(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483503
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】成形加工用マグネシウム系部材
(51)【国際特許分類】
C23C 24/04 20060101AFI20190304BHJP
B32B 15/01 20060101ALI20190304BHJP
B22F 3/04 20060101ALI20190304BHJP
B22F 3/24 20060101ALI20190304BHJP
B22F 1/00 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
C23C24/04
B32B15/01 K
B22F3/04 B
B22F3/24 F
B22F1/00 N
【請求項の数】4
【全頁数】9
(21)【出願番号】特願2015-74176(P2015-74176)
(22)【出願日】2015年3月31日
(65)【公開番号】特開2016-194106(P2016-194106A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年2月5日
(73)【特許権者】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100089118
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 宏明
(72)【発明者】
【氏名】平野 智資
【審査官】
萩原 周治
(56)【参考文献】
【文献】
特開2009−191345(JP,A)
【文献】
特開2013−091832(JP,A)
【文献】
特開2008−043897(JP,A)
【文献】
特開2014−136828(JP,A)
【文献】
特開2009−197294(JP,A)
【文献】
特開2013−226823(JP,A)
【文献】
特開2014−095148(JP,A)
【文献】
特開2014−076426(JP,A)
【文献】
特開2012−219304(JP,A)
【文献】
特開2011−068942(JP,A)
【文献】
特開2014−234528(JP,A)
【文献】
特開2016−194107(JP,A)
【文献】
特開2016−000849(JP,A)
【文献】
米国特許出願公開第2015/0321217(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 24/00−30/00
B22F 1/00−8/00
B32B 1/00−43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属または合金からなる基材の表面に、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって薄膜を形成し、前記薄膜は、前記ガスおよび前記マグネシム又はマグネシウム合金の粉末を噴射するガスノズルを、前記基材の表面に対して垂直方向から45°傾けた状態で、前記マグネシウム又はマグネシウム合金の粉末を噴射して形成することを特徴とする成形加工用マグネシウム系部材の製造方法。
【請求項2】
前記薄膜の前記基材と接する面と反対側の表面に、前記基材と同一の金属または合金、あるいは基材と異なる金属または合金からなる材料粉末をガスと共に加速し、前記薄膜の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって皮膜を形成することを特徴とする請求項1に記載の成形加工用マグネシウム系部材の製造方法。
【請求項3】
前記薄膜形成後に、前記基材を除去したことを特徴とする請求項1に記載の成形加工用マグネシウム系部材の製造方法。
【請求項4】
圧延、鍛造、プレス加工、押出加工、引抜加工または絞り加工用であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の成形加工用マグネシウム系部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、成形加工用のマグネシウム系部材に関する。
【背景技術】
【0002】
マグネシウムおよびマグネシウム合金は、実用される金属材料の中で最も軽量であり、比強度、耐くぼみ性および振動吸収性に優れるだけでなく、電磁波シールド効果を有しているため、ノートパソコン、モバイル機器、自動車部品等に広く使用されている。
【0003】
マグネシウムおよびマグネシウム合金からなる製品は、通常、鋳物材料を圧延、プレス加工等により成形して得られるが、鋳物材料は偏析があり、粗大な結晶粒であるため、成形加工の際割れ等が起こりやすい。また、結晶構造が六方細密充填構造であるため、圧延処理等により底面が圧延面に対して平行に配列する集合組織が形成されやすく、一旦集合組織が形成されると板厚方向への変形は非常に困難である。
【0004】
マグネシウム合金の成形性を向上する技術として、マグネシウム合金に希土類元素や、ストロンチウムを配合することにより、プレス加工性等を向上できることが開示されている(例えば、特許文献1または2参照)。
【0005】
また、結晶粒を微細化して成形性を向上する技術として、マグネシウム合金の板材を、常温圧延と熱処理とを繰り返すことによりマグネシウム合金薄板を形成する方法(例えば、特許文献3参照)、鋳造されたマグネシウム合金を溶体化処理後、鍛造してアルミニウム合金の結晶粒径を10μm以下とし、さらに鍛造により所望の形状とする成形方法(例えば、特許文献4参照)、圧延ロールに挿入前のマグネシウム合金の温度と圧延ロールの表面温度を所定の温度に制御しながらマグネシウム合金板を製造する方法(例えば、特許文献5参照)等が開示されている。
【0006】
さらに、結晶方位を傾斜させることにより成形性を向上する技術として、マグネシウム合金を高温下で異周速圧延を行うことにより得られた成形用マグネシウム合金部材(例えば、特許文献6〜8)等が開示されている。
【0007】
一方、マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる金属層を有するマグネシウム系クラッド材であって、プレス成型性や耐食性に優れるものも提案されている(特許文献9または10)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平06−293944号公報
【特許文献2】特開平07−188826号公報
【特許文献3】特開2001−294966号公報
【特許文献4】特開2003−268513号公報
【特許文献5】特開2004−60048号公報
【特許文献6】特開2010−202898号公報
【特許文献7】特開2011−58054号公報
【特許文献8】特開2014−43601号公報
【特許文献9】特開2006−88435号公報
【特許文献10】特開2010−155357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、特許文献1および2では成形性は向上するものの、原料コストが上昇するとともに、リサイクルの際に問題となるおそれがある。一方、特許文献3〜8の技術では、圧延前または後に溶体化処理を要したり、400℃以上での圧延が必要となり、工程が複雑化するとともに、装置が非常に大掛かりとなりコストが高くなる。さらに、特許文献9および10に記載の技術では、マグネシウムまたはマグネシウム合金からなる金属層の両面にクラッド層を設けると、マグネシウム層にせん断変形をあまり加えることが出来なくなり、普通の圧延やプレスと同様、圧下率や加工代を大きく取ることが出来ないという問題を有している。
【0010】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、偏析や結晶方位の偏りが少なく、結晶粒が微細であるため成形加工に適した成形加工用マグネシウム系部材を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明に係る成形加工用マグネシウム系部材は、金属または合金からなる基材と、前記基材の表面に、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる粉末をガスと共に加速し、固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって形成した薄膜とを備えることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の成形加工用マグネシウム系部材は、上記発明において、前記薄膜の前記基材と接する面と反対側の表面に、前記基材と同一の金属または合金、あるいは基材2と異なる金属または合金からなる材料粉末をガスと共に加速し、前記薄膜の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって形成した皮膜を備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明の成形加工用マグネシウム系部材は、上記発明において、前記薄膜形成後に、前記基材を除去したことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の成形加工用マグネシウム系部材は、上記発明において、圧延、鍛造、プレス加工、押出加工、引抜加工または絞り加工用であることを特徴とする。
【0015】
また、本発明の成形加工用マグネシウム系部材は、上記発明において、前記薄膜は、前記ガスおよび前記マグネシム又はマグネシウム合金の粉末を噴射するガスノズルを、前記基材の表面に対して垂直方向から45°傾けた状態で、前記マグネシウム又はマグネシウム合金の粉末を噴射して形成することを特徴とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明に係る成形加工用マグネシウム系部材は、コールドスプレー法、すなわち、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる粉末をガスと共に加速し、基材表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによってマグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜を形成するので、偏析や結晶方位の偏りが少なく、結晶粒が微細なため、成形加工が容易なマグネシウム系部材を得ることができる。また、本発明に係る成形加工用マグネシウム系部材は、目的の厚さに近い板材を直接的に作製できるため、その後の圧延やプレス加工等の加工工程を削減することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】
図1は、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材の断面図である。
【
図2】
図2は、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材の製造に使用するコールドスプレー装置の概要を示す模式図である。
【
図3】
図3は、本発明の実施の形態の変形例1に係る成形加工用マグネシウム系部材の断面図である。
【
図4】
図4は、本発明の実施の形態の変形例2に係る成形加工用マグネシウム系部材の断面図である。
【
図5】
図5は、本発明の実施の形態の変形例2に係る成形加工用マグネシウム系部材の製造を説明する模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態を、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の実施の形態により本発明が限定されるものではない。また、以下の説明において参照する各図は、本発明の内容を理解し得る程度に形状、大きさ、及び位置関係を概略的に示してあるに過ぎない。即ち、本発明は各図で例示された形状、大きさ、及び位置関係のみに限定されるものではない。
【0019】
(実施の形態)
図1は、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1の断面図である。
図1に示すように、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1は、基材2と薄膜3とを備える。
【0020】
基材2は、金属または合金からなるが、チタン又はチタン合金、アルミニウム又はアルミニウム合金、ニッケル又はニッケル合金、銅又は銅合金、ステンレス等の金属または合金が好ましい。
【0021】
薄膜3は、基材2の表面に、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる粉末をガスと共に加速し、基材2の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって形成されたマグネシウム又はマグネシウム合金層である。薄膜3を形成するマグネシウム又はマグネシウム合金としては、マグネシウム含量が95質量%以上の純マグネシウムのほか、マグネシウム−アルミニウム合金(AM系)、マグネシウム−アルミニウム−亜鉛合金(AZ系)、マグネシウム−亜鉛−ジルコニウム合金(ZK系)、マグネシウム−銅−亜鉛合金(ZC系)等の粉末を使用することができる。
【0022】
本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1において、成形加工用マグネシウム系部材1の厚さに対する薄膜3の厚さの割合は、軽量化等の観点から50%以上であることが好ましく、70%以上であることが特に好ましい。
【0023】
次に、本実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1の製造について説明する。
図2は、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1の製造に使用するコールドスプレー装置の概要を示す模式図である。
図2に示すコールドスプレー装置10は、圧縮ガスを加熱するガス加熱器11と、薄膜3の材料であるマグネシウム又はマグネシウム合金粉末を収容し、スプレーガン13に供給する粉末供給装置12と、加熱された圧縮ガス及びそこに供給された材料粉末を基材に噴射するガスノズル14と、ガス加熱器11及び粉末供給装置12に対する圧縮ガスの供給量をそれぞれ調節するバルブ15及び16とを備える。
【0024】
図2に示すようなコールドスプレー装置10において、ガスノズル14からガス加熱器11で加熱された圧縮ガスとともにマグネシウム又はマグネシウム合金からなる粉末を基材2の表面に固相状態のままで吹き付けて堆積させることによってマグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜3を形成する。
図2において、ガスノズル14は、基材2の表面に対して垂直方向から材料粉末を噴射しているが、ガスノズル14は、基材2の表面に対して傾けた状態で材料粉末を基材2に噴射してもよい。ガスノズル14は、基材2に対して垂直方向から45°まで傾けた状態で噴射可能である。コールドスプレー装置10により形成された薄膜3は、圧延により製造されたものより結晶方位の偏りを小さくできるが、ガスノズル14を傾けた状態で材料粉末を基材2に噴射して薄膜3を形成した場合、積層方向とその後の圧下方向に傾きを持たせることができるので、圧延性をより向上することができる。
【0025】
図2に示すようなコールドスプレー装置10において、圧縮ガスとしては、ヘリウム、窒素、空気などが使用される。ガス加熱器11に供給された圧縮ガスは、例えば50℃以上であって、薄膜3の材料粉末であるマグネシウム又はマグネシウム合金の融点よりも低い範囲の温度に加熱された後、スプレーガン13に供給される。圧縮ガスの加熱温度は、好ましくは400〜600℃である。
一方、粉末供給装置12に供給された圧縮ガスは、粉末供給装置12内の材料粉末をスプレーガン13に所定の吐出量となるように供給する。
【0026】
加熱された圧縮ガスは末広形状をなすガスノズル14により超音速流(約340m/s以上)にされる。この際の圧縮ガスのガス圧力は、1〜5MPa程度とすることが好ましい。圧縮ガスの圧力および温度をこの程度に調整することにより、基材2に対する薄膜3の密着強度および薄膜3の密度の向上を図ることができるからである。より好ましくは、3〜5MPa程度の圧力で処理すると良い。スプレーガン13に供給された粉末材料は、この圧縮ガスの超音速流の中への投入により加速され、固相状態のまま、基材2上に高速で衝突して堆積し、薄膜3を形成する。なお、材料粉末を基材2に向けて固相状態で衝突させて薄膜3を形成できる装置であれば、
図2に示すコールドスプレー装置10に限定されるものではない。なお、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜3の成膜中に、基材2を250℃程度に加熱することが好ましい。基材2を加熱することにより、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜3の加工性が向上し、薄膜3の密度が向上する。
【0027】
コールドスプレー装置10では、薄膜3の厚さは任意の厚さに調製可能であるため、上記のようにして製造した成形加工用マグネシウム系部材1を、そのまま、圧延、プレス加工等の成形加工を行うこともできるが、必要に応じて圧延を行い、薄膜3の厚さの公差をそろえてもよい。
【0028】
本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1は、コールドスプレー法によりマグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜3を形成するが、ガスノズル14から圧縮ガスとともに吐出されたマグネシウム又はマグネシウム合金粉末は固相状態で積層されるため、薄膜3中のマグネシウム又はマグネシウム合金の偏析が少ない。また、成膜に大きな加工歪みが加えられるため、成膜中の動的再結晶や成膜後の熱処理により結晶粒を微細化できる。これにより、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1は、圧延、プレス加工、押出加工、引抜加工または絞り加工等の成形加工時の割れ等を抑制することができる。
【0029】
なお、実施の形態1において、板状の成形加工用マグネシウム系部材1について説明したが、成形加工用マグネシウム系部材は板状に限定されるものではなく、円柱状の基材の側面にマグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜を形成したものであってもよい。係る場合は、円柱状の基材を回転させながらコールドスプレー法によりマグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜を基材上に形成すればよい。
【0030】
なお、マグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜3の基材2と接する面と反対側の表面に、基材2と同一の金属または合金、あるいは基材2と異なる金属または合金からなる材料粉末をガスと共に加速し、薄膜3の表面に固相状態のままで吹き付けて皮膜を形成してもよい。
【0031】
図3は、本発明の実施の形態の変形例1に係る成形加工用マグネシウム系部材の断面図である。変形例1に係る成形加工用マグネシウム系部材1Aは、基材2および薄膜3に加え、皮膜4を備える。皮膜4は、基材2と同一の金属または合金、あるいは基材2と異なる金属または合金からなる材料粉末であり、
図2に示すようなコールドスプレー装置10において、ガスノズル14からガス加熱器11で加熱された圧縮ガスとともに皮膜4を形成する材料粉末を薄膜3の基材2と接する面の反対側の表面に、固相状態のままで吹き付けて堆積させることによって形成する。
【0032】
皮膜4の形成において、圧縮ガスとしては、薄膜3を形成する際に使用する圧縮ガスと同様のヘリウム、窒素、空気などが使用される。圧縮ガスは、例えば50℃以上であって、皮膜4の材料粉末の融点よりも低い範囲の温度に加熱された後、スプレーガン13に供給される。本発明の実施の形態の変形例1に係る成形加工用マグネシウム系部材1Aは、薄膜3中のマグネシウム又はマグネシウム合金の偏析が少なく、成膜に大きな加工歪みが加えられるため、成膜中の動的再結晶や成膜後の熱処理により結晶粒を微細化できる。したがって、薄膜3の両側に基材2および皮膜4を備える場合であっても、その後の圧延やプレスの加工代を大きく取ることができる。
【0033】
なお、実施の形態1の変形例1において、板状の成形加工用マグネシウム系部材Aについて説明したが、円柱状の基材の側面にマグネシウム又はマグネシウム合金からなる薄膜を形成し、薄膜上に基材と同一の金属または合金、あるいは基材と異なる金属または合金からなる材料粉末をガスと共に加速し、薄膜の表面に固相状態のままで吹き付けて皮膜を形成したものであってもよい。
【0034】
また、本発明の成形加工用マグネシウム系部材は、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1において、基材2を除去した薄膜3のみからなるものであってもよい。
図4は、本発明の実施の形態の変形例2に係る成形加工用マグネシウム系部材の断面図である。
【0035】
変形例2に係る成形加工用マグネシウム系部材1Bは、薄膜3のみからなる。成形加工用マグネシウム系部材1Bは、本発明の実施の形態に係る成形加工用マグネシウム系部材1を作製した後、基材2を切削または剥離により除去することにより製造することができる。なお、変形例2に係る成形加工用マグネシウム系部材1Bは、円柱形状の基材の側面に薄膜を形成し、得られた薄膜を巻取ロールで巻き取ることにより連続的に製造することもできる。
【0036】
図5は、本発明の実施の形態の変形例2に係る成形加工用マグネシウム系部材の製造を説明する模式図である。
図5に示すように、円柱形状の基材2Bを円柱の中心軸を回転軸として回転しながら、回転する円柱形状の基材2Bの側面にコールドスプレー装置10により薄膜3を形成し、得られた薄膜3を巻取ロール5で巻き取ることにより成形加工用マグネシウム系部材1Bを連続的に製造することができる。
【符号の説明】
【0037】
1 成形加工用マグネシウム系部材
2 基材
3 薄膜
4 皮膜
5 巻取ロール
10 コールドスプレー装置
11 ガス加熱器
12 粉末供給装置
13 スプレーガン
14 ガスノズル
15 バルブ