(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記漏水判定部は、前記センサにより検出された振動及び音響、又は、これらのいずれか一方を利用して時間積分率を所定回数だけ算出し、前記算出した複数の時間積分率に基づいて前記漏水があるか否かを判定し、
前記撮影制御部は、前記時間積分率が算出される毎に、前記撮影部に、前記第2の画像を撮影させる請求項2又は3に記載の漏水検出装置。
前記使用水判定部は、前記第1の画像のうち、前記計測装置の表示に含まれるパイロットを示す部分と、前記第2の画像のうち前記パイロットを示す部分とを比較して前記使用水があるか否かを判定する請求項2乃至4のいずれかに記載の漏水検出装置。
前記使用水判定部は、前記第1の画像のうち、前記計測装置の表示に含まれる1リットルメータを示す部分と、前記第2の画像のうち前記1リットルメータを示す部分とを比較して前記使用水があるか否かを判定する請求項2乃至4のいずれかに記載の漏水検出装置。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施の形態について、図面を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係わる漏水検出装置10が、水道メータ20及び止水弁が設置される水道管に取り付けられる際の構成例を示す模式図である。
【0010】
図1に示される漏水検出装置10は、水道管に設置される水道メータ20の検針員により携帯される。漏水検出装置10は、検針員が各個別宅の水道メータ20の検針及び漏水調査を実施する際に、水道メータ20の上に置かれる。水道メータ20の上に置かれることで、漏水検出装置10は、後述するカメラ11にて水道メータ20の表示を撮影可能であり、かつ、センサ12にて配管上を伝わる微小な振動、音響を検出することが可能な位置に取り付けられることになる。漏水検出装置10は、検針結果及び漏水調査の結果を、ハンディターミナル30へ無線等で送信する。
【0011】
ハンディターミナル30は、漏水検出装置10から送信される検針結果及び漏水調査結果を受信する。ハンディターミナル30は、受信した検針結果及び漏水調査結果を内部のメモリに記録する。ハンディターミナル30は、前回の検針値と今回の検針値との差から水道水の使用水量を算出する。また、ハンディターミナル30は、使用水量に基づく料金等に関する伝票を出力する。
【0012】
図2は、本実施形態に係わる漏水検出装置10の構成例を示すブロック図である。また、
図3は、
図2に示される漏水検出装置10の機能構成例を示すブロック図である。
【0013】
図2に示される漏水検出装置10は、カメラ11、センサ12、増幅部13、フィルタ14、アナログ−デジタル(A/D)変換部15、メモリ16、データ送信部17及びCPU(Central Processing Unit)18を具備する。
【0014】
カメラ11は、後述するCPU18からの指示に従い、水道メータ20の表示を画像として撮影する。水道メータ20の表示には、検針数値、パイロット、1リットルメータ及び10リットルメータが含まれる。
図4は、現在一般的に利用されている水道メータの模式図である。水道管における使用水がある場合、水道メータでは、パイロットが回転すると共に、使用に応じて1リットル単位の円読式メータの針が回転する。カメラ11は、撮影により取得した画像データをCPU18へ出力する。なお、カメラ11は、撮影部の例示として挙げたものであり、カメラの他、水道メータ20の表示を撮影可能な装置であれば、例えばスキャナ等であっても良い。
【0015】
センサ12は、配管上を伝わる微小な振動を捉えることが可能な振動センサ、配管上を伝わる微小な音響を捉えることが可能なマイクロホン、又は、これらの組み合わせ等を備えている。センサ12は、捉えた振動及び音響、又は、これらのうちいずれか一方を電気信号に変換し、電気信号を増幅部13へ出力する。
【0016】
増幅部13は、センサ12から出力される電気信号を所定の増幅度により増幅し、増幅した信号をフィルタ14へ出力する。
【0017】
フィルタ14は、増幅部から出力される電気信号に対し、車及び人の通行等により発生する低周波数の雑音成分の除去、及び、アンチエリアジング等のフィルタ処理を実施する。フィルタ14は、フィルタ処理後の信号をアナログ−デジタル変換部15へ出力する。
【0018】
アナログ−デジタル変換部15は、フィルタ14から出力される信号を一定周期でサンプリングすることで、電気信号をデジタル信号に変換する。アナログ−デジタル変換部15は、デジタル信号をCPU18へ出力する。
【0019】
メモリ16は、後述するCPU18からの指示に従い、検針結果を検針結果記録部161に記録し、漏水調査結果を漏水調査結果記録部162に記録する。
【0020】
データ送信部17は、検針結果記録部161に検針結果が記録され、かつ、漏水調査結果記録部162に漏水調査結果が記録されると、検針結果記録部161に記録される検針結果、及び、漏水調査結果記録部162に記録される漏水調査結果を、例えば無線信号へ変換する。データ送信部17は、無線信号をハンディターミナル30へ送信する。
【0021】
CPU18は、記録されているアプリケーション・プログラムを実行することで、
図3に示される撮影制御部181、使用水判定部182、漏水判定部183及び読込部184の機能を実現する。
【0022】
撮影制御部181は、水道メータ20の検針が開始されると、水道メータ20の表示についての第1の画像を撮影するようにカメラ11を制御する。撮影制御部181は、第1の画像データを図示しない内部メモリに記録する。撮影制御部181は、第1の画像を撮影してから、予め設定した時間が経過すると、水道メータ20の表示についての第2の画像を撮影するようにカメラ11を制御する。撮影制御部181は、第2の画像データを内部メモリに記録する。
【0023】
使用水判定部182は、内部メモリに記録されている第1の画像データと、第2の画像データとを比較し、第1の画像データと第2の画像データとに違いがあるか否かを判定する。
【0024】
現在一般的に利用されている水道メータでは、水道管における使用水があるとパイロットが回転すると共に、使用に応じて1リットル単位の円読式メータの針が回転する。そのため、第1の画像データと第2の画像データとに違いがある場合には、パイロット、又は円読式メータの針が動いたということになるため、第1の画像データと第2の画像データとの違いを検出すれば、水道水が使用されたことを検出することが可能となる。
【0025】
使用水判定部182は、第1の画像データと第2の画像データとに違いがない場合、使用水がないと判定し、使用水がない旨を漏水判定部183へ通知する。第1の画像データと第2の画像データとに違いがある場合、使用水判定部182は、使用水があると判定し、使用水がある旨を漏水判定部183へ通知すると共に、使用水がある旨の情報又は使用水があるため漏水調査ができない旨の情報等を漏水調査結果として漏水調査結果記録部162へ記録する。
【0026】
漏水判定部183は、センサ12により検出された振動及び音響、又は、これらのうちいずれか一方を、増幅部13、フィルタ14及びアナログ−デジタル変換部15を介してデジタル信号として取り込む。漏水判定部183は、使用水判定部182による使用水有無の判定結果を参照し、取り込んだデジタル信号を用いて、水道管における漏水の有無を判定する。
【0027】
具体的には、使用水判定部182により使用水がないと判定された場合、漏水判定部183は、アナログ−デジタル変換部15から出力されるデジタル信号の絶対値レベルが予め設定したレベルを超える期間を積分する。漏水判定部183は、積分値の検査期間に対する割合である時間積分率を算出し、この時間積分率が予め設定した値を超えるか否かを判断する。時間積分率が予め設定した値を超える場合、漏水判定部183は、漏水があると判断する。一方、使用水判定部182により使用水があると判定された場合、漏水判定部183は、漏水の有無の判断を実行しない。
【0028】
図5は、時間積分率を算出する際の原理を説明するための概念図である。
図5では、漏水判定部183は、デジタル信号を対象として、検査期間T内において、予め定められた判定基準電圧Er以上となる期間t(i)(i=1,2,・・・n)、つまり、+Er以上となる期間と、−Er以下となる期間との総和(Σt(i))を算出する。さらに、漏水判定部183は、この総和(Σt(i))の、検査期間Tに対する割合(Σt(i)/T)×100)を取ることで、時間積分率(%)を算出する。
【0029】
また、漏水判定部183は、予め設定される周期で、予め設定される回数(例えば12回)だけ時間積分率を算出するようにしても良い。漏水判定部183は、各回における時間積分率の計測結果の最小値が、予め決められた判定基準時間積分率値を超えているか否かの判断に基づいて配管内における漏水の有無を判断する。
【0030】
このとき、撮影制御部181は、検針開始時、すなわち漏水判定部183により時間積分率が算出される前に第1の画像を撮影し、漏水判定部183が複数回計測する時間積分率の各回の時間積分率算出後に第2の画像を撮影する。使用水判定部182が第1及び第2の画像を比較し、使用水があると判定した場合、漏水判定部183は、判定後における時間積分率の算出を中止する。
【0031】
読込部184は、水道メータ20の検針開始時に撮影した水道メータ20の表示についての第1の画像に含まれる検針数値(m
3)を、OCR(光学文字認識)機能により、文字コードに変換する。読込部184は、文字コードを検針結果として検針結果記録部161に記録する。このとき、検針結果には、検針が実施された日時、検針を実施した者、検針が実施された場所等が識別される識別子が含まれていても良い。
【0032】
次に、以上のように構成される漏水検出装置10が、検針結果及び漏水調査結果を取得し、取得した検針結果及び漏水調査結果をハンディターミナル30へ送信する際の動作を詳細に説明する。
図6は、漏水検出装置10が、検針結果及び漏水調査結果を取得し、取得した検針結果及び漏水調査結果をハンディターミナル30へ送信する際のフローチャートの例を示す図である。なお、
図6では、漏水判定部183が時間積分率を複数回算出し、算出した複数の時間積分率に基づいて漏水の有無を判定する場合を例に説明する。
【0033】
まず、撮影制御部181は、調査開始等のスイッチが押されることで検針が開始されると、水道メータ20の表示についての第1の画像を撮影する(ステップS61)。
【0034】
漏水判定部183は、センサ12により検出された振動及び音響、又は、これらのうちいずれか一方を、デジタル信号として取り込む(ステップS62)。漏水判定部183は、取り込んだデジタル信号を用い、検査期間Tについての1回目の時間積分率を算出する(ステップS63)。
【0035】
撮影制御部181は、1回目の時間積分率が計算されると、水道メータ20の表示についての第2の画像を撮影する(ステップS64)。
【0036】
使用水判定部182は、第1の画像データと、第2の画像データとを比較する(ステップS65)。使用水判定部182は、第1の画像データと第2の画像データとに違いがあるか否かを判断し(ステップS66)、第1の画像データと第2の画像データとに違いがある場合(ステップS66のYes)、使用水があると判定する(ステップS67)。使用水判定部182は、使用水があると判定すると、使用水がある旨を漏水判定部183へ通知すると共に、使用水があるため漏水調査ができない旨の情報を含む漏水調査結果を作成する。使用水判定部182は、この漏水調査結果を漏水調査結果記録部162に記録する(ステップS68)。漏水判定部183は、使用水がある旨の通知を受けると、以降の時間積分率の計測を中止する。
【0037】
第1の画像データと第2の画像データとに違いがない場合(ステップS66のNo)、使用水判定部182は、使用水がないと判定する(ステップS69)。漏水判定部183は、使用水判定部182にて使用水がないと判定されると、予め設定された回数、例えば12回、時間積分率を算出したか否かを判断する(ステップS610)。時間積分率の算出回数が所定回数に達した場合(ステップS610のYes)、各回における時間積分率の計測結果の最小値が、予め決められた判定基準時間積分率値を超えているか否かの判断に基づいて配管内における漏水の有無を判断する(ステップS611)。漏水判定部183は、漏水の有無についての情報を含む漏水調査結果を作成し、この漏水調査結果を漏水調査結果記録部162に記録する(ステップS68)。
【0038】
時間積分率の算出回数が所定回数に達しない場合(ステップS610のNo)、漏水判定部183は、処理をステップS62へ移行し、ステップS62〜S610の処理を、算出回数が所定回数に達するまで繰り返す。
【0039】
また、ステップS61にて第1の画像が撮影されると、読込部184は、第1の画像に含まれる4桁の検針数値(m
3)を、OCR(光学文字認識)機能により、文字コードに変換する(ステップS612)。読込部184は、文字コードを検針結果として検針結果記録部161に記録する(ステップS613)。
【0040】
データ送信部17は、検針結果記録部161に検針結果が記録され、かつ、漏水調査結果記録部162に漏水調査結果が記録されると、検針結果記録部161に記録される検針結果、及び、漏水調査結果記録部162に記録される漏水調査結果を、ハンディターミナル30へ送信する(ステップS614)。
【0041】
以上のように、本実施形態に係わる漏水検出装置10の撮影制御部181は、水道メータ20の表示について第1の画像を撮影し、第1の画像の撮影から所定時間経過後に水道メータ20の表示について第2の画像を撮影する。使用水判定部182は、第1の画像と第2の画像とに違いがあるか否かを判断する。そして、使用水判定部182は、第1及び第2の画像間に違いがある場合、使用水ありと判定し、使用水ありの旨を含む漏水調査結果を漏水調査結果記録部162に記録すると共に、漏水判定部183による漏水判定を中止するようにしている。
【0042】
漏水調査中に、水道水を使用していることにより配管内で水道水が流れている場合、使用されている水道水が配管内を流れることで振動が発生し、本来の漏水に起因する振動が、使用水による振動に埋もれてしまうという事象が発生する。本実施形態に係わる漏水検出装置10によれば、漏水検出装置10は、使用水の有無を自動で確認し、使用水がある場合には漏水判定を中止すると共に、使用水ありの情報を含む漏水調査結果を外部へ送信することが可能となる。
【0043】
したがって、本実施形態に係わる漏水検出装置10によれば、水道メータの検針時に漏水調査ができ、かつ、使用者の負担を軽減することができる。
【0044】
なお、本実施形態における
図6では、時間積分率が算出される毎に使用水判定を実施する場合を例に説明したが、これに限定されない。使用水判定部182は、ステップS610において、所定回数だけ時間積分率が算出されたと判断された場合に、使用水判定を実施するようにしてもかまわない。
【0045】
また、本実施形態に係る使用水判定部182は、第1の画像と、第2の画像とにおける比較対象について何ら制限を加えていない。しかしながら、使用水判定部182は、第1の画像と第2の画像とにおける比較対象に制限を加えるようにしてもよい。
【0046】
すなわち、使用水判定部182は、水道メータ20のパイロット又は/及び1リットルメータを表示する、画像データにおける領域を特定可能な座標値を予め記録しておく。使用水判定部182は、内部メモリに第1及び第2の画像データが記録されると、記録されている座標値を読み出し、第1及び第2の画像データからこの座標値により特定される領域を抽出する。使用水判定部182は、抽出された領域同士を比較することで、この領域間に違いがあるか否かを判断する。比較対象がパイロット又は/及び1リットルメータとなることで比較範囲が狭まるため、使用水判定部182は、使用水の有無を判定する際の負担を軽減することが可能となる。
【0047】
また、カメラ11が撮影する範囲をパイロット又は/及び1リットルメータに制限することで、第1の画像と第2の画像とにおける比較対象に制限を加えるようにしてもよい。これにより、内部メモリに記録する容量が軽減されることになる。
【0048】
なお、本実施形態では、漏水検出装置10が信号処理部の一例としてCPU18を具備する場合を例に説明した。しかしながら、これに限定されない。漏水検出装置10は、信号処理部としてFPGA(Field Programmable Gate Array)等を具備し、撮影制御部181、使用水判定部182、漏水判定部183及び読込部184の機能を実現するようにしても構わない。
【0049】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。