特許第6483603号(P6483603)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483603
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】給湯機
(51)【国際特許分類】
   F24H 1/18 20060101AFI20190304BHJP
【FI】
   F24H1/18 A
【請求項の数】2
【全頁数】7
(21)【出願番号】特願2015-254378(P2015-254378)
(22)【出願日】2015年12月25日
(65)【公開番号】特開2017-116223(P2017-116223A)
(43)【公開日】2017年6月29日
【審査請求日】2018年5月16日
(73)【特許権者】
【識別番号】000000538
【氏名又は名称】株式会社コロナ
(72)【発明者】
【氏名】谷地田 貴章
(72)【発明者】
【氏名】志賀 広貴
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 勝
(72)【発明者】
【氏名】窪田 広記
【審査官】 豊島 ひろみ
(56)【参考文献】
【文献】 特開2011−069533(JP,A)
【文献】 特開2011−153772(JP,A)
【文献】 特開2009−281675(JP,A)
【文献】 実開昭51−059954(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/00 − 4/06
F24H 9/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクへ水を供給する給水管と、前記貯湯タンクから湯を出湯する出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記出湯管からの湯と前記給水バイパス管からの水を混合する給湯混合弁と、前記出湯管途中に手動または自動で開け閉め可能であると共に給湯機内の空気の排出を促す開閉弁と、前記開閉弁が開かれることで、空気及び水を排出する排出口と、前記開閉弁と前記排出口で構成された空気抜き手段とを備えた給湯機において、前記出湯管は、略水平状の水平流路を有し前記貯湯タンク上部の湯を出湯させる上流側出湯管と、略垂直状の垂直流路を有し前記上流側出湯管からの湯を出湯させる下流側出湯管と、一端に前記上流側出湯管が接続され、他端に前記下流側出湯管が接続されるとともに、前記空気抜き手段へ流路を分岐させる分岐部とを有し、前記分岐部を介して、前記上流出湯管の水平流路と前記下流出湯管の垂直流路を連通させるとともに、前記水平流路の直線上の位置に前記空気抜き手段を設けたことを特徴とする給湯機。
【請求項2】
前記空気抜き手段は、前記垂直流路の入口よりも上方の位置に設けたことを特徴とした請求項1記載の給湯機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、出湯管に開閉弁を備えた貯湯式給湯機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より貯湯タンク内に溜まった空気を外に排出するための圧力逃し弁と湯を流す出湯管を貯湯タンク頂部に設けていた(例えば、特許文献1)。
【0003】
例えば、この種の貯湯式給湯機は図5のように、貯湯タンク101の上部には、貯湯タンク101内の高温の湯を出湯させる出湯管102が接続され、出湯管102の途中には、貯湯タンク101の上部に溜まった空気や貯湯タンク101の所定値以上の圧力を逃がす圧力逃し弁を兼ねた開閉弁103が出湯管102の水平方向に直交して設けられていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−250507号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1や図5のように圧力逃し弁103は出湯管102の途中に出湯管102に対して水平方向に直交して設けられているので、圧力逃し弁103に十分に空気が送れず、空気抜きの効率が悪くなってしまうという問題があった。
【0006】
また、特許文献1には、圧力逃し弁が貯湯タンク頂部に設けられているため空気しか排出できず、排水は貯湯タンク下部の別箇所で行われており、構造が複雑になると共に、貯湯タンク頂部に有るため使用者が操作しづらく、貯湯タンクを備える貯湯ユニットが縦に大きくなってしまい、設置スペースが限定されてしまうという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記課題を解決するため、湯水を貯湯する貯湯タンクと、この貯湯タンクへ水を供給する給水管と、前記貯湯タンクから湯を出湯する出湯管と、前記給水管から分岐された給水バイパス管と、前記出湯管からの湯と前記給水バイパス管からの水を混合する給湯混合弁と、前記出湯管途中に手動または自動で開け閉め可能であると共に給湯機内の空気の排出を促す開閉弁と、前記開閉弁が開かれることで、空気及び水を排出する排出口と、前記開閉弁と前記排出口で構成された空気抜き手段とを備えた給湯機において、前記出湯管は、略水平状の水平流路を有し前記貯湯タンク上部の湯を出湯させる上流側出湯管と、略垂直状の垂直流路を有し前記上流側出湯管からの湯を出湯させる下流側出湯管と、一端に前記上流側出湯管が接続され、他端に前記下流側出湯管が接続されるとともに、前記空気抜き手段へ流路を分岐させる分岐部とを有し、前記分岐部を介して、前記上流出湯管の水平流路と前記下流出湯管の垂直流路を連通させるとともに、前記水平流路の直線上の位置に前記空気抜き手段を設けた。
【0008】
また、前記空気抜き手段は、前記垂直流路の入口よりも上方の位置に設けた。
【発明の効果】
【0009】
このように請求項1の発明によれば、前記空気抜き手段を前記水平流路の直線上に設けることで、空気抜き時、前記水平流路の直線上にある前記空気抜き手段にそのまま水圧がかかるようになり、空気抜き性能を上げることができる。
【0010】
また、請求項2の発明によれば、前記貯湯タンク内に溜まった空気を前記貯湯タンク上部の前記出湯管に送り、湯が流れる前記垂直流路方向よりも上方に前記空気抜き手段を設けることで、より効率良く空気を前記排出口で排出することができ、空気抜き性能を上げることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】この発明の第1実施例の概略説明図
図2】この発明の第1実施例の斜視図
図3】この発明の第1実施例の縦断面図
図4】この発明の第2実施例の縦断面図
図5】従来の圧力逃し弁の配置図
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の給湯装置の実施形態を図1に基づいて説明する。
1は湯水を貯湯する貯湯タンク、2は貯湯タンク1の下部に接続された給水管、3は貯湯タンク1の上部に接続された出湯管、4は貯湯タンク1内の湯水を加熱するヒートポンプ式加熱手段、5は貯湯タンク1下部とヒートポンプ式加熱手段4と貯湯タンク1上部とを貯湯タンク1内の湯水が循環可能に接続するヒートポンプ循環回路である。また、図示しないがヒートポンプ循環回路5の途中に設けられたヒートポンプ循環ポンプによって、貯湯タンク1とヒートポンプ式加熱手段4内の湯水を循環させている。
【0013】
6は給水管2の途中で分岐する給水バイパス管、7は出湯管3を流れる湯水と給水バイパス管6を流れる市水を適宜の比率で混合して給湯設定温度あるいは風呂設定温度に調整する給湯混合弁、8は給湯混合弁7で混合された混合水が流通する給湯管、9は給湯管8からの混合水を給湯する給湯栓、10は給湯管8途中に設けられた給湯流量を検出するフローセンサ、11は給湯混合弁7によって混合された混合水の温度を検出する給湯温度センサ、12は給湯混合弁7によって混合された混合水の給湯流量を調節する流量調整弁である。
【0014】
13は出湯管途中に手動または自動で開け閉め可能であるとともに、給湯機内の空気の排出を促すことができる開閉弁、14は開閉弁13が開弁されることで、空気及び水を排出する排出口、15は開閉弁13と排出口14で構成された空気抜き動作を行う空気抜き手段である。なお、開閉弁13は貯湯タンク1内の圧力が過度に上昇することを防止するために、貯湯タンク1内の圧力が所定値以上になったときに開弁し圧力を逃す開閉弁を兼ねたバネ式の圧力逃し弁でもよい。
【0015】
16は貯湯タンク1上部内の高温水と熱交換する風呂熱交換器、17は浴槽、18は風呂熱交換器16と浴槽17を湯水が循環可能に接続する風呂循環回路、19は風呂循環回路15の途中に設けられた風呂循環ポンプである。
【0016】
20は、給湯動作や風呂動作の運転制御を担う制御装置であり、各センサで検出した検出結果に基づいて各弁の弁開度の開度を制御している。
【0017】
次に貯湯式給湯機の設置後の試運転動作である貯湯タンク1の給水動作及び貯湯タンク1の空気抜き動作について説明する。
貯湯タンク1内に水を満たすため設置者は、開閉弁13の弁を開にして排出口14を開き、給水管2から貯湯タンク1へ水を給水する。このとき貯湯タンク1内に残留していた空気は水に押し出されて、貯湯タンク1上部の出湯管3を通り、排出口14から器具外に排出される。所定時間後(ここでは20分)、排水口14から勢いよく水が排水されていることを確認し、排水口14からの空気の排出がないことを確認すると、設置者は開閉弁13を閉じ、給水及び空気抜きを完了させる。
【0018】
次に本発明の実施例の詳しい構成について図2及び図3で詳しく説明する。
出湯管3は、貯湯タンク1上部の湯を出湯させる上流側出湯管3Aと、上流側出湯管3Aからの湯を出湯させる下流側出湯管3Bと、一端に上流側出湯管3Aが接続され、他端に下流側出湯管3Bが接続されるとともに、空気抜き手段15へ流路を分岐される分岐部21とを有している。
【0019】
また、分岐部21の前記一端から空気抜き手段15への略水平方向で直線状の流路は適度な長さを必要とするため、上流側出湯管3Aの分岐部21の前記一端付近では略水平方向で直線の形状が好ましく、ここではエルボ22で略水平方向で直線状の流路の長さを確保している。
【0020】
ここで、分岐部21内及びエルボ22もしくは上流側出湯管3Aの略水平方向で直線状の流路を水平流路23といい、分岐部21内及び下流側出湯管3Bの略垂直方向の流路を垂直流路24という。
【0021】
空気抜き手段15は、略水平状に延びた水平流路23の直線上の位置に空気抜き手段15を設けると共に、空気抜き手段15は垂直流路入口25よりも上方に位置に設けられる。
【0022】
このように、空気抜き手段15を水平流路23の直線上に設けることで、空気抜き時、流れてきた水の水圧が水平流路23の直線上にある空気抜き手段15にそのままかかるようになり、排出口14から貯湯タンク1に溜まった空気を器具外に押しだしやすくなり、空気抜き性能を上げることができる。
【0023】
また、空気抜き手段15は垂直流路入口25よりも上方にあるので、空気は水より軽いため空気は上方にあがり空気抜き手段15から排出口14で空気抜きされ、湯は垂直流路24から給湯混合弁7に流れるので、効率良く空気抜き動作が行うことができる。
【0024】
なお、本発明は実施形態に限定されるものではなく、要旨を変更しない範囲で改変することを妨げるものではなく、例えば、本発明の実施例ではエルボ22で略水平方向で直線状の流路の長さを確保しているが、エルボ22を使用せず、直線状の接続配管26を繋ぐか上流出湯管3Aのみで略水平方向の直線状の流路の長さを確保してもよい。
【符号の説明】
【0025】
1 貯湯タンク
3 出湯管
3A 上流出湯管
3B 下流出湯管
7 給湯混合弁
8 給湯管
13 開閉弁
14 排出口
15 空気抜き手段
21 分岐部
22 エルボ
23 水平流路
24 垂直流路
25 垂直流路入口
図1
図2
図3
図4
図5