバー8の当接部8aに対して上側から当接することで、開用インサイドレバー8を反時計方向へリリース動作(
図8参照)させる。
【0044】
インサイドレバー3の下部には、スライダー19が上下動可能に支持される。スライダー19は、後述のようにチャイルドロックレバー4の各位置への移動に連動して、特に
図14に示すように、チャイルドロックレバー4がチャイルドアンロック位置にある場合にはインサイドハンドル検出レバー17の上端部17aの移動軌跡内に進入するチャイルドアンロック位置にあり、また、特に
図15に示すように、チャイルドロックレバー4がチャイルドロック位置に移動した場合にはチャイルドアンロック位置よりも上方に変位して先端部17aの移動軌跡外に退避するチャイルドロック位置に移動する。
【0045】
インサイドハンドル検出レバー17は、ベースプレート2の下部に固定されるスイッチケース40に車内外方向の軸28により枢支されると共に、例えば
図4及び
図5に示す中立位置からスプリング37(
図5参照)の付勢力に抗して時計方向(
図5においては反時計方向)へ所定角度回動可能であって、当該回動をインサイドハンドル検出スイッチSW1に伝達する。
【0046】
インサイドハンドル検出スイッチSW1は、スイッチケース40内に内蔵され、インサイドハンドル検出レバー17の中立位置から時計方向又は反時計方向への回動が伝達されることでオフからオンに切り替わり、車両に搭載された制御装置200に対して電動ドア開閉装置100の起動契機となる開信号又は閉信号を送信する。
【0047】
制御装置200は、インサイドハンドル検出スイッチSW1からの開信号を受信することで、電動ドア開閉装置100を開方向へ駆動制御し、また同じく閉信号を受信することで、電動ドア開閉装置100を閉方向へ駆動制御する。
【0048】
図4、14に示すように、スライダー19がチャイルドアンロック位置、すなわちチャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にある場合には、インサイドレバー3の開動作に伴ってスライダー19の当接部19aがインサイドハンドル検出レバー17の上端部17aに後側から当接することで、インサイドハンドル検出レバー17を
図4、14に示す中立位置から反時計方向へ所定角度回動させてインサイドハンドル検出スイッチSW1をオンに切り替え、また、インサイドレバー3の閉動作に伴ってインサイドレバー3の下部に設けた当接部3cが上端部17aに前側から当接することで、インサイドハンドル検出レバー17を中立位置から時計方向へ所定角度回動させることでインサイドハンドル検出スイッチSW1をオンに切り替える。
【0049】
また、
図7、14に示すように、スライダー19がチャイルドロック位置、すなわちチャイルド機構部がチャイルドロック状態にある場合には、スライダー19がインサイドハンドル検出レバー17の上端部17aの移動軌跡外に退避している。これにより、インサイドレバー3が開動作してもインサイドハンドル検出レバー17は、中立位置に保持されてインサイドハンドル検出スイッチSW1の切り替えを行わないが、インサイドレバー3が閉動作したときにはインサイドレバー3の当接部3cが上端部17aに前側から当接することで、インサイドハンドル検出レバー17を中立位置から時計方向へ所定角度回動させてインサイドハンドル検出スイッチSW1をオンに切り替える。
【0050】
すなわち、インサイドハンドル検出スイッチSW1は、チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にある場合には、インサイドレバー3の開動作及び閉動作に基づいて、オン動作して電動ドア開閉装置100の起動契機となる信号を制御装置200に送信可能であり、また同じくチャイルドロック状態にある場合には、インサイドレバー3の開動作では電動ドア開閉装置100の起動契機となる信号を送信不能で、閉動作のみに基づいて電動ドア開閉装置100の起動契機となる信号を制御装置200に送信可能とする。
【0051】
閉用インサイドレバー13は、ベースプレート2に軸25により枢支されると共に、軸25の下方部分が前述の連結ロッド51を介してインサイドレバー3の長孔3aに連結され、下部に設けた折曲部13aに第2アウトサイドレバー10の後述の当接部10cが後側から当接可能であり、最下部がボーデンケーブル等で構成される操作力伝達部材61を介して全開ドアラッチ装置DL3に連結される。これにより、閉用インサイドレバー13は、インサイドハンドルIHの閉操作によるインサイドレバー3の閉動作及びアウトサイドハンドルOHの操作による第2アウトサイドレバー10の後述のリリース動作に基づいて
図4に示す初期位置から時計方向へリリース動作(
図10参照)する。
【0052】
全開ドアラッチ装置DL3がストライカに噛合してドアDが全開位置に保持されている状態において、インサイドハンドルIHの閉操作に基づいて、閉用インサイドレバー13が
図10に示すようにリリース動作すると、当該リリース動作は操作力伝達部材61を介して全開ドアラッチ装置DL3に伝達される。全開ドアラッチ装置DL3は、ストライカから外れてドアDの閉方向への移動を可能にする。なお、インサイドハンドルIHの閉操作に基づいてインサイドレバー3が閉動作した場合には、インサイドレバー3の折曲部3bが開用インサイドレバー8の当接部8aから離れる方向へ移動するため、インサイドレバー3の閉動作は、開用インサイドレバー8に対して伝達されない。
【0053】
開用インサイドレバー8は、ベースプレート2に軸24により枢支されると共に、インサイドレバー3の時計方向への開動作に伴って折曲部3bが当接部8aに上側から当接することによって、インサイドレバー3の開動作に連動して、
図4に示す初期位置から反時計方向へリリース動作(
図8参照)する。
【0054】
図8に示すように、開用インサイドレバー8のリリース動作は、下部に設けた当接部8cが緊急レバー9の一部に反時計方向から当接することで緊急レバー9に伝達されると共に、チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にある場合には、係合ピン18を介してサブレバー11に伝達され、また同じくチャイルドロック状態にある場合には、サブレバー11に伝達されない。
【0055】
開用インサイドレバー8の上部には、上下方向の長孔8bが設けられる。長孔8bには、チャイルドロックレバー4がチャイルドアンロック位置にあるとき、開用インサイドレバー8のリリース動作をサブレバー11に伝達可能とする特に
図4、14に示すチャイルドアンロック位置及び伝達不能とする特に
図7、15に示すチャイルドロック位置に移動可能な係合ピン18が上下動可能に係合する。
【0056】
特に
図14、15に明示されるように、係合ピン18は、チャイルドロックレバー4の後部に設けた前後方向の長孔4a及び開用インサイドレバー8の上下方向の長孔8bにそれぞれ摺動可能に係合する。これにより、
図14に示すように、チャイルドロックレバー4がチャイルドアンロック位置にある場合には、係合ピン18がサブレバー11の上部に設けた当接部11bに対峙するチャイルドアンロック位置にあって、開用インサイドレバー8のリリース動作に伴って係合ピン18が前方へ移動して当接部11bに後側から当接することで、開用インサイドレバー8のリリース動作をサブレレバー11に伝達し、また、
図15に示すように、チャイルドロックレバー4がチャイルドロック位置に移動した場合には、係合ピン18がアンロック位置よりも上方に移動して当接部11bに対峙しないチャイルドロック位置にあって、開用インサイドレバー8のリリース動作に伴って係合ピン18が前方へ移動しても当接部11bに当接しないため、開用インサイドレバー8のリリース動作はサブレバー11に伝達されない。
【0057】
緊急レバー9は、ベースプレート2に軸24により枢支されると共に、端部の連結部9aが操作力伝達部材62を介して全閉ドアラッチ装置DL2のエマジェンシー機構部(エマージェンシーレバー)に連結されることで、ロッキング機構部がアンロック状態又はロック状態であるかに関係無く、後述のようにアウトサイドハンドルOH又はインサイドハンドルIHのいずれかの開操作に基づいて、
図4に示す初期位置からスプリング35の付勢力に抗して
図8に示すように反時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を操作力伝達部材62を介して全閉ドアラッチ装置DL2のエマジェンシー機構部に伝達する。エマジェンシー機構部は、全閉ドアラッチ装置DL2におけるクローザ機構部とラッチ機構部との伝達経路を切断してクローズ動作を中断させる。
【0058】
第1アウトサイドレバー7は、スイッチケース40に車内外方向を向く第1軸をなす軸23により枢支されると共に、前端部の連結部7aには上端部がアウトサイドハンドルOHに連結された上下方向の操作力伝達部材63の下端部が連結され、下部に設けられた前後方向の長孔7bには後端部が第2アウトサイドレバー10に連結された連結ロッド53
(本発明の「第1連結部材」に相当)の前端部が摺動可能に係合される。これにより、アウトサイドハンドルOHが操作されて操作力伝達部材63が下方へ移動すると、第1アウトサイドレバー7は、スプリング36の付勢力に抗して
図4に示す初期位置から反時計方向へリリース動作して、
図12に示すように、長孔7bの前端が長孔7b内に摺動可能に係合した連結ロッド53の前端部53aに対して前方から当接することで、当該リリース動作を連結ロッド53を介して第2アウトサイドレバー10に伝達する。
【0059】
なお、第1アウトサイドレバー7における長孔7bの前端と連結ロッド53の前端部53a間には、所定の遊びL(
図4参照)が形成される。したがって、アウトサイドハンドルOHの操作及び第1アウトサイドレバー7のリリース動作は、第1アウトサイドレバー7が遊びLに相当するストローク作動した後に連結ロッド53を介して第2アウトサイドレバー10に伝達されることとなる。
【0060】
アウトサイドハンドル検出スイッチSW3は、例えば
図4に示すように、第1アウトサイドレバー7が初期位置(アウトサイドハンドルOHが操作されていないときの位置)にあるときにオフ状態にあって、第1アウトサイドレバー7が初期位置からリリース方向へ遊びLに相当するストロークリリース動作(以下、「初期リリース動作」という)すると、その途中で第1アウトサイドレバー7の下部に設けた検出部7cに接触することでオフからオンに切り替わり、また、第1アウトサイドレバー7がフルストロークリリース動作(
図12に示すように、第1アウトサイドレバー7が最大回動位置まで作動した状態)している期間、オン状態に保持される。アウトサイドハンドル検出スイッチSW3の各信号(オフ信号、オン信号)は、制御装置200に送信される。
【0061】
制御装置200は、後述のように、ドアDが閉鎖位置(又は全開位置)にあって、ロッキング機構部がアンロック状態にある場合には、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3のオン信号に基づいてリリースモータM2の駆動制御を実行し、引き続いてドア開閉モータMの駆動制御を実行することでドアDの電動開動作(又は閉動作)を制御する。また、ドアDが閉鎖位置、ロッキング機構部がロック状態にあって、電子キーSW5を携帯した正規の利用者が車両に対して一定のエリア内に接近し、電子キーSW5と車両に搭載されたレシーバ201との間の無線通信でID信号の照合が一致して、正規の利用者が車両に接近したと認証した場合には、正規の利用者によりアウトサイドハンドルOHを初期位置から一旦開操作したあと初期位置に戻す操作に基づいて、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3がオフからオン、オフに切り替わったことを契機に、先ずロッキングモータM1をアンロック駆動制御してロッキング機構部をアンロック状態に切り替え、続いて、リリースモータM2をリリース制御して各全閉ドアラッチ装置DL1、DL2をリリース作動させ、続いて、ドア開閉モータMを開駆動制御してドアDを開動作させる。また、ID信号の照合が一致しなければ、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3がオフからオン、オフに切り替わっても、制御装置200は何も実行しない。
【0062】
第2アウトサイドレバー10は、ベースプレート2に第2軸をなす軸24により枢支されると共に、下部に設けた前後方向の長孔10aにリリースアクチュエータAC2の出力レバー21に連結された連結ロッド54
(本発明の「第2連結部材」に対応)の前端部54aが摺動可能に連結され、下部が連結ロッド53を介して第1アウトサイドレバー7に連結されることで、リリースアクチュエータAC2の駆動による出力レバー21のリリース動作(
図4において反時計方向への回動)及び第1アウトサイドレバー7のリリース動作に連動して、
図4に示す初期位置からスプリング35の付勢力に抗して反時計方向へ回動することで、
図13に示すようにリリース動作を行う。なお、第2アウトサイドレバー10は、第1アウトサイドレバー7との間に遊びLが存在するため、第1アウトサイドレバー7が遊びLに相当するストローク作動したあとにリリース動作する。
【0063】
第2アウトサイドレバー10のリリース動作は、自体の後部に設けた爪部10bがサブレバー11に設けた折曲部11aに下側から当接することでサブレバー11に伝達され、また、上端部の当接部10cが閉用インサイドレバー13の折曲部13aに後側から当接することで閉用インサイドレバー13に伝達して閉用インサイドレバー13をリリース動作させる。
【0064】
なお、第1アウトサイドレバー7のリリース動作に基づいて、第2アウトサイドレバー10がリリース動作した場合には、連結ロッド54の前端部54aが第2アウトサイドレバー10の長孔10a内を相対的に移動するだけで、第2アウトサイドレバー10のリリース動作は、リリースアクチュエータAC2の出力レバー21に伝達されない。また、リリースアクチュエータAC2の駆動に基づいて、第2アウトサイドレバー10がリリース動作した場合には、連結ロッド53の前端部53aが第1アウトサイドレバー7の長孔7b内を相対的に移動するだけで、第2アウトサイドレバー7のリリース動作は、第1アウトサイドレバー7に伝達されない。
【0065】
サブレバー11は、ベースプレート2に軸24により枢支されると共に、自体の折曲部11aに第2アウトサイドレバー10の爪部10bが下側から当接することで、アウトサイドハンドルOHの開操作に基づく第2アウトサイドレバー10のリリース動作に連動して
図4に示す初期位置からスプリング35の付勢力に抗して反時計方向へリリース動作する。
【0066】
また、
図4に示すように、チャイルドロックレバー4及び係合ピン18がチャイルドアンロック位置にある場合には、開用インサイドレバー8のリリース動作に伴う係合ピン18の前方移動で係合ピン18がサブレバー11の当接部11bに後側から当接することで、サブレバー11に対して開用インサイドレバー8のリリース動作を伝達して、サブレバー11は、アウトサイドハンドルOHが開操作されたときと同様にリリース動作を行う。一方、
図7に示すように、チャイルドロックレバー4及び係合ピン18がチャイルドロック位置にある場合には、係合ピン18が当接部11bに対して当接不能であるため、サブレバー11には、開用インサイドレバー8のリリース動作は伝達されない。
【0067】
サブレバー11の下部には、ロッキング機構部の一部を構成する係合ピン33が上下動可能に係合する上下方向の長孔11cが設けられる。
【0068】
係合ピン33は、サブレバー11の長孔11cの他にも、後述のようにリリースレバー12に設けられる縦孔部及び縦孔部の下端に連続する横孔部からなるL字状の制御孔12a及び第2ロックレバー16に設けられる前後方向の長孔16aにも摺動可能に係合し、第2ロックレバー16がアンロック位置にあるとき、
図4に示すように、制御孔12aの縦孔部に係合することで、サブレバー11のリリース動作をリリースレバー12に伝達可能とするアンロック位置にあり、また第2ロックレバー16がロック位置に移動した場合には、
図6に示すように、制御孔12aの横孔部にあって、サブレバー11のリリース動作をリリースレバー12に伝達不能とするロック位置に移動する。
【0069】
リリースレバー12は、ベースプレート2に軸24により枢支されると共に、上部の連結部12bが操作力伝達部材64を介して全閉ドアラッチ装置DL2及び操作力伝達部材65を介して全閉ドアラッチ装置DL1のリリース機構部にそれぞれ連結され、
図4に示すように、下部に設けたL字状の制御孔12aに摺動可能に係合した係合ピン33、及び第1、2ロックレバー15、16がアンロック位置にあって、ロッキング機構部がアンロック状態にあるときには、サブレバー11のリリース動作に連動して、
図4に示す初期位置から反時計方向へリリース動作(
図8参照)し、また、
図6に示すように、係合ピン33、及び第1、2ロックレバー15、16がロック位置にあって、ロッキング機構部がロック状態にあるときには、サブレバー11がリリース動作しても係合ピン33が制御孔12の横孔部を相対的に移動するだけで初期位置から動かない。リリースレバー12がリリース動作した場合には、当該リリース動作は、操作力伝達部材64、65を介して全閉ドアラッチ装置DL2、DL1に伝達され、全閉ドアラッチ装置DL2、DL1は、リリース動作することで全閉位置にあるドアDの開きを可能にする。
【0070】
第1ロックレバー15は、軸27によりベースプレート2の車内側を向く面に枢支されると共に、後端部の連結部15aが上下方向の連結ロッド52を介してロック操作ノブLKに連結され、下端部の連結部15bがロッキングアクチュエータAC1の出力レバー20の上端部にそれぞれ連結される。これにより、ロック操作ノブLKの手動操作、及びロッキングアクチュエータAC1の動力による出力レバー20の動作により、第1ロックレバー15は、ベースプレート2に支持されたターンオーバースプリング32の付勢力に抗してアウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの開操作を有効とする
図4に示すアンロック位置及び無効にする
図6に示すロック位置に移動する。
【0071】
第2ロックレバー16は、軸27により第1ロックレバー15と共にベースプレート2の車内側を向く面に枢支されると共に、第1ロックレバー15がロック操作ノブLKの手動操作またはロッキングアクチュエータAC1の電動操作によりアンロック位置からロック位置へ移動した場合には、第1ロックレバー15の突部15c(
図5参照)に当接することで第1ロックレバー15と共にアンロック位置からロック位置に移動し、また、同じく第1ロックレバー15がロック位置からアンロック位置へ移動した場合には、一端が第1ロックレバー15又他端が第2ロックレバー16にそれぞれ掛止されたスプリング34の付勢力の範囲内で第1ロックレバー15と共にアンロック方向へ移動する。なお、第1ロックレバー15と第2ロックレバー15間に作用するスプリング34の付勢力は、ターンオーバースプリング32の付勢力よりも小となるように設定される。
【0072】
第2ロックレバー16には、前述の係合ピン33が前後方向へ相対的に摺動可能に係合する長孔16aが設けられる。係合ピン33は、前述のように第2ロックレバー16がアンロック位置にある場合には、
図4に示すようにリリースレバー12の制御孔12の縦孔部に係合するアンロック位置にあり、また、第2ロックレバー16がロック位置に移動した場合には、
図6に示すように制御孔12の横孔部に位置するロック位置に移動する。
【0073】
係合ピン33がアンロック位置にある場合には、
図8に示すように、サブレバー11のリリース動作に伴って制御孔12の縦孔部に反時計方向から当接することで、サブレバー11のリリース動作をリリースレバー12に伝達可能とし、また、同じくロック位置にある場合には、制御孔12の横孔部を相対的に移動して、サブレバー11のリリース動作をリリースレバー12に伝達しない。したがって、ロッキング機構部がアンロック状態にある場合には、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの開操作に基づいて全閉ドアラッチ装置DL2、DL1をリリース動作させてドアDを開けることができ、又、ロッキング機構部がロック状態にある場合には、アウトサイドハンドルOH及びインサイドハンドルIHの開操作に基づいてドアDを開けることができない。
【0074】
なお、本実施形態におけるロッキング機構部は、第1ロックレバー15と第2ロックレバー16とを互いに分割して構成するが、これは必要に応じて、第1ロックレバー15と第2ロックレバー16とを一体的に構成することも可能である。
【0075】
チャイルドロックレバー4は、
図16、17に示すように、インサイドレバー3よりも車外側に配置され、インサイドハンドル軸22の円柱部22bが自体の軸受孔4eにカラー38を介して相対回転可能に嵌合されることで、インサイドハンドル軸22に相対回転可能に支持される。チャイルドロックレバー4の前端部には、ドアDの開放時、ドアDの前端面に設けた操作孔D1から露呈する鍔状の操作部4bが設けられ、後部には、前述の係合ピン18が前後方向へ移動可能に挿入される長孔4aが設けられる。また、チャイルドロックレバー4は、ドアDを開けた状態で、操作部4bがロック操作(
図4において下方への操作)されると、
図4に示すチャイルドアンロック位置から軸22を中心に反時計方向へ所定角度回動して
図7に示すチャイルドロック位置に移動し、又、操作部4bがアンロック操作(
図7において上方への操作)されると、
図7に示すチャイルドロック位置から軸22を中心に時計方向へ所定角度回動して
図4に示すチャイルドアンロック位置に移動する。
【0076】
なお、操作部4bは、何れの位置にあっても操作孔D1をドアD内から閉塞可能な大きさであって、かつその表面(操作孔D1から露呈する面)には指を陥入可能な大きさの操作凹部4dが形成され、突起部が一切形成されない形状を呈している。したがって、チャイルドロックレバー4の操作は、操作部4bに形成した操作凹部4dに指を陥入した状態で行われる。
【0077】
スイッチレバー5は、
図16、17に示すように、ベースプレート2とチャイルドロックレバー4との間に配置され、インサイドハンドル軸22の円柱部22bが自体の軸受孔5cにカラー38を介して相対回転可能に嵌合されることで、インサイドハンドル軸22に相対回転可能に枢支される。スイッチレバー5の後方へ延伸するアームの先端部には、係合ピン18に近接する当接部5aが設けられ、又、同じく下部には、チャイルド検出スイッチSW2によりその動作が検出される検出部5bが設けられる。
【0078】
係合ピン18は、チャイルドロックレバー4がチャイルドアンロック位置にある場合には、
図4、14に示すように、サブレバー11の当接部11bに対して後側から当接可能で、かつスイッチレバー5の当接部5aに対して当接不能なチャイルドアンロック位置にあり、また、同じくロック位置にある場合には、
図7、15に示すように、サブレバー11の当接部11bに対して当接不能で、かつスイッチレバー5の当接部5aに後側から当接可能なチャイルドロック位置にある。
【0079】
これにより、開用インサイドレバー8のリリース動作は、チャイルドロックレバー4がチャイルドアンロック位置にある場合には、係合ピン18を介してサブレバー11に伝達可能である一方、スイッチレバー5に伝達不能であり、また、同じくチャイルドロック位置にある場合には、係合ピン18を介してサブレバー11に伝達不能である一方、スイッチレバー5に伝達可能となる。
【0080】
スイッチレバー5は、係合ピン18を介して開用インサイドレバー8のリリース動作が伝達されることにより、
図4、14に示す初期位置からスプリング37の付勢力に抗して
図9に示すように反時計方向へ回動する。
【0081】
チャイルド検出スイッチSW2は、スイッチケース40内に設置されると共に、常時はオフ状態にあって、チャイルド機構部がチャイルドロック状態にあるとき、スイッチレバー5が
図9に示すように回動してスイッチレバー5の検出部5bに接触することで、オフからオンに切り替わり、当該オン信号を制御装置200に送信する。
【0082】
チャイルドロックリンク14は、軸26によりベースプレート2に枢支されると共に、前部に設けた前後方向の長孔14aがチャイルドロックレバー4の側面に設けた連結軸部4cに連結され、後部に設けた前後方向の長孔14bがスライダー19の側面に設けた連結軸部19bに連結される。これにより、チャイルドロックリンク14は、チャイルドロックレバー4がチャイルドアンロック位置にある場合には、特に
図4、14に示すように、スライダー19をチャイルドアンロック位置とするチャイルドアンロック位置にあり、また、チャイルドロックレバー14がチャイルドロック位置に移動した場合には、軸26を中心に反時計方向へ所定角度回動することで、特に
図7、15に示すように、スライダー19をチャイルドロック位置に移動させるチャイルドロック位置に移動する。すなわち、チャイルドロックリンク14は、チャイルドロックレバー4の各位置への回動をスライダー19に伝達するための機能を有する。
【0083】
上述のように、アウトサイドハンドルOHに連結される第1アウトサイドレバー7を第1軸をなす軸23により枢支し、又、リリースアクチュエータAC2に連結される第2アウトサイドレバー10を第2軸をなす軸24により枢支して、第1アウトサイドレバー7と第2アウトサイドレバー10とが互いに軸方向へ重なり合わない構成とすることで、操作装置1の薄型化を図ることができる。
【0084】
図19は、車両用ドア開閉装置を説明するための制御回路のブロック図、
図20は、制御回路に係るタイミングチャート図である。
【0085】
車両に搭載される制御装置200は、車載のバッテリに電気的に接続され、マイクロコンピュータによるプログラム制御によって電気的要素を統括的に制御するものであって、各信号に基づいて、ドア開閉モータM、ロッキングモータM1及びリリースモータM2をそれぞれ所定のタイミングで駆動制御する。
【0086】
図19に示すように、制御装置200の入力ポートには、インサイドハンドル検出スイッチSW1、チャイルド検出スイッチSW2、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3、ロック検出スイッチSW4、電子キーSW5が発信する信号を受信するためのレシーバ201からの各信号が入力され、同じく出力ポートには、ドア開閉モータM、ロッキングモータM1及びリリースモータM2が図示略の各駆動制御回路を介して電気的に接続される。
【0087】
次に、
図20に基づいて、ドアDが閉鎖位置、ロッキング機構部がロック状態、電子キーSW5を携帯した正規の利用者が車両に対して一定のエリア内に接近し、電子キーSW5と車両に搭載されたレシーバ201との間の無線通信でID信号の照合が一致して、正規の利用者が車両に接近したと認証した場合の制御について説明する。
【0088】
制御装置200がID信号を認証しているとき、タイミングAにおいて正規の利用者によりアウトサイドハンドルOHが操作されて、第1アウトサイドレバー7が初期リリース動作、すなわち遊びLに相当するストローク回動すると、タイミングBにおいてアウトサイドハンドル検出スイッチSW3がオフからオンに切り替わる。
【0089】
そして、アウトサイドハンドルOHが所定ストローク操作されて、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3のオン状態が予め定めた時間t1継続した後にアウトサイドハンドルOHを初期位置に復帰させると、タイミングCにおいてアウトサイドハンドル検出スイッチSW3がオフに切り替わったことに基づいてタイミングDにおいて、制御装置200は、アンロック駆動制御する。そして、アウトサイドハンドルOHが初期位置に向かって戻ると、アウトサイドハンドルOHの操作に連動する全ての要素(第1アウトサイドレバー7、連結ロッド53、第2アウトサイドレバー10、サブレバー11、係合ピン33、閉用インサイドレバー13及び緊急レバー9)が初期位置に戻る。
【0090】
そして、ロッキングアクチュエータAC1における作動レバー306がロック位置からアンロック位置に回動することで、タイミングEにおいてロック検出スイッチSW4がオンからオフに切り替わると共に、ロッキング機構部がロック状態からアンロック状態に切り替わる。これにより、制御装置200は、ロック検出スイッチSW4からのアンロック信号(オフ信号)に基づいて、タイミングFにおいてリリースモータM2を駆動制御する。これにより、リリースアクチュエータAC2は、出力レバー21がリリース動作することで、連結ロッド54を介して第2アウトサイドレバー10をリリース動作させ、サブレバー11、係合ピン33及びリリースレバー12等を介して、各全閉ドアラッチ装置DL1、DL2をリリース動作させ、タイミングHにおいてドアDの開作動が可能になる。
なお、連結ロッド54の前端部54aと長孔10aの後端との間に遊びL1(
図4参照)が形成されるため、出力レバー21のリリース動作は、遊びL1に相当するストローク回動した後のタイミングGにおいて第2アウトサイドレバー10に伝達される。
【0091】
そして、制御装置200は、タイミングHにおいてドアDの開作動が可能になったことを検出することにより、ドア開閉モータMを開駆動制御する。これにより、ドアDは、電動ドア開閉装置100により開作動する。
【0092】
上述により、本実施形態に係る車両用ドア開閉装置は、ドアDが閉鎖位置、ロッキング機構部がロック状態、電子キーSW5を携帯した正規の利用者が車両に対して一定のエリア内に接近し、当該利用者によりアウトサイドハンドルOHが操作された場合には、アウトサイドハンドルOHを一旦操作した後に初期位置に戻すことで、制御装置200は、ロッキングモータM1をアンロック駆動制御して、ロッキング機構部をロック状態からアンロック状態への切り替え、当切り替えが完了した後に、リリースモータM2をリリース駆動制御して、ドアDの開作動を可能にした後にドア開閉モータMの開駆動制御を実行するものであるから、操作性を犠牲にすることなく、安全かつ確実にドアDを電動ドア開閉装置100の動力により開作動させることが可能となる。換言すれば、本実施形態に係る車両用ドア開閉装置は、従来の技術のように、アウトサイドハンドルOHの操作により、ロッキング機構部をロック状態からアンロック状態への切り替え作動と、リリースアクチュエータAC2のリリース動作が略同時に行われないため、各種作動要素が干渉し合うことを回避するための構成を不用として、操作装置1の構成を簡単にして、安全かつ確実にドアDを開けることが可能となる。
【0093】
なお、制御装置200は、安全性の向上を図るため、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3がアウトサイドハンドルOHの操作を検出している時間t1が予め定めた所定時間よりも短い場合、ロッキングモータM1のアンロック駆動制御、リリースモータM2のリリース駆動制御及びドア開閉モータMの開駆動制御を実行しないように構成される。
【0094】
次に、本実施形態における操作装置1の動作について
図4〜15に基づいて説明する。
図4は、ロッキング機構部がアンロック状態、チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にあるときの車内側から見た正面図、
図5は、
図4と同じ状態の車内側から見た裏面図、
図6は、ロッキング機構部がロック状態、チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にあるときの正面図、
図7は、ロッキング機構部がアンロック状態、チャイルド機構部がチャイルドロック状態にあるときの正面図、
図8は、ロッキング機構部がアンロック状態、チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にあるとき、インサイドハンドルIHが開操作された状態の正面図、
図9は、ロッキング機構部がアンロック状態、チャイルド機構部がチャイルドロック状態にあって、インサイドハンドルIHが開操作された状態の正面図、
図10は、ロッキング機構部がアンロック状態、チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にあって、インサイドハンドルIHが閉操作された状態の正面図、
図11は、ロッキング機構部がアンロック状態、チャイルド機構部がチャイルドロック状態にあって、インサイドハンドルIHが閉操作された状態の正面図、
図12は、ロッキング機構部がロック状態、チャイルド機構部がチャイルドロック状態にあって、アウトサイドハンドルOHが操作された状態の正面図、
図13は、ロッキング機構部がアンロック状態、チャイルド機構部がチャイルドロック状態にあって、リリースアクチュエータAC2がリリース動作した状態の正面図、
図14は、チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態にあるときの要部の拡大正面図、
図15は、チャイルド機構部がチャイルドロック状態にあるときの要部の拡大正面図である。
【0095】
(ドアDが全閉位置で、
図4に示す状態(ロッキング機構部がアンロック状態)で、アウトサイドハンドルOHが開操作された場合)
図4に示す状態において、アウトサイドハンドルOHが開操作されると、当該開操作は、操作力伝達部材63を介して第1アウトサイドレバー7に伝達される。この結果、第1アウトサイドレバー7は、軸23を中心に反時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を連結ロッド53を介して第2アウトサイドレバー10に伝達すると共に、検出部7cがアウトサイドハンドル検出スイッチSW3に接触する。第2アウトサイドレバー10は、軸24を中心にスプリング35の付勢力に抗して反時計方向へリリース動作する。当該リリース動作は、サブレバー11、緊急レバー9及びリリースレバー12に伝達される。リリースレバー12のリリース動作は、操作力伝達部材64を介して全閉ドアラッチ装置DL2、DL1に伝達される。これにより、全閉ドアラッチ装置DL2、DL1は、リリース動作することでドアDの開作動を可能にし、制御装置200は、アウトサイドハンドル検出検出スイッチSW3の開信号に基づいて電動ドア開閉装置100の開駆動制御を行う。
【0096】
なお、この場合においては、ロック機構部がアンロック状態にあるため、アウトサイドハンドルOHを操作した操作者が、電子キーを携帯した正規の利用者であるか否かに関係なく、アウトサイドハンドルOHの操作に基づいて、ドアDを電動ドア開閉装置100によりドアDを開けることができる。
【0097】
(ドアDが全閉位置で、
図4に示す状態(ロッキング機構部がアンロック状態)で、インサイドハンドルIHが開操作された場合)
図4に示す状態において、インサイドハンドルIHが開操作されると、当該開操作は、インサイドハンドル軸22を介してインサイドレバー3に伝達される。
図8に示すように、インサイドレバー3は、スプリング20の付勢力に抗してインサイドハンドル軸22を中心に中立位置から時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を折曲部3bを介して開用インサイドレバー8に伝達すると共に、自体の当接部3c及びインサイドハンドル検出レバー17を介してインサイドハンドル検出スイッチSW1に伝達する。
【0098】
開用インサイドレバー8は、軸24を中心にスプリング35の付勢力に抗して反時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を係合ピン18、サブレバー11、リリースレバー12及び緊急レバー9に伝達する。なお、この状態においては、開用インサイドレバー8のリリース動作に伴って、係合ピン18が前方移動するが、係合ピン18は、スイッチレバー5の当接部5aに対して当接不能な位置にあるため、前方移動しても当接部5aに当接しない。したがって、スイッチレバー5は動作しない。
【0099】
リリースレバー12は、開用インサイドレバー8のリリース動作に連動してリリース動作することにより、当該リリース動作を操作力伝達部材64を介して全閉ドアラッチ装置DL2及び操作力伝達部材65を介して全閉ドアラッチ装置DL1にそれぞれ伝達する。これにより、全閉ドアラッチ装置DL2、DL1は、リリース動作することでドアDの開扉を可能にする。また、制御装置200は、インサイドハンドル検出スイッチSW1の開信号に基づいて電動ドア開閉装置100の開駆動制御を行う。
【0100】
(ドアDが全閉位置で、
図6に示す状態(ロッキング機構部がロック状態)で、アウトサイドハンドルOHが操作された場合)
図6に示す状態において、電子キーSW5を携帯した正規の使用者が車両に対して一定のエリア内に接近し、電子キーSW5とレシーバ201との間の無線通信によるID信号の照合が一致して、正規の使用者が車両に接近したと認証された場合には、正規の利用者によりアウトサイドハンドルOHが操作されて、第1アウトサイドレバー7が軸23を中心に反時計方向へ遊びLに相当するストローク、すなわち初期リリース動作すると、その時点、すなわち、第1アウトサイドレバー7のリリース動作が第2アウトサイドレバー10に伝達される以前に、検出部7cがアウトサイドハンドル検出スイッチSW3に接触し、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3はオフからオンに切り替わる。アウトサイドハンドル検出スイッチSW3のオン信号は、制御装置200に送信される。なお、この時点では、制御装置200は、何も実行しない。
【0101】
また、この状態においては、ロッキング機構部がロック状態にあるため、
図12に示すように、アウトサイドハンドルOHの操作に伴う第1アウトサイドレバー7のリリース作動によって、第2アウトサイドレバー10及びサブレバー11がリリース動作しても、当該リリース動作は、ロッキング機構部の係合ピン33がロック位置にあるため、リリースレバー12には伝達されない。
【0102】
そして、アウトサイドハンドルOHが初期位置に戻されて、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3がオンからオフに切り替わると共に、第1アウトサイドレバー7、第2アウトサイドレバー10及びサブレバー11が初期位置に戻ると、ロッキングアクチュエータAC1がアンロック作動してロッキング機構部をアンロック状態に切り替える。
【0103】
続いて、
図13に示すように、リリースアクチュエータAC2がリリース作動して、出力レバー21及び連結ロッド54がそれぞれ矢印方向へ移動することで、第2アウトサイドレバー10、サブレバー11、リリースレバー12をリリース動作させる。これにより、各全閉ドアラッチ装置DL1、DL2をリリース動作させてドアDの開作動が可能になった時点で、電動ドア開閉装置100の開駆動制御を実行してドアDを開作動させる。なお、リリースアクチュエータAC2がリリース作動したときには、当該リリース作動は、第1アウトサイドレバー7に伝達されないため、リリースアクチュエータAC2により軽力で各全閉ドアラッチ装置DL1、DL2をリリース動作させてドアDの開作動を可能にすることができる。
【0104】
なお、この場合、電子キーSW5とレシーバ201との間の無線通信によるID信号の照合が一致しなければ、アウトサイドハンドルOHを如何様に操作しても、ドアDを開けることができない。
【0105】
(ドアDが全閉位置で、
図6に示す状態(ロッキング機構部がロック状態)で、インサイドハンドルIHが開操作された場合)
図6に示す状態において、インサイドハンドルIHが開操作されると、当該開操作は、インサイドハンドル軸22を介してインサイドレバー3に伝達される。これにより、インサイドレバー3は、スプリング20の付勢力に抗してインサイドハンドル軸22を中心に中立位置から時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を折曲部3bを介して開用インサイドレバー8に伝達すると共に、当接部3c及びインサイドハンドル検出レバー17を介してインサイドハンドル検出スイッチSW1に伝達する。なお、チャイルドロックレバー4及びスイッチレバー5は、インサイドハンドル軸22に対して相対回転可能に支持されているため、インサイドハンドルIHの操作に伴うインサイドハンドル軸22の回転には連動しない。
【0106】
開用インサイドレバー8は、軸24を中心にスプリング35の付勢力に抗して反時計方向へリリース動作する。当該リリース動作は、係合ピン18、サブレバー11及び緊急レバー9に対しては伝達されるが、ロッキング機構部の係合ピン33がロック位置にあるため、リリースレバー12に対しては伝達されない。なお、この状態においては、開用インサイドレバー8のリリース動作に伴う係合ピン18の前方移動は、スイッチレバー5に伝達されない。
【0107】
これにより、インサイドハンドルIHの開操作が行われも、全閉ドアラッチ装置DL2、DL1をリリース動作させることができず、ドアDを開けることができない。また、この場合は、制御装置200は、インサイドハンドル検出スイッチSW1から信号が送信されても電動ドア開閉装置100の開駆動制御を実行しない。
【0108】
(ドアDが全閉位置で、
図7に示す状態(ロッキング機構部がアンロック状態)で、アウトサイドハンドルOHが操作された場合)
図7に示す状態において、アウトサイドハンドルOHが開操作されると、当該開操作は、操作力伝達部材63を介して第1アウトサイドレバー7に伝達される。この結果、第1アウトサイドレバー7のリリース動作は、連結ロッド53、第2アウトサイドレバー10、サブレバー11、係合ピン33、リリースレバー12及び操作力伝達部材64介して全閉ドアラッチ装置DL2、DL1に伝達される。これにより、全閉ドアラッチ装置DL2、DL1は、リリース動作することでドアDの開作動を可能にする。
【0109】
なお、この場合においては、制御装置200は、ロッキング機構部がアンロック状態にあることから、アウトサイドハンドルOHの操作によりアウトサイドハンドル検出スイッチSW3がオフからオンに切り替わった時点で、リリースモータM2をリリース駆動制御して、ドアDの開作動が可能になった直後に電動ドア開閉装置100の開駆動制御を実行する。
【0110】
(ドアDが全閉位置で、
図7に示す状態(チャイルド機構部がチャイルドロック状態)で、インサイドハンドルIHが開操作された場合)
図7に示す状態において、インサイドハンドルIHが開操作されると、当該開操作は、インサイドハンドル軸22を介してインサイドレバー3に伝達される。
図9に示すように、インサイドレバー3は、スプリング20の付勢力に抗してインサイドハンドル軸22を中心に中立位置から時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を折曲部3bを介して開用インサイドレバー8に伝達する。なお、この場合も、チャイルドロックレバー4及びスイッチレバー5は、インサイドハンドル軸22に対して相対回転可能に支持されているため、インサイドハンドルIHの操作に伴うインサイドハンドル軸22の回転には連動しない。
【0111】
しかし、このチャイルドロック状態においては、
図9に示すように、係合ピン18がサブレバー11の当接部11aに対して当接不能である一方、スイッチレバー5の当接部5bに当接可能なチャイルドロック位置にあり、かつスライダー19がその当接部19bにインサイドハンドル検出レバー17の上端部17aが当接不能なロック位置にあるため、開用インサイドレバー8のリリース動作に伴う係合ピン18の前方移動は、サブレバー11に対しては伝達されないが、スイッチレバー5に対しては伝達される。
【0112】
これにより、
図9に示すように、スイッチレバー5がインサイドハンドル軸22を中心にインサイドハンドル軸22に対して反時計方向へ相対的に所定角度回動すると、スイッチレバー5の検出部5bがチャイルド検出スイッチSW2に接触する。これにより、チャイルド検出スイッチSW2は、オフからオンに切り替わる。制御装置200は、チャイルド検出スイッチSW2からのオン信号の送信に基づいて、電動ドア開閉装置100の開駆動制御を実行不能な状態に制御する。
【0113】
(ドアDが全開位置で、
図4に示す状態(チャイルド機構部がチャイルドアンロック状態)で、インサイドハンドルIHが閉操作された場合)
図4に示す状態において、インサイドハンドルIHが閉操作されると、当該閉操作は、インサイドハンドル軸22を介してインサイドレバー3に伝達される。
図10に示すように、インサイドレバー3は、スプリング30の付勢力に抗してインサイドハンドル軸22を中心に中立位置から反時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を開用インサイドレバー8に伝達しないで、閉用インサイドレバー13に伝達する。したがって、このチャイルドロック状態においては、インサイドハンドルIHが閉操作されても、その閉操作はスイッチレバー5には伝達されない。
【0114】
閉用インサイドレバー13が初期位置からスプリング31の付勢力に抗して時計方向へリリース動作すると、当該リリース動作は、操作力伝達部材61を介して全開ドアラッチ装置DL3に伝達される。これにより、全開ドアラッチ装置DL3は、リリース動作し、ストライカから外れてドアDの閉移動を可能にする。
【0115】
また、インサイドハンドル検出スイッチSW1は、インサイドレバー3が反時計方向へ閉動作することで、インサイドレバー3の当接部3cがインサイドハンドル検出レバー17の上端部17aに前側から当接して、インサイドハンドル検出レバー17を中立位置から時計方向へ回動させる。これにより、インサイドハンドル検出スイッチSW1は、オフからオンに切り替わる。制御装置200は、インサイドハンドル検出スイッチSW1からのオン信号の送信に基づいて、電動ドア開閉装置100の閉駆動制御を行う。
【0116】
(ドアDが全開位置で、
図7に示す状態(チャイルド機構部がチャイルドロック状態)で、インサイドハンドルIHが閉操作された場合)
図7に示す状態において、インサイドハンドルIHが閉操作されると、当該閉操作は、インサイドハンドル軸22を介してインサイドレバー3に伝達される。
図11に示すように、インサイドレバー3は、スプリング30の付勢力に抗してインサイドハンドル軸22を中心に中立位置から反時計方向へリリース動作し、当該リリース動作を開用インサイドレバー8に伝達しないで、閉用インサイドレバー13に伝達する。
【0117】
閉用インサイドレバー13が初期位置からスプリング31の付勢力に抗して時計方向へリリース動作すると、当該リリース動作は、操作力伝達部材61を介して全開ドアラッチ装置DL3に伝達される。これにより、全開ドアラッチ装置DL3は、リリース動作し、ストライカから外れてドアDの閉移動を可能にする。
【0118】
また、インサイドハンドル検出スイッチSW1は、インサイドレバー3が反時計方向へ閉動作することで、スライダー19がチャイルドロック位置にあっても、インサイドレバー3の当接部3cがインサイドハンドル検出レバー17の上端部17aに前側から当接して、インサイドハンドル検出レバー17を中立位置から時計方向へ回動させる。これにより、インサイドハンドル検出スイッチSW1は、オフからオンに切り替わり、制御装置200は、インサイドハンドル検出スイッチSW1からのオン信号の送信に基づいて、電動ドア開閉装置100の閉駆動制御を行う。
【0119】
(ドアDが全開位置で、
図4に示す状態(ロッキング機構部がアンロック状態)で、アウトサイドハンドルOHが操作された場合)
この場合には、正規の利用者であるか否かに関わりなく、アウトサイドハンドルOHが操作された場合には、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3がオフからオンに切り替わることで、制御装置200は、ロッキングモータM1を駆動制御することなく、リリースモータM2をリリース駆動制御し、続いてドア開閉モータMの閉駆動制御を実行する。
【0120】
(ドアDが全開位置で、
図6に示す状態(ロッキング機構部がロック状態)で、アウトサイドハンドルOHが操作された場合)
この場合には、正規の利用者であるか否かに関わりなく、ドアDが全閉位置にあるときと同様に、アウトサイドハンドルOHを一旦操作した後に初期位置に戻すことで、制御装置200は、ロッキングモータM1をアンロック駆動制御して、ロッキング機構部をロック状態からアンロック状態への切り替え、当切り替えが完了した後に、リリースモータM2をリリース駆動制御して、ドアDの開作動を可能にした後にドア開閉モータMの閉駆動制御を実行する。
【0121】
(ドアDが全閉位置と全開位置との間の中間位置で、
図4に示す状態(ロッキング機構部がアンロック状態)又は
図6に示す状態(ロッキング機構部がロック状態)で、アウトサイドハンドルOHが操作された場合)
この場合には、安全性の向上を図るため、ロッキング機構部がアンロック状態又はロック状態にあるかに関わりなく、制御装置200は、アウトサイドハンドル検出スイッチSW3がアウトサイドハンドルOHの操作を検出してオンに切り替わったことを契機に、リリースモータM2をリリース駆動制御しないで、ドア開閉モータMを閉駆動制御する。これにより、ドアDは、アウトサイドハンドルOHの操作に基づいて、電動開閉装置100により開作動する。