(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
上記制御装置は、上記先頭車両の前頭部の前面がトンネルに突入した位置からトンネル内位置である吹出終了範囲において、上記ノズルの開口部から上記圧縮空気の吹出しを終了する、請求項1に記載の微気圧波低減装置。
上記吹出開始範囲は、トンネル入口端の手前20mから上記先頭車両の前頭部の前面がトンネル入口端に位置する範囲である、請求項1から3のいずれか一つに記載の微気圧波低減装置。
【背景技術】
【0002】
例えば新幹線(登録商標)のような高速車両がトンネルに突入するときには、先頭車両がトンネルに対してピストンの役割を果たし、トンネル内の圧力が上昇し圧縮波が生じる。この圧縮波は、トンネル出口に向かって伝播し、パルス状の圧力波がトンネル外に放射される。かかる圧力波は、微気圧波と呼ばれ、トンネル出口において衝撃音が生じる場合がある。このような微気圧波による衝撃音が大きくなった場合には、環境に影響を与えることになる。特に、微気圧波は、トンネル突入時における走行車両速度の3乗に比例して大きくなることから、車両の高速化が望まれている近年においては、微気圧波の低減対策が求められつつある。
【0003】
微気圧波の低減対策として、これまで以下のような手法が既に採られている。例えば、断面積変化が緩やかになるように車両先頭部を長くしたり、車両自体の断面積を小さくする等の車両側の対策、あるいはトンネル入口部分に緩衝工と呼ばれる筒状体を施工する等の地上設備側の対策により、微気圧波の低減が図られている。
【0004】
このような対策の1つとして、例えば特許文献1では、高速走行車両がトンネルに突入するときにトンネル部分の空気を車体に吸引することで微気圧波を小さくすることが開示されている。
【0005】
また特許文献2には、トンネル内において、列車の走行方向と同一方向に送風することにより、トンネル内部空気と列車との衝突を阻止して衝撃及び騒音の発生防止、さらに列車の突起物及びトンネル内の構築物を高風圧衝撃から守るという点が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、車両先頭部の断面積変化を緩やかにしたり、車両自体の断面積を小さくした車両の場合、客室空間が減少するため、その結果、乗車定員が減少したり、乗車時の快適性が低下するという問題がある。
【0008】
特許文献1は、先頭部分の車体表面から空気を取り入れることによって、微気圧波を低減できるとしている。しかし、このような鉄道車両においては、空気だめを負圧にして空気を吸い込む構造とするため、空気だめの容積を大きくする必要がある。その結果、装置が大型化し、車体重量も増大するという問題がある。さらに、車外から空気を吸い込むため、空気だめへ雨水等が侵入した場合の対策が必要である。
【0009】
また、特許文献2による提案は、微気圧波及び環境への影響を小さくするという目的のものではなく、さらに、トンネル内を列車が走行しているときに、トンネル内へ送風を行うという方法を開示するものである。よってこの方法では、トンネルへ先頭車両が突入するときの圧縮波の圧力勾配を小さくすることはできない。また、トンネル内の上り線と下り線とは仕切壁を設けて空気が交流しないことを必要としており、多大な設備コストが発生する問題もある。
【0010】
本発明は、先頭車両における乗車定員、及び客室空間を確保しつつ、簡易な構成で微気圧波による環境影響の低減を図ることができる、微気圧波低減装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するため、本発明は以下のように構成する。
即ち、本発明の第1態様における微気圧波低減装置は、鉄道車両の突入によりトンネル内に発生する圧縮波の圧力勾配を小さくする、上記鉄道車両に搭載される微気圧波低減装置であって、
圧縮空気を貯留する空気タンクと、
先頭車両の前頭部の内部に設けられ、上記前頭部の前面に設けられた開口部から上記鉄道車両の進行方向前方に向けて上記圧縮空気を吹出すノズルと、
上記先頭車両の前頭部の前面がトンネルに突入する直前の位置である吹出開始範囲において上記ノズルの開口部から上記圧縮空気の吹出しを行う制御装置と、
を備えたことを特徴とする。
【0012】
第1態様の微気圧波低減装置によれば、空気タンク、ノズル、及び制御装置を備え、先頭車両がトンネルに突入する直前にてノズルから圧縮空気が吹出される。これにより、先頭車両がトンネルに突入する直前からトンネル内の気圧を徐々に上昇させることができる。即ち、先頭車両の突入によるトンネル内に発生する圧縮波の圧力勾配を小さくすることができる。したがって、先頭車両における乗車定員及び車両自体の断面積は、現状を維持した鉄道車両であっても、トンネル内に発生する圧縮波による環境への影響を従来よりも小さくすることが可能となる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の一態様における微気圧波低減装置によれば、先頭車両における乗車定員、及び客室空間を確保し、かつ、簡易な構成で、微気圧波による環境影響の低減を図ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
実施形態である微気圧波低減装置について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。また、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け当業者の理解を容易にするため、既によく知られた事項の詳細説明及び実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、以下の説明及び添付図面の内容は、特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
本実施形態において、トンネル内で空気が圧縮されて発生する圧力波を圧縮波と称し、当該圧縮波がトンネル内を伝播してトンネル出口から外に向かって放射されるパルス状の圧力波を微気圧波と称している。
【0016】
図5は、鉄道車両の先頭車がトンネルに突入して来たときの、トンネル内の所定位置における圧力変化と時間経過との関係を示す。ここで横軸は時間、縦軸は圧力を示し、先頭車の前面がトンネル入口端に到達した時点をゼロとしている。
図5から判るように、先頭車両のトンネル突入から一定時間経過後に、急激に圧力が上昇し、圧縮波としてトンネル内を伝播し、トンネル出口から微気圧波として放射される。微気圧波は、トンネル出口において圧縮波の圧力が急激に減少し、それに伴い「衝撃音」が発生し、環境に影響を与えるものである。ここで、圧縮波の圧力勾配が大きければ、その衝撃音は大きくなる。よって、この圧力上昇の勾配を、
図5に点線で示すように、できるだけ緩やかにすることで、トンネル出口における衝撃音を無くし、あるいは低減を図ることができる。
【0017】
本実施形態の微気圧波低減装置は、トンネルへの鉄道車両の突入によりトンネル内に発生する圧縮波の圧力勾配を小さくする装置であり、鉄道車両の前頭部内に搭載される。そして該微気圧波低減装置は、トンネル入口端の直前に位置する吹出開始範囲において先頭車両から進行方向へ圧縮空気の吹出しを一気に行い、車両突入前に予めトンネル内を加圧することで、突入時における上述の気圧上昇を緩やかにする装置である。以下に具体的にその説明を行う。
【0018】
また以下の実施形態では、鉄道車両として新幹線(登録商標)を例に採るが、本実施形態はこれに限定する意図ではない。例えば単線でトンネル断面積が比較的小さいため、トンネルへの進入により微気圧波が発生する在来線車両、さらには磁気浮上式鉄道車両など、高速走行する種々の軌条車両に対しても本実施形態は適用可能である。
【0019】
図1は、本実施形態における微気圧波低減装置101の概略構成を示す図である。微気圧波低減装置101は、鉄道車両50の先頭車両51の構体内に搭載され、トンネル60(
図4)への鉄道車両50の突入によりトンネル内に発生する圧縮波の圧力勾配を小さくするための装置であり、基本的構成部分として、ノズル110と、空気タンク121と、制御装置130とを有する。これらについて以下に順次説明する。
【0020】
ノズル110は、鉄道車両50の進行方向52に向かって圧縮空気を吹出すパイプ状の部材であり、先頭車両51の前頭部51a内に配置され、前頭部51aの前面で、本実施形態では車幅方向54(
図2)における中央部の先端部分に開口部110aを有する。本実施形態では、ノズル110の数は4つであり、
図1から
図3に示すように鉛直(上下)方向に2箇所、左右(車幅)方向に2箇所の開口部110aが配置されている。ノズル110の開口部110aでの直径は、本実施形態では一例として80mmである。また本実施形態では、開口部110aの形状は、ノズル110が開口する先頭車両51の先端部分の形状に沿うように成形している。
尚、ノズル110の数、開口寸法、開口位置は、上述の値に限定するものではなく、微気圧波を小さくするため、開口形状も含めて適切に設計される。
【0021】
また本実施形態では、車長方向53に平行で、かつ車幅方向54に直交する進行方向52に沿って各ノズル110は同一方向に配向されている。しかしながらノズル110の配向方向はこれに限定されず、車長方向53(
図1)に対してある角度で鉛直方向に上向きあるいは下向きに傾斜し、あるいはまた進行方向52に対してある角度で左右側へ振れて配向してもよい。一例として、進行方向に対して水平を0°とした場合、全てのノズル110が車長方向53に対して鉛直方向に上向き又は下向きであっても良く、好ましくは−30°以上+30°以下の角度θで配向してもよく、また左右方向に−30°以上+30°以下の角度で配向してもよい。
【0022】
また、全てのノズル110の配向方向が同じでなくてもよく、一又は複数のノズル110を含む一方組と他方組との間で配向方向が異なってもよく、また全てのノズル110が異なる配向方向を有してもよい。
また本実施形態では、ノズル110の開口部110aは、上述したように先頭車両51の形状に沿わせるため、円形あるいは楕円形状であるが、これに限定されず、意図的に例えば横長四角形等に成形してもよい。
【0023】
尚、ノズル110内への異物の侵入を防止するため、ノズル110の開口部110aには開閉蓋を設けるのが好ましい。この開閉蓋は、開閉装置を設けて、下記の制御装置130の制御による圧縮空気のノズル110からの吹出しに同期して開閉させてもよいし、圧縮空気の噴射力により自動的に開閉させてもよい。またあるいは、開閉蓋を設けることなく、走行中に受ける風圧に逆らうようにノズル110に空気を送り込み受ける風圧と拮抗させた場合でも、開閉蓋を設けた場合と同様の機能が得られる。
また、車両によっては、先頭車両51の先端部分には連結器が収納されているが、連結器の使用に支障がない位置にノズル110は取り付けられている。あるいはノズル110を含む構成部分が取り外し可能となる構造としてもよい。
【0024】
圧縮空気源装置120は、圧縮空気を生成するコンプレッサー122と、圧縮空気を貯留する空気タンク121を含んでいる。コンプレッサー122は空気タンク121に接続され、本実施形態では例えば0.6MPaの圧縮空気を空気タンク121へ送り込む。空気タンク121は、制御装置130を介して上述のノズル110に接続されている。よって、コンプレッサー122で生成され空気タンク121に貯蔵された圧縮空気は、制御装置130の制御によりノズル110の開口部110aから外部へ噴射、放出される。
【0025】
尚、本実施形態では、微気圧波低減装置101用のコンプレッサー122及び空気タンク121を別途備える構成としているが、既存の元空気だめから圧縮空気が供給されてもよい。
【0026】
本実施形態では、後述するように規定時間にわたり圧縮空気を一気に連続噴射する。また、隣接するトンネルの距離間隔が短く、連続したトンネルに対応する必要から、複数個の、一例としてノズル110の本数を超える数の空気タンク121を設けている。
【0027】
各ノズル110の開口部110aから吹出されるときの圧縮空気の吹出速度は、100m/秒以上の数値である。例えば、開口部110aからの圧縮空気の吹出速度は、鉄道車両50の走行速度に対して2倍以上の値を採ることができる。
このような吹出速度になるように、圧縮空気圧力、ノズル110の開口面積、等が設計される。
【0028】
次に、制御装置130について説明する。
制御装置130は、先頭車両51がトンネルに突入する直前の位置においてノズル110から空気タンク121の圧縮空気の吹出しを行う装置であり、本実施形態では、制御部131と、記憶部132と、バルブ133とを有する。ここでバルブ133は、上述した空気タンク121とノズル110との間に設置され、制御部131の動作制御によりオン、オフ(開閉)制御される。バルブ133の一例として電磁弁が使用可能である。尚、図示の便宜上、
図1及び
図2では、バルブ133はノズル110の開口部110aから離れて一箇所に図示するが、実際には、ノズル110毎に、各ノズル110の開口部110aの直前位置に設置される。したがって、バルブ133の開閉動作と、ノズル110の開口部110aからの圧縮空気の吹出し動作との時間差は、ゼロに等しい。
また圧縮空気源装置120は、空気タンク121内の空気圧を一定に保つための調圧装置を含み、空気圧が一定圧以下になった場合には、制御部131は、コンプレッサー122を作動させる。
尚、本実施形態では、バルブ133は制御装置130に含まれる構成を採るが、上述の圧縮空気源装置120に含む構成を採り、制御装置130にて動作制御してもよい。
【0029】
制御装置130は、基本的な制御動作として、バルブ133の開閉制御により、上述のように先頭車両51がトンネルに突入する直前の位置で圧縮空気の吹出しを行う。具体的には、先頭車両51の前頭部51aの前面がトンネル60に突入する位置であるトンネル入口端61の直前に位置する、
図4に示す、吹出開始範囲201における規定の吹出開始位置201aにて、制御装置130はバルブ133を開き、圧縮空気の吹出しを開始する。
【0030】
また制御装置130は、圧縮空気の吹出しを開始した後、トンネル内に位置する吹出終了範囲202における規定の吹出終了位置202aにて、バルブ133を閉じ圧縮空気の吹出しを終了する。圧縮空気の吹出開始から吹出終了までの間、制御装置130は、圧縮空気源装置120に対して圧縮空気の吹出しを連続して行わせる。
尚、
図4において、吹出開始位置201a及び吹出終了位置202aの図示位置は、それぞれ例示でありそれらの適所を示す意図ではない。吹出開始位置201a及び吹出終了位置202aは、それぞれ吹出開始範囲201内、及び吹出終了範囲202内における位置である。
【0031】
ここで吹出開始範囲201は、圧縮空気の吹出しにより、圧縮波の圧力勾配を緩やかにすることができる範囲であり、具体的には、トンネル入口端61と、トンネル外側でトンネル入口端61から20mとの間に相当する。
【0032】
吹出開始範囲201において、より優れた微気圧波低減効果が得られる範囲は、圧縮空気の吹出速度、ノズル110の開口面積、等に起因して変化するが、総じて、トンネル入口端61から手前側0mと15mとの間、さらには、トンネル入口端61の手前側2mと10mとの間である。尚、この場合の測定条件の一例として、鉄道車両50の走行速度は330Km/h、圧縮空気の吹出速度は200m/秒、ノズル110の開口部110aの面積は0.028m
2、圧縮波の測定場所はトンネル入口端61からトンネル内へ61mである。
このような吹出開始範囲201内から、ノズル110の開口部110aから圧縮空気の吹出しを開始する吹出開始位置201aが制御装置130に設定される。
【0033】
また、吹出終了範囲202も吹出開始範囲201と同様に、圧縮空気の吹出しにより、上述のトンネル内気圧上昇を緩やかにすることができる範囲であり、具体的には、トンネル入口端61と、トンネル入口端61からトンネル内側10mとの間に相当する。
【0034】
吹出終了範囲202においても、より優れた微気圧波低減効果が得られる範囲は、圧縮空気の吹出速度、ノズル110の開口面積、等に起因して変化するが、総じて、トンネル入口端61から内側へ1mと10mとの間、さらには、トンネル入口端61から内側へ3mと7mとの間である。
このような吹出終了範囲202内から、ノズル110の開口部110aから圧縮空気の吹出しを終了する吹出終了位置202aが制御装置130に設定される。
【0035】
制御装置130における制御部131は、例えばコンピュータを用いて実現され、上述した動作を実行するソフトウェアと、該ソフトウェアを実行するCPU(中央演算処理装置)等のハードウェアとから構成される。制御装置130における記憶部132は、少なくとも吹出開始位置201a及び吹出終了位置202aを格納する。
【0036】
ここで、上述した圧縮空気の吹出開始、終了の位置検出は、次の位置検出装置140によって行われる。即ち、位置検出装置140は、鉄道車両50に設置され、当該鉄道車両50の走行位置を検出する装置であり、検出した走行位置情報を制御装置130へ供給する。このような位置検出装置140として、本実施形態では、鉄道車両50に現状既に設置されている装置で、車輪回転数から走行距離を算出し自車の走行位置を求める装置を用いるが、ミリ波を用いた装置、あるいはGPSを利用した装置を用いることも可能である。
また位置検出装置140は、各トンネルの位置情報を有しており、本実施形態では、各トンネルに対する最寄り駅でリセットされる車輪回転数に基づいて当該鉄道車両50の走行位置を求める。ここで制御装置130へ供給する走行位置情報としては、トンネル入口端61に対するノズル110の位置、正確にはノズル110の開口部110aの位置、の情報が好ましい。
【0037】
以上のように構成される微気圧波低減装置101における動作、つまり微気圧波低減方法について、以下に説明する。
鉄道車両50の運転時には、制御装置130の動作制御により微気圧波低減装置101における圧縮空気源装置120のコンプレッサー122が作動し空気タンク121には規定圧力の圧縮空気が貯蔵されている。また制御装置130には、本実施形態では予め、吹出開始範囲201内の吹出開始位置201a、及び、吹出終了範囲202内の吹出終了位置202aがそれぞれ設定されている。
【0038】
鉄道車両50が走行を開始し、位置検出装置140から制御装置130に走行位置情報が供給される。制御装置130は、上述の走行位置情報を基に先頭車両51におけるノズル110の開口部110aの位置が吹出開始位置201aに到達したことを認識した時点で、バルブ133を開く。バルブ133の開動作と同時にノズル110の開口部110aから規定の吹出速度で進行方向52へ圧縮空気の吹出しが行われる。さらに、上述の走行位置情報を基に、ノズル110の開口部110aの位置が吹出終了位置202aに到達したことを認識した時点で、制御装置130はバルブ133を閉じ、圧縮空気の吹出しを終了する。以後、トンネル毎に、制御装置130は同様の制御動作を行う。
【0039】
このような圧縮空気の吹出動作により、先頭車両51の前頭部51aの前面がトンネル入口端61に突入する前に予めトンネル60内は加圧される。よって、前頭部51aの前面のトンネル60への突入によるトンネル60内の気圧上昇を緩やかにすることができ、トンネル60内に発生する圧縮波の圧力勾配を小さくすることができる。その結果、トンネル出口における環境への影響、具体的には「音」の発生、を無くし、あるいは低減を図ることができる。即ち、圧縮空気の吹出動作によって、疑似的に車両先頭部を長くしたような効果が得られる。
【0040】
本実施形態では、上述のように、制御装置130に設定した吹出開始位置201a及び吹出終了位置202aは、一運行の間、トンネル60毎に設定された値を変更しない構成であるが、それぞれの設定値を変更可能な構成にしてもよい。
即ち、本明細書の冒頭で説明したように、微気圧波は、トンネル突入時における走行車両速度の3乗に比例して大きくなる。一方、同じく微気圧波の発生に影響を与える、ノズル110の開口面積及び圧縮空気の吹出速度を可変にすることも可能であるが、構造が複雑化し実際的ではない。よって、吹出開始位置201a及び吹出終了位置202aと鉄道車両50の走行速度との関係を示した情報を予め制御装置130に格納しておくことで、トンネル毎に、制御装置130は、例えば吹出開始範囲201の直前位置での鉄道車両50の走行速度に基づいて、吹出開始位置201a及び吹出終了位置202aを決定するようにしてもよい。
【0041】
また、微気圧波による環境影響を低減するための対策として、トンネル入口端から外側へ緩衝工と呼ばれる筒状体が既に設置されているトンネルも存在する。この場合、本実施形態で説明した「トンネル」は、緩衝工も含めたものを指し、「トンネル入口端」は緩衝工の入口端に相当する。
【0042】
また、上述した各変形例を組み合わせた構成を採ることも可能である。