(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
前記縦枠及び前記横枠の前記一方の前記凹部に挿入された前記押し縁の端面は、前記縦枠及び前記横枠の前記他方の前記凹部に挿入された前記押し縁に当接している請求項1に記載の建具。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態による建具の一例を添付図面により説明する。
図1乃至
図15は本発明の実施形態による連窓1を示すものである。
図1に示す実施形態による連窓1は、建物の躯体に形成された建物開口部に取り付けられる例えば四角形の枠体2内に、例えばFIX窓(嵌め殺し窓)3と縦辷り出し窓4とを方立5を挟んで左右方向に配列した構成を備えている。
FIX窓3は枠体2と方立5で仕切られた一方の開口部13Aに固定した障子7を備え、縦辷り出し窓4は枠体2と方立5との間の他方の開口部13Bに吊元側の縦框回りに開閉可能に納めた障子8を備えている。しかも、連窓1は断熱性の高い樹脂からなる樹脂建具である。
【0015】
図1〜
図3において、連窓1の枠体2は躯体の開口に設置された樹脂製の上枠10と下枠11と左右の縦枠12A、12Bとからなる四角形枠状の開口部13を備えている。なお、上枠10と下枠11と左右の縦枠12A,12Bは端部同士を当接させて互いに熱溶着させている。そのため、熱で上枠10、下枠11、左右の縦枠12A,12Bが伸長しようとしても互いにその応力を吸収して熱変形を抑制できる。
図2、
図3において、上枠10は、断面略四角形をなす複数のホロー部10aの屋外側にテーパ状のホロー部10bを連結してなり、下枠11も、断面略四角形をなす複数のホロー部11aの屋外側にテーパ状のホロー部10bを連結している。
また、
図1において、左右の縦枠12A,12Bは、断面略四角形をなす複数のホロー部12aの屋外側にテーパ状のホロー部12bを連結している。テーパ状のホロー部10b、11b、12bは内面が屋内側から屋外側に向けて開口部13の幅が次第に広がるようにテーパ状に形成されている。また、断面略四角形をなすホロー部10a,11a、12b内には断熱材15が設置されている。
【0016】
そして、左右の縦枠12A,12Bの中間に上下方向に延びて開口部13を仕切る方立5は断面略四角形状のホロー部からなり、内部に断熱材15が設置されている。
この連窓1において、枠体2の開口部13AのFIX窓3には縦枠12Aの略四角形状のホロー部12aと方立5との間に2層または3層ガラスパネルの障子が設置されていた。また、開口部13Bの縦辷り出し窓4には縦枠12Bの略四角形状のホロー部12aと方立5との間に2層または3層ガラスパネルの障子が設置されていた。
本実施形態による連窓1は、これを同一の枠体2を用いて例えば各5層ガラスパネルを納めた障子7と障子8に交換施工してFIX窓3と縦辷り出し窓4を構成したものである。
【0017】
本実施形態による連窓1の縦辷り出し窓4では、
図1及び
図3に示すように、枠体2内に開閉可能に納めた障子8はそれぞれ樹脂からなる上框17と下框18と左右の縦框19とからなる四角形枠状の框体を有し、その内部に例えば5層のガラスパネル20を備えた複層パネル21を納めている。
しかも、この縦辷り出し窓4では、複層パネル21を支持する左右の縦框19は屋内側のホロー部19aが比較的小幅に設定され、屋外側の拡径ホロー部19bが比較的幅が大きく設定された段付き形状とされている。左右の縦框19における拡径ホロー部19bの屋内側の面には、縦枠12Bの屋外側の段部におけるホロー部12aと方立5の先端部5aにそれぞれ当接する気密材23a、23bが嵌合されている。
【0018】
また、縦辷り出し窓4において、複層パネル21は5層のガラスパネル20がスペーサ26を挟んで平行に配列されている。5層の複層パネル21はその四辺端部を上框17、下框18、左右の縦框19に形成した嵌合凹部で嵌合保持されている。上框17、下框18、左右の縦框19において、その屋外側端部にはそれぞれ押し縁24が凹部に嵌合固定されてヒレ部を介して外側のガラスパネル20を押圧している。
そして、上框17、下框18、左右の縦框19の屋内側端部にはそれぞれ内側框部25が一体形成されてヒレ部を介して内側のガラスパネル20を押圧している。しかも、内側框部25は対向する押し縁24よりも複層パネル21の中央側に突出している。
【0019】
なお、
図1において、縦辷り出し窓4における縦框19の一方の屋内側の内側框部25を設置した面には障子8を開閉操作するためのグレモン錠のハンドル27が取り付けられている。
図4に示すハンドル27には、その開閉操作によって上下動させる施錠用のロックピン28が連結されている。これに対向する方立5の側壁には、ロックピン28を係合離脱させるロック溝を有する受け具29が設けられている。グレモン錠のハンドル27を開閉方向に操作することによってロックピン28を上下動させて受け具29のロック溝に対してロックピン28のロックとアンロック操作を行う。
また、この縦辷り出し窓4では、複層パネル21を備えた障子8を屋内側に寄せて縦枠12Bと方立5と上枠10、下枠11の間の開口部13Bに設置したため、上框17、下框18、左右の縦框19の屋外側端面は枠体2の上枠10、下枠11、左右の縦枠12A、12Bの屋外側端面とほぼ面一に設定されている。また、縦枠12Bの屋内側の受け部と方立5の屋内側受け部には、閉塞位置にある障子8の左右方向の内側框部25をそれぞれ受ける気密材30が固定されている。
【0020】
次に、FIX窓3に5層のガラスパネル20からなる障子7を設置した構造について説明する。
図1、
図2、
図4に示すFIX窓3において、5層のガラスパネル20をスペーサ26を介して平行に配列させた複層パネル32は上述した縦辷り出し窓4と略同一構成を有している。この複層パネル32を枠体2の縦枠12Aと方立5との間の開口部13Aに設置する場合、方立5の屋内外方向の長さが枠体2の長さより短く、縦枠12Aと上枠10及び下枠11は先端側にテーパ状のホロー部10b、11b、12bを設置しているために、嵌め殺し用の障子7を装着するためのアタッチメント33を開口部13Aを囲う上枠10と下枠11と縦枠12Aと方立5とにそれぞれ設置するものとする。
これらのアタッチメント33は樹脂製であり、方立5の先端に連結する方立アタッチメント33Aと、縦枠12A、上枠10、下枠11に連結する縦枠アタッチメント33B,上枠アタッチメント33C,下枠アタッチメント33Dとからなり、複層パネル32を装着するために方立5、縦枠12A、上枠10、下枠11を屋外方向に延長させる補助枠を構成する。
【0021】
次に、方立アタッチメント33Aについて
図4を中心に
図5〜
図8を参照して説明する。
方立アタッチメント33Aは方立5の屋外側に設置するものであり、下枠11と上枠10間の距離より若干短い上下方向長さを有している。方立アタッチメント33Aは、
図4の断面図に示すように複数のホロー部33a、33bを備えた略長方形筒状に形成されており、その屋内側の一方の基片部34aを方立5の先端部5aに当接させ、他方のより長い片に設けたネジ受け部34bを通して、方立5の先端部5aとホロー部5bとの間の受け部5cにネジ35を螺合させて方立5に固定されている。なお、方立5のホロー部内には断熱材15と鋼製の芯材とが設置されている。
そして、方立アタッチメント33Aに形成されたホロー部33b、33aの間にはFIX窓3側に開口する、換言すると方立アタッチメント33Aの面内方向外側に凹む凹溝部(凹部)36が形成されている。この凹溝部36には複層パネル32の外側のガラスパネル20を押圧する押し縁37Aが嵌合されている。この押し縁37Aも複層パネル32のスペーサ26と略同一高さまで突出している。押し縁37Aは、見込み方向に離間して配置された一対の爪部38Aを有している。これら一対の爪部38Aが、凹溝部36に嵌め込まれて係止されることで、押し縁37Aが凹溝部36に嵌合されている。また、押し縁37Aは、方立アタッチメント33Aと当接する屋外側壁部38Bを有している。この屋外側壁部38Bが方立アタッチメント33Aと屋外側で当接することで、押し縁37Aと方立アタッチメント33Aとの間に隙間が形成されないようになっている。
【0022】
また、
図1において、方立アタッチメント33Aに対向する縦枠アタッチメント33Bは、一方の縦枠12Aにおける略四角形筒状の屋外側のホロー部12aに連結したものであり、下枠11と上枠10間の距離に同等の上下方向長さを有している。この縦枠アタッチメント33Bは水平断面視略台形状で複数のホロー部を備えた形状であり、その傾斜面39がテーパ状のホロー部12bのテーパ面に面接触してネジ35で固定されている。
また、縦枠アタッチメント33Bの屋内側端部にはばね性のある一対の係合爪40が形成され、この係合爪40は縦枠12Aのホロー部12aに形成した係合受け部41に係合されている。しかも縦枠アタッチメント33Bの方立アタッチメント33A側の面は方立アタッチメント33Aと略平行に形成されており、その先端面に形成された凹溝部(凹部)36には押し縁37Bが嵌合されて、複層パネル32の外側のガラスパネル20を押圧している。
【0023】
また、
図2に示すFIX窓3の縦断面図において、縦枠アタッチメント33Bと同様に、上枠10の略四角形状のホロー部10aの屋外側に上枠アタッチメント33Cが固定されており、下枠11のホロー部11aの屋外側にも下枠アタッチメント33Dが固定されている。これら上枠アタッチメント33Cと下枠アタッチメント33Dは縦枠アタッチメント33Bと同様な構造で上枠10と下枠11にそれぞれ連結されており、同一または同様な構造には同一の符号と名称を用いている。
【0024】
そのため、
図2及び
図5において、上枠アタッチメント33Cの凹溝部(凹部)36に嵌合された押し縁37Cと、下枠アタッチメント33Dの凹溝部(凹部)36に嵌合された押し縁37Dは、それぞれ複層パネル32の屋外側のガラスパネル20をそれぞれ押圧している。
また、上枠アタッチメント33Cと下枠アタッチメント33Dは長手方向両端が、方立アタッチメント33Aの後述するガイド部材45と縦枠アタッチメント33Bの側面に当接して保持されているものとする。
なお、複層パネル32の屋内側のガラスパネル20は方立5、縦枠12A、上枠10、下枠11の各屋内側端部に設けた気密材55によって押圧されている。
【0025】
次に、方立アタッチメント33Aとその上下端部に設置されたガイド部材45との連結構造について、
図5〜
図9によって説明する。方立アタッチメント33Aは上枠10と下枠11の長手方向中間に設置されるために熱で伸縮した場合に上枠10または下枠11を押圧して変形させるおそれがあり、これを防ぐためにガイド部材45を設置した。
図6、
図7はFIX窓3における枠体2と方立アタッチメント33Aと上枠アタッチメント33C及び下枠アタッチメント33Dとの連結構造を示すものである。なお、
図6において後述する補強ピース100の図示を省略している。方立アタッチメント33Aの上端部と下端部には上枠10と下枠11のテーパ状のホロー部10b、11bに固定されたガイド部材45がそれぞれ固定されている。
各ガイド部材45は、
図7に示すように、ホロー部10bのテーパ面に固定された正面視略台形状の基部46と基部46から上下方向に延びる第一ガイド部47、第二ガイド部48とを備え、更に基部46から水平方向に延びる第三ガイド部49を備えている。上下の各ガイド部材45は互いに線対称に形成されている。また、基部46の屋外側の面には方立アタッチメント33Aとの隙間K1,K2を隠すための隙間隠し46aが突出して形成されている。
【0026】
そして、上端のガイド部材45の第一ガイド部47は方立アタッチメント33Aの上端部の略四角形筒状のホロー部33aに挿入され、第二ガイド部48は別のホロー部33bに挿入され、しかも第二ガイド部48の先端に設けた弾性変形可能なピン48aは方立アタッチメント33Aの表面に形成された係合穴52に係合可能とされている。
また、第三ガイド部49は上枠アタッチメント33Cのホロー部33d内に挿入され、上枠アタッチメント33Cの表面の穴から挿入したネジ56によって螺合されて固定されている。
下端に設けたガイド部材45も同様に方立アタッチメント33Aの下端部のホロー部33a、33bに挿入する第一、第二ガイド部47,48を備え、下枠アタッチメント33Dのホロー部33d内に挿入された第三ガイド部49は、下枠アタッチメント33Dの表面の穴から挿入したネジ56によって螺合され固定されている。
【0027】
しかも、方立アタッチメント33Aとその上側に固定したガイド部材45の間に若干(例えば2〜3mm程度)の隙間K1が形成され、方立アタッチメント33Aとその下側に固定したガイド部材45の間にも若干(例えば2〜3mm程度)の隙間K2が形成されている。そして、方立アタッチメント33Aが熱で伸長した場合には、ピン48aの係止があっても伸びて、上下のガイド部材45との隙間K1,K2で吸収し、それ以上の伸張は基部46で受け止めることができる。そのため、上枠10と下枠11に直接当接させた場合のように方立アタッチメント33Aが熱で伸長して上枠10または下枠11を押圧して変形させるおそれがない。
方立アタッチメント33Aと上下のガイド部材45との隙間K1,K2はいずれか一方のみに形成し、他方は互いに当接させていてもよい。或いは、隙間K1、K2を設けずに方立アタッチメント33Aと上下のガイド部材45を互いに当接させてもよい。これらの場合でも方立アタッチメント33Aの熱による伸長を吸収できる。
また、方立アタッチメント33Aが冷却されて収縮した場合でも、その上下端部に設けたガイド部材45の第一及び第二ガイド部47,48が方立アタッチメント33Aの上下のホロー部33a、33bに挿入された状態で収縮するから、方立アタッチメント33Aの変形を防止できる。
【0028】
なお、
図8は方立アタッチメント33Aの下端部にガイド部材45を取り付けた状態の要部斜視図である。また、
図9はFIX窓3において、方立5の先端側に方立アタッチメント33Aを取り付け、下枠11の先端に下枠アタッチメント33Dを取り付けた状態を示すものであり、方立アタッチメント33Aの下端部に設けたガイド部材45が先端部を除いて下枠アタッチメント33Dに当接している。
また、方立アタッチメント33Aに対向する縦枠アタッチメント33Bにおいては、強度の高い枠体2の縦枠12Aに固定されているため、伸縮しても上枠10と下枠11で受け止めて変形を防止できる。上枠アタッチメント33Cと下枠アタッチメント33Dにおいても同様である。
【0029】
次に、方立アタッチメント33A及び縦枠アタッチメント33Bにそれぞれ嵌合された押し縁37A,37Bの下方に設けられた補強ピース(補強部材)100について、
図10〜
図15によって説明する。押し縁37A,37Bが熱で伸長した場合に、下枠アタッチメントを押圧して変形させるおそれがあり、これを防ぐために補強ピース100を設置した。
【0030】
図10に示すように、方立アタッチメント33Aの凹溝部36に嵌合された押し縁37Aの側面37A1に、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に嵌合された押し縁37Dの端面37D1を当接させている。
【0031】
また、押し縁37Aの下端部では、爪部38A及び屋外側壁部38Bが切り欠かれ、凹部38Cが形成されている。
【0032】
図11に示すように、縦枠アタッチメント33Bの凹溝部36に嵌合された押し縁37Bの側面37B1に、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に嵌合された押し縁37Dの端面37D1を当接させている。
【0033】
また、縦枠アタッチメント33Bの凹溝部36に嵌合された押し縁37Bの下端部でも同様に、爪部38A及び屋外側壁部38Bが切り欠かれ、凹部38Cが形成されている。
【0034】
一方、
図12及び
図13に示すように、補強ピース100は、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に挿入される基台101と、基台101の上面に設けられた支持部102と、を有している。さらに、補強ピース100は、支持部102の端部から上方に立設された係合壁部(押し縁係合部)103と、支持部102の端部から延びる一対の係合爪部(凹部係合部)104と、を有している。
【0035】
図10に示すように、方立アタッチメント33A側では、押し縁37Aの下方において、補強ピース100の基台101が、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に挿入されている。補強ピース100の支持部102の上面102aは、押し縁37Aの下面37A2を支持している。補強ピース100の係合壁部103は、押し縁37Aの凹部38Cに係合されている。これにより、補強ピース100の押し縁37D側への水平移動が規制されている。また、
図14に示すように、補強ピース100の一対の係合爪部104は凹溝部36内に配置され、係合爪部104に形成された突起104aが凹溝部36の開口側に形成された突出片36aに係合している。これにより、補強ピース100が方立アタッチメント33Aの凹溝部36に保持されている。また、係合爪部104は、ガイド部材45の基部46の上面46bに載置されている(
図8、
図10参照)。
【0036】
図11に示すように、縦枠アタッチメント33B側でも同様に、押し縁37Bの下方において、補強ピース100の基台101が、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に挿入されている。補強ピース100の支持部102の上面102aは、押し縁37Bの下面37B2を支持している。補強ピース100の係合壁部103は、押し縁37Bの凹部38Cに係合されている。これにより、補強ピース100の押し縁37D側への水平移動が規制されている。また、
図15に示すように、補強ピース100の一対の係合爪部104は凹溝部36内に配置され、係合爪部104に形成された突起104aが凹溝部36の開口側に形成された突出片36aに係合している。これにより、補強ピース100が縦枠アタッチメント33Bの凹溝部36に保持されている。
【0037】
本実施形態による連窓1は上述した構成を備えており、次に例えば5層のガラスパネルを備えた障子7、8をFIX窓3と縦辷り出し窓4に組み込む方法について説明する。
例えば、2層または3層ガラスパネルの複層パネルを枠体2に備えたFIX窓3と縦辷り出し窓4を方立5の両側に設置した連窓1において、枠体2をそのまま用いて、寒冷地仕様または断熱仕様等のための例えば5層のガラスパネル20を備えた障子7、8をFIX窓3と縦辷り出し窓4に交換施工する組み込み方法について説明する。
先ず、縦辷り出し窓4では2層または3層からなる複層パネルの障子を取り外し、屋内側の枠体2の部品を除去して、方立5と他方の縦枠12Bと上枠10及び下枠11との間の開口部13Bに5層のガラスパネル20を備えた複層パネル21を屋内側に押し付けて設置し、その上下框17,18及び左右の縦框19の屋外側先端面が枠体2の先端面と面一になるように設置する。
【0038】
縦辷り出し窓4の障子8は、枠体2と方立5との間の他方の開口部13Bに、吊元側の縦框19回りに外側に開閉可能に納めたものである。
図1において、障子8の閉鎖状態で、他方の縦枠12Bと方立5の屋内側端部に設けた気密材30に障子8の左右の内側框部25を当接させ、障子8の左右の縦框19の段付き部に設置した気密材23a、23bを縦枠12Bの段部と方立5の先端部5aに押圧させて密閉状態に保持できる。
そして、障子8の各框に押し縁24を取り付けて屋外側のガラスパネル20を押圧し、その屋外側先端面は、左右の縦枠12A,12B,上枠10及び下枠11のテーパ状のホロー部12b、10b、11bの先端面と略面一に設置する。
【0039】
次に、
図1及び
図4において、二層ガラスパネルまたは三層ガラスパネルの複層パネルの障子をFIX窓3から取り外す。そして、方立5の先端側に方立アタッチメント33Aをネジ35等で取り付ける。その際、方立アタッチメント33Aの長手方向の上端部と下端部のホロー部33a、33bに線対称に設置したガイド部材45の第一ガイド部47と第二ガイド部48をそれぞれ挿入して、第二ガイド部48のピン48aを方立アタッチメント33Aの上下の係合穴52にそれぞれ係合させる。
そして、上下のガイド部材45の基部46を上枠10のテーパ状のホロー部10bのテーパ面と下枠11のテーパ状のホロー部11bのテーパ面とに両面テープやねじ等で固定する。この状態で上下のガイド部材45と方立アタッチメント33Aの上下端部との一方または両方に隙間K1,K2が形成される。
【0040】
そして、上枠10と下枠11に上枠アタッチメント33Cと下枠アタッチメント33Dを設置し、その端部のホロー部33d内に各ガイド部材45の第三ガイド部49を挿入し、上枠アタッチメント33Cと下枠アタッチメント33Dの表面の穴56を通してネジ35を第三ガイド部49のネジ受け部に螺合し固定する。
また、
図2に示すように、上枠10と下枠11におけるテーパ状のホロー部10b、11bのテーパ面に上枠アタッチメント33C、下枠アタッチメントDをネジ35等で固定すると共に、係合爪40を上下枠10、11のホロー部10a、11bに形成した係合受け部41に係合させることで固定する。
【0041】
また、
図1に示すように、縦枠アタッチメント33Bを方立5に対向する一方の縦枠12Aに取り付ける。その際、一方の縦枠12Aにおけるテーパ状のホロー部12bの内面に縦枠アタッチメント33Bをネジ35等で固定すると共に、係合爪40を縦枠12Aのホロー部12aに形成した係合受け部41に係合させることで固定する。
これによって、方立アタッチメント33Aの屋外側先端面は左右の縦枠12A,12B,上枠10及び下枠11のテーパ状のホロー部12b、10b、11bの先端面と略面一に設置される。また、他のアタッチメント33B,33C、33Dの屋外側先端面は方立アタッチメント33Aの屋外側先端面より若干屋内側に引っ込んでいる。
【0042】
次に、下枠アタッチメント33Dの方立アタッチメント33A側において、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に補強ピース100の基台101を挿入し、方立アタッチメント33A側にスライドさせる。補強ピース100の一対の係合爪部104が互いに近接するように弾性変形して、方立アタッチメント33Aの凹溝部36の突出片36aを乗り越える。一対の係合爪部104は、凹溝部36内に挿入されると、元の状態に戻るように互いに離間するように弾性変形して、係合爪部104の突起104aが突出片36aに係合する。これにより、補強ピース100が方立アタッチメント33Aの凹溝部36に保持される。
【0043】
また、下枠アタッチメント33Dの縦枠アタッチメント33B側においても同様に、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に補強ピース100の基台101を挿入し、縦枠アタッチメント33B側にスライドさせる。補強ピース100の一対の係合爪部104が互いに近接するように弾性変形して、縦枠アタッチメント33Bの凹溝部36の突出片36aを乗り越える。一対の係合爪部104は、凹溝部36内に挿入されると、元の状態に戻るように互いに離間するように弾性変形して、係合爪部104の突起104aが突出片36aに係合する。これにより、補強ピース100が縦枠アタッチメント33Bの凹溝部36に保持される。
【0044】
次にFIX窓3において、5層のガラスパネル20からなる複層パネル32を備えた障子7を方立5と縦枠12A、上枠10及び下枠11からなる枠内に装着し、その屋内側のガラスパネル20を方立5と縦枠12A、上枠10及び下枠11に設けた気密材55に押圧する。
【0045】
そして、屋外側のガラスパネル20には、方立アタッチメント33Aに形成した凹溝部36に、ヒレ付きの押し縁37Aを嵌合させる。同様に、縦枠アタッチメント33B、上枠アタッチメント33C,下枠アタッチメント33Dにそれぞれ形成した凹溝部36に、ヒレ部付きの押し縁37B,37C,37Dを嵌合させる。この際に、上下方向に延びる押し縁37A,37Bの側面37A1,37B1に、水平方向に延びる押し縁37C,37Dの端面を当接させるように組み付ける。また、上下方向に延びる押し縁37A,37Bの下面37A2,37B2を補強ピース100の支持部102の上面102aで支持させるとともに、押し縁37A,37Bの凹部38Cを補強ピース100の係合壁部103に係合させる。各凹溝部36に設けられた押し縁37A,37B,37C,37Dで、屋外側のガラスパネル20を押圧させる。
【0046】
本実施形態による連窓1において、
図4に示す方立アタッチメント33Aはその屋内側のネジ受け部34bを通して方立5の受け部5cにネジ35を螺合させて方立5に固定しているため、外部に露出しない。また、方立アタッチメント33Aを支持する上下のガイド部材45の第三ガイド部49を上枠アタッチメント33Cと下枠アタッチメント33Dに固定するネジ35は各アタッチメント33C、33Dに埋め込まれて障子7によって隠れるため、外観に露出せず意匠性がよい。
【0047】
本実施形態による連窓1は、方立アタッチメント33Aの上下端部にガイド部材45を設けたため、直射日光や高温環境等によって方立アタッチメント33Aが伸長したとしても、上下のガイド部材45の第一ガイド部47と第二ガイド部48によって伸長方向をガイドされ、しかも、隙間K1,K2を埋めることで吸収できる。また、方立アタッチメント33Aが更に伸長してもガイド部材45の基部46で受けることができる。
そのため、方立アタッチメント33Aが上枠10や下枠11を押圧して変形させることを防止できる。
また、方立アタッチメント33Aが低温環境等で収縮しても上下端部のガイド部材45との間にガイド部材45の隙間隠し46aを有するため、隙間K1,K2が目立たず意匠性が良い。
【0048】
なお、上枠10と下枠11、左右の縦枠12A、12Bは互いに当接する角部を熱溶着しているために高強度であり、これらに取り付けた縦枠アタッチメント33B、上枠アタッチメント33C、下枠アタッチメント33Dの熱による伸縮を抑制できる。
なお、5層や4層のガラスパネル20の複層パネル21、32から2〜3層のガラスパネルの複層パネルに交換施工する場合には、上述の組込み方法と逆の手順で方立アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33B、上枠アタッチメント33C、下枠アタッチメント33Dを取り外せばよい。
【0049】
上述したように本実施形態による連窓1によれば、方立アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33Bに挿入された押し縁37A,37Bが伸長した場合には、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に挿入された補強ピース100が押し縁37A,37Bの下面37A2,37B2を支持するため、押し縁37A,37Bが下枠アタッチメント33Dを押圧して変形させることを抑制することができる。
よって、補強ピース100で押し縁37A,37Bを支持させることで、下枠アタッチメント33Dの肉厚を薄くすることができ、下枠アタッチメント33Dのコストを抑えることができる。
【0050】
また、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に挿入された押し縁37Dの端面37D1が方立アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33Bの凹溝部36に挿入された押し縁37A,37Bに当接しており、押し縁37Dが伸長した場合には押し縁37A,37Bが伸長した押し縁37Dを支持するため、方立アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33Bの変形を抑制することができる。
【0051】
また、補強ピース100の係合壁部103は、補強ピース100が支持する押し縁37A,37Bの凹部38Cと係合し移動が規制されるため、補強ピース100が押し縁37A,37Bを支持した状態を維持することができる。
【0052】
また、枠体2に方立アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33B、上枠アタッチメント33C、下枠アタッチメント33Dを着脱することで、ガラスパネル20の枚数が異なって見込み幅の異なる5層の複層パネル21、32を交換施工して設置することができる。
また、方立5に連結する方立アタッチメント33Aは、その長さを上枠10と下枠11との間の長さよりも短く設定すると共に、上下端部に隙間K1、K2を介してガイド部材45を設置したため、熱で方立アタッチメント33Aが伸長しても隙間K1,K2を埋めることで吸収でき、更に隙間K1,K2を超える伸長があってもガイド部材45で受けることができて、上枠10や下枠11を押圧変形することを防止できる。
また、方立アタッチメント33Aの上下端部に設けたガイド部材45に隙間隠し46aを形成して隙間K1、K2を隠すことができるため、伸縮に関わらず外部から目立たず意匠性が向上する。第一及び第二ガイド部47,48を方立アタッチメント33Aのホロー部33a、33bに挿入して伸縮をガイドすることで方立アタッチメント33Aの熱による変形を抑制できる。
【0053】
上記の実施形態において、方立アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33Bは、縦枠に含まれるものであり、上枠アタッチメント33C、下枠アタッチメント33Dは横枠に含まれるものである。
【0054】
なお、本発明による連窓1は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で適宜の変更や置換等が可能である。以下に、本発明の変形例について上述した実施形態と同一または同様な部品や部分には同一の符号を用いて説明する。
【0055】
例えば上述した実施形態では、方立アタッチメント33Aの熱による伸縮のガイドとして、ホロー部33a、33b内に第一及び第二ガイド部47,48を挿入したガイド部材45をその上下端部に設置したが、本発明はこのような構成に限定されない。
例えば、ガイド部材45は方立アタッチメント33Aの上下の一方にのみ設けて他方に間隙を形成してもよい。この場合、熱による方立アタッチメント33Aの伸びは間隙で吸収できる。或いは、両側のガイド部材45に代えて間隙を形成して、方立アタッチメント33Aの伸張を間隙で吸収するようにしてもよい。この場合、方立アタッチメント33Aは上枠10または下枠11に固定してもよい。
【0056】
また、上述した実施形態では、補強ピース100は、下枠アタッチメント33Dの凹溝部36に挿入されているが、本発明はこれに限られない。補強ピース100は、上枠アタッチメント33Cの凹溝部36に挿入されていてもよく、この場合には押し縁37A,37Bの伸長により、上枠アタッチメント33Cが変形することが抑制される。また、補強ピース100は、方立枠アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33Bの凹溝部36に挿入されていてもよく、この場合には押し縁37C,37Dの伸長により、方立枠アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33Bが変形することが抑制される。あるいは、方立枠アタッチメント33A、縦枠アタッチメント33B、上枠アタッチメント33C及び下枠アタッチメント33Dの複数に補強ピース100が挿入されていてもよい。
【0057】
さらには、上枠10、下枠11、左右の縦枠12A,12Bにおいて見込み方向の屋外側がテーパ状ホロー部に代えて断面四角形状のホロー部で形成していれば、上枠アタッチメント33C,下枠アタッチメント33D,縦枠アタッチメント33Bを省略できる。この場合には、上枠10、下枠11、左右の縦枠12A,12Bに直接補強ピース100を設けることができる。
【0058】
また、上記に示す実施形態では、2層または3層ガラスパネルの障子が設置されていたものを、5層ガラスパネルを納めた障子7と障子8に交換する例を挙げて説明したが、本発明はこれに限られず、新規で障子を設置する場合や、単層または2層、3層、4層や6層以上など適宜の枚数のガラスパネルを設置する場合にも適用可能である。
【0059】
なお、上述した実施形態では、連窓1におけるFIX窓3と縦辷り出し窓4の配置構成を例にとって説明したが、本発明はFIX窓3と縦辷り出し窓4を配列した連窓に限定されない。本発明は、例えば縦辷り出し窓4や横辷り出し窓等の各種の窓を備えた方立や無目を有する連窓もしくは段窓、または単独の窓等、どのような種類の建具に用いてもよい。