特許第6483409号(P6483409)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483409
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】熱交換器
(51)【国際特許分類】
   F28F 9/02 20060101AFI20190304BHJP
   F28D 1/053 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   F28F9/02 301E
   F28D1/053 A
【請求項の数】2
【全頁数】17
(21)【出願番号】特願2014-227764(P2014-227764)
(22)【出願日】2014年11月10日
(65)【公開番号】特開2015-143606(P2015-143606A)
(43)【公開日】2015年8月6日
【審査請求日】2017年10月12日
(31)【優先権主張番号】特願2013-268755(P2013-268755)
(32)【優先日】2013年12月26日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニックカンセイ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100100712
【弁理士】
【氏名又は名称】岩▲崎▼ 幸邦
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 俊一
(74)【代理人】
【識別番号】100095500
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 正和
(74)【代理人】
【識別番号】100098327
【弁理士】
【氏名又は名称】高松 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】松下 理郎
【審査官】 石黒 雄一
(56)【参考文献】
【文献】 特開2005−308386(JP,A)
【文献】 特開2007−078298(JP,A)
【文献】 特開平11−351787(JP,A)
【文献】 特開2001−012892(JP,A)
【文献】 特開2000−002497(JP,A)
【文献】 米国特許出願公開第2009/0000775(US,A1)
【文献】 国際公開第2013/001019(WO,A1)
【文献】 特開平10−185463(JP,A)
【文献】 特開平11−337275(JP,A)
【文献】 特開2001−241883(JP,A)
【文献】 国際公開第2005/090892(WO,A1)
【文献】 特開2014−029243(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F28F 9/02
F28D 1/053
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に冷媒が流れる一対のタンク(3,3)と、この一対のタンク(3,3)間に前記タンク(3)の長手方向に沿って配置され両端部(5,5)が前記一対のタンク(3,3)に連通される複数のチューブ(7)と、前記一対のタンク(3,3)のうち一方のタンク(3)の長手方向の一端に設けられ前記冷媒を前記一方のタンク(3)に導入させる冷媒導入口(9)とを備えた熱交換器(1,101,201,301,401,501,601)であって、
記冷媒を前記一方のタンク(3)に流入させる配管(203)が接続されるアダプタ(205,603)には、前記配管(203)側に向けて拡径するように傾斜する傾斜部(15)が設けられ、
前記一方のタンク(3)に連通し前記冷媒導入口(9)側に位置する前記チューブ(7)の端部(5)は、前記傾斜部(15)から前記一方のタンク(3)の内部側に向けた延長線(L)より前記冷媒流れの外周側に位置され
前記一方のタンク(3)は、前記チューブ(7)の長手方向に分割された上タンク部材(11)と下タンク部材(13)とからなり、
前記上タンク部材(11)の前記冷媒導入口(9)側には、前記冷媒導入口(9)から前記配管(203)側に向けて拡径するように固定部(209)が設けられ、
前記固定部(209)の内周には、前記冷媒導入口(9)を閉塞するように形成され中央部に前記冷媒導入口(9)より大径の貫通孔が設けられた連結部材(29)が固定され、
前記アダプタ(205)は、前記一方のタンク(3)側の開口(211)が設けられた一端側が前記連結部材(29)の貫通孔に挿通されて前記連結部材(29)に固定され、
前記アダプタ(205)の前記一方のタンク(3)側の開口(211)は、前記チューブ(7)の幅方向に延びる長円状に開口され、
前記アダプタ(205)の前記一方のタンク(3)側には、前記開口(211)を挟んで前記開口(211)の中心に対して前記傾斜部(15)と対称形状に傾斜面が設けられ、
前記傾斜部(15)と前記傾斜面とは、前記開口(211)に連接されていることを特徴とする熱交換器(1,101,201,301,401,501,601)。
【請求項2】
請求項1記載の熱交換器(1,101,201,301,401,501,601)であって、
記アダプタ(205,603)の前記配管(203)の突き当て部(207)より前記冷媒流れの下流には、前記傾斜部(15)が設けられていることを特徴とする熱交換器(201,301,401,501,601)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に適用される熱交換器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、熱交換器としては、内部に冷媒が流れる一対のタンクと、この一対のタンク間にタンクの長手方向に沿って配置され両端部が一対のタンクに連通される複数のチューブと、一対のタンクのうち一方のタンクの長手方向の一端に設けられ冷媒を一方のタンクに導入させる冷媒導入口とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような熱交換器では、チューブの端部がタンク内に突出するように配置されており、最も冷媒導入口に近接するチューブの端部に対する冷媒の主流の衝突が大きく、長期的な使用により、このチューブの端部にエロージョンが発生していた。
【0004】
これに対して一方のタンクの長手方向の一端側に冷媒導入口を構成するキャップ部材とジョイント部材とを組付けた熱交換器が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
この熱交換器では、キャップ部材が一方のタンクの長手方向の一端側に形成された開口を閉塞する板状部材からなり、中央部に一方のタンクと連通する長円形の筒状部が設けられている。
【0006】
一方、ジョイント部材は、一方のタンクの長手方向の一端側から外方に向けて段差状に拡径される階段円筒形状の部材からなり、一方のタンク側の底部に一方のタンク及びキャップ部材の筒状部と連通する長円形の嵌合穴が設けられている。
【0007】
このようなキャップ部材とジョイント部材とは、キャップ部材の筒状部をジョイント部材の嵌合穴に挿入して組付けられ、キャップ部材で一方のタンクの長手方向の一端側の開口を閉塞するように一方のタンクに組付けられる。
【0008】
この組付状態では、キャップ部材の長円形の筒状部とジョイント部材の長円形の嵌合穴とが冷媒導入口となり、この長円形の冷媒導入口の下側にチューブの端部が位置される。このため、キャップ部材やジョイント部材の底部に形成された長円形の冷媒導入口以外の部分が冷媒導入口から導入される冷媒の主流とチューブの端部との衝突を防止する邪魔板となり、チューブの端部にエロージョンが発生することを抑制することができ、チューブの耐久性を向上することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開平8−210788号公報
【特許文献2】特開2011−196570号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、上記特許文献2のような熱交換器では、一方のタンクの長手方向の一端側の開口を閉塞するキャップ部材の中央部に長円形の冷媒導入口が設けられているので、タンクの開口より冷媒導入口が小さくなり、冷媒の流路抵抗が増大してしまう。加えて、ジョイント部材も段差状に拡径されているので、さらに冷媒の流路抵抗が増大する。
【0011】
そこで、この発明は、冷媒の流路抵抗を増大させることなく、チューブの耐久性を向上することができる熱交換器の提供を目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0012】
請求項1記載の発明は、内部に冷媒が流れる一対のタンクと、この一対のタンク間に前記タンクの長手方向に沿って配置され両端部が前記一対のタンクに連通される複数のチューブと、前記一対のタンクのうち一方のタンクの長手方向の一端に設けられ前記冷媒を前記一方のタンクに導入させる冷媒導入口とを備えた熱交換器であって、記冷媒を前記一方のタンクに流入させる配管が接続されるアダプタには、前記配管側に向けて拡径するように傾斜する傾斜部が設けられ、前記一方のタンクに連通し前記冷媒導入口側に位置する前記チューブの端部は、前記傾斜部から前記一方のタンクの内部側に向けた延長線より前記冷媒流れの外周側に位置され、前記一方のタンクは、前記チューブの長手方向に分割された上タンク部材と下タンク部材とからなり、前記上タンク部材の前記冷媒導入口側には、前記冷媒導入口から前記配管側に向けて拡径するように固定部が設けられ、前記固定部の内周には、前記冷媒導入口を閉塞するように形成され中央部に前記冷媒導入口より大径の貫通孔が設けられた連結部材が固定され、前記アダプタは、前記一方のタンク側の開口が設けられた一端側が前記連結部材の貫通孔に挿通されて前記連結部材に固定され、前記アダプタの前記一方のタンク側の開口は、前記チューブの幅方向に延びる長円状に開口され、前記アダプタの前記一方のタンク側には、前記開口を挟んで前記開口の中心に対して前記傾斜部と対称形状に傾斜面が設けられ、前記傾斜部と前記傾斜面とは、前記開口に連接されていることを特徴とする。
【0013】
この熱交換器では、一方のタンクの長手方向の端部又は冷媒を一方のタンクに流入させる配管が接続されるアダプタに、配管側に向けて拡径するように傾斜する傾斜部が設けられているので、傾斜部に沿って冷媒導入口から冷媒の主流が一方のタンク内に導入される。
【0014】
また、傾斜部は、配管側に向けて拡径するように傾斜するので、冷媒導入口が小さくなることがなく、冷媒の流路抵抗が増大することがない。加えて、傾斜部は、配管側に向けて拡径するように傾斜するので、傾斜部に沿って流通する冷媒への抵抗を抑制することができ、冷媒の流路抵抗の増大を抑制することができる。
【0015】
さらに、一方のタンクに連通し冷媒導入口側に位置するチューブの端部は、傾斜部から一方のタンクの内部側に向けた延長線より冷媒流れの外周側に位置されているので、傾斜部に沿って一方のタンク内に導入された冷媒の主流がチューブの端部に衝突することがなく、チューブの端部にエロージョンが発生することを抑制することができる。
【0016】
従って、このような熱交換器では、冷媒の流路抵抗を増大させることなく、チューブの端部にエロージョンが発生することを抑制することができるので、チューブの耐久性を向上することができる。
また、この熱交換器では、アダプタが、一方のタンクの冷媒導入口側の内径側に固定された連結部材を介して一方のタンクの冷媒導入口に連通されているので、一方のタンクと連結部材との間の隙間の形成を防止し易く、冷媒が漏れることを確実に防止することができる。
【0017】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の熱交換器であって、前記アダプタの前記配管の突き当て部より前記冷媒流れの下流には、前記傾斜部が設けられていることを特徴とする。
【0018】
この熱交換器では、アダプタの配管の突き当て部より冷媒流れの下流に、傾斜部が設けられているので、傾斜部によって配管から流れ出る冷媒の主流に対してすぐに方向性を持たせることができ、冷媒の主流がチューブの端部に衝突することを確実に防止することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、冷媒の流路抵抗を増大させることなく、チューブの耐久性を向上することができる熱交換器を提供することができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の第1実施形態に係る熱交換器の正面図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る熱交換器の要部拡大断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る熱交換器の要部拡大断面図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る熱交換器の要部拡大断面図である。
図5】本発明の第3実施形態に係る熱交換器のアダプタの正面図である。
図6】本発明の実施の形態に係る熱交換器に接続される配管の側面図である。
図7】本発明の第3実施形態の他例に係る熱交換器の要部拡大断面図である。
図8】本発明の第3実施形態の他例に係る熱交換器の要部拡大断面図である。
図9図8の熱交換器に適用されたアダプタの正面図である。
図10】本発明の第3実施形態の他例に係る熱交換器の要部拡大断面図である。
図11図10の熱交換器に適用されたアダプタの正面図である。
図12】本発明の第4実施形態に係る熱交換器の要部拡大断面図である。
図13】本発明の第4実施形態に係る熱交換器のアダプタの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1図413を用いて本発明の実施の形態に係る熱交換器について説明する。
【0035】
(第1実施形態)
図1図2を用いて第1実施形態について説明する。
【0036】
本実施の形態に係る熱交換器1は、内部に冷媒としての温水が流れる一対のタンク3,3と、この一対のタンク3,3間にタンク3の長手方向に沿って配置され両端部5,5が一対のタンク3,3に連通される複数のチューブ7と、一対のタンク3,3のうち一方のタンク3の長手方向の一端に設けられ温水を一方のタンク3に導入させる冷媒導入口9とを備えている。
【0037】
そして、一方のタンク3の長手方向の端部には、冷媒を一方のタンク3に流入させる配管203側に向けて拡径するように傾斜する傾斜部15が設けられ、冷媒導入口9側に位置する一方のタンクに連通するチューブ7の端部5は、傾斜部15から一方のタンク3の内部側に向けた延長線Lより冷媒流れの外周側に位置されている。
【0038】
ここで、「延長線Lより冷媒流れの外周側」とは、本発明の実施の形態に係る熱交換器において、傾斜部15が上側に配置された一方のタンク3に設けられているので、延長線Lより下側に配置された他方のタンク3側の範囲を示している。
【0039】
また、一方のタンク3は、チューブ7の長手方向に分割された上タンク部材11と下タンク部材13とからなり、一方のタンク3の長手方向の端部には、冷媒導入口9の縁部から拡径するように傾斜する傾斜部15を有する拡径部17,17が設けられている。
【0040】
図1図2に示すように、一対のタンク3,3は、上下方向に離間して配置されている。上側に位置する一方のタンク3には、例えば、エンジンを流通する冷却水などの温水が流入される。この一方のタンク3の長手方向の一端側には、温水を一方のタンク3内部に流入させる配管203(図6参照)が接続される冷媒導入部19が設けられている。
【0041】
下側に位置する他方のタンク3には、一方のタンク3に流入された温水が複数のチューブ7を介して流入される。この他方のタンク3の長手方向の一端側には、他方のタンク3内部に流入された温水を再びエンジンに流通させる配管(不図示)が接続される冷媒導出部21が設けられている。
【0042】
この一対のタンク3,3は、それぞれチューブ7の長手方向(ここでは上下方向)に分割面23で分割された上タンク部材11と下タンク部材13とからなる。この上タンク部材11と下タンク部材13とは、分割面23を合わせた状態でろう付けされることによって固定され、1つのタンク3を構成する。
【0043】
このような一方のタンク3の下タンク部材13と他方のタンク3の上タンク部材11とには、それぞれ長手方向に沿って等間隔に貫通孔である複数の組付穴25が設けられている。この複数の組付穴25に複数のチューブ7の両端部5,5をそれぞれ挿通することにより、一対のタンク3,3が複数のチューブ7を介して連通される。
【0044】
複数のチューブ7は、一対のタンク3,3間にタンク3の長手方向に沿って等間隔に配置されている。このチューブ7の両端部5,5は、一対のタンク3,3の組付穴25に挿入され、一対のタンク3,3の内部に所定の長さ突出されている。
【0045】
この一対のタンク3,3の内部に突出されたチューブ7の両端部5,5は、拡径されることにより組付穴25の縁部に係合され、一対のタンク3,3からのチューブ7の抜け止めがなされて仮組される。この仮組の後、ろう付けされることによってチューブ7が一対のタンク3,3に固定される。
【0046】
このようにチューブ7の両端部5,5は、一対のタンク3,3に対するチューブ7の組付性を向上するために、組付穴25から一対のタンク3,3の内部に突出させる必要がある。
【0047】
このような複数のチューブ7間には、複数のフィンなどで構成される熱交換部材27が設けられ、一方のタンク3からチューブ7の内部を流れる温水とチューブ7の外側を流れる冷却風との間で熱交換を行い、熱交換を行った温水を他方のタンク3に流入させる。
【0048】
なお、このような熱交換器1のように、一方のタンク3に温水が導入され、複数のチューブ7を流通し、他方のタンク3から温水が導出される方式を、1パス方式という。
【0049】
このような1パス方式の熱交換器1における複数のチューブ7の内部を流れる温水は、一方のタンク3の冷媒導入部19から導入される。冷媒導入部19には、一方のタンク3の長手方向一端側の開口である冷媒導入口9が設けられている。
【0050】
この冷媒導入部19には、円盤状に形成され中央部に冷媒導入口9より大径の貫通孔が設けられた連結部材29が固定される。この連結部材29の貫通孔には、円筒状のアダプタ31の一端側が挿通され、この挿通された一端側が治具などによって拡径されて連結部材29にカシメられてアダプタ31が固定される。
【0051】
このアダプタ31は、他端側が温水を流入させる配管203に治具などによって縮径されてカシメられて固定され、冷媒導入口9から一方のタンク3の内部に温水を導入させる。
【0052】
このような冷媒導入口9から一方のタンク3内に導入される温水は、タンク3の長手方向に沿って配置された複数のチューブ7に順次導入されるので、最も冷媒導入口9に近接するチューブ7に導入される温水の流量が最も多く、冷媒導入口9から遠ざかるに連れてチューブ7に導入される温水の流量が少なくなる。
【0053】
このため、冷媒導入部19の内径が冷媒導入口9の内径と同一である場合には、チューブ7の端部5がタンク3の内部に突出されているので、最も冷媒導入口9に近接するチューブ7の端部5に対する温水の主流の衝突が大きく、長期的な使用により、このチューブ7の端部5にエロージョンが発生してしまう。そこで、冷媒導入部19には、拡径部17,17が設けられている。
【0054】
拡径部17,17は、冷媒導入部19を構成する上タンク部材11と下タンク部材13とにそれぞれ設けられ、冷媒導入口9の縁部から拡径するように傾斜する傾斜部15を有する。
【0055】
この傾斜部15の内周面は、冷媒導入口9の端部から拡径するように滑らかな傾斜面となっている。このため、傾斜部15の内周面に凹凸部がなく、温水の流路抵抗の増大を抑制することができる。
【0056】
このような傾斜部15を有する拡径部17,17は、図2の矢印で示すように、冷媒導入口9に導入される温水がそれぞれの傾斜部15の内周面に沿って流通され、温水の主流が冷媒導入口9の中央部近傍を流れるように温水に対して方向性を持たせる。
【0057】
このような拡径部17,17に対して、最も冷媒導入口9に近接して配置されたチューブ7の端部5は、拡径部17,17の傾斜部15の内周面に沿って一方のタンク3の内部側に向けて引かれた延長線Lより他方のタンク3側、ここでは他方のタンク3が下側に配置されているので、下側に位置されている。
【0058】
このため、最も流量が多い温水の主流がチューブ7の端部5に衝突することがなく、長期的な使用によるチューブ7の端部5のエロージョンの発生を抑制することができ、チューブ7の耐久性を向上することができる。
【0059】
このような熱交換器1では、上タンク部材11と下タンク部材13とに、冷媒導入口9の縁部から拡径するように傾斜する傾斜部15を有する拡径部17,17が設けられているので、拡径部17,17の傾斜部15に沿って冷媒導入口9から温水の主流が一方のタンク3内に導入される。
【0060】
また、拡径部17の傾斜部15は、冷媒導入口9の縁部から拡径するように傾斜するので、冷媒導入口9が小さくなることがなく、温水の流路抵抗が増大することがない。加えて、傾斜部15は、冷媒導入口9の縁部から拡径するように傾斜するので、傾斜部15に沿って流通する温水への抵抗を抑制することができ、温水の流路抵抗の増大を抑制することができる。
【0061】
さらに、冷媒導入口9側に位置する一方のタンク3に連通するチューブ7の端部5は、傾斜部15から一方のタンク3の内部側に向けた延長線Lより他方のタンク3側(ここでは下側)に位置されているので、拡径部17,17の傾斜部15に沿って一方のタンク3内に導入された温水の主流がチューブ7の端部5に衝突することがなく、チューブ7の端部5にエロージョンが発生することを抑制することができる。
【0062】
従って、このような熱交換器1では、温水の流路抵抗を増大させることなく、チューブ7の端部5にエロージョンが発生することを抑制することができるので、チューブ7の耐久性を向上することができる。
【0063】
また、両タンク部材11,13に設けられた拡径部17,17を対称形状とすることにより、1つの金型などによって上タンク部材11と下タンク部材13とを成形することができ、一方のタンク3の製造コストを低減することができる。
【0064】
(第2実施形態)
図3を用いて第2実施形態について説明する。
【0065】
本実施の形態に係る熱交換器101は、拡径部17は、下タンク部材13に設けられている。
【0066】
なお、第1実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は第1実施形態を参照するものとし省略するが、第1実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0067】
図3に示すように、拡径部17は、下タンク部材13のみに設けられている。上タンク部材11は、端部が冷媒導入口9の内径と同等となるように冷媒導入口9の縁部から延設されている。
【0068】
この下タンク部材13に設けられた拡径部17の傾斜部15は、外径が同一の連結部材29やアダプタ31(図2参照)を組付可能とするような開口とするために、上タンク部材11と下タンク部材13とに拡径部17,17が設けられているときよりも、タンク3の長手方向の長さが同等に設定され、その傾斜角が大きく設定されている。
【0069】
このため、温水を流入させる配管203(図6参照)は、冷媒導入口9に対して下側に配置されることになり、冷媒導入口9に導入される温水の主流が冷媒導入口9の下側を流れることになるが、拡径部17は傾斜角が大きく設定された傾斜部15を有するので、温水が傾斜部15の内周面を沿って流れることにより、図3の矢印で示すように、温水の主流が冷媒導入口9の中央部近傍を流れることになる。
【0070】
従って、拡径部17の傾斜部15から一方のタンク3の内部側に向けた延長線Lより他方のタンク3側(ここでは下側)に位置する最も冷媒導入口9に近接して配置されたチューブ7の端部5には、最も流量が多い温水の主流が衝突することがなく、長期的な使用によるチューブ7の端部5のエロージョンの発生を抑制することができる。
【0071】
このような熱交換器101では、拡径部17が、下タンク部材13に設けられているので、冷媒導入口9に導入される温水の主流が下タンク部材13側に位置されるが、拡径部17の傾斜部15によって温水の主流に上タンク部材11側に向けた方向性を持たせることができる。
【0072】
また、上タンク部材11には、拡径部17が設けられていないので、上タンク部材11の冷媒導入口9側の上方が空きスペースとなり、周辺に配置される周辺部材の配置レイアウトの自由度を向上することができる。
【0073】
(第3実施形態)
図4図11を用いて第3実施形態について説明する。
【0074】
本実施の形態に係る熱交換器201は、冷媒を一方のタンク3に流入させる配管203が接続されるアダプタ205に、配管203側に向けて拡径するように傾斜する傾斜部15が設けられている。
【0075】
そして、一方のタンク3に連通し冷媒導入口9側に位置するチューブ7の端部5は、傾斜部15から一方のタンク3の内部側に向けた延長線Lより冷媒流れの外周側に位置されている。
【0076】
また、一方のタンク3の長手方向の端部には、アダプタ205が設けられ、アダプタ205の配管203の突き当て部207より冷媒流れの下流には、傾斜部15が設けられている。
【0077】
さらに、一方のタンク3の冷媒導入口9側には、内径側に連結部材29が固定され、アダプタ205は、連結部材29を介して一方のタンク3の冷媒導入口9に連通されている。
【0078】
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0079】
図4図6に示すように、一方のタンク3の冷媒導入口9側には、上タンク部材11の冷媒導入口9からアダプタ205側に向けて拡径するように固定部209が設けられている。この固定部209には、連結部材29が固定される。
【0080】
連結部材29は、外周の形状が固定部209の内周の形状と同等に形成されている。この連結部材29は、中央部に冷媒導入口9より大径の貫通孔が設けられ、冷媒導入口9を閉塞するように固定部209に固定される。
【0081】
この連結部材29によって冷媒導入口9を閉塞することにより、一方のタンク3の冷媒導入口9側の外周をアダプタ205で覆い、一方のタンク3とアダプタ205とをろう付けする場合に比較して、連結部材29の外周の形状を固定部209の内周の形状に合わせ易く、一方のタンク3とアダプタ205との間の隙間の形成を防止でき、冷媒(ここでは、温水)が漏れることを確実に防止することができる。
【0082】
このような連結部材29の貫通孔には、円筒状のアダプタ205の一端側が挿通され、この挿通された一端側が治具などによって拡径されて連結部材29にカシメられてアダプタ205が固定される。
【0083】
アダプタ205は、一端側に設けられ連結部材29の貫通孔に挿入され一方のタンク3の冷媒導入口9に接続されるタンク側開口211と、このタンク側開口211から配管203側に向けて拡径するように設けられた傾斜部15と、他端側にタンク側開口211より大径に設けられ配管203が挿入される配管側開口213とを有している。また、アダプタ205の内部には、配管203の段差状に形成された突き当て部207が設けられている。
【0084】
このアダプタ205は、タンク側開口211を連結部材29の貫通孔に挿入し、タンク側開口211の端部を治具などによって拡径するようにカシメることによって連結部材29を介して一方のタンク3の冷媒導入口9側に固定される。
【0085】
この一方のタンク3に固定されたアダプタ205には、配管側開口213に配管203の端部が突き当て部207と当接するまで挿入される。このとき、配管203の外周には、鍔部215が設けられており、鍔部215の端面がアダプタ205の内部で突き当て部207の冷媒流れの上流側に設けられた鍔部当接部217に当接される。
【0086】
このアダプタ205に配管203が挿入された状態で、アダプタ203の冷媒流れの最上流側に位置する配管側開口213が設けられた係止部219の外周を治具などによって内方に向けてカシメることによって配管203の抜け止めがなされ、アダプタ205を介して配管203が一方のタンク3に接続される。
【0087】
このアダプタ205のタンク側開口211の内径は、一方のタンク3の冷媒導入口9の内径とほぼ同等になるように設定されている。このようにタンク側開口211を設定することにより、タンク側開口211が小さくなることがなく、配管203から一方のタンク3に向けて流れる冷媒の流路抵抗が増大することがない。
【0088】
このようなアダプタ205の配管203の突き当て部207より冷媒流れの下流には、傾斜部15が設けられている。
【0089】
傾斜部15は、タンク側開口211から突き当て部207に向けて拡径するように設けられ、内周面が滑らかな傾斜面となっている。このため、傾斜部15の内周面に凹凸部がなく、冷媒の流路抵抗の増大を抑制することができる。
【0090】
この傾斜部15は、配管203からタンク側開口211を介して冷媒導入口9に導入される冷媒を傾斜部15の内周面に沿って流通させ、冷媒の主流が冷媒導入口9の中央部近傍を流れるように冷媒に対して方向性を持たせる。
【0091】
このような傾斜部15に対して、最も冷媒導入口9に近接して配置されたチューブ7の端部5は、傾斜部15の内周面に沿って一方のタンク3の内部側に向けて引かれた延長線Lより冷媒流れの外周側である他方のタンク3(図1参照)側、ここでは他方のタンク3が下側に配置されているので、下側に位置されている。
【0092】
このため、最も流量が多い冷媒の主流がチューブ7の端部5に衝突することがなく、長期的な使用によるチューブ7の端部5のエロージョンの発生を抑制することができ、チューブ7の耐久性を向上することができる。
【0093】
このような熱交換器201では、冷媒を一方のタンク3に流入させる配管203が接続されるアダプタ205に、配管203側に向けて拡径するように傾斜する傾斜部15が設けられているので、傾斜部15に沿って冷媒導入口9から冷媒の主流が一方のタンク3内に導入される。
【0094】
また、傾斜部15は、配管203側に向けて拡径するように傾斜するので、冷媒導入口9が小さくなることがなく、冷媒の流路抵抗が増大することがない。加えて、傾斜部15は、配管203側に向けて拡径するように傾斜するので、傾斜部15に沿って流通する冷媒への抵抗を抑制することができ、冷媒の流路抵抗の増大を抑制することができる。
【0095】
さらに、一方のタンク3に連通し冷媒導入口9側に位置するチューブ7の端部5は、傾斜部15から一方のタンク3の内部側に向けた延長線より冷媒流れの外周側に位置されているので、傾斜部15に沿って一方のタンク3内に導入された冷媒の主流がチューブ7の端部5に衝突することがなく、チューブ7の端部5にエロージョンが発生することを抑制することができる。
【0096】
従って、このような熱交換器201では、冷媒の流路抵抗を増大させることなく、チューブ7の端部5にエロージョンが発生することを抑制することができるので、チューブ7の耐久性を向上することができる。
【0097】
また、アダプタ205の配管203の突き当て部207より冷媒流れの下流には、傾斜部15が設けられているので、傾斜部15によって配管203から流れ出る冷媒の主流に対してすぐに方向性を持たせることができ、冷媒の主流がチューブ7の端部5に衝突することを確実に防止することができる。
【0098】
さらに、アダプタ205は、一方のタンク3の冷媒導入口9側の内径側に固定された連結部材29を介して一方のタンク3の冷媒導入口9に連通されているので、一方のタンク3と連結部材29との間の隙間の形成を防止し易く、冷媒が漏れることを確実に防止することができる。
【0099】
ここで、図7に示す熱交換器301のように、上タンク部材11の固定部209に加えて、下タンク部材13の冷媒導入口9側からアダプタ205側に向けて拡径するように固定部303を設け、これらの固定部209,303に連結部材29を固定してもよい。
【0100】
このような固定部209,303に対して連結部材29を固定し、この連結部材29の貫通孔にアダプタ205のタンク側開口211を固定することにより、タンク側開口211の内径を冷媒導入口9の内径より大径に設定することができ、冷媒の流路抵抗の増大をさらに抑制することができる。
【0101】
なお、連結部材29を固定する固定部209,303は、下タンク部材13に固定部303のみを設けてもよく、例えば、図8に示す熱交換器401や図9に示すアダプタ205のように、一方のタンク3の端部に固定部209,303を設けずに、一方のタンク3の端部に連結部材29を固定し、この連結部材29の貫通孔にアダプタ205のタンク側開口211を固定してもよい。
【0102】
この図8に示す熱交換器401では、一方のタンク3の端部側の設計変更を行う必要がなく、連結部材29を介してアダプタ205を固定することができ、様々な種類の一方のタンク3に対するアダプタ205の汎用性を向上することができる。
【0103】
一方、図10に示す熱交換器501や図11に示すアダプタ205のように、一方のタンク3の端部に固定部209,303を設けずに、アダプタ205のタンク側開口211が形成された部分に、外形を一方のタンク3の端部の外形に合わせて形成した固定部503を設け、この固定部503の内周側に一方のタンク3の端部の外周側を配置させ、一方のタンク3とアダプタ205とをろう付けしてもよい。
【0104】
この図10に示す熱交換器501では、一方のタンク3の端部側の設計変更を行う必要がなく、アダプタ205の固定部503の形状を一方のタンク3の形状に合わせればよく、様々な種類の一方のタンク3に対するアダプタ205の汎用性を向上することができる。
【0105】
このような熱交換器301,401,501においても、アダプタ205には、傾斜部15が設けられており、一方のタンク3に連通し冷媒導入口9側に位置するチューブ7の端部5は、傾斜部15から一方のタンク3の内部側に向けた延長線Lより冷媒流れの外周側に位置されている。
【0106】
このため、熱交換器301,401,501では、冷媒の流路抵抗を増大させることなく、チューブ7の端部5にエロージョンが発生することを抑制することができるので、チューブ7の耐久性を向上することができる。
【0107】
(第4実施形態)
図12図13を用いて第4実施形態について説明する。
【0108】
本実施の形態に係る熱交換器601は、アダプタ603が、配管203側の開口である配管側開口213の中心と一方のタンク3側の開口であるタンク側開口211の中心とが偏心して設けられている。
【0109】
そして、傾斜部15の一部は、傾斜部15の他の部分に対してアダプタ603内の冷媒流れ方向に対する傾斜角が大きく設定されている。
【0110】
なお、他の実施形態と同一の構成には、同一の記号を記して構成及び機能説明は他の実施形態を参照するものとし省略するが、他の実施形態と同一の構成であるので、得られる効果は同一である。
【0111】
図12図13に示すように、アダプタ603は、タンク側開口211側に設けられた固定部503を介して一方のタンク3の端部にろう付けされている。なお、アダプタ603は、一方のタンク3に対して連結部材29(図2参照)を介して固定されていてもよい。
【0112】
このアダプタ603は、配管側開口213の中心とタンク側開口211の中心とが偏心して設けられている。詳細には、タンク側開口211の中心が、配管側開口213の中心、すなわちアダプタ603の中心に対して上方に位置されることにより偏心されている。
【0113】
このようにアダプタ603の配管側開口213の中心とタンク側開口211の中心とが偏心することにより、傾斜部15の一部(ここでは図12図13の下側に位置する部分)は、傾斜部15の他の部分(ここでは図12図13の上側に位置する部分)よりアダプタ603内における冷媒流れ方向に対する傾斜角が大きくなる。
【0114】
このようなアダプタ603に接続される配管203(図6参照)は、冷媒導入口9に対して下側に配置されることになり、冷媒導入口9に導入される冷媒の主流が冷媒導入口9の下側を流れることになる。
【0115】
しかしながら、傾斜部15は、冷媒流れに対する傾斜角が大きく設定されているので、冷媒が傾斜部15の内周面を沿って流れることにより、冷媒の主流がよりチューブ7の端部5から遠ざかる方向に向けた方向性を持って流れることになる。
【0116】
従って、傾斜部15から一方のタンク3の内部側に向けた延長線Lより冷媒流れの外周側である他方のタンク3(図1参照)側(ここでは下側)に位置する最も冷媒導入口9に近接して配置されたチューブ7の端部5には、最も流量が多い冷媒の主流が衝突することがなく、長期的な使用によるチューブ7の端部5のエロージョンの発生を抑制することができる。
【0117】
一方、傾斜部15の他の部分である上側は、配管側開口213の中心とタンク側開口211の中心との偏心によって冷媒流れに対する傾斜角が非常に小さく設定されており、ここではほぼ水平に設定されている。
【0118】
このようにチューブ7の端部5が位置する下タンク部材13と反対側の上タンク部材11側の傾斜部15の傾斜角を非常に小さく設定することにより、熱交換器601における上下方向に空きスペースを設けることができる。
【0119】
このような空きスペースを設けることにより、例えば、熱交換器601を収容するケースなどの周辺部材を小型化することができるなど、熱交換器601の周辺に配置される周辺部材の配置レイアウトの自由度を向上することができる。
【0120】
このような熱交換器601では、配管側開口213の中心とタンク側開口211の中心とが偏心することにより、傾斜部15の一部が、傾斜部15の他の部分に対してアダプタ603内の冷媒流れ方向に対する傾斜角が大きく設定されている。
【0121】
このため、傾斜角が大きく設定された傾斜部15の一部に沿って流れる冷媒の主流に対して、チューブ7の端部5から遠ざける方向に確実に方向性を持たせることができ、チューブ7の端部5にエロージョンが発生することをさらに抑制することができる。
【0122】
また、傾斜部15の他の部分は、傾斜角が大きく設定されていないので、傾斜部15の他の部分の周辺を空きスペースとすることができ、周辺に配置される周辺部材の配置レイアウトの自由度を向上することができる。
【0123】
なお、本発明の実施の形態に係る熱交換器では、冷媒導入口が設けられた一方のタンクが上側に設けられているので、チューブの端部が傾斜部から一方のタンクの内部側に向けた延長線より冷媒流れの外周側である他方のタンク側としての下側に位置されているが、冷媒導入口が設けられた一方のタンクが下側に設けられている場合には、チューブの端部が傾斜部から一方のタンクの内部側に向けた延長線より冷媒流れの外周側である他方のタンク側としての上側に位置されることになる。
【0124】
このように冷媒導入口がいずれの方向に配置されている場合であっても、チューブの端部を傾斜部から一方のタンクの内部側に向けた延長線より冷媒流れの外周側に位置させることにより、冷媒の主流とチューブの端部との衝突を防止することができる。
【0125】
加えて、本発明の実施の形態に係る熱交換器では、傾斜部が下タンク部材に設けられているが、これは上側に配置された一方のタンクには下タンク部材にチューブの端部が接続されているためである。
【0126】
このため、一方のタンクが下側に配置されている場合には、本実施の形態における上タンク部材にチューブの端部が接続されているので、本実施の形態における上タンク部材に傾斜部が設けられていることになる。
【0127】
すなわち、一方のタンクが下側に配置されている場合には、本実施の形態における「上タンク部材」が「下タンク部材」と同様の意味を有しており、このような場合であっても、本実施の形態における熱交換器と同様の効果を得ることができる。
【0128】
また、熱交換器は、例えば、チューブを流れる冷媒と冷却風との熱交換により冷却風を暖めるヒータコア、チューブを流れる冷媒と冷却風との熱交換により冷媒を冷却するラジエータなど、どのような形態の熱交換器であってもよい。
【0129】
さらに、熱交換器は、1パス方式を採用しているが、これに限らず、冷媒の主流に対してチューブの端部が交差する方向に突出している構成であれば、2パス方式以上の熱交換器であっても、本発明の構成を適用することができる。
【符号の説明】
【0130】
1,101,201,301,401,501,601…熱交換器
3…タンク
5…端部
7…チューブ
9…冷媒導入口
11…上タンク部材
13…下タンク部材
15…傾斜部
17…拡径部
29…連結部材
31,205,603…アダプタ
203…配管
207…突き当て部
211…タンク側開口
213…配管側開口
L…延長線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13