特許第6483517号(P6483517)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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特許6483517溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段と湯切り方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483517
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段と湯切り方法
(51)【国際特許分類】
   B22D 35/00 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   B22D35/00 Z
【請求項の数】4
【全頁数】10
(21)【出願番号】特願2015-96008(P2015-96008)
(22)【出願日】2015年5月8日
(65)【公開番号】特開2016-209907(P2016-209907A)
(43)【公開日】2016年12月15日
【審査請求日】2018年1月15日
(73)【特許権者】
【識別番号】000183945
【氏名又は名称】助川電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001922
【氏名又は名称】特許業務法人 日峯国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】照山 雄三
(72)【発明者】
【氏名】冨田 陸浩
(72)【発明者】
【氏名】三浦 邦明
【審査官】 荒木 英則
(56)【参考文献】
【文献】 特開2015−009252(JP,A)
【文献】 特開2011−005497(JP,A)
【文献】 特開2009−000688(JP,A)
【文献】 特開昭53−116228(JP,A)
【文献】 米国特許第05277551(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B22D 35/00
B22D 37/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶融金属を流して吐出する中間配管と、該中間配管から吐出された溶融金属を受けて該
溶融金属を受け流す出湯受け配管とからなる溶融金属給湯配管構造において、
斜傾して設けられた中間配管と駆動手段によって汲み上げられ、当該中間配管の吐出口
から吐出される溶融金属を受けて受け流す出湯受け配管とからなり、中間配管と出湯受け
配管との間に密閉され、中間配管の吐出口が配設された空間部が設けられ、
ガス源に連結され、ガス源より吹付ガスが供給されるガス供給配管と該ガス供給配管を
挿通して固定するフランジ部とを備えたガス吹付手段が前記中間配管に設けられ、当該ガ
ス供給配管が前記中間配管の吐出口に対して鉛直方向外側の対称位置に配置され、空間部
内であって、前記中間配管の吐出口に近接配置され、鉛直方向外側の対称位置の2方向か
ら吹付ガスを吹き付ける吹付口を備え、
前記フランジ部が、ガス供給配管を挿通し、位置調整し、固定するガス供給配管固定部
を備え、該ガス供給配管固定部に固定されるガス供給配管の吹付口が位置調整されること
を特徴とする溶融金属給湯配管構造。
【請求項2】
請求項1に記載の溶融金属給湯配管構造において、該ガス吹付手段がガス供給配管部と
両端に設けられた二つのフランジ部からなり、一方のフランジ部が該各ガス供給配管を挿
通して固定するフランジ部であり、他方のフランジ部には、作業者がガス供給配管の吹付
口の位置の上下移動並びに回転調整状態を目視するための透明の窓を持つ窓部が固定され
ることを特徴とする溶融金属給湯配管構造。
【請求項3】
請求項1に記載の溶融金属給湯配管構造において、前記ガス供給配管固定部が位置調整
機構を備え、ガス供給配管の吹付口の位置がガス供給配管の長手方向並びに回転方向で調
整されることを特徴とする溶融金属給湯配管構造。
【請求項4】
斜傾して設けられた中間配管と駆動手段によって汲み上げられ、当該中間配管の吐出口
から吐出される溶融金属を受けて受け流す出湯受け配管とからなり、中間配管と出湯受け
配管との間に密閉され、中間配管の吐出口が配設された空間部が設けられ、中間配管の吐
出口が下側エッジを備え、
ガス源に連結され、ガス源より吹付ガスが供給されるガス供給配管と該ガス供給配管を
挿通して固定するフランジ部とを備えたガス吹付手段が前記中間配管に設けられ、当該ガ
ス供給配管が前記中間配管の吐出口に対して鉛直方向外側の対称位置に配置され、空間部
内であって、前記中間配管の吐出口に近接配置され、鉛直方向外側の対称位置の2方向か
ら吹付ガスを吹き付ける吹付口を備えた溶融金属給湯配管構造における溶融金属の湯切り
方法において、
前記フランジ部に、ガス供給配管を挿通し、位置調整し、固定するガス供給配管固定部
を備え、該ガス供給配管固定部に固定されるガス供給配管の吹付口を位置調整し、
ガス供給配管の吹付口から、位置調整された吹付ガスを、中間配管の吐出口の下側エッ
ジに向けて、吐出する溶融金属に対して鉛直方向外側の対称位置の2方向から吹き付ける
こと
を特徴とする溶融金属給湯配管構造におけるガス吹付による溶融金属の湯切り方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段と湯切り方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、金属鋳造装置により鋳物を製造する場合、金属のインゴットを溶解炉で溶融した後、柄杓による機械的給湯手段、空圧を利用した給湯手段または電磁誘導による給湯手段等により鋳造装置の鋳型内に溶融金属を充填し、鋳物を鋳造する。
【0003】
ここで、電磁誘導による給湯手段としては、例えば誘導電磁ポンプが多く使用されている。この種の電磁ポンプは、溶融金属槽に取り付けられ、溶融金属を駆動するため電磁ポンプダクトに移動磁界を駆動方向に発生させて、その移動磁界が溶融金属を過ぎることによって溶融金属内に誘導電流が誘起され、この誘導電流と移動磁界との相互作用によって移動磁界方向に推力が誘発され、この推力によって溶融金属を駆動したり制動したりするものである。
【0004】
電磁ポンプには、いろいろな種類があり、特許文献1に示された浸漬型電磁ポンプを例にとり以下説明する。溶融金属は腐食性が強いので、電磁ポンプダクトや配管はセラミックスで作られている。
【0005】
この種の溶融金属供給装置おいて、例えば、浸漬型電磁ポンプは斜めに配置され、溶解炉の溶融金属に浸漬型電磁ポンプが差し込まれており、浸漬型電磁ポンプダクトの上端には中間配管が接続され、その先端は鉛直カットされた吐出口になっている。この中間配管は位置保持のために筐体で囲まれており、湯温低下防止の為にヒータが中間配管の外側に巻きつけられている。浸漬型電磁ポンプで汲み上げられた溶湯は、この吐出口から出湯された溶湯を受ける太めの出湯受け配管とそれに連なる配管が設置されて所定の給湯先に給湯する構造になっている。吐出口先端から出湯受け配管とそれに連なる配管の位置保持のために中間配管の筐体上部に下方に曲がった金属製T字管である給湯側配管位置保持管が取り付けられて、先端が鉛直カットされた吐出口から出湯受け配管とそれに連なる配管の位置保持を担っている。出湯受け配管とそれに連なる配管は、フランジ等で密に接続される構造が適用されている。
【0006】
これにより、給湯側配管を介して所定の溶融金属を供給するために、給湯側配管を流れる溶融金属を制御した上で給湯開始と停止を行い、給湯停止後には中間配管に戻る溶湯と吐出口から出てゆく溶湯とが鋭く鉛直カットされた吐出口の先端に於いて湯が切れることによって、鋳造装置の鋳型内への正確且つ迅速な溶融金属の安定した供給制御が実現される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2015−9252号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ここで、特許文献1に記載の溶融金属の供給手段は、鋭い鉛直カットされた吐出口の先端に於いて湯切れが行われるものの、速やかな湯切れが行われないことで、湯切れ不良で溶融金属が吐出口の先端に残存し付着してしまい、鋳造装置の型内への正確且つ迅速な溶融金属の安定した供給制御が阻害される問題が指摘されていた。
【0009】
本発明の目的は、各給湯配管間に空間部を設けた構造を活かして、速やかに溶融金属の湯切れを行うことができる溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段を提供することにある。
【0010】
本発明の目的は、また、溶融金属の湯切れを速やかに行うことができる、ガス吹付による溶融金属の湯切り方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の溶融金属給湯配管構造は、溶融金属を流して吐出する中間配管と、該中間配管から吐出された溶融金属を受けて該溶融金属を流す出湯受け配管とからなる溶融金属給湯配管構造において、
中間配管と出湯受け配管との間に空間部が設けられ、
ガス源に連結され、該ガス源より吹付ガスが供給されるガス供給配管が対称となる位置に一対設けられたガス供給配管部と、該各ガス供給配管を挿通して固定するガス供給配管固定部とからなるガス吹付手段が設けられ、
ガス源より吹付ガスが供給されるガス供給配管の吹付口が、密閉部に密閉された空間部内であって、中間配管を流れる溶融金属の吐出口に近接し、該溶融金属の湯面に対して鉛直方向外側の対称位置に配置され、
吹付ガスが、中間配管の吐出口の下側エッジに向けて、吐出する溶融金属に該溶融金属の流れる方向に対して斜め上方向の2方向から溶融金属の流れ際部に向けて吹き付けられることを特徴としている。
【0012】
本発明の溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段は、吐出口空間部を密閉する密閉部に固定され、該ガス吹付手段は、ガス供給配管部と該ガス供給配管部の両端に設けられるフランジ部とからなり、一端のフランジ部にガス供給配管固定部が一体に固定されることで、該一端のフランジ部に各ガス吹付手段が挿通され、該挿通された各ガス吹付手段が一端のフランジ部の対称位置に配置され、一端のフランジ部が密閉部に固定され、二重フランジの他端のフランジ部には透明の窓が形成される窓部が固定されることを特徴としている。
【0013】
また、本発明の溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段は、フランジ部において位置調整なされ、ガス供給配管固定部に固定されるガス供給配管の位置も調整されることを特徴としている。
【0014】
本発明の溶融金属給湯配管構造に用いられるガス吹付による溶融金属の湯切り方法は、
溶融金属を流して吐出する中間配管と、該中間配管から吐出された溶融金属を受けて該溶融金属を受け流す出湯受け配管とからなる溶融金属給湯配管構造に用いられるガス吹付による溶融金属の湯切り方法において、
吹付ガスが、流れ出る溶融金属の両側に対してガス供給配管が対称となる位置に一対設けられたガス供給配管部から吹き出すようにし、
本発明のガス吹付による溶融金属の湯切り方法は、中間配管と出湯受け配管との間の密閉された空間部内であって、中間配管を流れる溶融金属の吐出口に近接し、該溶融金属に対して鉛直方向外側の対称位置に配置されたガス供給配管部の吹付口より、給湯終了後に、中間配管から吐出が終了しようとする溶融金属に該溶融金属の流れる方向に対して斜め上方向の2方向から溶融金属の流れの両際部に向けて吹出すること
を特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明の溶融金属給湯配管構造または溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段は、上述の如く構成したので、各給湯配管間に空間部を設けた構造を活かして、速やかに溶融金属の湯切れを行うことができる。
【0016】
また、本発明のガス吹付による溶融金属の湯切り方法は、溶融金属の湯切れを速やかに行うことに最適なものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施例の溶融金属給湯配管構造の構成を示す概略縦断正面図である。
図2】本発明の実施例の溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段の詳細構成を示す図である。
図3】本発明の実施例の溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段を平面から見た図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施例(以下、本実施例と称する。)の溶融金属給湯配管構造および、溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段について、図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施例の溶融金属給湯配管構造の構成を示す概略縦断正面図である。本実施例の溶融金属給湯配管構造100は、溶融金属Mを流して吐出する中間配管3と、この中間配管3から吐出された溶融金属Mを受けてこの溶融金属Mを受け流す出湯受け配管4とからなる。
【0020】
また、本実施例の溶融金属給湯配管構造100は、中間配管3と出湯受け配管4との間に空間部5が設けられる。ここで、この空間部5を加熱密閉する加熱密閉部6が設けられている。この加熱密閉部6にはヒータが取り付けられて断熱材6’が取り付けられている。
【0021】
また、ガス源1に連結され、このガス源1より吹付ガスGが供給されるガス供給配管12、14が対称となる位置に一対設けられたガス供給配管部と、これら各ガス供給配管12、14を挿通して固定するガス供給配管固定部31、32とからなるガス吹付手段10が設けられる。また、このガス吹付手段10は加熱密閉部6に固定する構成としてもよい。
【0022】
また、ガス源1より吹付ガスGが供給されるガス供給配管12、14の吹付口22、2
4が、空問部5内であって、中問配管3の吐出口3Aに近接し、この溶融金属Mの湯面に
対して鉛直方向外側の対称位置に配置される。
【0023】
そして、吹付ガスGが、中間配管3の吐出口の下側エッジEに向けて、吐出する溶融金属Mに該溶融金属Mの流れる方向D1に対して対角方向で、かつ溶融金属Mの流れの両際部の2方向から吹き付けられる構成となっている。
【0024】
以下、本実施例の溶融金属給湯配管構造100の詳細を説明する。本実施例の溶融金属給湯配管構造100は、中間配管3が支持手段50内に挿通されており、この支持手段50が斜めに設けられることによって中間配管3も斜めに配設されている。
【0025】
支持手段50に支持された中間配管3の下部に配置された下部配管は図示しないが溶融
金属槽内の溶融金属の液面に挿し込まれている。また、支持手段50の下端には、駆動手
段2が設けられている。
【0026】
この駆動手段2は公知の電磁ポンプ等の装置であり、その装置の詳細構成は図示しないが、溶融金属槽に配された下部配管の軸方向に移動磁界を発生させて、その移動磁界が下部配管内の溶融金属を通過することによって溶融金属内に誘導電流が誘起される。そして、この誘導電流と移動磁界との相互作用に拠って移動磁界方向に推力が誘発され、この推力によって溶融金属Mを駆動・制御して中間配管3内にこの溶融金属Mを流し込むようになっている。
【0027】
中間配管3と出湯受け配管4は、それぞれセラミックス材により形成されるか、金属製の配管内にセラミックコーティングされた構造のものが適用される。また、これら中間配管3と出湯受け配管4の間には、空間部5が設けられており、駆動手段2によって中間配管3に汲み上げられた溶融金属Mが空間部5へ吐出されて出湯受け配管4の一端に滴下されて出湯受け配管4内に溶融金属Mが流し込まれるようになっている。
【0028】
また、加熱密閉部6を設ける場合は、ボルト・ナット等の固定手段51、52によって支持手段50へ固定される。また、加熱密閉部6は、出湯受け配管4を収容する中空状の配管収容部7が形成されており、配管収容部7内に出湯受け配管4が気密に収容される。これにより、加熱密閉部6の支持手段50への取り付けおよび出湯受け配管4の収容により、上記の空間部5が加熱密閉部6によって密閉されることとなる。
【0029】
そして、ガス源1より吹付ガスGが供給されるガス供給配管12、14を挿通して固定するガス供給配管固定部31、32とからなるガス吹付手段10が、加熱密閉部6の上方側の端部6Aに、クイックカップリング等の固定手段8により取り付け固定される。これにより、ガス供給配管12、14が位置固定され、一部分は加熱密閉部6に密閉された空間部5内に設けられ、吹付口22、24の吹付ガスは、中間配管3の吐出口の下側エッジEに向けて設けられ、また溶融金属Mが中間配管3から流れる方向D1に対向して設けられることとなる。
【0030】
また、図1に示すように、中間配管3には吐出口の下側には、鋭角のエッジEが形成されており、溶融金属Mの湯切りがこのエッジE部分で行われる。本実施例では、吹付口22、24から吐出される吹付ガスGの方向は、中間配管3の吐出口の下側エッジEに向けて設けられており、溶融金属Mの湯切りをより確実に行うようになっている。
【0031】
吹付ガスGの方向は、好ましくは、中間配管3の設置角度が水平面に対して45度である場合は、その中間配管の軸線に対して22.5度をなす角度に設けることで、より確実に溶融金属Mの湯切りを行うことができる。また、ガス吹付は、給湯終了後に、中間配管3内を流れる溶融金属Mの吐出が完了する時点において行うことが好ましい。
【0032】
ここで、溶融金属Mとしては、例えばアルミニウム合金等の金属が溶融した溶融金属である。溶融したアルミニウム合金は、他の金属と合金化しやすい性質を有しており、配管の材質が金属である場合に、この配管自身が溶融したアルミニウム合金に溶けてしまい配管が腐蝕してしまう問題があり、このような現場においては溶融金属を流す給湯配管としては、セラミックス材を用いた配管もしくは金属製の配管内部にセラミックコーティングした配管が適用されている。
【0033】
また、吹付ガスGとしては、溶融金属と反応し難い不活性ガスが用いられ、例えばアルゴンガスやヘリウムガス等が用いられる。この吹付ガスGは、ガス源1からガスホース11を介してガス供給配管12、14に供給される。このように、ガス供給配管12、14はガス源1に連結される。
【0034】
ガス吹付手段10の構成について、次に詳述する。
【0035】
図2は、本発明の実施例の溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段の詳細構成を示す図である。ガス吹付手段10は、ガス供給配管部16とこのガス供給配管部16の両端に設けられるフランジ部17、18とからなる。
【0036】
また、一端のフランジ部18にガス供給配管固定部31、32が固定されて、このフランジ部18にガス供給配管12、14がフランジ部18に形成された貫通孔21、23内に挿通され、これら挿通されたガス供給配管12、14がフランジ部18の軸から等位置の対称位置に配置され、このフランジ部18が加熱密閉部6に固定される。
【0037】
ガスホース11から連結される側のガス供給配管12、14は、金属製配管25、27が延長されたことにより形成され、ガス供給配管固定部31、32における所定の固定動作において所定の強度を確保されたものである。
【0038】
本実施例において、フランジ部18が上述の構成であることにより、フランジ部18のガス供給配管固定部31、32に固定されるガス供給配管12、14は、ガス供給配管固定部31、32を緩める事によってガス供給配管12、14の長手方向の位置や回転方向の位置を調整することができる。
【0039】
具体的には、図2に示すように、ガス供給配管固定部31、32にダブルのボルトナッ
ト等の位置調整機構33、34、35、36を備えることで、これら位置調整機構33、
34、35、36の調整により、各ガス供給配管12、14の取り付け位置の調整をする
ことができる。
【0040】
また、他端のフランジ部17にはコバールガラス等の材料により形成された透明の窓42が形成される窓部41がボルト・ナット等の固定手段45により固定される。この構造により、駆動手段2を駆動・制御して中間配管3、出湯受け配管4内に溶融金属Mを流した状態で、窓部41の窓42から作業者が視認しながら安全にかつ正確に、フランジ部18の回転もしくは位置調整機構33、34、35、36を緩めてガス供給配管12、14を出し入れ回転してガス供給配管12、14の位置を調整することができる。
【0041】
図3は、本発明の実施例の溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段を内部構造
を平面から示す図である。本実施例の溶融金属給湯配管構造100に設けられるガス吹付
手段10は、上述の構成により、ガス供給配管12、14の吹付口22、24が、加熱密
閉部6に密閉された空間部5内であって、中間配管3の吐出口3Aに近接し、該溶融金属
Mの湯面に対して見下ろす鉛直方向外側で且つ該溶融金属Mの両脇の湯際の対称位置に配
置される。
【0042】
そして、中間配管3から吐出する溶融金属Mに、この溶融金属Mが流れる方向D1に対して両脇の斜め上方向の2方向H1、H2から溶融金属Mの流れ際部に向けて吹付ガスGが吹き付けられる。吹付ガスGが両脇の斜め上方向の2方向H1、H2から溶融金属Mの流れ際部に向けて吹き付けることで、溶融金属Mの速やかな湯切りがなされる。吹付ガスGが吹き付けられた溶融金属Mは、次のようにして湯切りが行われる。
【0043】
まず、ガス供給配管12、14から吹付ガスGを吹き付けていない状態において、溶融金属Mは、連続的に供給される状態にあるが、これに対し、給湯終了後ガス供給配管12、14から吹付ガスGを吹き付ける。ここで、吹付ガスGは、エッジE部分に向けて吹き付けられる。
【0044】
吹付ガスGを吹き付け時、ガス供給配管部の吹付口より、吹付ガスGは、給湯終了後に、中間配管から吐出が終了しようとする溶融金属Mに該溶融金属Mの流れる方向に対して両脇の流れ際部に向けて吹き付けられる。これにより、流れる溶融金属Mには、吐出口3Aにおいて吹付ガスGによりその外側両端から楔状の割れ目K1、K2が形成される。
【0045】
この後、楔上の割れ目K1、K2により、この楔状の割れ目K1、K2に沿って速やかに溶融金属Mが分断され、湯切れが行われている。このようにして、速やかに湯切れを行うことで、配管内並びに吐出口3Aに溶融金属Mの残存・付着が防止されるとともに給湯精度向上につながる。
【0046】
これに対し、従来の溶融金属給湯配管構造を示す状態においては、湯切れが速やかに行われないために、配管内並びに吐出口3Aに溶融金属Mが付着し残存してしまうことで流れの邪魔になり給湯精度が落ちてしまう。
【0047】
本実施例の溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段10は、上述のような構成により、吹付ガスGが、中間配管3から吐出する溶融金属Mに該溶融金属Mの流れる方向D1に対して、中間配管3の吐出口の下側エッジEに向けて、両脇の斜め上方向の2方向H1、H2から溶融金属Mの流れ際部に向けて吹き付けることにより溶融金属Mの湯切りが行われる。
【0048】
このように、本実施例の溶融金属給湯配管構造によれば、溶融金属Mの湯切りが速やかに行われるので、中間配管3、吐出口3A、出湯受け配管4には溶融金属Mが残存しなくなるので、駆動手段2により鋳造装置の型内への正確且つ迅速な溶融金属Mの安定した給湯制御をすることができる。
【0049】
上述のように、本発明の溶融金属給湯配管構造または溶融金属給湯配管構造に設けられるガス吹付手段は、各給湯配管間に空間部を設けた構造を活かして、速やかに溶融金属の湯切れを行うことができる。
【0050】
また、本実施例におけるガス吹付による溶融金属の湯切り方法は、上述の通り、溶融金属を流して吐出する中間配管と、該中間配管から吐出された溶融金属を受けて該溶融金属を流す出湯受け配管とからなる溶融金属給湯配管構造に用いられるガス吹付による溶融金属の湯切り方法において、ガス供給配管が流れに対称となる位置に一対設けられ、中間配管と出湯受け配管との間の密閉された空間部内であって、中間配管を流れる溶融金属の吐出口に近接し、該溶融金属に対して斜め上方向外側の対称位置に配置されたガス供給配管部の吹付口より、給湯終了後に、中間配管から吐出が終了しようとする溶融金属に該溶融金属の流れる方向に対して両脇の斜め上方向の2方向から溶融金属の流れ際部に向けて吹出することを特徴としている。
【0051】
また、本発明のガス吹付による溶融金属の湯切り方法によれば、本来重力だけによって中間配管3に戻る溶融金属と出湯受け配管4に流れてゆく溶融金属とが吐出口3AのエッジE部分で切り分かれて行く流れを強制的にガス吹付きにより湯切りするので、溶融金属の湯切れを速やかに行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
G…吹付ガス、H1、H2…溶融金属の流れる方向に対する斜め上方向、M…溶融金属、1…ガス源、2…駆動手段、3…中間配管、4…出湯受け配管、5…空間部、6…密閉部、10…ガス吹付手段、12、14…ガス供給配管、22、24…ガス供給配管の吹付口、31、32…ガス供給配管固定部、100…溶融金属給湯配管構造。
図1
図2
図3