特許第6483610号(P6483610)IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

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  • 特許6483610-5,5−ヘテロ芳香族抗感染症化合物 図000092
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】6483610
(24)【登録日】2019年2月22日
(45)【発行日】2019年3月13日
(54)【発明の名称】5,5−ヘテロ芳香族抗感染症化合物
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20190304BHJP
   C07D 513/04 20060101ALI20190304BHJP
   C07D 498/04 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/4188 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/4439 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/454 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/496 20060101ALI20190304BHJP
   A61K 31/423 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 31/04 20060101ALI20190304BHJP
   A61P 31/06 20060101ALI20190304BHJP
【FI】
   C07D487/04 136
   C07D513/04 331
   C07D513/04CSP
   C07D498/04 103
   C07D513/04 325
   A61K31/4188
   A61K31/5377
   A61K31/4439
   A61K31/454
   A61K31/496
   A61K31/423
   A61P31/04
   A61P31/06
【請求項の数】22
【全頁数】82
(21)【出願番号】特願2015-523260(P2015-523260)
(86)(22)【出願日】2013年7月18日
(65)【公表番号】特表2015-522622(P2015-522622A)
(43)【公表日】2015年8月6日
(86)【国際出願番号】US2013051125
(87)【国際公開番号】WO2014015167
(87)【国際公開日】20140123
【審査請求日】2016年3月30日
(31)【優先権主張番号】61/672,968
(32)【優先日】2012年7月18日
(33)【優先権主張国】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515015333
【氏名又は名称】ユニバーシティ オブ ノートルダム デュ ラック
(74)【代理人】
【識別番号】100114775
【弁理士】
【氏名又は名称】高岡 亮一
(74)【代理人】
【識別番号】100121511
【弁理士】
【氏名又は名称】小田 直
(74)【代理人】
【識別番号】100191086
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 香元
(72)【発明者】
【氏名】モラスキ,ギャレット
(72)【発明者】
【氏名】ミラー,マーヴィン ジェー.
【審査官】 東 裕子
(56)【参考文献】
【文献】 特表2010−534646(JP,A)
【文献】 特表2010−504957(JP,A)
【文献】 特表2010−500401(JP,A)
【文献】 国際公開第2011/113606(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/075173(WO,A1)
【文献】 国際公開第2013/022766(WO,A1)
【文献】 国際公開第2008/087611(WO,A1)
【文献】 特表2010−514751(JP,A)
【文献】 特表2010−540508(JP,A)
【文献】 特開平02−178289(JP,A)
【文献】 特表2004−533989(JP,A)
【文献】 特表平09−512548(JP,A)
【文献】 特開平08−059665(JP,A)
【文献】 特表2004−531475(JP,A)
【文献】 Compton, Victoria J. et al.,Reaction of 2-aminothiazoles with reagents containing a carbon-halogen and a carbonyl electrophilic center,J.C.S. PERKIN TRANS.1 ,1992年,(15),2029-2032
【文献】 STN International,Imidazo[2,1-b]thiazole-5-carboxylic acid, 6-(1,1-dimethylethyl)-2-methyl-, ethyl ester,File REGISTRY [online],Entered STN: 03 Apr 2009,検索日:平成30年6月15日,CAS Registry No. 1131580-04-5
【文献】 STN International,Imidazo[2,1-b]thiazole-5-carboxylic acid, 2-methyl-6-(2-methylpropyl)-, ethyl ester,File REGISTRY [online],Entered STN: 03 Apr 2009,検索日:平成30年6月15日,CAS Registry No. 1131580-05-6
【文献】 STN International,Imidazo[2,1-b]thiazole-5-carboxylic acid, 2-methyl-6-propyl-, ethyl ester,File REGISTRY [online],Entered STN: 03 Apr 2009,検索日:平成30年6月15日,CAS Registry No. 1131580-06-7
【文献】 STN International,Imidazo[2,1-b]thiazole-5-carboxylic acid, 2-methyl-6-(1-methylethyl)-, ethyl ester,File REGISTRY [online],Entered STN: 03 Apr 2009,検索日:平成30年6月15日,CAS Registry No. 1131580-07-8
【文献】 Rajak, Harish et al.,Structure-activity relationships among novel 1,3,4-oxadiazole analogues for their anti-inflammatory activity,Current Research in Pharmaceutical Sciences,2012年,2(3),142-148
【文献】 Ban, Syoichi,Chemotherapeutics. XXXIX. Syntheses of imidazo compounds. 4. Imidazo[2,1-b]thiadiazole derivatives. (2),Yakugaku Zasshi ,1954年,74,pp.658-661
【文献】 Belgodere, Elena et al.,Imidazolecarboxylic acids and their derivatives. Synthesis of 10H-imidazo[1,5-a]pyrido[1,2-d]pyrazin-10-one, a novel ring system,Heterocycles,1985年,23(2),pp.349-355
【文献】 Abignente, E. et al.,Research on heterocyclic compounds. XVIII. Imidazo[2,1-b]-1,3,4-thiadiazole derivatives,Farmaco, Edizione Scientifica,1985年,40(3),190-199
【文献】 Abignente, E. et al.,Research on heterocyclic compounds. XIV. Imidazothiazole and imidazobenzothiazole derivatives: synthesis and antiinflammatory activity,Farmaco, Edizione Scientifica ,1983年,38(8),533-545
【文献】 Terzioglu, Nalan; Gursoy, Aysel,Synthesis and anticancer evaluation of some new hydrazone derivatives of 2,6-dimethylimidazo[2,1-b][1,3,4]thiadiazole-5-carbohydrazide,European Journal of Medicinal Chemistry,2003年,38(7-8),781-786
【文献】 Abraham, Raymond J. et al.,The NMR spectra of the porphyrins. Metalloporphyrins as diamagnetic shift reagents, chemical applications,Organic Magnetic Resonance,1983年,21(10),637-642
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C07D
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(A):
【化1】
(式中、Xは、CHであり;
は、Sであり;
Zは、−C(=O)NH−、−C(=O)C(=O)−、−CHC(=O)−、−C(=O)CH−または−NH−C(=O)NH−であり;
nは、1〜4であり;
は、C〜Cアルキル、トリフルオロメチル、クロロ、またはフルオロであり;
は、C〜Cアルキル、またはトリフルオロメチルであり;
は、アルキル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、チアゾリン、トリアゾール、ピリジル、ピラジン、ジケトピペラジン、キノリン、イソキノリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、オキサゾリンジノン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、インドリル、モルホリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル、ピロール、ピリミジン、ピラジニル、オキサジアゾール、イソキサゾリル、ピラゾリル、テトラゾール、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロベンゾフラニル、アリール、アリールオキシまたはヘテロアリールであり;そして
の任意のアルキル、シクロアルキル、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、チアゾリン、トリアゾール、ピリジル、ピラジン、ジケトピペラジン、キノリン、イソキノリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、オキサゾリンジノン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、インドリル、モルホリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル、ピロール、ピリミジン、ピラジニル、オキサジアゾール、イソキサゾリル、ピラゾリル、テトラゾール、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロベンゾフラニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アルコキシまたはアミは、1〜5つの置換基で任意に置換される)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩。
【請求項2】
のアルキル、シクロアルキル、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、チアゾリン、トリアゾール、ピリジル、ピラジン、ジケトピペラジン、キノリン、イソキノリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾール、オキサゾリンジノン、ピペラジン、ピペリジン、ピラン、インドリル、モルホリニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、テトラヒドロフラニル、ピロール、ピリミジン、ピラジニル、オキサジアゾール、イソキサゾリル、ピラゾリル、テトラゾール、キノリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、キノキサリニル、ナフチリジニル、ジヒドロベンゾフラニル、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アルコキシまたはアミノが1〜5つの(C−C)アルキル、(C−C)アルケン、(C−C)アルキン、エポキシド、オキソ、アルキルカルボキシレート、アルコキシ、カルバルデヒド、ハロ、OH、CN、NOまたはSH基で置換される請求項1記載の化合物。
【請求項3】
nが1であり、そしてRがフェニル、ピリジル、インドリル、ジヒドロベンゾフラニルまたはベンゾ[d]オキサゾリルである請求項2記載の化合物。
【請求項4】
nが1であり、そしてRがフェニルまたはピリジル(1、2または3つのアルキル、アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、フェニル、フェニルオキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、ピペリジニル、イミダゾリル、ジアジニル、トリアジニルまたはピロリジニル基で置換される)である請求項記載の化合物。
【請求項5】
がトリフルオロメチルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項6】
がトリフルオロメチルである請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項7】
nが1である請求項1〜4のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項8】
Zが−C(=O)NH−であり、そしてnが1〜4である請求項1記載の化合物。
【請求項9】
Zが−C(=O)C(=O)−であり、そしてnが1〜4である請求項1記載の化合物。
【請求項10】
Zが−CHC(=O)−、−C(=O)CH−または−NH−C(=O)NH−であり;そしてnが1〜4である請求項1記載の化合物。
【請求項11】
がメチル、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロである請求項1記載の化合物。
【請求項12】
がメチル、トリフルオロメチルまたはエチルである請求項1または11記載の化合物。
【請求項13】
Zが−C(=O)NH−であり、nが1〜4であり、Rがメチル、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり、そしてRがメチル、トリフルオロメチルまたはエチルである請求項1記載の化合物。
【請求項14】
が、以下の:
(a)ORまたはNHR(Rはアルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールである);
(b)
【化2】
(式中、Yは、各々独立して、CHまたはNであり;RはH、CF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミまたはニトリルであり;そしてmは1〜4である);
(c)
【化3】
(式中、YはCHまたはNであり;そしてRは複素環である(ここで、複素環は、任意に置換されるフラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、チアゾリン、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ジケトピペラジン、キノリン、イソキノリンまたはオキサゾリンジノンである);
(d)
【化4】
(式中、YはCHまたはNであり;そしてRは、CF、OCF、ハロ、メチルスルホン、ニトリル、あるいは任意に置換されるアルコキシ、アミノ、フェニルまたは複素環であり;そしてmは0〜3である);
(e)
【化5】
(式中、Aは複素環であり(ここで、複素環は、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、チアゾリン、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ジケトピペラジン、キノリン、イソキノリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾールまたはオキサゾリンジノンである)であり;Rは、CF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミまたはニトリルであり;YはCHまたはNであり;mは0〜5であり;そしてpは0〜4である);
(f)
【化6】
(式中、Bは複素環であり(ここで、複素環は、ピペラジンまたはピペリジンである);RはCF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミまたはニトリルであり;YはCHまたはNであり;そしてmは0〜4である);
(g)
【化7】
(式中、Yは、各々独立して、CHまたはNであり;RはCF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミまたはニトリルであり;そしてmは0〜4である);あるいは
(h)
【化8】
(式中、構造(Ih)は位置2、6または7で式Aの構造と連結され;Rは、存在する場合、位置2、6または7に配置されるか、あるいはその組合せであるが、但し、構造(Ih)は、同一位置で式Aの構造と連結されず;XはCH、NH、NR、SまたはOであり;YはCHまたはNであり;RはCF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミまたはニトリルであり;そしてmは0〜3である)
である請求項8〜12のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項15】
式(A)の化合物が、式(B):
【化9】
(式中、YはNHまたはOである)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である請求項1記載の化合物。
【請求項16】
式(B)の化合物が、式(C):
【化10】
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である請求項15記載の化合物。
【請求項17】
式(B)の化合物が、式(I):
【化11】
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である請求項15記載の化合物。
【請求項18】
式(I)の化合物が、式(II):
【化12】
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である請求項17記載の化合物。
【請求項19】
N−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル)−2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミドである請求項1記載の化合物。
【請求項20】
以下の表から選択される1つである化合物、またはその製薬上許容可能な塩である請求項1記載の化合物。
【化13】
【化14】
【化15】
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
【化21】
【化22】
【化23】
【化24】
【化25】
【化26】
【化27】
【請求項21】
請求項1〜20のいずれか一項に記載の化合物を製薬上許容可能な希釈剤または担体と組合せて含む組成物。
【請求項22】
細菌を死滅させるかまたは細菌の増殖を抑制するための、あるいは細菌感染を処置するために使用する請求項21記載の組成物
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、米国特許仮出願61/672,968(2012年7月18日出願)(参照により本明細書中で援用される)に対して、35U.S.C.§119(e)下での優先権を主張する。
【0002】
政府支援
本発明は、国立衛生研究所により授与される補助金R01 AI 054193下での政府支援でなされた。
【背景技術】
【0003】
細菌であるヒト型結核菌(Mtb)により引き起こされる結核症(TB)に対する戦いは、一千年に亘って苛烈に続いてきた。歴史を通して、TBは、10億人を上回る人々の命を奪ってきたし、現在、世界の人口の3分の1に感染している。年間310万人の死者を出しており、TBは、単一の作因として感染性疾患の中での主要死因である。TBの蔓延は、1900年代中頃のいくつかの化学療法薬の出現に有意に影響を及ぼされた。しかしながら、1980年代以来、TBは増大してきた。現在、年間800万症例が新たに生じている。
【0004】
TB/HIV同時感染の症例の増大ならびに多剤耐性TB(XDR−TB:イソニアジドおよびリファムピン、ならびにフルオロキノロン、および3つの注射用第二線薬、例えばアミカシン、カナマイシンまたはカプレオマイシンのうちの少なくとも1つに耐性である菌株)の蔓延が、事態をさらに悪くしている。ますます、TBの、特にその難死滅性多剤耐性および潜伏型のTBの蔓延と闘うための新規の抗TB薬を開発することが緊急に必要とされている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、一連の5,5−ヘテロ芳香族化合物、その合成、その組成物、ならびにこのような化合物および組成物の使用方法を提供する。種々の実施形態は、ヒト型結核菌(M.tuberculosis)および/またはマイコバクテリウム・アビウム(M.avium)およびそのある種の耐性菌株を死滅させるかおよび/またはその増殖を抑制する方法を提供する。本発明は、被験体におけるヒト型結核菌および/またはマイコバクテリウム・アビウム感染を処置し、防止し、および/または改善する方法も提供する。
【0006】
したがって、本発明は、式(A):
【化1】
(式中、Xは、CH、CRまたはNであり;
は、S、スルフィニル(S(=O))、スルホニル(S(=O))、CH、CHRO、NHまたはNRであり;
Zは、−C(=O)NH−、−C(=O)O−、−C(=O)C(=O)−、−CHC(=O)−、−C(=O)CH−または−NH−C(=O)NH−であり;そして
nは、0〜4である)
の化合物を提供する。
【0007】
本明細書中に記載される式において、「R」基(例えば、R、R、R、R等)は、以下のように定義される:
は、アルキル、シクロアルキル、複素環、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロまたはアミンであり;
は、H、アルキル、シクロアルキル、複素環、アルコキシ、アリール、ヘテロアリール、ハロまたはアミンであり;
は、H、アルキル、アルコキシ、アミノ、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールオキシまたはヘテロアリールであり;そして
は、各々独立して、H、アルキル、シクロアルキル、複素環、アリールまたはヘテロアリールであって;
この場合、R、R、RまたはRのアルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アルコキシまたはアミンは、1またはそれ以上の置換基、例えば約1〜約5つの置換基で任意に置換される。上記のまたは本明細書中に記載されるR基の値のいずれかは、さらにまた、特許請求される発明の特定のR基定義または式から排除され得る。
【0008】
本発明は、本明細書中に記載される式のうちのいずれか1つまたはそれ以上の製薬上許容可能な塩も提供する。
【0009】
一実施形態では、R基(例えば、R、R、RまたはR)のアルキル、シクロアルキル、複素環、アリール、アリールオキシ、ヘテロアリール、アルコキシまたはアミンは、置換され得ないか、代替的には、1〜5つの置換基、例えば(C−C)アルキル、(C−C)アルケン、(C−C)アルキン、エポキシド、オキソ、アルキルカルボキシレート、アルコキシ、カルバルデヒド、ハロ、OH、CN、NOまたはSH基のうちの1つ以上、またはその組合せで置換され得る。
【0010】
いくつかの実施形態では、nは0である。
【0011】
いくつかの実施形態では、nは1である。
【0012】
いくつかの実施形態では、nは2である。
【0013】
いくつかの実施形態では、nは3である。
【0014】
いくつかの実施形態では、nは4である。
【0015】
種々の実施形態において、Rは、フェニル、ピリジル、インドリル、ジヒドロベンゾフラニルまたはベンゾ[d]オキサゾリルであって、各Rは置換されないか、または本明細書中に記載されるように置換され得る。
【0016】
種々の実施形態において、Rは、フェニルまたはピリジル(1、2または3つのアルキル、アルコキシ、ハロ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、フェニル、フェニルオキシ、モルホリノ、チオモルホリノ、ピペラジニル、ピペリジニル、イミダゾリル、ジアジニル、トリアジニルまたはピロリジニル基で置換される)である。
【0017】
ある実施形態では、Rは(C−C)アルキル、ハロまたはトリフルオロメチルである。
【0018】
ある実施形態では、Rは(C−C)アルキルまたはトリフルオロメチルである。
【0019】
ある実施形態では、XはCHであり、XはSであり、Zは−C(=O)NH−または−C(=O)O−である。
【0020】
ある実施形態では、Zは−C(=O)NH−である。
【0021】
ある実施形態では、Zは−C(=O)O−である。
【0022】
ある実施形態では、Zは−C(=O)C(=O)−である。
【0023】
ある実施形態では、Zは−CHC(=O)−、−C(=O)CH−または−NH−C(=O)NH−である。
【0024】
ある実施形態では、Rはメチル、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロである。
【0025】
ある実施形態では、Rはメチル、トリフルオロメチルまたはエチルである。
【0026】
ある実施形態では、Zは−C(=O)NH−であり、nは1〜4であり、Rはメチル、トリフルオロメチル、クロロまたはフルオロであり、そしてRはメチル、トリフルオロメチルまたはエチルである。
【0027】
種々の実施形態、例えば上記の要素の任意の組合せを有する実施形態において、Rは、以下の:
(a)ORまたはNHR
(b)
【化2】
(式中、Yは、各々独立して、CHまたはNであり;RはH、CF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミンまたはニトリルであり;そしてmは1〜4である);
(c)
【化3】
(式中、YはCHまたはNであり;そしてRは複素環である(ここで、複素環は、任意に置換されるフラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、チアゾリン、トリアゾール、ピリジン、ピラジン、ピラゾール、ジケトピペラジン、キノリン、イソキノリンまたはオキサゾリンジノンである);
(d)
【化4】
(式中、YはCHまたはNであり;そしてRは、CF、OCF、ハロ、メチルスルホン、ニトリル、あるいは任意に置換されるアルコキシ、アミンフェニルまたは複素環であり;そしてmは0〜3である);
(e)
【化5】
(式中、Aは複素環であり(ここで、複素環は、フラン、チオフェン、イミダゾール、オキサゾール、オキサゾリン、オキサジアゾール、チアジアゾール、チアゾール、チアゾリン、トリアゾール、ピリジン、ピリダジン、ジケトピペラジン、キノリン、イソキノリン、ベンズイミダゾール、ベンズオキサゾール、ベンズチアゾールまたはオキサゾリンジノンである)であり;Rは、CF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミンまたはニトリルであり;YはCHまたはNであり;mは0〜5であり;そしてpは0〜4である);
(f)
【化6】
(式中、Bは複素環であり(ここで、複素環は、ピペラジンまたはピペリジンである);RはCF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミンまたはニトリルであり;YはCHまたはNであり;そしてmは0〜4である);
(g)
【化7】
(式中、Yは、各々独立して、CHまたはNであり;RはCF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミンまたはニトリルであり;そしてmは0〜4である);あるいは
(h)
【化8】
(式中、構造(Ih)は位置2、6または7で式Aの構造と連結され;Rは、存在する場合、位置2、6または7に配置されるか、あるいはその組合せであるが、但し、構造(Ih)は、同一位置で式Aの構造と連結されず;XはCH、NH、NR、SまたはOであり;YはCHまたはNであり;RはCF、OCF、ハロ、メチルスルホン、アルコキシ、アミンまたはニトリルであり;そしてmは0〜3である)
であり得る。
【0028】
一実施形態では、式(A)の化合物は、式(B):
【化9】
(式中、YはNH、Oまたは直接結合である)
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である。
【0029】
別の実施形態では、式(B)の化合物は、式(C):
【化10】
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である。
【0030】
さらに別の実施形態では、式(B)の化合物は、式(I):
【化11】
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である。
【0031】
さらなる実施形態では、式(I)の化合物は、式(II):
【化12】
の化合物、またはその製薬上許容可能な塩である。
【0032】
上記および本明細書中の式のある実施形態では、Rはアルキルまたはアルコキシである。ある具体的実施形態では、Rは−Me、−Etまたは−CFである。
【0033】
種々の実施形態において、本明細書中に記載される式の5,5−ヘテロ芳香族化合物は、N−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル)−2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミドである。他の実施形態では、化合物は、特定の引用される式の範囲内である表1で例示される化合物のうちの1つ以上である。いくつかの実施形態では、式、組成物または方法は、WO 2008/38251または米国特許公告2010/222600により開示されるいかなる化合物も除外する。本明細書中に記載される式および化合物の種々の実施形態において、複素環はカルボニル部分により一緒に直接的に連結されない。
【0034】
したがって本発明は、本明細書中に記載される式の新規の化合物、本明細書中に記載される式の化合物の合成のための中間体、ならびに本明細書中に記載される式の化合物の製造方法を提供する。本発明は、他の有用な化合物の合成のための中間体として有用である本明細書中に記載される式の化合物も提供する。本発明は、哺乳動物、特にヒトにおける細菌感染の処置のために有用な医薬剤の製造のための本明細書中に記載される式の化合物の使用を提供する。
【0035】
本発明はさらに、細菌を死滅させるかまたは細菌の増殖を抑制するための、そして医学的療法に用いるための、本明細書中に記載される化合物および組成物の使用を提供する。医学的療法は、感染、例えば細菌感染または多剤耐性細菌感染を処置することである。本発明は、哺乳動物における疾患、例えばヒトにおける細菌感染を処置するための医薬剤の製造のための本明細書中に記載されるような組成物の使用も提供する。組成物または医薬剤は、製薬上許容可能な希釈剤、賦形剤または担体を含み得る。
【図面の簡単な説明】
【0036】
以下の図面は本明細書の一部を構成し、そして本発明のある実施形態または種々の態様をさらに実証するために含まれる。いくつかの場合、本発明の実施形態は、本明細書中で提示される詳細な説明と組み合わせて、添付の図面を参照することにより最良に理解され得る。説明および添付の図面は、本発明のある具体例またはある態様を強調し得る。しかしながら、実施例または態様の部分は本発明の他の実施例または態様と組合せて用いられ得る、と当業者は理解する。
図1】N−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル)−2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミド(ND−010081)に関して確定されたX線結晶構造。
【発明を実施するための形態】
【0037】
詳細な説明
定義
本明細書中で用いる場合、引用される用語は、以下の意味を有する。本明細書中で用いられるその他の用語および語句はすべて、当業者が理解するようなそれらの通常の意味を有する。このような通常の意味は、技術用語辞典、例えばHawley’s Condensed Chemical Dictionary 14th Edition, by R.J.Lewis,John Wiley & Sons,New York,N.Y.,2001を参照することにより得られる。
【0038】
「1つの実施形態」、「一実施形態」等への明細書中での言及は、記載される実施形態が、特定の態様、特徴、構造、部分または特質を含み得るが、しかしすべての実施形態が必ずしもその態様、特徴、構造,部分または特質を含むわけではない、ということを示す。さらに、このような語句は、明細書の他の部分において言及される同一実施形態を指すこともあるが、しかし必ずというわけではない。さらに、特定の態様、特徴、構造、部分または特質が一実施形態と関連して記載される場合、それは、明白に記載されているか否かにかかわらず、このような態様、特徴、構造、部分または特質に作用するかまたは他の実施形態と関連付けるための当業者の理解の範囲内である。
【0039】
単数形「1つの(a)」、「1つの(an)」および「その(the)」は、本文中で明白に別記しない限り、複数言及を含む。したがって、例えば「1つの(a)化合物」への言及は、複数のこのような化合物を包含し、したがって、化合物Xは複数の化合物Xを包含する。さらに、特許請求の範囲はあらゆる任意の要素を排除するよう起草され得る、ということに留意されたい。このようなものとして、この記述は、本明細書中に記載される任意の要素および/または特許請求要素の列挙、または「負の」制限の使用と関連した、排他的用語、例えば「単独で(solely)」、「唯一の(only)」等の使用に関する先行する基本として役立つよう意図される。
【0040】
「および/または」という用語は、当該項目、項目の任意の組合せ、またはこの用語が関連する項目のすべてのうちのいずれか1つを意味する。「1つ以上」という語句は、特にその使用状況で読む場合、当業者に容易に理解される。例えば、フェニル環上の1つ以上の置換基は、例えば、フェニル環が二置換される場合、1〜5、または1〜4を指す。
【0041】
「約」という用語は、明記される値の±5%、±10%、±20%または±25%の変動を指す。例えば、「約50」パーセントは、いくつかの実施形態では、45〜55パーセントの変動を保有し得る。整数範囲に関しては、「約」という用語は、当該範囲の各末端で挙げられた整数より大きいおよび/または小さい1または2つの整数を包含し得る。本明細書中で別記しない限り、「約」という用語は、個々の成分、組成物または実施形態の機能に関して等価である列挙範囲に近似する値、例えば重量パーセンテージを包含するよう意図される。約という用語は、この段落で上記のような列挙範囲の終点も修飾し得る。
【0042】
当業者に理解されるように、すべての数、例えば成分の量、特性、例えば分子量、反応条件等を表すものは、近似値であり、「約」という用語によりすべての場合に任意に修飾され得る、と理解される。これらの値は、本明細書中の記載の教示を利用する当業者により獲得されるべく単球される所望の特性によって変わり得る。このような値は、それぞれの試験測定値に見出される標準偏差に必然的に起因する変異性を固有に含有する、ということも理解されている。
【0043】
実施形態を理解するのに役立ち得る方法で、順次の多数の別個の操作として種々の操作が記載され得る。しかしながら、記載順序は、これらの操作が順序従属性であることを意味するよう意図されない。
【0044】
当該記載は、「実施形態(単数)」または「実施形態(複数)」という用語を用い得るが、これらは各々、同一のまたは異なる実施形態のうちの1つ以上を指す。さらに、「〜からなる」、「〜を含む」、「〜を有する」等という用語は、実施形態に関して用いられる場合、同義である。
【0045】
当業者が理解するように、任意のおよびすべての目的のために、特に書かれた説明を提供することに関して、本明細書中で列挙される範囲はすべて、任意のおよびすべての考え得る亜範囲および亜範囲の組合せ、ならびに範囲を形成する個々の値、特に整数値も包含する。列挙範囲(例えば重量パーセンテージまたは炭素基)としては、範囲内の各々の具体的値、整数、小数または同一性を包含する。任意の記載範囲は、十分に記載するとして、そして同一範囲を少なくとも二等分、三等分、四等分、五等分または十等分に分割させるとして容易に認識され得る。非限定例として、本明細書中で考察される各範囲は、下3分の1、中3分の1および上3分の1等に容易に分割され得る。さらにまた当業者により理解されるように、「〜まで」、「少なくとも」、「〜より大きい」、「〜未満」、「〜より多い」、「またはより多い」等のような言葉はすべて、列挙される数を包含し、そしてこのような用語は、上記のような亜範囲にその後分割され得る範囲を指す。同様にして、本明細書中で列挙される比率はすべて、これもまた、より広範な比率内にあるすべての亜比率を包含する。したがって、ラジカル、置換基および範囲に関して列挙される具体的値は、例証のために過ぎない;それらは、ラジカルおよび置換基に関する他の限定値または限定範囲内の他の値を排除しない。
【0046】
成員がマーカッシュ群におけるような一般的方法で一緒に群別される場合、本発明は全体として記載される全体群だけでなく、群の各成員を独立して、そして主要群のすべての考え得る亜群をも包含する、ということも当業者は容易に認識する。付加的には、全目的のために、本発明は、主要群だけでなく、群成員のうちの1つ以上が存在しない主要群も包含する。したがって本発明は、列挙群の成員のうちのいずれか1つ以上の明白な排除を予見する。したがって、開示される範疇または実施形態のいずれかに条件が当てはまり、それにより列挙される要素、種または実施形態のいずれか1つ以上が、例えば明白な負の制限で用いるために、このような範疇または実施形態から排除され得る。
【0047】
「接触すること」という用語は、例えば溶液中、反応混合物中で、in vitroでまたはin vivoで、例えば生理学的反応、化学的反応または物理的変化をもたらすために、細胞または分子レベルを含めて、触れること、接触をなすことあるいは直近または付近に近づくことという動作を指す。
【0048】
「有効量」は、疾患、障害および/または症状を処置するために、あるいは列挙される効果をもたらすために有効な量を指す。例えば、有効量は、処置されている症状または症候の進行または重症度を低減するために有効な量であり得る。治療的有効量の決定は、特に本明細書中で提供される開示にかんがみて、当業者の能力の十分に範囲内である。「有効量」という用語は、例えば、宿主における、疾患または障害を処置するかまたは防止するために、あるいは疾患または障害の症候を処置するために有効である、本明細書中に記載される化合物の量、または本明細書中で記載される化合物の組合せの量を包含するよう意図される。したがって、「有効量」は、一般的に、所望の効果を提供する量を意味する。
【0049】
「処置すること」、「処置する」および「処置」という用語は、(i)疾患、病理学的または医学的症状が起きるのを防止すること(例えば予防);(ii)疾患、病理学的または医学的症状を抑制するか、あるいはその発症を阻止すること;(iii)疾患、病理学的または医学的症状を軽減すること;および/または(iv)疾患、病理学的または医学的症状に関連した症候を減少させることを包含する。したがって、「処置する」、「処置」および「処置すること」という用語は、予防に拡張し得るし、処置されている症状または症候の進行または重症度を防止する、防止、防止すること、低下させること、停止することまたは逆転することを包含し得る。このようなものとして、「処置」という用語は、適宜、医学的、治療的および/または予防的投与を包含し得る。
【0050】
「抑制する」、「抑制すること」および「抑制」という用語は、疾患、感染、症状または細胞群の増殖または進行を遅くすること、停止することまたは逆転することを指す。抑制は、処置または接触の非存在で起きる増殖または進行と比較して、例えば約20%より大きい、40%、60%、80%、90%、95%または99%より大きい。
【0051】
「ハロゲン」または「ハロ」という用語は、フルオロ、ブロモ、クロロまたはヨード置換基を指す。
【0052】
「アルキル」という用語は、炭素および水素のみを含有する環状、分枝鎖または直鎖アルキル基を指し、別記しない限り、1〜12個の炭素原子を含有する。この用語は、さらに、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、イソブチル、t−ブチル、ペンチル、ピバリル、ヘプチル、アダマンチルおよびシクロペンチルのような基により例示され得る。アルキル基は、非置換であるか、あるいは1つ以上の置換基、例えばハロゲン、アルキル、アルコキシ、アルキルチオ、トリフルオロメチル、アシルオキシ、ヒドロキシ、メルカプト、カルボキシ、アリールオキシ、アリール、アリールアルキル、ヘテロアリール、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、モルホリノ、ピペリジノ、ピロリジン−1−イル、ピペラジン−1−イルまたはその他の官能基で置換されて、「置換アルキル」または「官能基化アルキル」を形成し得る。
【0053】
したがって、アルキルは、例えば1〜20個の炭素原子、しばしば1〜12、1〜10、1〜8、1〜6または1〜4個の炭素原子を有する分枝鎖または非分枝鎖炭化水素であり得る。例としては、メチル、エチル、1−プロピル、2−プロピル(イソプロピル)、1−ブチル、2−メチル−1−プロピル(イソブチル)、2−ブチル(sec−ブチル)、2−メチル−2−プロピル(t−ブチル)、1−ペンチル、2−ペンチル、3−ペンチル、2−メチル−2−ブチル、3−メチル−2−ブチル、3−メチル−1−ブチル、2−メチル−1−ブチル、1−ヘキシル、2−ヘキシル、3−ヘキシル、2−メチル−2−ペンチル、3−メチル−2−ペンチル、4−メチル−2−ペンチル、3−メチル−3−ペンチル、2−メチル−3−ペンチル、2,3−ジメチル−2−ブチル、3,3−ジメチル−2−ブチル、ヘキシル、オクチル、デシル、ドデシル等が挙げられるが、これらに限定されない。アルキルは、非置換であるか、あるいは、例えば本明細書中の化合物または式に関して記載されるような置換基、または下記のような置換基で置換され得る。アルキルは、さらにまた、任意に部分的にまたは完全に不飽和化され得る。このようなものとして、アルキル基の列挙は、アルケニルおよびアルキニル基の両方を包含する。アルキルは、上記のような、そして上記で例示されたような一価炭化水素ラジカルであり得るし、あるいは二価炭化水素ラジカル(すなわち、アルキレン)であり得る。
【0054】
「置換化」という用語は、「置換化」を用いた表現で示される基の上の1つ以上の水素原子が「置換基」と取り替えられる、ということを示す。「1つ以上」により言及される数は、置換基が存在する部分から明らかであり得る。例えば、1つ以上は、1、2、3、4、5または6;いくつかの実施形態では、1、2または3;他の実施形態では、1または2を指し得るし、置換基がオキソ基である場合、2つの水素原子が置換基の存在により取り替えられる。置換基は、指示基の選択のうちの1つであり得るし、あるいはそれは、以下で列挙されるかまたは当業者に既知の適切な基であり得るが、但し、置換化原子の通常原子価は超過されず、置換は安定化合物を生じる。適切な置換基としては、例えば、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、ハロ、ハロアルキル、ヒドロキシ、ヒドロキシアルキル、アリール、アロイル、(アリール)アルキル(例えば、ベンジルまたはフェニルエチル)、ヘテロアリール、複素環、シクロアルキル、アルカノイル、アルコキシカルボニル、アルキルカルボニルオキシ、アミノ、アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、トリフルオロメチル、トリフルオロメトキシ、トリフルオロメチルチオ、ジフルオロメチル、アシルアミノ、ニトロ、カルボキシ、カルボキシアルキル、ケト、チオキソ、アルキルチオ、アルキルスルフィニル、アルキルスルホニル、アリールスルフィニル、アリールスルホニル、ヘテロアリールスルフィニル、ヘテロアリールスルホニル、複素環スルフィニル、複素環スルホニル、ホスフェート、スルフェート、ヒドロキシルアミン、ヒドロキシル(アルキル)アミンおよびシアノ、ならびにこの開示のスキームおよび図で示される部分、およびその組合せが挙げられる。付加的には、適切な置換基は、例えば、−X、−R、−O、−OR、−SR、−S、−NR、−NR、=NR、−CX、−CN、−OCN、−SCN、−N=C=O、−NCS、−NO、−NO、=N、−N、−NC(=O)R、−C(=O)R、−C(=O)NRR、−S(=O)、−S(=O)OH、−S(=O)R、−OS(=O)OR、−S(=O)NR、−S(=O)R、−OP(=O)(OR)2、−P(=O)(OR)、−OP(=O)(OH)(OR)−P(=O)(OH)(OR)、−P(=O)(O、−P(=O)(OH)、−C(=O)R、−C(=O)X、−C(S)R、−C(O)OR、−C(O)O、−C(S)OR、−C(O)SR、−C(S)SR、−C(O)NRR、−C(S)NRRまたは−C(NR)NRR(ここで、Xは、各々独立して、ハロゲン(「ハロ」):F、Cl、BrまたはIであり;そしてRは、各々独立して、H、アルキル、アリール、(アリール)アルキル(例えば、ベンジル)、ヘテロアリール、(ヘテロアリール)アルキル、複素環、複素環(アルキル)または保護基である)であり得る。当業者に容易に理解されるように、置換基がケト(=O)またはチオキソ(=S)等である場合には、置換化原子上の2個の水素原子が取り替えられる。いくつかの実施形態では、上記の置換基のうちの1つ以上は、置換化基上の置換基に関する潜在価値を有する群から除外され得る。この開示のスキームおよび図における種々のR基は、上記の置換基のうちの1つ以上であり、したがって、このようなR基に関するある変異形(例えば、R、R、R等)は、代表的ではあるが網羅的ではなく、上記置換基のうちの1つ以上で補足
【0055】
アルキル鎖は、例えば1つ以上の異種原子で任意に中断され得る。「中断される」という用語は、別の基が、「中断される」という用語を用いた表現で言及されている特定炭素鎖の2つの隣接炭素原子と、それらが結合される水素原子との間に挿入される(例えば、メチル(CH)、メチレン(CH)またはメチン(CH))、ということを示すが、但し、指示元素の通常原子価の各々は超過されず、中断は安定化合物を生じる。炭素鎖を中断し得る適切な基としては、例えば、1つ以上の非ペルオキシドオキシ(−O−)、チオ(−S−)、イミノ(−N(H)−)、メチレンジオキシ(−OCHO−)、カルボニル(−C(=O)−)、カルボキシ(−C(=O)O−)、カルボニルジオキシ(−OC(=O)O−)、カルボキシラト(−OC(=O)−)、イミン(C=NH)、スルフィニル(SO)およびスルホニル(SO)が挙げられる。アルキル基は、前記の適切な基のうちの1つ以上(例えば、1、2、3、4、5または約6)により中断され得る。中断の部位は、アルキル基の炭素原子と、アルキル基が結合される炭素原子との間でもあり得る。それに関する異種原子により中断されるアルキル基は、ヘテロアルキル基を形成する。
【0056】
アルキル基が置換され得る場合、それは、したがって、「置換化アルキル」であり得る。「置換化アルキル」という用語は、ハロゲン、ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、アミノ、シアノ、ニトロ、−OQ10、−SQ10、−S(O)10、−S(O)Q10、−OS(O)10、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、−S(O)−N=S(O)(Q10、−S(O)−N=S(Q10、−NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、−N(Q10)C(S)NQ1010、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、−C(O)C(Q16OC(O)Q10、−CN、=S、−NQ10C(O)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−S(O)NQ1010、−NQ10S(O)10、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10および−SNQ1010から選択される1〜4個の置換基を含み得るアルキル部分を指す。ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびアリールの各々は、ハロゲンおよびQ15から任意に選択される1〜4個の置換基で任意に置換され得る。
【0057】
「シクロアルキル」という用語は、環状アルキル部分を指す。別記しない限り、シクロアルキル部分は、約3〜約8、9または10個の炭素原子を含む。したがって、「シクロアルキル」という用語は、単一環式環または多重縮合環を有する3〜10個の炭素原子の環状アルキル基を指す。シクロアルキル基としては、例えば単一環構造、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロオクチル等、または多重環構造、例えばアダマンチル等が挙げられる。シクロアルキルは、非置換または置換され得る。シクロアルキル基は、一価または二価であり得るし(例えば、2つの基を一緒に連結する)、アルキル基に関して記載されたように任意に置換され得る。シクロアルキル基は、任意に、不飽和の1つ以上の部位を含み、例えばシクロアルキル基は、1つ以上の炭素−炭素二重結合、例えば1−シクロペント−1−エニル、1−シクロペント−2−エニル、1−シクロペント−3−エニル、シクロヘキシル、1−シクロヘクス−1−エニル、1−シクロヘクス−2−エニル、1−シクロヘクス−3−エニル等を含み得る。
【0058】
「アルケン」という用語は、1つ以上の二重結合を含有する一般式C2nを有する炭化水素分子を指す。
【0059】
「アルキン」という用語は、含まれる三重炭素−炭素結合を有する炭素鎖に対応する一般式C2n−2を有する分子を指す。
【0060】
「アルコキシ」という用語は、基−O−アルキル(ここで、アルキルは本明細書中で定義されるようなものである)を指す。アルコキシ基の例としては、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソ−プロポキシ、n−ブトキシ、tert−ブトキシ、sec−ブトキシ、n−ペントキシ、n−ヘキソキシ、1,2−ジメチルブトキシ等が挙げられるが、これらに限定されない。アルコキシは、非置換または置換され得る。
【0061】
「アルコール」という用語は、ヒドロキシル基(−OH)がアルキルまたは置換アルキル基の炭素原子と結合される任意の有機化合物を指す。単純非環式アルコールに関する一般式は、C2n+1OHである。
【0062】
「エポキシド」という用語は、3員環を有する有機化合物、環状エーテルのクラスのいずれかを指す。
【0063】
「ケトン」という用語は、他の炭素原子が結合されるカルボニル基>C=Oを含有する有機化合物を指す。
【0064】
「エステル」という用語は、カルボン酸およびアルコール間の反応の生成物を指す。
【0065】
「エーテル」という用語は、官能基RO−R’(ここで、RおよびR’は、有機基、例えばアルキルまたはアリールである)を含有する有機化合物を指す。
【0066】
「アルデヒド」という用語は、−CHO基を含有する有機化合物を指す。
【0067】
「ニトリル」という用語は、シアノラジカル−CNを含有する有機化合物の一クラスのいずれかを指す。
【0068】
「チオール」という用語は、結合されたイオウおよび水素原子(−SH)を含む分子基を指す。
【0069】
「チオエステル」という用語は、一般式R−S−CO−R’を有するイオウとアシル基の結合に起因する化合物を指す。チオエステルは、カルボン酸とチオール(通常エステルにおけるアルコールとは対照的に)との間のエステル化の生成物である。
【0070】
「スルフィド」という用語は、炭素と結合されるイオウを含有する有機化合物を指す。「ジスルフィド」という用語は、イオウ原子の連結対からなる構造単位を指す。
【0071】
「スルホン」という用語は、2つの炭素原子と結合されるスルホニル官能基を含有する化学化合物を指す。中心イオウ原子は、酸素と2回二重結合され、2つのさらなる炭化水素置換基を有する。一般構造式は、R−S(=O)R’(式中、RおよびR’は、有機基、例えばアルキルまたはアリール、あるいは本明細書中に記載される式の一部分である)である。例えば、メチルスルホン基は、−S(=O)Me基である。
【0072】
「スルホキシド」という用語は、2個の炭素原子と結合されるスルホニル官能基を含有する化学化合物を指す。スルホキシドは、酸化スルフィドと考えられ得る。
【0073】
「アミン」という用語は、NH、NHRまたはNRを指す。別記しない限り、Rは、アルキル、アルケニル、アルキニル、シクロアルキル、シクロアルケニル、ヘトまたはアリールであり得る。
【0074】
「アミド」という用語は、−CONH−基を含有する有機化合物を指す。
【0075】
「尿素」という用語は、化学式(NHCOまたはRNHCONHR’(式中、RおよびR’は、有機基、例えばアルキルまたはアリール、あるいは本明細書中に記載される式の一部分である)を有する有機化合物を指す。
【0076】
「カルバメート」という用語は、一般構造−NH(CO)O−を有する共通官能基を共有する有機化合物の一群のいずれかを指す。カルバメートは、カルバミン酸NHCOOHのエステルである。カルバミン酸はカルボキシル基と結合される窒素を含有するため、それはアミドでもある。したがって、カルバミン酸エステルは、窒素上で置換されるアルキルまたはアリール基、あるいはアミド官能基を有し得る。例えばエチルカルバメートは非置換であるが、一方、エチルN−メチルカルバメートは窒素と結合されるメチル基を有する。
【0077】
「アリール」という用語は、親芳香族環系の単一炭素原子から少なくとも1つの水素原子を除去することにより得られる芳香族炭化水素基を指す。アリール基は、6〜30個の炭素原子、例えば約6〜10個の炭素原子を有し得る。アリール基は、単一環(例えば、フェニル)または多縮合(condensedまたはfused)環を有し得るが、この場合、少なくとも1つの環が芳香族である(例えば、ナフチル、ジヒドロフェナントレニル、フルオレニルまたはアントリル)。典型的アリール基としては、ベンゼン、ナフタレン、アントラセン、ビフェニル等に由来するラジカルが挙げられるが、これらに限定されない。アリールは、非置換であり得るし、またはアルキル基に関して記載されたように任意に置換され得る。したがって、「アリール」という用語は、フェニル、置換フェニル、ナフチルおよび置換ナフチルを指し得る。
【0078】
「複素環」という用語は、酸素、窒素、ケイ素およびイオウからなる群から選択され、そして「置換される」という用語に関して定義されたような1つ以上の基で任意に置換される少なくとも1つの異種原子を含有する飽和または部分不飽和環系を指す。複素環は、単環式、二環式または三環式基であり得る。複素環基は、当該環と結合されるオキソ基(=O)またはチオキソ(=S)基も含有し得る。複素環基の非限定例としては、1,3−ジヒドロベンゾフラン、1,3−ジオキソラン、1,4‐ジオキサン、1,4−ジチアン、2H−ピラン、2−ピラゾリン、4H−ピラン、クロマニル、イミダゾリジニル、イミダゾリジニル、インドリニル、イソクロマニル、イソインドリニル、モルホリニル、ピペラジニル、ピペリジニル、ピラゾリジニル、ピラゾリニル、ピロリジン、ピロリン、キヌクリジン、テトラヒドロフラニルおよびチオモルホリンが挙げられる。
【0079】
非限定例として、炭素結合複素環は、ピリジンの位置2、3、4、5または6、ピリダジンの位置3、4、5または6、ピリミジンの位置2、4、5または6、ピラジンの位置2、3、5または6、フラン、テトラヒドロフラン、チオフラン、チオフェン、ピロールまたはテトラヒドロピロールの位置2、3、4または5、オキサゾール、イミダゾールまたはチアゾールの位置2、4または5、イソキサゾール、ピラゾールまたはイソチアゾールの位置3、4または5、アジリジンの位置2または3、アゼチジンの位置2、3または4、キノリンの位置2、3、4、5、6、7または8あるいはイソキノリンの位置1、3、4、5、6、7または8で結合され得る。炭素結合複素環としては、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、5−ピリジル、6−ピリジル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、5−ピリダジニル、6−ピリダジニル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、6‐ピリミジニル、2−ピラジニル、3−ピラジニル、5−ピラジニル、6−ピラジニル、2−チアゾリル、4−チアゾリル、5−チアゾリル等が挙げられる。前記位置の種々の組合せが、本明細書中で記載される化合物中に含まれる。
【0080】
非限定例として、窒素結合複素環は、アジリジン、アゼチジン、ピロール、ピロリジン、2‐ピロリン、3‐ピロリン、イミダゾール、イミダゾリジン、2‐イミダゾリン、3‐イミダゾリン、ピラゾール、ピラゾリン、2−ピラゾリン、3‐ピラゾリン、ピペリジン、ピペラジン、インドール、インドリン、1H−インダゾールの位置1、イソインドールまたはイソインドリンの位置2、モルホリンの位置4、およびカルバゾールまたはβ−カルボリンの位置9で結合され得る。一実施形態では、窒素結合複素環としては、1−アジリジル、1−アゼテジル、1−ピロリル、1−イミダゾリル、1−ピラゾリルおよび1−ピペリジニルが挙げられる。
【0081】
「複素環」のさらなる例としては、ピリジン、チオフェン、フラン、ピラゾリン、ピリミジン、2−ピリジル、3−ピリジル、4−ピリジル、2−ピリミジニル、4−ピリミジニル、5−ピリミジニル、3−ピラジニル、3−ピリダジニル、4−ピリダジニル、4−オキソ−2−イミダゾリル、1,2,4−オキサジアゾール、1,3,4−オキサジアゾール、4−ピリダジニル、3−ピラジニル、4−オキソ−2−イミダゾリル、2−イミダゾリル、4−イミダゾリル、3−イソキサゾリル、4−イソキサゾリル、5−イソキサゾリル、3−ピラゾリル、4−ピラゾリル、5−ピラゾリル、2−オキサゾリル、4−オキサゾリル、4−オキソ−2−オキサゾリル、5−オキサゾリル、1,2,3−オキサチアゾール、1,2,3−オキサジアゾール、1,2,5−オキサジアゾール、2−チアゾリル、5−チアゾリル、3−イソチアゾール、4−イソチアゾール、5−イソチアゾール、2−フラニル、3−フラニル、2−チエニル、3−チエニル、2−ピロリル、3−ピロリル、3−イソピロリル、4−イソピロリル、5−イソピロリル、1,2,3−オキサチアゾール−1−オキシド、1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−オキサジアゾール−5−イル、5−オキソ−1,2,4−オキサジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−3−イル、1,2,4−チアジアゾール−5−イル、3−オキソ−1,2,4−チアジアゾール−5−イル、1,3,4−チアジアゾール−5−イル、2−オキソ−1,3,4−チアジアゾール−5−イル、1,2,4−トリアゾール−3−イル、1,2,4−トリアゾール−5−イル、1,2,3,4−テトラゾール−5−イル、5−オキサゾリル、3−イソチアゾリル、4−イソチアゾリル、5−イソチアゾリル、1,3,4−オキサジアゾール、4−オキソ−2−チアゾリニル、5−メチル−1,3,4−チアジアゾール−2−イル、チアゾレジオン、1,2,3,4−チアトリアゾール、1,2,4−ジチアゾロン、フタルイミド、キノリニル、モルホリニル、ベンズイミダゾリル、ベンゾ[d]チアゾリル、ベンゾ[d]オキサゾリル、ジアジニル、トリアジニル、キノリニル、キノキサリニル、ナフチリジニル、アゼチジニル、ピロリジニル、ヒダントイニル、オキサチオラニル、ジオキソラニル、イミダゾリジニル、アザビシクロ[2.2.1]ヘプチル、2−メチル−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン、2,3−ジメチル−1,4−ジオキサ−8−アザスピロ[4.5]デカン、3−メチル−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンおよび2,4−ジメチル−1,5−ジオキサ−9−アザスピロ[5.5]ウンデカンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0082】
「複素環式」、「複素環」および「ヘト」は互換的に用いられ、したがって、環構造内に、炭素のうちの少なくとも1つの原子、そして炭素以外の少なくとも1つの元素、例えばイオウ、酸素または窒素を含有する有機化合物を指す。これらの構造は、単一芳香族環または非芳香族環を含み得る。各単環式環は、芳香族の、飽和または部分不飽和であり得る。二環式環系は、シクロアルキルまたはアリール基と縮合される1つ以上の異種原子を含有する単環式環を含み得る。二環式環系は、別の単環式環系と縮合される1つ以上の異種原子を含有する単環式環も包含し得る。
【0083】
「ヘテロアリール」という用語は、1、2または3つの芳香族環を含有し、そして少なくとも1つの窒素、酸素またはイオウ原子を芳香族環中に含有する単環式、二環式または三環式環系を指す。ヘテロアリールは、非置換であるか、または、例えば1つ以上の、特に1〜3個の置換基(「置換される」の定義で記載されたような)で置換され得る。典型的ヘテロアリール基は、1つ以上の異種原子のほかに、2〜20個の炭素原子を環骨格中に含有する。ヘテロアリール基の例としては、2H−ピロリル、3H−インドリル、4H−キノリジニル、アクリジニル、ベンゾ[b]チエニル、ベンゾチアゾリル、b‐カルボリニル、カルバゾリル、クロメニル、シンノリニル、ジベンゾ[b,d]フラニル、フラザニル、フリル、イミダゾリル、イミジゾリル、インダゾリル、インドリシニル、インドリル、イソベンゾフラニル、イソインドリル、イソキノリル、イソチアゾリル、イソキサゾリル、ナフチリジニル、オキサゾリル、ペリミジニル、フェナントリジニル、フェナントロリニル、フェナルサジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサチイニル、フェノキサジニル、フタラジニル、プテリジニル、プリニル、ピラニル、ピラジニル、ピラゾリル、ピリダジニル、ピリジル、ピリミジニル、ピロリル、キナゾリニル、キノリル、キノキサリニル、チアジアゾリル、チアントレニル、チアゾリル、チエニル、トリアゾリル、テトラゾリルおよびキサンテニルが挙げられるが、これらに限定されない。一実施形態では、「ヘテロアリール」という用語は、炭素、ならびに非ペルオキシド酸素、イオウおよびN(Z)(ここで、Zは、存在しないか、あるいはH、O、アルキル、アリールまたは(C‐C)アルキルアリールである)から独立して選択される1、2、3または4個の異種原子を含有する5または6個の環原子を含有する単環式芳香族環を意味する。いくつかの実施形態では、ヘテロアリールは、それに由来する8〜10個の環原子を有するオルト縮合二環式複素環、特にベンズ誘導体、あるいはそれにプロピレン、トリメチレン、テトラメチレンまたは1,2−メチレンジオキソイジラジカルを縮合することにより得られるものを意味する。
【0084】
したがって、「ヘテロアリール」という用語は、1つ以上の環式環が芳香族である一または二環式ヘトを指し得る。「置換ヘテロアリール」という用語は、ハロゲン、アルキル、ヒドロキシル、アミノ、アルコキシ、シアノおよびニトロから選択される1つ以上の官能基、または本明細書中に記載されるような別の置換基で置換されるヘテロアリール部分を指す。
【0085】
「モルホリン」という用語は、化学式O(CHCHNHを有する環状有機化合物または部分を指す。この複素環は、アミンおよびエーテル官能基の両方を特徴とする。アミンのために、モルホリンは塩基である;その共役酸はモルホリニウムと呼ばれる。例えば、モルホリンが塩酸により中和される場合、塩である塩化モルホリニウムが得られる。モルホリンは、アルキルおよびアリールのような有機基の置換基であり得る。
【0086】
「チオモルホリン」という用語はCNSを指し、窒素およびイオウを含有する複素環式化合物である。それは、モルホリンのチオ誘導体と考えられ得る。
【0087】
「ピペラジン」という用語は、2個の対向窒素原子を含有する6員環からなる有機化合物を指す。
【0088】
「ピペリジン」という用語は、分子式(CHNHを有する有機化合物を指す。この複素環式アミンは、5つのメチレン単位および1個の窒素原子を含有する6員環からなる。
【0089】
「アシル」という用語は、式RCO−(式中、Rは有機基、例えばアルキルまたはアリールである)のラジカルの一群のいずれかを指す。
【0090】
「フラン」という用語は、4個の炭素原子および1個の酸素原子の環を含有する芳香族複素環式化合物、例えばCOの一クラスのいずれかを指す。「ニトロフラン」という用語は、ニトロ基置換基を有するフラン環を指す。
【0091】
「チオフェン」という用語は、式CSを有する複素環式化合物を指す。平坦5員環からなり、それは、その広範な置換反応により示されるように芳香族である。チオフェンと関連するのは、それぞれ1および2つのベンゼン環と縮合されるチオフェン環を含有するベンゾチオフェンおよびジベンゾチオフェンである。「ニトロチオフェン」という用語は、ニトロ基置換基を有するチオフェン環を指す。チオフェンと類似する化合物としては、フラン(CO)およびピロール(CNH)が挙げられる。
【0092】
「イミダゾール」という用語は、式Cを有する有機化合物を指す。この芳香族複素環は、アルカロイドとして分類される。単数形のイミダゾールは親化合物を指し、一方、複数形のイミダゾールは、同様の環構造を有するが、しかし置換基が異なる複素環の一クラスである。ニトロイミダゾールは、ニトロ基を含有するイミダゾール誘導体である。
【0093】
「オキサゾール」という用語は、3個の炭素原子、1個の酸素原子、1個の窒素原子および2つの二重結合を有する5員複素環を指す;1,3−異性体は芳香族である。
【0094】
「オキサゾリン」という用語は、5員環、2つの二重結合、1個の窒素原子および1個の酸素原子を含有する不飽和複素環式化合物;ならびにこの化合物の誘導体を指す。
【0095】
「チアゾール」という用語は、3個の炭素原子の環、1個のイオウおよび1個の窒素原子を含有する不飽和複素環式化合物の一クラスのいずれかを指す;例えば、最も簡単なものは、CSNである。
【0096】
「チアゾリン」という用語は、5員環、2つの二重結合、1個の窒素原子および1個のイオウ原子を含有する不飽和複素環式化合物;ならびにこの化合物の任意の誘導体を指す。
【0097】
「トリアゾール」という用語は、2個の炭素原子および3個の窒素原子の5員環を有する分子式Cの異性体化学化合物の対のどちらか一方を指す。
【0098】
「ピリジン」という用語は、5個の炭素原子および1個の窒素原子の環を含有する芳香族複素環式化合物の一クラスのいずれかを指し;例えば最も簡単なものはCNである。
【0099】
「ピラジン」という用語は、2個の窒素原子がパラ位置にあるジアジンを指す。
【0100】
「ナフタレン」という用語は、式C10を有し、2つの縮合ベンゼン環の構造を有する芳香族白色固体炭化水素を指す。
【0101】
「ジケトピペラジン」という用語は、2つのアミノ酸間のペプチド結合に起因して、ラクタムを形成する環状有機化合物の一クラスを指す。それらは、最小の考え得る環状ペプチドである。
【0102】
「キノリン」という用語は、5個の炭素原子および1個の窒素原子の環と縮合されるベンゼン環を含有する芳香族複素環式化合物の一クラスのいずれかを指す;例えば最も簡単なものはCNである。イソキノリン(ベンゾ[c]ピリジンまたは2−ベンザニンとしても既知である)は、複素環式芳香族有機化合物である。それは、キノリンの構造異性体である。イソキノリンおよびキノリンはベンゾピリジンであって、これは、ピリジン環と縮合されるベンゼン環からなる。より広義では、イソキノリンという用語は、イソキノリン誘導体に言及するために用いられる。
【0103】
「オキサゾリジノン」という用語は、5員環中に窒素および酸素の両方を含有する複素環式有機化合物の一クラスを指す。
【0104】
「置換アリール」という用語は、したがって、ハロゲン、ヘト、アルキル、置換アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、シクロアルキル、シクロアルケニル、アリール、シアノ、ニトロ、−OQ10、−SQ10、−S(O)10、−S(O)Q10、‐OS(O)10、−C(=NQ10)Q10、−C(=NOQ10)Q10、−S(O)−N=S(O)(Q10、−S(O)−N=S(Q10、‐NQ1010、−C(O)Q10、−C(S)Q10、−C(O)OQ10、−OC(O)Q10、−C(O)NQ1010、−C(S)NQ1010、‐C(O)C(Q16OC(O)Q10、−NQ10C(O)Q10、 −N(Q10)C(S)NQ1010、−N(Q10)C(S)Q10、−NQ10C(O)NQ1010、−S(O)NQ1010、−NQ10S(O)10、−NQ10S(O)Q10、−NQ10SQ10および−SNQ1010から選択される1〜3個の置換基を有するアリール部分を指し得る。ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニル、アルケニル、アルキニルおよびアリールは、ハロゲンおよびQ15から選択される1〜3個の置換基で任意に置換される。
【0105】
10は、各々独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘト、シクロアルケニルおよびアリールから選択される。ヘト、シクロアルキル、シクロアルケニルおよびアリールは、ハロおよびQ13から選択される1〜3個の置換基で任意に置換される。
【0106】
11は、各々独立して、H、ハロゲン、アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘトから選択される。アルキル、アリール、シクロアルキルおよびヘトは、ハロゲン、ニトロ、シアノ、=S、=OおよびQ14から独立して選択される1〜3個の置換基で任意に置換される。
【0107】
13は、各々独立して、Q11、−OQ11、−SQ11、−S(O)11、−S(O)Q11、−OS(O)11、−C(=NQ11)Q11、−S(O)−N=S(O)(Q11、−S(O)−N=S(Q11、−SC(O)Q11、−NQ1111、−C(O)Q11、−C(S)Q11、−C(O)OQ11、−OC(O)Q11、−C(O)NQ1111、−(S)NQ1111、−C(O)C(Q16OC(O)Q10、−CN、=O、=S、−NQ11C(O)Q11、−NQ11C(S)Q11、−NQ11C(O)NQ1111、−NQ11C(S)NQ1111、−S(Q)NQ1111、−NQ11S(O)11、−NQ11S(O)Q11、−NQ11SQ11、−NOおよび−SNQ1111から選択される。
【0108】
14は、各々独立して、H、アルキル、シクロアルキル、フェニルまたはナフチル(各々、任意に、F、Cl、Br、I、−OQ16、−SQ16、−S(O)16、−S(O)Q16、−OS(O)16、−NQ1616、−C(O)Q16、−C(S)Q16、−C(O)OQ16、−NO、−C(O)NQ1616、−C(S)NQ1616、−CN、−NQ16C(O)Q16、−NQ16C(S)Q16、−NQ16C(O)NQ1616、−NQ16C(S)NQ1616、−S(O)NQ1616および−NQ16S(O)16から独立して選択される1〜4個の置換基で置換される)から選択される。アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、さらに、=Oまたは=Sで任意に置換される。
【0109】
15は、各々独立して、H、アルキル、シクロアルキル、ヘテロアリール、フェニルまたはナフチル(各々、任意に、F、Cl、Br、I、−OQ16、−SQ16、−S(O)16、−S(O)Q16、−OS(O)16、−C(=NQ16)Q16、−S(O)−N=S(O)(Q16、−S(O)−N=S(Q16、−SC(O)Q16、−NQ1616、−C(O)Q16、−C(S)Q16、−C(O)OQ16、−OC(O)Q16、−C(S)NQ1616、−C(O)C(Q16OC(O)Q16、−CN、−NQ16C(O)Q16、−NQ16C(S)Q16、−NQ16C(O)NQ1616、−NQ16C(S)NQ1616、−S(O)NQ1616、−NQ16S(O)16、−NQ16S(O)Q16、−NQ16SQ16、−NOおよび−SNQ1616から独立して選択される1〜4個の置換基で置換される)から選択される。アルキル、シクロアルキルおよびシクロアルケニルは、さらに、=Oまたは=Sで任意に置換され得る。
【0110】
16は、各々独立して、H、アルキルおよびシクロアルキルから選択される。アルキルおよびシクロアルキルは、1〜3個のハロゲンを任意に含む。
【0111】
本開示の種々の実施形態は、新規のヘテロ芳香族化合物、例えば5,5−ヘテロ芳香族化合物を提供する。いくつかの実施形態は、微生物感染症、例えばヒト型結核菌(M.tuberculosis)およびマイコバクテリウム・アビウム(M.avium)により引き起こされる感染症の処置および防止のための化合物および方法に関する。他の実施形態は、開示される5,5−ヘテロ芳香族化合物の合成を提供する。
【0112】
種々の実施形態において、この開示の5,5−ヘテロ芳香族化合物は、被験体における微生物感染症を処置するかまたは防止するのに有用であり得る。開示化合物のin vitro活性は、標準試験手法、例えばH37Rv TBスクリーンにより査定され得る。
【0113】
いくつかの実施形態では、本明細書中に記載される5,5−ヘテロ芳香族化合物は、被験体におけるヒト型結核菌(M.tuberculosis)感染症、例えば多剤耐性(MDR)TBまたは非MDR TB、および/またはマイコバクテリウム・アビウム(M.avium)感染症を処置する(例えば、改善するかまたは防止する)ために有用であり得る。化合物は、局所的に、または全身的に、被験体に投与され得る。種々の実施形態において、5,5−ヘテロ芳香族化合物は、非経口的に、例えば皮下、静脈内、または筋肉内に投与され得るし、あるいはそれは、経口的に、または吸入により投与され得る。種々の実施形態において、このような5,5−ヘテロ芳香族化合物は、単独で、または他の抗微生物薬と組み合わせて用いられ得る。いくつかの実施形態では、5,5−ヘテロ芳香族化合物は、投与されている化合物に対する感染症の感受性、疾患の程度、感染が不顕性であるか顕性であるか、感染が薬剤耐性であるか、そして被験体の全身の健康状態によって、種々の濃度で投与され得る。
【0114】
種々の実施形態において、1つ以上の5,5−ヘテロ芳香族化合物が、薬学的組成物中に組み入れられ得る。本発明の開示の実施形態は、任意のラセミ、光学的活性、多形、互変異性または立体異性型またはその混合型の開示化合物(本明細書中に記載される有用な特性を保有する)を包含する。
【0115】
化合物が、安定非毒性酸または塩基塩を形成するのに十分に塩基性または酸性である場合、製薬上許容可能な塩としての化合物の使用は適切であり得る。本明細書中の実施形態の範囲内の製薬上許容可能な塩の例としては、生理学的に許容可能な陰イオンを生成する酸を用いて形成される有機酸付加塩、および無機塩が挙げられる。
【0116】
本開示の実施形態による薬学的組成物は、標準および慣用的技法を用いて、開示化合物を、固体または液体の製薬上許容可能な担体と、任意に製薬上許容可能なアジュバントおよび賦形剤と組み合わせることにより調製され得る。固体型組成物としては、粉末、錠剤、分散性顆粒、カプセル、カシェ剤および坐薬が挙げられる。固体担体は、希釈剤、風味剤、可溶化剤、滑剤、沈澱防止剤、結合剤、錠剤崩壊剤およびカプセル封入剤としても機能し得る少なくとも1つの物質であり得る。不活性固体担体としては、炭酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、タルク、糖、ラクトース、ペクチン、デキストリン、デンプン、ゼラチン、セルロース系物質、低融点蝋、ココアバター等が挙げられる。液体型組成物としては、溶液、懸濁液および乳濁液が挙げられる。例えば、任意に、適切な慣用的着色剤、風味剤、安定化剤および/または増粘剤を含有する、水および水−プロピレングリコール系中に溶解される本明細書中に開示の化合物の溶液が提供され得る。
【0117】
いくつかの実施形態では、薬学的組成物は、有効量または適量の1つ以上の活性構成成分を含有する単位剤形で、慣用的技法を用いて提供され得る。種々の実施形態において、薬学的組成物およびその単位剤形中の活性構成成分(化合物)の量は、特定の用途、特定化合物の効力および所望の濃度によって、変更または調整され得る。例示的一実施形態では、活性構成成分の量は、組成物の0.5〜90重量%の範囲であり得る。
【0118】
種々の実施形態において、被験者における微生物感染症、例えばヒト型結核菌(M.tuberculosis)またはマイコバクテリウム・アビウム(M.avium)により引き起こされる感染症を処置する、改善する、防止するまたは闘うための治療的使用に際しては、当該化合物またはその薬学的組成物は、治療的に有効である処置を受けている動物における活性構成成分の濃度または血中レベルを獲得し、保持するための投与量で、経口的に、非経口的に、および/または吸入により投与され得る。一実施形態では、活性構成成分のこのような治療的有効量/投与量は、約0.1〜約300mg/体重1kg/日、または約0.1〜約100mg/体重1kg/日、例えば約0.1〜約50mg/体重1kg/日、または約0.1〜約10mg/体重1kg/日の範囲であり得る。投与量は、患者の要件、感染症の重症度、特定微生物種、感染が不顕性であるか、顕性であるか、菌株の薬剤耐性、処置されている感染症の持続期間、そして用いられている特定化合物によって変わり得る、と理解されるべきである。さらにまた、所望の血中レベルを迅速に達成するために、投与される初期投与量は上記の高い方のレベルを超えて増大され得るし、あるいは初期投与量は最適より小さいことがあり、そして1日投与量は、特定の状況によって、処置経過中に漸進的に増大され得る、と理解されるべきである。所望により、1日用量は、さらにまた、投与のために多数回用量投与に、例えば1日2〜4回に分けられ得る。
【0119】
一実施形態では、初期5,5−ヘテロ芳香族化合物は、本明細書中に開示される抗マイコバクテリア薬の新規の5,5−ヘテロ芳香族クラスの例示的一成員として提供され、試験された。この初期化合物は、化合物ND−010081として以下で同定され、そして化合物構造は、一連の他の例示的5,5−ヘテロ芳香族化合物とともに表1で以下に示される。5,5−ヘテロ芳香族クラスの分子は、TBおよびマイコバクテリウム・アビウム(M.avium)文献内では代表的ではないが、出発物質が低コストであるため、そして強力な(<1μg/mL)抗マイコバクテリア化合物がそれから合成される容易性のため、その足場は非常に魅力的である。
【表1】
【0120】
TB治療薬に関する現存の臨床的候補の多くは、現存の足場の誘導体(例えば、モキシフロキサシンおよびガチフロキサシン)であり、このことが、より多く耐性を発生しがちな薬剤を生じる。他の臨床的候補は、製造が難しく、費用が掛かる複合化合物である(例えば、抗TB候補 TMC207、PA−824、OPC−67683およびLL−3858)。本明細書中に記載される化合物は、細菌を死滅させ、細菌増殖を抑制するための、そして細菌感染症、例えばTBを処置するための新規の且つ有効な代替物を提供する。
【0121】
一般的合成方法

本発明は、種々の5,5−ヘテロ芳香族化合物およびその製造方法に関する。化合物は、ラセミ的に、またはエナンチオマー形態で調製され得る。それらの調製および修飾のためのある個々の合成変換は、当該技術分野で周知である。これらの既知の技法の多くは、Compendium of Organic Synthetic Methods (John Wiley & Sons, New York), Vol. 1, Ian T. Harrison and Shuyen Harrison, 1971; Vol. 2, Ian T. Harrison and Shuyen Harrison, 1974; Vol. 3, Louis S. Hegedus and Leroy Wade, 1977; Vol. 4, Leroy G. Wade, Jr., 1980; Vol. 5, Leroy G. Wade, Jr., 1984; and Vol. 6;ならびに標準有機参照テキスト、例えばMarch's Advanced Organic Chemistry: Reactions, Mechanisms, and Structure, 5th Ed.,by M.B. Smith and J. March (John Wiley & Sons, New York, 2001); Comprehensive Organic Synthesis. Selectivity, Strategy & Efficiency in Modern Organic Chemistry. In 9 Volumes, Barry M. Trost, Editor−in−Chief (Pergamon Press, New York, 1993 printing); Advanced Organic Chemistry, Part B: Reactions and Synthesis, Second Edition, Cary and Sundberg (1983); Protecting Groups in Organic Synthesis, Second Edition, Greene, T.W.,and Wutz, P.G.M.,John Wiley & Sons, New York;およびComprehensive Organic Transformations, Larock, R.C.,2nd Ed., John Wiley & Sons, New York (1999)で詳述されている。
【0122】
本発明の化合物および組成物の調製のための多数の例示的方法は、本明細書中で提供される。これらの方法は、このような調製の性質を例証するよう意図され、適用可能な方法の範囲を限定するよう意図されない。
【0123】
一般的に、反応条件、例えば温度、反応時間、溶媒、一連の検査手順等は、実施されるべき特定の反応に関して当該技術分野で共通のものである。引用標準物質は、本明細書中で引用される物質と一緒に、このような条件の詳細な記載を含有する。典型的には、温度は−100℃〜200℃であり、当該反応に必要な場合、溶媒は、必要とされる条件によって非プロトン性またはプロトン性であり、反応時間は約1分〜約2日であり得る。一連の検査は、典型的には、任意の非反応試薬をクエンチし、その後、水/有機層系間に分配し(抽出)、そして当該生成物を含有する層を分離することからなる。
【0124】
酸化および還元反応は、典型的には、ほぼ室温(約23℃)で実行されるが、しかし金属水素化物還元に関しては、しばしば、温度は0℃〜−100℃に低減される。加熱も、適切な場合には用いられ得る。溶媒は、典型的には、還元に関しては非プロトン性であり、酸化に関してはプロトン性または非プロトン性であり得る。反応時間は、所望の転化を達成するよう調整される。
【0125】
縮合反応は、典型的には、ほぼ室温で実行されるが、しかし非平衡化動的制御縮合に関しては、低温(0℃〜−100℃)も一般的である。溶媒は、プロトン性(平衡反応で共通)または非プロトン性(動的制御反応で共通)であり得る。標準合成技法、例えば反応副生成物の共沸除去および無水反応条件の使用(例えば不活性ガス環境)は当該技術分野で共通であり、適用可能な場合、適用され得る。
【0126】
保護基 「保護基」、「遮断基」または「PG」という用語は、ヒドロキシまたは他の異種原子と結合される場合、この基で望ましくない反応が起きないようにし、慣用的な化学的または酵素的ステップにより除去されて、ヒドロキシル基または異種原子を再確立する任意の基を指す。用いられる特定の除去可能な遮断基は常に重要であるというわけではなく、好ましい除去可能ヒドロキシル遮断基としては、例えば、アリル、ベンジル、アセチル、クロロアセチル、チオベンジル、ベンジリデン、フェナシル、メチルメトキシ、シリルエーテル(例えば、トリメチルシリル(TMS)、t−ブチル−ジフェニルシリル(TBDPS)またはt−ブチルジメチルシリル(TBS)、ならびにヒドロキシル官能基上に化学的に導入され、後に、生成物の性質と適合する低刺激条件で化学的または酵素的方法により選択的に除去され得る任意の他の基が挙げられる。本明細書中の種々のスキームおよび式のR基は、保護基、例えば上記の、そして本明細書中で引用される種々の文献における保護基でもあり得る。
【0127】
適切な保護基は当業者に既知であり、T.W. Greene, Protecting Groups In Organic Synthesis; Wiley: New York, 1981 (“Greene”)およびそこに引用された参考文献により、ならびにKocienski,Philip J.;Protecting Groups (Georg Thieme Verlag Stuttgart, New York,1994)により(ともに参照により本明細書中で援用される)、さらに詳細に開示されている。
【0128】
保護基は、合成手順中に、すなわち本明細書中に記載される方法により種々の化合物を調製するための経路または方法中に、保護基との副反応を防止するために、利用可能で、一般に既知であり、そして任意に用いられる。大半の部分に関して、保護基を取り付け、除去する場合、どの気を保護するかに関する決定、ならびに化学的保護基「PG」の性質は、保護されるべき反応の化学的性質(例えば、酸性、塩基性、酸化的、還元的または他の条件)、ならびに意図される合成生成物によって決まる。
【0129】
保護基は、化合物が多数のPGで置換される場合、同一である必要はなく、一般的に同一でない。概して、PGは、官能基、例えばカルボキシル、ヒドロキシル、チオまたはアミノ基を保護するために、したがって副反応を防止し、またはそうでない場合は合成効率を助長するために用いられる。遊離脱保護基を生じるための脱保護化の順序は、意図される合成生成物および遭遇されるべき反応条件によって決まり得るし、当業者により確定されるような任意の順序で起こり得る。
【0130】
本発明の化合物の種々の官能基は、保護され得る。例えば、−OH基に関する保護基(ヒドロキシル、カルボン酸または他の官能基であれ)は、「エーテル−またはエステル形成基」を包含する。多数のエーテル−またはエステル形成基は、本明細書中に記述される合成スキームにおいて化学保護基として機能し得る。しかしながら、いくつかのヒドロキシルおよびチオ保護基は、当業者に理解されているように、エーテル−またはエステル形成基でない。カルボン酸保護基および酸のためのその他の保護基に関するさらなる詳細については、上記のGreeneを参照されたい。このような基としては、例えばアミド、ヒドラジド等が挙げられるが、これらに限定されない。
【0131】
1つ以上の置換基を含有する本明細書中に記載される化合物および式のいずれかに関しては、もちろん、このような基は、立体的に実行不可能であり、および/または合成的に非実現可能である任意の置換または置換パターンを含有しない、と理解される。化合物は不斉置換炭素原子を含有し、したがって、光学活性またはラセミ形態で調製され、単離され得る、と認識される。本明細書中に記載される化合物のすべてのキラル、ジアステレオマーおよびラセミ形態、ならびにすべての幾何異性体形態は、独立して、および/または集合的に、本発明の一部である。
【0132】
あるジアステレオマーは、別のものと比較して、優れた活性を示し得る。必要な場合、キラルカラムを用いた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)により、または分割試薬、例えば塩化樟脳酸を用いた分割により(Thomas J.Tucker et al.,J.Med.Chem.1994,37,2437−2444)、ラセミ物質の分離が達成され得る。キラル化合物は、さらにまた、キラル触媒またはキラルリガンドを用いて(例えば、Mark A.Huffman,et al.,J.Org.Chem.1995,60,1590−1594参照)、または本明細書中に記載される技法により、直接的に合成され得る。
【0133】
概して、本明細書中に記載される化合物および式に対する修飾は、当業者に既知の有機合成技法に従って、および/または本明細書中で提供される合成スキームに従って、なされ得る。所望される場合、本発明の化合物の合成は、市販の化学物質を用いて、科学文献に記載された化合物から、あるいは本明細書中に記載される反応および方法の生成物から開始され得る。市販の化合物は、標準化学物質供給元、例えばAcros Organics(Pittsburgh Pa.)、Aldrich Chemical(Milwaukee Wis.,including Sigma Chemical and Fluka)、Eastman Organic Chemicals,Eastman Kodak Company(Rochester N.Y.)、Fisher Scientific Co.(Pittsburgh Pa.)、ICN Biomedicals,Inc.(Costa Mesa Calif.)、Lancaster Synthesis(Windham N.H.)、TCI America(Portland Oreg.)およびWako Chemicals USA,Inc.(Richmond Va.)から獲得され得る。
【0134】
薬学的処方物

本明細書中に記載される化合物は、例えば、当該化合物を製薬上許容可能な希釈剤、賦形剤または担体と組み合わせることにより、治療用薬学的組成物を調製するために用いられ得る。化合物は、塩または溶媒和物の形態で、担体に付加され得る。例えば、化合物が安定非毒性酸または塩基塩を生成するのに十分に塩基性または酸性である場合、塩としての化合物の投与が適切である。製薬上許容可能な塩の例は、生理学的に許容可能な陰イオンを生成する酸を用いて生成される有機酸付加塩、例えばトシル酸塩、メタンスルホン酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、マロン酸塩、酒石酸塩、コハク酸塩、安息香酸塩、アスコルビン酸塩、α−ケトグルタル酸塩およびβ−グリセロリン酸塩である。適切な無機塩、例えば、塩酸塩、ハロゲン化物、硫酸塩、硝酸塩、重炭酸塩および炭酸塩も生成され得る。
【0135】
製薬上許容可能な塩は、当該技術分野で周知の標準手法を用いて、例えば、生理学的に許容可能なイオン性化合物を提供するのに十分に塩基性の化合物、例えばアミンを適切な酸と反応させることにより、獲得され得る。カルボン酸のアルカリ金属(例えば、ナトリウム、カリウムまたはリチウム)またはアルカリ土類金属(例えば、カルシウム)塩も、類似の方法により調製され得る。
【0136】
本明細書中に記載される式の化合物は、薬学的組成物として処方され、哺乳動物宿主、例えばヒト患者に種々の形態で投与され得る。形態は、選定投与経路、例えば経口または非経口投与に、静脈内、筋肉内、局所または皮下経路により、具体的に適合され得る。
【0137】
本明細書中に記載される化合物は、製薬上許容可能なビヒクル、例えば不活性希釈剤または同化可能な食用担体と組み合わせて、全身投与され得る。経口投与に関しては、化合物は、硬質または軟質殻ゼラチンカプセル中に封入され、錠剤に圧縮され、または患者の食事の食物中に直接混入され得る。化合物は、さらにまた、1つ以上の賦形剤と組み合わされ、摂取可能な錠剤、頬錠剤、トローチ、カプセル、エリキシル、懸濁液、シロップ、ウエファス等の形態で用いられ得る。このような組成物および調製物は、典型的には、少なくとも0.1%の活性化合物を含有する。組成物および調製物のパーセンテージは変わり得るし、便宜上、所定単位剤形の重量の約0.5%〜約60%、約1%〜約25%、または約2%〜約10%であり得る。このような治療的に有用な組成物中の活性化合物の量は、有効投与量レベルが獲得され得るような量であり得る。
【0138】
錠剤、トローチ、ピル、カプセル等は、さらにまた、以下のうちの1つ以上を含有し得る:結合剤、例えばトラガカントゴム、アラビアゴム、コーンスターチまたはゼラチン;賦形剤、例えばリン酸二カルシウム;崩壊剤、例えばコーンスターチ、ジャガイモデンプン、アルギン酸等;および滑剤、例えばステアリン酸マグネシウム。甘味剤、例えばスクロース、フルクトース、ラクトースまたはアスパルターム;あるいは風味剤、例えばペパーミント、冬緑樹油またはサクランボ風味料が付加され得る。単位剤形がカプセルである場合、それは、上記の種類の物質のほかに、液体担体、例えば植物油、またはポリエチレングリコールを含有し得る。種々のその他の物質が、コーティングとして、そうでなければ固体単位剤形の物理的形態を修飾するために存在し得る。例えば、錠剤、ピルまたはカプセルは、ゼラチン、蝋、シェラックまたは糖等で被覆され得る。シロップまたはエリキシルは、活性化合物、スクロースまたはフルクトースを甘味剤として、メチルおよびプロピルパラベンを防腐剤として、染料および風味剤、例えばサクランボまたはオレンジ風味を含有し得る。任意の単位剤形を調製するのに用いられる任意の物質は、用いられる量中で製薬上許容可能且つ実質的に非毒性であるべきである。さらに、活性化合物は、徐放性調製物および装置中に組み入れられ得る。
【0139】
活性化合物は、注入または注射により、静脈内または腹腔内に投与され得る。活性化合物またはその塩の溶液は、任意に非毒性界面活性剤と混合された水中に調製され得る。分散液は、グリセロール、液体ポリエチレングリコール、トリアセチンまたはその混合物中に、あるいは製薬上許容可能な油中に調製され得る。通常の貯蔵および使用条件下では、調製物は、微生物の増殖を防止するために防腐剤を含有し得る。
【0140】
注射または注入に適した薬学的剤形としては、滅菌注射用または注入用溶液または分散液の即席調製物のために適合され、任意にリポソーム中に封入される活性成分を含む滅菌水溶液、分散液または滅菌粉末が挙げられ得る。最終的剤形は、製造および貯蔵の条件下で、滅菌性、流体および安定である必要がある。液体担体またはビヒクルは、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、液体ポリエチレングリコール等)、植物油、非毒性グリセリルエステルおよびその適切な混合物を含む溶媒または液体分散媒質であり得る。適正な流動性は、例えば、リポソームの形成により、分散液の場合に必要とされる粒子サイズの保持により、あるいは界面活性剤の使用により、保持され得る。微生物の作用の防止は、種々の抗細菌薬および/または抗真菌薬、例えばパラベン、クロロブタノール、フェノール、ソルビン酸、チメロサール等によりもたらされ得る。多くの場合、等張剤、例えば、糖、緩衝剤または塩化ナトリウムを含むことが好ましい。注射用組成物の長期吸収は、吸収を遅延する作用物質、例えば一ステアリン酸アルミニウムおよび/またはゼラチンによりもたらされ得る。
【0141】
滅菌注射溶液は、上で列挙された種々のその他の成分とともに、適切な溶媒中に必要量で活性化合物を組み入れ、必要な場合、その後、任意にフィルター滅菌することにより調製され得る。滅菌注射溶液の調製のための滅菌粉末の場合、調製方法は、真空乾燥および凍結乾燥技法を包含し、これが、活性成分+溶液中に存在する任意の付加的所望成分の粉末を産生する。
【0142】
局所投与に関しては、化合物は、例えばそれらが液体である場合、純粋形態で適用され得る。しかしながら、一般的には、組成物または処方物として、例えば皮膚科学的に許容可能な担体(固体、液体、ゲル等であり得る)と組み合わせて、皮膚に活性作用物質を投与することが望ましい。
【0143】
有用な固体担体としては、微粉砕固体、例えばタルク、粘土、微晶質セルロース、シリカ、アルミナ等が挙げられる。有用な液体担体としては、水、ジメチルスルホキシド(DMSO)、アルコール、グリコールまたは水−アルコール/グリコール配合物が挙げられ、この中に、化合物が、有効レベルで、任意に非毒性界面活性剤の助けを借りて、溶解されるかまたは分散され得る。アジュバント、例えば芳香剤および付加的抗微生物薬が付加されて、所定の使用のための特性を最適化し得る。その結果生じる液体組成物は、吸収パッドから適用され、包帯またはその他の手当て用品に染み込ませるために用いられ、あるいはポンプ型またはエアゾール噴霧器を用いて罹患区域に噴霧され得る。
【0144】
増粘剤、例えば合成ポリマー、脂肪酸、脂肪酸塩およびエステル、脂肪アルコール、改質セルロースまたは改質無機物質も、液体担体とともに用いられて、使用者の皮膚に直接適用するために展性ペースト、ゲル、軟膏、石鹸等を生成し得る。
【0145】
皮膚に活性作用物質を送達するための皮膚科学的組成物の例は、当該技術分野で既知である;例えば、米国特許第4,992,478号(Geria)、第4,820,508号(Wortzman)、第4,608,392号(Jacquet等)および第4,559,157号(Smith等)参照。このような皮膚科学的組成物は、本明細書中に記載される化合物と組み合わせて用いられ得るが、この場合、このような組成物の成分は、任意に、本明細書中に記載される化合物により取り替えられ得るか、または本明細書中に記載される化合物が組成物に付加され得る。
【0146】
本明細書中に記載される化合物の有用な投与量は、動物モデルにおいてそれらのin vitro活性およびin vivo活性を比較することにより、決定され得る。マウスおよびその他の動物における有効投与量をヒトに対して外挿するための方法は、当該技術分野で既知である;例えば、米国特許第4,938,949号(Borch等)参照。処置に用いるために必要とされる化合物、あるいはその活性塩または誘導体の量は、選択される特定の化合物または塩だけでなく、投与経路、処置されている症状の性質、ならびに患者の年齢および状態に伴って変わり、最終的には、担当医または臨床医の判断である。
【0147】
化合物は、例えば、5〜1000mg/m、便宜的には10〜750mg/m、最も便宜的には50〜500mg/mの活性成分/単位剤形を含有する単位剤形で投与されるのが便利であり得る。所望の用量は、単一回用量で、または適切な間隔で投与される分割用量として、例えば2、3、4回以上に分けた用量/日として、提示され得ると便利である。細分用量それ自体は、例えば、多数回の別々の大雑把な間隔の投与にさらに細分され得る。
【0148】
本明細書中に記載される化合物は、例えばTBを引き起こす種々の微生物に対する有効な抗微生物薬であり得る。本発明は、哺乳動物における細菌性および/またはTB感染症を処置する治療方法であって、有効量の本明細書中に記載される化合物または組成物を感染症を有する哺乳動物に投与することを包含する方法を提供する。哺乳動物としては、霊長類、ヒト、齧歯類、イヌ、ネコ、ウシ、ヒツジ、ウマ、ブタ、ヤギ、ウシ等が挙げられる。
【0149】
微生物または細菌を死滅させる、その増殖を抑制する、および/または関連感染症を処置する本発明の化合物の能力は、当該技術分野で周知の検定を用いて確定され得る。例えば、処置プロトコールの設計、毒性評価、データ解析、細胞死滅の定量、ならびに種々のスクリーニングの使用の生物学的有意性は、既知である。さらに、感染症を処置する化合物の能力は、下記の試験を用いて確定され得る。
【0150】
以下の実施例は、上記発明を例証するよう意図されており、その範囲を狭めるよう解釈されるべきでない。実施例は、本発明が実行され得る多数のその他の方法を示唆していると、当業者は容易に理解するであろう。本発明の範囲を逸脱しない限り、多数の変更および修正がなされ得る、と理解されるべきである。
実施例
【0151】
実施例1. 5,5−ヘテロ芳香族物質およびND−010081の調製
本明細書中に記載される化合物は、以下の一般手順に従って合成され得る。例えばND−010081は、容易に入手可能な安価な試薬から、2〜3の合成ステップで製造され得る。マルチグラム規模でのこの化合物の製造の潜在的利用可能性および手頃性を評価するために、以下の手順を用いてキログラム規模で、ND−010081を調製した(下記のスキーム1)。
【化13】
試薬:a)1,2−ジメトキシエタン、NaHCO3、還流 24時間;(b)1N LiOH、EtOH、還流 20時間;(c)EDC−HCl、DMAPおよび4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミン塩酸塩、16時間。
【0152】
ND−010081の合成のこの具体的実施例では、ドライ1,2−ジメトキシエタン(45ml)中の2−アミノ−5−メチルチアゾール(5.0g、42.9mmol)および2−クロロアセト酢酸メチルエステル(2.75mL、21.5mmol)の溶液を、アルゴン下で48時間還流加熱した。その結果生じた固体を濾過により溶液から除去し、減圧下で溶媒を除去して、橙色油残渣をエタノールから再結晶化するか、またはシリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製し、CHCl/EtOAc(2:1)で溶離して、生成物メチル2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキシレート(1.6g、36%)を得た。 H NMR(300MHz、CDCl)dppm 3.91(3H,s),2.58(3H,s),2.44(3H,d,J=1.35Hz),7.76(1H,m)。
【0153】
メチル2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキシレート(1.55g、7.4mmol)を、15mLのエタノール(95%)中に溶解し、1N LiOH(7mL、7mmol)を付加し、反応を20時間還流加熱した。その結果生じた溶液を濃縮乾燥して、次いで、4N HClの付加により産生にした(pH〜3);その結果生じた固体を濾過により収集し、厳密に乾燥して、1.1グラムの2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボン酸をオフホワイト色固体として得た。2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボン酸(0.2g、0.96mmol)を、6mLのアセトニトリル中に溶解し、その後、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(EDC−HCl、186mg、0.96mmol)、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP、118mg、0.096)および4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミン塩酸塩(270mg、1.06mmol)を溶解した。この反応を、アルゴン下で室温で16時間、撹拌した。反応混合物を濃縮、乾燥して、CHCl中に溶解し、飽和重炭酸ナトリウム溶液(2x)、希酢酸溶液(2x)およびブラインで洗浄した。有機物質をNaSO上で乾燥し、乾燥剤を濾し取って、有機物質を濃縮して橙色固体を得た。固体を、熱アセトニトリルから再結晶化するか、またはシリカゲルカラムを通して精製して、1:10(EtOAc:CHCl)〜10:1(EtOAc:CHCl)の勾配で溶離して、225mgのN−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル)−2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミド(ND−010081)をオフホワイト色固体として収率59%で得た。 HNMR(300MHz、CDCl) dppm 4.62(2H,d,J=5.8Hz),2.56(3H,s),2.43(3H,d,J=1.3Hz),7.98(1H,m),7.31(2H,d,J=8.7Hz),7.08−6.90(6H,m)。
【0154】
N−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル)−2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミド(図1)に関して、X線結晶構造を決定した。C2118FNSに関する結晶データ;M=395.44;三斜晶系;空間群 P−1;a=9.7959(12)Å;b=11.1380(14)Å;c=18.287(2)Å;α=81.961(3)°;β=86.418(3)°;γ=75.515(3)°;V=1912.1(4)Å;Z=4;T=200(2)K;λ(Mo−Kα)=0.71073Å;μ(Mo−Kα)=0.201mm−1;dcalc=1.374g.cm−3;31413 収集済み反射;9091 ユニーク(Rint=0.0334);提示R=0.0471,wR=0.1153(5320データに関して;[I>2σ(I)])ならびにR=0.0914,wR=0.1306(すべての9091データに関して)。残留電子密度(e.Å−3) 最大/最小:0.271/−0.328。
【0155】
Figure 図1の構造に関しては、約0.42×0.15×0.06mmの寸法を有する無色棒様結晶に関して、0.5°のω−およびφ−スキャンの組合せを用いて、Bruker Kappa X8−APEX−II回析計で、随意範囲のデータを収集した。データを、吸収および分極効果に関して補正し、空間群決定に関して分析した。直接的方法により構造を解明し、慣例的に拡大した。すべての反射に対するFの全行列最小二乗解析により、モデルを純化した。すべての非水素原子を、非等方性熱変位パラメーターで純化した。別記しない限り、水素原子は、算定位置に含まれた。水素に関する熱パラメーターを、それらが結合される原子の等方性熱パラメーターと結び付けた(メチルに関しては1.5×、その他のすべてに関しては1.2×)。
【0156】
実施例2. 本発明の種々の化合物の調製

種々の5,5−複素環式誘導体(イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミドに関しては「ITA」、イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−5−カルボキサミドに関しては「IOA」、イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアゾール−5−カルボキサミドに関しては「ITDA」、イミダゾ[2,1−b][1,3,4]オキサジアゾール−5−カルボキサミドに関しては「IODA」、ピロロ[1,2−a]イミダゾール−3−カルボキサミドに関しては「PIA」、イミダゾ[1,2−b]ピラゾール−3−カルボキサミドに関しては「IPYA」)を調製するために用いられる一般合成手順は、以下の通りである:
【化14】
【0157】
6つの異なるカルボン酸中間体が調製され得る(IT−OH、IO−OH、ITD−OH、IOD−OH、PA−OH、IPY−OH)。これらを、抗結核薬の中心的一群に作り上げた(イミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミドに関しては「ITA」、イミダゾ[2,1−b]オキサゾール−5−カルボキサミドに関しては「IOA」、イミダゾ[2,1−b][1,3,4]チアゾール−5−カルボキサミドに関しては「ITDA」、イミダゾ[2,1−b][1,3,4]オキサジアゾール−5−カルボキサミドに関しては「IODA」、ピロロ[1,2−a]イミダゾール−3−カルボキサミドに関しては「PIA」、イミダゾ[1,2−b]ピラゾール−3−カルボキサミドに関しては「IPYA」)(示された一般化構造を有する)。これらの化合物を、良好な収率で、簡単な2ステップ合成で容易に製造した。先ず、適切な溶媒、例えば1,2−ジメトキシエタンまたはエタノール中での適切に置換されたアミノ−複素環(B、C、D、E、FまたはH)とエチル2−クロロアセトアセテート(または構造Aの任意の試薬)との反応と、その後の水素化ナトリウムおよび酸性ワークアップでの鹸化により、遊離酸(IT−OH、IO−OH、ITD−OH、IOD−OH、PA−OH、IPY−OH)を得た。次に、これらのカルボン酸中間体を、すべて容易に、古典的EDC媒介性カップリング反応により、種々のアミド類似体(ITA、IOA、ITDA、IODA、PIAおよびIPYA)に良好な収率で転化した。
【0158】
構造Aの試薬は、Organic Syntheses,Coll.Vol.4,p.590(1963);Vol.33,p.43(1953)およびWO 2011/113606の方法により調製され得る。
【化15】
【0159】
置換ピラゾール−3−アミン複素環(H)は、限定された商業的利用可能性で存在するが、しかしOrganic Syntheses,Vol.89,p.537(2012)からの変法により調製され得るが、この場合、ヒドラジンを塩基性条件で3−アミノブト−2−エネニトリルと反応させて、構造Hのピラゾール−3−アミノを得る。
【化16】
【0160】
用いられる種々のNH−R(好ましくは置換ベンジルアミン、「−NH−CH−フェニル」)は市販されているが、しかし、すべて、合成的に調製し得る。
【0161】
4、4a、4’、4’a、4’’の一般的合成(種々の一でモルホリン、ピペルジンおよびピペルジンのような種々のシクロヘテロアルキル(複素環)で置換されるベンジルアミン)。
【化17】
【0162】
WO 2011/113606に、そして一部は“Reproducibility and Scalability of Microwave−Assisted Reactions,” DOI: 10.5772/19952 by De La Hoz et al.により記載。
【化18】
【0163】
Tet.Lett.1999 40(6),pp1219‐1222に記載。
【化19】
【0164】
Tet.Lett.2005 46 (15),pp2571−2575(前者)および米国特許第6,689,882号(後者)に記載。
【化20】
【0165】
Tet.Lett.1999 40(6),pp1219‐1222に記載。
【0166】
一般構造4、4a、4’、4’a、4’’、4’bの置換ベンジルアミンは、以下のスキームにより、化合物ND−020032およびND−020033等に生成され得る。:
【化21】
【0167】
置換ビアリールエーテルベンジルアミン9および13の一般的合成:
【化22】
【0168】
WO 2001/027068 A1の変法およびChem. Commun.,2012,48,8553−8555の変法により、またはApplied Organometallic Chemistry, 2012,26(8),pp 445‐447(DOI:10.1002/aoc.2886)に記載。
【0169】
一般構造9および13の化合物を、以下の方法により化合物ND−010081およびND−020058等に生成し得る:
【化23】
試薬:a)1,2−ジメトキシエタン、NaHCO3、還流、 24時間;(b)1N LiOH、EtOH、還流、 20時間;(c)EDC−HCl、DMAPおよび4−(4−フルオロフェノキシ)ベンジルアミン塩酸塩、16時間。
【0170】
ND−010081(上記実施例1)を調製するために記載された方法を用いて、付加的化合物、例えばND−020058が調製され得る。3−(4−クロロフェノキシ)ベンジルアミンである場合;CAS番号:154108−30−2:
【化24】
【0171】
置換ビアリール化合物16および16’cの一般的合成:
【化25】
【0172】
WO 2011/113606に記載、およびEP 1,656,370 B1からの方法の変法、あるいはSuzuki‐Miyauraカップリングによる(J.Org.Chem.,2012,77(15),pp6608‐6614;Applied Organometallic Chemistry,2012,26(8),pp401‐405(DOI:10.1002/aoc.2852),pp417‐424(DOI:10.1002/aoc.2868)およびpp425‐429(DOI:10.1002/aoc.2875)に記載)。
【0173】
(4−(4−クロロフェノキシ)フェニル)メタナミンの調製:
【化26】
【0174】
4−クロロフェノール(173.4mmol)およびKOH(173.4mmol)を、dean−starkトラップを用いて、22mLのDMSOおよび100mLのトルエン中に溶解した。反応を加熱還流(〜120C)して、3時間水を運び去り、その後、残留トルエンを収集した。一旦、すべての水が収集されたら、残りのトルエンを除去し、反応温度を100℃に調整した。4−フルオロベンズアルデヒド(165.2mmol)を、12時間撹拌しながら、100℃で滴下した。その時点で、反応混合物を冷却し、氷上に注いで、生成物を沈殿させた。濾過により沈殿物を収集して、50.5gの4−(4−クロロフェノキシ)ベンズアルデヒドを収集した。
【0175】
4−(4−クロロフェノキシ)ベンズアルデヒド(3.2mmol)および塩酸ヒドロキシルアミン(3.8mmol)を、エタノール(7mL)中で併合した。次に、重炭酸ナトリウムを注意深く付加し(267mg、3.2mmol)、反応混合物を、2時間、またはTLCによる完了時に、加熱還流した。反応混合物を熱濾過して、無機塩を除去し、濾液を1/3容積に濃縮した。放置すると固体が生成し、それを濾過により収集して、4−(4−クロロフェノキシ)ベンズアルデヒドオキシムを得た。
【0176】
4−(4−クロロフェノキシ)ベンズアルデヒドオキシム(20.2mmol)を酢酸(40mL)中に溶解し、次に、亜鉛粉末を徐々に付加して(80.8mmol)、それを室温で一晩撹拌した。反応混合物を濾過して、無機塩を除去し、次いで、蒸発させて、ほぼ乾燥させた。残渣をジクロロメタン中に懸濁して、NaOH水溶液で塩基性になるまで洗浄した。有機層を濾過して、沈殿物を収集した。収集した固体を真空中でKOH上で乾燥して、(4−(4−クロロフェノキシ)フェニル)メタナミンを得た。
【0177】
一般構造16および16’cの化合物を、以下の方法により、ND−02043等のような化合物に生成し得る:
【化27】
【0178】
オキソアセトアミド化合物IT−O−A:の一般的合成
【化28】
【0179】
アミノ−チアゾールB(4.5mmol)を10mlのDCE(無水)中に溶解し、氷浴で0℃に冷却した。3mLのDCE(ドライ)中の塩化オキサリル(5.8mmol)を添加漏斗により1時間に亘って徐々に付加した。反応を、4時間撹拌しながら、室温に温めた。5mLのDCE中のトリエチルアミン(5.8mmol)を15分間に亘って徐々に付加し、反応を35℃で2.5時間撹拌した。次に、所望のアミン(5.4mmol)を付加し、反応を一晩35℃のままにした。反応を濃縮し、次いで、DCM中に再溶解して、飽和NaHCO溶液(2x)、酢酸(2x)、ブラインで洗浄し、次に、有機物質をNaSO上で乾燥し、濾過し、濃縮して、褐色半固体とした。生成物(IT−O−A)を、30%EtOAC:DCMを用いてシリカゲルカラムにより単離して、主要下方スポットを収集した。
【0180】
式Iの試薬は、構造Aの試薬の合成のために用いられる方法によっても調製され得るが、多くは、エチルクロロアセテートまたはエチルブロモアセテートのように市販されている。
【0181】
代替的には、オキソ酢酸(IT−O−OH)は、所望のベンジルアミン誘導体とのカップリングの前に単離されて、所望の生成物(IT−O−A)を得る。これは、カップリングのための所望のアミンをまさに付加するというよりむしろ、水でクエンチし、そして25%NaOHで塩基性にして、その後、DCEで抽出し、酢酸でpHを4〜5に調整することにより実行される。これらの方法は、US8,183,377B2(イミダゾピリジンの調製方法)で記載された。
【0182】
付加的には、オキソ酢酸(IT−O−OH)は、さらにまた、US8,183,377B2(イミダゾピリジンの調製方法)に記載された方法により、ヒドラジン水和物および水酸化カリウムにより還元されて、酢酸誘導体(IT−CH2−OH)を生じ得る。酢酸誘導体(IT−CH2−OH)は、EDC媒介性カップリングによりベンジルアミンと反応して、一般構造IT−CH2−Aの対応する生成物を生じ得る。
【化29】
【0183】
簡単な工程で、一般的構造IT−CH2−Aの化合物は、以前に記載された方法(特に、ND−010081の合成)により、アミノ−チアゾール(B)と一般構造Jの試薬との反応と、その後の鹸化ならびに所望のアミンとのEDC−媒介性カップリングにより調製され得る。式Iの試薬は、さらにまた、以前に記載された構造Aの試薬の合成のために用いられる方法により調製され得る。
【0184】
がスルフィニル(S(=O))である場合の化合物の調製:
【化30】
【0185】
がスルホニル(S(=O))である場合の化合物の調製:
【化31】
【0186】
S. RozenによりJ.Org.Chem.,1997,62(5),pp1457‐1462に記載された方法による。
【0187】
調製された一連の有効な抗菌性化合物に関するデータとしては、以下のものが挙げられる:
【化32】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.66(2H,d,J=5.76Hz),2.56(3H,s),2.43(3H,d,J=1.4Hz),7.99(1H,m),7.49−7.16(5H,m)
【化33】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.64(2H,d,J=5.7Hz),3.81(3H,s),2.57(3H,s),2.43(3H,d,J=1.4Hz),7.06−6.75(3H,m),7.99(1H,m),7.32−7.24(1H,m)
【化34】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.66(2H,d,J=5.8Hz),2.59(3H,s),2.43(3H,d,J=1.3Hz),7.98(1H,m),7.32(1H,m),7.19−6.93(3H,m).
【化35】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.69(2H,d,J=6.0Hz),2.59(3H,s),2.43(3H,d,J=1.3Hz),7.98(1H,m),7.28(2H,d,J=8.0Hz),7.52(2h,d,J=8.4Hz).
【化36】
(300MHz,CDCl3)dppm 4.62(2H,d,J=5.8Hz),2.56(3H,s),2.43(3H,d,J=1.3Hz),7.98(1H,m),7.31(2H,d,J=8.7Hz),7.08−6.90(6H,m).
【化37】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.64(2H,d,J=5.7Hz),2.56(3H,s),2.44(3H,d,J=1.3Hz),7.99(1H,m),7.32(2H,d,J=8.7Hz),7.10−6.95(6H,m)
【化38】
1HNMR(300MHz,MeOH−d4) dppm 4.65(2H,d,J=5.8Hz),2.54(3H,s),2.43(3H,d,J=1.3Hz),3.14(4H,t,J=4.8Hz),3.85(4H,t,J=4.8Hz),7.98(1H,m),6.98(2H,d,J=8.8Hz),7.32(2h,d,J=8.8Hz).
【化39】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.64(2H,d,J=5.9Hz),2.54(3H,s),2.43(3H,d,J=1.3Hz),3.00‐3.05(4H,m),3.83‐3.87(4H,m),6.99(1H,d,J=8.0Hz),7.21(dd,J=1.6,8.0Hz),7.37(1H,m),7.99(1H,m).
【化40】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.68(2H,d,J=5.6Hz),2.54(3H,s),2.46(3H,d,J=1.4Hz),3.21‐3.44(6H,m),7.99(1H,m),7.22‐7.30(2H,m),6.56(2H,d,J=8.4 Hz).
【化41】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.69(2H,d,J=6.0Hz),1.99‐2.04(m,4H),3.29‐3.38(2H,m),2.43(3H,d,J=1.3Hz),7.98(1H,m),6.56(2H,d,J=8.4Hz),7.14‐7.31(2H,m).
【化42】
1HNMR(300MHz,CDCl) dppm 4.65(2H,d,J=5.76Hz),2.58(3H,s),2.43(3H,d,J=1.4Hz),7.99(1H,m),7.49−7.16(5H,m),7.41(2H,d,J=8.4Hz),7.45(2H,d,J=8.0Hz),7.51(2H,d,J=8.4Hz),7.57(2H,d,J=8.0Hz).
【0188】
実施例3. 抗菌活性の検定

本明細書中に記載される5,5−ヘテロ芳香族物質を基礎にした最初の「ヒット」であるND−010081、すなわちN−(4−(4−クロロフェノキシ)ベンジル)−2,6−ジメチルイミダゾ[2,1−b]チアゾール−5−カルボキサミドは、一般臨床候補に匹敵するH37Rv TBに対するin vitro活性を、そしてin vivo処置のための十分な治療ウィンドウを有する。
【0189】
種々の実施形態に従って、表2は、ヒト型結核菌H37Rvに対するいくつかの例示的化合物の効力を示す。種々の実施形態に従って、表3は、MDR−およびMDR−ヒト型結核菌のいくつかの臨床的薬剤耐性菌株の効力を示す。
【表2】
Table2 活性等級:
A=2mM
B=<2mM−10mM
C=<10mM−20mM
D=<20mM−32mM
E=32mM
【0190】
GAS培地は、ヒト型結核菌(Mtb)H37Rvを増殖するために用いられるグリセロールを含有する増殖培地である。7H12は、炭素供給源としてグリセロールを含有しないヒト型結核菌(Mtb)H37Rvを増殖するために用いられる増殖培地である。VEROは、アフリカミドリザルから抽出される腎臓上皮細胞に対する毒性の査定である。
【表3】
【0191】
MICsを、7H9/グルコース/グリセロール/BSA/0.05%トゥイーン80および3つの個々の測定値の平均で実行した。略号:H=イソニアジド、R=リファムピン、E=エタムブトール、Z=ピラジナミド、S=ストレプトマイシン、K=カナマイシン、P=パラ−アミノサリチル酸、Rb=リファブチン、O=オフルキサシン。
【0192】
複製TBに対するMIC90値を決定するためのMicroplate Alamar Blue検定(MABA)によるTB(GAS、GAST、7H12)の説明

Mtb H37Rv(ATCC# 27294)に対する試験化合物MICsを、リファムピンおよび陽性対照としてのPA−824を用いて、MABAを査定した。128mMの濃度でDMS中で化合物ストック溶液を調製し、最終試験濃度は128μM〜0.5μMの範囲であった。GAS検定のために96ウェルマイクロプレート(BD Optilux(商標)、96−ウェルマイクロプレート、黒色/透明平底)中で100μLの容積でのグリセロール−アラニン−塩培地中に、GAST検定に付加される20%トゥイーン80を有する鉄欠乏グリセロール−アラニン塩培地中に、ならびに7H12検定のために96ウェルマイクロプレート(BD Optilux(商標)、96−ウェルマイクロプレート、黒色/透明平底)中で100μLの容積でのMiddlebrook 7H12培地(0.1%w/vカシトン、5.6μg/mLパルミチン酸、5mg/mLウシ血清アルブミン、4mg/mLカタラーゼを含有する7H9ブロス)中に、化合物の2倍溶液を調製した。TB培養(2×105cfu/mLの100μL接種物)を培地に付加し、最終試験容積を200μLとした。プレートを、37℃でインキュベートした。インキュベーションの7日目に、12.5μLの20%トゥイーン80および20μLのAlamar Blue(Invitrogen BioSource(商標))を試験プレートのウェルに付加した。37℃で16〜24時間インキュベーション後、530nm(励起)および590nm(発光)でウェルの蛍光を測定した。MICsは、複製細菌のみの対照の平均に比して、≧90%の蛍光の低減を実行する最低濃度として定義される。
【0193】
上記の検定に関する情報の引例

1. Collins,L.;Franzblau,S.G.Microplate alamar blue assay versus BACTEC 460 system for high−throughput screening of compounds against Mycobacterium tuberculosis and Mycobacterium avium. Antimicrob.Agents Chemother.1997,41,1004−1009.
2. De Voss,J.J.;Rutter,K.;Schroeder,B.G.;Su,H.;Zhu,Y.;Barry,C.E. The salicylate−derived mycobactin siderophores of Mycobacterium tuberculosis are essential for growth in macrophages.Proc.Nat.Acad.Sci.U.S.A. 2000,97,1252−1257.
【0194】
実施例4. 薬学的組成物および剤形

以下の処方物は、本明細書中に記載される式の化合物、本明細書中で具体的に開示される化合物、あるいはその製薬上許容可能な塩または溶媒和物(本明細書中では以後、「化合物X」として言及される)の治療的または予防的投与のために用いられ得る代表的薬学的剤形を示す:

(i)錠剤1 mg/錠剤
「化合物X」 100.0
ラクトース 77.5
ポビドン 15.0
クロスカルメロースナトリウム 12.0
微晶質セルロース 92.5
ステアリン酸マグネシウム 3.0
300.0

(ii)錠剤2 mg/錠剤
「化合物X」 20.0
微晶質セルロース 410.0
デンプン 50.0
デンプングリコール酸ナトリウム 15.0
ステアリン酸マグネシウム 5.0
500.0

(iii)カプセル mg/カプセル
「化合物X」 10.0
コロイド二酸化ケイ素 1.5
ラクトース 465.5
アルファデンプン 120.0
ステアリン酸マグネシウム 3.0
600.0

(iv)注射液1(1mg/mL) mg/mL
「化合物X」(遊離酸形態) 1.0
二塩基性リン酸ナトリウム 12.0
一塩基性リン酸ナトリウム 0.7
塩化ナトリウム 4.5
1.0N水酸化ナトリウム溶液 十分量(pHを7.0〜7.5に調節)
注射液用の水 全量を1mLとするのに十分な量

(v)注射液2(10mg/mL) mg/mL
「化合物X」(遊離酸形態) 10.0
一塩基性リン酸ナトリウム 0.3
二塩基性リン酸ナトリウム 1.1
ポリエチレングリコール 400 200.0
0.1N水酸化ナトリウム溶液 十分量(pHを7.0〜7.5に調節)
注射液用の水 全量を1mLとするのに十分な量

(vi)エーロゾル mg/缶
「化合物X」 20
オレイン酸 10
トリクロロモノフルオロメタン 5,000
ジクロロジフルオロメタン 10,000
ジクロロテトラフルオロエタン 5,000

(vii)局所ゲル1 重量%
「化合物X」 5%
カルボマー 934 1.25%
トリエタノールアミン 十分量(pHを5〜7に調節)
メチルパラベン 0.2%
精製水 全量を100gとするのに十分な量

(viii)局所ゲル2 重量%
「化合物X」 5%
メチルセルロース 2%
メチルパラベン 0.2%
プロピルパラベン 0.02%
精製水 全量を100gとするのに十分な量

(ix)局所軟膏 wt.%
「化合物X」 5%
プロピレングリコール 1%
無水軟膏基剤 40%
ポリソルベート80 2%
メチルパラベン 0.2%
精製水 全量を100gとするのに十分な量

(x)局所クリーム1 wt.%
「化合物X」 5%
白色蜜蝋 10%
液体パラフィン 30%
ベンジルアルコール 5%
精製水 全量を100gとするのに十分な量

(xi)局所クリーム2 wt.%
「化合物X」 5%
ステアリン酸 10%
グリセリルモノステアレート 3%
ポリオキシエチレンステアリルエーテル 3%
ソルビトール 5%
イソプロピルパルミテート 2%
メチルパラベン 0.2%
精製水 全量を100gとするのに十分な量
【0195】
これらの処方物は、製薬業界で周知の慣用的腫瘍により調製され得る。上記の薬学的組成物は、異なる量および型の活性成分「化合物X」を受け入れるために周知の薬学的技法に従って変更され得る、と理解される。エーロゾル処方物(vi)は、標準計量用量エーロゾルディスペンサーと一緒に用いられ得る。付加的には、具体的成分および割合は、例示目的のためである。成分は、適切な等価物と交換され得るし、割合は、当該剤形の所望の特性によって変更され得る。
【0196】
具体的実施形態を、開示実施形態および実施例に関して上記で説明してきたが、このような実施形態は、単なる例証であって、本発明の範囲を限定するものではない。以下の特許請求の範囲で定義されるようなそのより広い態様において本発明を逸脱しない限り、当業者は変更および修正をなし得る。
【0197】
出版物、特許および特許文書はすべて、参照により個別に援用されるように、本明細書中で参照により援用される。この開示と矛盾する限定で、そこから理解されるべきものはない。本発明を、種々の具体的且つ好ましい実施形態および技法に関して記載してきた。しかしながら、本発明の精神および範囲を逸脱しない限り、多数の変更および修正がなされ得る、と理解されるべきである。
図1