特許第6483445号(P6483445)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483445
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】エアゾール容器用キャップ
(51)【国際特許分類】
   B65D 83/14 20060101AFI20190304BHJP
   B05B 9/04 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   B65D83/14BRA
   B65D83/14BSF
   B65D83/14BSQ
   B05B9/04
【請求項の数】3
【全頁数】14
(21)【出願番号】特願2015-5776(P2015-5776)
(22)【出願日】2015年1月15日
(65)【公開番号】特開2015-163529(P2015-163529A)
(43)【公開日】2015年9月10日
【審査請求日】2017年10月23日
(31)【優先権主張番号】特願2014-17678(P2014-17678)
(32)【優先日】2014年1月31日
(33)【優先権主張国】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000112853
【氏名又は名称】フマキラー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】山本 和則
【審査官】 米村 耕一
(56)【参考文献】
【文献】 国際公開第2009/107827(WO,A1)
【文献】 特開2002−179104(JP,A)
【文献】 特開2011−184070(JP,A)
【文献】 国際公開第2006/080320(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00−83/76
B05B 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
噴出物を収容する容器本体と、該容器本体に押動可能に設けられ、押動された状態で噴出物を噴出させる噴出管とを有するエアゾール容器に取り付けられる樹脂製のエアゾール容器用キャップにおいて、
上記エアゾール容器に取り付けられるキャップ本体と、
上記噴出管の押動方向に変位するように上記キャップ本体に設けられたボタンと、
上記ボタンから上方へ突出するように形成されて上記噴出管に接続される吐出管部と、
上記吐出管部に接続されるノズルとを備え、
上記キャップ本体における上記ボタンの周囲には、第1柱状部、第2柱状部、第3柱状部及び第4柱状部が上記ノズルよりも上方へ突出するように設けられ、
使用者が上記エアゾール容器を使用する使用状態としたとき、上記第1柱状部は上記キャップ本体の右前に配置され、上記第2柱状部は上記キャップ本体の左前に配置され、上記第3柱状部は上記キャップ本体の右後に配置され、上記第4柱状部は上記キャップ本体の左後に配置され、
上記ボタンは、上記第3柱状部と上記第4柱状部との間に配置され、
上記第3柱状部と上記第4柱状部との間隔は、使用者の指を通すことが可能となるように、上記第1柱状部と上記第2柱状部との間隔よりも広く設定されており、
上記第1柱状部の上端部と、上記第3柱状部の上端部とを連結する連結部と、上記第2柱状部の上端部と、上記第4柱状部の上端部とを連結する連結部とが設けられていることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【請求項2】
請求項1に記載のエアゾール容器用キャップにおいて、
上記ボタンの側方が開放されていることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【請求項3】
請求項1に記載のエアゾール容器用キャップにおいて、
上記柱状部は、上下方向に延びる第1板状部と、上下方向に延び、かつ、上記第1板状部に対して交差する方向に延びる第2板状部とを有しており、上記第1板状部と上記第2板状部とが一体成形されていることを特徴とするエアゾール容器用キャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば薬剤等を噴出するエアゾール容器に取り付けられるエアゾール容器用キャップに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、エアゾール容器には内容物を噴出するための噴出管が設けられており、この噴出管を押圧して操作することのできるボタンを備えた樹脂製のエアゾール容器用キャップが知られている(例えば特許文献1参照)。特許文献1のキャップは、キャップ本体に対して傾動するボタンを有しており、このボタンの上部にはノズルが一体に設けられている。キャップ本体は、エアゾール容器に固定されるベース部と、ベース部の左側から上方へ延びる左側壁部と、ベース部の右側から上方へ延びる右側壁部とを有している。左右両側壁部は、ノズルよりも上方に延びるとともに、キャップの前後両端近傍まで延びている。これにより、例えばキャップの上に他のエアゾール容器が積載された場合のように上方からキャップに対して荷重がかかったときにボタンやノズル等を保護することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−184070号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1のキャップの左右両側壁部はボタンやノズル等を保護すべく当該ノズルの上方まで延び、しかも、キャップ本体の前後両端近傍まで延びているので大きなものとなる。このため、キャップの成形に必要な樹脂材の量が多くなり、キャップの重量が増加する。また、樹脂材の量が多いということは、使用後に廃棄される樹脂材の量が増加するということであり、省資源の観点から樹脂材の廃棄量を削減したいという要求がある。
【0005】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、キャップの軽量化及び使用後の樹脂材の廃棄量を削減しながら、ボタンやノズルを上方の荷重から保護できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明では、ボタンの周囲に柱状部を設けてキャップの側方を開放することで樹脂材の使用量を削減した。
【0007】
第1の発明は、
噴出物を収容する容器本体と、該容器本体に押動可能に設けられ、押動された状態で噴出物を噴出させる噴出管とを有するエアゾール容器に取り付けられる樹脂製のエアゾール容器用キャップにおいて、
上記エアゾール容器に取り付けられるキャップ本体と、
上記噴出管の押動方向に変位するように上記キャップ本体に設けられたボタンと、
上記ボタンから上方へ突出するように形成されて上記噴出管に接続される吐出管部と、
上記吐出管部に接続されるノズルとを備え、
上記キャップ本体における上記ボタンの周囲には、第1柱状部、第2柱状部、第3柱状部及び第4柱状部が上記ノズルよりも上方へ突出するように設けられ、
使用者が上記エアゾール容器を使用する使用状態としたとき、上記第1柱状部は上記キャップ本体の右前に配置され、上記第2柱状部は上記キャップ本体の左前に配置され、上記第3柱状部は上記キャップ本体の右後に配置され、上記第4柱状部は上記キャップ本体の左後に配置され、
上記ボタンは、上記第3柱状部と上記第4柱状部との間に配置され、
上記第3柱状部と上記第4柱状部との間隔は、使用者の指を通すことが可能となるように、上記第1柱状部と上記第2柱状部との間隔よりも広く設定されており、
上記第1柱状部の上端部と、上記第3柱状部の上端部とを連結する連結部と、上記第2柱状部の上端部と、上記第4柱状部の上端部とを連結する連結部とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
この構成によれば、ボタンの周囲の柱状部がノズルよりも上方まで延びているので、その柱状部が上方からの荷重を受けることになる。このとき、柱状部の少なくとも2つの上端部同士が連続しているので柱状部の変形が抑制され、荷重がノズルに対して直接的にかかるのが抑制される。複数の柱状部の間は開放されるので、従来例のように大型の側壁部を2つ設ける場合に比べてキャップの成形に必要な樹脂材の量が削減される。
【0009】
第2の発明は、第1の発明において、
上記ボタンの側方が開放されていることを特徴とする。
【0010】
この構成によれば、キャップの成形に必要な樹脂材の量がより一層削減される。また、ノズルから噴射物を噴射する際、噴射物と共にボタンの側方からも空気が流れるようになり、噴射物の有効到達距離を長くする効果が期待できる。
【0011】
第3の発明は、第1または2の発明において、
上記柱状部は、上下方向に延びる第1板状部と、上下方向に延び、かつ、上記第1板状部に対して交差する方向に延びる第2板状部とを有しており、上記第1板状部と上記第2板状部とが一体成形されていることを特徴とする。
【0012】
この構成によれば、一体成形された第1板状部と第2板状部とが交差しているので、柱状部が上方からの荷重に対して折れ曲がりにくくなる
【発明の効果】
【0013】
第1の発明によれば、ボタンの周囲にノズルよりも上方へ突出する柱状部を設けて柱状部の少なくとも2つの上端部同士を連続させているので、キャップの成形に必要な樹脂材の量を削減してキャップを軽量化できるとともに使用後の樹脂材の廃棄量を削減でき、しかも、ボタンやノズルを保護することができる。
【0014】
第2の発明によれば、ボタンの側方を開放したことでキャップの成形に必要な樹脂材の量をより一層削減できる。
【0015】
第3の発明によれば、上下方向に延びる第1板状部及び第2柱状部が互いに交差するように一体成形されて柱状部を構成しているので、柱状部の強度を十分に高めることができ、荷重が大きな場合でもボタンやノズルを保護することができる
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップが取り付けられたエアゾール容器を前方から見た斜視図である。
図2】エアゾール容器用キャップが取り付けられエアゾール容器を後方から見た斜視図である。
図3】エアゾール容器用キャップの正面図である。
図4】エアゾール容器用キャップの背面図である。
図5】エアゾール容器用キャップの平面図である。
図6】エアゾール容器用キャップの左側面図である。
図7】本発明の実施形態2に係る図1相当図である。
図8】本発明の実施形態3に係る図1相当図である。
図9】本発明の実施形態3に係る図2相当図である。
図10】本発明の実施形態3に係る図3相当図である。
図11】本発明の実施形態3に係る図4相当図である。
図12】本発明の実施形態3に係る図5相当図である。
図13】本発明の実施形態3に係る図6相当図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0018】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1に係るエアゾール容器用キャップ1が取り付けられたエアゾール容器100を前方から見た斜視図である。
【0019】
尚、この実施形態の説明では、「前側」とは、使用者がエアゾール容器100を使用する状態としたときに使用者から見て前方となる側をいい、「後側」とは、同状態としたときに使用者から見て後方となる側をいい、「右側」とは、同状態としたときに使用者から見て右となる側をいい、「左側」とは、同状態としたときに使用者から見て左となる側をいうものとする。
【0020】
エアゾール容器用キャップ1の説明の前に、エアゾール容器100について説明する。エアゾール容器100は、殺虫剤(噴出物)及び殺虫剤を噴出させるための圧縮ガスが収容された縦長の容器本体101と、容器本体101に設けられた噴出管102とを備えた周知の構造のものである。容器本体101は、円筒状である。また、噴出管102は、容器本体101の上壁部の略中心部に設けられている。噴出管102は、容器本体101の上壁部から上方へ突出するように上方へ付勢されており、下方(容器本体101の内方)へ押動可能となっている。噴出管102を下方へ押動した状態で内部の弁(図示せず)が開放されて殺虫剤がガスの圧力によって噴出される。また、容器本体101に収容する噴出物は、殺虫剤に限られるものではなく、例えば、消臭剤、芳香剤、整髪料等が挙げられる。また、ガスの種類も特に限定されない。
【0021】
エアゾール容器用キャップ1は、容器本体101の上部に取り付けられるキャップ本体10と、上記噴出管102を操作するためのボタン20とを備えている。キャップ本体10及びボタン20は、弾性を有する樹脂材を用いて一体成形されている。
【0022】
キャップ本体10は、ベース部11と、左前柱状部12と、右前柱状部13と、左後柱状部14と、右後柱状部15とを備えている。ベース部11は、容器本体101の上部を周方向に囲む円環状に形成された外環部11aと、外環部11aの内方に設けられ、容器本体101に嵌合する嵌合部(図示せず)とを備えている。外環部11aは、容器本体101の上端部を覆うように形成されている。外環部11aの前部には、製品の名前等を表示することができる表示部11bが前方へ突出するように設けられている。嵌合部は、容器本体101の上部に設けられた凹部(図示せず)に嵌合する爪(図示せず)を有している。嵌合部は、容器本体101の径方向に弾性変形するようになっており、これにより爪を凹部に嵌合させることができる。
【0023】
外環部11aには、板状のバネ部11cが一体成形されている。バネ部11cは、前後方向に延びている。バネ部11cの前端部は、外環部11aの前端部に一体成形された状態で連なっている。バネ部11cは、外環部11aの前端部から該外環部11aの中心部近傍へ向かって後側へ行くほど上方に位置するように傾斜しており、後側部分に対して下方への押圧力を作用させると下方へ撓み変形する一方、押圧力を除くと元の形状に復元する。バネ部11cの幅は、左前柱状部12と右前柱状部13との間隔よりも狭く設定されている。
【0024】
ボタン20は、バネ部11cの後端部に一体成形されている。ボタン20には、エアゾール容器100の噴出管102に接続される吐出管部21と、吐出管部21に接続される第1及び第2ノズル23、24とが設けられている。吐出管部21は、ボタン20から上方へ突出している。吐出管部21の下端部(上流端部)は、ボタン20を貫通して下方へ突出しており、この下端部の内側に噴出管102の上端部が嵌合して連通するようになっている。
【0025】
第1ノズル23は、吐出管部21の上端部近傍から前方へ延びる円管状に形成されている。第2ノズル24は、吐出管部21における第1ノズル23との接続部位よりも下方へ離れた部位から前方へ延びる円管状に形成されている。第1ノズル23の前端部は、第2ノズル24の前端部よりも後方に位置している。この実施形態では、第1ノズル23と第2ノズル24の2つのノズルを設けているが、いずれか1つのみ設けてもよい。また、第1ノズル23と第2ノズル24の長さは同じにしてもよいし、異なる長さにしてもよい。
【0026】
図2にも示すように、ボタン20の吐出管部21よりも後側には、殺虫剤を噴射する際に使用者が指を載せて押圧するための指載置板部25が略水平に延びるように形成されている。指載置板部25の幅は、左後柱状部14と右後柱状部15との間隔よりも狭く設定されている。指載置板部25は、その後側が前側に比べて幅広に形成されている。また、ボタン20には、指載置板部25の前縁部から上方へ延びる縦板部26が形成されている。縦板部26は吐出管部21の後部に一体化している。縦板部26の幅は、指載置板部25の前端部の幅と略等しく設定されており、吐出管部21の外径よりも広くなっている。縦板部26の上端部は、吐出管部21の上端部と略同じ高さにある。
【0027】
左前柱状部12、右前柱状部13、左後柱状部14及び右後柱状部15は、キャップ本体10におけるボタン20の周囲に設けられている。これら柱状部12〜15は、吐出管部21の上端部よりも上方に突出している。具体的には、左前柱状部12は、ベース部11におけるボタン20の左斜め前方に位置しており、略真っ直ぐに上方へ延びている。右前柱状部13は、ベース部11におけるボタン20の右斜め前方に位置しており、略真っ直ぐに上方へ延びている。図6に示すように、左前柱状部12及び右前柱状部13は、側面視で重複するように配置されている。また、図1図2に示すように、左後柱状部14は、ベース部11におけるボタン20の左側方に位置しており、左前柱状部12との間に空間が形成されるようになっている。右後柱状部15は、ベース部11におけるボタン20の右側方に位置しており、右前柱状部13との間に空間が形成されるようになっている。従って、左前柱状部12と左後柱状部14との間の空間及び右前柱状部13と右後柱状部15との間の空間によってボタン20の左右両側方は開放されることになる。また、図6に示すように、左後柱状部14及び右後柱状部15も側面視で重複するように配置されている。
【0028】
左後柱状部14と右後柱状部15との間隔は、左前柱状部12と右前柱状部13との間隔よりも広く設定されており、指載置板部25に指を置きやすくなっている。
【0029】
図3等に示すように、左前柱状部12は、上下方向に延び、かつ、前後方向に延びる第1板状部12aと、上下方向に延び、かつ、後側へ行くほど左側に位置するように延びる第2板状部12bとを有しており、第1板状部12aと第2板状部12bとは一体成形されている。第2板状部12bは後側へ行くほど左側に位置しているので、第1板状部12aに対して交差する方向に延びることになる。
【0030】
右前柱状部13は、上下方向に延び、かつ、前後方向に延びる第1板状部13aと、上下方向に延び、かつ、後側へ行くほど右側に位置するように延びる第2板状部13bとを有しており、第1板状部13aと第2板状部13bとは一体成形されている。第2板状部13bは第1板状部13aに対して交差する方向に延びている。
【0031】
図4に示すように、左後柱状部14は、上下方向に延び、かつ、前後方向に延びる第1板状部14aと、上下方向に延び、かつ、後側へ行くほど左側に位置するように延びる第2板状部14bとを有しており、第1板状部14aと第2板状部14bとは一体成形されている。第1板状部14bは第1板状部14aに対して交差する方向に延びている。
【0032】
右後柱状部15は、上下方向に延び、かつ、前後方向に延びる第1板状部15aと、上下方向に延び、かつ、後側へ行くほど右側に位置するように延びる第2板状部15bとを有しており、第1板状部15aと第2板状部15bとは一体成形されている。第2板状部15bは第1板状部15aに対して交差する方向に延びている。
【0033】
図6に示すように、左後柱状部14及び右後柱状部15は、下方へ行くほど前後方向の寸法が長くなるように形成されている。
【0034】
また、図1図2に示すように、キャップ本体10は、左前柱状部12の上端部と左後柱状部14の上端部とを連続させる第1左側連結部30と、右前柱状部13の上端部と右後柱状部15の上端部とを連続させる第1右側連結部31とを有している。図6に示すように、第1左側連結部30及び第1右側連結部31は、前側へ行くほど上方に位置するように緩やかに傾斜している。第1左側連結部30及び第1右側連結部31の後側は下方へ向けて緩やかに湾曲している。
【0035】
さらに、図1に示すように、キャップ本体10は、左前柱状部12の上端部と右前柱状部13の上端部とを連続させる前側連結部33を有している。第1左側連結部30、第1右側連結部31及び前側連結部33により、左前柱状部12、右前柱状部13、左後柱状部14及び右後柱状部15が互いに連続することになる。
【0036】
また、キャップ本体10は、左前柱状部12の上端部と左後柱状部14の下端部とを連続させる第2左側連結部34と、右前柱状部13の上端部と右後柱状部15の下端部とを連続させる第2右側連結部35とを有している。図3に示すように、第2左側連結部34及び第2右側連結部35は、上下方向の中間部が最もキャップ1外方に位置するように湾曲している。
【0037】
上記のように構成されたエアゾール容器用キャップ1では、ボタン20の周囲に設けた左前柱状部12、右前柱状部13、左後柱状部14及び右後柱状部15が第1及び第2ノズル23、24よりも上方まで延びている。このため、例えば搬送中にエアゾール容器用キャップ1の上に別のエアゾール容器が置かれた場合のように、上方から荷重が作用する場合を想定すると、柱状部12〜15がその荷重を受けることになる。このとき、左前柱状部12と左後柱状部14の上端部同士、右前柱状部13と右後柱状部15の上端部同士をそれぞれ連続させているので、柱状部12〜15の変形が抑制され、荷重が第1及び第2ノズル23、24やボタン20に対して直接的にかかるのが抑制される。
【0038】
また、左前柱状部12、右前柱状部13、左後柱状部14及び右後柱状部15の間が開放されているので、従来例のように大型の側壁部を2つ設ける場合に比べてエアゾール容器用キャップ1の成形に必要な樹脂材の量が削減される。
【0039】
以上説明したように、この実施形態1によれば、エアゾール容器用キャップ1の成形に必要な樹脂材の量を削減してエアゾール容器用キャップ1を軽量化できるとともに使用後の樹脂材の廃棄量を削減でき、しかも、ボタン20やノズル23、24を柱状部12〜15によって確実に保護することができる。
【0040】
特に、ボタン20の側方を開放したことでエアゾール容器用キャップ1の成形に必要な樹脂材の量をより一層削減できる。そして、第1及び第2ノズル23、24から殺虫剤を噴射する際、噴射された殺虫剤と共にボタン20の側方からも空気が前方へ流れるようになり、殺虫剤の有効到達距離を長くする効果が期待できる。
【0041】
また、左前柱状部12を構成する第1板状部12aと第2板状部12bとが交差するように一体成形されているので、左前柱状部12が上方からの荷重に対して折れ曲がりにくくなる。右前柱状部13、左後柱状部14及び右後柱状部15も同様である。よって、上方からの荷重が大きな場合でもボタン20や第1及び第2ノズル23、24を保護することができる。
【0042】
さらに、左前柱状部12の上端部と左後柱状部14の下端部とを連続させる第2左側連結部34を有しているので、左前柱状部12及び左後柱状部14の変形が第2左側連結部34によって抑制される。右前柱状部13及び右後柱状部15も同様に第2右側連結部35によって変形が抑制される。
【0043】
尚、前側連結部33は省略することもできる。
【0044】
また、左前柱状部12の第1板状部12aと第2板状部12bとの交差角度は任意に設定することができ、両板状部12a、12bがT字をなすように交差していてもよい。また、左前柱状部12は、断面がコ字やU字状であってもよいし、筒状であってもよい。
【0045】
(実施形態2)
図7は、本発明の実施形態2に係るエアゾール容器用キャップ1が取り付けられたエアゾール容器100を示すものである。実施形態2では、実施形態1における左前柱状部12の上端部と右前柱状部13の上端部とを連続させる前側連結部33と、左前柱状部12の上端部と左後柱状部14の下端部とを連続させる第2左側連結部34と、右前柱状部13の上端部と右後柱状部15の下端部とを連続させる第2右側連結部35とを省略している点で実施形態1のものと異なっており、他の部分は実施形態1と同じであるため、同じ符号を付して説明は省略する。
【0046】
実施形態2では、前側連結部33、第2左側連結部34及び第2右側連結部35を省略したことで、エアゾール容器用キャップ1の成形に必要な樹脂材の量をより一層削減できる。これにより、エアゾール容器用キャップ1をより一層軽量化できる。
【0047】
また、第2左側連結部34及び第2右側連結部35を省略したことで、ボタン20の側方がより広く開放されることになる。
【0048】
実施形態2のものも、実施形態1のものと同様に、エアゾール容器用キャップ1を軽量化できるとともに使用後の樹脂材の廃棄量を削減でき、しかも、ボタン20やノズル23、24を柱状部12〜15によって確実に保護することができる。
【0049】
(実施形態3)
図8図13は、本発明の実施形態3に係るエアゾール容器用キャップ1が取り付けられたエアゾール容器100を示すものである。実施形態3では、エアゾール容器用キャップ1の各部の形状が実施形態1のものとは異なっており、基本的な構成は実施形態1と同じであるため、以下、実施形態1と同じ部分には同じ符号を付して説明を省略し、異なる部分について説明する。
【0050】
第1ノズル23の先端部には、噴出方向へ向けて徐々に拡径するフレア形状部23aが設けられている。フレア形状部23aには、該フレア形状部23aの先端部から基端側へ向けて延びる複数のスリット23b、23b、…が形成されている。スリット23b、23b、…は、第1ノズル23の周方向に互いに間隔をあけて配置されている。また、同様に、第2ノズル24の先端部にもフレア形状部24aが設けられている。このフレア形状部24aにも複数のスリット24b、24b、…が形成されている。
【0051】
図11図13に示すように、ベース部11には、左側切り込み部11d及び右側切り込み部11eが形成されている。左側切り込み部11dは、ベース部11の外環部11aの後側上端部から斜め左下方へ延びるように形成されており、前端部は外環部11aの左側まで回り込んでいる。右側切り込み部11eは、ベース部11の外環部11aの後側上端部から斜め右下方へ延びるように形成されており、前端部は外環部11aの右側まで回り込んでいる。左側切り込み部11d及び右側切り込み部11eをベース部11に形成することで、ベース部11の成形に必要な樹脂材の量を削減できる。
【0052】
図11に示すように、ベース部11の後側には、左側切り込み部11dと右側切り込み部11eとの間に、上方へ突出する後側突出板部11fが形成されている。後側突出板部11fは、左右方向の中央部が最も高くなるように背面視で山型をなしている。
【0053】
また、図9に示すように、ボタン20の指載置板部25の後端部には、下方へ屈曲して延びる後側板部25aが形成されている。後側板部25aは、ベース部11の後側突出板部11fよりも前側に位置しており、図11に示すように、左右方向の中央部が最も下に位置するように形成されている。後側板部25aの下端部は、ベース部11の後側突出板部11fの上端部よりも下に位置している。
【0054】
左後柱状部14の基端部(下端部)は、ベース部11の左側切り込み部11dの前端部、即ち、ベース部11の左側において前後方向中央部近傍に位置している。左後柱状部14の基端部から上下方向中央部までの部分は、上側へ行くほど後方に位置するように湾曲しながら延びている。左後柱状部14の上下方向中央部から上端部までの部分は、上側へ行くほど前に位置するように傾斜して延びている。
【0055】
また、右後柱状部15の基端部(下端部)は、ベース部11の右側切り込み部11eの前端部、即ち、ベース部11の右側において前後方向中央部近傍に位置している。右後柱状部15は、左後柱状部14と同様に、略下半部が上側へ行くほど後方に位置するように湾曲しながら延びる一方、略上半部は、上側へ行くほど前に位置するように傾斜して延びている。
【0056】
左後柱状部14及び右後柱状部15の上端部は、左前柱状部12及び右前柱状部13の上端部よりも高くなっている。したがって、第1左側連結部30及び第1右側連結部31は、後側へ行くほど上方に位置するように緩やかに傾斜している。
【0057】
また、左前柱状部12の上端部と右前柱状部13の上端部とを連続させる前側連結部33は、左右方向中央部が最も上に位置するように上方へ湾曲している。
【0058】
また、第2左側連結部34は、左前柱状部12の下端部と左後柱状部14の上端部とを連続させるように、後側へ行くほど上に位置するように傾斜しながら延びている。また、第2右側連結部35は、右前柱状部13の下端部と右後柱状部15の上端部とを連続させるように、後側へ行くほど上に位置するように傾斜しながら延びている。
【0059】
実施形態3のものも、実施形態1のものと同様に、エアゾール容器用キャップ1を軽量化できるとともに使用後の樹脂材の廃棄量を削減でき、しかも、ボタン20やノズル23、24を柱状部12〜15によって確実に保護することができる。
【0060】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0061】
以上説明したように、本発明に係るエアゾール容器用キャップは、殺虫剤等を収容したエアゾール容器に取り付けて使用することができる。
【符号の説明】
【0062】
1 エアゾール容器用キャップ
10 キャップ本体
12 左前柱状部
12a 第1板状部
12b 第2板状部
13 右前柱状部
14 左後柱状部
15 右後柱状部
20 ボタン
21 吐出管部
23 第1ノズル
24 第2ノズル
100 エアゾール容器
101 容器本体
102 噴出管
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13