(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記算出部は、前記区画線代表値として前記区画線表示領域を構成する複数の画素の輝度値の中央値を算出し、前記路面代表値として前記路面表示領域を構成する複数の画素の輝度値の中央値を算出する、
請求項1に記載の複合線判定装置。
前記算出部は、前記区画線代表値として前記区画線表示領域を構成する複数の画素の輝度値の平均値を算出し、前記路面代表値として前記路面表示領域を構成する複数の画素の輝度値の平均値を算出する、
請求項1に記載の複合線判定装置。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の説明において、同一要素には同一符号を付し、重複する説明を省略する。
(第一実施形態)
【0014】
図1は、本発明の第一実施形態に係る複合線判定装置1の構成概要図である。
図2は、複合線判定装置1の複合線判定に用いられる走行路画像の説明図である。
【0015】
図1に示されるように、複合線判定装置1は、車両に搭載されたカメラ2により撮像された走行路画像を用いて車両の走行路の区画線が複合線であるか否かを判定する装置である。走行路の区画線は、走行路の路面に表示され車線を区画する線であって、白線又はレーンマーカと称され、車道中央線、車線境界線、車道外側線を含む。車道中央線は、走行方向の異なる複数の車線を区画するための線であって、センターラインと称される。車線境界線は、同じ走行方向で隣接する車線の間の境界を示す線である。車道外側線は、走行路の路端側に引かれる線である。複合線は、区画線が複数の線により構成されるものであり、単線のみの区画線以外の区画線である。
【0016】
複合線判定装置1は、例えば、ECU(Electronic Control Unit)10によって構成され、判定ライン設定部11、領域設定部12、輝度状態算出部13及び複合線判定部14を備える。ECU10は、複合線判定制御処理を行う電子制御ユニットであり、例えばCPU、ROM、RAMを含むコンピュータを主体として構成されている。このECU10は、複合線判定装置1のみを構成するものでもよいし、複合線判定装置1以外の機能を備えるものであってもよいし、その他の装置としても機能するものであってもよい。判定ライン設定部11、領域設定部12、輝度状態算出部13及び複合線判定部14は、例えば、それぞれの機能を実現するソフトウェア又はプログラムをECU10に導入することにより構成される。また、判定ライン設定部11、領域設定部12、輝度状態算出部13及び複合線判定部14の一部又は全部を個別の電子制御ユニットにより構成してもよい。
【0017】
複合線判定装置1には、カメラ2及び出力装置3が接続されている。カメラ2は、車両の周囲を撮像する撮像部として機能するものであり、例えば車両の進行方向の周囲を撮影できるように取り付けられる。カメラ2は、走行路を撮像した走行路画像の画像情報をECU10に入力する。カメラ2としては、画像を構成する画素の輝度情報ないし輝度値を取得できるものであれば、いずれのカメラを用いてもよい。例えば、カメラ2により撮像される画像はカラーでもモノクロであってもよいし、カメラ2の撮像波長帯は可視波長でも近赤外波長であってもよい。
【0018】
出力装置3は走行路の区画線が複合線であるか否かの情報を用いて車両の制御を行う装置であり、例えばレーントレース制御装置や車線逸脱抑制制御装置などが該当する。
【0019】
判定ライン設定部11は、走行路を撮像した走行路画像に対し判定ラインを設定する。判定ラインは、走行路の区画線が複合線であるか否かを判定する領域又は位置を示すためのラインである。
【0020】
例えば、
図2に示すように、走行路を撮像した走行路画像60には、車線の右側の区画線61と左側の区画線62が表示される。区画線61、62は、遠ざかるほど画像60の中央方向の上方へ延びるように表示される。ここでは、区画線61は、複合線であって、実線61aの内側へ破線状の補助線61bを表示するものとなっている。また、区画線62は、複合線であって、実線62aの内側と外側の双方に破線状の補助線62b、62bを表示するものとなっている。複合線の態様は、
図2の区画線61、62以外の形態も含む。
【0021】
この区画線61、62が複合線であるか否かを判定すべく、走行路画像60に判定ライン63が設定される。判定ライン63は、区画線61、62に対し交差する方向に向けて設定され、例えば走行路画像60上にて水平方向ないし横方向に向けて設定される。判定ライン63は、走行路に沿って所定距離を離して複数設定される。例えば、走行路に沿って一定距離を隔てて複数設定される。複数の判定ライン63が設定される範囲は、予め設定される範囲とされる。
【0022】
図1において、領域設定部12は、走行路画像について、区画線が表示される位置に区画線表示領域を設定し、その区画線表示領域より走行路の中央側の位置であって区画線以外の路面が表示される位置に路面表示領域を設定する。区画線表示領域は区画線を含む表示領域であればよく、必ずしも区画線のみを表示する領域でなくてもよい。路面表示領域は、区画線でない路面を表示する領域である。この区画線表示領域および路面表示領域は、走行路画像に設定される判定ラインに沿って並べて設定される。
【0023】
例えば、
図3に示すように、判定ライン63に沿って区画線表示領域R1および路面表示領域R2が並べて設定される。
図3では、説明の便宜上、区画線表示領域R1および路面表示領域R2の範囲が矢印で示されているが、画像上では、区画線表示領域R1および路面表示領域R2は、複数の画素による領域として設定され、横長の領域として設定される。具体的には、区画線表示領域R1および路面表示領域R2は、縦に一画素、横に複数画素の大きさの領域として設定される。また、区画線表示領域R1および路面表示領域R2は、縦に二以上の画素として設定されてもよい。さらに、区画線表示領域R1及び路面表示領域R2において、横方向の画素数は異なるように設定されてもよい。
【0024】
区画線表示領域R1の横方向の位置は、区画線61が表示される位置に基づいて設定される。例えば、繰り返し行われる複合線判定処理において、前回の判定における区画線61の位置情報を用いて区画線表示領域R1の位置を設定すればよい。また、初回の区画線表示領域R1の位置は予め設定された位置とし、区画線61の検出位置に応じてその後の位置を調整すればよい。
【0025】
区画線表示領域R1の横方向の長さL1は、複合線が表示可能な長さに設定される。また、区画線表示領域R1の横方向の長さL1は、例えば、区画線表示領域R1の半分以上に複合線の線部分が表示される長さであって、区画線表示領域R1の半分以上に単線の線部分以外の路面が表示される長さに設定されてもよい。具体的には、
図3において、区画線61が複合線の場合、区画線61の実線61aの長さをL11、補助線61bの長さをL12とすると、区画線表示領域R1の横方向の長さL1は、L1/2≦L11+L12を満たすように設定される。一方、区画線61が実線61aのみの単線の場合、区画線表示領域R1の横方向の長さL1は、L1/2≦L1−L11を満たすように設定される。このように区画線表示領域R1の横方向の長さL1を設定することにより、複合線の判定処理が容易に行える。すなわち、区画線表示領域R1を構成する画素の輝度値の中央値を演算した場合、区画線61が複合線の場合には中央値が白線の輝度値又はほぼ白線の輝度値となり、区画線61が単線の場合には中央値が路面の輝度値又はほぼ路面の輝度値となり、判別処理が簡易な演算で行え、判別精度が高くなる。
【0026】
なお、中央値は、統計処理で一般に用いられる中央値であり、区画線表示領域R1の画素の輝度値を小さく順又は大きい順に並べたときの中央に位置する値である。区画線表示領域R1の横方向の画素数が偶数の場合には、中央に近い二つの画素の輝度値のいずれかを選択してもよいし、その二つの画素の輝度値の平均値を中央値としてもよい。ここで、区画線表示領域R1の横方向の長さL1は区画線表示領域R1の横方向の画素数に比例している。このため、ここでの説明は、長さL1を区画線表示領域R1の横方向の画素数として読み替えることができる。
【0027】
図3において、路面表示領域R2は、区画線表示領域R1より走行路の中央側の位置であって、区画線表示領域R1から所定の距離L3を離した位置に設定される。路面表示領域R2の横方向の長さL2は、区画線表示領域R1と同じ長さでもよいが、区画線表示領域R1の横方向の長さL1より短く設定してもよい。この場合、路面表示領域R2に路面標示が表示されることが抑制され、走行路の路面の輝度状態を適切に算出することが可能となる。ここで、路面標示は、走行路の路面に表示される最高速度の標示などが該当する。
【0028】
図4に示すように、区画線61が実線61aと二つの補助線61bにより構成される場合、区画線表示領域R1の横方向の長さL1は、その長さL1の半分の長さが実線61aと二つの補助線61bの幅の合計長さ以下になるように設定すればよい。これにより、上述と同様に、複合線の判定処理が容易に行える。
【0029】
なお、
図3、4においては、車線の右側の区画線61の領域設定について説明したが、同様にして、車線の左側の区画線62についても領域設定が行われる。また、走行路画像60において複数の判定ライン63が設定された場合には、判定ライン63ごとに区画線表示領域R1及び路面表示領域R2が設定される。
【0030】
図1において、輝度状態算出部13は、区画線表示領域を構成する複数の画素の輝度状態を表す区画線代表値を算出又は演算し、路面表示領域を構成する複数の画素の輝度状態を表す路面代表値を算出し又は演算する算出部ないし演算部である。例えば、輝度状態算出部13は、区画線代表値として区画線表示領域を構成する複数の画素の輝度値の中央値を算出し、路面代表値として路面表示領域を構成する複数の画素の輝度値の中央値を算出する。具体的には、輝度状態算出部13は、区画線表示領域を構成する全ての画素の輝度値を演算し、それらの画素の輝度値を小さい順又は大きい順に並べたときの中央の輝度値を中央値として算出する。また、輝度状態算出部13は、路面表示領域を構成する全ての画素の輝度値を演算し、それらの画素の輝度値を小さい順又は大きい順に並べたときの中央の輝度値を中央値として算出する。その際、区画線表示領域および路面表示領域において、画素数が偶数の場合には、中央に位置する二つ輝度値のうちいずれかを領域の中央値としてもよいし、二つの輝度値の平均値を中央値としてもよい。
【0031】
なお、区画線表示領域を構成する複数の画素の輝度状態を表す区画線代表値及び路面表示領域を構成する複数の画素の輝度状態を表す路面代表値は、領域の画素の輝度状態を表す代表値であれば、中央値以外の値であってもよい。例えば、領域の画素の平均値を代表値として算出してもよい。
【0032】
複合線判定部14は、区画線表示領域の区画線代表値と路面表示領域の路面代表値の乖離度合いが予め設定される閾値以上である場合に区画線が複合線であると判定する。また、複合線判定部14は、区画線表示領域の区画線代表値と路面表示領域の路面代表値の乖離度合いが閾値以上でない場合に区画線が複合線でなく、単線であると判定する。走行路の区画線が複合線の場合には、区画線が単線の場合と比べて、区画線表示領域の区画線代表値と路面表示領域の路面代表値の乖離度合いが大きくなるため、その乖離度合いに基づいて区画線が複合線であるか否かを判定することが可能となる。
【0033】
例えば、区画線表示領域の区画線代表値と路面表示領域の路面代表値の乖離度合いとしては、区画線代表値と路面代表値の比率が用いられる。判定に用いられる比率の閾値は、予め複合線判定部14に設定される値が用いられる。具体的には、区画線代表値をpv2、路面代表値をpv1とした場合、その比率pv2/pv1が予め設定される比率の閾値S以上であるか否かが判定される。比率pv2/pv1が閾値S以上である場合には区画線が複合線であると判定され、比率pv2/pv1が閾値S以上でない場合には区画線が複合線でないと判定される。
【0034】
また、区画線表示領域の区画線代表値と路面表示領域の路面代表値の乖離度合いとしては、区画線代表値と路面代表値の差又はその差の絶対値を用いることもできる。判定に用いられる閾値は、予め複合線判定部14に設定される値が用いられる。この場合、例えば、区画線代表値と路面代表値の差の絶対値が閾値以上である場合には区画線が複合線であると判定され、区画線代表値と路面代表値の差の絶対値が閾値以上でない場合には区画線が複合線でないと判定される。
【0035】
なお、区画線表示領域の区画線代表値と路面表示領域の路面代表値の乖離度合いは、区画線代表値及び路面代表値の輝度値の乖離度合いが判断できるものであれば、区画線代表値と路面代表値の比率及び差以外の値を用いて算出してもよい。
【0036】
次に、本実施形態に係る複合線判定装置1の動作及び本実施形態に係る複合線判定方法について説明する。
【0037】
図5は、本実施形態に係る複合線判定装置1及び複合線判定方法における複合線判定処理を示すフローチャートである。複合線判定処理は、例えば車両制御又は運転支援制御の開始に応じ、ECU10によって開始され、所定の周期で繰り返し実行される。
【0038】
まず、
図5のステップS10(以下、単に「S10」という。他のステップSについても同様とする。)に示すように、走行路画像の読み込み処理が行われる。走行路画像の読み込み処理は、カメラ2により撮像された画像データを読み込む処理である。例えば、
図2に示すような走行路画像60の画像データが読み込まれる。
【0039】
そして、
図5のS12に処理が移行し、判定ライン設定処理が行われる。判定ライン設定処理は判定ライン設定部11により行われ、
図2に示すように、走行路画像60に対し判定ライン63の設定が行われる。判定ライン63は、走行路画像60に対し水平方向ないし横方向に向けて設定され、走行路に沿って所定距離を隔てて複数設定される。
【0040】
そして、
図5のS14に処理が移行し、領域設定処理が行われる。領域設定処理は、区画線表示領域及び路面表示領域を設定する処理であり、領域設定部12により行われる。すなわち、走行路画像について、区画線が表示される位置に区画線表示領域が設定され、その区画線表示領域より走行路の中央側の位置であって区画線以外の路面が表示される位置に路面表示領域が設定される。
【0041】
例えば、
図3に示すように、判定ライン63に沿って区画線表示領域R1および路面表示領域R2が並べて設定される。区画線表示領域R1の横方向の位置は区画線61が表示される位置に基づいて設定される。例えば、繰り返し行われる複合線判定処理において、前回の判定における区画線61の位置情報を用いて区画線表示領域R1の位置が設定される。そして、路面表示領域R2は、区画線表示領域R1より走行路の中央側の位置であって、区画線表示領域R1から所定の距離L3を離した位置に設定される。路面表示領域R2の横方向の長さL2は、区画線表示領域R1と同じ長さでもよいが、区画線表示領域R1の横方向の長さL1より短く設定してもよい。
【0042】
区画線表示領域R1及び路面表示領域R2の領域設定は、左右の区画線61、62について行われる。また、区画線表示領域R1及び路面表示領域R2の領域設定は、判定ライン63についてそれぞれ行われる。
【0043】
そして、
図5のS16に処理が移行し、輝度状態算出処理が行われる。輝度状態算出処理は、区画線表示領域R1を構成する複数の画素の輝度状態を表す区画線代表値を算出又は演算し、路面表示領域R2を構成する複数の画素の輝度状態を表す路面代表値を算出し又は演算する処理であり、輝度状態算出部13により実行される。例えば、区画線代表値として区画線表示領域R1を構成する複数の画素の輝度値の中央値が算出され、路面代表値として路面表示領域R2を構成する複数の画素の輝度値の中央値が算出される。なお、区画線代表値及び路面代表値として、輝度値の平均値を用いてもよいし、その他、区画線表示領域R1及び路面表示領域R2の画素の輝度状態を示す値を用いてもよい。
【0044】
そして、S18に処理が移行し、区画線代表値と路面代表値の乖離度合いが閾値以上であるか否かが判定される。この判定処理は、複合線判定部14により行われ、区画線代表値及び路面代表値の乖離度合いとして、例えば、区画線代表値及び路面代表値の比率が用いられる。具体的には、区画線代表値をpv2、路面代表値をpv1とした場合、その比率pv2/pv1が予め設定される比率の閾値S以上であるか否かが判定される。比率pv2/pv1が閾値S以上である場合には区画線が複合線であると判定され(S20)、比率pv2/pv1が閾値S以上でない場合には区画線が複合線でなく単線であると判定される(S22)。
【0045】
なお、区画線代表値及び路面代表値の乖離度合いとして、区画線代表値及び路面代表値の差を用いてもよいし、また、区画線代表値及び路面代表値の輝度値の乖離度合いが判断できるものであれば、区画線代表値と路面代表値の比率及び差以外の値を用いてもよい。S20又はS22の処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。
【0046】
なお、
図5の一連の制御処理において、制御結果に影響を及ぼさなければ、制御処理の順番を入れ替えてもよいし、制御処理の一部の実行を省略してもよい。
【0047】
次に、本実施形態に係る複合線判定装置1を用いた区画線検出装置について説明する。
【0048】
図6は、本実施形態に係る複合線判定装置1を用いた区画線検出装置90の構成概要図である。
図7は、車両の走行路を撮像した走行路画像の説明図である。
【0049】
区画線検出装置90は、車両の走行路の路面に表示される区画線を検出する装置である。この区画線検出装置90は、走行路を撮像した走行路画像に基づいて、区画線が複合線であるか非複合線であるかを判定し、複合線領域と非複合線領域に応じて特徴点の検出手法を異ならせて区画線を検出するものである。
【0050】
区画線検出装置90は、ECU10を備えている。このECU10は、上述した複合線判定装置1のECU10に対し区画線を検出する機能を追加したものである。ECU10は、エッジ点検出部40、エッジ線分検出部41、複合線判定装置1、非複合線領域演算部43、複合線領域演算部44、車線境界点統合部45及び白線パラメータ推定部46を備えている。
【0051】
エッジ点検出部40は、カメラ2により撮像される走行路画像においてエッジ点を検出する。エッジ点は、走行路画像の隣り合う画素と画素の輝度値が所定値以上に変化する点である。エッジ点の検出手法は公知のものを用いることができる。
図7に示すように、走行路画像53に対し横方向に設定される判定ライン(
図7の一点鎖線)において、エッジ点検出部40はエッジ点を検出する。判定ラインは走行路に沿って所定の間隔で複数設定され、その判定ラインごとにエッジ点が検出される。
【0052】
エッジ線分検出部41は、エッジ点検出部40により検出されるエッジ点の情報に基づいて、エッジ点を結ぶエッジ線分を検出ないし演算する。すなわち、判定ラインごとに検出されるエッジ点について隣接する同士を結ぶようにエッジ線分が演算される。エッジ線分の演算手法としては、例えばハフ変換が用いられる。また、エッジ線分を演算できれば、その他の手法等を用いてもよい。このエッジ線分の演算は、車線の右側及び左側の区画線付近について行われる。
【0053】
複合線判定装置1は、上述したものが用いられ、走行路画像に基づいて区画線が複合線であるか非複合線であるかを判定する。
【0054】
非複合線領域演算部43は、区画線が非複合線である走行路の領域である非複合線領域Bについて、区画線の車線境界線分54の検出を行い、車線境界線分54から車線境界点55を抽出する。この非複合線領域演算部43は、車線境界線分検出部43aと車線境界点抽出部43bを備えている。
【0055】
車線境界線分検出部43aは、区画線の車線境界線分54を検出する。例えば、車線境界線分検出部43aは、エッジ線分検出部41により検出されたエッジ線分の位置、長さ、傾き等に基づいて、検出されたエッジ線分の中から最も車線中央側のエッジ線分を車線境界線分54として検出する。この車線境界線分54の検出は、車線幅方向の左右の位置においてそれぞれ行われる。
【0056】
車線境界点抽出部43bは、車線境界線分検出部43aにより検出される車線境界線分54に基づいて車線境界点55を抽出する。例えば、車線境界点抽出部43bは、判定ラインごとに、各車線境界線分54を構成するエッジ点を逆引き、分解し、これを車線境界点55とする。この車線境界点55の抽出は、車線幅方向の左右の位置においてそれぞれ行われる。
【0057】
複合線領域演算部44は、区画線が複合線である走行路の領域である複合線領域Aについて、複合線52の中央点の候補点56を算出する。例えば、複合線領域演算部44は、複合線52のエッジ点群における所定の中央位置への投票を行い、その投票ピーク点を複合線52の中央点の候補点56として算出する。複合線領域演算部44は、エッジ点群中央位置投票部44a、投票ピーク点抽出部45bを備えている。
【0058】
例えば、
図8に示すように、エッジ点群中央位置投票部44aは、車線境界線50及び補助線51を示すと推定される上がりエッジ点58a、58b、58cを選定すると共に、下がりエッジ点59a、59b、59cを選定する。そして、エッジ点群中央位置投票部44aは、車線幅方向に沿った間隔が所定の閾値内である組み合わせとして、例えば、上がりエッジ点58aと下がりエッジ点59a、上がりエッジ点59aと下がりエッジ点58b、上がりエッジ点59aと下がりエッジ点58c、上がりエッジ点58bと下がりエッジ点59b、上がりエッジ点59bと下がりエッジ点58c、上がりエッジ点58cと下がりエッジ点59cを選定する。そして、エッジ点群中央位置投票部44aは、上がりエッジ点58aと下がりエッジ点59aの中央位置C1、上がりエッジ点59aと下がりエッジ点58bの中央位置C2、上がりエッジ点59aと下がりエッジ点58cの中央位置C3、上がりエッジ点58bと下がりエッジ点59bの中央位置C4、上がりエッジ点59bと下がりエッジ点58cの中央位置C5、上がりエッジ点58cと下がりエッジ点59cの中央位置C6に投票を行う。
【0059】
また、エッジ点群中央位置投票部44aは、
図9の例では、車線境界線50及び補助線51を示すと推定される上がりエッジ点58d、58eを選定すると共に、下がりエッジ点59d、59eを選定する。そして、エッジ点群中央位置投票部44aは、車線幅方向に沿った間隔が所定の閾値内である組み合わせとして、例えば、上がりエッジ点58dと下がりエッジ点59d、上がりエッジ点59dと下がりエッジ点58e、上がりエッジ点58eと下がりエッジ点59eを選定する。そして、エッジ点群中央位置投票部44aは、上がりエッジ点58dと下がりエッジ点59dの中央位置C7、上がりエッジ点59dと下がりエッジ点58eの中央位置C8、上がりエッジ点58eと下がりエッジ点59eの中央位置C9に投票を行う。
【0060】
投票ピーク点抽出部45bは、エッジ点群中央位置投票部44aによる投票に応じて複合線52の中央点の候補点56を算出する。例えば、投票ピーク点抽出部45bは、投票数が最も多い中央位置、すなわち投票ピーク点を複合線52の中央点の候補点56として算出する。具体的には、
図8の例では、中央位置C3、C4が投票ピーク点であるので、この中央位置C3又はC4が複合線52の中央点の候補点56として算出される。また、
図9の例では、中央位置C7、C8、C9が同じ投票数であるので、中央位置C7、C8、C9がすべて複合線52の中央点の候補点56として算出される。
【0061】
図6において、車線境界点統合部45は、複合線領域演算部44により算出される複合線52の中央点の候補点56と非複合線領域演算部43により算出される車線境界点55に基づいて、統合車線境界点群57を生成する。
【0062】
白線パラメータ推定部46は、統合車線境界点群57に基づいて、車線境界線50を表す車線境界線パラメータとして白線パラメータを推定する。例えば、白線パラメータ推定部46は、車線境界点統合部45により統合された統合車線境界点群57に対しモデルフィッティングすることで白線パラメータを推定する。具体的には、白線パラメータ推定部46は、最小二乗法等を用いて統合車線境界点群57から車線境界線50の車線中央側のエッジ線を表す曲線を推定する。白線パラメータは、例えば曲線を表す数式の係数として推定される。
【0063】
このように、走行路の区画線について複合線領域と非複合線領域に分けて区画線検出を行う区画線検出装置90に対して、本実施形態に係る複合線判定装置1を用いることにより、複合線判定が正確に行えるため、精度の高い区画線検出が可能となる。
【0064】
なお、本実施形態に係る複合線判定装置1は、上述した区画線検出装置90以外の装置などに用いてもよい。
【0065】
以上説明したように、本実施形態に係る複合線判定装置1及び複合線判定方法によれば、区画線表示領域の輝度状態を表す区画線代表値と路面表示領域の輝度状態を表す路面代表値の乖離度合いが予め設定される閾値以上である場合に区画線が複合線であると判定することにより、区画線の位置を正確に検出できなくても複合線であるか否かの判定が行える。このため、走行路画像の解像度の低下などにより区画線の位置の検出精度が低下する場合であっても、複合線の判定精度の低下を抑制でき、複合線の判定精度の向上が図れる。
【0066】
例えば、
図3に示すように、区画線表示領域R1の輝度状態を表す区画線代表値と路面表示領域R2の輝度状態を表す路面代表値の乖離度合いが予め設定される閾値以上である場合に区画線が複合線であると判定される。区画線61が複合線の場合には、区画線61が単線の場合と比べて、区画線表示領域R1に占める区画線61の領域が多くなり、輝度値の状態が領域全体で高くなる。このため、区画線代表値と路面代表値の乖離度合いが大きくなる。一方、区画線61が単線の場合には、区画線61が複合線の場合と比べて、区画線表示領域R1に占める区画線61の領域が少なくなり、輝度値の状態が領域全体で低くなる。このため、区画線代表値と路面代表値の乖離度合いが小さくなる。従って、区画線代表値と路面代表値の乖離度合いに基づいて、区画線61が複合線であるか否かを判定することが可能となる。
【0067】
また、区画線代表値と路面代表値の乖離度合いに基づいて、区画線61が複合線であるか否かを判定することにより、区画線61の位置又は区画線61における輝度勾配を正確に検出できなくても、区画線61が複合線であるか否かの判定が行える。車両から離れるほど区画線61の画像の解像度が低下する状態となるが、そのような場合であっても複合線の判定精度の低下を抑制できるため、複合線の判定精度の向上が図れることとなる。
【0068】
また、本実施形態に係る複合線判定装置1及び複合線判定方法において、区画線代表値として区画線表示領域を構成する複数の画素の輝度値の中央値を算出し、路面代表値として路面表示領域を構成する複数の画素の輝度値の中央値を算出することにより、区画線代表値及び路面代表値を簡易な演算処理により算出することができる。このため、複合線判定が迅速に行える。
【0069】
また、本実施形態に係る複合線判定装置1及び複合線判定方法において、区画線代表値として区画線表示領域を構成する複数の画素の輝度値の平均値を算出し、路面代表値として路面表示領域を構成する複数の画素の輝度値の平均値を算出することにより、区画線代表値及び路面代表値を簡易な演算処理により算出することができる。このため、複合線判定が迅速に行える。
(第二実施形態)
【0070】
次に、本発明の第二実施形態について説明する。
【0071】
図10は、第二実施形態に係る複合線判定装置1aの構成概要図である。
【0072】
本実施形態に係る複合線判定装置1aは、第一実施形態に係る複合線判定装置1とほぼ同様に構成されるが、エッジ検出部15を備える点、および、複合線判定部14にて走行路画像のエッジ点の数を用いて区画線が複合線であるか否かの判定を行う点で異なっている。
【0073】
図10において、エッジ検出部15は、区画線表示領域R1及び路面表示領域R2におけるエッジ点を検出する。エッジ点は、区画線表示領域R1及び路面表示領域R2において、隣り合う画素の間の輝度値の変化量(輝度勾配)が所定値以上となる点である。このエッジ検出の手法は、公知の手法を用いることができる。
【0074】
複合線判定部14は、第一実施形態に記載したように、区画線表示領域R1の区画線代表値と路面表示領域R2の路面代表値の乖離度合いが予め設定される閾値以上であるか否かを判定する。そして、複合線判定部14は、区画線表示領域R1の区画線代表値と路面表示領域R2の路面代表値の乖離度合いが閾値以上でない場合には、区画線が複合線でないと判定する。一方、複合線判定部14は、区画線表示領域R1の区画線代表値と路面表示領域R2の路面代表値の乖離度合いが閾値以上である場合には、エッジ検出部15にて検出された区画線表示領域R1のエッジ点の数が予め設定される第二閾値以上であるか否かが判断される。ここで、区画線表示領域R1のエッジ点の数が予め設定される第二閾値以上である場合、区画線が複合線であると判定される。一方、区画線表示領域R1のエッジ点の数が第二閾値以上でない場合、区画線が単線であると判定される。
【0075】
このように、複合線判定部14にて、区画線表示領域R1の区画線代表値と路面表示領域R2の路面代表値の乖離度合いだけでなく、区画線表示領域R1のエッジ点の数を考慮して、区画線が複合線であるか否かを判定することにより、区画線が通常より太い単線である場合に複合線であると誤判定することを抑制することができ、複合線判定の精度をより向上させることができる。
【0076】
また、複合線判定部14において、区画線表示領域R1の区画線代表値と路面表示領域R2の路面代表値の乖離度合いが閾値以上である場合、エッジ検出部15にて検出された区画線表示領域R1のエッジ点の数が予め設定される第二閾値以上であり、かつ、路面表示領域R2のエッジ点の数に対する区画線表示領域R1のエッジ点の数の比率が第三閾値以上であるか否かが判断してもよい。この場合、エッジ検出部15にて検出された区画線表示領域R1のエッジ点の数が第二閾値以上であり、かつ、路面表示領域R2のエッジ点の数に対する区画線表示領域R1のエッジ点の数の比率が第三閾値以上である場合、区画線が複合線であると判定される。
【0077】
次に、第二実施形態に係る複合線判定装置1aの動作及び複合線判定方法について説明する。
【0078】
図11は、第二実施形態に係る複合線判定装置1a及び複合線判定方法の複合線判定処理を示すフローチャートである。この複合線判定処理は、例えば車両制御又は運転支援制御の開始に応じ、ECU10によって開始され、所定の周期で繰り返し実行される。
【0079】
まず、
図11のS10〜S18の処理は、
図5のS10〜S18と同様に行われる。
図11のS18にて、区画線代表値及び路面代表値の乖離度合いが閾値以上でないと判定された場合、区画線が複合線でなく単線であると判定される(S22)。一方、S18にて、区画線代表値と路面代表値の乖離度合いが閾値以上であると判定された場合、区画線表示領域R1におけて検出されたエッジ点の数が予め設定される第二閾値以上であるか否かが判断される(S19)。S19にて区画線表示領域R1において検出されたエッジ点の数が予め設定される第二閾値以上であると判断された場合、区画線が複合線であると判定される(S20)。一方、S19にて区画線表示領域R1において検出されたエッジ点の数が予め設定される第二閾値以上でないと判断された場合、区画線が単線であると判定される(S22)。区画線が複合線の場合には、区画線が単線の場合と比べて、エッジ点が多くなることに着目して判定したものである。
【0080】
なお、S19では、区画線表示領域R1において検出されたエッジ点の数が第二閾値以上であり、かつ、路面表示領域R2のエッジ点の数に対する区画線表示領域R1のエッジ点の数の比率が第三閾値以上であるか否かを判定してもよい。S20又はS22の処理を終えたら、一連の制御処理を終了する。この
図11の一連の制御処理において、制御結果に影響を及ぼさなければ、制御処理の順番を入れ替えてもよいし、制御処理の一部の実行を省略してもよい。
【0081】
以上説明したように、第二実施形態に係る複合線判定装置1a及び複合線判定方法によれば、第一実施形態に係る複合線判定装置1及び複合線判定方法により得られる作用効果に加え、区画線が通常より太い単線であった場合にその太い単線を複合線であると誤判定することを抑制することができ、より精度の高い複合線判定が行える。すなわち、第二実施形態に係る複合線判定装置1a及び複合線判定方法では、複合線判定部14及び複合線判定処理においてエッジ点の数を考慮して区画線が複合線であるか否かを判定している。これにより、区画線が通常より太い単線であった場合にその太い単線を複合線であると誤判定することを抑制でき、より精度の高い複合線判定が行えることとなる。
【0082】
なお、上述した各実施形態は、本発明に係る複合線判定装置及び複合線判定方法の実施形態の一部を説明したものであり、本発明に係る複合線判定装置及び複合線判定方法は上記実施形態に記載されたものに限定されない。本発明に係る複合線判定装置及び複合線判定方法は、各請求項に記載した要旨を変更しないように上記実施形態に係る複合線判定装置及び複合線判定方法を変形し、又は他のものに適用したものであってもよい。