特許第6483504号(P6483504)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483504
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】トーションビーム式サスペンション
(51)【国際特許分類】
   B60G 9/04 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   B60G9/04
【請求項の数】2
【全頁数】13
(21)【出願番号】特願2015-75155(P2015-75155)
(22)【出願日】2015年4月1日
(65)【公開番号】特開2016-193682(P2016-193682A)
(43)【公開日】2016年11月17日
【審査請求日】2018年1月26日
(73)【特許権者】
【識別番号】500213915
【氏名又は名称】株式会社ワイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】特許業務法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上平 雅之
(72)【発明者】
【氏名】芥川 紀文
【審査官】 上谷 公治
(56)【参考文献】
【文献】 特開2007−153099(JP,A)
【文献】 特開平11−115430(JP,A)
【文献】 特開2009−051380(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 9/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の左右両側にそれぞれ取り付けられるトレーリングアームと、
車両の左右方向に延び、上記トレーリングアームを連結するトーションビームとを備えたトーションビーム式サスペンションにおいて、
上記トレーリングアームは、上下方向の中間部において上下に分割され、下方に開放する上側部材と上方に開放する下側部材とが組み合わされて構成され、
上記上側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁下端部と、上記下側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁上端部とは、突き合わされた状態で接合され、
上記上側部材における上記トーションビームが連結される側とは反対側の側壁下端部と、上記下側部材における上記トーションビームが連結される側とは反対側の側壁上端部とは、厚み方向に重なるように配置されて互いに溶接され、
上記トーションビームの車両左右方向の端部は、上記上側部材の上面、上記上側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁外面上記下側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁外面及び上記下側部材の下面に亘って連続して溶接されていることを特徴とするトーションビーム式サスペンション。
【請求項2】
請求項に記載のトーションビーム式サスペンションにおいて、
上記トーションビームには、車両の左右方向に延びるとともに、車両前後方向に互いに離れた第1板部及び第2板部が形成され、
上記第1板部及び上記第2板部の車両左右方向の端部は、上記上側部材の側壁外面及び上記下側部材の側壁外面に突き合わされて溶接されていることを特徴とするトーションビーム式サスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、左右一対のトレーリングアームと該トレーリングアームを連結するトーションビームとを備えたトーションビーム式サスペンションに関するものであり、特に、複数の部材に分割されたトレーリングアームにトーションビームを溶接する構造の技術分野に属する。
【背景技術】
【0002】
トーションビーム式サスペンションは、車輪を車体に支持するための左右一対のトレーリングアームと、左右のトレーリングアームを連結する左右方向に延びるトーションビームとを備えており、トレーリングアームの前端部が車体に揺動自在に連結されている。トレーリングアームの構造としては、例えば、特許文献1に開示されているように断面円形の中空状のパイプを曲げ加工することによって形成したもの、特許文献2の図5に開示されているように1枚の板材を湾曲したパイプ状に形成したもの、特許文献2の図6に開示されているように上下分割構造にしたもの、特許文献3に開示されているように左右分割構造にしたもの等が知られている。
【0003】
特許文献2の図6に開示されているトレーリングアームは、下方に開放する上側部材と、上方に開放する下側部材とからなる。上側部材は下側部材の内側に嵌合しており、上側部材の下部と下側部材の上部とを厚み方向に重ねて上側部材の外面と下側部材の上部とを溶接して一体化している。
【0004】
また、特許文献3に開示されているトレーリングアームの場合、例えば左側のトレーリングアームは右側に開放する左側部材と、左側に開放する右側部材とからなる。左側部材は右側部材の内側に嵌合しており、左側部材の右端部と右側部材の左端部とを厚み方向に重ね、両者を溶接して一体化している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−322913号公報
【特許文献2】特開平11−115430号公報
【特許文献3】特開2012−153346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1のトレーリングアームや特許文献2の図5のトレーリングアームは基本的に1つの部材からなるものであるのに対し、特許文献2の図6のトレーリングアームや特許文献3のトレーリングアームは2つの部材を組み合わせて構成している。2つの部材を組み合わせて構成した方が、各部材の厚みを変えたり、アーム断面形状の設定自由度が向上して断面の最適化が可能になる。従って、特許文献2の図6のトレーリングアームや特許文献3のトレーリングアームの方が、特許文献1のトレーリングアームや特許文献2の図5のトレーリングアームに比べて効率よく軽量化しやすいという利点がある。
【0007】
ところが、特許文献3の左右分割構造のトレーリングアームの場合、塗料が付きにくい溶接部が下に位置することになる。このため、トレーリングアームの内部に侵入した水が下方へ流れていった際に、その水が溶接部に付着しやすくなり、その結果、上下分割構造のトレーリングアームに比べて腐食しやすいという問題がある。また、トレーリングアームは左右方向に大きく屈曲した形状になることが多いので、上下分割構造にすることで、左右分割構造に比べて各部材の成形深さを浅くすることができ、各部材の成形性の面でも利点がある。
【0008】
したがって、特許文献2の図6の上下分割構造のトレーリングアームが、軽量化、耐腐食性、各部材の成形性の面でよいのであるが、トーションビームとの接合部において次のような問題が生じ得る。すなわち、特許文献2の図6の上下分割構造では、上側部材は下側部材の内側に嵌合していて、上側部材の下部と下側部材の上部とが厚み方向に重なることになるので、トレーリングアームの側面に段差ができる。そして、トレーリングアームの側面にトーションビームの端部を溶接することになるのであるが、トレーリングアームの側面に段差ができていると、段差を避けるようにして溶接しなければならない。このため、トーションビームをトレーリングアームの上側部材から下側部材に亘って連続溶接できなくなり、このことで応力集中しやすくなり、耐久性が低下してしまう。
【0009】
また、トレーリングアームの上側部材を下側部材に嵌合させる場合、上側部材を下側部材に比べて小さく成形する必要がある。ところが、上側部材を小さくしすぎると上側部材と下側部材との間の隙間が大きくなって溶接品質が悪化するため、上側部材には厳しい形状精度が求められる。
【0010】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、軽量、かつ、安価で高品質なトーションビーム式サスペンションを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために、本発明では、トレーリングアームを上下分割構造とすることを前提とし、上側部材の下端部と、下側部材の上端部とを突き合わせて接合するようにした。
【0012】
第1の発明は、
車両の左右両側にそれぞれ取り付けられるトレーリングアームと、
車両の左右方向に延び、上記トレーリングアームを連結するトーションビームとを備えたトーションビーム式サスペンションにおいて、
上記トレーリングアームは、上下方向の中間部において上下に分割され、下方に開放する上側部材と上方に開放する下側部材とが組み合わされて構成され、
上記上側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁下端部と、上記下側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁上端部とは、突き合わされた状態で接合され、
上記上側部材における上記トーションビームが連結される側とは反対側の側壁下端部と、上記下側部材における上記トーションビームが連結される側とは反対側の側壁上端部とは、厚み方向に重なるように配置されて互いに溶接され、
上記トーションビームの車両左右方向の端部は、上記上側部材の上面、上記上側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁外面上記下側部材における上記トーションビームが連結される側の側壁外面及び上記下側部材の下面に亘って連続して溶接されていることを特徴とする。
【0013】
この構成によれば、上側部材及び下側部材を組み合わせてトレーリングアームを構成したので、上側部材及び下側部材の厚みを変えることが可能になるとともに、断面形状の設定自由度が向上してトレーリングアームの断面の最適化が可能になる。従って、トレーリングアームの軽量化が効率よく行われる。
【0014】
また、トレーリングアームを上下分割構造としたので、接合部分が上下方向中間部に位置することになって雨水等が付着しにくくなり、耐腐食性が向上する。
【0015】
さらに、トレーリングアームは車両の左右方向に大きく屈曲した形状になることが多いが、上下分割構造にすることで、上側部材及び下側部材の成形深さが浅くなり、各部材の成形性の面で有利になる。
【0016】
そして、上側部材におけるトーションビームが連結される側の側壁下端部と、下側部材におけるトーションビームが連結される側の側壁上端部とが突き合わされているので、トレーリングアームの側壁外面に段差が形成されない。よって、トーションビームの端部を上側部材の側壁外面から下側部材の側壁外面に亘って連続溶接することが可能になる。これにより、トーションビームの連結部分における応力が分散されて応力集中が回避される。
【0017】
また、上側部材の側壁下端部と、下側部材の側壁上端部とを突き合わせることで、上側部材と下側部材を嵌合させる場合に比べて形状精度が低くても、上側部材と下側部材との間に隙間ができにくくなる。これにより、溶接品質が向上する。
【0018】
また、トーションビームの端部をトレーリングアームの広い範囲に溶接することが可能になるので、トーションビームの連結部分における応力をより一層分散させることが可能になる。
【0019】
また、トーションビームが連結される側とは反対側において、トレーリングアームの上側部材の側壁下端部と下側部材の側壁上端部とを厚み方向に重ねて溶接するようにしたので、トレーリングアームの強度を高めることが可能になる。
【0020】
の発明は、第の発明において、
上記トーションビームには、車両の左右方向に延びるとともに、車両前後方向に互いに離れた第1板部及び第2板部が形成され、
上記第1板部及び上記第2板部の車両左右方向の端部は、上記上側部材の側壁外面及び上記下側部材の側壁外面に突き合わされて溶接されていることを特徴とする。
【0021】
この構成によれば、トーションビームの第1板部及び第2板部の端部が上側部材及び下側部材の側壁外面に突き合わされるので両者の隙間が狭くなり、溶接品質が良好になる。
【発明の効果】
【0022】
第1の発明によれば、トレーリングアームを上下分割構造とし、上側部材におけるトーションビームが連結される側の側壁下端部と、下側部材におけるトーションビームが連結される側の側壁上端部とが突き合わされた状態で接合されているので、トーションビームの端部を上側部材の側壁外面から下側部材の側壁外面に亘って連続溶接することができる。これにより、軽量、かつ、安価で高品質なトーションビーム式サスペンションとすることができる。
【0023】
また、トーションビームの端部を上側部材の上面から下側部材の下面に亘って溶接するようにしたので、トーションビームの連結部分における応力をより一層分散させることができる。
【0024】
また、トーションビームが連結される側とは反対側において、トレーリングアームの上側部材の側壁下端部と下側部材の側壁上端部とを厚み方向に重ねて溶接するようにしたので、トレーリングアームの強度を高めることができる。
【0025】
の発明によれば、トーションビームの第1板部及び第2板部の端部を上側部材の側壁外面及び下側部材の側壁外面に突き合わせて溶接するようにしたので、トーションビームとトレーリングアームとの溶接品質を良好にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】実施形態に係るトーションビーム式サスペンションを上方から見た斜視図である。
図2図1におけるII−II線断面図である。
図3】右側トレーリングアーム及びトーションビーム右端部の平面図である。
図4】右側トレーリングアーム及びトーションビーム右端部を下方から見た斜視図である。
図5】右側トレーリングアーム及びトーションビーム右端部を車両後方から見た図である。
図6図3におけるVI−VI線断面図である。
図7】トーションビームを下方から見た斜視図である。
図8】トーションビームの正面図である。
図9】トーションビームの左側面図である。
図10】上側部材を上方から見た斜視図である。
図11】上側部材を下方から見た斜視図である。
図12】上側部材の左側面図である。
図13】上側部材の平面図である。
図14】下側部材を上方から見た斜視図である。
図15】下側部材の左側面図である。
図16】下側部材の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係るトーションビーム式サスペンション1を上方、かつ、斜め前方から見た斜視図である。トーションビーム式サスペンション1は、例えば自動車の後側のサスペンション装置として使用されるものであり、車両の左右両側にそれぞれ取り付けられる右側トレーリングアーム2及び左側トレーリングアーム3と、車両の左右方向に延び、左右のトレーリングアーム2、3を連結するトーションビーム4とを備えている。トーションビーム式サスペンション1は、さらに、右側スプリングサポート5及び左側スプリングサポート6を備えている。
【0029】
尚、この実施形態の説明では、車両前側を単に「前」といい、車両後側を単に「後」といい、車両左側と単に「左」といい、車両右側を単に「右」というものとする。
【0030】
図7図9にも示すように、トーションビーム4は、例えば鋼鈑をプレス成形してなる一体成形品であり、左右方向に延び、かつ、前後方向に互いに離れた前板部(第1板部)41及び後板部(第2板部)42と、前板部41及び後板部42の上端部同士を連結する上板部43とからなり、下方に開放する略コ字状の断面を有している。上板部43は左右方向に延びている。
【0031】
図2に示すように、前板部41及び後板部42の下端部は、トレーリングアーム2、3の下面よりも下方へ延びている。前板部41の下端部には前方へ突出する前側延出部41aが形成されている。また、後板部42の下端部には後方へ突出する後側延出部42aが形成されている。前側延出部41a及び後側延出部42aは、トーションビーム4の左右両端に亘って延びている。
【0032】
図7に示すように、トーションビーム4の右端部には、右側トレーリングアーム2の外形状に沿うように切り欠かれた右側切欠部4aが形成されている。トーションビーム4の右端部において右側切欠部4aよりも下方には、右側へ突出する右側突出部4b、4bが形成されている。右側突出部4b、4bは、前板部41及び後板部42から突出している。また、トーションビーム4の左端部には、左側トレーリングアーム2の外形状に沿うように切り欠かれた左側切欠部4cが形成されている。トーションビーム4の左端部において左側切欠部4cよりも下方には、左側へ突出する左側突出部4d、4dが形成されている。左側突出部4d、4dは、前板部41及び後板部42から突出している。
【0033】
図2図4にも示すように、右側トレーリングアーム2は、全体として前後方向に延びる中空状部材で構成されており、図3に示す平面視において、前後方向の中間部が最も左に位置し、そこから前端部及び後端部に近づくほど右に位置するように湾曲している。右側トレーリングアーム2の前端部には、ブッシュ(図示せず)が取り付けられる筒部材7が固定されている。筒部材7の中心軸は、略左右方向に延びている。筒部材7は、後述する上側部材20と下側部材25とで上下に挟まれて上側部材20及び下側部材25に溶接される。右側トレーリングアーム2の後端部には、車輪支持部材(図示せず)が取り付けられるキャリア8が固定されている。キャリア8は、上側部材20と下側部材25とに溶接される。右側トレーリングアーム2の前後方向中間部にトーションビーム4の右端部が溶接される。
【0034】
図5図6に示すように、右側トレーリングアーム2は、該右側トレーリングアーム2の上下方向の中間部において上下に分割され、下方に開放する上側部材20と、上方に開放する下側部材25とが組み合わされて構成されている。上側部材20及び下側部材25は、各々、例えば鋼鈑をプレス成形してなる一体成形品である。
【0035】
図10図11に示すように、上側部材20は、前後方向に延びる上壁部21と、上壁部21の左端部から下方へ延びる上側左壁部(トーションビーム4が連結される側の側壁)22と、上壁部21の右端部から下方へ延びる上側右壁部(トーションビーム4が連結される側とは反対側の側壁)23とを有している。上壁部21は、図13に示す平面視で右側トレーリングアーム2の湾曲形状に対応するように左右方向に湾曲していて、図12に示すように該上壁部21の前端部に近づくほど上に位置するように傾斜している。また、上壁部21の後側は上方へ膨出するように形成されている。
【0036】
図13に示すように、上側左壁部22及び上側右壁部23も右側トレーリングアーム2の湾曲形状に対応するように左右方向に湾曲している。上側左壁部22及び上側右壁部23の間隔は、前端部が最も狭く、後端部が最も広くなるように設定されている。上側左壁部22の下端部22aと、上側右壁部23の下端部23aとは、略同じ高さに位置している。
【0037】
図14図16に示すように、下側部材25は、前後方向に延びる下壁部26と、下壁部26の左端部から上方へ延びる下側左壁部(トーションビーム4が連結される側の側壁)27と、下壁部26の右端部から上方へ延びる下側右壁部(トーションビーム4が連結される側とは反対側の側壁)28とを有している。下壁部26は、底面から見たとき、右側トレーリングアーム2の湾曲形状に対応するように左右方向に湾曲している。また、下壁部26の後側は下方へ膨出するように形成されている。
【0038】
下側左壁部27及び下側右壁部28も右側トレーリングアーム2の湾曲形状に対応するように左右方向に湾曲している。図16に示すように、下側左壁部27及び下側右壁部28の間隔は、前端部が最も狭く、後端部が最も広くなるように設定されている。下側左壁部27の下端部27aと、下側右壁部28の下端部28aとは、略同じ高さに位置している。また、図6に示すように、下側左壁部27の上下方向の寸法は、上側左壁部22の上下方向の寸法よりも短く設定されている。さらに、下側右壁部28の上下方向の寸法は、上側右壁部23の上下方向の寸法よりも短く設定されている。
【0039】
上側部材20における上側左壁部22の下端部22aと、下側部材25における下側左側壁部27の上端部27aとは、突き合わされた状態で接合されている。すなわち、上側左壁部22の下端部22aの端面と、下側左側壁部27の上端部27aの端面とは同じ位置に配置されるように成形されて互いに当接し、溶接されている。これにより、右側トレーリングアーム2における左側、即ちトーションビーム4が連結される側の面は、上部から下部まで段差が形成されない面となる。
【0040】
一方、上側部材20における上側右壁部23の下端部23aと、下側部材25における下側右側壁部28の上端部28aとは、厚み方向に重なるように配置されて互いに溶接されている。この実施形態では、上側右壁部23の下端部23aの外面に、下側右側壁部28の上端部28aの内面が重なるように配置されており、上側右壁部23の下端部23aと下側右側壁部28の上端部28aとが重なった部分では、他の部分と比べて約2倍の厚みを有することになる。下側右側壁部28の上端部28aの端面と、上側右壁部23の外面とが溶接される。尚、下側右側壁部28の上端部28aの外面に、上側右壁部23の下端部23aを重ねてもよい。
【0041】
図1に示すように、左側トレーリングアーム3は、右側トレーリングアーム2と同様に全体として前後方向に延びる中空状部材であり、該左側トレーリングアーム3の上下方向の中間部において上下に分割され、下方に開放する上側部材30と、上方に開放する下側部材35とが組み合わされて構成されている。また、左側トレーリングアーム3は、前後方向の中間部が最も右に位置し、そこから前端部及び後端部に近づくほど左に位置するように平面視で湾曲している。左側トレーリングアーム3の前端部には、ブッシュ(図示せず)が取り付けられる筒部材7が固定されている。左側トレーリングアーム3の後端部には、車輪支持部材(図示せず)が取り付けられるキャリア8が固定されている。左側トレーリングアーム3の前後方向中間部にトーションビーム4の左端部が溶接される。
【0042】
右側スプリングサポート5は、右側トレーリングアーム2とトーションビーム4の右側とに溶接されており、車両右側に配設されるスプリング(図示せず)の下端部を受けるためのものである。また、左側スプリングサポート6は、左側トレーリングアーム3とトーションビーム4の左側とに溶接されており、車両左側に配設されるスプリング(図示せず)の下端部を受けるためのものである。
【0043】
トーションビーム4の右端部を右側トレーリングアーム2に溶接する場合には、まず、トーションビーム4の右側切欠部4aの内部に右側トレーリングアーム2の前後方向中間部を入れ、右側切欠部4aの周縁部を右側トレーリングアーム2の上側左壁部22及び下側左壁部27の外面に当接させる。これにより、トーションビーム4の前板部41及び後板部42の右端部が、上側部材20の上側左壁部22の外面及び下側部材25の下側左壁部27の外面に突き合わされる。そして、トーションビーム4の前板部41及び後板部42の右端部を、上側部材20の上側左壁部22の外面及び下側部材25の下側左壁部27の外面に溶接する。このとき、右側トレーリングアーム2における左側の面は、上部から下部まで段差が形成されない面となっているので、トーションビーム4の右端部は、上側部材20における上側左壁部22の外面から下側部材25における下側左壁部27の外面に亘って連続溶接することができる。また、トーションビーム4の上板部43を右側トレーリングアーム2の上壁部21に溶接するとともに、トーションビーム4の右側突出部4bを右側トレーリングアーム2の下壁部26に溶接する。
【0044】
トーションビーム4の左端部も同様にして左側トレーリングアーム3に溶接する。これにより、トーションビーム4によって右側トレーリングアーム2及び左側トレーリングアーム3が連結されたトーションビーム式サスペンション1が得られる。
【0045】
以上説明したように、この実施形態に係るトーションビーム式サスペンション1によれば、上側部材20及び下側部材25を組み合わせて右側トレーリングアーム2を構成したので、上側部材20及び下側部材25の厚みを変えることが可能になるとともに、断面形状の設定自由度が向上して右側トレーリングアーム2の断面の最適化が可能になる。左側トレーリングアーム3も同様である。従って、トレーリングアーム2、3の軽量化が効率よく行われる。
【0046】
また、右側及び左側トレーリングアーム2、3を上下分割構造としたので、接合部分が上下方向中間部に位置することになる。これにより、左右分割構造にした場合に比べて接合部分に雨水等が付着しにくくなるので、トレーリングアーム2、3の耐腐食性が向上する。
【0047】
さらに、この実施形態では、右側及び左側トレーリングアーム2、3が車両の左右方向に大きく屈曲した形状となっているが、上下分割構造にすることで、上側部材20、30及び下側部材25、35の成形深さを浅くすることができ、上側部材20、30及び下側部材25、35の成形性の面で有利になる。
【0048】
そして、右側トレーリングアーム2の上側部材20におけるトーションビーム4が連結される上側左側壁22の下端部22aと、下側部材25におけるトーションビーム4が連結される下側左側壁27の上端部27aとが突き合わされているので、右側トレーリングアーム2の側壁に段差が形成されない。よって、トーションビーム4の右端部を上側部材20の上側左側壁22の外面から下側部材25の下側左側壁27の外面に亘って連続溶接することが可能になる。よって、トーションビーム4の連結部分における応力が分散されて応力集中が回避される。
【0049】
また、右側トレーリングアーム2の上側部材20における上側左側壁22の下端部22aと、下側部材25における下側左側壁27の上端部27aとを突き合わせることで、上側部材20と下側部材25を嵌合させる場合に比べて形状精度が低くても、上側左側壁22の下端部22aと、下側左側壁27の上端部27aとの間に隙間ができにくくなる。よって、溶接品質が向上する。左側トレーリングアーム3についても同様である。
【0050】
したがって、軽量、かつ、安価で高品質なトーションビーム式サスペンション1とすることができる。
【0051】
また、トーションビーム4の右端部を上側部材20、30の上面から下側部材25、35の下面に亘って溶接するようにしたので、トーションビーム4の連結部分における応力をより一層分散させることができる。トーションビーム4の左端部においても同様である。
【0052】
また、上記実施形態では、トーションビーム4を板材で構成した場合について説明したが、これに限らず、例えばパイプを径方向に潰すことによって成形したトーションビーム(図示せず)であっても本発明を適用することができる。
【0053】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0054】
以上説明したように、本発明に係るトーションビーム式サスペンションは、例えば乗用自動車等に適用することができる。
【符号の説明】
【0055】
1 トーションビーム式サスペンション
2、3 トレーリングアーム
4 トーションビーム
41 前板部(第1板部)
42 後板部(第2板部)
20 上側部材
22 上側左壁部(トーションビームが連結される側の側壁)
22a 下端部
23 上側右壁部(トーションビームが連結される側とは反対側の側壁)
23a 下端部
25 下側部材
27 下側左壁部(トーションビームが連結される側の側壁)
27a 上端部
28 下側右壁部(トーションビームが連結される側とは反対側の側壁)
28a 上端部
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