【実施例1】
【0014】
図1は、本発明に係る船舶用ディーゼルエンジンとして構成された内燃機関の燃料供給装置、特にコモンレール燃料供給装置のための弁アセンブリ10のブロック図である。弁アセンブリ10は、パイロット弁11、主弁12及び圧力調整弁13を含んでいる。
図1の弁アセンブリ10は、内燃機関の燃料供給装置の低圧領域14にも高圧領域15にも接続され得る。
【0015】
図1の実施例において2/2方向制御弁として構成されている主弁12は、2つの圧力接続部16及び17を有している。両方の圧力接続部16及び17によって、主弁12を燃料供給装置の高圧領域15に接続することが可能であり、両方の圧力接続部16及び17は、その押圧面に関して異なっている。チョーク18を介して燃料供給装置の高圧領域15に接続され得る第1の圧力接続部16は、主弁12の第2の圧力接続部17よりも大きな押圧面を有しており、主弁12は、圧力接続部17を通じて、チョークを介することなく燃料供給装置の高圧領域15に直接接続され得る。燃料供給装置の高圧領域15が非加圧の場合、バネ要素19は主弁12を
図1に示した閉口位置に押圧する。このバネ要素19は、比較的少ない弾力を有するように構成され得る。なぜなら、バネ要素19は実質的には、非加圧状態における主弁12の位置決めにのみ用いられるからである。高圧領域15内に少なくとも1つの高圧ポンプによって動作圧力が加えられる場合、主弁12の第1の圧力接続部16が圧力接続部17よりも大きい押圧面を有するということによって、主弁12も同様に
図1に示された閉口位置に押圧される。
【0016】
パイロット弁11及び圧力調整弁13は、圧力接続部20、21によって、燃料供給装置の低圧領域14に接続され得る。低圧領域14のチョーク22は、低圧領域14における圧力振動を減衰させる。低圧領域14が非加圧の場合、パイロット弁11はバネ要素23によって
図1に示した閉口位置に押圧される。パイロット弁11のバネ要素23は、主弁12のバネ要素19と同様に、少ない弾力を有するように構成されており、パイロット弁11の場合は、専ら、非加圧状態におけるパイロット弁11の位置決めを行うために用いられる。場合によっては、バネ要素23を完全に省略しても良い。
【0017】
図1に示された実施例において主弁12と同様に2/2方向制御弁として構成されているパイロット弁11は、パイロット弁11を燃料供給装置の低圧領域14に接続できる圧力接続部21の他に、さらなる圧力接続部24を有しており、圧力接続部24を通じてパイロット弁11は、少なくとも1つのチョークを介して高圧領域15に接続され得る。
図1では、パイロット弁11の圧力接続部24と高圧領域15との間には、すでに言及したチョーク18とさらなるチョーク25とが接続されている。パイロット弁11の両方の圧力接続部21及び24もやはり異なる押圧面を有しており、第1の圧力接続部21の押圧面は、第2の圧力接続部24の押圧面よりも大きいので、低圧領域14及び高圧領域15において、それぞれ対応する動作圧力が加えられている場合に、パイロット弁11は
図1に示された閉口位置に押圧される。
【0018】
すでに説明したように、圧力調整弁13は、圧力接続部20によって低圧領域14に接続可能であり、低圧領域14が非加圧の場合、その弾力に関して調整可能なバネ要素26は、圧力調整弁13を、
図1に示した閉口位置に押圧する。次に、低圧領域14に動作圧力が加えられている場合、当該動作圧力は圧力接続部20に存在し、バネ要素26の調整された弾力に応じて、圧力調整弁13を、閉口位置から押圧する。つまり、圧力接続部20及び21では、圧力調整弁13及びパイロット弁11によって、一定の圧力が生じるように押圧する。したがって、圧力調整弁13及び調整可能なバネ要素26を用いて、燃料供給システム内で圧力が変動した場合においても主弁12のために一定の開口圧力を保証することが可能であり、圧力接続部20及びそれに伴って圧力接続部21における高すぎる圧力は、圧力調整弁13のチョーク27における圧力が所望の値に低下するまでの間は、圧力調整弁13の開口につながる。ここで、圧力調整弁13をパイロット弁11のピストンに組み込むことが可能であることを指摘しておく。
【0019】
停止した内燃機関において、つまり、低圧領域17の低圧ポンプ及び高圧領域15の高圧ポンプが停止した結果、燃料供給装置が非加圧である場合、弁アセンブリ10の弁11、12及び13は、
図1に示した位置をとる。
【0020】
内燃機関の始動の際、及び、燃料供給装置の低圧領域14の低圧ポンプの始動の際、圧力接続部20及び21では、圧力調整弁13及びパイロット弁11によって、圧力が生成され、当該圧力は、圧力調整弁13によって一定に保たれ、パイロット弁11を
図1に示した閉口位置に押圧する。内燃機関が始動する際、高圧領域15の1つ又は各高圧ポンプも始動する。圧力接続部16及び17の構成によって、主弁12は、高圧領域15に動作圧力が存在する場合に、燃料供給装置の高圧領域15を閉じた状態で保つ。すでに説明したように、燃料供給装置の低圧領域14における圧力変動は、チョーク22によって減衰され、圧力調整弁13は、燃料供給装置内の圧力変動の際に、主弁12のために開口圧力を一定に保っている。
【0021】
内燃機関の始動後、並びに、対応して動作圧力が、低圧領域14の低圧ポンプ及び高圧領域15の1つ又は各高圧ポンプによって低圧領域14及び高圧領域15内に生成された後、燃料供給装置の図示されていないインジェクタには、対応する噴射圧力が存在している。チョーク18を介して、主弁12の圧力接続部16は満たされ、すでに言及したように、圧力接続部16は圧力接続部17よりも大きな押圧面を有しているので、主弁12は、内燃機関の始動後、確実に閉止した状態で保たれる。
【0022】
主弁12の圧力接続部16は、完全には密封されていないので、主弁12のいわゆる隙間経路(Spaltfuehrung)に起因して、一定量の燃料が、燃料タンク又は回収タンク28に向かうに従って損失する。主弁12の圧力接続部16の漏れは、
図1では概略的に、チョーク29を通じて示されているが、ここでは、構造的に完成されたチョークではなく、単に、主弁12の圧力接続部16の漏れの結果としての第2の圧力接続部16から回収タンク28の方向への燃料の損失が対象になっている。しかしながら、チョーク18を通じて、原理的なチョーク29に関して圧力接続部16の漏れの結果として回収タンク28の方向に排出されるよりも多くの燃料が補充されるので、主弁12の圧力接続部16における圧力は維持され、燃料供給装置の高圧領域15は閉じた状態で維持され得る。
【0023】
内燃機関が停止され、したがって低圧領域14の低圧ポンプと高圧領域15の1つ又は各高圧ポンプとが停止された場合、燃料供給装置内の圧力は急速に低下する。それによって、パイロット弁11の圧力接続部21における圧力が低下し、燃料供給装置の高圧領域15に依然として存在する比較的高い圧力であって、チョーク18及び25を介してパイロット弁11の圧力接続部24に存在する圧力の結果、パイロット弁11が自動的に開口する。これによって、燃料供給装置内の圧力状況を利用して、内燃機関の停止後数秒の内に、自動的に低圧領域14から回収タンク28に向けて除去又は換気させることができる。
【0024】
この関連において、チョーク25はチョーク18よりも大きいので、チョーク25を介しては、チョーク18を介して圧力接続部16に送られるよりも多くの燃料が圧力接続部16から流出可能であることを留意すべきである。
【0025】
主弁12の圧力接続部16における圧力が減少することによって、主弁12も圧力接続部17における圧力によって自動的に開口するので、それによって、燃料供給装置の高圧領域15も、内燃機関停止後数秒の内に、機械的かつ自動的に、回収タンク28に向けて除去又は換気させることができる。
【0026】
図1に示されたチョーク30は、回収タンク28への圧力損失を示している。
【0027】
本発明に係る弁アセンブリ10は、燃料供給装置の低圧領域14及び高圧領域15における圧力状況を利用することによって、内燃機関の起動又は始動の際にはパイロット弁11及び主弁12を自動的に閉口させ、内燃機関の停止後にはパイロット弁11及び主弁12を数秒の内に自動的に開口させる。これによって、別個の制御機器の作動を行わない、内燃機関の停止後の燃料供給装置の自動的な減圧が確実化される。空気圧若しくは油圧による圧力空気の供給又は電磁気若しくはその他の種類の作動は不要である。制御媒体は動作媒体、すなわち燃料に相当するので、望ましくない異なる媒体の混合が生じず、例えば、空気圧による作動の際に燃料と圧力空気とが混合することはない。原動機の停止後の、本発明に係る弁アセンブリ10のパイロット弁11及び主弁12の開口と、それに伴う燃料供給装置の減圧とは、数秒の内に行われるので、例えば燃料インジェクタの負荷を迅速に軽減することができる。主弁12及びパイロット弁11のバネ要素19及び23は、少ない弾力を有するように構成されている。なぜなら、これらのバネ要素は、非加圧の状態では実質的に、対応する弁11、12の位置決めにのみ用いられるからである。